NadegataPapaのクラシック音楽試聴記

クラシック音楽の試聴記です。オーケストラ、オペラ、室内楽、音楽史から現代音楽まで何でも聴きます。 カテゴリーに作曲家を年代順に並べていますが、外国の現代作曲家は五十音順にして、日本人作曲家は一番下に年代順に並べています。

ブラームス~交響曲第2番

ブラームス「交響曲第2番」クレンペラー指揮フィルハーモニア管

Brahms;Symphonie No. 2
Klemperer
Capitol
1990-05-07

クレンペラーとフィルハーモニア管によるブラームス。オットー・クレンペラーは、1881年、ドイツ生まれの指揮者。マーラーに推薦されたことからドイツ国内の歌劇場で活躍が始まったが、第2次世界大戦を避けて渡米した。

ヨーロッパから難を逃れた指揮者達、ワルターやトスカニーニ、ライナー、オーマンディらが活躍する中で、クレンペラーは自身の健康問題や女好きから来るトラブルが原因で十分実力を発揮することができなかった。

戦後ヨーロッパに戻ってから、ウォルター・レッグの目に留まり、フィルハーモニア管弦楽団と録音する機会を得たことで復活を果たし、巨匠として扱われるようになった。

私はクレンペラーについて、マーラーの「大地の歌」の名盤があるくらいで、そんなに知っていたわけではないが、なんとなく「エンペラー(皇帝)」と思わせる名前や巨匠としての評判から、凄い人なんだろうくらいに思っていた。

しかし、晩年になっても奇行は治らず、あちこちでトラブルを起こしていた。派手な服装をした女性たちをコンサートに呼んで「オットーちゃ―ん!」と黄色い声をあげさせたりして顰蹙を買ったことなど何度もあったそうだが、他の指揮者と違って、クレンペラーは自身の女好きを隠そうともしなかったことから、次第に周囲が慣れてしまったそうだ。

またクレンペラーは自身がフィルハーモニア管との録音で評価されたにもかかわらず、レコード録音を全く信用してなかったらしい。テープのつぎはぎを「ペテン」と呼び、「録り直しをするなら最初からやり直さないと一貫性が損なわれる」と言ってスタッフを困らせたそうだ。

「ホルン奏者がちょっとばかり唇に唾がついて音が多少滑ったとしても、大した問題ではない。スタジオで録音するよりは、演奏会の演奏をそのまま録音する方がずっとましだ」こう思っていた指揮者はたくさんいただろうが、それが技術的に達成されるまでには、まだ何十年もの月日が必要だった。

ブラームス「交響曲第2番」第1楽章
50年以上も前の録音なので仕方ないが、弦が引っ込み気味で遠くで鳴っているように聴こえる。音色は鋭く、ささくれ立ってないので、埋没してしまうほどではないが、もう少し前に出て欲しい。けっこうテンポを揺らし、フレーズによって速くしたり遅くしたりしている。

盛り上がる所はアクセルを踏んでスピードアップし、静かなところではぐっとブレーキを踏んで押しとどまる。濃厚な表情付けが特徴的で、少々わざとらしい気もするが、面白さは群を抜いている。現代の演奏のような、静かな所で立ち止まり、由の奥深くに没入するような感じは全くなかった。

第2楽章
即物的と言えるかもしれないが、フレーズごとの歌には力がこもっており、抒情的な味わいもしっかり感じられる。歌い方やバランスでどのフレーズを前に出そうかとする所や、フレーズを速く歌うかじっくり歌うかの選択が思いつきでやっているように聴こえるが、演奏が充実しているので、そうじゃないと思わせてくれるのだ。

第3,4楽章
クレンペラーって「剛直」ってイメージを持っていたが、実際聴いてみると結構色彩感豊かで、多彩な表現を駆使して、面白い演奏をしていることが分かった。

ヨハネス・ブラームス
①交響曲第2番二長調op.73
録音時期:1956年10月(ステレオ)
②アルト・ラプソディop.53
クリスタ・ルートヴィヒ(メゾ・ソプラノ)
フィルハーモニア合唱団(男声合唱)(合唱指揮:ヴィルヘルム・ピッツ)
録音時期:1962年3月(ステレオ)
指揮:オットー・クレンペラー
管弦楽:フィルハーモニア管弦楽団
Symphonies Nos 1-4
Klemperer
EMI Classics
2004-01-26




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ブラームス「交響曲第2番」ドホナーニ指揮フィルハーモニア管

ブラームス:交響曲第2番
クリストフ・フォン・ドホナーニ
Signum UK
2008-08-26

交響曲第2番は2007年6月28日、ロンドンのロイヤル・フェスティバル・ホールでのライブ録音。

第1楽章
ライブ録音だからか、音が少々遠くで鳴っているように聴こえる。弦の細かい動きが小さく聴こえるので、イマイチ胸に迫ってこないが、トゥッティでの迫力は十分にあり、そこでの音量は確保されている。なので、ヴォリュームを上げるとトゥッティで大きくなりすぎるので、音量を上げて聴くわけにもいかなかった。

ドホナーニらしく、オケの音がスッキリしていて、決して重苦しく迫ってくることがない。トゥッティで思いっきり強奏してもオケの抜けがいいので気持ちよく聴こえるのだ。これはなかなか他の指揮者では味わえない、ドホナーニならではの美点だと思う。

第2楽章
テンポは中庸。早くもなく遅くもなく、音楽が滞留することもないが、猪突猛進することもない。美しく爽やかな響きが心地よいが、暑苦しく迫ってくるのもブラームスの魅力の一つなので、これをどうとらえるかで評価が変わってくる。それまでの巨匠スタイルとは一線を画した演奏はブラームス演奏に新たな光を当てたと思う。

第3楽章
スッキリとした感覚で軽やかに歌う。メロディを粘って歌ったりすることはまったくなく、サラリと受け流していくが、そこに少しの抒情性があっていい気持ちになれる。

第4楽章
一つ一つの音には非常に力がこもっていて迫力十分なのだが、どことなく醒めているというか冷静沈着というか、全体のフォルムを一ミリも崩さない所がドホナーニらしいと言えばらしいと言える。バランスの取れた正攻法の演奏だが、さすがにフィナーレは大いに盛り上がり、高らかに高揚感を歌い上げた。盛大な拍手入り。

1992年の6月にドホナーニ指揮ロンドン・フィルの公演を聴いたことがある。場所はこのCDと同じロンドンのサウスバンク・センターにあるロイヤル・フェスティバル・ホール。

①ウェーベルン「夏風の中に」
②モーツァルト「ヴァイオリン協奏曲第3番か第5番」Vnチョン・キョンファ
③ブラームス「交響曲第2番」

 その時聴いた感想もこのCDを聴いたのとほとんど同じ感想だった。スッキリした響きで軽やかに歌うブラームスで、全く暑苦しさがない響きなのに、迫力があって大いに盛り上がり、こんなブラームスがあるのか!と大感激したのを覚えている。


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ブラームス「交響曲第2番」ティーレマン指揮ドレスデン国立管

ティーレマンがドレスデン国立管と進めているブラームス・チクルス。交響曲4曲とピアノ協奏曲2曲、ヴァイオリン協奏曲が映像によって収録された。NHKでは全てBSで放送してきたが、その最後として交響曲第2番とピアノ協奏曲第2番が放送された。
 
発売されているDVDは、第1番と第3番が2012年10月22日の東京NHKホールでの公演、第2番が2013年1月24~27日、第4番が2013年4月7~9日いずれもドレスデンのゼンパーオーパーでのライヴ収録となっている。今回放送された物と同じ映像だと思う。
 
NHKで放送されたティーレマンのブラームスは大体見ていて、交響曲の演奏には良い印象を持ってなかったので、今回もあまり期待していなかった。もう見ずに済ませようかと思ったが、やっぱり世界に冠たるティーレマンとドレスデン国立管なので、見ずには済ませられない。もうこれはミーハーの業なのだ。
 
第1楽章は中庸のテンポで始められる。厳かな開始だけど、表情をつけるための工夫なのか、特定のフレーズだけテンポを上げている。音楽が盛り上がる時には特にテンポが速くなり、興奮が収まって静かな場面になるとテンポが遅くなる。
 
これがティーレマンがブラームスを演奏する時の特徴となっていて、第4番を聴いた時は、私はこれに耐えられなかった。あまりに心情がコロコロ変わる気がして、ついて行けなかったのだ。
 
第2番では第4番程の拒否反応はなかったが、それが曲の違いによる物なのか、私が「ティーレマンってこうだから」と分かっているからなのか、自分でも分からなかった。速めのテンポは急いでいる印象があって少々強引な気がするが、迫力が感じられたことも確かだ。
 
オーケストラの響きは非常に充実している。厚みがあって良くこなれている弦は、低音域はよく響き、高音域には輝きがあって、しなやかに歌っている。磨き抜かれた音と言うより、ハッキリと立った音だ。コロコロ変わるテンポの中でも表情がおざなりにならないのはよく鍛えられているからだろう。管楽器も存在感抜群。
 
第2楽章の出だしは、テンポは中庸で素直な感じがいい。第1楽章同様曲が盛り上がってくるとテンポも上がり、 トントン拍子に曲が進んでいくような感じがする。静かになるとテンポも遅くなるのも同じだが、元々静かな楽章なので不自然さは感じなかった。
 
悲劇的な感じで盛り上がる後半は、「きっとテンポを上げるんだろう」と思っていたが、ここはそのままのテンポで歌い、情感を込めたロマンチックな心情が美しかった。

第3楽章はゆったりとしたテンポで、瑞々しく、細かい所まで表情豊かに歌う。木管楽器と弦のピチカートのバランスがよく、立体感が生まれている。わざとらしさが最小限に抑えられ、素直な良さが発揮された楽章だった。

第4楽章は冒頭から快速に飛ばしていく。強力な推進力が漲っていて、迫力は十分。所によっては急かされているように感じることもあるし、静かになると途端にテンポを落とす所も相変わらずだけど、ギリギリ許容範囲内だろう。
 
コーダのアッチェランドは凄まじく、凄い勢いで圧倒的な熱狂を作り出している。確かに速すぎると思うけど、この熱狂には私も頭の血管が切れるくらい興奮させられてしまった。
 
ティーレマンの指揮ぶりは、音楽のヴォルテージ程奮闘しているようには見えない。割と冷静な感じで、しれっとして振っている。事前のリハーサルでオーケストラに指示が徹底しているからこれでいいんだろう。

ポリーにとのピアノ協奏曲第2番は、また後日に。

ヨハネス・ブラームス
「交響曲第2番」
管弦楽:ドレスデン国立管弦楽団
指揮:クリスティアン・ティーレマン
収録:2013年1月 ドレスデン国立歌劇場(ドイツ)

ブラームス「交響曲第2番」「悲劇的序曲」「大学式典序曲」I・フィッシャー指揮ブダペスト祝祭管

Symphony No.2
J. Brahms
Channel Classics
2014-11-12


イヴァン・フィッシャー指揮ブダペスト祝祭管によるブラームス。フィッシャーは1983年にこのオーケストラが創立された時からの30年以上音楽監督を続けている。創立当初は年3,4回の公演のためのオーケストラだったが、1992年に常設の楽団となった。
 
コンビを組んだ期間は長いが、Amazonで検索してもブラームスの交響曲のCDが出てこなかったのは意外だった。もう既に録音していて、今回は再録音なのだろうと思ったが、廃盤になって出てこないだけだろうか。
 
交響曲第2番、第1楽章は割と速めのテンポでさっさと進んで行く。それでもフレーズを味わい深く歌うことは忘れておらず、抒情的なところをしっかりアピールして曲の良さを感じさせてくれる。
 
メロディの後ろで鳴っているリズム音型など、ちゃんと聴こえるようにバランスを取っており、曲の構成が分かり易い。時々再現される主題のテンポが最初より速かったりして、ハッとさせられた。テンポの伸縮は大胆に行われているが、不自然にならないところがフィッシャーのセンスの良さだろう。

全体的なテンポは速いが、第1主題が再現されるところなどは、ゆっくりと心を込めて奏でられる。ずっと速めのテンポで流すのではなく、ちゃんと起伏を作っていて、音楽のメリハリがしっかりついている。何よリーつ一つのフレーズに力がこもっていて高い緊張感が維持されているのが魅力的だ。
 
第2楽章もちょっとだけ速めのテンポを採っている。なので、曲の中に没入して自分の内面をじっと見つめるような感じではない。メリハリの付け方、フレーズの歌い方で曲の魅力を表現する方法を採っている。
 
音色は現代的に明るくはなく、昔ながらの暗い雰囲気でもない。抒情的な陰影があるいい塩梅の音色で、絶妙と言ってもいいだろう。盛り上がる所ではテンポを速め、急かされるような緊張感が増して大きな頂点を築いた。
 
第3楽章はクッキリとして瑞々しい木管楽器のフレーズで始まる。穏やかな第1主題から第2部に入るとテンポが速くなって音楽全体が力を増してくる。弦楽セクションによる主題の再現も柔らかく、デリカシーのある歌い方が上手さを感じさせた。
 
第4楽章は、とても密やかな開始。直後に全管弦楽が爆発して盛り上がるが、ここでもテンポは上がらない。むしろ心持ち遅めのテンポを採っている。第1楽章から第3楽章までのパターンから考えると、どこかでテンポを上げて盛り上げるのだろうと思って聴いていたが、結局最後までゆっくりしたテンポのままだった。
 
コーダに入る前など、むしろ思いっきりタメを作ってスケール感を出している。テンポを上げるよりも、一つ一つのフレーズを力強く奏でることで緊張感を出し、最後は高らかな高揚感で締めくくられた。
 
「悲劇的序曲」は、速めのテンポで劇的に進む。強いメリハリや弦の鋭い弾き方で緊張感を高めている。打ち付ける音に込められた力は半端ではなく、この疾風怒濤の演奏には魂が揺さぶられるようだ。
 
冒頭の主題が再現されるまでの穏やかな場面は、密やかに表現したいという意図は伝わってくるが、ちょっと大人しすぎるような気がした。私が曲に馴染みがないせいでそう思うのかも知れないけど。
 
「大学祝典序曲」は、誠に立派でスケールが大きな演奏。この大学はどれだけ壮麗な学校なんだ!?って感じ。中間部での木管楽器もクッキリとして押し出しが強く、明るく晴れやかな気分もバッチリだ。
 
フィナーレは、ちょっとチャイコフスキーのスラヴ行進曲を思い出した。

ヨハネス・ブラームス
①交響曲第2番
②悲劇的序曲
③大学式典序曲
指揮:イヴァン・フィッシャー(Ivan Fischcr、1951~)
管弦楽:ブダペスト祝祭管弦楽団
Plaatpaal このCDが聴けるサイト

ブラームス「アルト・ラプソディ」「交響曲第2番」ネルソンス指揮ルツェルン祝祭管

Nelsons

今年(2014年)8月に行われたルツェルン音楽祭の開幕コンサート。NHKBSによる録画で見た。指揮は、今年からボストン交響楽団の音楽監督に就任するアンドリス・ネルソンス。オール・ブラームスのプログラムで行われた。
コンサートでは1曲目に「セレナード第2番イ長調作品16」が演奏されたが、これは見ていない。
 
2曲目は「アルト・ラプソディ」。ブラームスが1869年に作曲した曲で、ゲーテの詩「冬のハルツ紀行」に歌詞がつけられている。
 
私はこの曲をあまり聴いたことがなくて、ハッキリ言って馴染みがないんだけど、今回聴いてもあまり感銘を受けなかった。歌詞の中の「彼」が一体誰なのかがよく分からなくて、漠然と「キリストなんだろうな」と思って聴いていたけど、どうやら違うようだ。そんな聴き方だったので、結局明確なイメージが掴めずに、よく分からないまま終わってしまった。
 
交響曲第2番は、とでも面白かった。ネルソンスは、今シーズンから音楽監督に就任するボストン響と、 ドヴォルザークの第8番やブラームスの第3番をコンサートで採り上げている。どちらの曲もテンポを大きく動かし、静かな所は遅く演奏して情感を出し、激しい所は普通のテンポで迫カー杯に演奏するといった、極端な表現が特徴的だった。
 
これらの曲は手兵となる予定のボストン響との演奏だったが、今回はルツェルン祝祭管との演奏なので、手兵とやる時ほど自由が利かないんじゃないか?ネルソンスの極端なテンポ設定をルツェルン祝祭管が受け入れるんだろうか?と思っていたが、それは杞憂に過ぎなかった。
 
第1楽章冒頭のホルンによる第1主題は、とても深々として、暗い闇の中からじわじわ光が差してくるような柔らかい感触がいい。チェロによる哀愁を湛えた第2主題も、遅めのテンポを採ってゆったりと、思いの丈を込めて奏でられ、情感たっぷりだ。
 
全体的にテンポは遅めで、細部に気を配りながら進む。一つ一つのフレーズが最大限の効果を上げるように配慮しており、段々盛り上がってくるとスピードも上がってきた。
 
盛り上がる所は劇的な演奏で迫力満点だが、静かになると本当にフレーズに入り込んでじっくり聴かせている。特に第2主題が再現される所なんて、かなり遅めのテンポで抒情的なメロディが痛いほど胸に迫って来る。一旦中庸なテンポに戻るが、終わり近くになるとぐっとテンポを落として、今まで聴いたことがないようなブラームスを聴かせてくれた。
 
第2楽章は、曲調から言っても、当然遅い。しみじみとした情感を演出しているが、この楽章の中間辺りで盛り上がった他は、静かな場面が多く、テンポも自然と遅い所が多くなってしまう。濃厚なロマンチシズムは感じるが、イマイチスカッとしない楽章だった。
 
第3楽章、オーボエが吹くテーマは割と普通のテンポだけど、歌い方に気を遣っているのはよく分かる。弦の刻みが入ってくると鋭いアタックを使って、生き生きとした表情を作っている。スピードも乗ってきて、冒頭のテーマとの対比が鮮やかに提示されていた。
 
第4楽章は流石に普通のテンポで進む、と見せて、実はフレーズによってテンポを落とし、重戦車のようにどっしりと進んで行く。フレーズ毎にテンポを変えて、特徴を鮮明に浮かび上がらせているが、ここまで徹底してやると、不自然は感じない。
 
第1楽章から聴いていると「これがネルソンス流なんだろうな」という事が分かっているので、「多分ここではテンポを落とすだろう」「ここはスピード・アップだな」と言った予想が立てやすくなるのだ。それとフレーズ毎にテンポを変えても、フレーズの途中で突然テンポを変えるようなことはしないので、それも不自然さを感じさせない要因になっている。後半では、じっくり進行から、コーダで猛チャージをかけ、圧倒的な高揚感で華々しく決めてくれた。

手兵のボストン響だけでなく、ルツェルン祝祭管でもこうした極端な演奏が受け入れられていると言うことは、みんな結構こうした演奏が好きと言うことか。指揮する姿は躍動的で、表情が分かり易いので、そんな所も楽団から指示される理由の一つかも。見ていて飽きない指揮者だ。

ヨハネス・ブラームス(Johanes Brahms,1833~1897)
①アルト・ラプソディ作品53
アルト:サラ・ミンガルド(Sara Mingardo)
合唱:バイエルン放送合唱団
②交響曲第2番ニ長調作品73
管弦楽:ルッェルン祝祭管弦楽団
指揮:アンドリス・ネルソンス(Andris Nelsons)
収録:2014年8月15、16日ルツェルン文化会議センター・コンサートホール(スイス)
Sara Mingardo

第1726回N響定期公演 ノリントン指揮NHK交響楽団

ブラームス:交響曲全集 (Johannes Brahms : Complete Symphonies / Roger Norrington) [3 SACD Hybrid] [輸入盤・日本語解説書付]
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↑SWR シュトゥットガルト放送交響楽団との全集

昨日のNHKのベスト・オブ・クラシックは口ジャー・ノリントン指揮NHK交響楽団の定期公演の生中継だった。プログラムはベートーヴェンの「コリオラン序曲」と河村尚子を迎えての「ピアノ協奏曲第4番」。そして後半はブラームスの「交響曲第2番」だった。

ノリントンはロンドン・クラシカル・プレーヤーズ等の古楽器による演奏経験から、現代楽器を使ったオーケストラによる演奏でも「ピュア・トーン」と呼ばれるノン・ヴィブラート奏法を使って個性的な演奏を繰り広げている。

その反応はハッキリ言って賛否両論ではないだろうか。ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番では、オーケストラの伴奏が小ぢんまりとしていて小さくまとまっている印象を持った。ピアノの音は良く聴こえるが、オケの音がこもり気味だ。これは録音によるものか。それとも「らじるらじる」で聴いているからこんなものなのか。サントリーホールでの生中継なので音は良いと思ったのだけど。録音がイマイチなのも影響していると思うが、あまり盛り上がらなかったような気がする。

後半のブラームスでは編成も大きくなり、ベートーヴェンで使っていたピリオド楽器のティンパニィは通常の物に替えられたようだ。ブラームスではノリントンのピュア・トーン奏法が昨裂している。これが効果を上げているか?この演奏が気に入った人ならばそう言えるだろうけど、正直言って私には疑問だらけだった。これは聴き慣れてないからか?今まで聴いてきたカラヤンやショルティやベームやアバドの演奏と全くニュアンスが違っているので違和感が強いだけなのか?

人は今まで聴き慣れてきたものと違う物を聴かされると拒否反応を示すものだが、私が感じる違和感もそれなのか。それって新しいものを受け入れることができない度量の狭い人間と思われそうで嫌なのだが、かといってこのピュア・トーンに諸手を挙げて喝采を送る気にもならない。そんなに感激しなかったのだから。

ベートーヴェンの交響曲全集では作曲家が書いたメトロノーム記号を忠実に守り、かなりのハイスピードぶっ飛ばしたノリントンだったが、ここでのブラームスはあまり速くない。第3楽章だけは結構スピードを上げた演奏だったが、その他の楽章ではむしろ遅いくらいだ。弦楽器も管楽器もヴィブラートをかけないので、とても平板な印象を受ける。よく言えば平明で明るく、暗い情念の世界からブラームスを解き放ったと言えなくもないが、サッパリ髭を剃ったブラームスなんて俺が知ってるブラームスじゃない!という気もする。こってりと音に情念を込めて歌うようなブラームスが染みついていて、そのことに迫力を感じて感動してきた者としては、なんだかとっても拍子抜けだ。

フィナーレでは結構盛り上がったが、往年の名演のような圧倒的な盛り上がりではない。「うおおおおお! ! !」と叫びだしたいような魂の燃焼がないのだ。純粋なピュア・トーンによる清々しさを評価するにしても、やっぱり物足りないものが残った。

4月25日(水)午後7:00~午後9:10 (130分)東京・サントリーホールから中継

ブラームス交響曲第2番クライバー指揮ウィーン・フィル

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19911 0月にムジークフェライン・ザールで、行われたウィーン・フィルのコンサート映像。1曲目はモーツアルトの交響曲第36番「リンツ」。輪郭のハッキリした明噺な演奏。モヤモヤしたところがないので聴いていて清々しい。クライバーはあまり細かいところまで指示しない。リズムを刻むことはほとんどなく、アクセントや表情を示すだけ。リハーサルがしっかりしていればこれでもいいのだろう。

2曲目のブラームスはドイツ風のブラームスの響きとは異なっている。あまり重厚ではなく、明るい響き。録音のせいかもしれない。クライバーはウィーン・フィルと4番をセッション録音しているが、2番はしていない。演奏会で取り上げるレパートリーが極端に少なく、有名な曲でも取り上げるからには徹底的に突き詰め、完壁に納得できなければ取り上げないと言われるクライパー、2番を録音しなかったのは、4番ほど納得できなかったのではないか。2番は4番ほどの高みに達していないような気がする。

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