診療所の検査

診療所で日々実施している検査について、その結果の読み方を中心に解説します。

診療所の検査

診療所では次のような採血検査を院内で実施しています。結果はその都度説明していますが、解釈の仕方・考慮すべき疾患等について補足の説明します。参考にして下さい。

診療所で実施している採血検査項目

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診療所で実施している検査キットによる迅速検査
 

 

診療所実施迅速検査

目的菌種・ウイルス・疾患等

注釈

1

イムノカ-ドマイコ

肺炎マイコプラズマIgM抗体

偽陽性に注意

2

Binaxnow 肺炎球菌

肺炎球菌

尿にて検査

3

Binaxnow レジオネラ

レジオネラ

診療所ではまだ未検出

4

クイックチェイサ-FluA,B

インフルエンザA、B

陰性の時の判断が難しい

5

クイックチェイサ-RSV

RSウイルス

鼻汁にて検査

6

チェックhMPV

ヒトメタニュ-モウイルス

RSウイルスが陰性の時可能性

7

クイックチェイサ-Dip Strep A

A群β溶連菌

扁桃より擦過した検体で検査

8

クイックチェイサ-Adeno

アデノウイルス

扁桃腺に白苔等陽性に出やすい

9

ラピッドエスピ-<クラミジア>

クラミジアトラコマティス

擦過した検体で検査

10

クイックナビノロ

ノロウイルス

肛門から直接採取している

11

BD Rota/Adeno

ロタ、アデノウイルス

同上

12

キャピリアO157

大腸菌O157

同上

13

ラピチェック H-FABP

心筋梗塞初期診断

陰性なら心筋梗塞は否定的

14

トロップテストT センシティブ

心筋梗塞初期診断

偽陽性あり

15

COヘモキャッチ

便潜血

微量な血液を検出

16

CLOテスト

ピロリ-菌の検出

内視鏡で採取した組織で検査

17

ゲステ-トST-Ⅱ

妊娠反応

尿にて検査

18

リボテストマイコプラズマ

マイコプラズマ抗原

咽頭もしくは扁桃を擦過した検体

19

イムノAGカートリッジmyco

マイコプラズマ抗原

ドライケムIMMUNO AG1で測定

20

ラクテ-トプロ2

乳酸測定

血液にて検査、敗血症乳酸アシド-シスの早期発見

21

イムノカ-ドST HpSA

ヘリコバクタ-ピロリ抗原

糞便で検査


スポットケム免疫検査 

 

検査項目

目的等

注釈

1

アルブミン/クレアチニン

尿中微量アルブミンチエック

腎障害の早期発見

2

インスリン/血糖

HOMA-Rの算定

インスリン抵抗性の評価

3

インスリン(IRI)

血中インスリン

インスリン量の測定




診療所で実施している染色検査

染色検査

試薬等

目的・疾患等

1

真菌同定検査

ズ-ム

白癬菌・カンジダの診断

2

末梢血塗沫標本

メイギムザ染色

白血球分画・異常細胞等の診断

3

鼻汁好酸球検査

エオジノステイン

アレルギ-性鼻炎の診断



[参考 ]迅速検査の感度等

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CRP

 CRPの検査は細菌感染等の把握に必須なもので、診療所のなかでもっとも頻用している検査のひとつです。CRPは細菌感染等によって免疫に関与する細胞が活性化、マクロファ-ジ等から放出されたIL1、IL6、IL14、TNFαが肝臓に作用してつくられるC反応性蛋白を測定する検査です。この蛋白は細菌膜の構成成分リポポリサッカライドなどにより強く促進され、同様に体組織破壊の際に不要物除去の反応としても産生されるため、細菌などの感染による炎症や外傷・熱傷もしくはがんなどの組織の損傷や壊死などの把握にきわめて有用な検査になります。最近では微量の上昇が動脈硬化の指標になるとの報告もなされ、あらためて注目されています。 

CRPは炎症の発生とその程度、体細胞の破壊とその程度を反映します。

CRP(mg/dl)

評価

考慮すべき疾患・病態

0.3以下

正常範囲

この範囲内のわずかな上昇で動脈硬化性疾患の進展と関連

0.4~2.0

軽い炎症

ウイルス感染・細菌感染初期・マイコ感染症・真菌症・心筋梗塞・外傷・悪性腫瘍等

2.0~5.0

中等度の炎症

細菌感染・結核・痛風発作など
心筋梗塞・外傷・悪性腫瘍等

5.0~15.0

やや重い炎症

細菌感染(外来で抗生物質の点滴等で治療可能)
心筋梗塞・外傷・悪性腫瘍等

15.0以上

重症な炎症

重症細菌感染症(多くは入院が必要)・リウマチ増悪期など

CRPは感染や組織破壊の後6時間以降で増加(白血球の増加より反応が遅い)、半減期は19時間と短いので炎症等の軽快と同時に速やかに低下するため病状・病勢の把握に有用です。

  CRP

                    感染症の場合、当診療所外来での対応の目安

0~2

ウイルス感染が大部分対症的な治療(抗生物質は使用しない)

2~5

軽症の細菌感染症外来で抗生物質の内服

5~10

中等度の細菌感染症外来で抗生物質の点滴or効果の強い抗生物質の内服

10~15

やや重い細菌感染症(肺炎・腎盂炎等)外来で抗生物質の点滴3~7日間位

15~

原則として入院、外来で抗生物質の点滴治療(7~10日間位)が可能な場合も

***CRPが2~15mgの範囲でもアデノウイルス、EBウイルス(伝染性単核球症等)の感染症のことがあります。

WBC(白血球数)

白血球には5種類あります。いずれも細菌・腫瘍細胞等の病原菌・異物から生体を守る働きをしています。

白血球(正常範囲 3,500~9,000)

好中球

好酸球

好塩基球

リンパ球

単球

 遊走・貪食・殺菌

neut

アレルギ-に関与

eos

 ヒスタミン等放出

baso

  免疫に関与

lym

  異物の貪食

mono

 40~60%

 2.0~4.0%

 0~2.0%

 26~40%

 3.0~6.0%


                 [参考]  血液中の血球細胞の造血幹細胞からの分化

stemcell


白血球が増加していたらまず細菌感染症を考えます。

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個別にみると次の表のように整理できます。

好中球増多(60%以上)

 

1)生理的:妊娠、新生児、入浴等

2)感染症:肺炎、敗血症、髄膜炎、腎盂炎等

3):血液疾患:急性出血、白血病、類白血病反応等

4)神経疾患:脳出血、脳腫瘍

5)内分泌代謝疾患:ステロイド剤投与、糖尿病性ケトアシド-シス、痛風等

6)中毒:ジギタリス、水銀、鉛等

7)ストレス:ショック、心筋梗塞、熱傷

8)膠原病:慢性関節リウマチ、ベ-チェット等

9)その他:悪性腫瘍、腎不全、肝不全等

好酸球増多症(5%以上)

 

1)寄生虫疾患:回虫等

2)アレルギ-性疾患:喘息、じんましん、薬剤アレルギ-等

3)皮膚疾患:天疱瘡、痒疹、多形滲出性紅斑等

4)血液疾患:白血病等

5)放射線照射後

好塩基球増多症(2%以上)

 

1)アレルギ-性疾患:蕁麻疹

2)内分泌疾患:粘液水腫

3)血液疾患:白血病、骨髄線維症等

4)潰瘍性大腸炎

リンパ球増多症

 

1)生理的:小児期

2)感染症:百日咳、伝染性単核球症

3)血液疾患:リンパ性白血病

4)内分泌疾患:アジソン病等

 

単球増多症(7%以上)

 

1)感染症:水痘、麻疹、風疹等

2)血液疾患:単球性白血病等

3)慢性肝炎、肝硬変、潰瘍性大腸炎

4)原虫症:マラリア等


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***CRPとWBC(白血球)を同時に測定して評価することにより、感染症の原因が細菌もしくはウイルスあるいは   
  マイコプラズマ等おおよそ可能になり、抗生物質使用・選択についての重要な判断材料になります。

 

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