heart学会が、認定施設の拡大にブロックをかけている間に、認可外の施設での検査実施が広まってきてしまい、どうしようもなくなってきた、というのが実情かもしれません。

検査の実施の是非ではなくて、病児とわかった場合の人工妊娠中絶の実施の是非、が、問題の本質である、と、思います。


毎日新聞から

新型出生前診断
本格実施へ対象施設拡大 指針見直し方針

 妊婦の血液から胎児の病気の可能性を調べる新型出生前診断(NIPT)を巡り、日本産科婦人科学会(日産婦)が、倫理面から現在は臨床研究に限定している指針を見直し、本格実施に踏み切る方針を固めた。胎児の中絶につながるため「命の選別」との批判も根強いが、高齢妊娠の増加で高いニーズに応える必要があるとして受診できる施設を大幅に増やす。ダウン症など3種類に限っている対象疾患や妊婦の年齢要件の緩和も段階的に検討する。3月の理事会で決定する。

 NIPTは他の出生前診断と比べ、手軽で精度が高いのが特徴。国内では2013年、35歳以上の妊婦らを対象に、各学会を統括する日本医学会の認定施設のみが実施できる臨床研究として開始された。
 中心的に取り組む共同研究組織「NIPTコンソーシアム」によると、昨年9月までに5万1139人が検査を受けた。精度は対象疾患によって差があるが平均90%で、流産の恐れがある羊水検査を減らせる利点が明確になったという。
 一方で、近年は医学会の認定を受けずに検査する無認可施設が登場。夫婦に検査内容や遺伝性の病気に関する十分な遺伝カウンセリングをしなかったり、指針が定める妊婦の年齢に関係なく、ダウン症や18トリソミー、13トリソミー以外の染色体異常も調べたりする実態が問題化している。
 このため、コンソーシアムは昨年11月、「研究の終了と臨床への移行」を日産婦に提言した。研究代表の左合治彦・国立成育医療研究センター副院長は「野放しで広がると社会的混乱が起きる恐れがあり臨床研究の形で慎重に進めてきたが、データも蓄積され、役割は終わった」と話す。
 認定施設は当初の15から現在は89まで増えたが、日産婦は認定要件を緩和する一方、医師に研修を課すなど無認可施設と差別化しつつ、認定施設を最大600程度まで拡大する方法を検討する。日産婦の藤井知行理事長は「無認可施設に妊婦が流れており、現在の体制は限界だ。希望に応えつつ適切な形を考える必要がある」と語る。

 【ことば】新型出生前診断(NIPT)
 妊婦の血液中の微量な胎児のDNAを分析し、染色体数の異常が原因の病気の可能性を調べる。確定診断には羊水検査が必要だが羊水検査などより早い妊娠10週前後から検査でき、危険性もない。現在の日産婦の指針では、35歳以上や、過去に染色体異常の子を妊娠したことがある妊婦らだけが受けられる。