2013年04月
発熱4日間、喘鳴もあり救急外来受診するも息苦しさがとれないため受診した30代の患者さんです。胸部に喘鳴がきかれレントゲンでは右下肺野に浸潤影をみとめCRP 4.8 mg/dl WBC 12,200 イムノカ-ドマイコ陽性の結果からマイコプラズマ感染のため喘息発作が誘発されたと考えてメプチンの吸入とネオフィリンの点滴静注、オゼックとユニフィルを処方しました。翌日より解熱喘鳴も改善傾向、咳もほとんどなくなったため5日間服用のみで受診がありませんでした。2週間後咳が完全にはとれないため再受診、オゼックスをさらに10日間処方しました。確認の検査ではマイコプラズマIgM陽性・クラミジアIgM(+)(インデックス4.07)と判明、混合感染による肺炎と診断しました。抗生物質5日間のみの服用では十分抑えきれないようです。
2013年04月27日
2013年04月25日
2013年04月24日
2013年04月23日
潰瘍性大腸炎(UC)の粘膜病変です。正常部分と病変部の境界がはっきり分かれていてRS(直腸からS字結腸の移行部)より口側は全く正常粘膜、直腸粘膜は細顆粒状で粘液の付着や出血斑が部分的にみられ軽症のUC像です。初期治療から約1年半後にわずかな血便・下痢をみとめCFを施行した時の粘膜所見です。UCの経過は初回の発作のみで症状がないもの(初回発作型) 20%、良くなったり悪化したりを繰り返すもの(再燃寛解型) 50~70%、血便・下痢が改善せず続くもの(慢性持続型) 5%に分かれます。完治が少ないので厄介な疾患です。直腸のみに限局は40~50%ですが、発症後5年程度で口側に病変が拡大するものが30%あり、そのうちの10%が全大腸型に移行するとの報告がなされています。
2013年04月21日
2013年04月20日
***発熱(38~39゜C)14日以上、経過中に発疹(7日目より出現小斑状:写真左→翌日より丘疹様:写真右)、リンパ球優位(約80%)、肝機能障害(GOT326、GPT280)が特徴の10代の患者さん(伝染性単核球症の既往がある)。EBウイルスVCA・IgG 320倍、VCAIgM (-)、EBNA 10倍の結果当初EBウイルス感染症の再発or再燃と考えました。肝機能は2週間後改善(GOT 35、GPT 29)しましたが、発熱・発疹は続いていたため診断治療等を目的に入院紹介しました。イムノカ-ドマイコ迅速検査は陽性でしたがマイコIgMは陰性、胸部に陰影(左下肺野横隔膜シルエット)がみられマイコの確認・クラミジアの検索を進めました。再検ではマイコIgMが陽転。 マイコプラズマ感染症はきわめて多彩な症状をとることが知られていて肝機能障害・伝染性単核症様症状・高熱の持続・発疹の出現などが随伴症状として良くみとめられます。
| 1st | 2nd |
イムノカ-ド | + | + |
マイコIgM | - | + |
なおクラミジアIgMも陽性、インデックス10.68でした。マイコとの混合感染を考えます。
2013年04月16日
2013年04月15日
高熱が続いて3日目に受診したブラジルから帰国した患者さんです。39~40゜Cの高熱、頭痛、眼窩部痛、筋肉痛、全身の痛みとだるささらに強いノドの渇きを訴えていました。血液検査では赤血球数・Htが高く、同時に肝機能の異常がみとめられました。BUN 17mg/dl と正常で、デング熱による血液の濃縮と考え補液 1,000mlを連日施行しました。解熱傾向がみとめられた4月12日全身に斑状の発疹が出現、 4月13日には融合して紅皮症のようになりましたが口渇・全身倦怠感・食欲等は回復し点滴を終了しました。保健所経由で確認していただいた血液のPCR検査にてデングウイルス4型(4種類 の血清型あり)が検出されました。デンクウイルスは日本脳炎と同じフラビウイルスに属し、ネッタイシマカ・ヒトスジシマカによって媒介されることが知られています。血小板減少によって出血がみられる時は重症でデング出血熱として警戒されています。この例ではショックに陥ることもなく快方に向かったので何よりでした。
| 4/9 | 4/10 | 4/12 | 4/15 |
RBC/WBC | 634/6200 | 610/3500 | 633/3700 | 634/5600 |
Ht | 56.2 | 53.4 | 55.3 | 55.2 |
PL | 15.2 | 15.7 | 19.8 | 18.8 |
GIOT/GPT | 115/154 | 108/150 | 147/128 | 164/139 |
TP | - | 6.9 | 6.4 | 7.4 |
CPK | - | 1002 | 2000↑ | 2000↑ |
2013年04月14日
2013年04月13日
2013年04月12日
2013年04月11日
エコ-ウイルス感染症とロタウイルス感染の合併と考えたい幼児。高熱と発疹があって川崎病等疑われていました。発疹は斑状で滲出性紅斑様、ウイルス感染とくにエコ-ウイルス等でみられるものに似ています。エコ-11の抗体価(HI)は8倍→64倍でした。40゜Cの発熱と腹痛のため救急車にて病院受診、川崎病等疑われ検査受けるも異常をみとめず帰宅、3日目に解熱せず嘔吐頻回(10回)のため当院を受診。全身に写真のような発疹が出現していて、GOT 117 GPT245 尿酸8.4mg/dl、WBC 14,000、 便の細菌ウイルス検査にてロタウイルス陽性(エルシニア菌陰性)でした。脱水症状をみとめたため同日より3日間1日1,000ml補液を施行。発疹は2日後には消褪傾向、GOT 91 GPT 144 と肝機能も改善、発熱はさらに4日間(有熱期間は計7日間)続きましたが 1週間後にはGOT 33 GPT 61 尿酸 4.6mg/dlと改善しました(マイコプラズマ・サイトメガロ・EBウイルス・B型肝炎ウイルスはともに陰性でした)。以上の経過・検査結果から高熱と発疹はエコ-ウイルス11型、途中からの嘔吐・脱水はロタウイルスが主な原因と診断しました。
2013年04月10日
胼胝・鶏眼にもみえないことはないのですが、表面が細かく粒状にごつごつして疣贅の特徴がでています。足にできたものは体重がかかるため手指のものほど隆起しません。歩行時、あたって痛みがあるために受診した幼児、切除を希望していましたが、鶏眼のようにすっきりとることができず効果は期待できまません。ヒトパピロ-マウイルスの直接感染もしくはスリッパなどを介した間接的な接触感染が原因と考えられています。1つの疣贅のまわりに何個も疣贅ができることもあり、こうなると有効な治療法がなく、免疫が成立して自然に治癒することを待つことになりますが、数年に及んで改善しないこともあり、専門の皮膚科もしくは形成外科に紹介することになります。
2013年04月09日
2013年04月08日
前日より38~39゜C台の発熱・咳があるため受診した学童、インフルエンザ迅速検査でB型が陽性でした。解熱剤・鎮咳剤の投与のみで安静を指示したところ、解熱せず喘鳴がみられるようになり咳もひどくなったため3日後再受診、乾性ラ音・湿性ラ音を胸部に聞くことができ、レントケ゛ン写真で左右下肺野中心にわずかに浸潤影と線状小斑点状陰影をみとめました。CRP 0.3mg/dl WBC 4,100 と細菌感染の可能性は少なく、メプチンの吸入・ソルコ-テフ100mgの点滴を施行、ホクナリンテ-プを処方して改善を待ちました。2日後解熱、咳・喘鳴は続きましたが1週間後には諸症状が消失しました。(左上葉に粘液栓様の陰影をみとめる)。
2013年04月07日
左右対称的に小さな点状出血が散在、同時に"打ち身"のあとのような境界が不鮮明な大きな紫斑をみとめます。2日前より下腿に出現、数が増えてきたため受診した20代後半の患者さんです。上腕にも"あざ"のような紫斑が左右に3~4ヶみとめました。血小板減少性紫斑病(ITP)・白血病もしくは血管性紫斑病などが考えられます。採血検査で本来14~15万以上なければいけない血小板がわずかに1,000ヶ 白血球は6,500 赤血球は450万の結果、ITPしかも不測の脳内出血の確率もあるため、専門の施設に搬送しました。血小板輸血等が直ちに必要な状況です。ITPは10才以下のこどもに比較的多い疾患ですが、成人にもみとめられます。こどもでは急性型が多く治癒しやすいですが、成人では遷延して慢性に経過、寛解しずらいのが普通です。ピロリ-菌との関連性も指摘されていて除菌が有効なことがあります。(右下:血小板とリンパ球)