
新潟工科大学の大学生と出雲崎のプロジェクトを考えています。
出雲崎と言えば、
『あなた 追って 出雲崎 悲しみの日本海~ ♪』
というフレーズが思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか。
黒人演歌歌手ジェロのデビュー曲「海雪」のサビです。
10年ほど前になりますが、大変に売れて、様々な賞を受賞しました。
ジェロは、この歌で紅白歌合戦にも出ています。
今思えば、ベタな歌詞の歌が大ヒットしたのものだなと思いますが、作詞は、ビックネームの秋元康さんです。
さらに、史上初の黒人演歌歌手という企画も巧妙でした。
この、大ヒット曲「海雪」には、面白い逸話が残っています。
秋元康さんが作詞を手掛けた時点で、秋元さんは出雲崎を訪れておらず、
ジェロも曲の公開当時は冬の日本海すら見たことが無かったためカリフォルニアの海を
イメージしつつ歌ったというのです。
つまり、ステレオタイプな日本海ならばどこでもよい歌と言ってしまってよさそうですが、
のちに、ジェロは出雲崎町にて「ご当地コンサート」を開いたそうです。
紅白に出場するほど大ヒットしたために、町おこしで地元に呼ばれ、
「海雪」もご当地ソングに追認されたのかもしれません。
出雲崎のアイデンティティについて考えると複雑な気分です。
さらに、時を350年ほどさかのぼると、江戸時代に松尾芭蕉が、
「荒波や佐渡に横とう天の川」を出雲崎で詠んだとされています。
この俳句も出雲崎の風景を写実的に詠んだものかどうか定かではないようです。
出雲崎には、元禄二年七月四日に訪れており、この句は、元禄二年七月七日に、直江津で披露されました。
『荒波や~』と始まりますが、天候の記録を見るとそれほど波が高かったのか疑問です。
少なくとも北西の風が吹きつける冬ではありません。
以前から作ってあった句を直江津の句会で披露したのではないかという説もあるようです。
350年以上の時を経て、二人のビックネームに虚構のイメージでうたわれていたとすれば、
背後にある構造が根深いようです。
もちろん、出雲崎が特別であるとは思っていません。