3月に修士課程を修了した学生さんの筆頭論文が国際学術誌Scientific Reportsに受理されました!この論文では、土壌の養分状態が異なる2つの調査サイト(貧栄養と富栄養)に生育するコナラ成木を対象として、光合成に関わる形質(光合成酵素や色素含量)、枝葉の成長そして被食防衛に関わる形質(フェノールやタンニンの含量や葉の密度)の樹冠内の分布(光の変化に対する応答)を調べました。その結果、コナラの光合成の形質や枝葉の成長は富栄養環境より貧栄養環境で急激に変化した(例:樹冠上部と下部でクロロフィル濃度が大きく異なる)のに対して、被食防衛に関わる形質ではそのような分布の変化は見られませんでした。一方、貧栄養環境のコナラでは樹冠のどの位置においても葉の縮合型タンニン(被食防衛物質)濃度が富栄養環境のコナラよりも高く、葉の食害も低く抑えられていました。
これまでに光合成の形質や枝葉の成長の樹冠内分布やそれに対する土壌環境の影響に関する報告はいくつかありましたが、被食防衛に関わる形質の鉛直分布に対する土壌環境の影響に関する研究はありませんでした。本研究が森林樹木の生態学的特性の理解のみならず、人為起源の窒素沈着の増加が森林の樹木とそれを食べる植食者の関係に与える影響の評価・予測につながることを期待します。
ちなみに、この論文は木登り論文第一号です(研究室HPの上部にある写真の一番左が実際の調査の様子です)。2018年に本格的に始めた成木を対象とした研究が無事に論文として公開されることになったのは感慨深いですね。
論文の掲載ページこちらです。