2020年12月
2020年12月05日
約5ヵ月前より微熱 ときに高熱がみられるようになり改善しないため10月19日に受診、採血(CRP6.2mg/dl,WBC 7,500)胸部レントゲン(左下肺野すりガラス様陰影)の結果から、肺炎と考えオゼックスを10日間投与、解熱したため(CRP3.8mg WBC 10,950,)治療を終了。服薬終了2週間後より夜間38゜C台の発熱があり再受診(CRP3.8mg/dl WBC 10,060 )、ジェニナックを処方したが全く反応せずCRP6.0mg/dlWBC 8,480と改善傾向がみられないため専門病院に紹介しました。
胸部レントゲンでは初診時(写真下)大動脈弓部に変化はないと判断しましたが約1ヶ月後の写真では大動脈弓部に接して半球状の陰影があり発熱の経過を含めて精査を依頼したところ、後部縦隔の腫瘍(神経鞘腫?)との返事をいただき、内視鏡的摘出手術予定とのことでした。
2020年12月04日
大量の便塊により直腸が拡張(小児で3cm以上)、正常な排便できない状態を便塞栓といいます。排便が1日5~7回(コロコロ便、液状便)を繰り返し、前日腹痛にて夜間横になることができず、経口摂取もしなくなり元気がなくなってきたため受診した幼児です。下腹部は極端に硬く膨隆して、腹部単純写真にて骨盤内にガス像をみとめずエコ-検査で直腸が便塊?で充満しており直腸径は6.2cm(直腸は実は右に偏位?中央は腫瘍?)に拡張していました。グリ浣 30ml施行するも全く反応せず重症のためdisimpaction(便塊を完全に取り除くこと)の適応と考え病院を紹介しました。ただ浣腸時便塊に当たった感覚がなかったこと、エコー内部の構造が硬く固まった宿便としては違和感があることさらに腹部の膨隆が便秘としては不自然で後腹膜腫瘍等の可能性がありあらためて精査が必要です。左腸骨の石灰化(右より白く楕円形にみえる)も気がかりな所見です。膀胱由来の横紋筋肉腫とのことで化学療法開始、縮小後手術予定とのこと[評価]腹部膨隆が強く速やかに正確な診断することと的確な治療がなされることが肝要。
2020年12月03日
2020年12月01日
夜間排尿後より突然左側腹部に激しい痛みが出現(腹痛のあとに凝血塊+血尿を排出)、歩行やっとの状態で受診した40代の患者さんです。左腹部は強い圧痛をみとめましたが、血圧脈拍体温は正常でした。もともと腎臓に嚢胞が多発していて、この嚢胞の一部が出血したものと診断、救急搬送しました。
[評価]多発性嚢胞腎は常染色体優性遺伝でこの患者さんにも家族内発生があります。腎機能の低下は進行性、腎臓自体も腫大し大きくなるにつれさらに低下、透析が必要になります。肝膵嚢胞や脳動脈瘤などの血管病変(くも膜下出血、頭蓋内出血etc)腎出血などの合併症、腎嚢胞に感染を繰り返したりするため経過観察が重要です。出血が腹腔内に及ばない嚢胞内出血であれば安静等の保存的治療で対応することになります。
[欄外]最初紹介した病院泌尿器医から嚢胞腎は専門でないため受け入れられないとの返事、ちょっと仰天しました。
[評価]多発性嚢胞腎は常染色体優性遺伝でこの患者さんにも家族内発生があります。腎機能の低下は進行性、腎臓自体も腫大し大きくなるにつれさらに低下、透析が必要になります。肝膵嚢胞や脳動脈瘤などの血管病変(くも膜下出血、頭蓋内出血etc)腎出血などの合併症、腎嚢胞に感染を繰り返したりするため経過観察が重要です。出血が腹腔内に及ばない嚢胞内出血であれば安静等の保存的治療で対応することになります。
[欄外]最初紹介した病院泌尿器医から嚢胞腎は専門でないため受け入れられないとの返事、ちょっと仰天しました。