カロリーヌ・シオル
紀伊國屋書店
2019-04-27
マラン・マレは、1656年パリ生まれの作曲家、指揮者、バス・ヴィオール(ヴィオラ・ダ・ガン バ)奏者。貧民街で見習い靴職人の子供として生まれ、幼少の頃から音楽の才能を認められ、聖歌隊で音楽教育を受けた。聖歌隊を出た後、ヴィオールをサント=コロンブなどに師事して、名手として知られるようになった。
1676年にはパリのオペラ、そして1679年からはルイ14世の宮廷のヴィオール奏者に任命された。また作曲家としての名声も高く、後には指揮者としても成功をおさめている。
映画 めぐり逢う朝(1991年)
マレとヴィオールの師サント=コロンブとの確執を描いた音楽映画。サント=コロンブは地方に隠遁、娘マドレーヌを側に置き、ただ一人演奏に没頭する生活を続けていた。そこへ潜り込み弟子となったマラン・マレは師と違い栄華を求め、 破門されるが、それでもなお娘を通じて師の技術を盗もうとする。
宮廷音楽界の第一人者となっても師を越えられないと自覚する老マレの回想で、 いかにも中世的な暗がりや薄暮の美しさを鮮やかに捉えたY・アンジェロのキ ャメラが素晴らしい。
マレに夢中になるコロンブの娘姉妹がマレの気を引こうと胸を見せるところが目に焼き付いて離れない。それ以外の場面はほとんど忘れてしまった。