創氏改名とは、日本統治下の朝鮮で日本式の家族が共有する「氏」を新たに設けることを指示して日本風の個人名を名乗ることを要請した政策。「姓」を改める台湾での改姓名と異なり、コリアの「姓」はそのまま残る。

注意すべき点としては、以下の点がある。
1. 創氏は義務であり、改名は権利だった。
2. 創氏で「氏」を設定しない場合は、コリアの「姓」がそのまま「氏」となり、夫婦、家族は同一の「氏」となった。
3. 戸籍に「姓」の記載は残った。

略年表
■ 1911年11月26日 朝鮮総督府令第一二四号「朝鮮人ノ姓名改称ニ関スル件」 
内地人に紛らわしい姓名への変更を禁止しており、姓名の変更の状況に関して以下の記述がある。句読点は原文のまま。

「李太王の年間政變により、内地に亡命したる人士の中には。姓名を内地式に變じたる者多し。保護政治となるに及び。或は同化心より。或は好奇心より、或は爲す所あるべく。姓名を内地様式に變じたる者あり。皆大抵庶民階級の人々にして。中には門札に票示し、名刺に印刷し。内地人との關係に於て專ら其姓名を使用せり。併合後に於ては此類を各地に生じ、特に平安道には多くして。其中、伊藤、長谷川等の姓を稱する者多かりしが。後に内牒を發して之を禁じ。何れも元の姓名に復せしめたり」
『朝鮮の姓名氏族に関する研究調査』(今村鞆編、朝鮮総督府中枢院、1934)

■ 1939年11月10日 制令第19号「朝鮮民事令中改正の件」、制令第20号「朝鮮人の氏名」が公布。
■ 1940年2月11日 制令第19号、制令第20号が施行。

制令の要旨
1. 1940年2月11日から6か月以内に創氏する。新たに創氏した場合は設定創氏と呼称する。
2. 届け出がない場合は、姓が氏となる。姓がそのまま氏となった場合は法定創氏と呼称する。
3. 改名は裁判所の許可の後に届ける。

創氏改名の結果
6か月後の1940年8月11日時点での創氏の比率は以下のようになった。

創氏 100%(設定創氏 80.3%、法定創氏 19.7%)
『創氏改名の研究』(金英達、未来社、1997)

6か月の期間後も改氏は続いており、1941年末の時点では81.6%が日本風の氏となった。また、1945年8月の時点における日本風の氏の比率は約85%と推定している。改名に関しては1941年末の時点で9.6%だった。
『創氏改名の法制度と歴史 金英達著作集』(伊地知紀子編、明石書店、2002)

その後は、アメリカ軍の占領地域では、1946年10月23日の「朝鮮姓名復旧令」の公布・施行により日本式氏名を廃止しており、60日間は改名した個人名に関しては維持できる手段を残していた。ソ連軍の占領地域では、1945年11月16日、1946年3月23日、1946年7月30日の諸規定により日本式氏名を廃止した。

創氏の具体例

設定創氏
以下の7つに分類した。

1. 漢字を追加
2. 漢字を分解
3. 本貫と地名
4. 先祖の伝承と事跡
5. 日本音での類似音
6. 日本の著名人
7. その他


コリア音は、南でのもの。日本音は別のフリガナだった可能性もあり、フリガナの制限はなかった。

1.1. 漢字を追加
■ 安(アン)→安藤(あんどう)、竹安(たけやす)、安田(やすだ)、安本(やすもと)
■ 李(イ)→李元(すももと)、李家(りのいえ)、李村(りむら)
■ 林(イム)→大林(おおばやし)
■ 印(イン)→印島(いんとう)
■ 元(ウォン)→原元(はらもと)、松元(まつもと)
■ 呉(オ)→呉松(くれまつ)、呉村(くれむら)、呉本(くれもと)、呉山(くれやま)
■ 魚(オ)→魚川(うおかわ)、魚西(うおにし)、魚沼(うおぬま)
■ 玉(オク)→玉山(たまやま)
■ 康(カン)→康田(やすだ)、康原(やすはら)、康本(やすもと)
■ 金(キム)→金井(かない)、金江(かなえ)、金川(かながわ)、金沢(かなざわ)、金谷(かなたに、善山金氏)、金山(かなやま)、金浦(かねうら)、金岡(かねおか)、金城(かねき、慶州金氏の通告文に「カネキ」とある)、金清(かねきよ)、金子(かねこ)、金島(かねしま、慶州金氏)、金田(かねだ)、金林(かねばやし)、金原(かねはら)、金松(かねまつ)、金光(かねみつ)、金村(かねむら)、金本(かねもと)、金源(かねもと)
■ 吉(キル)→吉本(よしもと)
■ 権(クォン)→権田(ごんだ)、権東(ごんどう)、権藤(ごんどう)
■ 琴(クム)→琴川(ことかわ) 
■ 高(コ)→高子(たかこ)、高島(たかしま)、高原(たかはら)、高山(たかやま)
■ 孔(コン)→孔村(こうむら)
■ 辛(シン)→辛島(からしま)
■ 蘇(ソ)→伊蘇(いそ)
■ 石(ソク)→石川(いしかわ)、石原(いしはら)、石村(いしむら)
■ 成(ソン)→成田(なりた)、成松(なりまつ)、成本(なりもと)、成山(なりやま)
■ 宣(ソン)→宣川(よしかわ)
■ 卓(タク)→卓山(たかやま)
■ 池(チ)→池田(いけだ)
■ 崔(チェ)→崔本(さいもと)
■ 蔡(チェ)→蔡川(さいかわ)、蔡原(さいはら)
■ 諸(チェ)→諸岡(もろおか)
■ 車(チャ)→車田(くるまだ)
■ 張(チャン)→張本(はりもと)、張吉(はりよし)
■ 秋(チュ)→秋山(あきやま)
■ 朱(チュ)→朱本(あけもと) 
■ 周(チュ)→周本(しゅうもと)
■ 全(チョン)→木全(きまた)
■ 田(チョン)→上田(うえだ)、田村(たむら、潭陽田氏)、福田(ふくだ)
■ 丁(チョン)→丁藤(ちょうどう)
■ 千(チョン)→千田(ちだ)、千原(ちはら) 
■ 陳(チン)→陳川(ちんかわ)、陳田(ちんだ)、陳内(ちんない)
■ 都(ト)→都本(ともと)、都川(みやこがわ)、都田(みやこだ)、都谷(みやこだに)
■ 羅(ナ)→羅田(らでん)、羅永(らなが、錦城羅氏)
■ 河(ハ)→河本(かわもと、晋州河氏)、松河(まつかわ)
■ 朴(パク)→朴沢(ほうざわ)、朴田(ぼくだ)、朴原(ぼくはら)、朴山(ぼくやま)
■ 房(パン)→房原(ふさはら)
■ 表(ピョ)→表田(おもてだ) 
■ 玄(ヒョン)→玄武(げんぶ) 
■ 片(ピョン)→片山(かたやま)
■ 辺(ピョン)→渡辺(わたなべ)
■ 黄(ファン)→黄田(きだ)、黄原(きはら)、黄本(きもと)
■ 白(ペク)→白井(しらい)、白川(しらかわ、水原白氏)、白原(しらはら)
■ 洪(ホン)→洪原(こうはら)、洪川(ひろかわ)
■ 馬(マ)→有馬(ありま)、馬川(うまかわ)、馬野(うまの)、馬場(ばば)
■ 文(ムン)→文明(ふみあき)、文岩(ふみいわ)、文野(ふみの)、文原(ふみはら)、文平(ふみひら)
■ 明(ミョン)→明石(あかし)、明川(あけがわ)
■ 閔(ミン)→閔原(びんげん)
■ 牟(モ)→牟田(むた)
■ 梁(ヤン)→梁川(やながわ、南原梁氏)、梁原(やなはら)
■ 楊(ヤン)→楊原(やなぎはら) 
■ 柳(ユ)→一柳(いちやなぎ)、柳川(やながわ、瑞寧柳氏)、柳沢(やなぎさわ、全州柳氏)、柳原(やなぎはら、善山柳氏)、柳村(やなぎむら、晋州柳氏)、柳瀬(やなせ、豊山柳氏)
■ 兪(ユ)→兪原(ゆはら)
■ 呂(ヨ)→呂井(ろい)
■ 龍(ヨン)→龍川(たつかわ)
■ 延(ヨン)→延原(のぶはら)
■ 王(ワン)→王本(おうもと)、王山(おうやま)

1.2. 漢字の部首を追加か追加してさらに一字追加
■ 奇(キ)→岩崎(いわさき)
■ 金(キム)→鈴木(すずき)、鐡(てつ)
■ 車(チャ)→轟(とどろき) 
■ 丁(チョン)→釘本(くぎもと)、町田(まちだ)
■ 方(パン)→芳村(よしむら)、芳山(よしやま)
■ 黄(ファン)→横山(よこやま)
■ 白(ペク)→泉原(いずみはら)
■ 尹(ユン)→伊藤(いとう)、伊東(いとう、海平尹氏)、伊原(いはら)
■ 呂(ヨ)→宮田(みやた)、宮原(みやはら)、宮本(みやもと)

1.3. 一字を残すか変更してさらに一字を追加
■ 諸葛(チェガル)→葛原(くずはら)、諸岡(もろおか)
■ 南宮(ナムグン)→南田(みなみだ) 
■ 皇甫(ファンボ)→浦田(うらた)

2.1. 漢字を分解して全部を使用
■ 申(シン)→一中(いちなか)、中一(なかいち)、三川(みかわ)
■ 宋(ソン)→山木(やまき)
■ 崔(チェ)→佳山(かやま)、山佳(やまよし)
■ 車(チャ)→三中(みなか)
■ 張(チャン)→弓長(ゆみなが)
■ 朴(パク)→木下(きのした)
■ 黄(ファン)→共田(ともだ)
■ 明(ミョン)→日月(じつげつ、延安明氏)

2.2. 漢字を分解して一部を使用
■ 李(イ)→青木(あおき)、大山(おおやま)、木下(きのした)、高木(たかぎ)
■ 芮(イェ)→草内(くさうち) 
■ 呉(オ)→山口(やまぐち)、吉田(よしだ) 
■ 姜(カン)→美谷(みたに)、美山(みやま)
■ 鞠(クク)→菊川(きくかわ)
■ 琴(クム)→今田(いまだ)
■ 慎(シン)→真田(さなだ)、真島(まじま)、真野(まの)、真原(まはら)、真山(まやま)
■ 蘇(ソ)→草禾(くさのき)
■ 宋(ソン)→宇原(うはら)、宇本(うもと)
■ 崔(チェ)→大山(おおやま)、高山(たかやま)、鶴田(つるた)、山江(やまえ)、山住(やまずみ)、山田(やまだ)、山本(やまもと)、和山(わやま)
■ 張(チャン)→長本(ながもと)、長谷(はせ)、長谷川(はせがわ)
■ 朴(パク)→木戸(きど)、木村(きむら)、木本(きもと)、木山(きやま)、高木(たかぎ)
■ 潘(パン)→米田(よねだ)
■ 咸(ハム)→成本(なりもと)
■ 黄(ファン)→花田(はなだ)

3.1. 本貫を使用
■ 李(イ)→牛峰(うしみね)、金川(かながわ)、真城(しんじょう)、丹山(たんやま)、永川(ながかわ)、星山(ほしやま、星州の別名)、光山(みつやま)
■ 任(イム)→豊川(とよかわ) 
■ 禹(ウ)→丹山(たんやま)
■ 殷(ウン)→幸州(こうしゅう)
■ 呉(オ)→徳山(とくやま)
■ 厳(オム)→奈城(なしろ)
■ 姜(カン)→晋山(しんやま)
■ 金(キム)→金海(かなうみ)、光山(みつやま)
■ 吉(キル)→延陽(えんよう)
■ 具(ク)→綾城(あやしろ)
■ 権(クォン)→安東(あんどう)
■ 郭(クヮク)→京山(きょうやま)、玄風(げんぷう)、西原(にしはら)
■ 孔(コン)→曲原(きょくはら)、檜原(ひはら)、昌原(まさはら)
■ 沈(シム)→青松(あおまつ)
■ 申(シン)→平山(ひらやま)
■ 徐(ソ)→達城(たつしろ)、利川(としかわ)
■ 薛(ソル)→玉川(たまがわ、淳昌薛氏、淳昌の旧名「玉川(オクチョン)」から)
■ 孫(ソン)→月城(つきしろ)
■ 卓(タク)→光山(みつやま)
■ 崔(チェ)→随城(ずいじょう)
■ 諸(チェ)→穎川(えがわ)
■ 張(チャン)→玉山(たまやま、仁同の別名)
■ 蒋(チャン)→牙山(きばやま)
■ 曺(チョ)→夏山(なつやま)
■ 趙(チョ)→白川(しらかわ)
■ 鄭(チョン)→河東(かとう)
■ 全(チョン)→江原(えはら)
■ 秦(チン)→南原(なんばら)
■ 都(ト)→星山(ほしやま)
■ 盧(ノ)→瑞原(みずはら)、豊川(とよかわ)
■ 韓(ハン)→清原(きよはら、清州韓氏、清州の別名)、西原(にしはら、清州韓氏、清州の旧名)
■ 玄(ヒョン)→延山(のべやま)
■ 卞(ピョン)→草溪(くさたに)
■ 黄(ファン)→檜山(ひやま)
■ 洪(ホン)→徳山(とくやま)、南陽(なんよう)
■ 馬(マ)→木川(きかわ)
■ 文(ムン)→江城(えしろ)
■ 楊(ヤン)→清原(きよはら)
■ 劉(ユ)→玉川(たまがわ)
■ 陸(ユク)→菅城(すがき)
■ 尹(ユン)→海平(うみひら)、南原(なんばら)、坡平(はびら)
■ 廉(ヨム)→瑞原(みずはら) 

3.2. 本貫の一部を使用
■ 李(イ)→月李(つき、月城李氏)、星本(ほしもと)
■ 金(キム)→慶金(よしかね、慶州金氏)
■ 具(ク)→綾原(あやはら)、綾部(あやべ)
■ 沈(シム)→松本(まつもと、青松沈氏)
■ 申(シン)→平田(ひらた、平山申氏)
■ 徐(ソ)→達川(たつかわ、達城徐氏)
■ 張(チャン)→玉村(たまむら)
■ 朱(チュ)→寧野(ねいや、寧越朱氏)
■ 曺(チョ)→昌山(まさやま)
■ 鄭(チョン)→東(ひがし、河東鄭氏)
■ 田(チョン)→潭田(ふじた、潭陽田氏)、陽田(ようだ、潭陽田氏)
■ 辺(ピョン)→原川(はらかわ、原州辺氏)、原辺(はらべ、原州辺氏)
■ 黄(ファン)→長谷川(はせがわ、長水黄氏)、平田(ひらた、平海黄氏)、平松(ひらまつ、平海黄氏)
■ 許(ホ)→岩村(いわむら、陽川許氏、陽川の旧名である孔巖の巖から「岩」の字を使用したもので始祖が岩から生まれたという伝承もある)
■ 楊(ヤン)→青木(あおき、清州楊氏)、清水(しみず、清州楊氏)
■ 尹(ユン)→平沼(ひらぬま、坡平尹氏、「沼」は坡平にあった熊沼から)
■ 兪(ユ)→杞前(きまえ、杞溪兪氏)
■ 呂(ヨ)→星呂(ほしろ、星州呂氏)
■ 王(ワン)→松城(まつしろ)、松田(まつだ、開城の旧名の松岳から)

3.3. 地名を使用
■ 安東(あんどう) 慶尚北道の安東(アンドン)から。
■ 岩田(いわた) 故郷にあった「岩の田んぼ」と呼ばれる場所から。
■ 大江(おおえ) 慶尚北道の大邱(テグ)と江戸から。
■ 大田(おおた) 忠清南道の大田(テジョン)から。
■ 白川(しらかわ) 黄海南道の白川(ペチョン)から。
■ 徳川(とくがわ) 地名からとあるのみ。平安南道徳川(トクチョン)市、全羅北道井邑市徳川(トクチョン)面ほか地名あり。
■ 永浦(ながうら) ソウル特別市の永登浦(ヨンドンポ)から。
■ 成川(なりかわ) 平安南道の成川(ソンチョン)から。
■ 益山(ますやま) 全羅北道の益山(イクサン)から。
■ 松山(まつやま) 小地名の松山(ソンサン)里からの創氏を適切な創氏とした事例があった。李姓、薛姓、孫姓、宋姓、蒋姓、全姓、鄭姓からの創氏あり。
■ 宮村(みやむら) 先祖の出身地で現在の京畿道広州市にあたる広州郡宮村(クンチョン)面から。

4.1. 先祖の伝承
■ 李(イ)→岩村(いわむら)、岩本(いわもと、慶州李氏の始祖の李謁平が瓢岩峰(ピョアムボン)に降臨したという伝承から)、山村(やまむら、慶州李氏の始祖の李謁平が閼川楊山村(アルチョンヤンサンチョン)を築いたということから)
■ 姜(カン)→神雲(かみくも)、神本(かみもと)、神農(かんの、姜氏の祖がシナの伝説の帝王である神農(シナ音:シェンノン、コリア音:シンノン)という伝承から)
■ 徐(ソ)→大城(おおしろ、利川徐氏の祖と伝える古朝鮮の準王が、王位を追われた際に利川の徐阿城に立てこもったということから)
■ 朴(パク)→新井(あらい、新羅王が蘿井(ナジョン)のほとりで生まれたという伝承から)、井上(いのうえ)、藤井(ふじい)
■ 韓(ハン)→箕本(みもと、韓氏が箕子朝鮮の建国者である箕子(キジャ)の後裔と伝えることから)
■ 盧(ノ)→岡村(おかむら、始祖が平安南道の龍岡の雙梯村に寓居していたということから)
■ 許(ホ)→石渡(いしわた、伽耶の王妃の許黄玉が、インドの阿踰陀国から嫁ぐ際に航海の無事を祈って船に婆娑石塔を積み渡って来たということから)

4.2. 先祖の事跡
■ 李(イ)→朝本(あさもと、朝廷と本)、国本(くにもと、全州李氏が李氏朝鮮の王を出して国の本となったということから)、牧野(まきの)、牧山(まきやま、韓山李氏で高麗の文人の李穡が号した牧隠(モクン)から)、宮本(みやもと、王宮と本)
■ 宋(ソン)→壺山(つぼやま、徳山宋氏の始祖の宋壺山(ソン・ホサン)から)
■ 裵(ペ)→武本(たけもと、新羅の第29代の王である武烈(ムヨル)王の後裔ということから)

5. 日本音での類似音
■ 禹(う)→宇森(うもり)
■ 方(かた)→片山(かたやま) 
■ 崔(さい)→佐井(さい、水原崔氏、当初は吉原と創氏する予定だった)、佐居(さい)、佐々木(ささき)
■ 左(さ)→佐藤(さとう)
■ 兪(ゆ)→湯田(ゆだ)、湯本(ゆもと)
■ 郭(かく)→加藤(かとう)

6. 日本の著名人
■ 伊藤(いとう) 初代内閣総理大臣の伊藤博文(いとう・ひろぶみ、1841年10月16日 - 1909年10月26日)から。
■ 金光(かねみつ) 政治家の金光庸夫(かねみつ・つねお、1877年3月13日 - 1955年3月5日)から。
■ 重光(しげみつ) 外交官・政治家の重光葵(しげみつ・まもる、1887年7月29日 - 1957年1月26日)から。霊山辛氏が創氏した。
■ 鳩山(はとやま) 政治家の鳩山一郎(はとやま・いちろう、1883年1月1日 - 1959年3月7日)から。本姓は崔が主流。
■ 丸山(まるやま) 朝鮮総督府警務部長の丸山鶴吉(まるやま・つるきち、1883年9月27日 - 1956年6月3日)から。

7. その他
■  李(イ)→荒川(あらかわ)、石倉(いしくら)、香山(かやま、奈良県の香久山、平安北道の妙香山のどちらか不明)、坂本(さかもと)、下岡(しもおか)、平川(ひらかわ)
■ 芮(イェ)→広田(ひろた)
■ 印(イン)→高木(たかぎ)、高村(たかむら)
■ 禹(ウ)→山田(やまだ)
■ 魏(ウィ)→長本(ながもと)
■ 元(ウォン)→原村(はらむら)
■ 殷(ウン)→江本(えもと)、松江(まつえ)
■ 呉(オ)→三井(みつい)
■ 魚(オ)→西川(にしかわ)
■ 玉(オク)→大原(おおはら) 
■ 厳(オム)→岩本(いわもと)
■ 姜(カン)→青木(あおき)、村上(むらかみ)
■ 金(キム)→岩間(いわま)、岩本(いわもと)、大原(おおはら)、岡田(おかだ)、豊田(とよた)、前田(まえだ)、松本(まつもと)、嶺(みね、日本人の恩人から)、吉原(よしはら)
■ 吉(キル)→寺再(じさい)
■ 具(ク)→今村(いまむら)、栗山(くりやま)
■ 鞠(クク)→青山(あおやま) 
■ 郭(クヮク)→岩谷(いわたに)、西浦(にしうら)、牧野(まきの)
■ 権(クォン)→坂田(さかた)
■ 琴(クム)→金田(かねだ)
■ 徐(ソ)→大川(おおかわ)、大原(おおはら)、大山(おおやま)
■ 蘇(ソ)→秋田(あきた)、和田(わだ)
■ 薛(ソル)→大山(おおやま)、弘本(ひろもと)
■ 孫(ソン)→大村(おおむら)、栗山(くりやま)、天日(てんにち)、林(はやし)
■ 宋(ソン)→大原(おおはら)、野田(のだ)、野山(のやま)、松原(まつばら)
■ 宣(ソン)→中原(なかはら)
■ 蔡(チェ)→佐川(さがわ)、平岡(ひらおか)、平松(ひらまつ)
■ 車(チャ)→永田(ながた)
■ 蒋(チャン)→国本(くにもと)
■ 朱(チュ)→本城(もとしろ)
■ 周(チュ)→徳原(とくはら)、吉田(よしだ)
■ 趙(チョ)→尾崎(おざき)、豊田(とよた)
■ 丁(チョン)→大島(おおしま)、武島(たけしま)、茶山(ちゃやま)
■ 全(チョン)→田中(たなか)、松田(まつだ)、松原(まつばら)
■ 鄭(チョン)→大川(おおかわ)、為川(ためかわ)、智山(ちやま)、三浦(みうら)、三城(みき)、三山(みやま)、迎田(むかえだ)、吉本(よしもと)
■ 陳(チン)→大原(おおはら)、三山(みやま)
■ 秦(チン)→大倉(おおくら)、豊田(とよた)、松原(まつばら)
■ 羅(ナ)→上村(うえむら)、 富田(とみた)、松島(まつしま)
■ 南(ナム)→山元(やまもと)
■ 魯(ノ)→江村(えむら)、江本(えもと)、華村(はなむら)
■ 盧(ノ)→上田(うえだ)、神本(かみもと)、河原(かわはら)
■ 朴(パク)→天本(あまもと)、太田(おおた)、高橋(たかはし)、武山(たけやま)、松川(まつかわ)、村井(むらい)、山崎(やまざき)
■ 韓(ハン)→朝川(あさかわ)、大原(おおはら)
■ 潘(パン)→河村(かわむら)
■ 表(ピョ)→新川(あらかわ)、山崎(やまざき)
■ 卞(ピョン)→徳原(とくはら)
■ 黄(ファン)→芳村(よしむら)
■ 洪(ホン)→豊山(とよやま)、林(はやし)
■ 閔(ミン)→岩村(いわむら)、岩本(いわもと)、本城(もとしろ)
■ 孟(メン)→新原(にいはら)、松岡(まつおか)、松原(まつばら)
■ 牟(モ)→谷本(たにもと)
■ 楊(ヤン)→和田(わだ)
■ 劉(ユ)→河西(かさい)
■ 兪(ユ)→松原(まつばら)
■ 余(ヨ)→富本(とみもと)
■ 廉(ヨム)→石川(いしかわ)、梅原(うめはら)
■ 龍(ヨン)→天河(あまかわ)
■ 延(ヨン)→中山(なかやま)、山本(やまもと)
■ 王(ワン)→大原(おおはら)

可能性としては、他の伝承、好字、地形、知人、配偶者、個人名の文字があり、『私の見て来た大分県朝鮮民族五十年史』(李鐘泌、1992)には、創氏改名について次の文がある。「改姓」とあるのに関しては「創氏」が正しい。

「改姓するとき、日本人の知人の姓などを付けることが少なくありませんでした。また、日本の偉人の姓などを名乗ることもあったようです」

法定創氏
1.1. 日本音での音読み
■ 高(コ)→高(こう)
■ 司空(サゴン)→司空(しくう)
■ 南宮(ナムグン)→南宮(なんぐう)
■ 洪(ホン)→洪(こう)

1.2. 日本音での訓読み
■ 林(イム)→林(はやし)
■ 呉(オ)→呉(くれ)
■ 丘(ク)→丘(おか)
■ 桂(ケェ)→桂(かつら)
■ 高(コ)→高(たか)
■ 孫(ソン)→孫(まご)
■ 秦(チン)→秦(はた)
■ 都(ト)→都(みやこ)
■ 南(ナム)→南(みなみ)
■ 楊(ヤン)→楊(やなぎ)
■ 柳(ユ)→柳(やなぎ、文化柳氏)

参考
『創氏名鑑 昭和15年8月10日現在』(朝鮮新聞社、1941)約11,000人記載。
『在日韓国人の名まえの使い分け』(任栄哲『朝鮮学報 141輯』(朝鮮学会編、朝鮮学会、1991)所収)
『創氏改名』(宮田節子、金英達、梁泰昊、明石書店、1992)
『アボジ聞かせてあの日のことを 我々の歴史を取り戻す運動報告書』(在日本大韓民国青年会編、在日本大韓民国青年会中央本部、1988)
『創氏改名の研究』(金英達、未来社、1997)
『創氏改名の法制度と歴史(金英達著作集)』(伊地知紀子編、明石書店、2002)
『創氏改名』(水野直樹、岩波書店、2008)
『朝日新聞が報道した「日韓併合」の真実』(水間政憲、徳間書店、2010)
『創氏改名時代の族譜 父系出自集団の対応に注目して』(板垣竜太、水野直樹『韓国朝鮮文化研究 研究紀要 11号』(東京大学大学院人文社会系研究科韓国朝鮮文化研究室編、東京大学大学院人文社会系研究科韓国朝鮮文化研究室、2012)所収)
『京城日報 1939年12月1日号~1940年8月31日号』(京城日報社)