平成29年度 第三回歴史民族講座「不動明王像の諸相」 西川真理子(学芸員)

 先日の講演会をまとめました。以下は、その要約です。生禿の聞き違いや勘違いがありましたらご容赦下さい。


 明王とは、[如来 − 菩薩 − 天]の中の、如来が一時の状態として姿を変えて現れたもの。大日如来の明王は、不動明王です。右手に剣、左手に羂索(ロープ)を持ちます。不動明王の光背は、カルラ(ガルーダ)炎光です。

 密教は、大日経や金剛頂経を経典の中心とします。空海は、中国から真言密教を持ち帰りました。東寺の講堂の高雄曼荼羅は、空海が唐より持ち帰った両界曼荼羅を手本として描いたものです。

 天台宗の円珍は、貴不動を感得したと伝えられます。頭は螺髪か巻髪、上向きの牙を持ち、体躯は筋骨隆々の姿です。

 安然が不動明王を観想するために唱えた「不動十九観」に基づけば、天地眼(片目を少しつむる)で、辮髪を左にたらし、矜羯羅(こんがら)童子と制多迦(せいたか)童子を両脇に従えます。奴隷のように修行僧の残飯を食べます。インドの乞食の姿です。

 不動には、円珍が最初に感得した黄不動、鎌倉時代になって円珍が感得した倶利伽羅竜剣を持つ赤不動、平安時代に登城した青不動の3種類あります。倶利伽羅竜王の剣は、不動明王の象徴となります。

 後に、不動は元寇等の外敵を退散する鎮護国家の仏となっていきます。