抗アレルギ-薬消化性潰瘍治療薬

March 25, 2012

脂質異常症(高脂血症)治療薬(1)(2)

高脂血症とは血清のコレステロ-ル・中性脂肪(TG)が増加、そのため動脈硬化等血管の変性が進行する病態で、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などの危険因子になります。またHDL-コレステロ-ル(善玉コレステロ-ル)が低い場合も動脈硬化性疾患のリスクを高めるため、これらを併せて脂質異常症と定義しています。脂質異常症の治療薬は血清コレステロ-ルやTGを低下、HDL-コレステロ-ルを上昇させて動脈硬化性疾患の予防または治療することを目的に開発されてきました。種類はたくさんありますがその中から代表的なものを最小限採用して処方しています。

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**高TG血症:血清TGが高くなるとsmall dense LDLやレムナントの増加、血液凝固線溶系の異常、HDL-Cの低下をもたらし動脈硬化を進展させる変化が起きる。
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血清脂質と薬剤・食事等について

 

病型

増加するリポ蛋白

   血清脂質

コレステロ-ル

中性脂肪

治療法 

 

カイロミクロン

  →

 ↑↑↑

脂肪制限

 

Ⅱa

LDL

 ↑↑

  →

低コレステロ-ル食、スタチン、陰イオン交換樹脂、エゼチミブ、ニコチン酸系、プロブコ-ル

 

Ⅱb

LDL,VLDL

 ↑↑

  ↑

低コレステロ-ル食、アルコ-ル、糖質制限、フィブラ-ト系、スタチン、エゼチミブ、プロブコ-ル、ニコチン酸系、EPA製剤

 

レムナント(IDL)

  ↑

  ↑

Ⅱb型の食事療法、フィブラ-ト系、スタチン

 

VLDL

  →

 ↑↑

カロリ-・アルコ-ル・糖質制限、フィブラ-ト系、ニコチン酸系、EPA、デキストラン硫酸

 

カイロミクロン・VLDL

 ↑↑

 ↑↑↑

カロリ-・アルコ-ル・糖質・脂肪制限、フィブラ-ト系、ニコチン酸系、EPA製剤

 

 

スタチン

コレステロ-ル合成の律速酵素を阻害して、肝細胞内のコレステロ-ルを減少させると同時に血中からのLDLコレステロ-ル(悪玉コレステロ-ル)の取り込みを促進して、強力なコレステロ-ル低下作用を持ちます。


スタチンの種類
スタチン比較

*リピトール、リポバス、クレストールの3つをストロングスタチンと呼びコレステロール低下作用は他のスタチンより強力。


メバロチン5mg[特徴]成分はプラバスタチン、わが国で開発された国産初のスタチン製剤、水溶性で肝細胞選択性が高い。[用量・用法]10mg、1回または2回に分服、1日20mgまで増量可[適応疾患]高脂血症、家族性高コレステロ-ル血症[禁忌]妊婦・授乳婦[副作用]発疹、下痢、横紋筋融解、肝障害、ミオパシ-、末梢神経障害、間質性肺炎など[注意]1日1回の場合は通常夕食後
リピト-ル10mg[特徴]成分はアルバスタチン、血中半減期が長く、強力なコレステロ-ル低下作用、脂溶性[用量・用法]1日1回10mg 、1日20mgまで 家族性は1日40mgまで増量可[適応疾患]高コレステロ-ル血症、家族性高コレステロ-ル血症[禁忌]肝機能低下、妊婦、授乳婦[副作用]GOT・GPT・GTP上昇、掻痒感、発疹、アミラ-ゼ上昇、嘔吐、下痢、胸やけ、便秘、胃部不快感、横紋筋融解症、ミオパシ-、劇症肝炎・肝炎、汎血球減少、血小板減少、皮膚粘膜症候群、多形紅斑、高血糖、間質性肺炎
クレスト-ル2.5mg[特徴]成分はロスバスタチンカルシウム、LDL-C の低下作用HDL-Cの増加作用が強い[用量・用法]1日1回2.5mgで開始、早期にLDL-Cを低下目的では5mg.4週以降効果不十分には10mgまで、家族性高脂血症には20mgまで増量可[適応]高コレステロ-ル血症、家族性高コレステロ-ル血症[禁忌]肝機能低下(急性・慢性肝炎の急性増悪、肝硬変、肝がん、黄疸)、妊婦、授乳婦[副作用]横紋筋融解症、ミオパチ-、肝炎、肝障害、黄疸、血小板減少、過敏症、間質性肺炎、末梢神経障害、多形紅斑‣筋肉痛、掻痒感、発疹、じんましん、腹痛、便秘、下痢、嘔気、無力症、CPK上昇、頭痛、浮動性めまい、腎機能障害、蛋白尿、膵炎など

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フイブラ-ト系薬剤

細胞核内の受容体PPARαを活性化、リポ蛋白リパ-ゼ・肝性トリグリセライドリパ-ゼ活性を高め、各種リポ蛋白の異化を促進して、肝臓における脂肪酸の合成を抑制します。同時にアポ蛋白の合成を促進、HDL-C(善玉コレステロ-ル)を上昇させる働きがあります。

ベザト-ルSR200mg[特徴]成分はベザフィブラ-ト、高脂血症のなかで中性脂肪が上昇コレステロ-ルが正常か経度上昇しているⅢ・Ⅳ型に第一選択薬、腎臓から排泄される徐放製剤、腎機能に考慮[用量・用法]1回200mg1日2回食後腎機能低下者・高齢者は減量[適応]高脂血症[禁忌]肝障害、腎障害(Cr2.0mg/dl以上)、胆嚢疾患、妊婦・授乳婦[副作用]筋痙攣、筋肉痛、腹痛、嘔気、下痢、発疹、腎障害、胆石、味覚異常、勃起不全、口内炎、横紋筋融解症、アナフィラキシ-、肝障害・黄疸、皮膚粘膜症候群等
リピディルカプセル100mg[特徴]成分はフェノフィブラ-ト、核内受容体PPARαを活性化して血中中性脂肪を低下、善玉コレステロ-ルを増加させる。[用量・用法]1回100mg 1日1回食後、空腹時は吸収が悪い[適応]高脂血症[禁忌]肝障害、中等度以上の腎障害(Cr2.5mg/dl以上)、胆嚢疾患、妊婦・授乳婦[副作用]肝機能異常、CK上昇、胆石症、抗核抗体陽性、倦怠感、浮腫、多形紅斑、嘔気嘔吐、胸やけ、勃起障害、横紋筋融解症、膵炎等[注]尿酸排泄作用もあり高尿酸血症を伴う高脂血症に有効。
パルモデイア錠0.1mg[特徴]成分はペマフィブラ-ト、核内受容体PPARα活性化作用が最強、強力なTG低下作用[適応]高脂血症[禁忌]重篤な肝障害、胆道閉塞、中等度以上の腎障害(Cr2.5mg/dl以上)、胆石、妊婦[用量・用法]1回0.1mg 1日2回、最大1回0.2mg1日2回まで[副作用]横紋筋融解、胆石症、AST・ALT・CK上昇、糖尿病、尿酸増加[注]定期的な肝機能検査


ニコチン酸系薬

脂肪細胞から脂肪酸遊離を抑制し肝でのVLDL合成抑制とリポ蛋白リパ-ゼ活性を高めてVLDL-TGの加水分解を促進して中性脂肪を低下させ、コレステロ-ルの排泄促進や善玉コレステロ-ルを増加させるはたらきを有しています。

ユペラN100mgカプセル[特徴]成分はトコフェロ-ルニコチン酸エステル、微小循環系賦活作用や脂質代謝改善作用がある。[用量・用法]1回100~200mg1日3回[適応疾患]高血圧に伴う随伴症状、高脂血症、閉塞性動脈硬化症に伴う末梢循環不全[副作用]肝障害、食欲不振、発疹、下痢、便秘、温感、潮紅、顔面浮腫等[注]もっぱら末梢循環改善に使用している。

イコサベンタ酸エステル(EPA)

 肝でのVLDL(リポ蛋白のひとつ)合成を抑制、中性脂肪(TG)を低下させる働きがあります。高純度の魚油から作られた日本独自の薬剤で、冠動脈疾患に対する予報効果がみとめられています。

エバデ-ル300mgカブセル[特徴]高純度のEPA製剤、血小板凝集抑制、高脂質低下、動脈の伸展性保持作用を持つ。[適応疾患] ①閉塞性動脈硬化症による潰瘍・疼痛・冷感の改善②高脂血症 [用量・用法] 1回600mg 1日3回毎食後 、高脂血症の場合1回900mg 1日2回[副作用]発疹、掻痒感、悪心、下痢、腹痛、胸やけ、肝障害、出血、咳、呼吸困難など[注]大きな副作用がなく処方しやすいが、1回量が多いのがやや難。

コレステロ-ルトランスポ-タ-阻害薬

コレステロ-ルは肝臓で合成されるものが80%、食事摂取により小腸から吸収されるものが20%とされています。スタチンはコレステロ-ル合成を阻害してコレステロ-ルの低下を図りますが、小腸からコレステロ-ルの吸収を阻害する働きをもつ薬剤が開発され、使用されるようになってきています。スタチンで十分な効果が得られない高脂血症に併用することによって有効に働きます。

ゼチ-ア10mg[特徴]成分はエゼチミブ、小腸でのコレステロ-ル吸収を阻害[用量・用法]1回10mg1日1回[適応]高コレステロ-ル血症、家族性高コレステロ-ル血症、ホモ接合体シストロ-ル血症[副作用]過敏症、横紋筋融解症、肝障害‣便秘、下痢、腹痛、腹部膨満、悪心嘔吐、ALT・γ-GTP上昇、発疹など[注]スタチンに併用することが多い。

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(高不飽和脂肪酸)
ロトリガ粒状カプセル2g/包

[特徴]オメガ-3脂肪酸エチル、2g中EPA930mg,DHA750mg含有[適応疾患] 高脂血症 [用量・用法] 1回2g 1日1回、食直後 TG高値:1回2g1日2回まで増量可 [副作用]肝障害、黄疸、発疹、薬疹、高血糖、めまい、頭痛、鼻出血、下痢、嘔吐等[禁]出血
パルモディア錠0.1mg[特徴]核内受容体PPARγ活性化作用が最強、強力にTGを低下させる[成分]ペマフィブラ-ト[適応疾患]高脂血症(家族性を含む)[用量・用法]1回0.1mgを1日2回投与、1回0.2mg1日2回まで可[副作用]横紋筋融解症(筋肉痛・脱力感・CPK上昇・ミオグロビン上昇)、胆石症、GOT・GPT・CK上昇、糖尿病、尿酸増加など[禁忌]重篤な肝障害、胆石、妊婦[注意]TGを30~42%sLDLを15%低下させる。 


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                    (パンフレットより)




脂質管理目標

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高脂血症薬の効果の比較

高脂血症薬比較


スタチン使用時の注意点

   ① スタチン開始前にCPKと肝酵素を測定する。
   ② 筋肉痛・筋力低下等の筋症状を確認する。
   ③ スタチンのLDL-Cに対する効果は数週間で現れるので開始後や投与量薬剤変更後6週間程度で効果判定のための脂質検査を行う。


特別な配慮が必要な患者層  

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nagasawanorio62 at 18:03│ 高脂血症・痛風 | 高脂血症(2)
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