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(腋窩温は直腸温より0.5゜C前後低くなる。)

ねつ

こどもの発熱て゛は低体温、脳症等の関連から、ポンタ-ルやボルタレン等の効果の強い解熱鎮痛剤は使われなくなり、現在使用されているものは比較的安全とされているアセトアミノフェン(カロナ-ル等)とイブプロフェン(ブルフェン等)のみになっています。ほとんどの医療機関でこれ以外の解熱剤を処方することはなくなっています。解熱剤は熱による頭痛、関節痛、だるさ、食欲不良、元気のなさなどの症状や高熱が少し改善すればその効能は十分発揮されたと考えてください。[鎮痛]においては50%以上の痛みの軽減を、[解熱]は不快感の軽減を目標とします。40゜Cの高熱を37゜Cに低下させる必要性はありません。症状(不快感)が改善していれば39゜C程度の解熱でなんら問題はないと考えています。
[発熱のメカニズム]

fevermecha


[アセトアミノフェン]こどもで比較的安全性が高いとして頻用されるアセテアミノフェンの特徴。                         (カロナ-ルパンフより)

           中枢神経系に存在するCOX3を特異的に阻害してPGE2の産生を減少させる
           視床下部に作用して解熱効果を、視床と大脳皮質に作用して痛覚の閾        
           値を上昇させ効果を発揮する。 
           末梢のCOX1 COX2に対する作用は弱く抗炎症効果はほとんどない。

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カロナ-ルシロップ2% [特徴]こどもの第一選択薬、アセトアミノフェンが成分で脳炎・脳症との関連がないと考えられている。[用量・用法] 5~15mg/kg/回、0.5ml/kg/1回、頓用、1日3回まで1日最大量 60mg/kgまで[適応] 解熱、鎮痛[副作用]チアノ-ゼ、過敏症、悪心・嘔吐、ショック、肝障害、皮膚粘膜症候群など[禁忌]重篤な血液・肝・腎障害、アスピリン喘息
カロナ-ル細粒0.5[用量・用法] 10kg前後の小児に1回1包1日3回まで。
カロナ-ル細粒1.0[用量・用法]   20kg前後の小児に1回1包1日3回まで。
カロナ-ル錠200mg[用量・用法]1回1錠~2錠、1日3回まで。
アンヒバ坐薬100
[用量・用法] 10kg前後の小児に1回1個肛門に挿入、1日3回まで。
アンヒバ坐薬200[用量・用法] 20kg前後の小児に1回1個肛門に挿入、1日3回まで。
[注]インフルエンザ脳症・アスピリン喘息・生後3ヶ月未満の乳児には使用しないこと(今日の治療薬2019)。

ブルフェン錠(100mg) [特徴]イブプロフェン、小児の解熱の第2選択薬として使用されている。シクロゲナ-ゼを阻害し視床下部のプロスタグランジン産生を抑制して抗炎症作用・鎮痛・解熱に働く[用量・用法]3t~6mg/kg/回1日2~3回、20kg前後で1回100mg、1日3回まで[適応]急性上気道炎の解熱・鎮痛、関節リウマチ、関節痛・関節炎、背腰痛、月経困難症、消炎・鎮痛
[副作用]食欲不振、腹痛、下痢、頭痛、眠気、ショック、溶血性貧血、消化性潰瘍、潰瘍性大腸炎等[禁忌]消化性潰瘍、アスピリン喘息、直腸炎、痔疾患等[注意]わが国では小児科領域の解熱薬としては認されていない。また水痘や脱水症には推奨されない(今日の治療薬2019)。

熱性けいれん

高熱に伴う熱性けいれんの頻度は7~9%と高く、熱性けいれんは日常よく経験する、その場であわててしまうこどもの発熱時のこわさを感じるできごとの一つです。熱性けいれんから直ちに生命にかかわる危険な事態に陥ることはなく、多くは5分以内にけいれん発作はおさまるため、家庭での対応で十分なことがほとんどです。

ダイアップ 4mg,10mg[特徴]ベンゾジアゼピン受容体に結合し、GABAニュ-ロンの作用を増強[用量・用法]1回0.4~0.5mg/kg1日1~2回肛門に挿入[適応]小児の熱性けいれん及びてんかんのけいれん発作[禁忌]緑内障、新生児[副作用]眠気、ふらつき、呼吸抑制等

けいれん



熱性けいれんの予防

*熱性けいれん予防投与の実際: 体温が37.5゜Cになったらジアゼパン坐薬を挿入、8時間たっても熱が続いているときは、さらにもう1度挿入、通常2回投与までとする。
*解熱剤の坐薬と併用するときは、吸収の問題があり先にダイアップを挿入、30分以上たってから解熱剤の坐薬を挿入するとよい。

*ダイアップの予防投与は通常2年間、または4~5歳までを目標とする。
*単純な熱性けいれんが2回以下なら予防投与の必要はない。

熱性けいれんの考え方と対応

単純型熱性けいれん

発熱の初期(24時間以内)、多くは38.5゜C以上に体温が上昇してゆくときに通常であれば1~2分、大部分は5分以内のけいれんをみとめ、けいれんがおさまったあとは意識障害や麻痺がみとめられない。この場合、救急車、脳波、CT等の検査は不要。

複雑型熱性けいれん

次の項目の症状が一つ以上みられるとき複雑型熱性けいれんに該当、この場合はすみやかな受診・検査等が必要になる。
□けいれんの持続が15分以上
□けいれんが半身または焦点性(たとえば右手前腕のみ)
□けいれんの後の麻痺や意識障害
□1日に2回以上くりかえす
□6ヶ月以下や6歳以上
□脳障害の既往や神経症状
□てんかんの家族歴   

熱性けいれんと解熱薬

「解熱薬を早めに使ったり頻回に使ったりしても熱性けいれんを予防する効果はまったくない」との考え方があります。異論もあり十分な検証はありませんが、参考にしてください。