2005年09月30日

パリ

オペラ座パリもオペラ座のあたりは、銀座通りとあまり変わらない。

オスマン通りをオペラ座へむかって歩いて行くと、左にプランタン、ギャラリー・ラファイエットとデパートが並び、まるで銀座のど真ん中にいる様な錯覚におそわれる。事実、歩いてる人の大半といったら大袈裟かもしれぬが、まあ日本人の観光客の多いのにはがっくりきてしまう.
私もそのパリーの美観を損ねる一員として、ある日の午後、男もの専門のデパート、ブルンメルを覗く事にした。

これからスイスですって、寒いわよ。そう、ブルンメルで冬物を買ってらっしゃい、私がお供するわ。
と、パリに住み着いているB夫人の通訳で買い物にでかけてきたのである。

子供のときから僕はデパートが大好きである。昔から新しくデパートがオープンすると、すっとんでって一通り点検したものだ。
最近はデパートも斜陽でその機会は少なくなったが。

まず、最低十か処は飲み食いする場所があるのがいい。
その時の気分に応じて、一人でしずかに書き物をしたい時は地下の片隅に落ち着く。
配偶者の買い物で待たされている時は、上の眺めのいい所。
女の子と一緒の時は、二階か三階のピンクの内装の,一寸メルヘンティックなサロン・ド・テといった具合である。

デパートの魅力は品揃えが豊富な事だ。
個々の品はそれぞれ小売店で売っている物ばかりで、別にデパートにしかないという訳ではないが、それが一つの屋根の下に集合して醸し出す雰囲気の魅力かもしれない。
丁度、オーケストラが、ヴァイオリン、フルート、ティンパニといった様々な楽器が競い会ってハーモニーを生み出す様に。
だから私は最近よくある、二棟に別れた奴は本当はあまり好きでない。売り場が判りづらいし、第一渡り廊下を行ったり来たりでは感興を削がれること夥しい。
オーケストラだって、管と弦が別々の建物で演奏したら、話にならんでしょう。

さてブルンメルに話をもどそう。

先ず,長袖のシャツとセーターを買った.
次はジャケットである.
アメリカやヨーロッパで服を買われた方はお分かりだろうが,日本人の体形にあった上着を探すのは容易でない.胴体に対してむこうの服は腕が長すぎるのだ.腕に合わせると当然ながら裾が短くなる.

これは我々が胴長の為ではない,連中の腕が長すぎるのだと私はB夫人にぼやいた.
ともかく腕捲くりすることにして,茶のスエードのジャケットを一つ買った.

最後はズボン下である.そのものずばりはないので,タイツで我慢する事にした.売り子の出して来たのはえらく長い奴で,これじゃ足の長さが倍もある.と言ってもらうと,売り子はなにやらペラペラと巻くしたてる.
足が太いから,穿けばその分短くなるんですって,とB夫人は面白がっている.

買い物は終わりにして,外へ出てカフェに入った.日差しは強いが,空気はサラッとしている.レモネードを飲みながら手足の長いのや短いのが行き交う様を私は暫く眺めていた.

幸いスイスは思ったほど寒くはなく、厚着の必要はなかった.
が,折角なのでホテルの自室でタイツを試してみる.太い毛すねをむりむり新品のタイツに押し込むと,癪だが足の先まで丁度ぴったし入ってくれた,ああ.

そして日本に戻った.
お土産と一緒に,ジャケット,セーター,シャツ総て子供たちにとられてしまった.が,タイツだけは希望者もないまま,長い事納戸の洗濯紐にスルメの様につるさがっていたが,やがて何処かにしまいこまれて,今日迄ずっと日の目をみていない.


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