「思い出のとき修理します」シリーズの著者が贈る、優しくも愛おしい物語
忘れていた幸せの味、思い出してみて。子供のころの記憶に苦しむOLや、父の再婚に悩む少女──
迷える人々の心を、絶品サンドイッチが癒やします。
大阪の靱公園にある『ピクニック・バスケット』は、開店して三年を迎える手作りサンドイッチの専門店。蕗子が、姉の笹子──笹ちゃんのこの店を手伝いはじめて、半年になる。
笹ちゃんは店を訪れた人たちの、具材への思いや記憶、そして物語をやさしくパンにはさんで、誰が食べてもなつかしいような新しいような、そんなサンドイッチをつくっているのだ……。
おっとりした姉としっかり者の妹、店を訪れる個性的な人々──常連客の小野寺さんやパン職人の川端さん──が織りなす、優しくも愛おしい物語。

笹子さんが作るサンドイッチ、どれも美味しそうです。笹子さんがお客さんの事を想って作っているから、優しい味がするんですね。
玉子が嫌いな2人のOL。父の再婚相手を笹子だと思って敵意を向ける少女。常連小野寺さんのコロッケの思い出。そして笹子と蕗子の思い出のカレー。
笹子は色んな思い出をサンドイッチに込めて作ります。
著者さんが書かれる作品はいつも温かくて優しいです。
みんなが相手の事を想い合っていますよね。それが素敵。
蕗子も自分は必要ないんじゃないかなんて悩んでいましたけど、そんな必要はないですよね。笹子が蕗子を誘ったんですから。
それに、蕗子は笹子に良い相手をと言って小野寺さんや川端さんはどうかと想像してましたけど、蕗子は鈍いですよねー。読んでいるだけで分かりましたけど。
そこら辺の展開も想像しつつ、温かい気持ちで読み終えました。

<KADOKAWA 2019.5>2019.6.28読了