エクスプレスアイヌ語[カセット]
  • カセット
  • 出版社: 白水社 (1999/02)
    中川 裕 (著), 中本 ムツ子 (著)

    (にわとりさん)約7年前、私が大学生のときに始めて本格的にアイヌ語に触れた時の教科書です。授業では毎日1課〜2課ずつ進めていき、半期で1冊20課終えました。他大学にこっそり聴講に行ったのですが、期末にはテストもなく、気楽な授業でした。専門科目ではなく教養科目だったので、受講生は文系から理系まで幅広かったです。当時、先生曰く「毎年受講生が増えていた」そうで、アイヌ語に対する興味は学生の間にひろまりつつあったようです。私が受けた授業は、先生の都合で、もはや行われていないそうです。
    さて半年の授業で私が完璧にアイヌ語を身につけたかというと、そうではありません。当時は「アイヌ語ってこんな言葉なんだな」ということがわかった程度でしょうか。もの覚えの悪い私は、あれから7年たってもいまだにこれを教科書に勉強しています。
     まだアイヌ語を知らない初心者には、書店で手に入りやすくカセットやCDなど音声もあり、簡単な日常会話で構成されたこの本は、とてもお勧めだとおもいます。本の内容は、千歳方言を中心とした、簡単な挨拶言葉から始まって、初歩的な文法から、応用的な細かい文法の説明も有り、練習問題も有り、と実用会話用のアイヌ語が勉強できるつくりになっています。しかしアイヌ語自体現代社会で生きた言葉として、まだ使われているわけではないので、近代的な語彙はほとんどなく、この本のなかには日本語がそのまま借用されて本文によく出てきます。イオマンテ、狩りの風習など、文化的なことも少しフォローしてあります。会話中心の本で、アイヌの伝統的な叙事詩であるユカラまたはサコロベや、昔話であるカムイユカラ、ウウェペケレにはまったく触れられていません。昔語り特有の言い回しなどは勉強できないので、数あるそうした音声資料文学資料を見る上には、この本は不十分かもしれません。ちなみに私はいまだにこの「日常会話」の勉強からなかなか出ることができず、カムイユカラやユカラにはほとんど手をつけておらず聞いてもほとんどわかりません。ちょっと古いスタイルですがイラストも挿入され、そこからアイヌ文化のことも少しわかるようになっています。

    アイヌ語学習者なら持っておきたい一冊だと思います。