不貞慰謝料請求の事案では、慰謝料請求をした相手方から「セックスレスだと聞いていたから、夫婦関係は破綻している」等と主張してくるケースがあります。

 しかし裁判所は、この事実のみでは夫婦関係が破綻していたとは考えません。

【平成14年7月19日東京地方裁判所】
「そもそも、婚姻は、男女の性的結合を含む全人格的な人間としての結合関係であり、その結合の内容、様態は多種多様にわたるものであって、性交渉の不存在の事実のみで当然に婚姻関係が破綻するというものではなく、破綻の有無を認定するにあたっては、夫婦間の関係を全体として客観的に評価する必要がある。そして、XおよびAは、同居生活を続けつつ、Xが写真業及び駐車場賃貸業で収入を得て、Aに一定の金銭管理をゆだね、ときにはともに海外旅行に行くなど、XがAとともにオーストラリアに出国するまでは、破綻どころか、むしろ円満ともいえる通常の婚姻生活を営んでいたことが認められる。
 よって、AYの不貞行為開始時においてXA間の婚姻関係は破綻していなかった。認容額300万円(請求額300万円)

 このように、相手方から破綻の抗弁が認められるためには、セックスレスの事実のみではなく、別居、もしくは家庭内別居の事実があったこと、家計が一緒になっていたかどうかなど総合的な主張立証が必要になります。