米アラスカ湾で89年に起きたタンカー「エクソン・バルディーズ号」の座礁で流出した原油が、今も沿岸に残っていることが、米テンプル大の調査で分かった。原油を分解しにくい地層の存在が原因だが、同様の地層は北極圏を中心に各国の沿岸に存在するという。研究チームは事故防止と復旧の対策作りを急ぐよう呼びかけている。17日付の英科学誌ネイチャー・ジオサイエンス(電子版)に論文を掲載した。

 事故では、原油4000万リットル以上が流出、アラスカ沿岸約2000キロに漂着した。生態系や漁業への影響が大きく、米国史上最悪の海洋汚染とされる。当初は除去作業や微生物による分解で、数年後に原油はほぼ消えると期待されていた。しかし、沿岸の一部で原油が残存しているのが見つかり、米テンプル大は昨年までの3年間、原油が漂着した湾内のエレノア島の沿岸12地点を調査した。

 その結果、原油を分解する微生物が生存するのに必要な酸素や養分の量が通常より10分の1という層が地表近くに存在し、原油の「貯蔵庫」が形成されていることが分かった。

 アラスカ南部では海岸線のほぼ半分がこうした特徴を持つとされ、残存している原油は約7万6000リットルに上る可能性があるという。

 研究チームは「温暖化で北極海の氷が減り、周辺海域を航行するタンカーの増加も予想される。事故の再発が憂慮され、対策が急務だ」としている。【田中泰義】

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