2017年07月

1週間ほど前に、テレビで少女が行方不明になったニュースがありました。顔写真が示されて、アジア系の小学生くらいでした。英語のニュースの細かいところが聞き取れないので、年や名前は定かでありませんでいたが、“セントラル・パーク(Central Park)”という場所だけはよく分かりました、というよりも、驚いたと言う方が正しいでしょう。なにしろ、セントラル・パークといえば、ニューヨークのマンハッタンにある大きな公園ですし、ドラマや推理小説などで殺人の舞台としてよく取り上げられます。ここバンクーバーにも同じ名前の公園があるのです。

フリーペーパーを読むと、行方不明になったマリサ・シェン(Marrisa Shen)さん13歳は、718日午後6時頃 自宅を出たあと行方が分からず、結局遺体が見つかったのでした。掲載されたあどけない写真が不憫です。

バンクーバーの地図を見ると、「29番大通り」駅から二つ目の駅、パターソン(Patterson)に近くにその公園がありました。

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パターソン駅

725日にそこに行ってきました。パターソン駅を降りると道路を渡ればもう公園に入ることが出来ます。サイクリングをしている人が多く、その一人に確かめると、入り口を教えてくれました。

入り口付近に、マリサさんのカラー写真を載せた紙が貼ってあり、事件に関してあらゆる情報を求めていると書かれていました。ニュースの事件が生々しく思い出されました。

34m幅の道が整備されていて歩きやすい散歩道ですが、周囲は30メートル前後の大きな木々が生い茂っていて鬱蒼とした森の中に入った感じでした。散歩したり走ったりサイクリングしたりする人にすれ違いますから、不気味で危険な感じはしませんでしたが、時間と場所によっては殺人事件が起こっても、おかしくないように思われました。地図で見ると、前回 紹介したジョン・ヘンデゥリー公園の倍くらいはありそうです。それに高木が多くて遠くを見渡せません。種類の違う公園です。

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鬱蒼とした森1
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こんな運動器具もあります。

時々枝分かれしている道を適当に選んで歩いていくと、一つの池に突き当りました。その付近は野原になっていて池の周りにベンチが置いてあります。池の中を覗くと大きな鯉が数匹 見えました。多くのアヒルが泳いでいます。

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ハイキングやジョッギンに最適です。

トイレを探しに行った家内が帰って来て、プールがありかなりの人が泳いでいたと報告してくれました。短い夏のささやかな楽しみなのでしょうか。

またしばらく歩いていくと、もう一つの池の淵に出ました。樹木の間から少し下にある池が眺められる長椅子に座ってしばらく休憩していると、ハトやカラス、そしてリスが近付いてきます。野生の動物に餌をやることは禁止されているのですが、つい可愛くてパンくずなどをやりたくなるのでしょう。

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ベンチから池を望む。
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リスが近付いてきます。
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こんな感じです。

時間も遅くなりつつあり、大きな公園なので道に迷ってはいけないと、慎重に来た道を辿っていると、数人の警察官が通行人に話を聞いています。俗にいう聞き込み調査と言うものかと思いました。背の高いがっしりした男の警察官が我々にも話しかけてきました。旅行者で初めて公園に行った我々には提供できる何の情報もありません。

一部とは言え、鬱蒼としたセントラル・パークを散策してパターソン駅に戻りました。この駅の近くには高層マンションが多く建っています。この公園を自分の庭 代わりに使えればさぞかしいいだろうとその住民たちを羨ましく思いました。

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パターソン駅に近接した高層住宅群

また平和そのものに思えるバンクーバーにも悲惨な事件が起こったのですから、世の中は複雑です。フリーペーパーによれば、通り魔の犯行ではないかと警察は見ているようです。英語だと、a stranger の犯行と書かれています。この単語の日本語訳は難しいのです。見知らぬ人、よそから来た人、新来者、外国人などの訳語があてられるのですが、もうひとつピンときません。

警察官に、初めて公園に来た外国人の旅行者ですと言ったのですが、ひょっとしたら不審者の調査だったのかもしれません。家内と一緒だったので多分、疑われることは無かったと思います。

宿の近くのスカイトゥレインの駅「29番大通り」に隣接しているスロカン公園(Slocan Park)ついてはすでに書きました。テニスコートや子供の遊具もあります。犬の散歩やジョッギングをしている人をよく見かけます。私もそこで最初のジョッギングをしたのですが、もう少し離れた所にあるジョン・ヘンデゥリー公園(John Hendry)を見つけてからは、もっぱらそこで走ったり、読書をしたりしています。

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スロカン公園の子供の遊び場
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スロカン公園 日影がうれしい

その公園の真ん中にトゥラウト湖(Trout Lake)があり、その周りにサイクリングコースや散歩コースが設定されています。この公園は犬を放し飼いにしていい場所も設定されていて、犬は湖の一区画に入って遊びが出来るようになっています。ボールや棒切れを懸命に探す犬が毎日 見られます。

71日に、バンクーバーに着いてから毎日のように晴天が続き、帽子が手放せないほどです。透き通った青空から降り注ぐ太陽光線は強烈です。しかし、この公園には高い樹木が植えられていてうまく日影を作っています。そして散歩道にそって木製の長椅子が置いてあります。そこには金属の標識が埋め込まれていて、亡くなった夫や妻がいかにこの公園を愛していたかが簡潔な言葉で書かれています。

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ジョン・ヘンデゥリー公園1

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ジョン・ヘンデゥリー公園2 影も整列しています。
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ジョン・ヘンデゥリー公園3 右がサイクリング道路
 この公園には野球場のようにしつらえられた場所が2つありますし、ラグビーやサーカーができるスペースも取られています。私が行くようになってから、野球やサーカーの試合が行われているのを見たことがありませんが、そこでは人々が自由に寝そべって日光浴をしたり遊んだりしています。

またスポーツ文化総合施設とでもいえる様な建物があり覗いてみると、子供たちが絵や図工のアトリエに参加していました。カナダらしくスケートリンクもあります。また、体を鍛えるジムの設備もあれば、ヨガの実習をしているグループもありました。また、ある部屋では中華系の老人たちが麻雀の卓を囲んでいました。軽食を取れるカフェも併設されています。

もちろん、子供たちのための遊具が多く置かれており、お母さんやお父さんが子供を遊ばせています。ある日、女性がギターを弾きながら歌を歌って、子供たちに話しかけていました。個人が好きでやっているにしては、女性は場馴れして喋りも上手いものでした。多くの子供たちが親と同伴で来ていました。それは総合センターが企画した催し物でした。

今はバンクーバーでも気温が一番高くなる季節なので、湖の一角がビーチとして解放されており、午後になると子供はもちろん大人も水浴をしたり泳いだしています。2人の監視員がいて子供を監視していますし、近くには着替え所とトイレもありますし、野外にシャワーも設置されています。

犬が遊べる場所とは反対側にあり、水質も一応管理されているようです。監視員に話を聞くと、筏が置いてある奥の方は2メートル50センチほどだそうです。水温は20度と言いますから、私にとっては冷たすぎますので、入りたいとは思いませんが、水着のしたに脂肪をまとった人にはそれほど寒くないのでしょう。

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ジョン・ヘンデゥリー公園4
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ジョン・ヘンデゥリー公園5 砂浜で日光浴です。

ジョッギングや読書に通っていると、色々な住民の要望に応えられる公園だとしみじみ思いました。スポーツにも散歩にもヨガやウエイトトレーニングや麻雀にも興味が無い人でも、野外のバーベキューならやりたいと言う人の要望も満たされます。週末の昼ごろには多くの人がバーベキューをやっています。

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ジョン・ヘンデゥリー公園6 屋根の下は絶好のバーベキューの場所です。
他にもいろいろな所で楽しんでいます。

もっとも、カナダでは公共の場所でアルコール飲料を飲むのは禁止されているのだそうで、公園でのバーベキューではもっぱらコーラやジュースを飲んでいるようです。少し味気ない感じがしますし、これは肥満体になると思いました。

前にお話ししたファーマーズ・マーケットも1つの駐車場で週末に開催されています。

バンクーバーの街をスカイトゥレインやバスで回っていると、到る所に公園やスポーツのできる空間があります。だいたい住宅街の周囲に高い並木道があったり、広い歩道があって、ジョッギングをするには十分なスペースがあるのに、さらに到る所に公園があるこの町の住環境の充実ぶりにはただ驚くばかりです。

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ジョン・ヘンデゥリー公園近くの住宅街 100坪以上の一戸建てが多いのです。
さらに歩道が広くとられ街路樹が並んでいます。
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ジョン・ヘンデゥリー公園近くの住宅街2

このような住環境と移民を歓迎するこの都市の政策が多くの外国人やカナダ人を引き付けるのでしょうが、人が来れば住まいが必要です。それを象徴するように外壁がガラスの高層マンションがダウンタウンだけでなく、郊外の住宅にも雨後の竹の子のように建てられています。

いたるとこに点在している多くの公園と25階前後の高層住宅の輝く佇まいがバンクーバーを象徴する現在の姿です。一番過ごしやすい時期にここに来ているのでなおのこと、この都市が大変魅力的に見えます。

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郊外によく見られる高層マンション

前にも書いたように、週末や祝日は磁気カード式の一カ月の定期で、スカイトゥレインもバスも乗り放題になるので、それを利用してバンクーバーのダウンタウンはもちろん、郊外都市などいろいろ行っています。すでに紹介したUBCという大学都市も郊外にあります。

そのほかの場所を簡単に紹介したいと思います。

まずは北バンクーバーです。ダウンタウンのウワーターフロント駅からシーバスに乗って15分程で、船着き場兼バスターミナルに着きます。

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平たい船です。通勤用です。
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シーバスの中から
 船を降りると、食品や衣料品、土産物を売る商店街になっています。新鮮な魚介類を並べた店や肉屋、パン屋などがあります。続いて国際色豊かな食堂街(フッドコート Food Court)があります。カナダ、ギリシャ、トルコ、メキシコ、ベトナム、日本など各国の料理を出す屋台のような店が軒を連ねています。注文した料理を食べるためのテーブルが室内や海岸沿いのロッジに置かれていて、客は注文した料理を好きな所に座って食べられるようになっています。
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船を降りるとマーケットになります。ここは外からの写真。
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これは肉屋兼総菜屋
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カナダのスープ専門店1
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スープとパンで簡単な昼食です。
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パン屋
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室内のテーブル席

食事となればビールでも飲みたくなるのですが、ビールは決まった店の中でしか飲めない仕組みになっています。料理を注文する小さな店ではアルコール類が買えません。カナダではアルコールの販売に関しては規制があるらしく、スーパーでは売っていません。酒屋で買うしかなく、18歳以上でないと買えないのです。

私達が初めて酒屋に入ってワインとビールを買った時、まじめな女の店員が家内の身分証明書を要求しました。我々は驚いていたようで、何故要求するのか聞き返すことが出来ませんでした。買うのは私なのですが、家内も飲むだろうという前提で彼女が18歳以上か確かめたかったのです。あとで「私は子供に見られるのだ」と、家内は当惑していました。

そのとき家内はちょうどパスポートのコピーを持っていなかったので、お酒が買えないのかと少しカチンと来ていましたが、近くにいた別の店員がいいと言って無事に買えたのですが、そこでどうして身分証明書が必要なのかと尋ねて、その理由が分かったのでした。

矢鱈に酒を提供すると、悶着が起こる国柄なのでしょうか。長い暗い寒い冬の間につい飲みすぎる人が多いのでしょうか。そういえば、ロシアを始め北国ではウオッカやジンなど強い酒が多いので、度を過ごすことが多いのでしょうか。

船着き場で昼食をとった後、坂道になっている街を散策しました。特に印象に残ったのは、高層の新築マンション(こちらではコンドミニオムと言います)が多いことです。船着き場の近くにあれば、シーバスに乗り15分ほどで街の中心街に行けるので、通勤にも便利なのでしょう。バスが頻繁に出ているので、少し離れていても便利なのでしょう。また、街は海から少しずつ上っているので、マンションの窓から眺める景色もいいのでしょう。

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シーバスの船着き場近くのマンション
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マンション2
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公園の近くのマンション
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兵隊の慰霊碑 朝鮮戦争の戦死者もいたのに驚きました。
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第2次世界大戦の犠牲者
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歩道に埋め込まれた金属製の椅子
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なかなか洒落たレストランも多くありました。

始めて北バンクーバーに行った時、公園で二人の年配の人と話をしました。一人はアイルランド系でもう一人はイラン系の年金生活者です。世界大戦や朝鮮戦争、国連平和維持軍に従事したその地区のカナダ人の慰霊碑があり、横のベンチで話をしました。2人とも奥さんと死に別れて1人で近くのマンションに住んでいるとのことでした。そのような生活にはちょうど良い場所なのでしょう。ただ、最近はマンションの値段が上がったようで、購入するのも簡単ではないようです。中国の投機的な買い漁りがあるなどとネットで話題になっています。香港からの移住者だけではなく、中国本土の資本が入っているのです。

山の傾斜面に多くの家が建っていますが、その方に236番のバスで行ってみました。終点はグロウス・マウンテン(Grouse Moutain)です。バスは北へと坂を上るように進んでいきますが、バスルートに多くの家が建っています。この辺に住んで通勤することの出来るのかと考えながら、高い木立に覆われた住宅を見ていました。着いたところに観光客用のケーブルカーの乗り場がありました。そこからグロウス山の頂上に上って行くことが出来るのですが、乗車料が58ドルほど(約5220円)で高いのでやめました。周囲を歩くと大きな駐車場には多くの車が止まっており、バンクーバーの住民の憩いの場所にもなっているのかと思いました。多くの人間にも拘わらずどこからか森の匂いが漂っていました。

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北バンクーバーからダウンタウンを入り江越しに眺める。

グロウス山の麓から少し下った所にある、カピラノ橋(Capilano Bridge)という吊り橋を見ることにしました。近くのバス停で降りてみると、吊り橋を渡るのに45ドルほど(約4050円)料金が必要とあり思わず高いと声に出しました。吊り橋公園になっていて多くの車が駐車しています。吊り橋なら、日本にも多くありますが、普通は無料です。近くのカフェで吊り橋の写真を見て帰りました。

私達が見たのは北バンクーバーの一部ですが、船着き場近辺には高層マンションがそびえたち、少し離れたところには多くの住宅がありました。世界でも有数の住みやすい街と言うことで、中国を中心に外国の資本が入っているとのことです。新築のマンションは値上がりを待って人が居住しない部屋がかなりあるとのことですが、どうでしょうか。

同じ236番のバスで船着き場まで帰り、またシーバスとスカイトゥレインに乗って帰ってきました。交通の便利さ、特にバス路線のそれには感心します。


29番大通りから出ている16番のバスに乗り、途中で95番のバスに乗り換えてSFU(Simon Fraser University)に行ってきました。これもバンクーバーの郊外の一つです。このキャンパスは、バーナビー・マウンテン保護地区(Burnaby Mountain Conservation Area)という広大な自然公園の真ん中にあります。その一部がバーナビー・マウンテン公園として一般に公開されていて車で行けるように駐車場が整備されています。

UBCの広大なキャンパスにも驚かされましたが、SFUのキャンパスも同じくらい広大です。ダウンタウンから離れていることもあり、宿舎や寮で生活する教職員や学生のためにスーパーマーケットまであります。

学生用の安めの食堂もありますが、我々はゆったりと寛いで給仕して貰えるレストランで食事をしました。空は青くパラソルの日陰でゆったり椅子に座り、ビールを飲みながら食事をして満足でした。多分、チキンカレーを上からかけたプーティン(poutine)というカナダ料理などを食べたと思います。

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SFUのレストラン 教職員のような人が多い。
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久し振りにゆっくりと食事をしました。
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プティーン(poutine)というカナダの名物料理

その後、広大なキャンパス内を散策していたら、親子が錦鯉がいる池の傍で遊んでいました。また日本で言ったら学生会館にあたる所に出てしまいました。そのゆったりした建物で学生が思い思いに食事をしたりパソコンを見たりしていました。その近くでは年配の女性が見学に来た外国人に大学の専攻や学費などを説明していました。

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大学構内は広くて大学らしい写真が撮れません。
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池には錦鯉がいました。
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学生会館らしいテラスから山々が見えます。
 私達の目的は、バーナビー・マウンテン公園でした。

実は今回の旅行の直前に、1990年頃、1997年の香港返還を控えてバンクーバーに移住した香港人の実態を探ったNHKのドキュメンタリーを見ました。その中で、子供のために移住をしたいという妻の強い意向に従って、妻と子をバンクーバーに移住させて自分は香港に残って航空関係の仕事を続けている男性の話が出て来ました。彼がバンクーバーに来るのは年に数回という別居生活です。まだ小学生くらいの二人の子供は短い休暇を過ごして香港に帰る父親に空港で取りすがって、帰らないでと言います。それを振り切って帰って行きます。

彼は香港の空港で荷物の積み下ろしの仕事を20年ほど続けていて、安定した生活基盤を持ち、友人も多いのです。バンクーバーに移住すれば、同じ仕事には到底つけないし、何しろ特に学歴もないので、仕事を見つけるのも簡単ではないことを知っている訳です。そんな夫にバンクーバーへの移住を決心させようと、妻が子供たちと彼を連れてきたのが、バーナビー・マウンテン公園だったのです。

SFUを出て歩くこと30分ほどでやっと目指す公園にたどり着きました。広大な自然保護区の中にある公園は野趣に満ちていて、バンクーバーから続いているブラードの入り江(Burrard Inlet)を見下ろせます。大きな湖のようなその入り江の向こうには山脈が見えて壮観です。公園にはバラ園が整備されていて、色とりどりのバラが満開でした。

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大学からこんな道を歩いて公園に向かいました。
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 バンクーバーの街が見渡せます。
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先住民のトーテムを取り入れた置物
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入り江はさながら湖のようです。
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バラ園のバラは見頃でした。

その公園の丘でピクニックをしていたあの香港人の家族はどうしているでしょうか。香港にはない雄大な風景は夫の気持ちを変えることが出来たでしょうか。あれからすでに30年近い月日が経っている訳ですから、あの妻も夫も子供たちも大きく変わっている筈です。


Airbnbで予約した貸切りのアパートが半地下(basement)であることはすでにブログ(バンクーバー3 宿について)に書きました。宿の近辺はほとんどが平屋か2階建の一戸建てです。その家々を見ていると、半地下のアパートを持っている家が圧倒的に多いのです。何故なのかと疑問に思っていました。つい3日ほど前にバス停で話をした老婦人に聞いてみました。

「どうして、半地下のアパートを併設した一戸建てが多いのでしょう、日本やフランスでは見たことがありません」

始めは、私の質問の意味がよく分からなかったような彼女は、合点がいくと明確に答えてくれました。

「それは経済的な理由です。1200から1500ドルほどになるからね」

私は半地下の方が冬が暖かいのかと気候の観点から推測していたので、その返事に驚きましたが、家賃収入を当てにしているのかとすぐに納得しました。

半地下の一戸建てが賃貸に向くのは、1階の自宅の玄関と別の独立した入り口を家の後ろに作り、全く独立したアパートとして貸すことが出来るのです。玄関を別にできれば貸す方も借りる方も気が楽です。

欠点は、明かり窓が小さいので外光が入りにくい点です。これは仕方がないのでしょう。

自宅の玄関は普通、半階ほど高くなっているところが多いのですが、そうでない場合もあります。土地が傾斜していて それをうまく利用しているのでしょう。以前のブログに載せた最初の写真がわが大家の玄関ですが、それは少し高くなっていて階段で上ります。

別に賃貸せずに、2世帯で暮らしてもいい訳です。そして、その後賃貸に回すということも考えられます。

日本のように便利な都会の住宅では、この工法を取り入れれば一戸建てでありながら、賃貸収入を得ることの出来るのですから、合理的な建築方法だと思います。大都市の地下街の賑わいは日本独特ですから、一戸建ての住宅に半地下のアパートを作るのは簡単だろうと思うのですがどうでしょうか。

このことを考えていて、以前見たアメリカ映画やイギリスの映画で半地下室の部屋が出てきたことがありました。しかし、それは中層のマンションに併設された半地下のアパートでした。しかし、Airbnbでニューヨークの宿を探した時も、一戸建てに付属した半地下のアパートの提供がありました。イギリスやアメリカではかなり普及しているのかもしれません。

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我々の大家の隣の家は二軒とも半地下のアパートを持った平屋です。
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ここも同様です。地面すれすれの窓で分かります。
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同様です。写真からは分かりませんが、家の後ろも広く庭と駐車場になっています。
土地は100坪くらいはゆうにあります。
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メインの玄関が地面と同じ面ですが、後ろが傾斜して半地下のアパートの玄関があります。
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同様です。
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半地下のアパートを持つ2階建ての一戸建て。広い居住面積です。



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