某誌の最新号で、下記、西小山の続報が目に留まる。

完成目前で確認済み証偽造が発覚、解体・再設計へ


確認済証の偽造が原因となり、まちづくり事業者の損害は2億円を超えるらしい。

確認済証を偽造した方は、そもそも建築士免許が無いため、建築士法の処罰対象にならず、損害賠償請求をされても支払い能力が無いから支払う気が無いようだ。

さらに驚くべきことに、別会社で、先頭に立って同種の仕事をバリバリしている。

需要があるのだ。とんでもない事故だが、仕事を頼む側の認識不足にも原因はあるように思う。

 

被害にあってしまったまちづくり事業者の初動に、その認識不足がうかがえる。

コンテナを活用した施設をつくりたいと、コンテナ製造会社に相談していることだ。

先ず、建築士事務所に相談すれば起こりえない事故だと思う。

被害にあってしまったまちづくり事業者は、規模が大きく損害の影響は軽微とのことで、その点は幸いだ。しかし、大きな会社でその認識不足はどうしたことか。

 

ひとつは、まちづくり事業の性質の問題が思い当たる。まちづくりの手法として古い建物を改装して用いるリノベーションがある。古い建物が多く残る市街地等で期待される手法ではあるが、規制緩和もありDIY+αで、専門家が関わる必要なく進められる範囲が拡大している。こうしたまちづくり事業の延長で、コンテナを並べてまちづくりしようと、専門家を通り越してコンテナ製造会社に相談したのではないだろうか。

 

もうひとつは、我々専門家の発信力不足が思い当たる。まちづくり系プロジェクトでは、さまざまな主体がかかわるため、専門家は影に隠れがちである。建築物それ自体の彫塑的性質よりも、そこで起こる出来事が重要であるから、むしろそのくらいが喜ぶべき状況なのだが、折に触れて存在を現す必要がある。

事故が起こる起こらないの問題にとどまらず、企画の射程が伸びていく。
文字通り、コンテナで何か作っているだけでは、つまらない。