1週間ほど前に、テレビで少女が行方不明になったニュースがありました。顔写真が示されて、アジア系の小学生くらいでした。英語のニュースの細かいところが聞き取れないので、年や名前は定かでありませんでいたが、“セントラル・パーク(Central Park)”という場所だけはよく分かりました、というよりも、驚いたと言う方が正しいでしょう。なにしろ、セントラル・パークといえば、ニューヨークのマンハッタンにある大きな公園ですし、ドラマや推理小説などで殺人の舞台としてよく取り上げられます。ここバンクーバーにも同じ名前の公園があるのです。
フリーペーパーを読むと、行方不明になったマリサ・シェン(Marrisa Shen)さん13歳は、7月18日午後6時頃 自宅を出たあと行方が分からず、結局遺体が見つかったのでした。掲載されたあどけない写真が不憫です。
バンクーバーの地図を見ると、「29番大通り」駅から二つ目の駅、パターソン(Patterson)に近くにその公園がありました。
7月25日にそこに行ってきました。パターソン駅を降りると道路を渡ればもう公園に入ることが出来ます。サイクリングをしている人が多く、その一人に確かめると、入り口を教えてくれました。
入り口付近に、マリサさんのカラー写真を載せた紙が貼ってあり、事件に関してあらゆる情報を求めていると書かれていました。ニュースの事件が生々しく思い出されました。
3~4m幅の道が整備されていて歩きやすい散歩道ですが、周囲は30メートル前後の大きな木々が生い茂っていて鬱蒼とした森の中に入った感じでした。散歩したり走ったりサイクリングしたりする人にすれ違いますから、不気味で危険な感じはしませんでしたが、時間と場所によっては殺人事件が起こっても、おかしくないように思われました。地図で見ると、前回
紹介したジョン・ヘンデゥリー公園の倍くらいはありそうです。それに高木が多くて遠くを見渡せません。種類の違う公園です。
時々枝分かれしている道を適当に選んで歩いていくと、一つの池に突き当りました。その付近は野原になっていて池の周りにベンチが置いてあります。池の中を覗くと大きな鯉が数匹 見えました。多くのアヒルが泳いでいます。
トイレを探しに行った家内が帰って来て、プールがありかなりの人が泳いでいたと報告してくれました。短い夏のささやかな楽しみなのでしょうか。
またしばらく歩いていくと、もう一つの池の淵に出ました。樹木の間から少し下にある池が眺められる長椅子に座ってしばらく休憩していると、ハトやカラス、そしてリスが近付いてきます。野生の動物に餌をやることは禁止されているのですが、つい可愛くてパンくずなどをやりたくなるのでしょう。
時間も遅くなりつつあり、大きな公園なので道に迷ってはいけないと、慎重に来た道を辿っていると、数人の警察官が通行人に話を聞いています。俗にいう聞き込み調査と言うものかと思いました。背の高いがっしりした男の警察官が我々にも話しかけてきました。旅行者で初めて公園に行った我々には提供できる何の情報もありません。
一部とは言え、鬱蒼としたセントラル・パークを散策してパターソン駅に戻りました。この駅の近くには高層マンションが多く建っています。この公園を自分の庭 代わりに使えればさぞかしいいだろうとその住民たちを羨ましく思いました。
また平和そのものに思えるバンクーバーにも悲惨な事件が起こったのですから、世の中は複雑です。フリーペーパーによれば、通り魔の犯行ではないかと警察は見ているようです。英語だと、a stranger の犯行と書かれています。この単語の日本語訳は難しいのです。見知らぬ人、よそから来た人、新来者、外国人などの訳語があてられるのですが、もうひとつピンときません。
警察官に、初めて公園に来た外国人の旅行者ですと言ったのですが、ひょっとしたら不審者の調査だったのかもしれません。家内と一緒だったので多分、疑われることは無かったと思います。