2024年12月05日

立正安国論を読む　７５

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※「総じて日蓮が弟子檀那等・自他彼此の心なく水魚の思を成して異体同心にして南無妙法蓮華経と唱え奉る処を生死一大事の血脈とは云うなり」（生死一大事血脈抄）

立正安国論を読む　７５

　人間は、人間を見ると憎いのです。「あれ、俺と同じような奴がいるな。どっちが強いかやってやろうか、ガンつけるのかお前、上等だ。やってやろうじゃないか！」と争いになるのです。戦争の始めはそうなのです。お互いに、「ガンをつけやがって！」ということから、戦争になるのです。
人間は人間が憎くて仕方ありません。同じ人間なのに、どうして憎いのでしょうか？答え、同じ人間だから憎いのです。同じ者同士で憎み合うのです。
　「俺と似た奴がいるな、俺はお前が気に食わないのだよ！」と思うと、相手も「あいつは俺と似ているな、滅ぼしてやる！」と、いがみ合うのです。お互いに「コノヤロウ、ぶっ殺してやるぞ！」ということが始まるのです。それが戦争の大きな動機です。
　「あいつは大きな王冠とダイヤモンドを持っているな。あいつを殺して俺が盗りたいのだよ」と思っているのです。それが我（が）です。お互いの我（が）を振り回して殺し合い、どちらかが滅びるまで戦争を止めないのです。
　お互いに仲良くすればよいものを、仲良くできないのです。生命が生まれる前の段階から見ると、生命が生まれたら闘争です。人類は、古来からずっと殺し合いをしてきたのです。
　恐竜は恐竜同士で殺し合いをして、動物は動物同士で殺し合いをしているのです。殺した後は、食ってしまうのです。食われる側は「食われたら、たまらない」と思うのです。これは、全ての生命で行われているのです。
　ウイルスもそうです。ウイルスも我（が）を持っているのです。これが生命の根本です。これを我（が）というのです。生命は、我（が）が生じたとたんに殺し合いが始まり、どこまででも我（が）は広がっていくのです。すると、「己が大事だ」と思い、他人の物を盗ろうとする働きがでてくるのです。これが現代です。
お釈迦様が言われたことは、「どこに我（が）があるのか？」ということです。我（が）など、ありません。
　仏道修行者は、そのことに気が付かなければいけません。「あれ、私の我（が）はないのか。人生１００年で終わると死んでしまうのだから、我（が）などないのだな」と気が付けばよいのです。我（が）など、もともとありません。
　貴方は「我（が）がある」と思っているだけで、それは錯覚です。もともと我（が）というものは、ありません。もともとないものを「ある」と思って人間は戦争や、悪いことをたくさんやっているのです。
「そんなことは止めなさい」というのが、仏教です。仏教では、「我（が）はない」と説きます。仏道修行者は、仏様から「我（が）はない」と教わって、「そうですね、そういわれてみればどこにも我（が）はないですね」ということが、わからなければいけません。それが、わかることから、仏道修行が始まるのです。我（が）は、ありません。
　仏弟子は、財産を持ってはいけません。持てるものは、袈裟とお茶碗一個です。一切のお金はいりません。「我（が）というものがない」ということをわかっていくことが、仏道修行の始めだとわかります。
　「僕は受験だよ」「今度、社長になれるのだよ」「俺は大臣になれるのだ」ということで、頭がいっぱいになってしまうと、他のことが見えなくなってしまうのです。それで、わけもわからないうちに人生が終わってしまうのです。
　お釈迦様が言われたとおり、我（が）などありません。貴方達の最初の生命のことを、元品の無明といいます。最初は、生物、無生物の区別はありません。何となく生命ができてきたのです。それを元本の無明といいます。
　己の元品の無明を退治していくことが仏道修行です。これは、無我の教えです。仏教ととは、間違いなく無我の教えです。有我の教えではありません。仏道修行をしているのに、自分のことだけを考えて「私がこうなりますように」と祈っているのは、仏道修行ではありません。
　元本の無明を退治すると、そこに法性の淵底（ほっしょうのえんでい）・玄宗の極地（げんしゅうのごくち）があるのです。それを体得するために、南無妙法蓮華経と修行していくのです。南無妙法蓮華経という修行は、どこにも我（が）はありません。
　あらゆる現象は、蓮華の法です。因果倶時の法しかありません。貴方がやったことが因となり、果を受けて華が咲いてくるのです。因果倶時の法がわからなければ、人類はどこまでいっても幸せにはなれません。
　仏教とは無我を説いたものです。故・池田大作は、「我（が）をパンパンに張って、宇宙に貯金をするのだ」などとバカなことを言っていたのです。我（が）をパンパンに張る仏教などありません。
　仏教は無我の教えです。仏道修行が進んだ人は、だんだんと我（が）がなくなってくるのです。普通の人は、自分と他人を区別して、「これは私、あれは他人」と区別しているのです。
　「総じて日蓮が弟子檀那等・自他彼此の心なく水魚の思を成して異体同心にして南無妙法蓮華経と唱え奉る処を生死一大事の血脈とは云うなり」（生死一大事血脈抄）
　魚は水の中でスイスイと水の中を泳ぎます。水と魚は区別がありません。水魚の思いをなして、「南無妙法蓮華経」と唱えていくことが、信仰の要諦です。「これは私、あれは他人」と言っているようでは、信心は一歩も進んでいません。
　仏道修行の目的は、無私で我（が）がなくなることです。完全に我（が）がなくなるわけではありませんが、無我の教えを信じていくことです。
　宇宙の始めに我（が）はありません。我（が）がないことを、空仮中の三諦の空（くう）というのです。空（くう）の教えは、「我（が）はない」ということを言っているのです。「私」などという我（が）は、もともとありません。
　普通の人は、無い我にしがみついて、ふんぞりかえって突っ張っているのです。そのような姿勢では、永遠に悟ることはできません。空（くう）がわかったときに、「我（が）はないのですね」とわかるのです。あらゆるものは、空（くう）なのです。
　だから、真実を求めていくのです。「真実とは、どのようなものか？」ということが、次の修行で出てくるのです。まず、第一番に「我（が）とは、どのようなものか？」ということを考えていくのです。それが仏教の原点です。（７６に続く）


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この記事へのコメント

1. Posted by 大田   2024年12月05日 06:50
今日のご講義拝読しました。

＞同じ種類のもの同士で争うのです。古来からずーっと殺し合いをしてきたのです。
生命は、我が生じたとたんに殺し合いが始まる。

これは、植物でもそうです。弱い植物は強い植物の養分になり枯れてしまいます。

タンポポは私が小さい時は日本タンポポがほとんどで外国のタンポポは見ることがなかったように思います。日本タンポポは花の裏のガク片が花に添っていますが外国のタンポポは花と反対方向に向いています。
最近は日本のタンポポは見かけなくなりました。

外国のタンポポも気候が変わり、姿を変えて行くのかもしれません。

この世は諸行無常です。諸法無我です。涅槃寂静です。
仏道修行をしなければ、成仏はできないのです。

博士　ありがとうございます。
さえ子先生　ありがとうございます。
2. Posted by トワ   2024年12月05日 12:40
講義をしていただき、いつもありがとうございます。

己の元品の無明を退治していくことが仏道修行です。これは、無我の教えです。仏教とは、間違いなく無我の教えです。有我の教えではありません。

　意識している時はもうすでに我が現されているのですから、それらを無くすということは、総てを捨てて生きていくことが､元本の無明を悟って行ける道なのかと思います｡(でもそれに近付いて行くことは出来ますが、生まれてきて何事にも成功していない自分を考えると、少しは人生に成功したいと思うことを感じてもいます。)
　だからこそ自分という我はあるけれど、それを難とかコントロールしていつでも､無くして行ける様に努力してまいります。

　むかしのことですが、阿含宗(観音慈恵会)にはいっていたころ、間脳が開いていた人が何人かいました。我はないと阿含宗でも教えていましたから､霊感が高く霊視能力も有った人達からさきに悟りを開いたのかも知れません。(お釈迦様は勿論のこと、あらゆる精霊、聖者等につながつて教えてもらったりしていました、また他人の心の境涯もわかるのですからごまかしは一切出来ませんので､いつも心を読まれて恥ずかしい思いをしたことを思い出します。)

　母親の介護もあって、しだいに阿含宗からも法の友達からも､縁が遠く成っていったので､その後のことはわかりません。

　おねだりの信仰生活に成らない様に､きもにめいじてまいります。
3. Posted by 地方会員   2024年12月05日 15:49
いつもご講義、有難うございます。

中杉博士の新刊書「法華経と量子力学」、拝読しております。

いろいろと考えさせられます。
4. Posted by 国民   2024年12月05日 15:52
＞仏教とは無我を説いたものです。故・池田大作は、「我（が）をパンパンに張って、宇宙に貯金をするのだ」などとバカなことを言っていたのです。我（が）をパンパンに張る仏教などありません

あのような見え透いたウソに騙される学会員も気の毒です。

「我」を張って「創価王国」を目指した池田は、両手両足切断となって地獄に行きました。
5. Posted by ドバコくん   2024年12月05日 17:03
・「南無妙法蓮華経という修行は、どこにも我（が）はありません」

「無我の教え」、「自他彼此の心なく」という仏教の原点を信じることで仏道修行が始まるのだなと思いました。
6. Posted by マリ−   2024年12月05日 17:24
人間は人間が憎くて仕方ありません。同じ人間なのに、どうして憎いのでしょうか？答え、同じ人間だから憎いのです。同じ者同士で憎み合うのです。

自分の人生振り返るとその通りだなあと思います。
7. Posted by 会員   2024年12月05日 18:08
「仏弟子は財産を持ってはいけません。持てるものは、袈裟とお茶碗一個です。一切のお金はいりません。」

「普通の人は、無い我にしがみついて、ふんぞりかえって突っ張っているのです。」


まさに雲泥の相違であります。悟りとは一念三千を完全に分かる事、なのかなと思いました。
8. Posted by 愛子   2024年12月05日 19:02
中杉博士、本日もご講義有難うございます。

＞あらゆる現象は、蓮華の法
因果倶時の法しかありません
貴方がやったことが因となり、果を受けて華が咲いてくる
因果倶時の法がわからなければ、人類はどこまでいっても幸せにはなれません
＞仏教とは無我を説いたものです。故・池田大作は、「我（が）をパンパンに張って、宇宙に貯金をするのだ」などとバカなことを言っていた
我（が）をパンパンに張る仏教などありません

博士の教えられる通りと思います。
北の将軍、プーチン、死ぬまで我を張っているのでしょう。

以前、博士が【人類の問題は、全て宗教問題である（開目抄講義）他】と教えられた通りですが、世界人類の多くは「因果応報」すら知りません。
9. Posted by believer   2024年12月05日 22:17
5 御講義ありがとうございます。

「己の元品の無明を退治していくことが仏道修行です。これは、無我の教えです。」

日常生活の一瞬一瞬の命を反省し、周りの人間との違いから己の命を磨いていくことが大事であると思います。
10. Posted by 青山   2024年12月09日 14:47
5 御講義有難うございます

勿論、区別は必要であると思いますが、お友達や会社の仲間、お互いに仲良くやっていくことは大事であると思いました。
11. Posted by 読者   2024年12月10日 18:47
本日、アクセス数を見ると「4569018」！

驚きました。

450万もの方々が中杉先生のブログを拝読している、凄い事であると思いました。
仏教界、思想界では間違いなく有名になっていますね。
12. Posted by ゆり   2024年12月10日 20:07
5 中杉先生、456万人突破おめでとうございます‼️
応援しています。
これからも宜しくお願いします。

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