2007年12月01日

赤ちゃんが言語を獲得するまで その8 〜笑いと足蹴り〜

鳥の目


『その7』はこちらから。

ノド自体の「構造」が変わるという変化をみてきましたから、今度は運動系(出力)としての変化を眺めてみましょう。

生まれて間もない頃というと、泣くかせいぜいゲップをするかくらいです。
それが生後6〜8週間くらいたつと、泣き声以外の声、とても気分のよいくつろいだときに「アー」とか「クー」とか響くリラックスした声、クーイングが出始めます。

それが、ようやく大人の言葉らしいものへと変化するきざしを見せ始めるのが、喃語なんごというやつの出現で、生後6〜8ヶ月ころのこととされています。

喃語というのは「バアバア」とか「ンマンマ」とか「ダアダア」といったような、いわゆる赤ちゃん自身が発する赤ちゃん的な言葉です。
「クー」とどこが変わってくるかというと、まずは音節が複数あること。
「クー」は1コですが、「バ・バ・バ」だと3コですね。

それから、各音節が子音+母音の構造を持っている点。
例えば「アー」の最初に「B」がくっついて、「B+アー」で「バ」という音が出せるようになる。
普通はまず「クー」から「アーアーアー・・・」という発声が始まって、そのうち「バババ・・・」へと移っていくことが多いようです。

クーイングだけではなくて、この喃語が出せるようにならないと、子音と母音から成る単語を話すことは絶対に不可能です
けれどもいくつかの音節が連なった発声については、実は生後6ヶ月に満たない赤ちゃんでもすでに行っているんですね。
どういうときかというと・・・それは「笑う」ときです。


「ハ・ハ・ハ」と声を出すときには、まぎれもなく複数の音節が明らかに認められます。
これはすでに、「多音節からなる言語にとても近い音声」だと言うことができるでしょう。
初期の笑いと喃語の出現の間には、連続性が認められるということなんです。

笑いといっても、いわゆる laughter(ワハハ)と smile(微笑)とは違います。
吐く息の断続を伴うのは、もちろん「ワハハ」に限られます。
微笑の方は、生まれて間もない赤ちゃんでもすでに観察されるものですが、その一方で、声を立てて笑うという行動が現われるには、およそ4ヶ月の間待つ必要があります。

というのも、先にみたように、赤ちゃんのノドは吐く息が鼻へ抜けていくチンパンジータイプのノドの構造をしているからですね。
チンパンジータイプのノドでは、息を切りながら連続させていく多音節の笑い声はたてられないわけです。

口の奥にぽっかりとあいている空洞があるからこそ、そこが共鳴箱の役割を果たして「言語」を作り出せる前提となっているというわけですが、こういう形のノドに移行していくまでいわゆる笑い声というのも出ない。
この事実は、「ハッハッハッ」と声をたてて笑う運動と、「言語」としての音を出す運動とが密接に関わっていることを示していると言えましょう。

実は、この笑い声をたてること自体が、赤ちゃんにとって大切な発話訓練の一環であることが分かってきたんです。
赤ちゃんが声をたてて笑うところをよく観察すれば分かりますが、笑いという行動は決してそれだけが単独で現れるわけではありません。

脚をですね、何度も繰り返し蹴りながら笑うんです
寝ころがったままで、しきりにリズミカルに脚を曲げ伸ばしして 空を蹴る。
大人が胴を支えてやって赤ちゃんを直立させてみると、トコトコ二足歩行を始めるのもこの頃からだんだんやり始めます。
月を追って、この笑いと蹴りとが同期する頻度は次第に増加していくそうです。

笑いと手足の同期赤ちゃんから笑いが出始めた当初は、「ハッハッハッ」と吐く息が断続的に反復するといっても、一度にそんなに長くは続きません。

一方で足蹴りの方はというと、生後3ヶ月くらいにはもう始まっているそうで、たいていの赤ちゃんでは笑いが出始めるころには、もうすでにけっこう長い時間にわたって反復を繰り返せるようになっています。

この足蹴りが生後3ヶ月くらいには始まっているというのも、ノドの変化のことを含めてアヤしくニオうとこですよね。 (^o^)
というのも、野口整体的には股関節とノドとはとても密接な関係があるからです。

とにかく、はじめは足蹴りの方が笑いを上回っているわけですが、赤ちゃんが月齢を重ねるにつれてその差がなくなっていきます。
笑いのパターンが質的に変化してきて、足蹴りの周期と長さにどんどん同期しながらハッキリとしたサイクルを帯びてくる。

足蹴りに同期させることを覚える中で、赤ちゃんは吐く息のリズミカルで長い連続反復運動を意識的に行う術を身につけていくようです。

  〜 つづく


*前後のエントリーは左上の「過去の記事とシリーズ」からとべます♪

つばき

nagayanonasu at 09:30│Comments(0)clip!ヒトという動物 

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