2020年09月10日

京都と世界をつなぐ舞台裏


 ありがたいことに、アート・文化のコミュニティーを生み出すプラットフォーム「THE KYOTO」で、ぼくたちの挑戦が特集された。嬉しかったのは、お世話になっている周りの人たちの特集をつないでシリーズ化してくださったことだ。アフリカドッグスの「ドッグス」は、アフリカの一部地域で使われる「友だち」を意味する。決して、きれいなことばではないけれど、人間くさくて、泥くさい関係性が結構ぼくは好きだ。パソコンやスマホで繰り広げられるバーチャルな世界に慣れきってしまっているなかで、リアルな息づかいを感じられる在り方がいい。

image


 その大切にしたい価値をひろってくださったのが、旅行記エッセイ漫画家のトナカイフサコさんだ。『Go to Togo』を読んでいただいて、特集記事の企画をTHE KYOTOに持ち込んでくださったのだ。そしてフサコさんプロデュースのもと、記事の執筆は嶋田くんが担当してくれた。

 ここでもまた、嶋田くんのスペシャリティに度肝を抜かれてしまった。彼は編集だけでなく執筆もできる。うまくことばにできないことを、ちゃんと汲みとってくれる。アフリカ布を扱う仕事、ぼくは商品のつくり手の価値を届けるほうを選んだ。鮮やかさをウリにしてアパレル業界に新しい風を吹かせることではなく、アフリカの貧困を解決する美しい物語を描くことでもない挑戦を、ぼくは選んだ。

image

 創業して丸2年。スコップを握りしめて会社を建てながら、寄生虫で身体を麻痺させながら、ギニア湾に沈む夕日を眺めながら、肌で感じてきたのは「アフリカ」の貧困と豊かさだった。そして、日本を飛び出したからこそ見えてきた、ぼくたち自身の貧困と豊かさだった。そのどちらもがあったときに、どちらかだけを論うことはできなかった。だからこそ、ぼくたちの事業に関わってくださる職人たちの臨場感を届けたいと思った。

 体験をデザインすることで、見えない価値をダイレクトに伝えていく。この実践をとおして、曖昧なグラデーションのある生活、ことばにならない気持ち、自分のなかにある問いを大切にして走りだすことができるのではないか。どう考えても、ひとりの力では限界がある。しかし、走りだす人を増やすことができたとしたら。それは確かなムーブメントになるはずだ。

 半年前、売上がすべて吹っ飛んで、アフリカ渡航もできなくなり、万事休すかと思われた。そのような状況でも、ポジティブにアクションを起こしつづければ、素敵な出会いがあり、救世主があらわれる。いまぼくは、また新たな一歩をドッグスたちと踏み出そうとしている。


___

THE KYOTOシリーズ特集「京都と世界をつなぐ舞台裏」

#1 自分の物語を切り開く(AFURIKA DOGS 中須俊治)
https://the.kyoto/article/75946ef3-dab4-4a5b-803e-9eb03a719173

#2 未知なる染色技術求め(アート・ユニ 西田 清)
https://the.kyoto/article/6a4e60cc-64d2-43dd-a72a-4110e2e0e7db

#3 ことばの通じない国で(デアバロクチュール カブレッサ・デアバロ)
https://the.kyoto/article/c4c0140c-1ea8-42bc-8f60-4da81c5f5d20

#4 作り手に寄り添う書店(レティシア書房 小西徹)
https://the.kyoto/article/18b75ad9-7806-4fcb-809b-d7bb6ef6f18c

#5 誰もしたことない就活(職人見習い 越本大達)
https://the.kyoto/article/17c3de54-7ff8-4dac-b6ed-03d6bc75d672





nakasu_toshiharu at 19:54|PermalinkComments(0) 創業 | 地域

2020年08月21日

Facebook離れとSNS疲れ


 人生とは、人との関係性を生きることかもしれない。最近、急速にいろんなジャンルの人たちと会うようになって、めちゃくちゃ勉強させてもらっている。ぼくたちの会社にインターンに来てくれる人が、先月から倍増して6人になった。その中に17歳の現役高校生がいて、ぼくが時代遅れになりつつあることを気づかせてくれた。いまの高校生は、Facebookどころか、LINEすら使わないのだ。

FullSizeRender
↑衝撃の事実を次々に発表するインターン生
(マクドのハッピーセット大好き)


 ちょっとまえ、バリバリ系の経営者が部下に「おまえ今どきFacebookやってないて、なに考えてんねん」と厳しく指導するところに遭遇した。しかし5年後から10年後、時代のメインプレイヤーはFacebookをやってない。いま調べてみると、ぼくのFacebookの友だちで、20代以下は10%に満たない。大学生に聞くと、大人がFacebookしかやってないから仕方なく登録し、高校生では40人クラスで1人くらいしかFacebookユーザーはいないという。

 しかも高校生に至っては、LINEを使うこともなくなっているらしい。学校からの連絡網に使われるくらいで、専ら、SnapchatかインスタのDM、グループチャットを使う。情報収集もインスタ、コミュニティづくりもインスタだ。

FullSizeRender
↑イベントのあと、抹茶ティラミスを食べに行くというインターン生とのグループ「マッティラ」


 一方で、SNS疲れも顕著だ。いまの高校生・大学生はリテラシーも高いので、SNSで発信することの怖さも知っている。スマホ離れが始まり、ほとんど電話しか使っていない人もいるらしい。電話でアポを取って、大切なことは会って話す。便利すぎる世界で生きるのは大変だと口にする人もいる。

 ぼくたちはSNSで人をみることが多くなった。それはその人の一部でしかないのに、あたかも全部であるかのように錯覚してしまうことがある。人の価値を数字で決められるはずがないのに、いいねやフォロワーの数で価値が決められることもある。そんなロクでもないところでモヤモヤしている人がいたら、SNSの世界から肌で感じられるリアルな世界へ連れて行きたい。一緒にアフリカで乾杯したい。






nakasu_toshiharu at 06:22|PermalinkComments(0) 創業 

2020年08月17日

なぜエウェ族のコミュニティは強いのか


 アフリカ大陸はデカい。南北の長さは8,000kmくらいあって、それは日本からウクライナくらいまでの距離に匹敵する。国は50以上あるし、民族は少なくとも3,000以上いる。

 日本人とウクライナ人が違っているように、もっといえば、京都府民と滋賀県民が違っているように、さらにいえば、京都市民と宇治市民が違っていたり、ぼくとアナタが違っていたりするように、「アフリカ」は想像を遥かにこえる多様性がある。だからもちろん、アフリカ全部のことを語ることはできないのだが、それでも、日本とアフリカ大陸を何度か往復しながら2つの地域を見てきたからこそ、気づいたことがある。

FullSizeRender


 エウェ族は、トーゴを中心にガーナとベナンの一部にまたがって住まう民族だ。ぼくはいま、紆余曲折あって、エウェ族と京都の職人文化を掛け合わせた事業を展開している。エウェ族には、京都の西陣織のような織物や、高度に発展した染物の文化がある。遠く離れたアフリカ大陸と日本(京都)をつなぐポテンシャルがあると思った。それでぼくは、京都に本店をおき、トーゴのパリメというエウェ族のメッカとも言えるまちに現地法人を構え、広義のアパレル業を営んでいる。

 京都とアフリカ地域におけるコロナの影響には、大きな違いがあった。つい数か月前まで、京都はインバウンド需要を狙ったビジネスが最盛期で、錦市場あたりは外国人観光客で歩けないほどだった。それが今回のことで、そういう層をターゲットにしていた企業は壊滅的なダメージを受けている。いまは持続化給付金や緊急融資でつないでいるが、元金返済がはじまる2~3年後にはどうなるかわからない。事実としていえるのは、ここ数年で築き上げてきた経済は、予想以上に脆かったということだと思う。

 一方で、現地法人をおくトーゴ共和国・パリメ地域は、驚くほどに変化がなかった。確かに、マルシェでマスクの着用が義務づけられたり、夜間の外出禁止令が出されたりした。首都のロメは比較的、経済ボリュームが大きいので、とくにサービス業はダメージが大きかったと聞く。しかし、ぼくたちの会社がある界隈では、京都(あるいは日本)ほど、大きな影響はなかったという。現地スタッフをはじめ、友だちとWhatsAppというLINEみたいなアプリでやり取りしている限り、ほとんど普段と変わらない生活を送っている。

FullSizeRender


 このことは、これからの地域コミュニティの在り方を示唆しているように思えた。より大きく、より早く、より稼げるほうにシフトしてきた結果として生まれた歪み。等身大で、効率的ではないかもしれないが、それなりに生きていけるだけのリソースが循環している豊かさ。明らかに、アフリカ的コミュニティに学ぶところがある。アフリカと京都の2つの地域のコントラストは、ぼくたちに大切な何かを教えてくれている。

 何度でもいうが、ぼくたちの生活は経済的なことだけでは語りきれない。文化的なことや、ときに感情的なことを含めて、ぐちゃぐちゃのグラデーションを生きている。うまく言葉にできない、目に見えない、数値化できないものに、今こそ価値を見出すときだと思う。経済がストップしただけで生活がストップしてしまうよりも、経済がストップしても、それなりに生きていけるコミュニティのほうがいい。そうした血の通った関係性のうえに暮らしがあれば、もうすこし生きやすくなるかもしれないと、エウェ族のコミュニティに触れて思った。

FullSizeRender





nakasu_toshiharu at 07:24|PermalinkComments(0) 創業 

2020年08月13日

京都、アフリカ、わたし、きみ


 京都・四条河原町にある「GOOD NATURE STATION」で、『Go to Togo 一着の服を旅してつくる』出版記念企画を開催した。上質すぎる空間と、泥くさく、諦めのわるいぼくたちがコラボした。密を避けて、ソーシャルディスタンス。そのような状況で、価値があると信じられるものをどうやって届けるか。絶賛、脳みそフル稼働中である。

FullSizeRender
FullSizeRender


 今回のイベントもまた、ナイストライだった。アクションを起こすと、やはり素敵な人に出会える。イベントのサポートをしてくださったコンダクターの嶋田さんは、かなりクレイジーだ。最近ぼくが伝えたいと思うことランキング1位は「いろんな生き方があっていい」ということなのだが、嶋田さんは目ん玉が飛び出るほど縦横無尽にキャリアを歩まれている。そんな方だったから、編集の嶋田くん(ダブル嶋田!!!)も交えた3人のトークセッションは、なかなかに味わい深かった。

FullSizeRender
↑全体のトーンが報道ステーション


 またこのトークセッションではインスタグラム経由で申し込みをいただいた方との新たな出会いもあって最高だった。併せて開催した染め職人ワークショップも、夏休み中の小学生や学校の先生、大学生、サラリーマン、経営者たちがミックスされてる感じとか、ワイワイお祭りみたいな感じ、その場のクリエイションを楽しむ感じが、グルーヴ感があってよかった。なにより、これまで経験のなかったことをかたちにできたのが、ぼくのなかで最大の評価ポイントだ。

FullSizeRender
FullSizeRender
FullSizeRender


 たとえ小さくとも、かたちにすることで見えることがある。その結果から考えたほうが、なにもせずに考えるよりも解像度は高い。そこから次なるアクションが決まることもある。そのアクションの連鎖が、どこかでなにかと繋がって、予想しない展開に発展することがある。気づけば、一人では到達できないところまで行けたりする。

 そのときに大切なことは、自分自身の体験として、どう捉えるかということだ。かたちにしてみたことを踏まえて、自分はどう思ったか。その感覚を頼りに、知恵をしぼる。体験と思考の往復をとおして出来上がっていくものに、価値を届けるヒントが隠されている。そんな気がしている。

FullSizeRender


 


nakasu_toshiharu at 08:20|PermalinkComments(0) 創業 

2020年07月22日

京都のトーゴ人と出会う奇跡


 奇跡は起きる。先日、レティシア書房さん(京都市中京区)で展示会を開催したときに足を運んでくれたお客さんの友だちの旦那さんがトーゴ人だという情報をキャッチした。すぐにコンタクトをとり、会いに行った。なんと彼は、ぼくと同い年で、しかもトーゴで仕立屋を営んでいた経験があった。京都在住でトーゴ出身の仕立屋・デアバロさん、まさにぼくが探し求めていた人に巡り会えた。

IMG_1776


 今まで出会わなかったのが不思議なくらいだ。でもこのタイミングに出会えたのは、理由があると思う。話を聞くと、ぼくがトーゴへ行っているとき、彼は日本にいて、彼がトーゴへ行っているとき、ぼくは日本で活動していた。もう少し早く出会っていたら「いつか一緒にできたらいいな」という話で終わっていたかもしれない。このコロナがあって事業を再構築する必要に迫られたからこそ、手を取り合えた。

 運命というのは奇妙だ。もし、コロナがなかったらレティシア書房さんでの展示会は実現しなかった。そうなると、デアバロさんと出会うことはなかったかもしれない。そもそも本の出版も、嶋田くんと出会わなければ実現しなかった。そんなことを言い出したら、キリがない。

 しかし、あまりに重なりすぎている。ここまで偶然が重なると、どこかに導かれているのではないかとさえ思えてくる。その時々の出会いを手繰り寄せ、筋書きのないドラマがここにはある。

 前職の京都信用金庫を退職して、丸2年が経った。よくここまで生き延びた。アフリカ大陸での起業、未曾有のコロナ災害を経験して、3期目が視野に入ってきた。2年前には想像できなかったことが起こっている。これもまた、序章に過ぎないのだと思う。

FullSizeRender



 




nakasu_toshiharu at 06:46|PermalinkComments(0) 創業 

2020年07月15日

付き人、来たる。


 ヤバいことになった。正真正銘、ヤバいことになった。最近インターン生を一気に3人も受け入れたところだが、なんと今度は付き人を受け入れることになった。どうしてこうなったのかわからない。まず、付き人って何やねん。

FullSizeRender
↑ヤバいやつが現れた!


 ここ最近、毎日のように大学生から連絡がくる。シューカツの悩み、コロナ不況、自己責任、大学を辞めたい、逃げ出したいが奨学金という名の借金を背負っている。そんな中をいまの大学生は闘っている。多いときには1日10件近い悲痛な叫びが寄せられる。ぼくに出来ることは何もないのだけれど、話を聞いて、一緒に人生を振り返り「こうしてみたら今よりも面白そう」というポイントを探ってきた。

 付き人は結構、特殊なルートから連絡がきた。そこに書かれていたのはよくわからない内容だったが、とにかく気持ちだけぶつけてくるところが、シンパシーを感じなくもなかった。いつもどおりZoomをつなぎ、人生相談を受けると、彼女もまた、シューカツに苛まれていた。もういい加減、このシステムの就職活動に終止符を打つべきだ。そんなことを思いながら、彼女自身が好きだったり、やりたそうなことを聞き出して、エールをおくった。

 1ヶ月後、彼女から「たくさん話したいことがある+考えがまとまったので直接会いたい」と連絡があった。四条烏丸のスタバで話を聞くと、開口一番「シューカツ辞めてきました。付き人させてください。大学を卒業して3年くらいはバイトで食いつなぐ覚悟もあります」ときた。ヤバすぎる。

 一歩を踏み出すとは思っていたが、まさかぼくのほうに踏み出されるとは思わなかった。死ぬほどテンパったが、平静を装いながら「親には言ったんですか」と内臓から言葉を絞り出した。「母にはもう伝えていて、了承を得てます。父は結構、厳しい人なのでまだ言ってません」ときた。ヤバすぎる。

 スタバで一番好きなはずのアイスグランデソイキャラメルマキアートの味がまったくしなくなった。たまたまその日は、いつもお世話になっている「学び場とびら」へ行く予定があって、足ガクガクで向かうと、馴染みの人たちがいつもどおり笑い飛ばしてくれた。そして「この人手不足の時代に来てくれるなんてめちゃくちゃ有難いことやで」とポジティブすぎる言葉をいただいた。

FullSizeRender
↑大久保寛司さんの一言で内定が決まった付き人


 たしかに、嬉しいことではある。「でもこれはさすがに...」と生まれてこのかたクレイジーと言われてきたぼくをもってしても、超難問な現実にウジウジしていた。なにしろ、起業して2年、まともに自分の給料も取らずにきた。いや、しかし会社として次のステップにいくためには、仲間が必要だ。そんなとき、付き人が言った。

「わたしの人生、わたしが責任とります。」

 ヤバすぎる。社長交代の可能性が出てきた。そのまえに、その言葉でるのに、なんでシューカツ悩んでてん。中須俊治、29歳。人生初の付き人ができた。

FullSizeRender
↑スペインに留学した経験もある付き人、ほかに選択肢なかったんかい





nakasu_toshiharu at 06:48|PermalinkComments(0) 創業 

2020年07月06日

レティシア書房さんでのイベント


 コロナで出会えた人がいて、できたことがある。ほんとうはいまごろトーゴにいて、たくさんの人たちと楽しい時間をシェアできるはずだった。そのためにかなりのコストを割いてきたこともあって、当初は絶望した。しかしそんな中だからこそ出会えた人たちとの時間を振り返ってみると、わりと最高だった。この3ヶ月くらいで100人を超える人たちとお近づきになれた。

 オンラインイベントが続いていたなかで、久しぶりのリアルイベントを京都市中京区にある「レティシア書房」さんで開催することもできた。6月24日から7月5日までスペースをお借りして、トーゴや京都の風景写真や『Go to Togo』が出来上がるまでの制作過程などを展示させていただきつつ、蝶ネクタイなどの小物やオリジナルブックカバーをラインナップした。急遽、決まったイベントで、どうなることかとハラハラしていたが、そんなことは杞憂に終わり、大盛況のうちに幕を閉じた。

蝶


 蝶ネクタイは、ぼくが学生時代に愛用していたクリップ型のもので、襟元にパチっと留めるだけでスタイリングできる。たとえば結婚式の二次会とかに、かなりGOODなアイテムだ。ブックカバーは嶋田くんプロデュースのもので、ひっくり返しながら読みすすめる『Go to Togo』に対応し、ロゴ部分がボタン付きのワッペンになっていてクルっと回転させることができて、お好きな柄やキャラクターに替えることもできる。もちろん、どちらもトーゴのエウェ族や半世紀ちかい京都の職人技を重ねたテキスタイルを使用している。そろそろちゃんと商いをしていかないといけないのでがんばる。

kinenn


 ここにきていろんなことがつながり始めている。ありがたいことに、メディアの取材も相次いだ。京都新聞やKBS京都、朝日新聞などで取り上げられ、それをみて足を運んでくださった方も多かった。おかげさまで奇跡的な出会いもあり、嬉しいことが重なる展示会になった。持ち込んだ本も完売御礼、なによりレティシア書房の小西さん夫婦に喜んでもらえたのが最高によかった。アイムファイン、センキュー!!!





nakasu_toshiharu at 16:03|PermalinkComments(0) 創業 | 

2020年07月01日

『Go to Togo』発刊後のこと


 ぼくと烽火書房・嶋田くんの渾身の一作、『Go to Togo』を出版してから2ヶ月くらい経った。ぼくたちにできることをやろうと、オンラインイベントをやりまくってきた。コロナ禍でこそ、ぼくたちの挑戦には価値がある。こういうときだからこそ、諦めわるくアクションを起こす。暗闇にいるからこそ星は輝いて見える。

 そうしてぼくたちのすべてをぶつけながら、倒れたり、すりむいたり、崖っぷちに立たされたりして実績をつくってきた。イギリス・ガーディアン紙「The world’s 10 best bookshops」に選出されたことでも有名な「恵文社一乗寺店」。その日本を代表する京都の書店に『Go to Togo』はラインナップされている。そしてその恵文社をブランディングしてきた名書店員がオープンした「誠光社」。京都最強の本屋さんと名高い書店にも『Go to Togo』はある。

 しかもその「誠光社」さんに至っては、買い取りでの取り扱いである。多くの書店で、基本的に委託取引となるため、売れなかった本は返本される。そんな中で、買い取りをするというのは「確実にお客さんに届けられる自信がある」ということの表れでもある。一流書店を築いてきた店長の目利きで『Go to Togo』は買い取りされた。本としての価値が、認められはじめていることの証左でもある。

FullSizeRender


 この写真は、北海道江別市にある蔦屋書店さん。人と人がつながって、『Go to Togo』は津軽海峡を渡った。これまでリーチしなかった人たちに、ぼくたちの挑戦を届けられることは、本を出す魅力のひとつだ。そのことが可能性を秘めているのは、いろんなジャンルの人の目にふれることで、これまで思いもしなかったようなアイディアやチャンスをもらえたりする点にある。発刊前(ビフォーコロナ)より活動の幅が広がって、そのぶん事業に多様性がうまれている。

 とはいえ、めざすべき方向性をぶらさず、コンセプトの設計を入念におこなうことも必要だ。しかし当然のことながら、ぼくにそんなスキルはないので、いまいろんな人にコミットしてもらって土台づくりに奔走している。これが結構しんどい。いまは我慢のとき、種まきのとき、踏ん張りどき。起業してからずっとそんなことを言っているような気もするが、しゃがんだぶんだけ高く飛べると信じて前を向きたいと思う。

FullSizeRender
↑ミシェル・オバマと小池百合子に挟まれる中須俊治




nakasu_toshiharu at 11:01|PermalinkComments(0) 創業 | 

2020年06月08日

会社を辞めてでも、ぼくがやりたかったこと。


 実はこのコロナ禍で、ぼくは絶好調だ。売り上げはゼロ行進、来月の支払いの目途は立っていない。しかし、起業してからの念願が叶ったのだ。京都の職人のもとに後継者候補を送り込むことに成功し、世界最高峰の京都の技術を次の時代につないでいく環境ができた。ぼくが会社を辞めてでもやりたかったことのひとつを、2年近くかけて達成した。

 道のりはまだ長い。京都にはおよそ2万人の職人がいるが、その6割は70歳以上で、7割に後継者がいない。生活に根ざしてきたものが、経済的な理由だけで、あるいは市場原理で淘汰されていくことに、ぼくは強い疑問をもっている。ぼくたちの生活は文化的なものや精神的なもの、ときに感情的なものをごちゃまぜにしたようなグラデーションを生きている。にもかかわらず、いろんなことが儲からないからという理由で片付けられすぎている。

 強調したいのは、儲けなくていいということではない。持続性があり、倫理的なやり方で、付加価値を創造して世の中に投げ返す。それは当然のことであるはずなのに、いつしか特別なことになっている。そう思うと、普通のことをしていれば特別になれる、けっこうお得な時代に生きている。職人のもとへ送り込んだ立命館大の学生は、すでに周りの学生がどれだけシューカツをがんばろうと到達できないようなヤバい環境を手に入れている。

IMG-1179
↑そのまえに、なんでオレここにいるんやろう感がヤバい。


 彼とは一緒にアフリカ大陸へ向かった仲だ。そしてトーゴで一緒に腹をくだした仲でもある。シューカツに悩みすぎて頭がおかしくなっていた彼は、ぼくのアフリカ行きの誘いに二つ返事だった。彼から学んだのは、アクションを起こし、その体からの情報をこれまでの知識と紐づけることの大切さだった。つまり、知識と体験がつながったとき、驚くほど人生はポジティブに動き出すということだった。

 彼が弟子入りした西田さんは、世界で唯一の技術をもっている。その技術を求めて、わざわざフランスからコレクションブランドが通訳とエージェントを引き連れて訪ねてくる。その世界最高ともいえる染め技術を、数年かけて引き継ぐ。彼は20代のうちに、日本を代表する染め職人になるだろう。ポストコロナにこそ必要とされる技術として、彼の仕事がより価値をもつ時代がくるだろう。

 刷毛一本で世界を舞台に活躍する職人へと駆け上がるために、まず彼は、アップサイクルの文脈で、シャツの染色サービスをスタートさせている。いまできることを精いっぱい積み重ねていく。すこし前までシューカツに悩み、大金を払って就活塾なるものに通っていた彼は今、ぼくたちが忘れかけている大切なことを教えてくれる。そんな彼の挑戦に最大限の感謝と敬意を。ぼくができることは何でもする。一緒に世の中を面白くしていこう。

FullSizeRender
↑記念すべき彼の初作品、ダサいのはハンガーだけ。




nakasu_toshiharu at 20:45|PermalinkComments(0) 創業 

2020年06月04日

初めてのインターン生、来たる。


 人の縁というのは不思議で、本当にどうなるかわからない。ぼくたちの会社のコンサルティングをお願いしている成澤俊輔さんをとおして、とても素敵な人に出会った。海外インターンシップを運営するタイガーモブ・CFOの上原さん。もともと信金マンで、税理士知識をもつぼくと、公認会計士の上原さんとのあいだで盛り上がったのは、財務諸表にあらわれない価値についてだった。ちらっとお話しただけだったのだが「めちゃくちゃええ人やったなあ」という印象が強く残るような人だった。

 このコロナ禍でも、タイガーモブという会社は前を向き、毎日のようにオンラインイベントを開催していた。そのコンテンツづくりのスピード感と熱量、そしてポジティブさは圧巻だった。ぼくも今できることを片っ端から手を付けていたなかで、偶然か必然か、上原さんとオンラインイベントを企画することになった。その企画案を練る打ち合わせでもまた、めちゃくちゃいい人な感じがすごくて、気づいたらインターン生を募集してみたい気持ちになっていた。そして上原さんにディレクションしてもらいページを公開してもらったところ、わずか数日のうちに何人かからエントリーがあったのだった。

IMG_1182
↑このイベントをきっかけに、たくさんの人と出会えた


 人生で初めて、面接をした。なぜぼくたちの会社にエントリーしてくれたのかと思うくらいにヤバい人たちばかりで、他力本願をモットーにしているぼくとしては、マジで渡りに船(飛んで火にいる夏の虫)だった。まさか、このタイミングにインターン生を受け入れることになるとは思わなかった。なんと一気に3人のインターン生をお迎えすることになった。コロナのおかげで、新たな仲間ができたのだ。

 さっそく打ち合わせを重ねて、いろんな企画を練っている。ユニークな面々が揃ってしまっているので、一人ではできなかったことに挑戦してみたいと思う。ぼくより遥かに経験豊富で工芸についての知識もある方、語学が堪能すぎる学生の方、そして今秋からイギリスの大学へ進学する19歳。どんな化学反応が起きるか楽しみ。人が増えると、嬉しい!






 


nakasu_toshiharu at 19:41|PermalinkComments(0) 創業