NadegataPapaのクラシック音楽試聴記

クラシック音楽の試聴記です。オーケストラ、オペラ、室内楽、音楽史から現代音楽まで何でも聴きます。 カテゴリーに作曲家を年代順に並べていますが、外国の現代作曲家は五十音順にして、日本人作曲家は一番下に年代順に並べています。

マラン・マレ(1656-1728)仏

マラン・マレ「めぐり逢う朝」

めぐり逢う朝 Blu-ray
カロリーヌ・シオル
紀伊國屋書店
2019-04-27

マラン・マレは、1656年パリ生まれの作曲家、指揮者、バス・ヴィオール(ヴィオラ・ダ・ガン バ)奏者。貧民街で見習い靴職人の子供として生まれ、幼少の頃から音楽の才能を認められ、聖歌隊で音楽教育を受けた。聖歌隊を出た後、ヴィオールをサント=コロンブなどに師事して、名手として知られるようになった。

1676年にはパリのオペラ、そして1679年からはルイ14世の宮廷のヴィオール奏者に任命された。また作曲家としての名声も高く、後には指揮者としても成功をおさめている。

映画 めぐり逢う朝(1991年)
マレとヴィオールの師サント=コロンブとの確執を描いた音楽映画。サント=コロンブは地方に隠遁、娘マドレーヌを側に置き、ただ一人演奏に没頭する生活を続けていた。そこへ潜り込み弟子となったマラン・マレは師と違い栄華を求め、 破門されるが、それでもなお娘を通じて師の技術を盗もうとする。

宮廷音楽界の第一人者となっても師を越えられないと自覚する老マレの回想で、 いかにも中世的な暗がりや薄暮の美しさを鮮やかに捉えたY・アンジェロのキ ャメラが素晴らしい。

マレに夢中になるコロンブの娘姉妹がマレの気を引こうと胸を見せるところが目に焼き付いて離れない。それ以外の場面はほとんど忘れてしまった。


51h4s2AzoUL


マレ「オーボエのための組曲集」Ob:パラメタ

クリストファー・パラメタは、1979年、カナダ、モントリール生まれのオーボエ奏者。マクギール大学で、セオドア・バスキン、ワシントン・マクレインに、ブルース・ヘインズで、マルセル・ポンセールに古楽演奏を学んだ。
 
ターフェルムジーク・バロック管弦楽団の中心メンバーとして活躍し、レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴル、ル・セルクル・ドゥラルモニー、ル・コンセール・ロラン、アポロズ・ファイアなど、世界各国のピリオド・オーケストラに客演として招かれるなど、世界的に活躍している。
 
2003年と2006年にカナダ政府からの援助を得て、マラン・マレの失われたオーボエ作品の再発見、復元のための研究を行い、その成果が世界初録音のこのCDだそうだ。
 
以上のことはHMVのサイトに書いてあったことだが、私は最初「マレにオーボエのための曲なんてあったの?」と思っていた。これだけ読むと、マレがオーボエのための組曲を書いていて、それをパラメタが発掘復元して録音したと読み取れる。
 
しかし、HMVの曲目一覧には「ヴィオール曲集より」と書いてあるので、オーボエのためのオリジナル曲ではなく、ヴィオール曲集として作曲された曲を当時オーボエ曲として書き直して演奏していたということではないだろうか。
全くのオリジナル「オーボエ組曲」ならば、「オーボエ組曲」と標記するだろう。それを「ヴィオール曲集より」と書くと言うことは、ヴィオール曲集と同じメロディということではないのだろうか。
 
その辺りがハッキリしないので、YouTubeで曲目に挙がっているヴィオール曲集と聴き比べてみようと思ったが、YouTubeにアップしてある曲がどの曲なのか分からず、ここで演奏されている曲と同じものを見つけることは出来なかった。よって、ヴィオール曲集と聴き比べることはできず、純粋にマレのオーボエ組曲として聴くしかなかった。
 
ここではバロック・オーボエで演奏されているが、モダン・オーボエと比べてあまり音色に変化がない。全くないわけではなく、ちょっと詰まったような音がするが、例えばフラウト・トラヴェルソとモダン・フルートほどの違いは感じられなかった。
 
バロック・オーボエと言われなければ気づかないかも。特徴的だったのは、③卜短調のプレリュードでトリルを吹いているのが、「プワプワプワプフアアアン」と頼りない音をさせているのが耳についたくらいだった。
 
どの曲も穏やかな気品があり、仄かな抒情味を感じさせる。メロディ主体の音楽で、同時代のバッハのような堅牢な構築性や複雑な対位法などは使われておらず、その点では親しみ易い。その一方でどの曲も同じような曲に感じられるので、BGMにはちょうどいいが、これを聴いてそれぞれの曲に感想を書くのは難しかった。
 
マラン・マレ
「オーボエのための組曲集」
①ヴィオール曲集第3巻(1711)より組曲ハ長調
②ヴィオール曲集第2巻(1701)より組曲卜長調
③ヴィオール曲集第3巻(1711)より組曲卜短調
④ヴィオール曲集第2巻(1701)&第4巻(1717)より組曲二短調
⑤ヴィオール山集第3巻(17H)より組曲変口長調
⑥ヴィオール曲集第2巻(1701)&第4巻(1717)より組曲ホ短調
(全曲世界初録音)
クリストファー・パラメタ Christopher Palameta(オーボエ)
エリク・ティンケルヘス Erik Tinkerhess(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
ロマン・ファリク Romain Falik(テオルボ)
リサ・グード・クロフォード Lisa Goode Crawford(ハープシコード)
録音時期:2014年4月17日-18日
録音場所:サン・レオン教会(パリ、フランス)

クープラン、マレー「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2013」リチェルカール・コンソート



去年(2013年)のラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンに出演したリチェルカーレ・コンソートの演奏会から。後半はクープランとマレーの曲が採り上げられた。

クラヴサンの小品を山のように書いたフランソワ・クープランだが、室内楽の組曲も書いていて、「諸国の人々」と題された4曲の組曲集がそれにあたる。以前書いたトリオ・ソナタを合奏由に編曲した物で、第1番から第4番まである。
 
第1組曲「フランス人」(トリオ・ソナタ「少女」から)
第2組曲「スペイン人」(トリオ・ソナタ「幻影」から)
第3組曲「神聖ローマ帝国の人々」(トリオ・ソナタ「スタインケルク」から)
第4組曲「ピエモンテ人」(トリオ・ソナタ「アストレ」から)

第1組曲「フランス人」の「ソナード」は、愁いに沈んだ世界だけど、それほど暗くはない。そこはかとない抒情性を感じさせる音楽で、そんな微妙な変化を楽しむ所が「フランス人」とされている所以なのかと思ったが、第2組曲「スペイン人」の「ロンド」「パッサカリア」も似た様な印象の曲だったので、各国の人柄を音楽にしたわけではなさそうだ。

って言うか、全曲聴かないと分からないかもしれない。

マレーの「サント・ジュヌヴィエーヴ・デュ・モン教会の鐘」は、ヴィオラ・ダ・ガンバのフレーズが鐘の音を模しているのがハッキリ分かる。この三拍子のパターンが曲の間中いずれかの楽器に引き継がれ、ずっと鳴り続けている。
 
ヴァイオリンがその上で物悲しいメロディを弾き続けているが、似たような短調のメロディが少しずつ形を変えながら延々と続いていく所が、緊張感があって面白かった。

③フランソワ・クープラン(François Couperin,1668~1733)
「組曲「諸国の人々」第1組曲「フランス人」から「ソナード」」
④マレー「サント・ジュヌヴイエーヴ・デュ・モン教会の鐘」
⑤クープラン「組曲「諸国の人々」第2組曲「スペイン人」から「ロンド」「パッサカリア」」
演奏:リチェルカール・コンソート(Ricercar Consort)
ソフィー・ジェント、 トゥオーモ・スニ(ヴァイオリン)
マルク・アンタイ、イーフェン・チェン(フラウト・トラヴェルソ)
フランソワ・ゲリエ(チェンバロ)
フィリップ・ピエルロ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
収録:2013年5月3日東京国際フォーラム・ホールB7
「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2013」
Ricercar-Consort_1
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