自己主導型学習能力開発研究室

ISDL: Research and Development Institute of Self-Directed Learning

2013/12

2022年4月から、医療系大学の職員として教育責務を果たすことになりました
よろしくお願いいたします

医療系大学の教育と地域医療に携わりながら、人と社会、教育と医療を考え、その軌跡を残していきます。(旧「医学教育でのひとりごと」「医は忍術?」「いやしのわざとこころ、サナトリウムから」「浄土の地から」「ひまわりのなかで」「suzukaの風に吹かれつつ‥」「医学を学ぶ、生涯学習!」「医療者大学教育でのひとりごと」)

冷凍食品への農薬混入 会社側の危機感欠如

knode2たぶん「事件」でよいと思います。大変な「事件」になりました。早く、「犯人」が見つかることを祈ります。

会社側が、なぜ、LD50値(動物に投与した場合に半数が死ぬ量)で、人体への影響を発表していたのか、経緯がよくわかりませんが、このような場合には全く当てはまらない、不適切な発表だったと思います。

ARfD(Acute Reference Dose)急性参照用量は、今回のように、人体に重大な影響が出るほど大量の有害物質が混入している際に、急性毒性を把握するための参考とする指標です。 24時間またはそれより短時間内に経口摂取して、健康に悪影響が生じないと推定される1日当たりの量を、動物実験などのデータから推定しているものです。
ほかに、毒物などの、同様の安全性を考える指標として、ADI(Acceptable Daily Intake)一日摂取許容量があります。または、TDI(Tolerable Daily Intake)耐性一日摂取量としても表現されます。これは、生理的な分解、排泄機能も踏まえて、毎日摂取して、健康に影響が生じないと推定される1日当たりの量、として規定されています。慢性的な、継続的な摂取にはこちらを使います。こちらのほうが、危険とされる量は低くなります。

会社側が、発表の際に、当初採用していたのは、LD50(Lethal Dose, 50%)半数致死量で、物質の急性毒性の指標、致死量の一種としてしばしば使われる数値で、投与した動物の半数が死亡する用量をいうので、かなり高濃度になると思います。今回のような場合に利用するのは不適切と思います。

会社側の発表内容が不適切と気づいた、厚生労働省、今回、なかなか、よい仕事をしたと思います。

そもそも、今回の農薬混入は、10月にはわかっていたそうですから、今回の発表は遅すぎで、なんといっても、購入者への配慮が足りません。警察に届け出たとしても、捜査は難航するのではないか、と、思います。お客の健康や警察への対応よりも、株主への配慮や自分たちの保身を優先したと言われても仕方ないのでは。


朝日新聞から

少量コロッケでも吐き気 マルハニチロ「影響なし」撤回

 マルハニチロホールディングス(東京都)の子会社「アクリフーズ」の群馬工場(群馬県大泉町)で製造された冷凍食品から農薬「マラチオン」が検出された問題で、マルハニチロは31日未明に記者会見し、体重20キロの子どもが最高濃度(1万5千ppm)のコーンクリームコロッケを食べた場合、約8分の1個で吐き気や腹痛などの症状を起こす可能性があると発表した。

 同社はこれまで、体重20キロの子どもが一度に60個を食べないと健康に影響がないと説明していた。30日に厚生労働省の指摘を受け、計算の誤りに気づいたという。久代(くしろ)敏男社長は会見の冒頭、「計算上、大きな誤解を与える指標を提示した。大変な失策で、深くおわびいたします」と謝罪した。
 同社の佐藤信行品質保証部長によると、「食べても健康に大きな影響を及ぼさない限度量(ARfD)」を算出するべきところを、「動物に投与した場合に半数が死ぬ量」を計算していた。「食品の安全に関わる部署で検討したが、ARfDに関する知識がなかった。保健所に相談するのも忘れていた」という。

新しい抗がん剤の薬価が下がるか:中医協の新たな方針

capsule003欧米の製薬企業や創薬ベンチャー企業、そして、そのような企業への投資家にとって、日本の公的医療保険制度は魅力的な市場に見えていると思います。

最近、新しく開発される抗がん剤などは、異様と思えるぐらいに高価な薬価である場合があります。
まるで、「生命をお金で買う」「お金の切れ目が命の切れ目」というような表現がされる場合も。
日本の場合、高額な医療費に対する公的な補助制度も充実しており、そのような疾患に苦しむ患者さんや担当医にとって、ありがたい限りです。

でも、医療費は、安いにこしたことはありません。

薬価を決める中医協は、その価格決定に、製薬企業からのさらなる情報公開を求め、「費用対効果」を議論していくそうです。薬の値段って、どうやって決めるか、意外に基準があいまいなところがあります。製造原価で決めることはほとんどなく、どのぐらいの効果があるのか、というところから価格が決定されていきます。つまり、かなり、人為的な要素がある、ということ。

どうなるでしょうか。中医協の議論の経過をしっかりとみていきたいと思います。


読売新聞から

薬価の「費用対効果」議論本格化へ…中医協

 中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関、中医協)は、2016年度の診療報酬改定に向け、来年度から、公的保険の薬や医療機器の価格決定に「費用対効果」の議論を本格化させる。

 中医協は、社会の高齢化や医療費の高騰が進む中、高額な抗がん剤や機器の開発が患者の生活の質向上にどれだけ寄与するかの議論が不可欠との立場をとっている。
 約1年半、専門部会で検討が続いてきたが、来年以降は、この議論を発展させ、薬などの効果を副作用も含めて総合的に判断するための指標づくりや、評価結果を保険適用や価格設定に反映させる仕組みについて議論を深める。
 専門部会では、「企業からも製品の詳しい情報を提出してもらいたい」としている。

昭和天皇は、A級戦犯合祀後、靖国神社を親拝しなかった

knode2今の平成天皇陛下を尊敬申し上げています。
平成天皇陛下の言動を見聞するたびに、その念を強くしています。

とても、晴れやかで、気持ちのよい人生を送っていただけていると、感じております。いろいろ、ご心配ごともあることとは思いますが。

そして、そのお父様である、昭和天皇陛下。

大変な激動時代を送られたと思います。
私は、あの昭和天皇陛下が、もっと、晴れやかに、気持ちよい人生を送っていただけるようにできたらよかった、と、本当に思います。

昭和天皇は、20歳のまだ皇太子のとき、1921(大正10)年、ご病気だった大正天皇の摂政として、事実上、即位されています。その大正から昭和期は、関東大震災や世界経済不況もあり、大変な経済状態の世の中ではありましたが、それでも、日本は、世界の「一等国」として台頭して、様々な体面を保持し、世界からも敬愛される国として、活躍していました。
それがわかるのは、たとえば、1920年に発足した国際連盟の当初の常任理事国は、4カ国しかなかったのですが、それは、イギリス・フランス・日本・イタリアだったのです。
今、TPP交渉に遅れて参加することがどんな不利益があるか、ということを経験した者としては、国際連盟発足の当初からの常任理事国だった、ということがどんなにすばらしいことなのか、と、本当に思います。
そして、国際連盟設立に際して、事務次長に、日本人の新渡戸稲造が選ばれています。前の5000円札の方ですね。7年間ぐらい、その職にあったそうです。今、韓国出身のパン・ギムンさんが国際連合の事務総長をされていますけれども。

何を誤ったのでしょう、その後の日本の指導者たちは。
あの戦争で、私たちが失ったものは、本当にたくさんあります。

(私は、昭和天皇陛下が、20歳で摂政になり、25歳で天皇に即位されたのですが、もう少し、老成されてから即位していたら、つまり、大正天皇がご健康で、その時代が35年間くらい続いてから、昭和天皇が45歳ぐらいで即位されていたら、そのご苦労はなかったのではないか、と、思っています。もちろん、日本人、そして、アジアの周辺国、米英豪蘭などの国々の苦しみも)

閑話休題。

さて、昭和天皇陛下ですが、敗戦後、人間宣言をされ、現行憲法で象徴天皇となりました。
昭和天皇陛下は、戦後も、何度か、靖国神社を親拝されておられたそうですが、あのA級戦犯合祀後、一度も訪れる事がなかったのです。その理由ははっきりしていないそうですが、私は、昭和天皇陛下のお気持ちがわかるように思います。

本当は、国のため、天皇のため、に、命を捧げた人々に、お祈りしたかっただろうと思います。純粋に。
しかし、なのに、それをできなくさせてしまった。きっと、棘のように刺さるものができてしまい、純粋に、自分の気持ちを表した行動ができなくなってしまったのだろう、と。

昭和天皇陛下、なんと素晴らしい人格をお持ちだったのだろうと、思います。
できる限り、心穏やかな人生を送っていただけたらよかったのに、と、本当に残念に思います。

われわれは、その思いを、しっかりと心に刻み、日本人として生きて行かねばなりません。

千葉大調査は「不十分」 厚労省検討委

balanceディオバンの件ですが、厚労省は、警察への告発を行う予定との発表がありましたが、その直前に、千葉大学などの国立大学は「データが意図的に操作された形跡は見られなかった」と自己調査の結果を発表しています。滋賀医大は「恣意性は否定できず論文は不適切」と結論付けたそうです。

この流れをみて、滋賀医大は別にして、2つの有力国立大学に対しては、警察の捜査は行われないのか、と、経緯をみておりましたが、これに関し、厚労省の検討委員会が、千葉大学に、詳細な調査を求めた、というニュースが流れていました。
名古屋大学は助かるのかな。


産経新聞から

千葉大調査は「不十分」 厚労省検討委、詳細求める

 製薬会社「ノバルティスファーマ」が販売する高血圧治療の降圧剤「ディオバン」(一般名・バルサルタン)の臨床研究のデータ操作問題で、厚生労働省の検討委員会は25日、研究が行われた滋賀医大、名古屋大、千葉大の関係者から聞き取りを行い、千葉大の調査について「不十分」と指摘した。

 検討委では3大学が内部調査の結果を報告。滋賀医大は「恣意性は否定できず論文は不適切」と結論付けたとし、名古屋大と千葉大は「データが意図的に操作された形跡は見られなかった」と報告した。
 検討委は千葉大のケースについて、カルテと論文データの照合が、臨床研究に参加した患者約1000人のうち108人分にとどまったことについて、「極めて限られたデータを比較しただけの調査だ」などと指摘。
 千葉大が「(カルテと論文データの間に)相違はあったが、解析結果では数値に大きな違いは見られなかった」と結論付けたことについて「調査が不十分」と指摘し、より詳細な調査を求めた。千葉大側は「あくまでも内部調査なので、第三者委員会にお願いしたい」と応じた。

腹腔鏡手術で、動脈を誤って切断、患者死亡

hospital残念なニュースが流れていました。

腎臓を摘出する際に、腎動脈と間違って、上腸管膜動脈と腹腔動脈を切断してしまったそうです。
もちろん、動脈から大出血して、ということではありません。

大動脈から、片側の腎臓への動脈は通常、1本です。しかし、数本あるバリアントは時にあります。腎臓が片側に複数ある場合もあるくらいです。
しかし、手術の前に、血管造影やその他の造影検査などで、動脈の位置や数は確認していただろうと思いますので、通常、このようなことは起きにくいと思います。たとえ、術野が限られる、腹腔鏡手術だったとしても。
それに、左腎臓は予定通り摘出できているのであれば、執刀医は、この手術で、左腎動脈を何本、結紮したつもりだったのか、どんな認識だったのか、知りたいと思います。
だから、どうして、こんなことになったのか、不思議ではあります。

そして、術野が広い、通常の切開手術であるなら、誤った動脈を結紮するだけで、そこから血流が流れている臓器の色調の変化などが一目瞭然ですから、死亡にまでは至らなかった、のではないか、と、思います。

医学生の皆さんには、腹部の重要臓器に対する、この二本の動脈を切断すると、患者さんがどうなるか、という結果がわかるケースとなってしまいました。上腸間膜動脈と腹腔動脈の英単語を記憶している必要があります。大丈夫かな。腹腔動脈は、「celiac artery」でもいいのですが、「celiac trunk」という言い方があります。もちろん、この2つの動脈の大動脈の分岐から、主な枝分かれ、も、記憶しておかねばなりません。それぐらい、大切な動脈、ということなのです。

患者さんのご冥福をお祈りし、また、ご遺族の悲しみにも。


読売新聞から
(固有名詞は省きました)

腎臓がん手術中に動脈を誤切断、女性患者が死亡

 **大医学部付属病院は24日、腎臓がんの手術中に、切断の必要がない動脈を誤って切断し、50歳代の女性患者が死亡する医療ミスが起きたと発表した。

 発表によると、手術は今月10日、泌尿器科の執刀医と助手2人が行った。腹腔鏡手術で左の腎臓をがん細胞ごと摘出する際、腸管や膵臓につながる「上腸間膜動脈」と肝臓、脾臓、胃の一部に栄養分や酸素を運ぶ「腹腔動脈」の計2本を「腎動脈」と思い込んで切断。誤切断に気付かないまま、手術を終えた。
 術後、誤切断の可能性が判明し、11日未明に別の血管外科医が、動脈を人工血管でつなぐ手術を行ったが、患者は12日深夜、血管損傷に伴う多臓器不全などで死亡した。

世界で一番たくさん、人を殺傷している銃の開発者

あのカラシニコフさんが、亡くなったそうです。

彼が開発した機関銃は、たぶん、世界で一番たくさんの人を殺傷してきた銃器ではないかと思います。
構造がシンプルで、信頼性が高く、扱いが簡便で、製造も容易。だから、大量に生産され、世界中に拡散しています。紛争地の両軍に使用されていたりします。銃からみれば、同士討ち。

彼が亡くなっても、この銃で人々が命を落とす悲劇は、いつまでも、終わらないのかな。

カラシニコフさんは、もっと、純粋な気持ち、愛国心で開発したのかもしれませんが。

カラシニコフさんのご冥福をお祈りすると同時に、彼が開発した機関銃で亡くなった全ての人々にも思いをはせたいと思います。

子供の水痘と高齢者への肺炎球菌を定期接種に:ワクチン行政

injection私は、内科なので、子供のワクチン接種はほとんど関係していないのですが、高齢者への肺炎球菌ワクチンは関係あります。
あの西田敏行さんのテレビCMの効果か、最近、「肺炎のワクチンを」と、希望される方が増えました。外来で、毎回のように接種をしています。テレビの影響力は絶大ですね。
また、自治体からの補助がある場合、接種費用の負担が軽いということもあるかもしれません。

効果は、5年間、と、言われていますので、すでに、数年前の1回目に続いて、2回目の接種を希望される方も。

もちろん、「このワクチンは、肺炎そのものを全て予防することができるのではなく、肺炎球菌という細菌の感染を予防したり、軽症ですます、という効果が期待されているものです」と、説明しています。


読売新聞から

水ぼうそう、定期接種に…年間100万人が感染

 政府は、子どもの命を奪うこともある水痘(水ぼうそう)を予防する小児用ワクチンと、高齢者の主な死因の一つの肺炎を起こす肺炎球菌用のワクチンを、予防接種法に基づいて自治体が行う定期予防接種に加える方針を固めた。

 総務省が地方交付税を通じて財政支援し、厚生労働省が予防接種法の施行令を改正する。定期接種は来年秋から実施される見通しだ。
 全身に発疹ができる水痘は、厚労省の推計では小児を中心に年間に約100万人が感染し、20人程度が死亡する。ワクチンは患者を大幅に減らせると期待され、1〜2歳までに一定期間を置いて2回接種する。
 肺炎球菌は主に高齢者が年間に数十万人感染し、約3万人が亡くなる。ワクチンは重症者を減らす効果があり、65歳以上が1回接種すればよく、最初の5年間は対象年齢を65歳、70歳、75歳などと5歳刻みとすることで幅広い高齢者世代が受けやすくする。

中国企業の出生前診断「由々しき事態」 学会

laboratoryさすがは、信州大学の福嶋先生
「検査が不適切に広まれば、社会全体が先天性異常を排除する風潮につながる。ルールを守って欲しい」
素晴らしいお言葉です。
いままで、たくさんの先天異常、遺伝子異常の症例に関わって来られた専門家のお言葉と思います。

実は、私、15年ほど前に、信州大学医学部で、福嶋先生のご指導のもと、いろいろなお仕事をさせていただいた経験があります。その節は、ありがとうございました。この場を借りて。


朝日新聞から

中国企業の出生前診断「由々しき事態」 学会が緊急声明

 新型出生前診断を中国のBGI社が日本産科婦人科学会(日産婦)の指針を守らずに実施している問題で、日産婦と日本医学会は23日会見し、医療施設などに指針を守るよう呼びかける緊急声明を出した。検査は遺伝カウンセリング体制が整った認定施設で行うよう求めた。

 この日の会見で、学会幹部らは「由々しき事態」と指摘。指針を守らずに検査を行った医療施設へのペナルティーについては「医学会は監督や罰則を加える組織ではない」として消極的な姿勢を示した。BGI社への聞き取り調査について「現時点では検討していない」という。遺伝子技術の社会への影響を検討する委員会の福嶋義光委員長(信州大教授)は「検査が不適切に広まれば、社会全体が先天性異常を排除する風潮につながる。ルールを守って欲しい」と話した

半月板を細胞移植で修復…国内初の臨床研究へ

laboratory膝関節の滑膜から細胞を採取し、体外で増やしてから、注射器で膝関節に注入して移植するのだそうです。
注入した細胞が、ねらい通りに、半月板の機能を再生することになれば、と、思いますが、成功率がどのぐらいになるのか、知りたいところですね。


読売新聞から

半月板を細胞移植で修復…国内初の臨床研究へ

 東京医科歯科大病院(東京都文京区)は26日、膝の組織から増やした細胞を移植し、損傷した半月板を再生する国内初の手術を行う。

 半月板損傷の治療は推定で年間3万人以上に行われているが、その9割は損傷部を切除しており、膝の機能に障害が残ることが多い。今回の方法は切除せずに半月板を修復し、運動機能を保つのが狙い。半年後に安全性を評価し、治療法として確立させていく。
 同大再生医療研究センターの関矢一郎教授(整形外科)らのグループは今月12日、50代の男性患者の膝関節を覆って保護する「滑膜」という組織から、軟骨などになりやすい細胞を採取した。体外で増やし、ゲル状にして26日に注射器で膝に移植する。翌日から膝を動かして半月板の再生を促し、来年6月に安全性と修復状況を確かめる。1月には40代男性で同じ治療をし、来春までに20〜50代の計5人を対象とした臨床研究を実施する。

永遠の0

今日、封切りの、話題の映画、永遠の0、早速、シネコンのレイトショーで、観てきました。
(映画館、もう、デジタル化されているので、封切り、という言葉、もう死語になるかも)

本当は、キャプテン•フィリップス、を観に行ったんですが、チケットカウンターで、気が変わり。

結構、観客入ってました。初日だもの、当然か。

永遠の0は、原作読んでいます。
今までに、たくさんの作品が発表されている題材です。それらを、いろいろ読んで、観てきた私には、びっくりするような、新しい知識はなかったです。
すでに発表されている事柄を、いかに再構成して、新たな小説に仕上げるか、一つの見本みたいな作品と、思っています。
でも、映画化されると聞いて、映画好きの、戦争もの好きの私としては、観なくては、とは、思っていました。

夏八木勲さん、亡くなったんでしたね。
存在感ある演技、よかったです。
そして、風吹ジュン、よかったなぁ。名演技、涙が出ました。
最近、映画館内で涙もろい。

宮崎監督は、風立ちぬ、を、これより先に完成させたかったのだな。わかります。

未来ある、素晴らしい若者の命を無駄にしてはいけない。若者が死に急ぐ世の中にしてはいけない。本当に、そう思いました。

もちろん、同時に、せっかくの命、もっと有意義に、と、今の若者たちを見て、思いますけど。
それは、自分が若者ではなくなったことの証明かもしれないなぁ。

映画は、原作を、かなり忠実に再現していましたが、大事な部分に、修正が。
原作者の百田さんが主張したかったことの一つのはずが、映画では、設定変更されていました。いいのかな。
あ、新聞社が製作に名前を連ねてたね。

ヒット、するかなぁ。

民主主義の結果を横取りする方法:猪瀬都知事辞任に思う

knode2「政治家」というのは、大変なお仕事だなあ、と、本当に思いました。

猪瀬都知事、辞任しました。

1年前の都知事選で過去最多の約434万票を獲得して、都知事に選ばれて1年。
まるで、引きずり降ろされるように、辞任に追い込まれました。

わが国は、世界的にも、民主主義の仕組みがきちんと機能している国の1つだと思っていますが、その仕組みの最たるものが、有権者による公正な選挙、です。

今回、この選挙の結果を、さまざまな権力や利害関係のある側が、自分たちに都合がよいように、修正する方法を、私たちはみせつけられました。

そのために、必要な舞台道具がなにか、も、よくわかりました。

この国を「取り戻す」必要があります。

ありがたいことに、次の都知事を選ぶためには、また、選挙を行うことになりますので、都民の方々、しっかりと、選んで下さい。「取り戻す」ために。来年2月だそうです。

しかし、都知事不在の間に、猪瀬都知事が了承しなかった「案件」が、都合のよいように決定されていくことでしょう。
わたしたちは、しっかりとその様子を見て行かねばなりません。

人工呼吸器停止、患者が重体…看護師を略式起訴

balance2008年の大晦日に起きたことのようですので、5年前ですが、人工呼吸器の扱い方を誤ったとのことで、看護師が起訴されました。看護師本人も認めているようです。意識不明の重体にした、とのことで、業務上過失傷害での略式起訴となっています。

患者さんは、結果的に亡くなっています。起訴されるのは、実際に機器を操作した看護師さんだけのようです。

もし、業務上過失致死の罪に問われることになると、例の「異状死体」のことが問題となり、主治医や死亡診断をした医師にも嫌疑が及ぶ事態に進展する、と、考えられる、と、私は思いました。

いずれにしても、患者さんのご冥福をお祈り致します。
また、同様の事故が起きないように、と、思います。


読売新聞から

人工呼吸器停止、患者が重体…看護師を略式起訴

 茨城県日立市城南町の日立総合病院で2008年、入院中の男性患者(当時76歳)が、人工呼吸器の酸素供給を止める「スタンバイモード」にされたまま放置されて意識不明の重体となる事故があり、日立区検が女性看護師(32)を業務上過失傷害罪で略式起訴したことがわかった。

 男性は事故の約2か月後に死亡した。起訴は17日付。
 起訴状などによると、看護師は2008年12月31日、心臓疾患で入院していた男性の気管にたまった痰を除去する際、人工呼吸器をスタンバイモードに切り替えたまま退室し、約40分間放置したために心停止させ、低酸素脳症の傷害を負わせたとされる。
 男性が急に意識不明となり、亡くなったことを不審に思った遺族が2009年4月、日立署に相談。県警が今年2月、業務上過失致死容疑で書類送検したが、検察は「死亡との因果関係までは問えない」と判断した。捜査関係者によると、看護師は調べに対し、「以前から日常的にスタンバイモードに切り替えていたが、この日は戻すのを忘れた」と話しているという。

後発医薬品:価格は新薬の60%に 厚労省

capsule003国民医療費の抑制策として、確実な方法ですが。
厚生労働省は、現行70%を、50-55%に抑制する、と、主張していたのですが、業界が反対していました。
「落としどころ」は60%でした。


毎日新聞から

後発医薬品:価格は新薬の60%に 厚労省が抑制方針

 厚生労働省は18日、後発医薬品(ジェネリック)の公定価格(薬価)について来年4月以降、新薬(先発医薬品)の60%に抑える方針を決めた。薬価は2年に1度見直され、新薬の特許が切れた後発薬を発売した場合、新薬の70%の価格としていたが、医療費を抑制するために引き下げる。

 厚労省は11月に、後発薬の薬価を50%か55%に引き下げる案を厚労相の諮問機関、中央社会保険医療協議会(中医協)に提示した。しかし、利益の大幅減につながる後発薬メーカーが難色を示し、引き下げ幅を緩める。

伊勢名物「赤福」のスピンアウト?

三重県伊勢市の和菓子会社「赤福」と、私は、なんの関係もないのですが、東京の方から当院に研修に来た研修医の先生たちが、土日の休日などに、熊野から伊勢まで遊びに行って、食べてくることがあるので、一度、紹介しておきます。

♫伊勢の名物〜 というテレビCMでおなじみの「赤福餅」は、お餅の上にこしあんを乗せた、いわゆる、あんころ餅で、この店に行くと、通常メニューは、このあんころ餅しかありません。

しかし、夏場には、別メニューがあります。

「赤福氷」(写真右側。左側は、もちろん、赤福餅です。お1人様、お持ち帰り用パック)
photo

抹茶のかかったかき氷です。中に、お餅とこしあんが隠れています。イチゴや練乳ミルクはなく、抹茶の一種類しかありませんが、それで十分にうれしいです。
急いで食べると、こめかみが痛みますので、ご注意ください。

そして、寒い冬にはぴったりの別メニュー。

「赤福ぜんざい」(3人前、ね)
photo

ピンぼけ、ひどい写真ですいません。
粒あんしるこに、焼きもちが入っています。小皿の小梅と塩昆布が箸休め、十分にうれしいです。
こちらも、急いで食べると、舌を火傷しますので、ご注意ください。

先日、20年毎の遷宮で、新しくなった、外宮と内宮を、中学3年生の娘と一緒に参拝し、帰りにぜんざいを食べてきました。
食べたことがない、という方があれば、ぜひ、一度、お試しを。

あ、もちろん、伊勢には、他にも、おいしいお餅やお菓子があります。赤福だけではありません。
一言、付け加えさせていただきます。

糖尿病新薬SGLT2阻害薬、来年1月承認へ

capsule003新しい糖尿病治療薬、SGLT2阻害薬が、来年1月に承認される見通しになった、とのことです。
保険適用は4月とか。
いわゆる「ピカ新」ですので、効果や副作用が気になりますし、薬価もどうなるのかな。

最近の糖尿病薬の進歩、充実には、眼をみはる思いです。

糖尿病ではないけれど、炭水化物が大好きな私も飲みたいぐらいですが、もともと、高血糖の方にしか、はっきりした効果はないかもしれないですけど。どうなんでしょう。

この新聞記事の見出し、「太りにくい」ってねえ。誤解を招く表現ですね。わざとかな。
アステラスの株価が上がるかな。

副作用ですが、SGLT2遺伝子の変異が確認されている家族性腎性糖尿病の患者さんでは、尿糖陽性であっても、血糖値は正常で、身体的に特に異常はないそうですし、いまのところ、腎臓以外でSGLT2が高発現している臓器は確認されていないそうです。そのため、重篤な副作用が出現する可能性は低いと考えられています。

ただ、この酵素とよく似た酵素が、体内の思わぬところにあり、まったく違う機能をしているかもしれません。体内にはたくさんの種類の酵素があります(たんぱく質はみんな酵素活性を持っているぐらいなので)が、よく似た構造のものに種類分けすることが可能です。つまり、われわれの生体は、長年の進化の歴史の中で、もととなるいくつかの酵素があり、それが突然変異などで、少しずつアミノ酸配列が変化して、次第にたくさんの酵素が生まれて来た、ということなので。

酵素たんぱく質の研究では、抗原抗体反応を用いた検索を多用しますが、その実験では、腎臓以外の臓器で発現していないということでしょう。たんぱく質を区別するのに、抗原抗体反応が一番鋭敏とされています。
ただ、酵素と反応基質との関係はもう少し「緩い」ので、この医薬品が体内で、思わぬところで酵素タンパクの機能を変化させる可能性があるのでは、と気になります。
ということは、思わぬ副作用が報告される可能性はまだ残っていると、今のところ、私は、思うのです。

ピカ新には、すぐに手を出さない、というのも、20年以上、医師をしてきた私の人生訓です。
でも、やっぱり、楽しみ。


読売新聞から

糖を尿から排出…糖尿病の「太りにくい」新薬

 糖尿病の新しいタイプの治療薬が来年1月、国内で初めて承認される見通しになった。

 体内に過剰にたまった糖の尿からの排出を促し、体重増加を起こしにくいのが特徴で、同4月頃に保険適用される方向だ。
 新薬は、アステラス製薬申請の「スーグラ錠」。厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の部会が先月、承認しても差し支えないとの意見をまとめた。腎臓には血液から尿に出た糖を、栄養分として再び取り込む働きがあるが、新薬はその働きを妨げて排出につなげる。成人は1日1回飲む。
 従来の薬は、血糖値を下げるホルモン「インスリン」の働きを強めたり、分泌量を増やしたりする効果があるが、糖が細胞に入って体重を増やしたり、血糖値を下げすぎたりする場合がある。新薬は糖を体外に出すので、血糖値の調節機能も保たれ、こうした問題は起きにくいという。他の複数の製薬会社も類似の薬の承認を申請している。

「ディオバン」刑事事件へ

balanceとうとう、刑事事件になるそうです。
確かに、この研究結果をもとにしたノバルティス社の販売攻勢はすごく、また、EBMということで、医師たちも無邪気に信じて、ディオバンを多数の患者に処方しましたので。
社会的影響が大きいと思います。

誇大広告で有罪に持ち込むためには、会社が虚偽データをもとにした研究報告であることを知っていたということを証明する必要があり、研究に関与した社員が、会社の命令で不適切なデータ処理を行ったことを証言するなり、裏付ける書類などの証拠がないといけないと思います。


読売新聞から

高血圧薬データ改ざん、ノバ社を刑事告発へ

 高血圧治療薬「ディオバン」の臨床研究データ改ざん問題で、厚生労働省は、不正なデータを広告に使用したことが薬事法違反(誇大広告)の疑いがあるとして、販売元のノバルティスファーマ社(東京)と問題の広告に関与した同社の担当責任者を、近く同法違反容疑で捜査当局に刑事告発する方針を固めた。

 同省の調査に対し、同社は組織としての関与を否定しており、捜査で実態を解明する必要があると判断した。
 薬事法は、医薬品などで虚偽や誇大な表現を使った広告を禁じており、違反した場合は2年以下の懲役か200万円以下の罰金。同省によると、記録が残る1975年以降、誇大広告のみで行政処分や刑事罰を科されたケースはない。同省は告発先として、東京地検を軸に最終調整している。

ピルの副作用、血栓症 5年で11人死亡例

capsule0035年間で、11人の死亡例は、多いと感じるべきか。
もともと、死亡するような疾患の治療薬というものではないので、死亡があってはいけないと感じますが、食品ではなく、医薬品としての化学物質ですので、死亡する例があっても不思議はない、とも思うのです。
たとえば、バイアグラでは、服用後の死亡として米国FDAに報告された数は、1998年3月末から7月までの間に、69人(男性66人)だそうです。その間、延べ360万人以上の患者に処方されていたそうですけれど。

女性ホルモン自体は、動脈硬化の進展を抑制する作用があるというのは医学的常識なのですが、低容量ピルを服用すると、血栓症は、3〜5倍、増やしてしまう副作用があることが判明したということですね。

あと、女性ホルモンということで、乳癌や子宮癌など、婦人科系の悪性腫瘍の発症頻度は増えないのかなあ。

要は、リスクをきちんと伝え、服用するかどうかは本人次第ということと思います。


朝日新聞から

ピルの副作用、血栓に注意を 5年で11人死亡例

 【阿部彰芳】生理痛の治療や避妊でピルをのんだ後に、血の固まりができる副作用によって、この5年間で11人死亡し、重症例が361件報告されていることがわかった。日本産科婦人科学会(日産婦)は緊急に注意を呼びかけたほか、厚生労働省研究班も実態調査に乗り出した。

 医薬品の安全を管理する独立行政法人の集計などによると、2008年〜13年上半期に、低用量ピル11品目で、血の固まりが血管をふさぐ血栓の重症例が延べ361件、副作用として報告されていた。死亡は11件で10代1人、20代2人、30代4人、40代1人、50代2人、不明1人だった。
 血栓は血の流れが遅い静脈にできやすく、ピルを使わなくても10万人あたり年5人の頻度で起きる。ピルはこのリスクを3〜5倍引き上げる。ピルに含まれる女性ホルモンが血液を固める成分の合成を促すためだ。副作用の報告はピルとの因果関係が不明の例も含むが、2008年の33件から2012年の105件に増え続けていた。
 ピルは避妊だけでなく重い生理痛や子宮内膜症などの治療薬として広がっている。子宮内膜症は、治療しないと不妊や卵巣がんのリスクが高まるからで、2008年以降、2品目が保険適用された。日本家族計画協会専務理事の北村邦夫医師によると、ピルの売り上げは2008年から4年間で約1.5倍に増え、利用者は推定100万人に上る。
 日産婦は今年2人死亡したことを受け、注意喚起した。血栓の前兆になる頭や胸、ふくらはぎの痛み、視野の異常などがあれば、すぐに専門医に診断を頼むよう求めた。北村さんは「事前に血栓が起きるかわからない。血栓は治療薬があるので、早く見つかれば重症化を防げる」と話す。
 厚労省研究班(担当=小林隆夫・浜松医療センター院長)は2千超の医療施設を対象に、ピルなどの女性ホルモン剤と血栓の頻度など副作用の詳しい実態を調べ、安全策を提言する。小林さんは「ピルは比較的、副作用が少ない薬だが、血栓が起きうると思って使うことが大事だ」と話す。

「国民の健康のため、さらに思い切った値上げが必要」タバコ

cigarette喫煙者にとって、禁煙を決断するに十分なタバコの値段は、いくらぐらいがよいのでしょうか。

厚生労働省が、財務省に対する材料として、タバコに関する政策提言をいつもしています。
「国民の健康」は、厚生労働省の所管事項ですから。

ちょうど、予算編成の今の時期にしているのが、なんだか、興味深い。
ということは、この記事を掲載した新聞社も役所同士のつばぜり合いに利用されているのかも。

今回の厚生労働省側の主張は、

「国民の健康のため、さらに思い切った値上げが必要」

とのことです。
さあ、財務省は、どう反論するのかな。


朝日新聞から

たばこ、大幅値上げでも禁煙者は増えず?

 【編集委員・田村建二】3年前にあったたばこの値上げ額は1箱110円などと大幅だったにもかかわらず、値上げによる販売量の変化の度合いは20〜30円ほどの値上げだった過去2回と変わらないことが、厚生労働省研究班の解析でわかった。「国民の健康のため、さらに思い切った値上げが必要」という。

 たばこ税の引き上げなどに伴い、2010年秋に代表的な銘柄で20本入り1箱の価格が300円から410円になったりした。研究班は日本たばこ協会の統計データなどを使い、値上げがその年度の販売数量にどう影響したのか、過去の値上げと比べて検討した。
 たばこの販売量は、健康への関心などのために減り続けているため、統計学的な手法で調整。値上げの影響だけを見られるようにした「価格弾力性」を算出した。この指標の数値が大きいほど、値上げによる影響力が大きくなる。
 すると、2010年の値上げのときの値は0.28。主な銘柄で20円の値上げだった2003年の0.30、同様に30円の値上げだった2006年の0.27とほとんど差はなかった。

ES細胞から、膵ランゲルハンス島β細胞を効率よく作製

laboratoryマウスのES細胞での実験結果ですが、糖尿病患者さんには朗報と思います。特に、1型糖尿病。


毎日新聞から

ES細胞:熊本大、膵臓細胞を効率よく作製…糖尿病に応用

 あらゆる細胞に分化できるマウスの胚性幹細胞(ES細胞)から、血糖値に応じてインスリンを分泌する膵臓の細胞(膵ベータ細胞)を効率よく作製することに成功したと、熊本大の研究チームが発表した。できた細胞を糖尿病のマウスに移植すると、3週間後には血糖値が正常値に改善した。ヒトの糖尿病の治療にも応用が期待できるという。

 これまでの研究では、十分な機能を持つ膵ベータ細胞を作ることができなかった。チームは、ES細胞から膵ベータ細胞への分化を促進し、生体同様にインスリンを分泌する細胞に育つことに必要な2種類の化合物を特定した。その結果、従来のものと比べ、10倍以上効率よく作製できた。インスリンの分泌量も200〜300倍に上がり、生体内の機能に近付いたという。
 この方法をヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)に応用すれば、ドナー提供を待たずに移植治療できる可能性があるという。粂昭苑(くめ・しょうえん)熊本大教授は「動物実験で安全性が確かめられれば、10年後にはヒトへも応用できる」と話した。

心電図モニターの心室細動アラーム音を聞き逃す

balance心室細動は、致死性不整脈とも言われるように、放置すると急速に死に至る、危険な不整脈です。
対処法としては、電気ショックが有名ですね。できるだけ早く、処置を行えば救命できる可能性が高まります。そのために、今では、AEDという、一般の方でも操作が可能な機械がいろいろな場所に設置されています。

病棟において、心臓のカテーテル検査後の患者さんに装着されていた心電図モニターの、心室細動をしめすアラーム音を聞き逃し、結果として患者さんがお亡くなりになるという医療事故があったそうです。

当院でも、複数の患者さんのアラームやナースコールが同時に鳴る、という事態はしょっちゅう起きていますので、気を付けていきたいと思います。

患者さんのご冥福をお祈り致します。


読売新聞から

看護師らアラーム聞き逃し、手術直後の患者死亡

 埼玉県川口市の済生会川口総合病院で2011年、入院していた女性患者(当時71歳)の容体の急変を知らせるアラーム音を看護師らが聞き逃し、女性が死亡する事故があったことが13日、関係者への取材で分かった。

 同病院は過失を認めて遺族に謝罪し、川口保健所に医療事故報告書を提出した。
 報告書などによると、女性は同年1月、閉塞性動脈硬化症と狭心症のため入院し、心臓の冠動脈にカテーテルを通す手術を受けた。手術を終えてから約1時間後に女性の容体が急変。心電図のモニターが異常を示し、ナースステーションでアラームが鳴ったが看護師らは気付かなかった。アラームが鳴り始めて約10分後に看護師が駆けつけた時には、既に意識がなく、約2時間後に死亡した。
 同病院は事故調査委員会を設置して死亡した経緯を調べ、「致死性の不整脈(心室細動)を示すアラームの聞き逃しによる救命処置の遅れが死亡の原因」と断定した。同病院によると、他の患者のアラームも鳴ったほか、急患の対応や勤務交代・食事介助の時間帯とも重なり、アラームを聞き逃したという。

製薬元社員、身分隠し子宮頸がんワクチン論文

injectionまたまた、製薬会社と学界との不透明な結びつき、あるいは、製薬会社の不透明な活動、が明らかとなりました。

たくさんの大学の研究室に、多数の民間企業からの研究者が所属し、研究や学会活動などをしているのは事実。というか、いまでは、私立大学はもちろん、国立大学でも民間企業からの資金提供や人材派遣の受け入れに積極的になっています。

この論文が、どのぐらいの社会的効果をもたらしたのかは測定しようもないと思いますが、しかし、59万人もの人にワクチン接種をすると、その10数年後に12億円の効果がある、というのは、どのように考えればよいのか、私には判断する基準を持たないので、よくわかりません。


読売新聞から

製薬元社員、身分隠し子宮頸がんワクチン論文

 子宮頸がんワクチンを製造販売する製薬大手「グラクソ・スミスクライン社」は11日、同ワクチンの費用対効果を分析する論文を、元社員が身分を明かさず、非常勤講師だった大学の肩書で執筆していたことを明らかにした。

 論文は、厚生労働省の委員会の資料になり、ワクチンを公的な助成のある国の定期接種の対象とする根拠の一つになった。高血圧治療薬「ディオバン」の論文データ改ざん問題同様、製薬企業の姿勢が改めて問われる。
 論文は2009年9月に発表された「若年女性の健康を考える子宮頸がん予防ワクチン接種の意義と課題」。12歳の女子約59万人にワクチンを接種すると、20〜30歳代になった時に医療費などが約12億円減ると分析した。当時、元社員は同社で、医薬品の費用対効果を評価する部署の課長だったが、非常勤講師をしていた東京女子医大の肩書で発表された。元社員は2010年6月に退社し、現在は別の大学の准教授をしている。
 同社は「当時は論文を発表する際の社内的なルールがなかったが、現在の規定に照らし合わせると適切ではなかった。分析の基になったデータはすべて公開されており、内容には問題がない」と話している。
 厚労省結核感染症課は「事実関係を確認している」としている。

医療ミスをした医師が、カルテを改ざん?:JR北海道の保線

balanceこういうニュースを参考に、医療倫理の問題も考えていくとよいと思っています。

線路の保線担当者が、脱線事故を起こした線路の計測値を改ざんしていた、というニュース
これを医療事故の構図にあてはめると、
医療事故を起こした医師が、カルテを改ざんしていた、ということになるでしょうか。
恐ろしい事態だと思います。JR北海道。

もちろん、医師免許とは社会的責任の重さは違うかもしれませんが。


読売新聞から

脱線2時間後データ改ざん、整合性取れずまた…

 北海道七飯町のJR函館線大沼駅で今年9月に起きた貨物列車脱線事故で、JR北海道は12日、現場を管轄する大沼保線管理室が事故当日の夜、現場付近のレールの広がり幅の計測データを改ざんしていた、と発表した。

 改ざんデータは運輸安全委員会や国土交通省にも報告された。現場社員が、レール幅の異常が事故につながったと認識しながら、異常の放置を隠蔽する目的で改ざんしたとみられる。
 JR北海道によると、事故は9月19日午後6時5分頃に発生。同管理室では同日午後8時頃、社員2人が現場のレールの計測データを改ざんした。さらに同日午後10時頃、上部組織に当たる函館保線所の社員1人が「周辺のレールの計測データと整合性がとれなくなる」などとして、周辺のデータも改ざんするよう指示。最終的に計10か所、改ざんしたという。一連の改ざん問題で、同社が上部組織の関与を認めたのは初めて。

抗がん剤記事に製薬会社が金銭…薬事法違反か

knode2週刊誌などに掲載される記事の客観性、正当性については、注意が必要、ということでしょうか。

今回は、がん患者向け月刊誌、だそうです。
大手出版社の老舗週刊誌はどうなんでしょう。記事は信用できるのかしら。
さらに、新聞はどうなんでしょう。スポンサー、広告主への配慮は?
テレビはもちろん、ねえ。


読売新聞から

抗がん剤記事に製薬会社が金銭…薬事法違反か

 がん患者向けの雑誌に掲載された記事が、薬事法で禁じられた抗がん剤の広告にあたる可能性があるとして、厚生労働省が調査を始めた。

 特定の商品をPRする内容の記事が多いことに加え、製薬会社が出版社に金銭を支払っていたことが判明したためで、厚労省は製薬業界に自主ルールの策定と再発防止を求める方針だ。
 ◆タイアップ
 厚労省が問題視しているのは、一般書店で販売されているがん患者向け月刊誌(公称7万部)に掲載された抗がん剤の紹介記事。その多くは、医師らが特定の商品名を挙げて有効性を説明する内容になっている。
 発行元の出版社の関係者らによると、記事を掲載する際、抗がん剤を販売する製薬会社から1ページあたり47万〜57万円を受け取っていた。関係者の一人は取材に「紹介記事はタイアップ記事と呼ばれていた。部数が伸び悩み、毎号2本程度のタイアップがなければ収支が合わなかった」と明かした。出版社が記事の企画を作り、製薬会社に持ち掛けるのが基本だったという。
 読売新聞が製薬会社側に取材したところ、5社が2010〜11年の記事に190万〜550万円以上を出版社に支払ったことを認めた。5社の支払額は少なくとも計1300万円。うち1社は「医療用医薬品も含む27回の記事で4000万円以上を支払った」と話し、少なくとも9件が抗がん剤に関する記事だという。
 一方、出版社の取材に応じた医師や大学教授らは数万円から10万円程度の謝礼を受け取っていたが、多くが「製薬会社から資金が提供されていたとは知らなかった」と話している。
 ◆温度差
 薬事法が抗がん剤の広告を罰則付きで禁じているのは、抗がん剤は副作用が特に強いため、患者が本来必要な薬ではなく、広告の薬を選べば、健康被害を受ける恐れが強いためだ。薬は医師の判断で投与するのが原則だが、がん治療の現場では近年、患者の意思を尊重する傾向が強まり、治療法や薬の選択を患者に委ねるケースが増えている。
 厚労省は「金銭の支払いは、記事掲載に宣伝の意図があった可能性が高いことを示している」として調査を開始。自主的に報告してきた製薬会社に詳細な調査と報告を指示し、未報告の会社や出版社からも事情を聞くことを検討している。
 一方、製薬会社側の認識には温度差がある。3社は「薬事法に抵触する可能性が高い」「広告と疑われかねない」「倫理的に問題」として、いずれも「今後はやめる」と話した。これに対し、2社は「患者向けの啓発で、違法性はない」「広告ではなく、編集方針に賛同して制作費を負担しただけ」と主張している。
 ◆「罪深い」
 専門家や患者らの中にはタイアップ記事に厳しい視線を注ぐ人もいる。
 記事の内容について、複数のがん専門医が「医学的な事実関係に間違いはないが、一部に大げさな表現もある」と指摘。日本医科大武蔵小杉病院の勝俣範之教授(腫瘍内科)は「医師らが薬を客観的に評価しているように見えるが、裏に金のやりとりがあるなら客観性に疑いが生じる」と話す。
 患者団体「卵巣がん体験者の会スマイリー」の片木美穂代表は「患者が薬の選択を誤る引き金になりかねず、非常に罪深い。『治った人が何人いる』などの情報に飛びついて、その治療を受けられる病院に駆け込み、亡くなった患者を知っている。宣伝なら、読んだ人がわかるようにすべきだ」と指摘する。
 一方、出版社は取材に「商品名を記載したのは患者への情報提供の一環で分かりやすさを追求したに過ぎず、違法性はない」と文書で回答。金銭のやりとりについては回答しなかった。

女性から性別変更した男性と結婚した女性が人工授精で子供

balanceこの子供はすでに4歳、だそうです。

性同一性障害のために、女性から性別変更した男性と結婚した女性が、第三者から精子を提供してもらい人工授精を行い、子供を授かったけれども、「夫と子に血縁関係がないのは明らか」として、夫をその子供の父親として認定せず、戸籍上は「非嫡出子」として登録されていたケース。

一審と二審は、父親として認めなかったけれども、本日、最高裁の決定で、夫を子供の父親として認定したそうです。

民法にはこんな規定があるのです。

「妻が婚姻中に妊娠した子は夫の子と推定する」

精子が本当に夫のものだったのかどうか、は、民法の規定は無関係になっています。
これは、生まれてくる子供の人権を重視した規定とも思います。

今回は、夫が、もともと女性であったことから、戸籍への登録業務を行う役所が、父親として認めなかった、ということだったようです。

4歳で決定がなされて、本当に良かったですね。
物心つくようになったら、いろいろ、問題も起きたかもしれないので。


朝日新聞から

性別変更の元女性と、精子提供の子は父子 最高裁初判断

 【田村剛】心と体の性が一致しない「性同一性障害」(GID)で性別を女性から変更した男性が、第三者から提供された精子で妻との間にもうけた子は、夫の子と認められるか。その点が争われた裁判の決定で、最高裁第三小法廷(大谷剛彦裁判長)は、一般の夫婦同様に「妻が婚姻中に妊娠した子は夫の子と推定する」という民法772条1項が適用されるとの初判断を示し、「夫の子」と認めた。10日付の決定。

 裁判を起こしていたのは、女性から男性に性別変更した兵庫県宍粟市の夫(31)とその妻(31)。
 妻が第三者の精子を使った人工授精(AID)で産んだ長男(4)について、東京都新宿区に出生届を出したが、夫の戸籍から「元女性」であることがわかるため、区は「夫と子に血縁関係がないのは明らか」と判断。戸籍上、夫婦の子ではない「非嫡出子」扱いとし、父親欄を空欄としたため、夫婦が「子を嫡出子として扱い、父親欄に夫の名前を記載すべきだ」と訂正を申し立てていた。
 一審・東京家裁と二審・東京高裁は「夫と子に血縁がないことは明らか」として申し立てを退けたため、夫婦が特別抗告していた。

遺伝子解析「23アンドミー」情報提供中止へ

laboratory「23アンドミー」は、情報提供を中止するそうです。
しかし、「判定や解釈を加えない生データの提供は続ける」そうですから、実質、事業継続かも。
今後の経過をみていきたいと思います。

朝日新聞の記事によれば、出資者には「IT大手グーグルの共同設立者」がいるそうです。これは、このニュース記事に意味ある情報なのかしら。


朝日新聞から

米遺伝子解析企業、判定情報の提供中止 FDA警告受け

 【ワシントン=行方史郎】唾液に含まれるDNAから、糖尿病や心臓病など約120の病気のリスクを判定していた遺伝子解析の米最大手「23アンドミー」(本社・カリフォルニア州)は、健康関連の情報提供をやめると発表した。米食品医薬品局(FDA)が、判定に誤りがあれば、利用者が不適切な治療を受けかねないとして、販売を中止するよう警告していた。

 同社によると、今後も解析キットの販売は続けるが、判定は先祖にかかわる項目など一部に限定する。一方、判定や解釈を加えない生データの提供は続けるという。
 同社では、将来FDAの許可が得られれば、健康に関連する情報提供を再開するかもしれない、としている。ただ、昨年7月、一部の項目についてFDAに承認申請をしたと発表したが、承認される見通しはたっていない。
 個人向け遺伝子解析サービスは2000年代後半に登場、オンラインで手軽に遺伝情報を知ることができ、FDAの許認可の対象とならないまま拡大。IT大手グーグルの共同設立者らが出資して設立された23アンドミーの利用者は欧米を中心に約50万人に上る。病気の治療や予防に使えるとの期待がある一方、検査方法や判定の信頼性、販売方法を疑問視する声も出ていた。
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