こどものくすり

当診療所の外来で処方される"こどものくすり"について解説します。 院内で使用するこども用の注射薬・ワクチン等についても説明します。

小児の薬用量



 おとなの薬用量をそのままこどもに適応することはできません。こどもではおとなの薬のように大規模な治験を実施することは不可能です。こどもの薬の投与量はからだの大きさ(体表面積)、からだの水分量(体水分率)、肝臓での薬剤代謝(チトクロムP450活性)や腎機能(生後6ヶ月以降成人とほぼ同等)を考慮しながら主に体表面積に基ずく投与量(Augsbergerの計算式から算出)を経験的に安全に使用できる有効なこどもの薬用量と考えて使用しています。

 ①            Augaberger Ⅱ式(2歳以上の小児)
        
             小児薬用量 = 成人量 X (年齢×4+20)/100


                    Von Harmack の換算式(より簡便)

新生児

3ヶ月

6ヶ月

1歳

3歳

7.5歳

12歳

成人

1/20~1/10

1/6

1/5

1/4

1/3

1/2

2/3

1

                 

 ②多くの小児科医はこどもに頻用する薬剤については体重あたりの用量を記憶して処方量を決定しています。

                          
                       
         1 カロナ-ル 1回 10~15mg/kg     屯用
                     
         2 メイアクト  1回 3mg/kg              1日3回 

   
(実際にはこれをさらにシロップ、ドライシロップの量に換算して使用、こどもの病状・投薬の誤差等を考慮するため多少増減があります。)


軟膏類・保湿剤・AD

アトピ-性皮膚炎にかぎらずこどもの皮膚病変(湿疹・かぶれ・カンジダ等)は日常よくみられ、お母さん達を悩ませることのひとつになっています。原因・用途に対応して軟膏等にはいろいろな種類があります。ここでは外用薬について解説します。

ステロイド外用剤

湿疹・かぶれ・アトピ-性皮膚炎等に効果的な軟膏です。指示にしたがって使用する限り、副作用はほといどみとめられないので、安心して使えます。副作用の多くは同じ部位に長期間塗布した場合におこる皮膚の変化(皮膚萎縮、毛細血管拡張、紫斑、出血斑、にきび、多毛など)です。通常の使用で全身への副作用は起こりません。ステロイド外用薬を過剰に怖がる必要はありません。
使用するステロイドの強さで、最強・比較的強・中等度・弱め・弱に分かれます。比較的強(very strong)~中等度(strong)のステロイド剤が効果が良く、適応も広いためもっぱら汎用しています。

steroidpoint


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steroid

ロコイド軟膏5g [特徴]やや弱、主成分ヒドロコルチゾン酪酸エステル[適応疾患]湿疹、皮膚炎、痒疹、乾癬[注意]作用がほどよくかゆみを伴う軽度の皮膚疾患、とくに顔面に使用しています。[用量・用法]皮膚の薄い部位、顔面、前頸部、陰部に使用、口唇周囲も可能。通常 1~2回塗布/日 1日1回のときは入浴後、寝る前[副作用]皮膚刺激感、発疹、ステロイド皮膚等
リンデロンV軟膏10g[特徴]比較的強(strong)、効果がよく炎症性皮膚疾患に良く使われる。主成分はベタメタゾン吉草酸エステル[適応疾患]湿疹、皮膚炎、皮膚掻痒症、虫さされ、掌蹠膿疱症、紅斑症、凍瘡、熱傷、薬疹等[用量・用法]急性病変には1日2~3回、慢性病変には1~2回塗布[副作用]皮膚感染症、過敏症など[注]かゆみを伴う中等度から軽度の炎症によく使用している。
リンデロンVロ-ション10ml[特徴]ロ-ションタイプ(乳液状)なのでこどもの頭部の脂漏性湿疹等に使用している。[適応疾患]軟膏と同じ。[用量・用法]1日1~数回[注意]湿潤面・創部など傷があるとしみることあり。
デルモベ-ト軟膏5g
[特徴]最強(strongest),主成分はクロベタソ-ルプロピオン酸エステル。高度のアレルギ-性疾患、炎症性疾患に使用。1日10g以下の塗布が望ましく長期連用による副作用に注意。[適応疾患]湿疹、皮膚炎、皮膚掻痒症、虫さされ、掌蹠膿疱症、紅斑症、凍瘡、熱傷、薬疹、肥厚性瘢痕・ケロイド、円形脱毛症、ジベルバラ粃糠疹、天疱瘡、類天疱瘡[注]1週間以内の短期の使用では副作用はほとんど心配ない。
デルモベ-トスカルプ10g[特徴]最強、成分は同上。溶解型ロ-ションでさらっとしている。主に頭髪部等に使用、傷があるとしみるため使用不可[適応]主として頭部の皮膚疾患、虫さされ・蕁麻疹等の強いかゆみに効果的。[用量・用法]1日1~数回[注意]強力なステロイド剤なので、短期間の使用とする。いらが等毛虫の皮膚炎にベトつかず使用感がよい。

抗ヒスタミン外用剤

抗ヒスタミン外用剤はもっぱら止痒効果を期待して使用しています。アトピ-性皮膚炎の炎症には効果が弱く、ときにかぶれる場合があるので、使用しない方が良いと考えています。

強力レスタミンコ-チゾンコ-ワ軟膏10g[特徴]ジフェンヒドラミン・フラジオマイシン・ヒドロコルチゾンの配合剤、ステロイドを含有しているがその効果は弱い。即効的に痒みを抑える。[適応疾患]深在性皮膚感染症、慢性膿皮症、湿潤・びらん・結痂を伴うか二次感染を併発している湿疹、皮膚炎、皮膚掻痒症、痒疹群、掌蹠膿疱症。[用量・用法]1日1~数回塗布[副作用]皮膚感染症、過敏症、長期連用によるステロイドざ創[注]当科ではじんましん・小児ストロフルス等のかゆみに使用している。

抗生物質軟膏

とびひ等黄色ぶどう球菌による皮膚感染症に使用、できれば内服の抗生物質を併用した方がよい結果が得られ、以前によく使用されたゲンタシン軟膏は耐性が問題になりその効果が期待できなくなっています。

フシジン軟膏10g[特徴]成分:フシジン酸ナトリウム、黄色ぶどう球菌に強い抗菌力をもつ。[用量・用法]1日数回患部に塗布[適応菌種]黄色ぶどう球菌[適応疾患]表在性・深在性皮膚感染症、外傷・熱傷および手術創等の二次感染、慢性膿皮症[副作用]発疹、疼痛、刺激感

抗真菌外用剤


カンジダによる皮膚炎(乳児寄生菌性紅斑)やいわゆるみずむし(足白癬)などカビ(真菌・白癬菌)による皮膚の病変に使用します。5系統の種類がありますが当科では代表的なアリルアミン系、イミダゾ-ル系の抗真菌剤を処方しています。抗真菌剤を塗布して病変が悪化した時は、軟膏にかぶれたか真菌症の診断が間違っている可能性があります。中止して相談して下さい。

エンペシドクリ-ム10g[特徴]イミダゾ-ル系の抗真菌剤、乳幼児に使いやすい。[適応疾患]白癬、カンジダ症、癜風[用量・用法]1日2~3回患部に塗布[副作用]軽度刺激感
ラミシ-ルクリ-ム10g[特徴]アリルアミン系、効果が比較的良好。[適応疾患]白癬(足、体部、股部白癬)、皮膚カンジダ症(乳児寄生菌紅斑を含む)、癜風[用量・用法]1日1回塗布、入浴後寝る前が良い。[副作用]接触性皮膚炎(かぶれ)、紅斑、発赤、刺激感など
ラミシ-ル液10g[特徴]液なのでさらっとしている。効能・効果等は同上、びらん・湿潤がない病変に使用、軽度の爪白癬ならば多少効果がある。

抗ウイルス外用剤

単純疱疹や帯状疱疹などのヘルペスウイルスによる皮膚病変に使用する。

アラセナ-A軟膏5g[特徴]ウイルスのDNA複製を強力に阻害する。[適応疾患]帯状疱疹、単純疱疹[用量・用法]1日1~4回塗布又はガ-ゼ等にのばして貼付[副作用]接触性皮膚炎様症状、刺激感、掻痒感など

保湿剤

保湿剤選択
混合


乾燥を防ぎ、かさかさした皮膚を保護したいときに使用します。入浴後塗布するのが理想的です。軽いしっとり感がでる程度に、塗ってください。

白色ワセリン[特徴]代表的な油脂性保湿剤、べとつくのが欠点です。[適応疾患]乾燥性皮膚病変(皮脂欠乏症、皮脂欠乏性湿疹、アトピ-性皮膚炎など)[用量・用法]1日1~数回塗布、入浴後が最適[副作用]接触性皮膚炎(かぶれ)[注]当科では亜鉛化軟膏等混合して使うことが多い。
ユベラ軟膏[特徴]ビタミンEとビタミンAが配合され血行改善作用・軽い保湿作用・角化調整作用がある。[適応疾患]凍瘡、進行性指掌角皮症、尋常性魚鱗癬など[注]しもやけ、手あれ、手足の過角化などに他剤と混合して使用することが多い。
ケラチナミン軟膏25g[特徴]尿素20%を含む保湿剤、角質の水分保持増加作用、角質の溶解剥離作用がある。さらっとしている。[適応疾患]アトピ-皮膚、進行性指掌角皮症(主婦湿疹の乾燥型)、足蹠部亀裂性皮膚炎、老人性紅斑症、掌蹠角化症、魚鱗癬[用量・用法]1日1~数回塗布[副作用]皮膚のぴりぴり感、疼痛、掻痒感、紅斑など[注]亜鉛化軟膏等混合して使用することが多い。暑い鱗屑除去などにも有効。
ヒルロイドソフト軟膏25g[特徴]成分はヘパリン類似物質、抗炎症・血行促進・血流増加作用がある[適応疾患]外傷(打撲・捻挫・挫傷)後の腫脹・血腫・腱鞘炎・筋肉痛。関節炎、血栓性静脈炎、血行障害に基づく疼痛と炎症性疾患(注射後の硬結、疼痛)、凍傷、肥厚性瘢痕、ケロイドの治療と予防、進行性指掌角皮症、筋性斜頸、皮脂欠乏症[適応外]アトピ-性皮膚炎に伴う乾皮症[用量・用法]1日1~数回適量塗布[副作用]掻痒、発赤、発疹など[注]アトピ-性皮膚炎の保湿などに使用、軽度皮膚病変の時、リンデロンと混合して使用することあり。
ヒルロイドロ-ション50g[特徴]ロ-ションタイプで広い範囲に使いやすい。 



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*アトピ-の皮膚は水分の保持が悪く乾燥していて外部からの刺激を受けやすい状態になっている。

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乳幼児の皮膚のバリアは未熟で脆弱。

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古くから使われている外用剤

亜鉛化軟膏20%[特徴]古くから使われている外用剤、皮膚保護作用・浸出液吸収作用・軽度の炎症作用があり、安全で用途が広い。[適応疾患]外傷、熱傷、凍瘡、湿疹・皮膚炎等の消炎、保護、防腐、皮膚疾患のびらん・潰瘍・湿潤面[用量・用法]1日1~数回塗布[禁]重度・広範な熱傷[副作用]発疹、刺激感、べとつきなど[注]当科ではワセリン、ユベラ等混合して使用するこが多い。肛門周囲等デリケ-トな部位の湿疹によく使用する。
サトウザルベ10%[特徴]成分は亜鉛化軟膏、ただし濃度10%のものはサトウザルベを使用している。
カチリ[特徴]
フェノ-ル・亜鉛化リニメント、成分はフェノ-ルと酸化亜鉛、止痒効果があり痒みを軽減する。[適応]皮膚掻痒症、汗疹、じんましん、小児ストロフルス、虫さされ[用法・用量]1日1~数回患部に塗布[禁]びらん・かいよう、結痂、損傷皮膚及び粘膜面[副作用]過敏症、刺激感、発疹[注]もっぱら水痘のかゆみに使用、水泡の治癒を促進する作用はない。


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hoshitsu

ADバリア障害

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ADTx


proactiveTx
ADTX
                                                                                                     サノフィパンフより
アトピ-性皮膚炎のメカニズムと最新治療
ADデュ (2)
ADデュ (1)


あせも用外用剤

あせもの初期(軽症)にはサリチル酸・酸化亜鉛等を配合した下記外用液が清涼感もあって有効と考えています。あおば薬局(太田)で調合したものを使用しています。

アセモト-ル[特徴]ステロイド剤を含有せず爽快感がありかゆみにも有効。[成分]100ml中サリチル酸0.5g、無水エタノ-ル10ml、酸化亜鉛7g、タルク7g、グリセリン4ml、硫酸アルミニウムカリウム1.5g、ハッカ油0.1ml、ロ-ス油0.1ml、精製水69.8ml [用量・用法]1日数回患部に塗布[適応]汗疹・湿疹[副作用]発疹、疼痛、刺激感


口内炎用鎮痛外用剤


コトフ [特徴]口内炎の痛みに有効、成分はキシロカインビスカス0.5ml、グリセリン 10ml(1本10.5mlあたり)、あおば薬局(太田)にて調整調合[用量用法]1回数滴1日3~4回口内に含ませる[副作用]キシロカインのアレルギ-反応、過敏症に注意





ステロイド外用薬

ステロイド軟膏の強さ

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  当科では強い順にデルモベ-ト>リンデロン>ロコイド>レスタミンコ-チゾン軟膏を採用して使い分けています。顔はステロイドの副作用が出現しやすいため作用の弱いロコイド軟膏を使用、アンダ-ム等の非ステロイド軟膏の効果は少なく、時に接触皮膚炎をおこすことがあり採用していません。


強さによる軟膏の分類
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剤形による用途・適応
夏はべとつくことから、クリ-ム・ロ-ションを選択することが多くなります。

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皮膚の吸収性と透過量

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塗布部位の副作用と副腎抑制

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ステロイド軟膏塗布目安(one finger tip unit)

FTU (1)

ロコイド軟膏5g [特徴]やや弱、主成分ヒドロコルチゾン酪酸エステル[適応疾患]湿疹、皮膚炎、痒疹、乾癬[注意]作用がほどよく、かゆみを伴う軽症の皮膚疾患、とくに顔面に使用しています。[用量・用法]皮膚の薄い部位、顔面、前頸部、陰部に使用、口唇周囲も可能。通常 1~2回塗布/日 1日1回のときは入浴後、寝る前[副作用]皮膚刺激感、発疹、ステロイド皮膚等
リンデロンV軟膏10g[特徴]比較的強(strong)、効果がよく炎症性皮膚疾患に良く使われる。主成分はベタメタゾン吉草酸エステル[適応疾患]湿疹、皮膚炎、皮膚掻痒症、虫さされ、掌蹠膿疱症、紅斑症、凍瘡、熱傷、薬疹等[用量・用法]急性病変には1日2~3回、慢性病変には1~2回塗布[副作用]皮膚感染症、過敏症など[注]かゆみを伴う中等度から軽度の炎症によく使用している。
リンデロンVロ-ション10ml[特徴]ロ-ションタイプ(乳液状)なのでこどもの頭部の脂漏性湿疹に使用している。[適応疾患]軟膏と同じ。[用量・用法]1日1~数回[注意]湿潤面・創部など傷があるとしみることあり。
デルモベ-ト軟膏5g
[特徴]最強(strongest),主成分はクロベタソ-ルプロピオン酸エステル。高度のアレルギ-性疾患、炎症性疾患に使用。1日10g以下の塗布が望ましく長期連用による副作用に注意。[適応疾患]湿疹、皮膚炎、皮膚掻痒症、虫さされ、掌蹠膿疱症、紅斑症、凍瘡、熱傷、薬疹、肥厚性瘢痕・ケロイド、円形脱毛症、ジベルバラ粃糠疹、天疱瘡、類天疱瘡[注]1週間以内の短期の使用では副作用はほとんど心配ない。
デルモベ-トスカルプ10g[特徴]最強、成分は同上。溶解型ロ-ションでさらっとしている。主に頭髪部等に使用、傷があるとしみるため創傷面等使用不可[適応]主として頭部の皮膚疾患、虫さされ・蕁麻疹等の強いかゆみに効果的。[用量・用法]1日1~数回[注意]強力なステロイド剤なので、短期間の使用とする。いらが等毛虫の皮膚炎にベトつかず使用感が良好、リンデロンと混合して用いることもある。
強力レスタミンコ-チゾンコ-ワ軟膏10g[特徴]成分はジフェンヒドラミン、フラジオマイシン、ヒドロコルチゾン酢酸エステルの合剤(抗ヒスタミン剤+抗生物質+ステロイド剤)、止痒効果が速い。ステロイド剤の作用は極めて弱い[適応疾患]深在性皮膚感染症、慢性膿皮症、湿潤・びらん・痂疲を伴うか又は二次感染を併発している湿疹、皮膚炎群、皮膚掻痒症、湿疹群、掌蹠膿疱症[用量・用法]1日1~数回塗布[禁忌]フラジオマイシン耐性菌又は非感受性菌による皮膚感染、皮膚結核、単純疱疹、水痘、種痘疹、真菌症、鼓膜に穿孔のある湿疹性外耳炎、アミノ糖系抗生物質又はバシトラシン過敏症、潰瘍[副作用]皮膚感染症、過敏症、長期連用によるステロイド痤瘡、ステロイド皮膚、魚鱗癬様変化、色素脱失、腎障害、難聴、下垂体・副腎皮質系機能抑制、眼圧亢進、緑内障など[注]蚊等の虫さされによる痒みに使用している。
デスパ[特徴]成分はクロルヘキシジン塩酸塩等、ジフェンヒドラミン、ヒドロコルチゾン酢酸エステル、ベンザルコニウム塩化物配合[適応]アフタ性口内炎、孤立性アフタ、褥瘡性潰瘍、辺縁性歯周炎[用量・用法]1日3~4回炎症部位に塗布[副作用]ショック、アナフィラキシ-、口腔の感染症、過敏症

[参考]ステロイド剤の作用機序
 ステロイドは1950年にリウマチに使用、劇的な効果をあげて以来様々な疾患に適応されてきましたが、その働きはわかっていませんでした。簡単に要約すると、ステロイドは核内のステロイド反応性の遺伝子に作用して抗炎症作用をもつ蛋白質の産生を促し、炎症を引き起こす蛋白に対してはこれを抑えるしくみと細胞膜に働いて抗炎症作用を発揮するメカニズム等が考えられています。

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抗アレルギ-薬

ここではアレルギ-性鼻炎・アトピ-性皮膚炎等のアレルギ-性疾患に使用する薬剤について解説します。おとなでは多くの製品が使用できますが、こどもについては安全性確認等の治験が少なく、処方に制限があるものが見られるので注意が必要です。抗アレルギ-薬は作用等の違いから次のように分類されています。当科ではそれそぞれから1~2種類の薬剤を選択して使用しています。
                     1 メディエ-タ-遊離抑制薬(ゼペリン点眼薬)
                                       2  H1受容体拮抗薬(ザジテン、セルテクト、ゼスラン、アレロック等)
                                       3  ロイコトルエン受容体拮抗薬(シングレア)
                                       4  Th2サイトカイン阻害薬(アイピ-ディ)
                                       5  トロンボキサンA2阻害薬(バイナス)

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花粉症重症度

ゼスラン錠(3mg)[特徴]メキタジン:第2世代ヒスタミン(H1)受容体拮抗薬。[適応疾患]①気管支喘息②アレルギ-性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患に伴う掻痒(湿疹・皮膚炎、皮膚掻痒症)[用量・用法]①1回6mg1日2回 小児用細粒 1回0.12mg/kg(0.02g)・シロップ 0.4ml/kg 1日2回 ②1回3mg1日2回 小児用細粒1回0.06mg/kg(0.01g)シロップ0.2ml/kg1日2回[禁忌]フェノチアジン系過敏症、緑内障、前立腺肥大等下部尿路閉塞[副作用]ショック、アナフィラキシ-ショック、肝障害、黄疸、血小板減少、発疹、眠気、ふらふら感、口渇、胃不快感、心悸亢進、排尿困難、咽頭痛、浮腫など
ザジテンシロップ[特徴]ケミカルメディエ-タ-遊離抑制、好酸球活性化抑制、気道鼻粘膜等組織過敏性の減弱、抗ヒスタミン・抗PAF作用がある。[適応疾患]気管支喘息、アレルギ-性鼻炎、湿疹・皮膚炎、蕁麻疹、皮膚掻痒症[用量・用法]0.3ml/kg/日 分2[副作用]眠気、倦怠感、発疹、口渇、頻尿等の膀胱炎様症状、痙攣、興奮等[禁]おとなでは自動車の運転等は行わない。こどもはふらふらした感じになることがある。
アレグラドライシロップ1包15mg[特徴]選択的H1受容体拮抗作用、抗炎症性サイトカイン産生抑制、眠気が少ない。[適応疾患]アレルギ-性鼻炎、蕁麻疹、湿疹・皮膚炎、皮膚掻痒症、アトピ-性皮膚炎に伴う痒疹[用量・用法]1日2回、0.5歳~2歳未満 :1回15mg1日2回 , 2歳~7歳未満 1回30mg1日2回[副作用]ショック・アナフィラキシ-、肝障害、黄疸、無顆粒球症、好中球減少、眠気、めまい、嘔気、腹痛、血管浮腫、頭痛[注意]頭痛を訴えることが少なくない。脳内H1受容体へ占拠率が低く非鎮静性で小児に使用しやすい。

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アレグラ錠60mg[特徴]同上[用量・用法]1回60mg1日2回、 小児 7歳以上12歳未満 1回30mg 1日2回、12歳以上1回60mg1日2回

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クラリチンドライシロップ1%1包0.5g
[特徴]選択的H1受容体拮抗作用、ロイコトルエン(LT4)遊離抑制作用、好酸球浸潤抑制作用、効果発現が早く眠気が少ない。[適応疾患]アレルギ-性鼻炎、蕁麻疹、湿疹・皮膚炎、皮膚掻痒症に伴う痒疹、ドライシロップは3歳以上の小児に適応[用量・用法]1日1回、3~7歳0.5g、7歳以上 1.0g[副作用]眠気倦怠感、腹痛、発疹、GOT・GPT上昇等
クラリチン錠10mg[特徴]同上[用量・用法]1日1回10mg、食後  小児 3~7歳 5mg  7歳以上 10mg

ザイザル5mg[特徴]セチリジンの光学異性体でヒスタミンH1受容体に強力に結合、強い抗ヒスタミン作用を発揮する。[適応]アレルギ-性鼻炎、蕁麻疹、痒疹、皮膚掻痒症(小児のみ)皮膚疾患に伴う痒疹[用量・用法]1日1回10mg、就寝前 最大20mgまで 小児 1日2回 7~15歳 1回2.5mg 1日2回3朝、就寝前[注]1日1回の服用時は就寝前だけでよいので使いやすい。
ザイザルシロップ:0.05%(5mg/ml)[特徴]血液脳関門を通過しにくく中枢神経系への影響が少なく、第一世代のペリアクチン等が小児に使いづらいため、頻用されるようになっている。ただし感冒上気道炎への適応は現時点ではみとめられていない。[用量]6ヶ月以上1歳未満、1回1.25mg(2.5ml) 1日1回、1歳以上7歳未満、1回1.25mg(2.5ml) 1日1回1日2回、朝・就寝前、7歳以上 15歳未満 1回5mg(5ml)1日2回、朝・就寝前[副作用]眠気、倦怠感、口渇、食欲不振肝障害、黄疸、血小板減少、痙攣、ショック、アナフィラキシ-等
セルテクトドライシロップ[特徴]ヒスタミン、ロイコトルエンなどの遊離抑制、抗PAF作用[用量・用法]0.05g/kg/日分2[適応疾患]気管支喘息、アトピ-性皮膚炎、蕁麻疹、痒疹[副作用]過敏症、錐体外路症状、眠気、嘔気・嘔吐、女性化乳房、肝障害、アナフィラキシ-等[注意]2歳以下には慎重投与、錐体外路症状の発現がみられることがあり、ふらつきや手のふるえなどが出現する。現在当科ではほとんど使用していない
セルテクト錠30mg[用量・用法]1回1錠、1日2回[適応疾患]上記に加えてアレルギ-性鼻炎

エバスステル5mg[特徴]体内で活性代謝物に変化、強力なH1受容体拮抗作用。眠気などが少ない。[用量・用法]1日1回5~10mg、体重40kg未満・11歳以下 5mg、12歳以上 10mg[注]剤形が小さく眠気が少ないのでこどもでも服用しやすい。
アレロック5mg[特徴]選択的な抗ヒスタミン作用、ケミカルメディエ-タ-などの産生・遊離抑制作用、神経伝達物質タキキニン遊離抑制作用[用量・用法]1回5mg 1日2回(朝・就寝前)[適応疾患]アレルギ-性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患に伴う痒疹、皮膚掻痒症、多形滲出性紅斑、尋常性乾癬[副作用]眠気、倦怠感、腹痛、肝機能異常、白血球増多、腎障害、高コレステロ-ル血症、ショック、アナフィラキシ-等[注]おとなに頻用している。こども(2~7歳)では半錠(2.5mg)にして処方、7歳以上は1錠(5mg)1日2回服用可
シングレア細粒[特徴]システィニルロイコトリエンタイプ1受容体に選択的に結合して、炎症惹起メディエ-タ-を強力に抑制[用量・用法]1~6歳未満 1日1回4mg/包 就寝前に服用[適応疾患]気管支喘息[副作用]皮疹、痒疹、頭痛、傾眠、痙攣、幻覚、下痢・腹痛、肝機能異常、口渇、血尿、尿糖、尿蛋白、浮腫、便秘等、アナフィラキシ-様症状等[注意]開封後15分以内に服用のこと、鼻づまりに効果がある。
シングレアチュアブル5mg[特徴]口中で溶解またはかみ砕いて服用する。[用量・用法]6歳以上の小児に1日1回1錠、就寝前に服用
シングレア錠10mg[適応疾患]気管支喘息、アレルギ-性鼻炎[用量・用法]1日1回10mg就寝前

アイピ-ディドライシロップ[特徴]IgE抗体・IL-4・IL-5産生抑制作用[適応疾患]気管支喘息[用量・用法]1回3mg/kg(0.06g/kg)1日2回(1日0.12g/kg 分2)[副作用]嘔気・嘔吐、胃部不快感、発疹、掻痒感、尿蛋白、倦怠感、浮腫、鼻出血、GOT・GPT上昇、ネフロ-ゼ症候群等[注]適応外でアトピ-性皮膚炎に使用することあり。
アイピ-ディドライシロップ分包(37.5mg/1包)10~15kgの幼児に1回1包1日2回処方

アイピ-ディカプセル100mg[適応疾患]気管支喘息、アトピ-性皮膚炎、アレルギ-性鼻炎[用量・用法]1回1カプセル1日3回食後

バイナス錠75mg[特徴]トロンボキサンA2による血管透過性亢進ならびに炎症細胞浸潤を抑制する。[用量・用法]1回1錠、1日2回(朝、夜食後or就寝前)[適応疾患]アレルギ-性鼻炎[副作用]発疹、痒疹、嘔吐・下痢、頭痛
味覚異常、肝炎、肝障害など[注]鼻閉に対して主に使用している。効果がでるのに少し時間がかかる。現在使用していない。

[作用機序]
作用
****鎮静作用・抗コリン作用のあるものは副作用(眠気・口渇等)に注意する。

運転 (2)




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brain
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ab
abc

妊娠抗ヒスタミン







点眼薬

ゼペリン点眼薬[特徴]炎症を誘発するヒスタミン・ロイコトリエン・PAFの遊離を抑制する。点眼時爽やか感がある。[用量・用法]1回1~2滴、1日4回[適応疾患]アレルギ-性結膜炎[副作用]眼刺激、眼痛、眼瞼浮腫、流涙増加、接触性皮膚炎など[注]点眼後、少し刺激感があり痒みがとれた感じがする。1日1~3回の使用でも十分効果がある。
サンテゾ-ン点眼薬0.02%[特徴]成分は水溶性デキサメタゾン(ステロイド)、抗炎症作用が強い。[用量・用法]1回1~2滴、1日3~4回[適応疾患]外眼部・前眼部の炎症性疾患の対症療法[副作用]緑内障、角膜ヘルペス、角膜真菌症、穿孔、白内障、過敏症、創傷治癒の遷延など[注]アレルギ-性結膜炎でとくにひどいとき、短期で使用している。ゼペリンと併用することあり。
パタノ-ル点眼薬[特徴]成分はオロパタジン、アレロックに同じ。抗ヒスタミン作用と抗アレルギ-作用を持つ。[用量・用法]1回1~2滴 1日4回[適応]アレルギ-性結膜炎[副作用]眼痛、角膜炎、掻痒症など[注]刺激が少なくもの足りなく感じる患者さんあり。現在使用していない。

zeperin


allergconj


点鼻薬

リボスチン点鼻薬[特]成分はレボカバスチン、強力かつ持続的ヒスタミンH1受容体拮抗作用、抗アレルギ-作用を有する。[適応疾患]アレルギ-性鼻炎[用量・用法]1回2噴霧1日4回、3歳以上 1日2回、7~12歳 1日2~3回噴霧[副作用]鼻内刺激感、眠気、頭痛、鼻症状誘発、咽頭部不快感、嘔気、鼻出血など
ナイスピ-点鼻薬[特]成分はベクロメタゾン(ステロイド)、全身性副作用はほとんどない。[適応疾患]アレルギ-性鼻炎、血管運動性鼻炎[用量・用法]1回1噴霧1日4回 小児 : 1回1噴霧1日2回[副作用]発疹、鼻症状、くしゃみ発作、鼻出血など[禁]全身真菌症、有効な抗菌薬のない感染症[注]点鼻回数が多いのが難。現在使用していない。
アラミスト点鼻薬[特]効果が良好で1日1回の点鼻でコントロ-ル可能、成分はフルチカゾン[用法・用量]1回各鼻腔に2噴霧、1日1回[適応]アレルギ-性鼻炎[副作用]血管浮腫、鼻出血、鼻潰瘍、アナフィラキシ-反応等[禁忌]深在性真菌症[注]現在使用していない。
ナゾネックス点鼻薬56噴霧[特]成分はモメタゾンフランカルボン酸エステル、1日1回の噴霧で良く全身への影響が少ない[適応]アレルギ-性鼻炎[用量・用法]各鼻腔に1日1回 12歳以上は2噴霧、12歳以下は1噴霧[副作用]アナフィラキシ-、鼻症状、咽喉頭症状、肝障害、WBC・RBC減少、コルチゾ-ル減少など[注意]使用前容器を上下に良く振る。
ト-ク点鼻薬[特]成分はトラマゾリン、血管を収縮して鼻粘膜の充血、腫張をとる。[適応疾患]諸種疾患による鼻充血・うっ血[用量・用法]1回2~3滴、1日数回点鼻又は噴霧[副作用]鼻刺激感、乾燥感、悪心、心悸亢進など[注]速攻性がある。小児には過量投与により発汗、徐脈、昏睡等が発現しやすいので使用しないことが望ましい。当院ではこどもの処方は控えている。容器に分注しなければならないため、現在は使用していない。
コ-ルタイジン点鼻薬[特]成分は1ml中塩酸テトラヒドロゾリン1.0mg、プレドニゾロン0.2mg[適応疾患]諸種疾患による鼻充血・うっ血[用量・用法]成人:3~5時間毎に2~3回鼻腔内に噴霧もしくは2~4滴点鼻する。年齢・症状により増減[慎重投与]1)冠動脈疾患のある患者2)高血圧の患者3)甲状腺機能亢進症の患者[禁忌]MAO阻害剤服用・本剤に対する過敏症・2歳未満の乳児・幼小児(6歳以上が望ましい)[副]過敏症・傾眠・頭痛・めまい・振戦・血圧上昇・心悸亢進・不整脈、熱感・反応性充血、鼻局所の膿性感染症誘発など






[用語解説]

アレルギ-  
アレルギ-の語源は変わったもしくは奇妙な反応という意味、定義としては「免疫学的機序によって開始される過敏性反応」ということになる。

アトピ-
アトピ-の語源は奇妙なこと意味するギリシャ語に由来する。定義としては「低用量のアレルゲン、通常は蛋白質に反応してIgE抗体を産生している個人的または家族性の傾向をしめし、いずれ喘息、鼻結膜炎、アレルギ-性湿疹/皮膚炎症候群などの典型的な症状を発症する」とされる。

H1受容体拮抗薬
抗ヒスタミン薬のこと。ヒスタミンは肥満細胞と好塩基球(白血球のひとつ)からアレルゲン(スギ花粉etc)等の刺激により遊離され、標的細胞に働いてアレルギ-反応をひきおこす。この標的細胞のヒスタミンを受け取る部位、受容体はH1・H2・H3・H4の4種類が知られており、これらをブロックする薬が抗ヒスタミン薬で、H1受容体拮抗薬とH2受容体拮抗薬(タガメット等制酸剤)が臨床的に使用されている。通常抗ヒスタミン薬といった場合前者のみをさす。



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かぜと花粉症


鼻みず鼻づまり(鼻閉)の発生メカニズム

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[参考]
th12




抗生物質


抗生物質は細菌の細胞壁ならびにDNA・RNAの合成阻害もしくは細菌の蛋白質合成を阻害して、殺菌あるいは静菌的に細菌に働く製剤です。こどもの感染症の多くはインフルエンザウイルス、ライノウイルス等ウイルスが原因になっており抗生物質は無効(ウイルスは細胞壁等もっていない)で処方されてもウイルス感染には効果はないのが現実です。抗生物質は溶連菌感染、肺炎球菌感染、ブドウ球菌感染、大腸菌感染等細菌感染症に限って使用されるべきと考えています。抗生物質にはいくつかの系統があり当院ではそれぞれについて最小限の品目を採用、処方しております。以下簡単に解説いたします。

 作用機序別にみた抗菌薬の分類                            

1.細胞璧合成阻害薬

2.蛋白合成阻害

①βラクタム系


・ペニシリン系


・セフェム系

  第一世代(セファメジン等)

  第二世代(パンスポリン等)

  第三世代(ロセフイン・セフゾン等)

  第四世代(ケイテン等)


・カルバペネム系


・モノバクタム系


②グリコペプチド系


③ホイホマイシン系 

 



 

・アミノグリコシド系

・マクロライド系(クラリシッド等)

・テトラサイクリン系(ミノマイシン等)

・リンコマイシン系

・ストレプトマイシン系

・オキサゾリジノン系

3.DNA・RNA合成阻害薬

・キノロン系(バクシダ-ル等)
・ニュ-キノロン系(クラビット等)

・リファンピシン

・サルファ剤・ST合剤

4.細胞膜合成阻害薬

・ポリペプチト゜系

・リポペプチド系

 

 

 [参考](図解 薬理学より改変)

antimecha

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作用部位


ペニシリン系

細菌の細胞壁の合成を阻害して殺菌的に作用します。

ラクタム環


バイシリンG[特徴]ある種の細菌に限定的に有効[用量・用法]0.05~0.15g/kg/日 分2~分4[適応]溶連菌、肺炎球菌、梅毒トレポネ-マ[適応疾患]咽頭・喉頭炎、扁桃炎、気管支炎、肺炎、中耳炎[副作用]発疹、じんましん、肝障害、下痢、悪心・嘔吐、ショック、溶血性貧血、間質性腎炎、偽膜性大腸炎等[注意]もっぱら溶連菌感染症に使用している。
ワイドシリン細粒(20%)[特徴]アミノベンジルペニシリン(ABPC)、抗菌範囲を広げた代表的ペニシリン(広域ペニシリン) [用量・用法]0.1~0.2g/kg/日分3[適応菌種]ぶどう球菌、連鎖球菌、肺炎球菌、淋菌、大腸菌、インフルエンザ菌、ピロリ菌、梅毒トレポネ-マ[適応疾患]表在性・深在性皮膚感染症、慢性膿皮症、外傷・熱傷・手術創
咽頭・喉頭炎、乳腺炎、膀胱炎、腎盂炎、前立腺炎、猩紅熱等[禁忌]伝染性単核球症[副作用]下痢・軟便、悪心・嘔吐、発熱、口内炎等、ショック、皮膚粘膜症候群、偽膜性大腸炎等[注意]耐性菌が出現していて、想定菌種の選択処方に考慮が必要。
ant














ags*クラバモックスDS  0.15g/kg   分2(食直前) 
             0.505/1包 10.1/瓶 体重 6-10kg 1日2包分2
                                     溶連菌再燃時に有効。調整しずらいのが難点。


clava




セファロスポリン系

骨格はペニシリンに似て殺菌的に働くが、一部の構造を変えやすく、たくさんの種類が開発されて、現在最もよくつかわれています。ただし腸管からの吸収が悪いことが指摘されていて投与する際に考慮が必要です。

antib


トミロン細粒[特徴]セフテラムピボキシル:飲みやすく小児では良く使われる。ブドウ球菌に適応がない。[用量・用法]0.09~0.18g/kg/日分3[適応菌種]レンサ球菌、肺炎球菌、大腸菌、クレブシェラ菌、インフルエンザ菌[適応疾患]咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、腎盂腎炎、膀胱炎、肺炎、副鼻腔炎、猩紅熱[副作用]過敏症、血液障害、消化器障害、菌交代症、ビタミンK・B欠乏症、ショック、皮膚粘膜症候群、偽膜性大腸炎等[注]下痢しやすい。[警告]小児への投与で最近、血中のカルニチン低下に伴って重篤な低血糖症状(意識低下、痙攣、脳症等)(1歳前後に多い)が報告されているので要注意。また妊婦の服用により出生時に低カルニチン血症の報告があります。当科では現在使用していない。
 これらはピボキシル基が代謝をうけてピバリン酸が分離され、これがカルニチンと結合、尿中にに排泄され低カルニチンになります。カルニチンは空腹時に脂肪酸から糖新生に必須な因子です。したがってビボキシル基をもつメイアクト・フロモックス等も同様になります。

セフゾン細粒[特徴]セフジニル:黄色ブドウ球菌、レンサ球菌に強い抗菌力、インフルエンザ菌に対してはやや劣る。[用量・用法]0.09~0.18g/kg/日分3[適応菌種]ブドウ球菌、レンサ球菌、肺炎球菌、モラクセラ・カタラ-リス、大腸菌、クレブシェラ、プロテウス、インフルエンザ菌[適応疾患]表在性・深在性皮膚感染症、リンパ節炎、慢性膿皮症、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、膀胱炎、腎盂腎炎、中耳炎、副鼻腔炎、猩紅熱、肛門周囲膿瘍、外耳炎、乳腺炎等[副作用]発疹、下痢、好酸球増加、ビタミンK・B欠乏症、ショック、皮膚粘膜症候群、溶血性貧血、偽膜性大腸炎、間質性肺炎等[注]下痢しやすく時に血性になることあり。
メイアクト細粒[特徴]セフジトレン・ピボキシル:百日咳にも適応あり。インフルエンザ菌、肺炎球菌に有効。[用量・用法]0.09g/kg/日 分3[適応菌種]ブドウ球菌、レンサ球菌、肺炎球菌、モラクセラ・カタラ-リス、大腸菌、シトロバクタ-、クレブシェラ、エンテロバクタ-、セラチア、プロテウス、インフルエンザ菌、百日咳菌[適応疾患]表在性・深在性皮膚感染症、リンパ節炎、外傷、熱傷、慢性膿皮症、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、膀胱炎、腎盂腎炎、中耳炎、副鼻腔炎、猩紅熱、百日咳、麦粒腫、胆のう炎、乳腺炎、子宮付属器炎等[副作用]発疹、じんましん、好酸球増加、肝機能GOT・GPT上昇、口内炎、ビタミンK・B欠乏、低血糖(小児)、ショック、間質性肺炎、偽膜性大腸炎、急性腎不全、皮膚粘膜症候群、溶血性貧血等

65f9c8b9-s[1]






















マクロライド系

細菌の蛋白合成にかかわるリボゾ-ムのサブユニットと結合して、細菌の増殖を抑え静菌的な働きをする。主にグラム陽性菌(ぶどう球菌、肺炎球菌など)に効果があるが最近では、その多くが耐性を獲得していて、もっぱらマイコプラズマ・クラミジア・レジオネラ等の感染に使用されています。小児ではマイコプラズマの第一選択薬ですが、マクロライド耐性のマイコプラズマが40%~80%にみられるとの報告もあり注意が必要になのます。

クラリシッド細粒[特徴]効力はエリスロマイシンとほぼ同等だが、酸に安定で血中濃度はエリスロマイシンより高く、持続性で組織への移行性も良好。ピロリ-の除菌にも使用される。[用量・用法]0.1~0.15/kg/日 分2~3 [適応菌種]ぶどう球菌、レンサ球菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌、レジオネラ、マイコプラズマ、クラミジア、百日咳菌[適応]表在性・深在性皮膚感染症、慢性膿皮症、外傷・熱傷、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、慢性気管支炎、肺炎、副鼻腔炎、猩紅熱、百日咳等[注意]当科ではマイコプラズマ感染に頻用している。
クラリシッド錠(200mg)[適応]上記に加えMACを含む非定型的結核性抗酸菌症、慢性閉塞性肺疾患、胃潰瘍・十二指腸潰瘍におけるピロリ-感染症[適応外]びまん性汎細気管支炎

370150ec-s[1]














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 テトラサイクリン系   

蛋白合成阻害により細菌に対して静菌的に働く。小児に投与すると歯のエナメル質形成不全により歯牙が灰褐色~黄色に変色するため、8歳未満には投与しないことが重要。

ミノマイシン細粒2%[特徴]胆汁、皮膚組織への移行が良好[用量・用法]1~2mg(0.05~0.1g)/kg/日分1~2[適応菌種]ぶどう球菌、レンサ球菌、肺炎球菌、腸球菌、クラミジア、肺炎マイコプラズマ、淋菌等[適応疾患]表在性・深在性皮膚疾患、慢性膿皮症、咽頭炎・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、中耳炎、つつがむし病、前立腺炎、尿道炎、淋菌感染症等[副作用]発疹、めまい感、頭痛、舌炎、歯牙着色、光線過敏症等、ショック、皮膚粘膜症候群、間質性肺炎、痙攣等[注意]クラリシッド耐性のマイコプラズマ感染症、膿疱性毛包炎等によく処方する。
ミノマイシン錠(100mg)
[用量・用法]初回100mg~200mg 1日1~2回

0c6cb8b8-s[1]








ホスホマイシン

細胞壁合成の初期段階を阻害して殺菌的に働きます。低分子量で体内で代謝を受けず、抗原性が低いためアレルギ-反応を心配する必要少ない。

ホスミシンドライシロップ20%[特徴]広域抗菌スペクトルを有するが単独ではやや活性が弱い。当科では限られた疾患(病原性大腸菌)に使用することがある。[用量・用法]0.2g~0.6/kg/日 分3~4[適応菌種]ぶどう球菌、大腸菌、キャンピロバクタ-等[適応疾患]表在・深在性皮膚感染症、感染性胃腸炎、膀胱炎、腎盂炎等[副作用]肝機能(GOT,GPT)上昇、貧血、腹痛・下痢、浮腫、腎機能異常、口内炎、じんましん等、ショック、偽膜性大腸炎等


3c3b7cf9-s[1]










ニュ-キノロン系

DNA合成を阻害することにより菌に対して殺菌的に働き、腸管吸収、組織移行がよいため胆嚢・胆道、尿路感染に加え呼吸器感染症にも有用で、肺炎等の治療も経口投与である程度、外来で可能になってきています。抗菌力が強く非常に有用な合成抗菌薬ですが、小児に適応のあるものは少なく当院では成人を除いて、こどもには使用していませんでしたが、最近マクロライド耐性のマイコプラズマ肺炎が少なからずみられるので、この肺炎に使用開始しています。


オゼックス細粒15%[特徴]成分はトスフロキサシン、マクロライド耐性・ペニシリン耐性菌を含む肺炎球菌・インフルエンザ菌の呼吸器病原菌に有効[適応菌種]肺炎球菌、モラクセラカタラ-リス、炭疽菌、コレラ菌、インフルエンザ菌[適応疾患]肺炎、コレラ、中耳炎、炭疽[用量・用法]1日12mg(0.08g)/kg 分2 [副作用]発疹、光線過敏症、Cr上昇、胃不快感、白血球減少、好酸球増加、関節痛、味覚異常‣肝障害、黄疸、ショック、アナフィラキシ-様症状、中毒性表壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、無顆粒球症、血小板減少、偽膜性大腸炎、間質性肺炎、好酸球性肺炎、横紋筋融解症、急性腎不全、間質性腎炎、痙攣、低血糖、意識障害[注意]大人ではよく使用しているが、最近こども用として発売、適応菌種に入っていないがマクロライド耐性のマイコに有効。フェニル酢酸系(ボルタレンet),プロピオン酸系(ロキソニン・ブルフェンet),非ステロイド性消炎鎮痛剤投与中痙攣をおこす可能性、重症筋無力症を悪化させる可能性、尿崩症発生の可能性がある。

オゼックスおとなで使用している)
クラビット
(おとなで使用)
ジェニナック(おとなで使用)

注射用抗生物質

  肺炎や腎盂炎等の細菌感染症で炎症反応が強いとき、経口での治療ではコントロ-ルが不十分で治癒が見込めないとき、入院を希望せず外来で治療を望むときなどに点滴にて抗生物質を経静脈的に使用しています。その場合CRP(炎症反応)の程度を目安としています。原則CRP15mg/dlの場合、入院紹介をしています。CRPが5~15mg/dlの時、原疾患・患者さんの状態等を考慮して外来にて抗生物質を点滴静注しております。このような対応で入院、病院紹介等が少なくなり外来で感染症の治療を完結することができます。注射用抗生物質は数多くが使用されておりますが、当科では下記の3種類を採用しています。

ペントシリン注1g[特徴]注射用ペニシリン系抗生物質の代表格、緑膿菌にも有効。最近ではペニシリン耐性株があり注意必要[用量・用法]1日50~125mg/kg/日 2~4回分割静注、最大 200mg/kg/日[適応]敗血症、気管支炎・肺炎、膀胱炎、腎盂炎、胆のう炎、子宮付属器炎、化膿性髄膜炎[適応菌種]ぶどう球菌、連鎖球菌、肺炎球菌、大腸菌、緑膿菌、インフルエンザ菌等[禁忌]伝染性単角球症[副作用]過敏症、消化器障害、血液障害、菌交代症、頭痛、アナフィラキシ-、皮膚粘膜症候群、急性腎不全、間質性肺炎等
セファメジン注1g[特徴]初期に開発され現在でも有用なセフェム系抗生物質、グラム陽性菌(ぶどう球菌、連鎖球菌等)に強い抗菌力を持っている。大腸菌にも有効。[用量・用法]1日20~50mg/kg  2~3回に分割、最大1日100mg/kg [適応疾患]敗血症、表在性、深在性皮膚感染症、慢性膿皮症、外傷・熱傷の二次感染、乳腺炎、扁桃炎、気管支炎、肺炎、膀胱炎、腎盂炎、中耳炎、副鼻腔炎、子宮付属器炎、胆のう炎、胆管炎等[適応菌種]ぶどう球菌、連鎖球菌、肺炎球菌、大腸菌等[副作用]肝腎障害、間質性肺炎、大腸炎、皮膚粘膜症候群、アナフィラキシ-等
ロセフィン注500mg・1g[特徴]セフェム系、第三世代。半減期が長く1日1回投与可能なため外来で使用しやすい。随液への移行も良好[用量・用法]1日20~60mg/kg 1~2回に分割投与、最大 120mg/kg 1日2回に分割[適応疾患]敗血症、咽頭炎、喉頭炎、扁桃炎、肺炎、膀胱炎、腎盂炎、尿道炎、骨盤内炎症疾患、腹膜炎、子宮付属器炎、化膿性髄膜炎、副鼻腔炎等[適応菌種]ぶどう球菌、肺炎球菌、連鎖球菌、大腸菌、インフルエンザ菌等[副作用]過敏症、血液・胃腸障害、菌交代症、ショック、アナフィラキシ-、間質性肺炎、偽膜性大腸炎、急性腎不全、皮膚粘膜症候群等[注]外来で1回投与で済むため使いやすく当院でも頻用している。また腎機能が低下している症例にも使用可能。

 外来でよくみられる溶連菌感染症の抗生物質の選択と投与期間                 

GASaintibiotics

  治療計画

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せき・はな・たん

鎮咳剤には咳の中枢に作用するもの(中枢性鎮咳剤)と気管支等の気道に作用するもの(末梢性鎮咳剤)とがあります。中枢性鎮咳剤を無条件で使用することはすすめられていませんが、医療の現場では頻用されているのが現実です。

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                                                                                               (ただし薬用量は成人量)

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咳の原因と治療薬
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せき・はな・たんの薬は単独よりむしろ混合して処方することの方が多いようです。。

せき

アスベリンシロップ
 [特徴]気道粘膜腺毛上皮運動を亢進して去痰作用を有する。痰量増加を伴う咳に使用、せきどめとしてよくつかわれている。[適応疾患]感冒・上気道炎、気管支炎、肺炎、気管支拡張症に伴う咳・喀痰喀出困難[用量・用法]0.4ml/kg/日・1日3回分服[副作用]咳、腹痛、嘔吐、発疹、眠気、食欲不振、下痢等
アスベリン散 [用量・用法]0.02g/kg/日1日3回に分服

メジコンシロップ [特徴]中枢性鎮咳剤、咳反射抑制作用。[適応疾患]感冒・上気道炎、気管支炎、百日咳きに伴う咳・喀痰喀出困難[用量・用法]0.3~0.4ml/kg/日・1日3~4回分服[副作用]頭痛、不眠、めまい、眠気、食欲不振、便秘等
メジコン散 [用量・用法]0.01~0.015g/kg/日・1日3~4回分服

レスプレン錠5、20mg[特徴]成分はエプラジノン塩酸塩、ムコ多糖溶解作用・気道内分泌増加作用があり痰のきれが悪いときに使用[用量用法]1~2mg/kg分3、1日60~90mg3回分服、3歳以上6歳未満 20~30mg,6歳以上10歳未満 30~45mg 3回分服[適応]感冒、急性・慢性気管支炎、肺結核、気管支喘息、肺炎、気管支拡張症、上気道炎[副作用]過敏症、食欲不振、悪心、嘔気・嘔吐、胃不快感、下痢、頭痛など

フスコデシロップ
 [特徴]配合剤成分はジヒドロコデイン・メチエフ・クロルフェニラミンマレイン酸。作用発現時間が短く、咳抑制程度も強く持続的。中枢性鎮咳剤[適応疾患]感冒・上気道炎、気管支炎、肺炎、肺結核に伴う咳[用量・用法]0.2ml/kg/日・1日3回分服[副作用]便秘、腹痛、悪心嘔吐、口渇、眠気、食欲不振、排尿困難等[禁忌]緑内障、重篤な呼吸抑制、下部尿路閉塞疾患[備考]麻薬性のリン酸コデインが含まれ咳を抑制する効果は強い。現在12歳未満は使用禁忌。

はな

もっぱら抗ヒスタミン剤を使用するので、眠気やふらつきなどの副作用がでる場合が少なくありません。脳に影響の少ない非鎮静性を選択するのが望ましい。

抗ヒスタミン



ペリアクチンシロップ [特徴]抗ヒスタミン作用。[適応疾患]感冒・上気道炎に伴うくしゃみ・鼻汁・咳、皮膚疾患に伴う掻痒、じんましん、アレルギ-性鼻炎[用量・用法]1回0.5~0.6ml/kg/日・1日1~3回[副作用]眠気、幻覚、興奮、注意力低下等[禁忌]気管支喘息発作時、緑内障、前立腺肥大、幽門十二指腸閉塞、新生児・低出生体重児[注意]痙攣が誘発されやすいと考えられ、発熱中は熱性けいれんの持続時間を長くする可能性があり幼児では使用は推奨されていない。
ペリアクチン散 [用量・用法]0.02~0.03g/kg/日・1日1~3回

テルギン錠(1mg) [特徴]成分はクレマスチンフモル酸、催眠作用少なく、持続性。[適応疾患]アレルギ-性鼻炎、アレルギ-性皮膚疾患[用量・用法]1回1錠1日2回 10歳1日量1錠[副作用]発疹、眠気、悪心嘔吐、口渇、眠気、食欲不振、下痢[禁忌]緑内障、前立腺肥大、幽門十二指腸閉塞
ゼスラン錠(3mg) [特徴]催眠作用少ない。[適応疾患]気管支喘息、アレルギ-性鼻炎、皮膚疾患に伴う掻痒[用量・用法]0.24mg/kg分2、1回1錠1日2回 [副作用]発疹、眠気、倦怠感、口渇、眠気、食欲不振、ショック[禁忌]緑内障、前立腺肥大
シングレア細粒(4mg) [特徴]システイニルロイコトリエンタイプ1受容体に選択的に結合し、炎症惹起メディエ-タ-を強力に抑制[適応疾患]気管支喘息、アレルギ-性鼻炎[用量・用法]1~6才未満1日1回1包、就寝前 [副作用]皮疹、傾眠、けいれん、下痢・腹痛、口渇、肝機能異常、アナフィラキシ-様症状
シングレアチュアブル(5mg)  [用量・用法]6才以上の小児1日1回1錠、就寝前口中で溶解又はかみ砕いて服用。
ザジテンシロップ [特徴]ケミカルメディエ-タ-遊離抑制、好酸球活性化抑制、気道・鼻粘膜等組織過敏性の減弱、抗ヒスタミン・抗PAF作用[適応]気管支喘息、アレルギ-性鼻炎、湿疹、蕁麻疹、皮膚掻痒症[用量・用法]0.06mg/kg分2、0.3ml/kg/日 分2[副作用]けいれん、興奮、眠気、口渇、頻尿等の膀胱刺激症状[禁忌]てんかん及びその既往。
セルテクトドライシロップ[特徴]ヒスタミン・ロイコトリエンなどの遊離抑制、抗PAF作用[用量・用法]1mg/kg分2、0.05g/kg/日分2[適応]小児:気管支喘息、アトピ-性皮膚炎、蕁麻疹、痒疹。成人:アレルギ-性鼻炎、蕁麻疹、皮膚掻痒症、湿疹、痒疹[副作用]肝炎、ショック、眠気、嘔気・嘔吐、錐体外路症状等

histamincns
●日常よく使われる抗ヒスタミン剤(ペリアクチン、ポララミン、テルギン、ザジテン等)でけいれんを誘発することがあります。鎮静性の強い抗ヒスタミン剤ほどその可能性があることが指摘されています。クロルフェニラミンはポララミンとしてこどもに良く使用されています。注意が必要です。








たん

ムコダイン細粒[特徴]気道粘液修復作用、粘膜正常化作用[用量・用法]30mg/kg分3、0.06g/kg/日 分3[適応]上気道炎、急性・慢性気管支炎、気管支喘息、気管支拡張症、慢性副鼻腔炎の排膿[副作用]食欲不振、腹痛、下痢、発疹、皮膚粘膜症候群、肝障害、ショック等
ムコダインシロップ [用量・用法]0.6ml/kg/日 分3
ムコソルバンシロップ
[特徴] 肺サ-ファクタント分泌作用、気道液の分泌促進作用、線毛運動亢進作用、アンチオキシダント作用。[用量・用法]0.9~1.0mg/kg分3、0.3ml/kg/日 分3[適応]急性・慢性気管支炎、気管支拡張症、気管支喘息、慢性副鼻腔炎の排膿[副作用]胃部不快感、腹痛、下痢、嘔気・嘔吐、ショック等
ビソルボン錠(4mg)[特徴]気道分泌増加作用、痰の線維網細断化作用、線毛運動亢進作用[用量・用法]0.2mg/kg/日分3、成人4mg1日3回[適応]急性・慢性気管支炎、肺結核[副作用]咳、胃腸障害、悪心、頭痛、ショック等

去痰剤使い方


長びく咳(遷延性咳嗽)の考え方

cough

cough
prplongcough



[咳反射の受容体の分布] 気管支や肺以外にも存在しています。
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coughmecha




[機械的刺激等でも咳は誘発されます。]

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おうと・げり・ふくつう・べんぴ

おうと・げりの時はまず脱水の予防です。そこで水分の補給(最近では経口補液のOS-1 or アクアライトともに市販されている)が大切です。その目安は下記を参考して下さい。重症化する脱水の兆候は下図が役立ちます。

       体重10kg 未満→ 下痢または嘔吐の度毎に 60~ 120mlを補給する。
       体重10kg.以上→ 下痢または嘔吐の度毎に 120~240mlを補給する。
            
(いずれも何回かに分けて少量ずつ与えるとよい、一度に全量を与えると嘔吐しやすい)

水分量
脱水サイン




おうと


ナウゼリン坐薬10mg[特徴]血液脳関門を通過しにくく使いやすい。こどもに良く使われている。腸管運動も促進する。[用量・用法]1mg/kg 1日2回[適応]周期性嘔吐症、乳幼児下痢症、上気道炎[副作用]下痢、頭痛、めまい、肛門部不快感、ショック、錐体外路症状
ナウゼリン細粒[用量・用法] 0.1g/kg  分3 食前 [注意]錐体外路症状(ふらつき、ふるえ、歩行障害等)があるため1歳以下では用量に特に注意する、また3歳以下は7日以上の連用を避ける。
ナウゼリン錠5mg[適応]慢性胃炎、胃下垂症、抗悪性腫瘍薬投与時[用量・用法]1回5mg(1錠) 1日2~3回、食前もしくは食後[副作用]下痢、頭痛、めまい、肛門部不快感、ショック、錐体外路症状[注]錠剤服用可能な年長児・小学生低学年に処方している。
ナウゼリン錠10mg
[適応]慢性胃炎、胃下垂症、抗悪性腫瘍薬投与[用量・用法]1回10mg 1日2~3回食前もしくは食後[副作用]下痢、頭痛、めまい、肛門部不快感、ショック、錐体外路症状[注]小学生高学年以上に処方。
プリンペランシロップ[特徴]消化管運動調節、中枢性・末梢性嘔吐いずれも有効だが、長期連用で錐体外路症状が出現することがある。[用量・用法]0.5ml/kg/日 分2~分3、食前[適応]胃炎・十二指腸潰瘍、胆嚢・胆道疾患、乳幼児嘔吐[適応外使用]しゃっくり、めまい[副作用]下痢、頭痛、めまい、眠気、女性化乳房、血圧効果等、ショック、意識障害、けいれん等

nauzelin


下痢

おおくの場合、下痢を即座に止める必要はありません。原因を見極め、脱水の状態を把握しながら整腸剤もしくは止痢剤の使用を判断することになります。

ラックB [特徴]ビフィズス生菌、整腸剤[用量・用法]0.05~0.1g/kg/日分3 [適応]腸内細菌叢異常による諸症状
[副作用]軟便、腹部膨満、発疹
レベニン1g[特徴]耐性菌存在下でも増殖する耐性乳酸菌製剤[用量・用法]0.05~0.1g/kg 分3、3歳1日1g 12歳1日2g[副作用]発疹、蕁麻疹、掻痒等[禁]牛乳アレルギ-
ミルラクト0.5g[特徴]乳糖分解による消化吸収作用[用量・用法]1回0.5g1日3回 [適応]乳児の乳糖不耐症による消化不良、下痢[副作用]発疹、便秘
アドソルビン[特徴]天然ケイ酸アルミニウム:胃・腸管内の異常有害物質、過剰の水分・粘液などの吸着除去[用量・用法]0.05~0.1g/kg/日 分3 [適応]下痢症[副作用]嘔吐、胃部膨満
タンナルビン[特徴]タンニン酸アルブミン:腸管を緩和に収斂させる作用。[用量・用法]0.05~0.1g/kg/日 分2~分[適応]下痢症[副作用]食欲不振、口腔内着色、過敏症等[禁忌]慢性消化管通過障害、消化性潰瘍、出血性大腸炎、細菌性下痢、牛乳アレルギ-
ロペミン細粒0.1%
[特徴]腸管蠕動抑制、消化管輸送能抑制作用、止瀉作用[適応]下痢症、急性下痢症(小児)[用量・用法]0.02~0.04mg/kg(0.02~0.04g)/日分2~分3[副作用]発疹、腹部膨満、悪心・嘔吐、口渇など[禁忌]抗生物質による偽膜大腸炎、出血性大腸炎、6ヶ月未満の乳児、2才未満もイレウス様になりやすいため原則使用しないこと。

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便秘

便のまだ固くない生後4~5月くらいまでの便秘は、こより・綿棒・手指による肛門刺激で対応。離乳期に入って固い便による便秘には各種の緩下剤を使用することになります。食事(野菜、牛乳、水分)等ではなかなかうまくゆきません。便秘が嵩じると排便時疼痛がつよくなり、排便を怖がりさらにがまんするようになって悪循環になります。

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ラキソベロン液10ml[特徴]大腸粘膜刺激による下剤作用、液剤は内服量調節に便利でよく使用されている。[用量・用法]年齢により2~15滴、倍量程度まで調節可能[適応]各種便秘症、検査前の腸内容排除、造影剤投与後排便促進[副作用]腹痛、悪心・嘔吐、腹鳴、腸閉塞、虚血性大腸炎等[禁]急性腹症、腸管閉塞
グリセリン浣腸液30ml,60ml,120ml[特徴]簡便で使いやすい。[用量・用法]1~2ml/kg/回 [適応]浣腸液、湿潤・粘滑剤として使用[副作用]腹痛等[禁忌]腸管内出血、腹腔内炎症、全身衰弱、嘔吐、便秘以外の腹痛
レシカルボン坐薬[特徴]腸内で炭酸ガスを発生し蠕動運動を亢進することにより排便を促進、おとなではよく使用される。[用量・用法]1回 3歳 1/3 7.5才 1/2 12歳 1個 [適応]便秘症[副作用]下腹部痛、下痢、残便感
酸化マグネシウム[特徴]制酸剤、緩下剤。各種薬剤の配合剤としても使用している[適応疾患]①胃十二指腸潰瘍、胃炎、上部消化管機能異常②便秘症③尿路シュウ酸カルシウム結石の発生予防[用量・用法]①1日0.5~1g、数回分服②1日2g, 3回分服又は就寝前1回  小児‣1日 0.05g/kg 分1~分3,1歳0.5g、3歳 0.65g、12歳 1.3g ③1日0.2~0.6g、多量の水とともに服用[注]省略してカマと呼ばれる。長期投与では定期的に血清Mg値の計測が必要[副作用]下痢など●高Mg血症、特に活性型ビタミンD3製剤投与時[注意]併用による他剤の吸収障害ニューキノロン、セフジニル、ロスバスタチン、ジギタリス製剤、鉄剤など)に注意する。
酸化マグネシウム細粒83%[特徴]1g中に酸化マグネシウム833mg、1.2g=カマ1gとなる。[用量用法]小児 0.06g/kg  分1or 分2



laxative



ふくつう

こどもの場合、腹痛があるからといってブスコパン等の薬を処方することはありません。原因(便秘、嘔吐もしくは虫垂炎等の疾患)診断を優先して、対応することが普通です。グリセリン浣腸、ナウゼリン等の投与程度で十分有効です。

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*こどもの腹痛の大部分は便秘、胃腸炎などの緊急性の少ない疾患です。過度な心配は不要です。img058おとなでよくみられる胃潰瘍・胆石・膵炎・イレウス等迅速な診断と治療が必須な疾患を考慮する必要はありません。左下腹部を中心に激しく強い痛みの場合は便秘のことが多く浣腸を試みると排便後"ウソ"のように改善します。急性虫垂炎は右下腹部を痛がるようになります。臍を中心に反復して痛がる場合(反復性腹痛)は器質的な異常をみることは少なく急いで処置する必要ありません。自律神経系の失調あるいは心因などが原因になっていて生活習慣等を見直すことで改善をはかることができます。




ねつ・熱性けいれん

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(腋窩温は直腸温より0.5゜C前後低くなる。)

ねつ

こどもの発熱て゛は低体温、脳症等の関連から、ポンタ-ルやボルタレン等の効果の強い解熱鎮痛剤は使われなくなり、現在使用されているものは比較的安全とされているアセトアミノフェン(カロナ-ル等)とイブプロフェン(ブルフェン等)のみになっています。ほとんどの医療機関でこれ以外の解熱剤を処方することはなくなっています。解熱剤は熱による頭痛、関節痛、だるさ、食欲不良、元気のなさなどの症状や高熱が少し改善すればその効能は十分発揮されたと考えてください。[鎮痛]においては50%以上の痛みの軽減を、[解熱]は不快感の軽減を目標とします。40゜Cの高熱を37゜Cに低下させる必要性はありません。症状(不快感)が改善していれば39゜C程度の解熱でなんら問題はないと考えています。
[発熱のメカニズム]

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[アセトアミノフェン]こどもで比較的安全性が高いとして頻用されるアセテアミノフェンの特徴。                         (カロナ-ルパンフより)

           中枢神経系に存在するCOX3を特異的に阻害してPGE2の産生を減少させる
           視床下部に作用して解熱効果を、視床と大脳皮質に作用して痛覚の閾        
           値を上昇させ効果を発揮する。 
           末梢のCOX1 COX2に対する作用は弱く抗炎症効果はほとんどない。

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カロナ-ルシロップ2% [特徴]こどもの第一選択薬、アセトアミノフェンが成分で脳炎・脳症との関連がないと考えられている。[用量・用法] 5~15mg/kg/回、0.5ml/kg/1回、頓用、1日3回まで1日最大量 60mg/kgまで[適応] 解熱、鎮痛[副作用]チアノ-ゼ、過敏症、悪心・嘔吐、ショック、肝障害、皮膚粘膜症候群など[禁忌]重篤な血液・肝・腎障害、アスピリン喘息
カロナ-ル細粒0.5[用量・用法] 10kg前後の小児に1回1包1日3回まで。
カロナ-ル細粒1.0[用量・用法]   20kg前後の小児に1回1包1日3回まで。
カロナ-ル錠200mg[用量・用法]1回1錠~2錠、1日3回まで。
アンヒバ坐薬100
[用量・用法] 10kg前後の小児に1回1個肛門に挿入、1日3回まで。
アンヒバ坐薬200[用量・用法] 20kg前後の小児に1回1個肛門に挿入、1日3回まで。
[注]インフルエンザ脳症・アスピリン喘息・生後3ヶ月未満の乳児には使用しないこと(今日の治療薬2019)。

ブルフェン錠(100mg) [特徴]イブプロフェン、小児の解熱の第2選択薬として使用されている。シクロゲナ-ゼを阻害し視床下部のプロスタグランジン産生を抑制して抗炎症作用・鎮痛・解熱に働く[用量・用法]3t~6mg/kg/回1日2~3回、20kg前後で1回100mg、1日3回まで[適応]急性上気道炎の解熱・鎮痛、関節リウマチ、関節痛・関節炎、背腰痛、月経困難症、消炎・鎮痛
[副作用]食欲不振、腹痛、下痢、頭痛、眠気、ショック、溶血性貧血、消化性潰瘍、潰瘍性大腸炎等[禁忌]消化性潰瘍、アスピリン喘息、直腸炎、痔疾患等[注意]わが国では小児科領域の解熱薬としては認されていない。また水痘や脱水症には推奨されない(今日の治療薬2019)。

熱性けいれん

高熱に伴う熱性けいれんの頻度は7~9%と高く、熱性けいれんは日常よく経験する、その場であわててしまうこどもの発熱時のこわさを感じるできごとの一つです。熱性けいれんから直ちに生命にかかわる危険な事態に陥ることはなく、多くは5分以内にけいれん発作はおさまるため、家庭での対応で十分なことがほとんどです。

ダイアップ 4mg,10mg[特徴]ベンゾジアゼピン受容体に結合し、GABAニュ-ロンの作用を増強[用量・用法]1回0.4~0.5mg/kg1日1~2回肛門に挿入[適応]小児の熱性けいれん及びてんかんのけいれん発作[禁忌]緑内障、新生児[副作用]眠気、ふらつき、呼吸抑制等

けいれん



熱性けいれんの予防

*熱性けいれん予防投与の実際: 体温が37.5゜Cになったらジアゼパン坐薬を挿入、8時間たっても熱が続いているときは、さらにもう1度挿入、通常2回投与までとする。
*解熱剤の坐薬と併用するときは、吸収の問題があり先にダイアップを挿入、30分以上たってから解熱剤の坐薬を挿入するとよい。

*ダイアップの予防投与は通常2年間、または4~5歳までを目標とする。
*単純な熱性けいれんが2回以下なら予防投与の必要はない。

熱性けいれんの考え方と対応

単純型熱性けいれん

発熱の初期(24時間以内)、多くは38.5゜C以上に体温が上昇してゆくときに通常であれば1~2分、大部分は5分以内のけいれんをみとめ、けいれんがおさまったあとは意識障害や麻痺がみとめられない。この場合、救急車、脳波、CT等の検査は不要。

複雑型熱性けいれん

次の項目の症状が一つ以上みられるとき複雑型熱性けいれんに該当、この場合はすみやかな受診・検査等が必要になる。
□けいれんの持続が15分以上
□けいれんが半身または焦点性(たとえば右手前腕のみ)
□けいれんの後の麻痺や意識障害
□1日に2回以上くりかえす
□6ヶ月以下や6歳以上
□脳障害の既往や神経症状
□てんかんの家族歴   

熱性けいれんと解熱薬

「解熱薬を早めに使ったり頻回に使ったりしても熱性けいれんを予防する効果はまったくない」との考え方があります。異論もあり十分な検証はありませんが、参考にしてください。

熱性けいれんガイドライン2023
熱性けいれん











[頭痛治療薬]


頭痛治療薬


頭痛予防薬
頭痛予防薬

ぜいぜい・ひゅ-ひゅ-・ぜんそく

気管支拡張剤

なんらかの刺激をうけて気管支の平滑筋が収縮したり、気管支壁の炎症により気管支腔が狭まるとぜいぜい・ひゅ-ひゅ-・むせるような咳などが出現してきます。気管支拡張剤はβ刺激薬・テオフィリン薬(キサンチン誘導体)・抗コリン剤の3種類があります。作用機序は異なりますが、いずれも気管支の拡張をはかって症状を軽減する一方で、副作用も発現しやすい薬剤なので注意して服用することが重要になります。

β刺激薬

気管支のβ2受容体を刺激することによって、気管支の拡張をはかる。交感神経の受容体はβ1(心臓)、β2(気管支)などがあり、β刺激薬はどうしても心臓に影響して頻拍・動悸などの副作用がでることがすくなくない。最近ではもっぱらβ2受容体に選択的に働く薬剤が優先して使われている。

メプチンシロップ[特徴]持続性、β2受容体への選択性が高い。よく使われる。[用量・用法]0.5ml/kg/日 分2 [適応]気管支喘息、慢性気管支炎、肺気腫、喘息様気管支炎[副作用]動悸・頻脈、振戦(手のふるえ)、心房細動、ショック等[注意]手のふるえた感じ、どきどき、興奮などの副作用はよくある。
メプチンエア-100吸入[特徴]吸入薬、カウンタ-がついていて残がわかる。[用量・用法]1回1呼吸(10μg)、原則1日4回まで。
mep

ホクナリンテ-プ0.5,1.0,2.0mg[特徴]経皮的に吸収される。速効的な効果はなく持続的にはたらく、最高血中濃度は12時間後就眠前の服用等に使われる。[用量・用法]6ヶ月~3歳  0.5mg   3歳~9歳 1mg  9歳以上 2mg  [適応]気管支喘息、急性・慢性気管支炎、肺気腫[副作用]かぶれ・皮膚炎、動悸、手のふるえ、頭痛等、アナフィラキシ-様症状[注意]使い勝手が良いが投与量の細かい調節が難しいところがある。
ホクナリンドライシロップ[特徴]β2受容体への選択性がよく、持続性[用量・用法]0.04g/kg 分2[適応]気管喘息、慢性・急性気管支炎、喘息性気管支炎、肺気腫[副作用]心悸亢進、振戦、頭痛、嘔気・嘔吐、血清K低下

テォフィリン薬(キサンチン誘導体)

ホスホジエステラ-ゼを阻害して気管支を拡張する。気道炎症を抑えるはたらきもあり注目されているが、小児においては痙攣・脳障害の報告がされてより使用に慎重さが必要になっている。

テルバンス細粒(0.4g)テオフィリン80mg含有[特徴]成分はテォフィリン、徐放性。PDE活性を阻害、cAMPを上昇させて気管支を拡張、気道炎症に対して抗炎症作用がある。血中濃度の調節が微妙でけいれんとの関係からやや使いづらくなっていて処方されなくなっている。[用量・用法] 6ヶ月未満: 原則として投与しない。6ヶ月~1歳 6mg/kg/日 分2、1歳~15歳 8~10mg/kg/日 分2 2歳未満のけいれんや熱性けいれんのある児には原則投与しない。[適応]気管支喘息、喘息性気管支炎、慢性気管支炎[副作用]不眠、興奮、悪心・嘔吐、むねやけ、倦怠感等、けいれん、意識障害等[注意]乳幼児、発熱している小児、てんかんならびにけいれんの既往のある小児に投与する場合は、通常よりも低用量から投与を開始すること。6ヶ月未満児には原則投与しない。比較的のみやすい剤形にはなっているが服用後吐きやすい。
テオロング(100mg)[用量・用法]小児 1回100~200mg 1日2回[特徴]成分はテオフィリン、徐放錠、喘息の追加治療薬として選択してもよい(治療・管理のガイドライン)とされているが、使用されない方向になっている。[適応]気管支喘息、慢性気管支炎、肺気腫[副作用]悪心・嘔吐、不眠・不安、動悸、胸やけ、しゃっくり、頻尿、倦怠感、低K血症、尿酸・CK上昇、けいれん、意識障害、急性脳症、肝障害、アナフィラキシ-等[注意]血中濃度の許容域が狭いので、指示に従って服用することが重要、こどもでは発熱時は脳症等の関連で使用しないこと。また他の薬剤(クラレシッド、オゼックス、タガメット等々)との併用については必ず医師の指導が必要。
テオロング(200mg)[用量・用法]1回200mg1日2回
ユニフィルLA200mg[特徴]成分はテォフィリンでテオロングと同じ、徐放製剤のなかでも1日1回の投与が可能[用量・用法]1日1回400mg 夕食後


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抗コリン薬

おとなの慢性閉塞性疾患(肺気腫)に効果がある。こどもではアトロベントを除いてあまり使用されない。当科でもこどもに対する処方はおこなっていない。


抗アレルギ-薬

ぜんそくが気道の慢性的炎症と考えられるようになり、気道の炎症を抑えることによって、その効果を発揮するためよく使われるようになっている。

シングレア細粒[特徴]システィニルロイコトリエンタイプ1受容体に選択的に結合して、炎症惹起メディエ-タ-を強力に抑制[用量・用法]1~6歳未満 1日1回4mg/包 就寝前に服用[適応疾患]気管支喘息[副作用]皮疹、痒疹、頭痛、傾眠、痙攣、幻覚、下痢・腹痛、肝機能異常、口渇、血尿、尿糖、尿蛋白、浮腫、便秘等、アナフィラキシ-様症状等[注意]開封後15分以内に服用
シングレアチュアブル5mg[特徴]口中で溶解またはかみ砕いて服用する。[用量・用法]6歳以上の小児に1日1回1錠、就寝前に服用
シングレア錠10mg[適応疾患]気管支喘息、アレルギ-性鼻炎[用量・用法]1日1回10mg就寝前
アイピ-ディドライシロップ[特徴]IgE抗体・IL-4・IL-5産生抑制作用[適応疾患]気管支喘息[用量・用法]1日0.12g 分2[副作用]嘔気・嘔吐、胃部不快感、発疹、掻痒感、尿蛋白、倦怠感、浮腫、鼻出血、GOT・GPT上昇、ネフロ-ゼ症候群等
アイピ-ディカプセル100mg[適応疾患]気管支喘息、アトピ-性皮膚炎、アレルギ-性鼻炎[用量・用法]1回1カプセル1日3回食後

吸入ステロイド薬

喘息のメカニズムの解明が研究され、喘息の主な原因が気道の慢性炎症にあることがわかってきて、炎症を強力に制御するステロイド薬の役割が大きくなっています。経口投与では副作用に問題が生じるため長期使用は困難でしたが、全身に影響が少ない吸入のステロイド剤が導入され、その効果が絶大なので喘息の治療ガイドラインに組み込まれ主要な働きをする薬剤として積極的に使われるようになっています。種類も少なくありませんが当科ではその中から2つを採用しています。ただし、ステロイド吸入剤は喘息発作を直ちに改善するものではなく、長期的にコントロ-ルする薬剤であることを理解しておく必要があります。

キュバ-ル[特徴]成分はベクロメタゾン、粒子が小さく肺内によく届く。[用量・用法]1回100μg/1噴霧、1日2回1日最大800μgまで。 小児 : 1回50μg 1日2回 最大1日200μgまで[適応疾患]気管支喘息[副作用]コルチゾ-ル減少、鼻出血、咳、口渇等[注意]カンジダ性口内炎等おきやすいので、吸入後うがいをすること。
アドエアエア50μg120吸入用[特徴]長時間作用型吸入β2刺激薬(サルメテロ-ル)とステロイド吸入薬(フルチカゾン)を配合したエアゾ-ル、かなり効果的に喘息患者の日常が管理可能になった。[用量・用法]1回100μg(2噴霧) 1日2回吸入、1回500μgまで増量可、小児 : 1回50μg(1噴霧) 1日2回吸入、1回100μgまで可 [適応]気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎・肺気腫) [副作用]発疹、口腔・呼吸器カンジダ症、嗄声、味覚異常、振戦、筋痙攣、ショック、アナフィラキシ-、肺炎など[禁忌]深在性真菌症、有効な抗菌剤の存在しない感染症

azkikansi
アドエア・シンビジウム(未採用、アストラゼネガ)等の効果
Ⅰ型アレルギ-

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抗ウイルス剤    インフルエンザ・水痘・単純性ヘルペス

抗ウイルス剤の作用機序

antivirus
zof



インフルエンザ

infd

infde

**採用しているのはタミフルとイナビルのみです。ゾフル-ザはウイルスの変異(特に小児)の問題があり使用していません。

タミフル細粒
[特徴]インフルエンザウイルスのノイラミダ-ゼを選択的に阻害、ウイルスの増殖を抑え早期回復を促す。[用量・用法]0.133g/kg/日 分2・5日間[適応]インフルエンザA、B、感染予防(カプセルのみ)[副作用]腹痛・下痢、嘔気・嘔吐、不眠症、傾眠、ショック、肺炎、急性腎不全等[禁忌]10歳以上の未成年者は原則禁止[注意]症状発現から2日以内に使用、1歳未満児への投与注意。また服用させた場合異常行動等の可能性があり家庭内で見守ることが必要です。
イナビル吸入粉末剤20mg [特徴]吸入後気道・肺に長時間貯留するため、治療が1回で完結、診察室で吸入させることができ確実性がある。ただし5歳以下の場合,吸入すること自体まだができないことが普通。[用量・用法]10歳以下:20mg吸入(10mgを2回吸入) 10才以上:40mg吸入(10mgを4回吸入)[副作用]下痢、悪心、肝機能上昇、アナフィラキシ-、気管支攣縮等[注意]気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患の患者さんには十分注意しながら投与する必要がある。[注意]効果はタミフル・リレンザとほぼ同等。プラセボと変わりないとの報告もあり。

[インフルエンザ罹患時の異常行動] イナビルパンフより

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ヘルペスウイルス・水痘

バルトレックス細粒 [特徴]アシクロビル(ゾビラックス)のプロドラッグ、生物学的利用率が高く、1日2~3回の投与で効果。[用量・用法]水痘:0.15g/kg/日 分3 5日間 [適応]単純性疱疹、帯状疱疹、水痘[副作用]腎障害、下痢、胃痛、発疹、眠気、ショック、血小板減少性紫斑病等[注意]主に水痘に使用している。

アラセナ軟膏5g
[特徴]ウイルスのDNA依存DNAポリメラ-ゼを強力に阻害、アシクロビル耐性のウイルスにも有効[用量・用法]1日1~4回塗布[適応]帯状疱疹、単純性疱疹[副作用]接触性皮膚炎症状(かぶれ)、掻痒感



ワクチン(4)(不活化ポリオ・4種混合・DPT)

 平成24年9月より従来のポリオ生ワクチンの副作用(ポリオによる小児麻痺の発生)の問題を解決すべく、不活化のポリオワクチンが導入されています。そのワクチンとDPTワクチンについて解説します。

イモパックスポリオ皮下注[特徴]不活化ポリオワクチン、有効成分は不活化ポリオ1型・2型・3型、添加物にフェノキシエタノ-ル・無水エタノ-ル・ホルマリン・M-199ハンクス・ポリソルベ-ト80・pH調整剤を含む[適応]急性灰白髄炎の予防[用量・用法]1回0.5mlずつを3回以上、皮下に注射する[接種対象者・時期]初回免疫:生後3ヶ月から開始し3週間~8週間の間隔をおいて3回接種する。追加接種:6ヶ月以上あけて1回接種する。医師がみとめた場合は他のワクチン(DPT等)と同時に接種可能[接種部位]上腕伸側とし、同一部位に反復して接種することは避ける。
[接種不適当者]
(1)明らかな発熱を呈している者
(2)重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者
(3)本剤の成分によってアナフィラキシ-を呈したことがあることが明らかな者
(4)上記に掲げる者のほか、予防接種を行うことが不適当な状態にある者
[接種要注意者](1)心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害等を有する者
(2)予防接種で接種後2日以内に発熱のみられた者及び全身性発疹等のアレルギ-を疑う症状を呈したことがある者
(3)過去にけいれんの既往のある者
(4)過去に免疫不全の診断がなされている者及び近親者に先天性免疫不全症の者がいる者
(5)本剤の成分に対してアレルギ-を呈するおそれのある者
[副反応](1)重大な副反応:ショック、アナフィラキシ-様症状、けいれん
(2)その他の副反応
imopaxse













(3)その他の注意
本剤との因果関係は不明だが、海外においてギランバレ-症候群、急性散在性脳脊髄炎の報告がある。
クアトロバック皮下注シリンジ[特徴]不活化ポリオ・DPTの4種混合ワクチン、対症年齢の予防接種のスケジュ-ルに余裕がでる。同時接種(複数の部位)の注射回数を減らすことができる[成分]quattro-下表-
[適応]百日咳・ジフテリア・破傷風および急性灰白髄炎(ポリオ)の予防[用量・用法]初回:1回0.5mlを3週間以上の間隔をおいて3回皮下注 追加:初回免疫後6ヶ月以上の間隔を置いて0.5ml皮下注[接種対象者・接種時期]生後3~90ヶ月の間にある者に行うが、DPTと同様に、初回免疫については、標準として3~12ヶ月の者に3~8週間隔で、追加免疫については、標準として初回免疫終了後12ヶ月から18ヶ月を経過した者に接種する。なお、被接種者が保育所、幼稚園等の集団生活に入る場合には、その前に接種を完了することが望ましい。[接種不適当者]イモパックスに同じ。
[接種要注意者]
(1)心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害等の基礎疾患を有する者
(2)予防接種で接種後2日以内に発熱のみられた者及び全身性発疹等のアレルギ-を疑う症状を呈した者
(3)過去にけいれんの既往のある者
(4)過去に免疫不全の診断がなされている者及び近親者に先天性免疫不全症の者がいる者
(5)本剤の成分に対してアレルギ-を呈するおそれのある者
[副反応]重大な副反応
(1)ショック、アナフィラキシ-様症状(0.1%未満)
(2)血小板減少性紫斑病(0.1%未満)
(3)脳症(頻度不明)
(4)けいれん(0.4%)
その他の副反応


quatse

setaisaku


DPT"化血研"シリンジPF[特徴]沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン[成分]  下表         

有効成分

添加物

百日せき菌防御抗原:4単位

ジフテリアトキソイド:16.7Lf以下

破傷風トキソイド:6.7Lf以下

 

ブドウ糖:0.5mg
L-リジン塩酸塩:0.05mg以下
ホルマリン(ホルムアルデヒドとして):0.05mg以下
塩化アルミニウム:1.5mg以下
水酸化ナトリウム:0.6mg以下
塩化ナトリウム:3.75mg
リン酸水素ナトリウム水和物:0.16mg
リン酸二水素ナトリウム:0.16mg
pH調節剤

 [適応]百日咳、ジフテリア及び破傷風の予防[用量・用法]初回免疫:1回0.5mlずつを、3~8週間隔で皮下に注射する。追加免疫:初回免疫後6ヶ月以上の間隔をおいて(標準として初回免疫終了後12ヶ月から18ヶ月までの間に)0.5mlを1回皮下注する。[接種対象者・時期]本剤の接種は、生後3月から90月までの間にある者に行うが、初回免疫については、標準として生後3月から12月までの者に、追加免疫については、標準として初回免疫終了後12箇月から18箇月を経過した者に接種すること。なお、被接種者が保育所、幼稚園等の集団生活に入る場合には、その前に接種を完了することが望ましい。[接種要注意者]
(1) 心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害等の基礎疾患を有する者
(2) 予防接種で接種後2日以内に発熱のみられた者及び全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある者
(3)過去にけいれんの既往のある者
(4) 過去に免疫不全の診断がなされている者及び近親者に先天性免疫不全症の者がいる者
(5) 本剤の成分に対してアレルギーを呈するおそれのある者

重要な基本的注意
1. 本剤は、「予防接種実施規則」及び「定期の予防接種実施要領」に準拠して使用すること。
2. 被接種者について、接種前に必ず問診、検温及び診察(視診、聴診等)によって健康状態を調べる。
3. 被接種者又はその保護者に、接種当日は過激な運動は避け、接種部位を清潔に保ち、また、接種後の健康監視に留意し、局所の異常反応や体調の変化、さらに高熱、けいれん等の異常な症状を呈した場合には速やかに医師の診察を受けるよう事前に知らせること。
[重大な副反応] 
1.ショック、アナフィラキシ-様症状 2.急性血小板減少性紫斑病 3.脳症 4.けいれん
[その他の副反応]
1. 過敏症 まれに接種直後から数日中に発疹、蕁麻疹、紅斑(多形紅斑を含む)、そう痒等があらわれることがる。

2. 全身症状 発熱、不機嫌等を認めることがあるが、いずれも一過性で2~3日中に消失する。

3. 局所症状 発赤、腫脹、水疱、疼痛、硬結等を認めることがあるが、いずれも一過性で2~3日中に消失する。ときに接種後数日を経過してから発赤、腫脹を認めることもある。また、本剤はアルミニウムを含む沈降ワクチンであるので、小さい硬結が1カ月ぐらい残存することがある。2回以上の被接種者には、ときに著しい局所反応を呈することがあるが、通常、数日中に消失する。

ワクチン成分とアレルギ-

 ワクチンには主たるワクチン成分以外に保存剤・添加物等が含まれています。その中でアレルキ゛-の原因になりうる成分は下記表にあげられるような物質です。ゼラチンなどは国内のワクチンではほとんど含まれるものはありませんが、接種を希望するワクチンの成分の解説と比較して整理して下さい。alercom               
[ゼラチン]ワクチンの安定剤としてMRワクチン・日本脳炎ワクチン・インフルエンザワクチン・DPTワクチン・おたふくかぜワクチン・水痘ワクチンなどに含まれています。当院ではゼラチンが含まれないワクチンを採用しているので、これによるアレルギ-の発生は回避されています。
[卵アルブミン]ワクチンの製造過程で発育鶏卵を使用しているのがインフルエンザワクチンです。またニワトリの胚培養細胞で当該ウイルスを増殖させているものが、MRワクチン・おたふくかぜワクチンです。残留する1回接種あたりの卵アルブミン量はごくごく少量(WHO基準は5μg以下、実際の国内流通ワクチンは1ng以下)ですが、中にはこれに反応するヒトがいます。卵アレルギ-の反応がでる可能性のある場合、あらかじめプリックテスト(10倍液、15分後に3mm以上陽性)か皮内テスト(100倍液、0.02ml皮内注射、15分後5mm以上陽性)を実施、いずれかの検査が陰性であれば通常接種、陽性の場合は分割接種の方法がとられています。
ouv卵アレルギ-があるといわれたことがあっても、現在卵・卵製品が問題なく食べられていればとくに接種する上での支障はないと考えています。
[抗菌剤]ワクチンの中には、その製造過程において主に生ワクチンの中にカナマイシン・エリスロマイシン・ストレプトマイシン等の抗生物質がごく微量含まれています。この場合接種に注意が必要ですが、これらの抗菌薬にどの程度のアレルギ-を呈したのかが接種可否の判断に重要になります。                                                  (****現在の接種量 3歳未満 0.25ml 、3歳以上 0.5ml)

[チメロサ-ル・アルミニウム等]接種後の局所の腫脹に関係が深く、チメロサ-ルを含まないワクチンが使用されてきています。







                               

ワクチン(3)(日脳・ヒブ・プレベナ-等)

日本脳炎

ジェ-ビックV
[特徴]乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン成分:不活化日本脳炎ウイルス北京株 安定剤:乳糖水物(ウシ乳由来成分)、ホルマリン、L-グルタミン酸ナトリウム 等張剤:塩化ナトリウム、塩化カリウム 緩衝剤:リン酸二水素カリウム、リン酸水素ナトリウム水和物 希釈剤:TCM-199[適応]日本脳炎の予防[用量・用法]初回免疫:1回0.5mlを1~4週間隔で2回皮下注、3歳未満は0.25mlを同様に投与 追加免疫:初回免疫後おおむね1年経過してから1回0.5mlを皮下注、3歳未満は1回0.25ml[禁忌]発熱、重篤な急性疾患、本剤成分によるアナフィラキシ-既往歴、接種不適当な状態[副作用]注射部位紅斑、腫脹、内出血、硬結、疼痛、咳嗽、鼻漏、発熱‣ショック、アナフィラキシ-様症状、急性散在性脳脊髄炎、痙攣、血小板減少性紫斑病、脳炎・脳症[注]新しいワクチンは日本脳炎ウイルスをアフリカミドリザル腎臓由来株化細胞で増殖、ホルマリンで不活化している。[製造・販売]阪大微研-田辺三菱
[接種時期]第1期は生後6ヶ月から90ヶ月までの間に行う。①初回免疫は3歳に達した時から4歳に達するまでの間、追加免疫は4歳に達した時から5歳に達するまでの期間を標準的な接種年齢とする。②第2期は9歳に達した時から10歳に達するまでの期間を標準的な接種年齢とする。③平成7年6月1日生まれから平成19年4月1日生まれの者のうち、7歳6ヶ月以上9歳未満のもの及び13歳以上20歳未満の者についても定期の予防接種の対象とする(日脳中断中の児童の救済処置)。
インフルエンザ菌
アクトヒブ[特徴]乾燥ヘモフィルスb型ワクチン(破傷風トキソイド結合体)、成分 破傷風トキソイド結合インフルエンザ菌b型多糖多糖の量として10μg、添加物 トロメタモール 0.6mg、精製白糖    42.5mg、pH調節剤 、添付溶剤 0.4%塩化ナトリウム液 0.5mL 、インフルエンザ菌に対するHib-蛋白結合ワクチン[適応]2ヶ月以上5歳未満の間にある者のインフルエンザ菌b型による感染予防[用量・用法]①2ヶ月以上7ヶ月齢未満で接種開始‣1回0.5mlを4~8週間隔で3回皮下注、追加 初回免疫後約1年経過してから1回0.5ml 皮下注②生後7ヶ月以上12ヶ月未満で開始 ‣初回免疫 1回0.5ml を4~8週間隔で2回皮下注、追加 初回免疫後、約1年を経過してから1回皮下注 ③1歳以上5歳未満‣1回皮下注[禁忌]発熱、重篤な急性疾患、本剤成分又は破傷風トキソイドによるアナフィラキシ-既往歴、接種不適当な状態[副反応]接種局所の症状、不機嫌など‣ショック、アナフィラキシ-様症状、痙攣、血小板減少性紫斑病[注]①他のワクチンと同時接種する場合は、それぞれ単独接種できる旨説明。重篤な基礎疾患がある者へは単独接種も考慮し、被接種者の状態を確認して慎重に投与②本剤は,ウシ成分 (フランス産ウシの肝臓および肺由来成分,ヨーロッパ産ウシの乳由来成分,米国産ウシの血液および心臓由来成分) を製造工程に使用している。本剤接種による伝達性海綿状脳症 (TSE) 伝播のリスクは理論的に極めて低いものと考えられるが,本剤の使用にあたってはその必要性を考慮の上,接種すること
[接種時期]本剤の接種は2ヵ月齢以上5歳未満の間にある者に行うが,標準として2ヵ月齢以上7ヵ月齢未満で接種を開始すること。また,接種もれ者に対しては上記のように接種回数を減らすことができる。 [製造・販売]サノフィパスツ-ル

肺炎球菌ワクチン

プレベナ-水性懸濁皮下注[特徴]沈降7価肺炎球菌結合型ワクチン、成分:ポリサッカライド血清型4:2μg、ポリサッカライド血清型6B:4μg、ポリサッカライド血清型9V:2μg、ポリサッカライド血清型14:2μg、ポリサッカライド血清型18C:2μg、ポリサッカライド血清型19F:2μg、ポリサッカライド血清型23F:2μg、CRM197:約20μg(たん白質量として) 、添加物:塩化ナトリウム4.5mg、リン酸アルミニウム0.125mg(アルミニウム換算)[適応]2ヶ月齢以上9歳以下の間にある者の肺炎球菌(血清型4、6B、9V、14、18C、19F及び23F)による侵襲性感染症の予防[用量・用法]・初回免疫‣通常、1回0.5mLずつを3回、いずれも27日間以上の間隔で皮下に注射する。 ・追加免疫 ‣通常、1回0.5mLを1回、皮下に注射する。ただし、3回目接種から60日間以上の間隔をおく[禁忌]本剤又はジフテリアトキソイドによるアナフィラキシ-既往歴、発熱、重篤な急性疾患、接種不適当な状態[副作用]感冒、紅斑(80~90%)、硬結、腫脹、疼痛、圧痛、嘔吐、食欲減退、傾眠状態、易刺激性、泣き、発熱‣ショック、アナフィラキシ-様症状、痙攣、血小板減少性紫斑病[注]①*本剤と他のワクチンを同時に同一の被接種者に対して接種する場合は、それぞれ単独接種することができる旨の説明を行うこと。特に、被接種者が重篤な基礎疾患に罹患している場合は、単独接種も考慮しつつ、被接種者の状態を確認して慎重に接種すること(厚生労働省のホームページ1)を参照)。② 生後6週未満又は10歳以上の者に対する安全性及び有効性は確立していない。 ③本剤に含まれる肺炎球菌血清型に起因する中耳炎及び肺炎の予防効果は確認されていない。[製造・販売]ファイザ-
[接種時期]1. 接種対象者・接種時期 本剤の接種は2カ月齢以上9歳以下の間にある者に行う。
標準として2カ月齢以上7カ月齢未満で接種を開始すること。ただし、3回目接種については、12カ月齢未満までに完了し、追加免疫は、標準として12~15カ月齢の間に行うこと。
また、接種もれ者に対しては下記の接種間隔及び回数による接種とすることができる。
7カ月齢以上12カ月齢未満(接種もれ者)
・初回免疫:1回0.5mLずつを2回、27日間以上の間隔で皮下に注射する。
・追加免疫:1回0.5mLを1回、2回目の接種後60日間以上の間隔で、12カ月齢後、皮下に注射する。
12カ月齢以上24カ月齢未満(接種もれ者)
・1回0.5mLずつを2回、60日間以上の間隔で皮下に注射する。
24カ月齢以上9歳以下(接種もれ者)
・1回0.5mLを皮下に注射する。
ニュ-モパックスNP[特徴]成分は肺炎球菌莢膜ポリサッカライド 、1バイアル中 次の23種類の肺炎球菌の莢膜中に存在するポリサッカライドを各型あたり25μgずつ (総計575μg) 含有する。肺炎球菌莢膜型 (デンマーク式命名法):1、2、3、4、5、6B、7F、8、9N、9V、10A、11A、12F、14、15B、17F、18C、19A、19F、20、22F、23F、33F  添加物 :フェノール 1.25mg、塩化ナトリウム 4.5mg [適応]2歳以上で肺炎球菌による重篤疾患に罹患する可能性の高い次のような個人及び患者[製造・販売]MSD
(1) 脾摘患者における肺炎球菌による感染症の発症予防
(2) 肺炎球菌による感染症の予防
  1)鎌状赤血球疾患、あるいはその他の原因で脾機能不全である患者
  2) 心・呼吸器の慢性疾患、腎不全、肝機能障害、糖尿病、慢性髄液漏等の基礎疾患
  3)高齢者
4)免疫抑制治療が予定されている者で治療開始まで少なくとも14日以上の余裕のある患者
[用量・用法]1回0.5ml 筋注、皮下注[禁忌]
(1)2歳未満の者では、含有される莢膜型抗原の一部に対して十分応答しないことが知られており、また本剤の  安全性も確立していないので投与しないこと。
(2) 明らかな発熱を呈している者
(3) 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者
(4)本剤の成分によってアナフィラキシーを呈したことがあることが明らかな者
(5) 上記に掲げる者のほか、予防接種を行うことが不適当な状態にある者
[副作用]倦怠感、違和感、悪寒、発熱 、ほてり、関節痛、関節炎、筋肉痛、可動性の低下、注射部位:疼痛、熱感、腫脹、発赤、硬結、腋窩痛、掻痒感、感覚異常、熱性けいれん、悪心・嘔吐、リンパ節症・リンパ節炎、白血球数増加、じんましん、皮疹、CRP上昇、GPT上昇‣シュック、アナフィラキシ-様症状、痙攣、血小板減少性紫斑病、蜂巣炎、ギランバレ-症候群[注]主に高齢者の肺炎球菌性肺炎の予防に使用している。5年あけると2回目の接種可能。

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インフルエンザワクチン

用量(1人or2人用)・シリンジ 等各種あるため、用途に応じて3種類を採用しています。

Flu-シリンジ[特徴]成分(製造株)A/カリフォルニア/7/2009(H1N1)pdm09 株 ,A/ビクトリア/210/2009(H3N2)株、B/ブリスベン/60/2008 株、各株のHA含量(相当値)は、1株当たり15μg以上 添加物:ホルマリン(ホルムアルデヒド換算) 0.0026w/v%以下、チメロサール 0.002mg、塩化ナトリウム 4.25mg、リン酸水素ナトリウム水和物 0.863mg、リン酸二水素カリウム 0.125mg [適応]インフルエンザの予防[用量・用法]6ヶ月以上3歳未満のものには0.25mLを皮下に、3歳以上13歳未満のものには0.5mLを皮下におよそ2~4週間の間隔をおいて2回注射する。13歳以上のものについては、0.5mLを皮下に、1回又はおよそ1~4週間の間隔をおいて2回注射する。[禁忌](1)明らかな発熱を呈している者(2)重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者 (3)本剤の成分によってアナフィラキシーを呈したことがあることが明らかな者 (4)上記に掲げる者のほか、予防接種を行うことが不適当な状態にある者 [接種注意者]注意して接種すること。
(1)    心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害等の基礎疾患を有する者 (2)予防接種で接種後2日以内に発熱のみられた者及び全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある者(3)過去にけいれんの既往のある者 (4)過去に免疫不全の診断がなされている者及び近親者に先天性免疫不全症の者がいる者(5)*間質性肺炎、気管支喘息等の呼吸器系疾患を有する者(6)本剤の成分又は鶏卵、鶏肉、その他鶏由来のものに対して、アレルギーを呈するおそれのある者  [副作用]

1. **ショック、アナフィラキシー様症状(0.1%未満)ショック、アナフィラキシー様症状(蕁麻疹、呼吸困難、  血管浮腫等)
2. **急性散在性脳脊髄炎(ADEM)(0.1%未満) 急性散在性脳脊髄炎(ADEM)があらわれることがある。通常、接種後数日から2週間以内に発熱、頭痛、けいれん、運動障害、意識障害等があらわれる。本症が疑われる場合には、MRI等で診断し、適切な処置を行うこと。
3. **ギラン・バレー症候群(頻度不明) ギラン・バレー症候群があらわれることがあるので、四肢遠位から始まる弛緩性麻痺、腱反射の減弱ないし消失等の症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
4. **けいれん(頻度不明) けいれん(熱性けいれんを含む)があらわれることがあるので、症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
5. **肝機能障害、黄疸(頻度不明) AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、Al-Pの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと
6. **喘息発作(頻度不明) 喘息発作を誘発することがあるので、観察を十分に行い、症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
7. **,*血小板減少性紫斑病、血小板減少(頻度不明)血小板減少性紫斑病、血小板減少があらわれることがあるので、紫斑、鼻出血、口腔粘膜出血等の異常が認められた場合には、血液検査等を実施し、適切な処置を行うこと。
8. **,*血管炎(アレルギー性紫斑病、アレルギー性肉芽腫性血管炎、白血球破砕性血管炎等)(頻度不明) 血管炎(アレルギー性紫斑病、アレルギー性肉芽腫性血管炎、白血球破砕性血管炎等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
9. **,*間質性肺炎(頻度不明) 間質性肺炎があらわれることがあるので、発熱、咳嗽、呼吸困難等の臨床症状に注意し、異常が認められた場合には、胸部X線等の検査を実施し、適切な処置を行うこと。
10. **,*脳炎・脳症、脊髄炎(頻度不明)脳炎・脳症、脊髄炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、MRI等で診断し、適切な処置を行うこと。
11. **皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明) 皮膚粘膜眼症候群があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと。
その他: 
[注意]2回接種を行う場合の接種間隔は、免疫効果を考慮すると4週間おくことが望ましい。1歳以下の乳児では有効性は不確定。
インフルエンザHAワクチン1.0ml[l特徴]*A/カリフォルニア/7/2009(H1N1)pdm09株、*A/ビクトリア/210/2009、(H3N2)株、B/ブリスベン/60/2008株、:各株のHA含量(相当値)は1株当たり30μg以上、添加物:ホルマリン(ホルムアルデヒドとして):0.01w/v%以下、フェノキシエタノール:0.0045mL、塩化ナトリウム:8.1mg、リン酸水素ナトリウム水和物:2.5mg、リン酸二水素カリウム:0.4mg [製造販売]化血研-アステラス
インフルエンザHAワクチン0.5ml[特徴]成分(1ml中)A型株 A/カリフォルニア/7/2009 (H1N1)pdm09 HA含有量(相当値)は、1株当たり30μg以上 A/ビクトリア/210/2009 (H3N2) HA含有量(相当値)は、1株当たり30μg以上B型株 B/ブリスベン/60/2008 HA含有量(相当値)は、1株当たり30μg以上 安定剤:ホルマリン 0.1μL以下 緩衝剤:リン酸水素ナトリウム水和物 2.51mg,リン酸二水素カリウム 0.408mg,塩化ナトリウム 8.3mg 分散剤 :ポリソルベート80 0.1μL以下,保存剤  チメロサール 0.005mg [製造販売]北里第一三共

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***インフルエンザワクチンは平成27年度より下記のような4価ワクチンになります。インフルエンザBに対しては1種類のみでは流行を抑えづらいため2系統を加えて接種することになります。

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未採用不活化ワクチン

サ-バリックス[適応]ヒトパピロ-マウイルス16型及び18型に起因する子宮頸がんの予防[用量・用法]1回0.5ml
を3回(初回、1ヶ月後、6ヶ月後)上腕の三角筋部に筋注[接種時期]10歳以上の女性
ガ-ダシル[適応]ヒトパピロ-マウイルス6、11、16、18型型に起因する子宮頸がんの予防[用量・用法]1回0.5mlを初回、2ヶ月後、6ヶ月後に3回筋注[接種時期]9歳以上の女性[副作用]局所の疼痛、腫脹、紅斑、発熱、頭痛‣過敏症反応、ギランバレ-症候群、血小板減少性紫斑病、急性散在性脳炎(ガ-ダシルルも同じ)
ビ-ムゲン[適応][用量・用法]1. B型肝炎の予防 通常、0.5mLずつを4週間隔で2回、更に、20~24週を経過した後に1回0.5mLを皮下又は筋肉内に注射する。ただし、10歳未満の者には、0.25mLずつを同様の投与間隔で皮下に注射する。ただし、能動的HBs抗体が獲得されていない場合には追加注射する。



2. B型肝炎ウイルス母子感染の予防(抗HBs人免疫グロブリンとの併用) 通常、0.25mLを1回、生後2~3箇月に皮下に注射する。更に、0.25mLずつを初回注射の1箇月後及び3箇月後の2回、同様の用法で注射する。ただし、能動的HBs抗体が獲得されていない場合には追加注射する。



3. HBs抗原陽性でかつHBe抗原陽性の血液による汚染事故後のB型肝炎発症予防(抗HBs人免疫グロブリンとの併用) 通常、0.5mLを1回、事故発生後7日以内に皮下又は筋肉内に注射する。更に0.5mLずつを初回注射の1箇月後及び3~6箇月後の2回、同様の用法で注射する。なお、10歳未満の者には、0.25mLずつを同様の投与間隔で皮下に注射する。ただし、能動的HBs抗体が獲得されていない場合には追加注射する。
[副反応]倦怠感、頭痛・頭重感、発熱、局所における疼痛、腫脹、硬結、熱感‣*多発性硬化症、急性散在性脳脊髄炎、ギラン・バレー症候群・ショック、アナフィラキシ-様症状

ワクチン(2)(MR・水痘・おたふくかぜ)

ミ-ルビック[特徴]乾燥弱毒麻疹風疹混合ワクチン、成分<弱毒生麻しんウイルス(田辺株) 5000PFU以上、毒生風しんウイルス(松浦株) 1000PFU以上 緩衝剤:リン酸水素ナトリウム水和物 0.7mg 、リン酸二水素ナトリウム 0.07mg 安定剤:乳糖水和物 18mg 、D-ソルビトール 5.4mg 、L-グルタミン酸ナトリウム 1.8mg、抗菌剤:カナマイシン硫酸塩 36μg(力価)以下 、エリスロマイシンラクトビオン酸塩 11μg(力価)以下着色剤:フェノールレッド 1.8μg以下 希釈液:TCM-199 残量:糖水和物・エリスロマイシンラクトビオン酸塩:ウシの乳由来成分。抗菌剤及び着色剤は細胞培養に用いるTCM-199中に含有する。 ニワトリ胚培養細胞使用>[適応]麻疹及び風疹の予防[用量・用法]1回0.5ml皮下注[禁忌]発熱、重篤な急性疾患、本剤の成分によるアナフィラキシ-既往歴、免疫異常、免疫抑制療法中、妊婦、接種不適当な状態[併用禁忌]副腎皮質ステロイド・免疫抑制薬[副作用]発疹、じんましん、紅斑、掻痒、発熱、不機嫌、咳、鼻汁、発赤、腫脹、頭痛、硬結‣ショック・アナフィラキシ-様症状、血小板減少性紫斑病、急性散在性脳炎、脳炎・脳症、熱性けいれん[製造販売]阪大微研-田辺三菱
[注意]接種後10日から12日前後で発熱・発疹等みとめることあり、予防接種ワクチンウイルスにより軽症な麻疹様の副反応と考える。症状が強いときは受診して確認。[製造・販売]北里第一三共
使用成績調査(第7回定期報告時):1回目接種症例3043例中、接種後30日間に1034例(34.0%)の副反応が認められた。その主なものは発熱511例(16.8%)、注射部位発赤299例(9.8%)、鼻汁287例(9.4%)、咳嗽217例(7.1%)、発疹178例(5.8%注射部位腫脹160例(5.3%)、下痢119例(3.9%)、不機嫌64例(2.1%)であった。また、2回目接種症例1725例中、接種後30日間に445例(25.8%)の副反応が認められた。その主なものは注射部位発赤268例(15.5%)、注射部位腫脹166例(9.6%)、鼻汁79例(4.6%)、発熱74例(4.3%)、咳嗽72例(4.2%)、発疹32例(1.9%)であった。
[接種時期]

1)第1期 生後12月から24月に至るまでの間にある者。 
2) 第2期 5歳以上7歳未満の者であって、小学校就学の始期に達する日の1年前の日から当該始期に達する日の前日までの間にある者(小学校就学前の1年間にある者)。

3)第3期 13歳となる日の属する年度の初日から当該年度の末日までの間にある者。
4)第4期 18歳となる日の属する年度の初日から当該年度の末日までの間にある者。 第3期及び第4期は平成20年4月1日から平成25年3月31日までの適用する。
おたふくかぜ生ワクチン[特徴]成分 :弱毒生ムンプスウイルス(星野株) 5,000CCID50以上 安定剤 :乳糖水和物 5.0W/V% (備考)ウシの乳由来 、D-ソルビトール 1.8W/V%、L-グルタミン酸ナトリウム 0.2W/V% 抗生物質 エリスロマイシンラクトビオン酸塩 10μg(力価)以下、カナマイシン硫酸塩 10μg(力価)以下 [適応]おたふくかぜの予防[用量・用法]1回0.5ml 皮下注[禁忌]発熱、重篤な急性疾患、本剤成分によるアナフィラキシ-既往歴、免疫機能異常、免疫抑制療法中、妊婦、接種不適当な状態[併用禁]副腎皮質ステロイド、免疫抑制剤[副作用]発熱、耳下腺腫脹、咳、鼻汁、嘔吐、局所の発赤、腫脹‣ショック、アナフィラキシ-様症状、無菌性髄膜炎、急性散在性脳脊髄炎、脳炎・脳症、血小板減少性紫斑病、難聴、精巣炎[注]無菌性髄膜炎は2,300人接種あたり1人程度発生との報告。
[接種時期]接種対象は、生後12月以上のおたふくかぜ既往歴のない者であれば性、年齢に関係なく使用できる。ただし、生後24~60月の間に接種することが望ましい。(集団生活前、入園前もしくは入学前を進めている)
乾燥弱毒性水痘ワクチン「ビケン」[特徴]成分:弱毒生水痘ウイルス(岡株) 1000PFU以上 緩衝剤:塩化ナトリウム 1.14mg 、塩化カリウム 0.03mg 、りん酸二水素カリウム 0.29mg、リン酸水素ナトリウム水和3.14mg 安定剤:精製白糖 25.0mg 、L-グルタミン酸ナトリウム 0.36mg 抗菌剤:カナマイシン硫酸塩7μg(力価)以下エリスロマイシンラクトビオン酸塩 2μg(力価)以下、エリスロマイシンラクトビオン酸塩:ウシの乳由来成分。抗菌剤は細胞培養に用いるBME培地中に含有する[適応]水痘の予防[用量・用法]1回0.5ml 皮下注[禁忌]発熱、重篤な急性疾患、本剤成分によるアナフィラキシ-既往歴、免疫機能異常、免疫抑制療法中、妊婦、接種不適当な状態[副作用]発疹、蕁麻疹、紅斑、掻痒、発熱、腫脹、硬結 ‣アナフィラキシ-様症状、血小板減少性紫斑病 <ハイリスク患者>発熱を伴った丘疹、水疱性発疹、帯状疱疹[有効性]被接種者の約20%は罹患するとの報告がある。ただし、発症した場合でも多くは軽症(発疹50個以下)に経過するが、中には自然水痘と同様な症状を示すことあり。
[補足説明]全身症状:健康小児及び成人に本剤を接種すると、接種後1~3週間ごろ、ときに発熱、発疹が発現することがあるが、一過性で、通常、数日中に消失す。ハイリスクの患者に本剤を接種した場合、接種後14~30日に発熱を伴った丘疹、水疱性発疹が発現することがある。このような臨床反応は通常の接種では急性リンパ性白血病患者の場合約20%である。
[接種時期]生後12月以上の水痘既往歴のない者及び下記白血病・悪性腫瘍・ネフロ-ゼ症候群などで免疫が低下していて罹患すると重症重篤な経過をとるハイリスク患者に該当するもの。
未採用生ワクチン
経口ポリオワクチン(セ-ビン)Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ型混合
[特徴]1瓶20ml(20人用)のため集団接種向き、成分:I 型(LSc,2ab株) 105.5~106.5CCID50 、II 型(P712,Ch,2ab株) 104.5~105.5CCID50 、III 型(Leon,12a1b株) 105.0~106.0CCID50 、添加物 ラクトアルブミン加水分解物 : 0.09375mg以下 : ウシの乳抽出物、日局ゼラチン : 0.00375mg以下 : ブタの骨髄抽出物、日局精製白糖 : 17.5mg、ストレプトマイシン硫酸塩 : 10μg(力価)エリスロマイシンラクトビオン酸塩 : 1μg(力価)、フェノールレッド : 0.0004mg以下、日局酢酸 : 適量。本剤は製造工程において、ウシ血液由来成分(血清)及びブタの膵臓由来成分(トリプシン)を使用している。
[適応]急性灰白髄炎の予防[用量・用法]1回0.05ml 41日以上(6週)間隔をおいて2回経口
[接種時期] 接種対象者・接種時期:定期接種の接種対象年齢は生後3月から90月に至るまでの間であるが、生後3月から18月までの間に2回の接種を完了することが望ましい。 [禁忌]発熱、重篤な急性疾患、本剤成分によるアナフィラキシ-既往歴、免疫機能異常、免疫抑制療法中、重度の下痢症患者、妊婦、接種不適当な状態[併用禁]副腎皮質ステロイド、免疫抑制薬[併用注意]他の生ワクチン[副作用]ワクチン接種後に極めてまれに弛緩性麻痺例の認められることが報告されているしかし、これがワクチンだけの原因によると確定することは難しいわが国での経口生ポリオワクチン被接種者に対するワクチン関連麻痺例の出現頻度は1981~2006年の間に、免疫異常のない被接種者から麻痺患者が出た割合は約486万回接種当たり1人、接触者の場合は約789万回接種当たり1人である
[よくみられる副作用] 下痢、発熱、おう吐 
1.下痢:接種後2日までに1回目では約4.9%、2回目では約4.1%の下痢がみられるとの報告がある。
2.発熱:接種後の37.5℃以上38.5℃未満の発熱は、接種後1~3日目に発現のピークがあり、接種後3日までに1回目では約1.7%、2回目では約2.0%の発現率であるとの報告がある。
3.嘔吐:接種後2日までに1回目では約1.3%、2回目では約1.0%に嘔吐がみられるとの報告がある。
[注]下痢患者には治癒してから接種する。まれにポリオが発生することがあり、不活化ポリオワクチンが導入される(平成24年9月より予定)。
未採用生ワクチン
ロタリックス[特徴]弱毒生ヒトロタウイルスワクチン、成分 :弱毒生ヒトロタウイルス(RIX4414株) 6.0log10 CCID50以上 安定剤 :精製白糖 1.073g 緩衝剤:アジピン酸 100.75mg 緩衝剤 :水酸化ナトリウム 54.76mg、生後6週から接種可能[適応]ロタウイルスによる胃腸炎の予防[用量・用法]1回1.5mlを4週間以上間隔をおいて2回経口[禁忌]発熱、重篤な急性疾患、接種後本剤成分による過敏症、未治療の先天性消化管障害、腸重積症、重症複合免疫不全症、接種不適当な状態[副作用]易刺激性、発熱、下痢、血便、咳嗽、皮膚炎
[接種時期]
生後6週から初回接種を開始し、少なくとも4週間の間隔をおいて2回目の接種を完了する。遅くとも生後24週までには接種を完了させること。また、早期産児においても同様に接種することができる。
なお、初回接種は生後14週6日までに行うことが推奨されている。
[注意]1)重度な急性発熱性疾患にかかっている者は接種を延期すること。ただし、軽微な感染症(感冒等)の場合は接種を延期する必要はない。 2) 下痢又は嘔吐の症状を呈している者は接種を延期すること。
ロタテック[特徴]弱毒生ヒトロタウイルスワクチン、5つの血清型に有効 成分:弱毒生ヒトロタウイルス(W179-9株、SC2-9株、W178-8株、BrB-9株、W179-4株) 添加物:精製白糖、水酸化ナトリウム、クエン酸ナトリウム水和物、リン酸二水素ナトリウム水和物、ポリソルベ-ト80、ロタウイルス希釈液[適応疾患]ロタウイルスによる胃腸炎の予防[用量・用法]乳児に通常、4週間以上の間隔をおいて3回経口摂取し、接種量は毎回2mlとする[副作用]下痢、嘔吐、便秘、発熱、胃腸炎、咽頭炎、ラクト-ス不耐症、気管支痙攣、じんましん[接種要注意者]1)心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害等の基礎疾患を有する者2)予防接種で接種後2日以内に発熱がみられた者及び全身性発疹等のアレルギ-を疑う症状を呈したことがある者3)過去に痙攣の既往のある者4)免疫機能に異常がある疾患を有する者及びそのおそれがある者、免疫抑制をきたす治療を受けている者、近親者に先天性免疫不全症の者がいる者5)胃腸障害(活動性胃腸疾患、慢性下痢)のある者
[接種時期]
初回接種は6週齢以上とし、4週以上の間隔をおいて32週齢までに3回経口接種を行う。また早産児においても同様に接種することができる。

ワクチン(1)(BCG)


BCG[特徴]乾燥BCGワクチン、カルメット・ゲラン菌12mg/1人用 [適応]結核の予防[用量・用法]溶解して80mg/ml溶液とし、管針法により経皮接種(詳細は下記)[禁忌]発熱、重篤な急性疾患、ケロイド、結核の既往歴、免疫機能異常、免疫抑制療法中、接種不適当な状態(アトピ-で接種部位がないなど)、アナフィラキシ-既往歴[副作用]過敏症、局所の発赤、硬結、膿疱形成、リンパ節腫大‣ショック、アナフィラキシ-様症状、全身性播種性BCG感染症、骨膜炎、骨髄炎、皮膚結核様病変[注] **過敏症 の内容→接種直後から数日中に発疹、蕁麻疹、紅斑 (多形紅斑を含む)、そう痒等があらわれる。
[接種時期]0~6ヶ月
[有効性]
 BCG接種の有効性は (1)BCG接種は適切に行われれば結核の発病を、接種しなかった場合の4分の1くらいに抑える。(2)BCG接種は、結核性髄膜炎や粟粒結核など小児の重篤な結核の発病予防には特に効果は高い。(3)BCGワクチンは一度接種すれば、その効果は10年~15年ほど持続する。
 BCG接種の副反応としては、接種後腋窩リンパ節腫脹をきたすことがあるが、ほとんどすべて2~3カ月で縮小、消失するので経過観察でよい。ごくまれに穿孔、排膿することがある (0.02%以下)。このほか、例外的な副反応として骨炎、狼瘡等が報告されているが、いずれもきわめてまれである。
BCG
                                                   (接種6週後化膿かさぶた付着)                       


1. 接種の方法                                                                                                           

(1) ワクチンの懸濁
添付の溶剤でワクチンを懸濁して、80mg/mLの濃度の懸濁液を調製する。
(詳細は「取扱い上の注意」の項参照)
(2) 接種部位
上腕外側のほぼ中央部に行う。肩部に行うとケロイドを生じやすいので絶対に行ってはならない。
再接種の際には、前の瘢痕のあるところは必ず避ける。
(3) 接種部位の消毒
接種部位をアルコール綿で消毒する。乾かないうちにワクチンをたらすとBCGが死滅するので、よく乾いてからワクチンを滴下する。
(4) ワクチンの滴下と塗布
接種者は被接種者の上腕を左手で下から握り、ほぼ水平に固定する。アルコールが乾くのを待ってスポイトを垂直か、わずかに傾けて保持し、接種に十分な量(大きめの1滴)のワクチンを滴下する 。このとき、スポイトの先端が皮膚にふれないように注意する。
通常、1滴で十分であるが、不十分であると思われるときは、さらにもう1滴加える。滴下されたワクチンを管針のツバの側面で上腕の縦方向に沿って幅約1.5cm、長さ約3cm程度の範囲に塗りひろげる (ツバで強くこすり塗布層が薄くなり過ぎないよう注意する) 。

 
(5) ワクチンの接種
ワクチンを塗りひろげた後、管針を皮膚面に垂直に保持し、上腕部を下からささえている左手で強く握って接種部位の皮膚を緊張させ、ツバの両端が皮膚に十分つくまで (通常、皮膚が5~6mmへこむ程度) 管針を強く押して接種する 。

 
接種数は2箇とする 。2カ所の押し方は、管針の円跡が相互に接するようにして腕の縦方向とツバの縦方向とが一致するようにする。2カ所の接種が重なると、局所反応が融合するおそれがあるので、必ず針痕が長方形に並ぶように接種する。なお、管針を押すとき、管針をねじらないように注意すること。

 

押し終ったら、ワクチンを塗りひろげたときと同様にツバの側面で皮膚上のワクチンを2~3回針痕になすりつける 。
ときに接種した針痕から少量の出血をみることがあっても、そのまま放置しておく。もし接種の方法を誤った場合も押し直しはしないこと。

2. 接種前の準備

(1) ディスポBCG接種用管針(ディスポ管針)とは
経皮接種に用いる管針は、9本の細い針が、直径2cmのプラスチック製円筒の中に4.5mm間隔で固定されており、針先は、円筒の縁とほぼ同じ高さになっている。管針を1本ずつパックしてガンマ線滅菌したもので、開封するだけですぐに使用できるディスポーザブル(使い捨て)タイプの管針である。管針は、針先が重要であるので、針先を損じないよう取り扱いに十分注意しなければならない。
 
(2) ワクチンの懸濁方法
1) アンプル内の乾燥BCGワクチンの乾燥状態を確認する。
(万一吸湿している場合は、乾燥体がアメ色になり管壁にべったりとついている。このようなときは使用してはならない。)

2) アンプルの頸部にアンプルカットでキズをつけ、アルコール綿で清拭し乾燥後、添付のポリ袋でアンプル全体を包み、ポリ袋をねじって袋の中の空気を追い出した上で静かに折って開口する。
(アンプルカット凹部の鋭角部をアンプル頸部にあて、全周にキズをつける 。アルコールが乾く前にアンプルを開口すると、アンプル内にアルコールが混入し、懸濁できなくなるので注意する。)
これらの操作は、真空であるアンプル内への空気の急激な流入を防ぐためのものである。

 
3)次に溶剤(生理食塩液)アンプルの頸の部分をアルコール綿で清拭し、カットマークを上にして正しく反対側に折って開口する。スポイトに生理食塩液全量を吸い上げ、ワクチンアンプルの内壁に沿ってゆっくり注入し、しばらく(2~3分)静置してワクチンを均等に十分湿らせ、泡をたてないようアンプルを静かに振って均等なBCG懸濁液とする。これで80mg/mLの濃度のワクチンが得られる。
(溶剤をワクチンの上に一気に注ぐと、ワクチンが懸濁せず(とけず)に残って不均等になることがある。)
4) 十分に懸濁した(とけた)ワクチンを、同じスポイトを用いて、泡をたてないようゆっくりと吸い上げる。 

<BCG接種後の皮膚の変化は気になるところです。下記の写真を参考にしてください。>


bcgato






































沈降精製百日咳ジフテリア破傷風混合ワクチン(三種混合ワクチン:DPT)[特徴]0.5ml中百日咳防御抗原8I.U以上、ジフテリアトキソイド33.Lf以下、破傷風トキソイド5Lfを含有。<添加物 ブドウ糖:0.5mg、L-リジン塩酸塩:0.05mg以下、ホルマリン(ホルムアルデヒドとして):0.05mg以下、チメロサール:0.002mg、塩化アルミニウム:1.5mg以下、水酸化ナトリウム:0.6mg以下、塩化ナトリウム:3.75mg、リン酸水素ナトリウム水和物:0.16mg、リン酸二水素ナトリウム:0.16mg>百日咳罹患者にも接種可能[適応]百日咳・破傷風・ジフテリアの予防[禁忌]発熱、重篤な急性疾患、本剤成分によるアナフィラキシ-既往歴、接種不適当な状態[副作用]局所の発赤、腫脹、疼痛、水疱、硬結、発熱、発疹、じんましん、紅斑、掻痒、不機嫌‣ショック、アナフィラキシ-様症状、急性血小板減少性紫斑病、脳症、痙攣[販売製造]化血研、アステラス製薬
[用量・用法]初回免疫: 1回0.5ml、3~8週間隔で3回皮下注。追加免疫:初回免疫後6ヶ月以上の間隔をおいて0.5ml皮下注
[接種時期]Ⅰ期初回‣生後3ヶ月から90ヶ月にいたるまでのまで Ⅰ期追加‣生後3ヶ月から90ヶ月にいたるまでの者(Ⅰ期初回3回接種終了後、6ヶ月以上間隔を置く)。Ⅱ期‣11歳以上13歳未満の者(ただしⅡ種混になる)。  
DTビック(DT)
[特徴]沈降ジフテリア・破傷風混合トキソイド[適応]ジフテリア・破傷風の予防[用量・用法]①初回免疫:1回0.5ml、3~8週間角で2回皮下注 追加免疫:初回免疫後6ヶ月以上の間隔をおいて0.5ml皮下注 ②10才以上 0.1ml皮下注[副作用]局所の発赤、腫脹、疼痛、硬結、発熱、悪寒、頭痛、倦怠感、下痢、めまい、関節痛‣ショック、アナフィラキシ-様症状[販売製造]阪大微研-田辺三菱
[接種時期]11歳以上13歳未満のもの


[副作用の補足説明]
1. 過敏症 (まれ)
まれに接種直後から数日中に発疹、蕁麻疹、紅斑(多形紅斑を含む)、そう痒等があらわれることがある。
2. 全身症状 (頻度はそれほど多くない。)
発熱、不機嫌等を認めることがあるが、いずれも一過性で2~3日中に消失する。
3. 局所症状 (よくみられる、上腕のみならず前腕まで腫れることがある。)
発赤、腫脹、水疱、疼痛、硬結等を認めることがあるが、いずれも一過性で2~3日中に消失する。ときに接種後数日を経過してから発赤、腫脹を認めることもある。
また、本剤はアルミニウムを含む沈降ワクチンであるので、小さい硬結が1カ月ぐらい残存することがある。
2回以上の被接種者には、ときに著しい局所反応を呈することがあるが、通常、数日中に消失する。(主な副反応として局所の発赤(5cm以上)は1期1回目0.4%、2回目3.7%、3回目2.1%、追加12.5%であり、硬結(はっきり触れる)は同様に0.8%、18.1%、9.6%、21.3%に認められた。また、肘を超えて腫れたのは接種を行った全対象者2,669例中2例(0.07%)であった。)

B型肝炎ワクチン

B型肝炎ワクチン

B型肝炎は輸血・針刺し事故・かつての予防接種・母子感染等で感染しますが、わずかに夫婦家族間もしくは園などの水平感染も指摘され、それらを予防する目的で平成28年10月より任意の予防接種から定期接種になりました。

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ビ-ムケ゜ン注0.25ml[特徴]組換えDNA技術を応用して、酵母により産生されたHBs抗原を含む液にアルミニウム塩を加えてHBs抗原を不溶性とした液剤[組成]HBs抗原、水酸化アルミニウム、ホルマリン、チメロサ-ル、塩化ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム水和物、リン酸二水素ナトリウム[効能]B型肝炎の予防 [用量・用法]10未満:0.25mlずつを4週間隔で2回、さらに20~24週経過したあとに1回0.25mlを皮下注,通常は0.5ml を皮下または筋肉内に注射する。ただし能動的HBs抗体が獲得されてないときは追加注射する。[副作用]ショック、アナフィラキシ-、多発性硬化症、ギランバレ-症候群、急性散在性脳脊髄炎、湿疹、掻痒、じんましん、局所症状(疼痛、発赤、腫脹、掻痒感、硬結)、けいれん、しびれ、めまいなど
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ヘプタバックス-Ⅱ注0.5ml[特徴]組換えDNA技術を応用して、酵母により産生されたB型肝炎ウイルス表面抗原を含む液に液にアルミニウム塩を加えてHBs抗原を不溶性とした液剤[組成]組換えHBs抗原たんぱく質、アルミニウム塩、塩化ナトリウム[効能]B型肝炎の予防 [用量・用法]10未満:0.25mlずつを4週間隔で2回、さらに20~24週経過したあとに1回0.25mlを皮下注,通常は0.5ml を皮下または筋肉内に注射する。ただし能動的HBs抗体が獲得されてないときは追加注射する。[副作用]ショック、アナフィラキシ-、ギランバレ-症候群、急性散在性脳脊髄炎、湿疹、掻痒、局所症状(疼痛、腫脹、掻痒感、硬結)、けいれん、めまい、嘔気、下痢、血小板減少など


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新型コロナウイルスワクチン(コミナティ筋注)

WHOによりパンデミックを宣言され世界的に猛威(現時点2019.8で約2億人感染)ふるっている新型コロナウイルス(SERS cov-2)のワクチンが開発され全世界で接種が進み大きな貢献をしています。
  • 人工的に体内でウイルスのスパイク蛋白をつくるmRNAワクチン
  • 新型コロナウイルス起源株/オミクロン株(BA1)の2価ワクチン
  • 体内のmRNAはマウスでは9日以内に消失

  • ワクチン有効性 95%    
  •  重症化阻止 88.9%    
  • 12歳以上:コミナティ起源株:3週間間隔で2回接種(0.3mを筋注) :3回目以降コミナティRTU(起源株/ オミクロンt株B4-5)
  • 6ヶ月から4歳、5歳から11歳は0.2mlを3回筋注(1回目⇒2回目3週間、2回目から3回目8週間の間隔)
[新型コロナウイルスの細胞への感染]
コミナティ




















作用

















[副反応]
[副反応






薬の副作用

 薬には用量を守って通常の投薬を行ったにもかかわらず、本来の効能以外に予期せぬ人体にとって不都合もしくは有害な作用がみられることが少なくありません(異常薬物反応もしくは副作用、薬の副作用の9割程度を占める)。その中で、免疫的なメカニズムを介して発症するのが薬剤アレルギ-です。こどもではとくに発疹を中心とした反応が少なからずみとめられ、保護者の心配の原因になります。そこで薬剤アレルギ-の知識を整理してみたいと考えます。
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薬剤アレルギ-

 全身に及ぶ薬剤アレルギ-

      ***アナフィラキシ-

    *薬剤性発熱

    *薬剤誘発性自己免疫性疾患

    *血清病様症状

  組織臓器ごとにみられる薬剤アレルギ-

   [皮膚・粘膜に発症する]薬疹と総称されているもの、軽症から重症まで様々。

   ***発疹、固定薬疹、じんましん、血管性浮腫、紫斑、接触性皮膚炎

   **日光過敏症

    *中毒性表皮壊死症・急性皮膚粘膜眼症候群・多形滲出性紅斑

   [血液に発症する]

    *好酸球増多、血小板減少、赤血球減少、白血球減少

   [腎臓に発症する]

    *間質性腎炎、血管炎

   [肝臓に発症する]

    *胆汁うっ滞性肝炎

   [肺に発症する]

    *間質性肺炎、肺線維症等

   [心臓に発症する]

    *心膜炎、心筋炎 

 臨床アレルギ-学2007を参考に 比較的よくみられる病態を取り上げています。

    こどもが薬を服用した場合、なんらかの副作用が発現する頻度は9.5%と考えられています。薬疹の頻度は2.4%程度ですが、低年齢ではウイルス感染にともなって出現する発疹と紛らわしく、実際にはウイルス感染によるものが多いと考えられていて、判断を難しくしています。感冒時・発熱時の発疹は薬疹の可能性はむしろ少ないと考えています。薬疹の型は次のように整理可能です。
A.比較的よくみられる型
皮膚症状
1.播種状紅斑型薬疹
  発疹は紅班様で手・足、体幹などに散在性に出現する。水泡を形成したり、皮膚が剥脱するような場合は注意が必要。もっとも普通にみられる薬疹の型です。
2.じんましん
  じんましんは蚊に刺されたような膨疹、かゆみを伴い移動性、全身に現れるが衣服で覆われた部位にでやすい特徴があります。
3.固定薬疹
  原因薬剤が再投与されたとき、同じ部位に出現する。水疱や紅斑のことが多く炎症がおさまるにつ色素沈着がみられるようになる。全身どの部位にも現れます。
4.光線過敏症
  光毒性薬疹と光アレルギ-性薬疹がある。光毒性薬疹は日光曝露部位に出現、用量依存性で初回の投与後にすぐ発症。光アレルギ-性薬疹は薬剤の投与後感作されてから起こり、少量の再投与で再発、小水疱性丘疹で痒みがあり、日光曝露部位以外にも出現することが少なくありません。
5.多形滲出性紅斑
  四肢伸側に円形または楕円形の境界のはっきりした紅斑が多発します。
6.剥脱性皮膚炎型もしくは紅皮症型薬疹
  2~3週後に麻疹様の紅斑が全身に出現、発熱やリンパ節腫脹を伴います。
7.血清病様反応
  発熱・じんましん・関節痛が原因薬服用後1~3週後に起こり、薬剤中止すると速やか
 に症状が改善します。
B.重症な薬疹で入院が必要
1.スティ-ブンス・ジョンソン症候群(SJS)
  軽症型は皮膚粘膜眼症候群。発症は急激で眼、口、外陰部など粘膜移行部に水疱・びらんなどが多発、高熱を伴い重症では死亡することも。
2.中毒性表皮壊死症候群(TEN)
  原因薬剤投与後、顔面・上半身に多形紅斑様の発疹が出現、全身に広がり弛緩性の水疱を生じ、 数日の経過で表皮剥離をを起こします。嘔吐・高熱・皮膚の疼痛などの前駆症状があり、重症型では死亡が報告されています。 
3.薬剤過敏性症候群
  薬剤投与1~6週後に発熱、発疹、リンパ節炎、好酸球増多などがみられる。粘膜病変をみることはほとんどなく、ヒトヘルペスウイルス6(突発性発疹のウイルス)の再活性化が関係しています。
C.アナフィラキシ-
  薬物投与直後多くは10分以内に症状が発現、薬物に対するIgE抗体が関与するアレルギ-反応。かゆみ(じんましん)、のどの違和感、咳、喘鳴、四肢のシビレ等で発症、急激に意識消失・けいれん・呼吸亭止にすすみ、循環不全からショック状態となり死亡することが少なくない。抗生物質の静注・解熱鎮痛剤の注射・服用などで頻度が高いがすべての薬剤に可能性があると考えられ、速やかで適格な救急救命処置が重要になります。 

4
           medicina 10:1941-1946,2015
 
 
ポイント  

 すべての薬剤に副作用があると考えて下さい。薬剤アレルギ-で激越なものはスティ-ブンスジョンソン症候群、中毒性表皮壊死症で薬剤服用後数日から数週間で発熱、紅斑、水疱で発病する重症な病態です。全国では数十例の報告があります。発症したら重篤な経過になります。どの患者さんがこのようなアレルギ-反応を起こすか事前には予測できません。抗てんかん薬・解熱鎮痛剤・抗生物質などが、なかには市販の薬剤も原因としてあげられています。薬剤アレルギ-以外の副作用では劇症肝炎・血小板減少・腎不全・消化管出血などが重症で抗生物質・解熱鎮痛薬・痛風薬・抗血栓血小板薬などで出現することが少なくありません。アスピリンによる脳症の発症もこどもでは注意しておくことが重要になります。
 また乳幼児での薬剤服用後の発疹は大多数が実はウイルス感染に起因していますが、診療の場で程度の軽い発疹と薬剤の因果関係を確定するのはやや難しいことがあり、根拠なく薬疹としてしまうことが多いようです。この場合、過剰に薬剤に神経質になる必要はありません。薬と副作用はなかなか解決されない大きな問題です。 

【アレルギ-性薬疹の診断】 medicina 52:1941-1947,2015

drug (2)

【原因薬物の同定検査】

① 即時型掻把試験(スクラッチテスト)
② 即時型皮内試験
③ 遅延型皮内試験
④ 貼付試験(パッチテスト)と光貼付試験
⑤ chamber-sacrification test
⑥ 内服試験と光内服試験
⑦ うがい試験
⑧ DLST(薬剤リンパ球刺激試験)
⑨ RAST(薬剤特異的IgE抗体測定する薬剤RAST)
⑩ 薬剤特異IgG/IgM抗体を測定する間接血球凝集試験など
***⑥は最も信頼性が高いが危険性がある。
***即時型のじんましんであれば④と⑨が安全で簡便、信頼性がある。


 

妊娠とくすり

妊娠前後のくすりの服用について、催奇形性等の問題から心配がつきません。ここではくすりの胎児への影響について解説、理解を深めてもらいたいと考えています。

基本的事項

妊娠月数と危険度

1  受精前~妊娠3週末(次の生理予定日まで)・・・・・・安全(服用可) all or none
 受精後2週間以内に服用した薬剤の影響を受けた場合は着床しないか、流産して消失するかあるいは完全に修復されて健康児を出産、この時期は残留性のある薬剤以外は問題ない。
2  4週~15週末・・・・・・絶対危険(服用不可)
中枢神経、心臓、消化器、四肢など器官形成がおこなわれるためもっとも催奇形性の強い時 期、8週以降は性器の分化、口蓋の閉鎖の段階で4週~7週にくらべて胎児への影響は低下するが厳重注意が必要。
3  16週~分娩・・・・・・・相対的危険(危険度点数参考)
器官形成が終了していて薬剤による奇形は発生しないが、胎児の機能や子宮収縮等に影響する薬剤については胎児毒性に注意が必要(抗甲状腺薬、NSAIDs等)。

 
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催奇形



【男性の使用した薬】

 薬剤の影響を受けた精子は受精能力を失うか、受精しても着床しなかったり、流産して消失すると考えられる。出生したとしても器官形成される前の影響なので、遺伝子もしくは染色体レベルの異常で、いわゆる奇形のような形態異常は発生しない。もともと精子の20%は形態的に奇形が含まれ、薬剤で奇形精子が50%になったとしても、受精能力をもたないと考えられ男性への影響はコルヒチン・チガソンの報告を除いて、ほとんどの薬剤で無視できる。

危険度総合点数からの評価

 妊娠週数と薬剤の危険度の評価を総合することによって個別の危険度を把握し処方に役立てることが可能になる。
          
薬剤危険点数×服用時期危険点数=危険度総合点数


薬剤危険点数  0~5点(高点数はてんかん薬・抗がん剤・ホルモン剤など)

     服用時期危険度   《0日~27日》   0点 
                《28日~50日》  5点  
                《51日~84日》  3点
                《85日~112日》 2点 
                《113日~出産日》 1点
危険度総合点数の評価  0~6‣無影響    7~11‣注意     12~19‣警戒        20~25‣危険



  妊娠中にどうしても薬が必要な状況では催奇形性についてまったく無影響な0~6点内で処方、20 点以上の薬剤を服用した場合は胎児の状況で中絶も考慮せざるをえないことがある。
 
FDA基準

  実際には個々の薬剤の危険度の表示を参考に使用可能な薬剤を選択している。


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【妊娠と先天異常の原因】  
 

妊婦先天異常

【妊娠と服薬可能な抗アレルギ-薬】

妊婦と喘息

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 【妊娠と服薬可能な抗生物質と解熱剤】
 
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【外用薬について】

*軟膏類・吸入ステロイド・点眼薬・シップ剤等は吸収される母体血中濃度、胎児への曝露量は少ないため下記を除いてほぼ問題なく使用可能。
*ホクナリンテ-プ、NSAIDsの貼付剤は胎児への影響を考慮する。
*イソジンガーグルは容易にヨ-ドの過剰摂取につながるため使用しない。

【妊娠中の感染症と胎児への影響】
 
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母乳とくすり

授乳中のお母さん方が、かぜをひいたとき、乳腺炎や膀胱炎などの細菌感染症になったとき、あるいは特別な病気の時、自身が薬をのんでも、赤ちゃんへの影響はないのか、有害なのか無害なのか、もっとも関心のある切実な問題です。ここでは基本的な考え方、具体的に個別の薬剤等について解説いたします。

基本的事項


①医薬品添付文書の記載に従うと、ほとんどのくすりが「投与中は授乳を中止」「授乳を避けること」「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にだけ投与する」と記載されていて、くすりを飲んだ母親のほとんどが授乳できないことになってしまう。
②日本では正確なデ-タに基づく、指針がありません。
③WHOやアメリカ小児科学会の報告では授乳禁忌とされるのは約3%程度と実は少なく、多くのくすりが授乳可能です。
④母乳に移行するくすりの量は母親が服用した薬の1%未満と微量です(10%未満は下記の禁忌・配慮が必要とされる薬剤を除いて安全と考えられる)。したがって微量でも影響があるくすりが問題になります。
⑤授乳中の児の細胞代謝を障害して細胞毒性を持つ抗がん剤は授乳禁忌になります。
⑥児に何らかの影響があったとする薬(後述)が報告されており、これに該当するものは授乳不可になります。
⑦抗不安薬・抗うつ薬・抗精神病薬などは授乳に際し、注意が必要です。
⑧授乳中の児に悪影響をもたらす乱用薬物があります。
⑨多くの抗生物質は服用可能です。ニュ-キノロン系のみ注意が必要です。赤ちゃんにに偽膜性大腸炎の発症報告があり、できれば他の抗生物質への変更が望ましいと考えます。
⑩解熱鎮痛剤はアスピリン(サリチル酸中毒の報告)を除いて授乳可能です。
⑪ステロイド剤は授乳する上でとくに問題はありません。
⑫抗アレルギ-薬、抗ヒスタミン剤ではクレマスチン(タベジ-ル・テルギン)を除いて投与可能です。
⑬抗インフルエンザ薬(タミフル等)、抗ヘルペス薬は服用が可能で授乳できます。
⑭鎮咳去痰剤ではリン酸コデインのみ赤ちゃんにに除脈・無呼吸の報告があり注意が必要です。
⑮高血圧治療薬、抗不整脈薬ではアンカロン、ミニプレス、アセタノ-ル、テノ-ミンは注意が必要です。
⑯安定剤・睡眠薬・抗てんかん薬・抗精神病薬はいずれも警戒が必要で、薬剤個別に検討することが重要です。
⑰片頭痛の治療薬、クリアミンは禁忌、最近使用されている5-HT受容体刺激薬イミグランは使用可能です。
⑱ホルモン剤ではタナゾ-ル、メチルテステステロンは禁忌です。
⑲抗がん剤、放射性同位元素(放射線検査試薬)は使用不可になります。
⑳注意が必要なくすりでも、血中濃度・薬物の半減期などを考慮すると、服薬してから授乳するまでの時間を調節することによって、安全に授乳を続けることができます。

[抗生物質・解熱鎮痛剤の授乳中の使用について]

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授乳中の使用に配慮が必要な薬

[授乳禁忌]

エンドキサン
サンディミュン
アドリアシン
メソトリキセ-ト
etc.

[赤ちゃんに影響があったと報告されているくすり]

アセタノ-ル・・・・・・・・低血圧・徐脈・多呼吸
テノ-ミン・・・・・・・・・・チアノ-ゼ・徐脈
パロ-デル・・・・・・・・・乳汁分泌抑制
アスピリン・・・・・・・・・・代謝性アシド-シス
テルギン・・・・・・・・・・・傾眠、易刺激性、哺乳不良、項部硬直、甲高い鳴き声
クリアミン・・・・・・・・・・嘔吐、下痢、痙攣
リ-マス・・・・・・・・・・・赤ちゃんに1/3が移行
フェノバルビタ-ル・・・鎮静、痙攣、メトヘモグロビン血症
プリミドン・・・・・・・・・・・鎮静、哺乳障害
サラゾピリン・・・・・・・・血性下痢
etc
[授乳中の赤ちゃんにに影響をもたらす乱用薬物]

アンフェタミン    易過敏性、不眠
コカイン       .易過敏性、嘔吐、下痢、振顫、けいれん
ヘロイン       振顫、不安状態、嘔吐、哺乳不良
マリファナ      具体的記載なし
etc

[注意が必要なくすり]

抗不安薬
コンスタン、セルシン、ワイパックス、ドルミカム、トリラホン、セダプラン、ドラ-ル
抗うつ薬
トリプタノ-ル、アモキサン、ルボックス、アナフラニ-ル、ノリトレン、バキシル、テジレル
抗精神病薬
ウインタミン、セレネ-ス、トリフロペラジン
その他
アンカロン、クロロマイセチン、ランプレン、ブリンベラン、フラジ-ル、ハイシジン

***ヒトで実際に治験実施は不可能で、いずれも動物実験のデ-タ、ヒトで報告された事例をもとに判断されています。


授乳婦への危険度

実際にはMother`s milk 2012 の評価基準によって該当する薬剤の投与の可否について判断している。

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【乳腺炎と授乳】中止の必要はない。

*原因菌は表在性ブドウ球菌が多い。
*赤ちゃんが経口摂取しても腸炎の原因にはならない。
*抗生物質は第1世代のセファロスポリン(セファメジン)もしくはセフゾン等選択。
*解熱鎮痛剤はカロナ-ルもしくはロキソニンを処方。
*いずれも児に影響はないため母乳を中止する必要はない。乳房マッサ-ジはする。