ネット小説書きの戯言 -WEB小説を書こう-

WEB小説を書いて電子書籍化しています。 現在の主戦場はアルファポリス。 2015年、2017年、アルファポリス「歴史・時代小説大賞」の「読者賞」2度受賞。 2018年、共幻社トークノベル小説コンテストで「佳作」受賞。 ミリ、エロ、歴史、SF、物理、生物、脳科学、哲学、心理学の本を濫読。 ゲスエロ下品ギャグとシリアスのカオスな作品群。 「この小説は同じ作者が書いたのか?」はよく聞かれる話。

    2017年09月

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    170930_1929-01
    双頭の鷲
    佐藤 賢一
    新潮社
    1999-01



    「双頭の鷲」は616ページに及ぶ長編ですが、細かい時間区切ってやっと読了ですわ。
    100年戦争初期に活躍し、イングランドからフランス領土を取り返した英雄ベルトラン・デュ・ゲクランのお話です。
    傭兵隊長からフランスの大元帥まで駆け上がった実在の人物を題材とした小説ですが、日本じゃ馴染みゼロですよね。
    粗暴なガキ大将がそのまま大人になったような性格で豪快。でも40過ぎても童貞でした。
    ある理由から、容姿にコンプレックスをもっていたからです。

    理屈なんかではなく、恐るべき直観で戦争に勝ちまくる無敗の将軍となります。

    新人がこの時代をテーマに選び、時代小説を書こうとすれば「日本人に馴染みないし無理」といわれるのではないでしょうか。
    専門の学者で直木賞受賞作家であるからこそ、色々な意味で書けた本ではないかと思うのです。
    そして、「100年戦争ってなに?」というレベルの知識でも十分に楽しめます。

    基本は、ガキ大将のような主人公の成り上がり物語なのです。
    歴史的背景の知識は知っていれば、より楽しめるでしょうがゼロでもOKでしょう。

    主人公の人物造形は、家族内、特に母親との関係から始まり、兄弟との対立と和解。
    絶大な信頼でつながっていた主君。フランスシャルル5世との関係も、実は彼の生い立ちが大きく関わっていたりと縦横無尽に伏線が張られています。

    読書を好み学者肌で探究心の強いシャルル5世のと関係。
    ベルトラン・デュ・ゲクランと女との関係。
    ライバルとなるイングランドの「戦の天才」グライ―との友情と戦い。

    戦闘、政治変革、男女の恋、信頼、友情、勝利――

    友情、努力、勝利どころではない、エンタメのあらゆる要素がビッチリ詰まっている大作です。
    本当に面白いと思います。

    Web小説を書く人にも参考になるのではないかと思うのです。
    文体が独特で、会話文と地の文が混ざり合い、地の文の中に自然に会話が挟み込まれている文体なのです。
    普通であれば「」で会話に分離するよなと思って、考えてみるのですが、そうするより、流れがスムーズで読みやすくなる。

    ただ、生半可にマネをして、どうになるようなものではなく、その文章センスが必要だとは思います。
    会話文と地の文の割合とかに悩む声を聞きますが、こんな方法もあるんだよってことなのです。

    基本三人称なのですが、そのような手法を使うことで、その場その場の登場人物の心理を読者に近づけ、感情移入させやすくするという効果が狙えるかなと思います。
    アマチュアのド素人が使うと、「書き方を知らないんじゃね」というような文章になりかねないので、注意が必要です。

    手を抜いた描写の登場人物がいないのですよ。登場人物全てが物語の中で「生きている」という感じがします。

    人は文章でここまでの物語を書ける。精進してできるのか、才能なのか分かりませんが、一読して絶対に損はないエンタメだと思います。
     

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    170929_2107-01
    今でこそ、多くなった江戸時代を再評価した本なのですが、著者が18代目の徳川本家の方なのです。
    全体に武士の生活、耐乏生活の耐え、道徳も備えていたと高い評価をしています。
    また、参勤交代によって「日本国」という意識が全国に芽生えてきたのではないかという主張があります。
    街の清潔さ、治安の良さ、戦乱のない世の中であったこと。
    身分においても、従来言われていたほど、固定されたものではなく、御家人から旗本になる者、そして百姓・町人から御家人になる者もいたわけです。
    幕末に活躍した勝海舟などは、よく事例として出されるわけです。

     基本的に江戸幕府の本筋の政治を再評価することで書かれていますので、徳川家康の高い評価から始まり、幕府存続を目指した改革なども評価しています。田沼意次は全く言及されてませんが、松平定信は何度も言及されてます。当然、名君としてですね。

    鎖国の流れについては、よく書かれていました。
    イギリスが脱落したのは、イギリスの事情で、対清貿易の方がもうかると判断したからのようです。
    キリスト教は広めませんから交易だけさせてくださいと言う合意には、オランダと同じようにイギリスも至っていたようなのです。
    来なくなったのは、イギリスの事情だったわけですね。まあ、他の史料も確認しないとなんともいえない部分はありますが。
    私がやっているのは、エンタメ小説を趣味で書くことで、学問的研究ではないので、「上手い嘘」ならそれでいいかなと思ってます。

    当時起きたことを細かく書いてある史料は「武江年表」であることが分かりました。国立図書館のデジタルアーカイブで見れますね。
    科学チートで江戸大改革! 俺は田沼意次のブレーンで現代と江戸を行ったり来たり」にはちょっと反映させようかと思います。
    これは、かなり細かいことが書いてあって、作中でも使用している桜島大噴火についても書かれています。
    疫病の流行についても書いてありますね。
     
    もう少し更新ペースあがるように、頑張りたいとは思うんですけど。
    明日には最新話を上げられるように頑張りたいです。まあ、GOがかかるのを待っていた仕事が先ほどやっとGOがかかり、その辺りの兼ね合いもあるのですが、何とか頑張りたいです。
     

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    科学チートで江戸大改革! 俺は田沼意次のブレーンで現代と江戸を行ったり来たり」の評価シートをブログにアップしたのですが、その記事を削除しました。
    ツギクル編集部様より、公開を控えて欲しいという要請をいただきまして、9月27日に削除いたしました。

    確かに、自社の編集方針とか、営業の方向性とか、外部にもらしたくない情報がかかれるケースもあるかと思います。
    あくまでも、作者と編集部間の物であり、外部に公開すべきものではないと承知しました。
    ということで、記事を削除させていただきました。

    ツギクル編者部の皆さま、そして、ブログ読者の皆様、誠に申し訳ございませんでした。

     

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    無題
    9月27日になりまして、もう残すところ4日でアルファポリス「第10回ファンタジー小説大賞」が終了です。
    最初の目標が100位以内。で次に50位以内、どんどんハードル上げて20位以内を目指しましたが、どうやら50位前後でフィニッシュの感じです。
    現在順位は50位になっています。最高45位くらいまでいきましたが、24Hポイントが落ち始めてからは厳しくなりました。

    1831作品の中で50位ということは、全体の上位2.73%ですので、そう悪くもないです。
    36倍以上の倍率の難関を突破したのと同じ感じですか?

    締切ギリギリのエントリの拙作がここまでの健闘ができたのは、皆様の応援のおかげにございます。
    本当にありがとうございました。と、いっても終わってはいないんですけどね。

    この作品で目指したことは、男性のキャラ、主人公を魅力的に書くこと。
    物語の時間の流れに緩急をつけてみることです。

    だから、主人公はヒロインの幼妻に対し一途です。
    ヒロインが一〇歳のエルフという部分が、マニアックでどうなのかという部分もあるかもしれませんが、創作上の異世界、異種族の年齢を云々して指摘してくる暇な人はいないだろうと思って設定しました。

    スケベシーンというよりは、いちゃいちゃの戯れみたいなシーンですので、それほどエロではないと思います。

    あと、島の生活という時間の流れを作品の中で、表現できたかなぁという感じなのです。
    どうも、自分の作品は、ノンブレーキの高速暴走気味の話が多かったのです。
    よんびり、ゆったりとした感じもいいかなぁと思って書いています。

    シーン展開の必要から三人称を使用していますが、地の文は「神視点」ではなく、ウェルガーがいるときは、ウェルガー視点で書くようにして、疑似一人称的な雰囲気を狙ってみました。基本、「彼」「ウェルガー」と書いていますが、主語を省略できる日本語の特性を使わせてい頂いております。

    最終的に、アルファポリス様の編集が評価してくれるのか?
    してはくれないのか?
    まあ、分かりませんが、面白いと思える物語を一生懸命書いたつもりではあるのです。

    舞台設定と主人公のキャラ造形。
    これが、私の弱点であるならば、それはかなり改善された物語であろうとは思うのです。

    残り四日間もよろしく応援お願いいたします。


     

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    今週の週刊ヤングマガジン「アルキメデスの大戦」90話です。
    「腹の底」ということで、山本五十六の 狷介で狡猾な感じがでています。
    同作では航空主兵主義者と大艦巨砲主義者の対立が大きく扱われています。航空主兵主義が劣勢な感じです。
    この部分、エンタメとしての演出としての「上手い嘘」の部分かなぁと思います。

    すでに、戦艦により艦隊決戦も「制空権無し」では勝算なしという結論は共有されていたと思うのです。
    どのような巨艦を造ろうが制空権が無ければ、観測もできませんし、どうにもできないのです。
    日本海軍は、アメリカの対日侵攻プランをかなり読んでいて、空母艦上機、1,000機規模で侵攻してくると想定していました。
    で、その対策をどうするのか?
    というのが、最優先課題だったような気がするのです。
    ちなみに、その回答のひとつが島嶼を利用した陸攻によるアウトレンジ攻撃であり、空母の夜戦活用だったわけなのですけど。
    日本海軍にとってアメリカと空母の建艦競争は無理という考えは当時からありまして、当初の基地を過大に評価して、それによる航空戦力で対抗すると考えていたのです。ミッドウェー以降も攻勢作戦を取り続けたのは、陸上航空戦力に対する過大な評価があったといわれます。

    で、戦争を抑止するため、海軍に入った櫂少佐が「戦争が出来る海軍」「アメリカに勝てそうと思いこめる海軍」を作ってしまっていく可能性があるわけです。巨大戦艦を造るより、よほど戦争可能な海軍を己が作っているということ。
    戦艦は当時は、抑止力として効果発揮した可能性もあるのです。故小室直樹氏などがそのような指摘をしておりました。

    空母のアンクルドデッキの発想、永田鉄山、東條英機などの陸軍との関係やら、ドイツからの技術導入やら、伏線は色々残っている中、改変される時代がどのようになっていくのか?
    エンタメとして「日米戦」は避けられないわけですので、それをどう終わらせていくのか?
    興味のあるところであります。
     
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    拙作の「無職ニートの俺は気が付くと聯合艦隊司令長官になっていた」の最新140話で、親切安心明朗会計神雷工房越谷総本部様(https://twitter.com/3646ma2
    彗星のモデルアート写真をお借りしました。素晴らしい出来です。
    航空戦艦の伊勢?らしきものがありますが、このアングルが好きでお借りしました。

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    昨日から今日までかけて、西尾維新氏の「掟上今日子の備忘録」「掟上今日子の推薦文」「掟上今日子の挑戦状」を読了しました。
    文章が読みやすいのでサクサクいきます。





    西尾維新氏の本はこの前デビュー作の「クビキリサイクル」を読んだばかりでした。
    分類としては同じようなミステリーなのですが、謎解きに主眼が置かれてるわけではないので、これがライトミステリーというやつかと一人合点している次第なのです。

    アルファポリスさんが12月に実施するキャラ文芸大賞では、このような小説が欲しいのだろうと思って読んでいるわけです。
    あまり、今まで読んだことのないジャンルです。ミステリーは東野圭吾氏、貴志 祐介氏を何冊か読んだくらいなもんで、そもそもこのジャンル自体をあまり読まないのです。

    読むときに気にしていたのはキャラ造形。
    掟上今日子さんの「前方性健忘症」という弱点。
    普通は、日常生活すらままならぬ病気です。
    1日で記憶がリセットされる。これ、毎日死んでいるような物ですか。
    今のところ、どの時点までの記憶を保持しているのかは、分かりません。
    現在25歳で、大人の常識を持っていることは、成人かそれに近い年齢で病気になったのだろうと思います。

    もし自分が、この特性のキャラを思いついたとしてですね。
    最大で10年前で知識・情報が止まっている。
    その記憶のギャップを、1日しか記憶を保持できない人間が埋めることができるのか?
    という、理屈の整合性の問題を考えるわけです。
    それを説明するには、すごい頭のいい人間を設定しなければいかんわけです。
    頭の回が超高速で、1日の記憶力に限れば抜群レベルの能力です。

    欠点・欠陥を設定することで、逆に能力の高さの説得力を持たせるキャラを作っているのだなぁと思うのです。

    力の代償に何かの欠点を持つというキャラの作り方をする方が一般的だと思うのです。
    それを、おそらく欠点、欠陥の方から組み立て作っていったキャラじゃないかと思うのです。
    この方法論はパクレるのではないかなぁと思います。

    「金にシビア」「守銭奴」とかその辺りのアクセントは、コメディっぽい味着けて後からいくらでも設定できます。
    根幹は、欠陥を持っているという部分です。

    デビュー作のヒロインも、そのような原型を持っていましたが、そこまでキャラを組み立て方が推測できるほどに、しっかりしたんモノでは無かったです。

    プロット的には、「連作ミステリー」は私には無理。
    恋愛小説より無理で、アルァポリスさんでも「ミステリー小説大賞」には、作品を出したことないです。
    読むのは嫌いではないのですが、書くことが難しいジャンルです。

    キャラ文芸では、まずは「魅力的なキャラ」を作ること。
    ほぼ、これにかかっているのでしょう。
    舞台装置は、キャラに合わせて用意する。

    「プロットを作り⇒キャラを作る」ではなく「魅力的なキャラを作り」それに何をさせるか?
    というアプローチで挑んだ方がいいかもしれないなと思いました。

    それが、飯屋でも居酒屋でも喫茶ってんでもいいしわけです。
    または、特異なキャラが何か集まるようなイベント的な部隊設定も可能かなと思っています。
    まずは、キャラです。

    特異ではあるが、一般の人に受け入れられるキャラを作ること。
    オチンチン丸出して、ハエタタキを振り回す薬物中毒の親爺とか、そんなのはNG。
    常識から半歩ずれた、魅力的なキャラを考えなくてはなりませぬ。
    今まで100歩くらい常識から離れたキャラばかり書いていたので、その距離感が難しいのです。

    一応、同シリーズは全て読もうと思います。
    正直、マジで面白いですから。

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