2005年07月15日

子供の睡眠が危ない!

日本睡眠学会第30回定期学術集会』が6月30日―7月1日に栃木県総合文化センター(宇都宮市本町)で開かれました。 学術集会長は小林 敏孝先生(足利工業大学 睡眠科学センター長)でした。1,000人以上の参加者があり、成功裏に終了したと、先生は大変喜んでいらっしゃいました。 

日本睡眠学会理事長 太田 龍郎先生の記念講演を聞いて、
睡眠の研究は非常に新しく、ベルガ―の脳波の研究1929年に始まり、1953年(昭和28年)米国シカゴ大学のアスレンスキー等のREM睡眠の発見により、睡眠研究が飛躍的に進みました。ちなみに、遺伝子のDNAが同じ年に発見されたそうです。
天文学、地学、化学、物理学その他の多くの学門は有史以来の歴史があるのに、ごく身近な睡眠に関する学問はまだ数十年しか経っていないのは心外でした。
IT、エレクトロニクスの発展、薬学、医学の発展と共に睡眠研究は飛躍的に解明されつつありますが、まだ歴史も浅く、研究の緒についたばかりといえるそうです。

近代日本は病院勤務者、治安関係者、企業の交代勤務、夜勤労働者、残業過多、情報社会の従事者、夜型の人々、睡眠時間を犠牲にした24時間社会構造となり、「日本人の5人に1人は、睡眠に何らかの不満を抱えている。」といわれています。

最近、私の家の前で普通の2車線の直線道路で午前8時ごろの、通勤時間に時速約40kmで走っていて、急に対向車線の車がハンドルを切り正面衝突していました。これは明らかに居眠り運転と思われます。

このような日常茶飯事の事故から、

スリーマイル島原発事故(1979年3月)、スペースシャトル・チャレンジャー爆発(1986年1月)、石油タンカー・バルディーズ号原油流出事故(1989年3月)は睡眠障害によって引き起こされたと言われています。

日本でも平成15年2月の新幹線運転手の居眠りによる駅通過事故がありました。このときの「睡眠時無呼吸症候群」が話題になり、社会的関心が非常に高まりました。
今回の学会でも「睡眠時無呼吸症候群」に関する発表が4割を越しておりました。

厚生労働省発表 平成14年9月 平成13年労働環境調査の概況によると、
深夜業務に従事する労働者の割合は20.7%であり、事業所規模が大きいほど深夜業務に従事する割合が高い。深夜業務に従事する労働者の中で、深夜業務につく前と比較して体調の変化があったとする労働者の割合は36.1%です。

睡眠が不足すると、集中力に欠けたり、判断力が鈍ったり、仕事中に居眠りをしたりしてしまう。交通機関の運転手や機械のオペレーターなど、職種によっては人命にかかわる場合もあります。(日本での睡眠障害による経済的損失は年間、1兆4,950 億円と推定されます。)

重大事故をまねかないためにも、健康な生活を維持するためにも睡眠について正しい知識を持つことが大切です。

この学会のすばらしい所は、社会的要請もあり、睡眠障害の全般を診療対象とする医療機関、大学等に新設され、現在、約30の学会認定医療機関があります。(学会の認定医は約250名)
個人的な睡眠医療クリニックも地方でも聞かれるようになりました。

学会に出ての感想は専門用語がたくさん出て素人の私にはとても難しい内容でした。資料集を読み返し、参考の本と読み合わせると少しは理解できました。

学会の内容が、「発掘あるある大辞典」とか「ためしてガッテン」「きょうの健康」等の健康番組でやさしく噛み砕いて放映して頂けるとありがたいです。

「子供の眠りが危ない!」・・・日本社会の大きな問題になっています。
(日本睡眠学会理事長 太田 龍郎先生のお話しの中にもありました。市民口座でも取り上げて居りました。)

最近、日本人の生活スタイルが夜型化し、夜更かしの習慣は大人ばかりでなく、子供にも及んでいます。

睡眠は寝ている間に「成長ホルモンの分泌」、「脳内の神経ネットワークの形成」、「記憶の定着」、等々の機能があります。

子供の睡眠不足は「イライラ」「切れやすい」、「多動傷害」、「自律神経系の失調」、「知的・情緒的発育の遅れ」、「覚醒傷害」その他多くの傷害の原因になっています。精神的にも肉体的にも多くの問題を生じます。

子供を生んで、一生懸命に育て、その結果…社会的問題児にならないように!
「子供の睡眠」についても学び、社会的に理解レベルの向上を心掛ける必要があります。
  

Posted by nakameri at 14:50Comments(2)TrackBack(1)

2005年07月03日

睡眠時無呼吸症候群【日本睡眠環境学会】

6月30日〜7月1日まで日本睡眠学会が栃木県総合文化センターで開かれました。
このことは今月中頃のブログに書こうと思います。

6月2日のブログで第22回睡眠環境シンポジュウム【日本睡眠環境学会】があったことは報告しました。

大会長は舘 親光氏(ヤカタ株式会社 代表取締役) テーマ「科学的に検証された未来寝装品ビジネスの展望」

日本睡眠環境学会 梶井宏修会長(近畿大学理工学部建築学科)の挨拶で「・・・眠りに関する環境を整え、快い寝覚めを約束する環境つくりが大切であると考えられています。・・・」と述べられております。

日本睡眠環境学会は文字通り、睡眠・気候(熱帯夜、寒冷)・家・寝室・空調・温度・湿度・寝具・繊維・衣類・臭い・光り・音・等の睡眠と環境を研究する学会であります。

今回のシンポジュウムで特に私の印象に残ったのは、招待講演で太田睡眠科学センター 千葉伸太郎先生(日本睡眠学会、栃木県総合文化センターでもご活躍されました。)の講演です。

    【統合的視野に立った睡眠(医療)の評価】
  (睡眠障害から睡眠の「quality of life」まで)
  ――寝具寝装品業界との連携をめざして――

・・快適な睡眠を楽しむことにより、成人では健康を維持し、快適な生活を送れます。さらに、良い睡眠は小児の健やかな成長をもうながします。しかし、現代社会で生きるヒトは時間と多くのストレスにおわれ、睡眠を軽視しがちです。最近の調査では現在わが国の成人の20%が睡眠について何らかの問題を持っているとされています。・・・2003年の山陽新幹線の事例を契機に眠気と睡眠時無呼吸症候群が注目され、睡眠医療については専門のクリニックが相次いで設立されています。・・・

太田睡眠科学センターでは睡眠医歯学、睡眠科学、睡眠社会学3つの視点から、睡眠について考えていこうと努めております。そのため、睡眠検査室もシールドルームから照度、温度、音の睡眠環境に配慮した検査室も用意致し、実際の睡眠障害患者の診療、睡眠科学や睡眠環境についての研究、応用、実際の診療から、またの逆の診療への相互のデータのフィードバックを念頭に行なっています。・・

(以下先生の講演の要約を書きます。)

1. 現在、わが国の睡眠時無呼吸症候群患者は200万人いるとされています。
2. その大半は未治療のまま放置されている。
3. 睡眠時無呼吸症候群患者でなくとも、いびきは騒音としての側面もある。
4. いびきや軽症の睡眠時無呼吸症候群の患者では側臥位により症状が軽症化する。

太田総合病院睡眠科学センターを受診した睡眠呼吸障害患者の体位による睡眠障害の調査(2001年1月1日〜2003年12月31日までに睡眠呼吸障害で受診された人)

対象:無呼吸低呼吸指数(AHI)10以上で睡眠時無呼吸症候群と診断された401人
検討方法機Р宍 ↓◆⊇亳宿囘戮鮖蚕个稽招牡屬糧羈
体位依存性群・・仰臥位での無呼吸低呼吸指数(AHI)が側臥位の(AHI)の2倍以上。
非体位依存性群・・上記比が2倍以下

検討方法供Р宍、い糧羈
睡眠時無呼吸症候群改善群・・‖琉粍預言群のうち側臥位の(AHI)が10未満に減少する群
睡眠時無呼吸症候群非改善群・・側臥位の(AHI)が10未満に減少しない群

結果
1. 401例中‖琉粍預言群は215例(53.6%)
2. 401例中非体位依存性群は186例(46.4%)
3. ‖琉粍預言群は215例中、睡眠時無呼吸症候群改善群は120例(55.8%)

結論
体位依存性の睡眠呼吸障害患者は当院受診者の53.6%であり、非依存群と比較すると(他のデーターがあり、今回省略)肥満度が小さく、重症度(呼吸関連の重症度、睡眠構築)も軽症でした。さらにその体位依存性群なかで側臥位によりAHIが10以下に減少する睡眠時無呼吸症候群改善群は約55.8%であり、非改善群に比し軽症であった。来院患者母集団の中には睡眠中に側臥位の体制を維持することで睡眠時無呼吸症候群を軽症化可能な群の存在が示唆されました。(全体401例中120例・29.9%)
睡眠中の側臥位の状態を維持、増加させることが睡眠呼吸障害の治療のオプションとなりうるか、ロフテー(株)が開発した側臥位支援枕を使用し、・・・

側臥位支援枕を使用した結果
1. 側臥位率;使用ナシ・・24.0%。使用時・・48.2%。
2. 眠気、疲労回復、睡眠時間では有無で優位さは認められない。
3. 入眠と夢見は使用すると悪化。
4. 首や肩の違和感についての訴えが認められた。

私の所見
確かにロフテー(株)が開発した側臥位支援枕は側臥位を半強制的に行なう為、側臥位率は向上されますが、肩の体圧について考慮されていなく、結果〔4.首や肩の違和感についての訴えが認められた。〕は十分考えられるところです。

これまでの寝具は仰臥位(上向き)での快適性を求め、側臥位(横向き)の肩の体圧に対する考慮が為されていないものがほとんどです。
私の開発した、横向きでも上向きでも快適な寝具・肩の沈むマットレスは睡眠時無呼吸症の方々にもお役に立つと確信しております。

これからも改良に心がけてまいります。
  
Posted by nakameri at 12:00Comments(0)TrackBack(0)