カテゴリ: 工事の風景から
黒皮鉄の遮音壁

新潟県上越市の設計事務所ナカノデザイン一級建築士事務所の中野です。
リフォーム工事のなかで、隣接する工場の稼働音をさえぎるための
遮音工事を要望されました。
一般的な遮音は、石膏ボードの上に、遮音ボードを張ったのですが、
工場側の重要な壁面は、厚みのある壁面収納壁とし、表面に鉄板を張ることで、
遮音性能を、目に見えるカタチにする事を試みました。

表面の鉄は、鉄の素地の素材感を楽しめる、黒皮鉄を選びました。
既存の古い無垢梁や柱とのデザイン的な相性も考慮しています。
通常は、この上に錆び止めや塗装を施す素材をそのまま仕上げとするので、
工場で事前に素材を確認します。

鉄工所で加工後に、塗装工場に運び、ウレタンクリア塗装を施します。

搬入には、十分な、養生をお願いしています。

施工作業も、十分な注意をお願いしました。

スイッチプレートも、黒皮鉄です。細かいポイントにこだわったことで、
木造の建物の中に、厚い鉄の壁が挿入されたようなデザインが実現しました。

なお、遮音壁としてではなく、楽器を演奏するときの反響板としても効果を
発揮しました。
黒皮鉄の防音壁のあるリフォーム竣工写真
7年後、手を付けなかった和室のリフォーム工事を承りました。
糸魚川のリフォーム工事竣工写真
ナカノデザイン一級建築士事務所
自然の中から材料を選びとる感覚?

木造住宅の、床や天井の構造用下地材として使われることが非常に多い、
針葉樹合板。
普段は、隠れてしまう材料ですが、あえて見せるデザインとして使う事を試みてきました。


本来見せない材料のため、自然の素材そのもので、見た目は意識されて作られていません。
そんな合板の山の中から、見せて使う材料をより分けていきます。
すると、ハッとするような美に出会うこともあり、感動があります。
あえて自然の木の中から、床柱を選ぶような感覚に近いものを感じます。
最近、木の家は、整った製品としての木材を集めて構成 されることが多いわけで、
そこには、設計者の目で自然の中から材料を選びとる前に、材料市場のなかでの
選別があります。
大げさかもしれませんが、感動とともに、針葉樹合板のより分けは、
自然のなかから材料を選びとる貴重な要素があるように感じました。
ご協力いただいた、施工者と材木資材会社の担当者の皆様ありがとうございました。
