途中で昼食をゆっくりとって、調布市郷土資料館に着きました。ちょっと迷ったので、やっと着いたという感じです。
野川遺跡から出土した石斧。紀元前26000年（旧石器）のもので、多摩川の河原で採集した石を加工して石斧を制作したようです。きれいに接合できているところを見ると、大きな集落があったことを窺わせます。
３万年前に古多摩川に削られて武蔵野段丘と立川段丘が誕生し、野川や仙川や入間川付近で、大規模な集落が見つかっています。パネルの説明によれば、２万年前まで多摩川の流路が不安定だったために形成された集落であるそうです。
学芸員の方によるギャラリートークでは、展示されていた滑らかに凹んでいる石臼(のようなもの)についての興味深いお話が聞けました。その石臼で潰した木の実などを、石焼きにして食べたのではないかというのです。焼かれた石が一ヶ所からたくさん見つかっているそうです。土器は無い時代なので、あくの無い木の実である栗など実を取り出して、石焼きにしたとすれば、『石焼き栗』ですよね。美味しそうです。
人面装飾付彩文有孔鍔付(つばつき)土器。紀元前３千年のもので、原山遺跡から出土。太鼓であるとか、酒造りの器であるとか推定されているそうです。太鼓だとすると、土器ではすぐ壊れてしまうし、当時から太鼓などの木製品の制作技術はあったと考えられるので、酒造りの器だろうと思われます。「佳い酒が産まれますように」という祈りが込められているのでしょう。
勝坂式深鉢（北浦遺跡/紀元前３千年）。蛇をデフォルメした意匠で、縄文中期を代表する土器ですよね。
称名寺式深鉢（上布田遺跡/紀元前２千年）。西日本の中津式土器の系統をひく様式で、縄文時代の広域な交流を示しています。人間が狭い範囲でしか活動しなくなるのは、農耕社会になってから。石器時代や縄文時代は、日本列島を超えた広域での人と物の行き来があったと考えられます。
勾玉（蛇久保遺跡/紀元前３年）。勾玉は、古墳時代に盛行しますが、祖形は縄文時代に遡ることができます。だからと言って、縄文時代と古墳時代の文化に連続性があったと言うことではありません。勿論、優れた縄文文化が、その後の日本の文化に影響を与えていることは確かですが、だからといって、それは連続性を意味するものではありません。
石剣･石刀･石冠（下布田遺跡/縄文晩期の磨製石器）。祭祀儀礼に用いられたと考えられます。
城山遺跡は、縄文早期･前期の生活痕跡から古墳時代の大集落まで、長期に集落が維持されていたことを示す遺跡です。また、７百年頃と推定される「高大寺」と墨書された土師器坏も出土しており、深大寺に先立つ古代寺院の存在を示唆しています。
土器（縄文中期/原山遺跡）。縄文中期のお馴染みの様式の土器です。
１万３千年前、最終氷河期が終り、温暖な気候になると、森は落葉広葉樹林、照葉樹に覆われます。イノシシやニホンシカなどが生息していました。豊かな自然に恵まれて、縄文時代が始まります。関東･東北は、縄文時代の中心地域となっていきます。時代が下って、鎌倉幕府の成立以降は、関東各地の武士団と鎌倉を結ぶ鎌倉街道が整備されます。西党･村山党などの荒吐の子孫と目される武蔵七党と言われる武士団が活躍します。そして、関東管領の一族であり太田道灌の主家･扇谷上杉氏によって深大寺が築かれることになります。
近代に至って、調布は映画の街として繁栄し、生禿の両親もこの地で活動の場を得た時期もあったようです。展示されていた映写機は、子供の頃に見上げた大きなものではなく、随分小さなものです。子供の頃に見た映写機は、巨大な機械でしたが・・・。
縄文人の末裔としては、縄文文化の豊かさと、懐かしい映画の街を愉しんだ一日でした・・・、で終われば大満足なのですが、この日は風が強くて、向かい風の中を家まで帰ったら２時間以上もかかってしまいました。時速１５キロをはるかに下回る遅さです。多摩湖に着いた頃には、すっかり日が落ちていました。途中で足はつるし、帰りはくたびれ果てました。強風のチャリ散歩は控えた方が良さそうです。還暦を過ぎた爺さんなんですから。
野川遺跡から出土した石斧。紀元前26000年（旧石器）のもので、多摩川の河原で採集した石を加工して石斧を制作したようです。きれいに接合できているところを見ると、大きな集落があったことを窺わせます。
３万年前に古多摩川に削られて武蔵野段丘と立川段丘が誕生し、野川や仙川や入間川付近で、大規模な集落が見つかっています。パネルの説明によれば、２万年前まで多摩川の流路が不安定だったために形成された集落であるそうです。
学芸員の方によるギャラリートークでは、展示されていた滑らかに凹んでいる石臼(のようなもの)についての興味深いお話が聞けました。その石臼で潰した木の実などを、石焼きにして食べたのではないかというのです。焼かれた石が一ヶ所からたくさん見つかっているそうです。土器は無い時代なので、あくの無い木の実である栗など実を取り出して、石焼きにしたとすれば、『石焼き栗』ですよね。美味しそうです。
人面装飾付彩文有孔鍔付(つばつき)土器。紀元前３千年のもので、原山遺跡から出土。太鼓であるとか、酒造りの器であるとか推定されているそうです。太鼓だとすると、土器ではすぐ壊れてしまうし、当時から太鼓などの木製品の制作技術はあったと考えられるので、酒造りの器だろうと思われます。「佳い酒が産まれますように」という祈りが込められているのでしょう。
勝坂式深鉢（北浦遺跡/紀元前３千年）。蛇をデフォルメした意匠で、縄文中期を代表する土器ですよね。
称名寺式深鉢（上布田遺跡/紀元前２千年）。西日本の中津式土器の系統をひく様式で、縄文時代の広域な交流を示しています。人間が狭い範囲でしか活動しなくなるのは、農耕社会になってから。石器時代や縄文時代は、日本列島を超えた広域での人と物の行き来があったと考えられます。
勾玉（蛇久保遺跡/紀元前３年）。勾玉は、古墳時代に盛行しますが、祖形は縄文時代に遡ることができます。だからと言って、縄文時代と古墳時代の文化に連続性があったと言うことではありません。勿論、優れた縄文文化が、その後の日本の文化に影響を与えていることは確かですが、だからといって、それは連続性を意味するものではありません。
石剣･石刀･石冠（下布田遺跡/縄文晩期の磨製石器）。祭祀儀礼に用いられたと考えられます。
城山遺跡は、縄文早期･前期の生活痕跡から古墳時代の大集落まで、長期に集落が維持されていたことを示す遺跡です。また、７百年頃と推定される「高大寺」と墨書された土師器坏も出土しており、深大寺に先立つ古代寺院の存在を示唆しています。
土器（縄文中期/原山遺跡）。縄文中期のお馴染みの様式の土器です。
１万３千年前、最終氷河期が終り、温暖な気候になると、森は落葉広葉樹林、照葉樹に覆われます。イノシシやニホンシカなどが生息していました。豊かな自然に恵まれて、縄文時代が始まります。関東･東北は、縄文時代の中心地域となっていきます。時代が下って、鎌倉幕府の成立以降は、関東各地の武士団と鎌倉を結ぶ鎌倉街道が整備されます。西党･村山党などの荒吐の子孫と目される武蔵七党と言われる武士団が活躍します。そして、関東管領の一族であり太田道灌の主家･扇谷上杉氏によって深大寺が築かれることになります。
近代に至って、調布は映画の街として繁栄し、生禿の両親もこの地で活動の場を得た時期もあったようです。展示されていた映写機は、子供の頃に見上げた大きなものではなく、随分小さなものです。子供の頃に見た映写機は、巨大な機械でしたが・・・。
縄文人の末裔としては、縄文文化の豊かさと、懐かしい映画の街を愉しんだ一日でした・・・、で終われば大満足なのですが、この日は風が強くて、向かい風の中を家まで帰ったら２時間以上もかかってしまいました。時速１５キロをはるかに下回る遅さです。多摩湖に着いた頃には、すっかり日が落ちていました。途中で足はつるし、帰りはくたびれ果てました。強風のチャリ散歩は控えた方が良さそうです。還暦を過ぎた爺さんなんですから。
