シーソーモンスター (単行本)
伊坂 幸太郎
中央公論新社
2019-04-05


出会ってはいけない二人が出会ったとき、世界の均衡は崩れ、物語は暴走する――
【時代をまたいで疾走する、エンターテインメント小説2篇! 】
我が家の嫁姑の争いは、米ソ冷戦よりも恐ろしい。バブルに浮かれる昭和後期の日本。一見、どこにでもある平凡な家庭の北山家だったが、ある日、嫁は姑の過去に大きな疑念を抱くようになり……。
(「シーソーモンスター」)
突然、僕は巻き込まれてしまった。時空を越えた争いに――。舞台は2050年の日本。ある天才エンジニアが遺した手紙を握り締め、彼の旧友と配達人が、見えない敵の暴走を前に奮闘する!
(「スピンモンスター」)

「螺旋プロジェクト」の一作です。朝井さんの新刊を読んだとき、このプロジェクトを知らず戸惑いましたが今回は大丈夫でした^^;伊坂さんは2つの時代を書かれたんですね。
1つは1990年前後なのかな。嫁姑の争いがあってきっと海のものと山のものの2人だからうまくいかないんだろうなと軽く考えていたのですが^^;もっと複雑なバックグラウンドがありました。いやー予想外だった。面白かった。近すぎると上手くいかなくても少し距離を置くだけで上手く行ったりすることもありますから、これで良かったんでしょうね。それで共作までして後世まで残る絵本を作り上げるんだから凄いですよね^^
そしてもう一つの舞台は2050年。60年後にその絵本がみんな知っているものになるなんて。更に嫁姑問題のその後まで分かるとは思いませんでした^^;
配達人の水戸が巻き込まれて、一体どうなってしまうんだろうとドキドキしながら読みましたが、あの結末は哀しすぎました。「フーガはユーガ」や「死にがいを求めて生きているの」を読み終えた後と同じような感覚になりました…。この2つの一族の争いは終わることはないのでしょうか…。全部読むのは大変だけど結末だけは知りたいな…とも思いました。

<中央公論新社 2019.4>2019.6.6読了