以下では、1959年と1980年の状況をもとにした二つのランキングを掲載する。1980年のランキングには、1980年当時のコリア系の占める比率を推定して記載した。

1959年に対して1980年では「金」を含む通名の順位は低下しており、『本名を阻むものについて』(金時鐘『本名をはばむもの』(調布・ムルレの会、1983)所収)にある「在日朝鮮人の通名は、日本人にもまして日本人的な名前を使う人が量的に多くなってきます。それはそのまま帰化申請の件数に付合します。金本なんていいません」という状況を確認することができる。

外国人登録に日本式姓を本名として登録している者のランキング(1959年4月1日現在)

順位 通名 人数
1. 金本 809
2. 金山 673
3. 金田 559
4. 新井 426
5. 山本 419
6. 金城 319
7. 木村 310
8. 安田 269
9. 岩本 258
10. 金沢 241
11. 金子 236
12. 松本 215
13. 金海 192
14. 金光 185
14. 金村 185
16. 山田 172
17. 金井 168
18. 大山 165
18. 平山 165
20. 中村 162
21. 国本 150
22. 田中 134
その他 16,377

コリア人の登録総数 607,533人
日本式姓の登録者数 22,789人(3.8%)

出典
『創氏改名の法制度と歴史 金英達著作集Ⅰ』(金英達、伊地知紀子編、明石書店、2002)
本来の出典
『朝鮮の姓字をめぐる諸問題について』(警察庁警備局外事課、1963)未見。著者に関しては「他の資料によると山田利明著」とある。

1980年当時の通名に使用する漢字の上位10個
順位 漢字 通名数
1. 山 194
2. 田 153
3. 本 134
4. 川 117
5. 原 105
6. 村 73
7. 井 70
8. 野 67
9. 金 56
10. 島 49

1980年当時におけるコリア系の割合の算出方法
1. 電話帳の登録数を4.7倍して推定人口を算出した http://homepage1.nifty.com/forty-sixer/(リンク切れ) でそれぞれの姓の2005年における人口を推定する。
2. 2005年の国勢調査での1億2776万人と1980年の国勢調査の1億1706万人から1980年当時の日本の人口を2005年当時の91.6%と推定してそれぞれの姓に当てはめる。
3. 『在日韓国人名録 1981年版』(統一日報社、1980)が、約12,000人を収録した文献であることから在日コリア人の通名の人数を50倍して約60万人とした場合での数値に近づけコリア系の割合を算出する。1980年当時の在日コリア人は約66万人であり、通名使用率や帰化者を考慮した厳密な数値を出すのは困難なので50倍というのは目安の数値である。「大半がコリア系の名前」は比率は出さないこととして「コリア系の名前」は稀に別起源もありうるので100%としない。

在日コリア人の通名ランキング(1980年)
順位 通名 人数 1980年当時のコリア系の割合
1. 新井 303 8.7%
2. 山本 199 1.0%
3. 金本 173 63.0%
4. 木村 161 1.5%
5. 金田 158 12.0%
6. 安田 150 4.3%
7. 岩本 145 6.6%
7. 金山 145 26.4%
9. 松本 135 1.1%
10. 大山 131 7.3%
11. 平山 119 6.5%
12. 高山 118 5.9%
13. 山田 106 0.7%
14. 金沢 100 8.7%
14. 金光 100 57.5%
14. 徳山 100 39.0%
17. 田中 98 0.4%
18. 松山 94 6.9%
19. 大原 92 10.0%
20. 金子 85 1.7%
20. 木下 85 2.4%
22. 中村 83 0.4%
23. 金城 81 8.8%
24. 金村 80 70.4%
24. 吉田 80 0.5%
26. 西原 79 9.6%
26. 林 79 0.8%
28. 宮本 78 1.8%
29. 松原 77 3.8%
30. 国本 67 36.6%
31. 河本 66 10.3%
32. 金井 64 4.7%
33. 星山 61 64.0%
34. 坂本 57 0.9%
35. 松岡 56 2.0%
35. 松田 56 0.8%
37. 伊藤 52 0.3%
38. 清水 49 0.5%
38. 安本 49 20.6%
40. 岡本 44 0.8%
40. 松村 44 1.8%
42. 光山 43 58.7%
43. 金岡 42 31.4%
43. 金原 42 14.1%
43. 野村 42 1.2%
46. 井上 40 0.4%
46. 福田 40 0.7%
48. 青木 39 0.6%
48. 平沼 39 28.8%
48. 南 39 2.0%
48. 高田 39 1.0%
52. 成田 38 1.7%
52. 山下 38 0.5%
54. 金海 37 大半がコリア系の名前。1980年の推定人口は1,100人。50倍した場合は1,850人で100%を超える。注意点。『山口県寺院沿革史』(可児茂公編、山口県寺院沿革史刊行会、1933)に山口県下関市安岡本町にある金海山蓮乗寺の僧侶の記載があり、この事例のみ別。
54. 西山 37 1.6%
56. 橋本 36 0.4%
57. 大城 35 3.7%
57. 中山 35 0.7%
57. 夏山 35 大半がコリア系の名前。1980年の推定人口は1,550人。50倍した場合は1,750人と近い数値となる。注意点。『奥平氏と額田』(平松七郎、夏山史料保存会編、額田町教育委員会、2005)に夏山家について「明治維新まで奥平家にあった」とあり、一部では別。ほか北海道の僧侶にもあった。
57. 梁川 35 61.6%
61. 原田 34 0.6%
62. 神農 33 大半がコリア系の名前。1980年の推定人口は1,550人。50倍した場合は1,650人と近い数値となる。注意点。『姓氏家系大辞典 復刻版』(太田亮、角川書店、1963)に「神農 シンノ 信濃に存す」とあり、長野県で通名にあったほか帰化の記録があっても一部では別。『篠ノ井市人士録』(新井等編、日曜新聞社、1963)では1894年生まれの人物の記載がある。
62. 鈴木 33 0.1%
62. 玉山 33 47.4%
62. 吉川 33 1.1%
62. 青山 31 1.7%
67. 東 31 1.1%
68. 池田 30 0.3%
69. 岡田 29 0.4%
69. 金谷 29 5.1%
69. 豊川 29 21.1%
69. 吉村 29 1.1%
73. 石川 28 0.4%
73. 白川 28 3.6%
73. 巴山 28 コリア系の名前。1980年の推定人口は800人。50倍した場合は1,400人で100%を超える。
73. 三井 28 3.9%
77. 大島 27 1.2%
77. 斉藤 27 0.4%
77. 豊田 27 1.6%
77. 平田 27 0.9%
81. 大野 26 0.6%
81. 岡村 26 1.4%
81. 金森 26 4.7%
81. 杉山 26 0.7%
81. 西村 26 0.4%
86. 高橋 25 0.1%
86. 長谷川 25 0.4%
86. 山口 25 0.2%
89. 柳 24 3.6%
89. 加藤 24 0.1%
89. 小林 24 0.1%
89. 高木 24 0.5%
93. 高島 23 2.2%
93. 玉川 23 7.8%
93. 太田 23 0.4%
93. 山崎 23 0.3%
93. 武田 23 0.6%
93. 小山 23 0.6%
99. 中島 22 0.3%
99. 森山 22 1.5%
101. 石山 21 2.4%
101. 平野 21 0.6%
101. 吉本 21 1.9%

出典
『在日韓国人名録 1981年版』(統一日報社、1980)

今後、国籍の記載がある1952年から1970年の『官報』が出典の分布市町村数のランキングを作成する予定。

また、金海、夏山、神農、巴山に関して他の別起源を示す資料があればコメント欄で受け付ける。