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ブランドバッグの修理依頼です。
今回は外側は問題なしです。
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持ち手がファスナー縫い目の上に付いているので、
外さないとファスナーを外すことができない構造です。
内側の合皮が劣化しているのでここも交換したいのですが、
取っ手を外さないと分解できないので、予算内におさめるため、
「開かずのポケット」とします。

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内側の合皮が劣化してボロボロなので使えず、しまい込んであり、
内袋を交換する修理をご希望です。
予算に上限があるので、今回は元に戻さずできる戻し方をします。
合皮は湿気で引っ付いてしまい、このようにボロボロになりやすい素材です。
使わない時は紙を詰めておいて、3か月ごとに風通しし、油分を足すなどの
手入れをしていれば長持ちします。


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本来ならば写真上部のバッグ口を外して全分解すれば元に戻せるのですが、
費用がかさむので外しません。
幸い、内袋を外すだけならこのままでも可能でした。

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内袋の半分です。直接型紙を作りました。
今回は布生地で新しい内袋を作ります。
一番安価で劣化の無い直し方です。
お手入れに自信がない方は、内袋が布製のバッグを選ぶといいです。

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ファスナー付き内ポケットです。
袋を作ってしまわずに、下記の要領でポケットに仕立てていきます。

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ファスナー付き内ポケットの縫い合わせ部分です。
こうした手順写真を撮り忘れると元に戻す時に大変ですので大事な作業です。
①内ファスナー下辺と生地上部と飾り革の下辺を縫い付けます。
②左右辺と上辺を内ファスナーも布生地も飾り革も同時に縫い付けます。
③最後にポケット両脇を縫います。

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ファスナー無しの内ポケットです。縫い目からボロボロに切れてしまってます。

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ファスナー無しの内ポケットは厚紙で新補強してありました。戻す時は
薄い豚革を代用します。生地をわで2重にして3辺縫い代を折って縫い閉じる構造です。

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口の部分を外さずに戻す方法を模索しましたが、ファスナーを付ける
上糸と下糸が目視できなければ縫い戻せません。内袋を作ってから
口を縫い合わせようとすると、上糸面が隠れてしまって縫えません。

打ち合わせ通り、ファスナーをなくして直接バッグの外側に新しい縫い目
を貫通させ、マグネットをつけて、2重ステッチで仕上げるか、
赤い矢印部分を切り落として、帯状の革でくるんで縫い付けようと思います。
糸を外して同じ目を縫うのが一番無難ですが、ミシン目なので針が通りづらく
大変な労力がかかるので、予算が倍になります。

<戻す方法>
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結局、ファスナーの付いた革にヌメ革帯を縫いつけ、それをバッグ本体に
縫い目を貫通させて数か所で縫い合わせました。
こうすることでファスナーも再利用でき、構造維持できます。
中身が見えないタイプのバッグなので、やはりそのままがよいかと。

ヌメ革でなくても、黄色や赤の帯革でも良かったのですが、
カジュアル色が強くなると思い、シンプルなヌメ革を採用しました。

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このように、バッグ端4か所、中央部2か所で縫い合わせ。
全てを繋げてしまうとどうしてもしわが寄ったりするので遊びを残す方法です。

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内ファスナー部分。

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内ポケット部分。