分画中にはたくさんの種類の蛋白質が含まれ、ヒトにとって膠質浸透圧の維持・各種物質の輸送・急性期炎症反応・線溶と凝固や免疫などの生体防御などに、それぞれ対応する蛋白が重要な働きをしています。したがって個々の蛋白を詳細に検討すればより正確に疾患・病態を把握することが可能になります。
[正常範囲]
正常値(g/dl) | |
総蛋白 | 6.5~8.0 |
[疾患と病態]
診療所で日々実施している検査について、その結果の読み方を中心に解説します。
[正常範囲]
正常値(g/dl) | |
総蛋白 | 6.5~8.0 |
[疾患と病態]
[正常範囲]
正常値(IU/l) | |
アミラ-ゼ | 50~160 |
[疾患・病態]
アミラ-ゼ高値 | |
P型アミラ-ゼ増加 | ●急性膵炎・慢性膵炎・膵嚢胞・膵癌による随伴性膵炎 ●胆道・乳頭部などの疾患での膵障害合併 ●検査後(ERCPなど) ●消化管の穿孔or穿通・腹膜炎による膵液の消化管外漏出 |
S型アミラ-ゼ増加 | ●流行性耳下腺炎などの炎症 ●唾石等の唾液腺疾患 ●手術後・頭部外傷・火傷および外傷性ショック ●肺炎・肺梗塞・薬剤・人工心肺使用後 ●糖尿病性ケトアシド-シス ●神経性食思不振症・拒食症 ●胆道疾患・肝疾患 ●前立腺疾患・卵管疾患・子宮外妊娠破裂など ●肺癌・卵巣がん・骨髄腫などのアミラ-ゼ産生腫瘍 ●腸閉塞・腸管膜血栓症・大動脈破裂等 |
P・S型ともに増加 | ●腎不全・マクロアミラ-ゼ血症 |
アミラ-ゼ低値 | |
P型アミラ-ゼ低下 | ●膵臓広範切除、膵全摘 ●慢性膵炎(非代償期) ●膵性糖尿病、高血糖 ●膵癌末期 |
S型アミラ-ゼ低下 | ●唾液腺摘出・放射線照射後(下顎部、頚部) ●シェ-グレン症候群 |
[参考]糖・蛋白・脂肪の腸管より吸収のメカニズム(ダイナミック・メディシン:西村書店,2003.より)
尿酸はプリン代謝の最終産物です。プリンは核酸の構成成分、生体にとって重要なはたらきをしています。核酸の構成成分ヌクレオシド(アデノシン・グアノシン)から尿酸が生成される経路(サルペ-ジ経路)を示します。
尿酸代謝の2つの経路(左:摂取した核酸はde novo経路、右は体内の核酸を処理するサルペ-ジ経路)は模式図として次のように整理されます。
[正常範囲]
UA(尿酸) | 正常値(mg/dl) |
男性 | 2.0~7.0 |
女性 | 男性より1.5mg/dl程度低いが閉経後は男性に近くなる。 |
[疾患・病態]
尿酸が高い時、無症状に経過していれば高尿酸血症、関節痛発作があれば痛風と診断します。高尿酸血症の段階ですでに血管障害(動脈硬化等)や腎臓障害が進行しているので管理が必要になります。
[フルクト-ス・アルコ-ルと尿酸]
nagasawanorio63