2024年12月04日
立正安国論を読む ７４
※「行く川の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたかは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたるためしなし」（方丈記）
立正安国論を読む ７４
現代の人間の寿命は、１００歳くらいです。この世にしがみついて、「俺は３００年生きたい」と言っても無理なのです。医学が発達して、「人類は千年生きられる」となっても、千年経てば死んでしまうのです。人間の寿命が百年から千年になっても、自分のものなど一つもありません。
お金もそうです。「今はお金を持っている」というだけで、そんなものはありません。もともとお金などありません。人間は何も持っていないのです。それなのにお金に執着をして、「お金がある」と思っているのです。
或いは「私には高学歴がある」と思っているのです。エジプトの王様は、奴隷にピラミッドを建設させたのです。王様は庶民を奴隷にする力があります。ところが、本当は力などありません。これは、プーチンも同じです。
プーチンは「昔、ウクライナはロシアの領土だったのだから、取り戻すのだ」と言って、侵略戦争をやっているのです。プーチンはやがて死んでしまうのです。死ぬときには、何もかも無くなってしまうのです。
これは、方丈記に書いてありますが、川の中で波が立つとアブクができます。アブクができると、パッと消えてしまいます。それと同じです。水の中にできたアブクを「これが私だ」と思っているだけで、やがて消えてしまうのです。それが人生です。
そのように思うと、「この世には自分の物は何も無い」ということがわかるのです。何も無いのだから、もっと柔和な人間をつくらなければいけません。欲ばってばかりいないで、「自分は皆と一緒なのだな」と自分の心を開いていくのです。
そこで出てくるのが慈悲です。どんな大王になっても、乞食になっても、夢のようなものです。全てアブクになったときだけの出来事です。
「行く川の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたかは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたるためしなし」（方丈記）
アブクが消えたと思ったら、またポコッとアブクができてくるのです。また、パッと消えてしまうのです。人間は、このアブクを「私」と思っているのです。「私」などというものは、どこにもありません。
それがわかってから、本当の仏道修行に入っていくのです。昔、この宇宙ができた時には、「私」というものは、無かったのです。混然一体として宇宙に溶け込んでいたのです。
ブラックホールがあり、星のようなものが固まってきたのです。星が固まってできたときには、自分など、どこにもありません。そのうち、長い長い時間が経つと錯覚がおきて、ポコッとできたアブクを「これが私だ」と思ったのです。
これが自我の目覚めです。「これが私なのだ」と考えたのです。自我が目覚めると、力のある王様と、力のない庶民に分かれていったのです。力のある王様は、奴隷に命令してピラミッドを造り、始皇帝は始皇帝陵と兵馬俑をつくったのです。兵馬俑のYouTube動画を見ていたら、恐ろしいことがわかりました。兵馬俑の兵士の人形の中には、人間が入っていたのです。人間を殺して土人形を作ったのです。兵士の人形の中には、骸骨が埋まっていたのです。
土人形を作った職人は、敵に始皇帝陵の所在がわからないように殺して埋めたのです。土人形の中には人間の骨が入っていたのです。恐ろしい話です。
始皇帝は、「自分が死ぬ時に、殺した人間が襲ってくる」ということを恐れたのです。だから、自分を守るために地下宮殿をつくり、兵士をつくって、兵馬俑をつくったのです。そんなことをやっても、自分のやってきた因果から逃れることはできません。
お釈迦様が見抜かれたことは、「我（が）はない」ということです。どこに我（が）があるのでしょうか？人間の一生は、川の中にできたアブクのようなものです。アブクはできると、川に流されてパンと消えてしまうのです。またアブクができるとパンと消えてしまうのです。それを繰り返しているだけです。
大宇宙からポコッと飛び出したものが生命です。生命を見ていくと人間だけではありません。植物、動物がでてきて、何でもでてくるのです。
宇宙の始めには、生物と無生物の区別がない一体となったブラックホールがあり、その中から生まれてきたのが生命です。生命が錯覚を起こしたのです。「これは私だ」とどこかで思ったのです。それが生命の誕生です。
恐竜が「ガォー」と吠えているのは、「これが俺だ！」と思っているのです。「これが私だ」というものはありません。それは錯覚です。ブラックホールの中にいたものの中から生命のようなものが、ポコッとできてきたのです。それは、アブクのようなものが活動しているだけです。
宇宙の中からは、何でも出てくるのです。恐竜も出てくれば、空を飛ぶ恐竜も出てくるのです。海の中にはタコも、、魚も出てくるのです。大地には、植物がでてきて、昆虫や、動物がでてきたのです。
一つの生命ができれば、次から次へと生命が生まれてくるのです。この地球には、何百万という種類の生物が生きているのです。すると、「これが俺だ」と思ってしまうのです。俺が生まれると、「ここにも、あそこにも俺に似たあいつがいる、ガォー」とお互いに殺し合うのです。
「畜生は残害とて互に殺しあふ」(新池御書)です。そうなってしまうのです。自分と同じ姿をしている者、他の生き物が憎いのです。それは、動物も、人間も全く同じです。（７５に続く）
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この記事へのコメント
1. Posted by 大田 2024年12月04日 06:03
今日のご講義拝読しました。
「こんなにも長く生きてしまった。こんなにも長く生きるとは思わなかった。早く死にたい」と言っているお年寄りがたくさんいると聞きました。
哀れだなと思いました。
その時々に流されて、何も考えないで生きて来て可哀そうに思いました。
人間に生れた目的は仏に成ることです。
目的もなく六道の中を流転しているだけの人生だったから80を過ぎてそのように思うのだと思いました。
アブクの人生とはそのような人生なのではないかと思います。
この人たちは来世も同じ人生を送るのです。
仏道修行によって人生は今からでも何歳になっても変えることができるのです。
そのような年配者に会うことがあったらそのように話をしたいと思います。
博士 ありがとうございます。
さえ子先生 ありがとうございます。
「こんなにも長く生きてしまった。こんなにも長く生きるとは思わなかった。早く死にたい」と言っているお年寄りがたくさんいると聞きました。
哀れだなと思いました。
その時々に流されて、何も考えないで生きて来て可哀そうに思いました。
人間に生れた目的は仏に成ることです。
目的もなく六道の中を流転しているだけの人生だったから80を過ぎてそのように思うのだと思いました。
アブクの人生とはそのような人生なのではないかと思います。
この人たちは来世も同じ人生を送るのです。
仏道修行によって人生は今からでも何歳になっても変えることができるのです。
そのような年配者に会うことがあったらそのように話をしたいと思います。
博士 ありがとうございます。
さえ子先生 ありがとうございます。
2. Posted by M 2024年12月04日 15:19
＞これは、方丈記に書いてありますが、川の中で波が立つとアブクができます。アブクができると、パッと消えてしまいます。それと同じです。水の中にできたアブクを「これが私だ」と思っているだけで、やがて消えてしまうのです。それが人生です
プーチンや北の将軍も、自分がアブクとは思っていないようですね。
プーチンや北の将軍も、自分がアブクとは思っていないようですね。
3. Posted by ドバコくん 2024年12月04日 17:14
・「水の中にできたアブクを「これが私だ」と思っているだけで、やがて消えてしまうのです。それが人生です」
自分も皆も同じで、アブクのように次から次へと生じては消えていくと思えば、「憎い」というような気持ちは小さくなり慈悲の心が生じてくるのだなと思いました。
自分も皆も同じで、アブクのように次から次へと生じては消えていくと思えば、「憎い」というような気持ちは小さくなり慈悲の心が生じてくるのだなと思いました。
4. Posted by トワ 2024年12月04日 18:31
講義をしていただき、いつもありがとうございます。
宇宙の始めには、生物と無生物の区別がない一体となったブラックホールがあり、その中から生まれてきたのが生命です。生命が錯覚を起こしたのです。「これは私だ」とどこかで思ったのです。それが生命の誕生です。
これは私だと思わないようにして生きてまいります。(錯覚を起こしこれは私だと思わないように､自分から物事の総てをいったん離れて､冷静に回りを見ていける様にも努力してまいります。)
宇宙の始めには、生物と無生物の区別がない一体となったブラックホールがあり、その中から生まれてきたのが生命です。生命が錯覚を起こしたのです。「これは私だ」とどこかで思ったのです。それが生命の誕生です。
これは私だと思わないようにして生きてまいります。(錯覚を起こしこれは私だと思わないように､自分から物事の総てをいったん離れて､冷静に回りを見ていける様にも努力してまいります。)
5. Posted by 歴男 2024年12月04日 19:10
＞「今はお金を持っている」というだけで、そんなものはありません。もともとお金などありません。人間は何も持っていない
私利私欲、強欲、金の亡者の国会議員、官僚ばかり！！
怒り心頭！！
私利私欲、強欲、金の亡者の国会議員、官僚ばかり！！
怒り心頭！！
6. Posted by 愛子 2024年12月04日 19:16
中杉博士、本日もご講義有難うございます。
権力を持てば持つほど、自分がアブクどころか、永遠に権力を握れると思ってしまいます。
Z省も増税し、国民を苦しめ増税した者が出世し、高給の天下り先も保証されるそうで、全く正義も道理もなく、天下りからの給与を政治家に寄付し、自分たちを優遇してくれる者を議員にしようとする、あの高橋洋一先生は「これは、毒まんじゅうを食らうと言う」と動画でおっしゃっていました。
現在、ネットでは「消えた年金 537億円、消えたコロナ予備費、11兆円消えた自賠責保険 6000億円、Ｚ省は国民の財産である自賠責保険積立6000億円使い込んでいる」とネットで話題ですが、彼らは、国民の税金を何だと思っているのでしょうか。
生活保護が受給されずに餓死してしまう事件も、現代日本で起きているのです。
自分たちの悪事を分からないようにするため、様々な工作を行っているそうですが、良い死に方はしないと思います。
権力を持てば持つほど、自分がアブクどころか、永遠に権力を握れると思ってしまいます。
Z省も増税し、国民を苦しめ増税した者が出世し、高給の天下り先も保証されるそうで、全く正義も道理もなく、天下りからの給与を政治家に寄付し、自分たちを優遇してくれる者を議員にしようとする、あの高橋洋一先生は「これは、毒まんじゅうを食らうと言う」と動画でおっしゃっていました。
現在、ネットでは「消えた年金 537億円、消えたコロナ予備費、11兆円消えた自賠責保険 6000億円、Ｚ省は国民の財産である自賠責保険積立6000億円使い込んでいる」とネットで話題ですが、彼らは、国民の税金を何だと思っているのでしょうか。
生活保護が受給されずに餓死してしまう事件も、現代日本で起きているのです。
自分たちの悪事を分からないようにするため、様々な工作を行っているそうですが、良い死に方はしないと思います。
7. Posted by 会員 2024年12月04日 20:02
「自我の目覚め」
自我の確立というものが人生の目標としている人は多いのではないかと思います。自我の正体とは水の中のアブクいわば錯覚である事をまず知る事が大事であると思いました。そこから仏道修行が始まる、非常に大事な講義内容ではないかと思いました。
自我の確立というものが人生の目標としている人は多いのではないかと思います。自我の正体とは水の中のアブクいわば錯覚である事をまず知る事が大事であると思いました。そこから仏道修行が始まる、非常に大事な講義内容ではないかと思いました。
8. Posted by believer 2024年12月04日 23:15
御講義ありがとうございます。「混然一体として宇宙に溶け込んでいたのです。」
因果倶時であるが故に正しい行いをし、修行をしていくことこそ、いつか感じる命が幸せに溢れたものになるのではと思います。
9. Posted by 青山 2024年12月05日 16:03
御講義有難うございます
川の中で波が立つとアブクができます。アブクができると、パッと消えてしまいます。それが人生と同じでアブクにしがみついてもやがては消えてしまうのですからパンパンにはったアブク（我）はけしていく事が大事であると思いました
