陽だまりの図書館

  秋の夜長はお気に入りの本と♪

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 「ねえ、放課後、暇だったりする?」と突然声をかけられ、たじろぐ高梨慎也。何しろ相手は、同じクラスとはいえクラス委員長、成績優秀、高2にして演劇部部長で学校のアイドル的存在である雨宮楓だ。親友の拓海にどういうことだ!と詰め寄られても、まったく心当たりのない慎也は当惑するばかり。 
 昼休みも挙動不審ぶりを拓海に指摘され、うろたえる慎也の目の前で、突然人の形をしたものが落下。慌てて窓に駆け寄ると、そこには女生徒が倒れて、こともあろうか、それは慎也に声をかけてきた楓その人だった。
 何も悩みがなかったかのように見えた楓がなぜ亡くなったのか?事故?それとも事件なのか?様々な憶測が飛び交う中、楓が薬物中毒だったのではという噂まで。
 彼女の残した一言が気になり、釈然としない慎也のもとに、刑事となった従兄葛城公彦が現れ、真相究明に手を貸してほしいと乞う。まずは、背景を知ろうと、演劇部への入部を決めた慎也だったが……(学図)320P

 軽めの学園ミステリと聞き、読んでみました。

 学校のアイドル的存在の美少女が謎の転落死。従兄の刑事に頼まれた少年が事件の真相を追う……って、この「ありそうで、まずない」プロットはどうよ!と半ばツッコミながら読み進めたものの、教師の言動とか、演劇部の活動そのものはなかなかリアルで、途中は演劇に取り組む少年少女の物語かと錯覚するところでした。
 後半にかけて、ぐっとおもしろくなり、それで?それで?と気になる展開。

 読後は、どうかなぁ〜というのはあるけど、なかなか楽しめました。
 

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 小学5年生の下野(かばた)蓮司は、病院のベッドで目を覚ます。野球の試合中、バッターの打った球をグローブで受け止めようとした瞬間までは、なんとなく記憶にあるものの、その後の記憶がない。なぜか、後頭部に強い痛みがあり、頭には包帯がまかれているようだ。
 そんな蓮司のもとに様子を見に来た看護師に現状を伝えようとするが、なぜか噛み合わない。しかも、身体に感じる違和感の正体を探るべく、部屋の鏡を見た蓮司は、そこに大人の姿をした自分を見つけ驚愕する。
 昨夜、公園のベンチで何者かに襲撃されたと言われても、11歳で野球をしていたという記憶しかない蓮司。医者は、意識が混濁しているせいではないかというのだが……
 やがて見覚えのない女性が病室に現れ、彼の名を呼ぶ。混乱の中、誘われるままに病室を抜け出した蓮司だったが……(自)237P

 中田永一の新作と聞き、ワクワクして読みました。逸る気持ちを抑えながらの一気読み。ちょっともったいなかったかなぁ。

 物語は、後頭部を強打したことで、意識だけ20年、過去と未来を移動した少年の物語。過去の世界でとある少女を救った少年が、大人になって少女と再会し、彼女に起きた出来事の真相を探るため、また過去に向かうというもの。
 いったいどこから始まったのかとか、追究していくと混乱してしまうのだけど、過去と未来、さまざまなディテールがきれいにリンクしていて、実に気持ちのいい展開。このあたり、さすが!!というしかありません。

 そう言えば、ロバート・F・ヤングも未読でした。ビブリア古書堂も途中で止まっているし、こんなのが多いなぁ。

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 東京都菊野市で3年前失踪した19歳の少女のものと思われる遺体が、静岡県の小さな町のゴミ屋敷の焼け跡から発見された。少女は、その家の繋がりどころか、静岡に行ったことさえないというのに。
 やがて、その家は、少女の自宅である食堂「なみきや」でトラブルを起こし、出禁になっていた男の実家だと判明。犯人逮捕は時間の問題だと思われていたのだが…

 容疑者の黙秘により、不起訴となり肩を落とす遺族を前に言葉をなくす警部の草薙は、アメリカ帰りの友人である物理学教授湯川に助けを求めるが…(自)440P

 まずは、おかえりなさい、湯川先生!
 アメリカに行ってしまって、もう続編はないなぁと思っていたから、発売と聞いて待ちかねて、日曜の夜に禁断の(?)一気読みをしてしまいました。

 内容は、2度も殺人の容疑をかけられながら黙秘で逃げ切る男に対する、被害者を取り巻く者たちの復讐劇というところか。といってもそこは東野作品なので、二転三転、ただでは終わらせないどんでん返しの応酬で読者を翻弄してくれます。
 まぁトリックそのものも驚愕の度合いも、「容疑者Xの献身」を越えられはしないのだけど、草薙、内海、湯川3氏にお会いできたことで満足です。



 

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