中学時代あることがきっかけで、親友綾美が不登校になってしまった桃子。ともに高校に進むことができたものの、依然として学校に来ることができない綾美。彼女を助けるどころか、傷つけてしまった負い目から、桃子は放課後綾美のもとへ通い、高校では友人を作らないと約束するのだが……。
 転んで落とした定期を拾ってもらったことがきっかけで、関西弁をしゃべる、一つ年上の清ら(せいら)と知り合った桃子は、強引な清らに、部室に連れていかれる。そこは、短歌を詠む「うた部」で……。(学図)314P

 「友だちを作らない」というと魚住直子の「非・バランス」を、先輩に半分騙されたみたいに入部というと「とめはねっ」を思い出して、いいぞ!久々のYAらしいYAとうれしくなります。

 不登校の友人と、その原因を作った(と思っている)主人公。心の離れた2人の再生の物語といえばそうなんだけど、そこに個性的な部活の先輩たち(と顧問も入れとく?)がいい感じで絡んでくるし、とにかく素晴らしいのが彼女らが詠む「短歌」。

 俳句甲子園はよく知っているけど、短歌甲子園は話にしか聞いたことなかったから、その何たるかも興味深いし、歌をあれこれ鑑賞するのも楽しくて、部活の疑似体験もできました。

 続編もあるみたいなので、機会があれば読んでみたい。中学生にけっこうおすすめです。