日本姓氏語源辞典の凡例
日本姓氏語源辞典の方針

用語解説
■ アイヌ系 北海道、千島列島、樺太に居住していたアイヌ民族で日本人となったもの。
■ アイヌ語系 アイヌ語かアイヌ語の地名起源の姓。民族系統はアイヌ系とは別。
■ アクツ 漢字表記に阿久津、安久津、圷。「低湿地」。
■ 飛鳥時代 592年から710年。
■ 朝臣 「あそみ・あそん」。八色の姓での第二位の姓(カバネ)。
■ 直 「あたい」。姓(カバネ)。
■ 県主 「あがたぬし」。姓(カバネ)。
■ 安土桃山時代 1573年から1603年。
■ 阿弥 「あみ」。時宗の号で姓の要素にある。
■ 異形 「いけい」。別語にバリアント、変異体。最古の語形、人口の多い語形と異なる語形。直接転じたものでなくても語形が異なるものも含む。変わった時期、理由に関しては分かる場合は記述する。
■ 稲置 「いなぎ」。八色の姓での第八位の姓(カバネ)。
■ 忌寸 「いみき」。八色の姓での第四位の姓(カバネ)。
■ エキ 漢字表記に浴、駅。島根県、広島県、山口県の方言で「山間の奥まった土地」、「水気の多い谷」を意味する。
■ 江戸時代 1603年から1868年。
■ 首 「おびと」。姓(カバネ)。
■ 臣 「おみ」。姓(カバネ)。八色の姓では第六位。
■ カイト 漢字表記に垣内、垣外。「囲い込んだ土地」。
■ 門割制度 「かどわりせいど」。鹿児島藩、佐土原藩での他の藩における五人組に相当する制度。組と類似の概念の「門(カド)」の名前から創姓した事例がある。「門」は地名からの場合があり、地名の要素もある場合は地名として扱う。
■ 鎌倉時代 1185年から1333年。
■ 家紋 家の象徴とする紋章。姓の意味と関係がある場合は記す。
■ 緩衝姓
■ 神主 別語に宮司、神官、社家、祢宜。
■ 帰化 日本国籍を取得すること。20世紀以降の帰化に関する情報の出典は『官報』。
■ 起源地 発祥地が不明である場合の最古の居住地。「旧家」、「本家」といった時代が確定できないものでの記述。
■ 擬装 似たものにして見分けにくくすること。別語にカモフラージュ。在日外国人の通名も広義での擬装に入る。
■ 帰農 農業をしていた時代に帰ること。
■ 公 「きみ」。姓(カバネ)。
■ 旧国名
■ 公家 朝廷につかえていた上級官人。
■ 草分け 別語に芝切り。土地の最初の居住者。
■ クテ 漢字表記に湫、久手。「湿地」を意味する。
■ 経由地 発祥後に一時居住した土地。同名の地名のものを特に記述する。
■ 小字 『角川日本地名大辞典』では小字の一覧を掲載している。未収録もあり、北海道、新潟県、愛知県、大阪府、兵庫県、奈良県、福岡県に関しては記載がない。ない地域のものでは『愛知県地名集覧』(日本地名学研究所、1969)、『兵庫県小字名集』、『稿本明治前期福岡県町村字名分類索引』といったものがある。
■ 郷 郡の下の行政単位。後には村を合わせたものの呼称となった。
■ コウゲ 「草地」。漢字表記に「高下」、「郡家」。広島県、岡山県、鳥取県に分布。
■ 合略 「ごうりゃく」。複合姓と略姓の合成。英語名は composite and abbreviation names とする。全体での推定の比率は約1%。含む概念。複合姓、略姓。
■ コガ 「空き地」。漢字表記に「古賀」、「古閑」。
■ ゴカン 「空き地」。漢字表記に「後閑」。
■ 個人名 英語名に given names がある。含む概念。諱名、父称、法名、天皇。全体での推定の比率は約1%。E.C.Smith によるアメリカにおける上位7,000姓の分類では32.23%。デンマークでの上位100姓では64%。日本で個人名起源が多い地域は広島県、山口県がある。
■ 古墳時代 3世紀から6世紀。
■ ※ 「こめじるし」。現在との系譜関係が不明で別起源として項目を設けない場合に記す。同名地名に分布がある場合に関しても記述する。
■ コリア系 コリアは大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国の総称として使用する。戸籍名か通称名か不明の場合もあり、全体をコリア系として扱う。在日アメリカンではなく在日アメリカ人とするのと同様に在日コリアンではなく在日コリア人と呼称する。
■ サク 「山が迫って狭い土地」。漢字表記に「作」。千葉県、茨城県に多い。
■ サコ 「山が迫って狭い土地」。漢字表記に「迫」、「峪」、「窄」ほか。広島県、鹿児島県に多い。
■ 地下家 「じげけ」。朝廷につかえていた下級官人。
■ シナ 地名用語。漢字表記に科、品。「傾斜地」を意味する。
■ シナ音 北京での発音。
■ シナ系 シナは言語学用語でのシナ・チベット語族のシナ。ソ連語よりロシア語が適切なように中国語ではなくシナ語とする。
■ 職業 英語名に occupational names がある。全体での推定の比率は約5%。E.C.Smith によるアメリカにおける上位7,000姓の分類では15.16%。ドイツでの上位100姓では49%。含む概念。屋号、門名(かどな、屋号の別名)、家名(いえな、屋号の別名)、部民、官職、役職、カバネ、芸名、僧侶、神主。日本で職業起源が多い地域は秋田県、大阪府南部、山口県、長崎県がある。
■ 事物 英語名に object names がある。全体での推定の比率は約2%。含む概念。建造物、器物、動物、植物、自然現象。
■ 荘 別の漢字表記に庄。
■ 条 ①条里制での東西の列。②条坊制での東西の街路。
■ スカ 漢字表記に須賀。
■ 宿禰 八色の姓での第三位の姓(カバネ)。
■ 村主 「すぐり」。姓(カバネ)。現代の姓としてもある。
■ セコ サコの類語。三重県では「狭い土地」を意味する。
■ 戦国時代 1493年から1573年。
■ 創賜 「そうし」。創姓と賜姓の合成。「その他」に当たる語。含む概念。地名・地形・職業・事物・個人名・合略に該当しない創姓・賜姓。貰姓、門割制度、誤記。英語名は creation and bestowing names とする。全体での推定の比率は約1%~約5%。E.C.Smith によるアメリカにおける上位7,000姓の綽名(nicknames)の割合は9.48%。日本では他人が与えたもののごくわずかに綽名が対応する。
■ 創氏改名
■ 僧侶 別語に住職。僧侶は寺を移ることもあり、複数の寺を記載している場合もある。僧侶の明治新姓で発生した姓は約2,000個と推定している。
■ ソネ 漢字表記に曽根。「砂地」を意味する。
■ 台湾系 中華人民共和国とは別として扱う。
■ 地形 英語名に topographic names がある。日本全体での推定の比率は約5%。含む概念。方位。日本で地形起源が多い地域は、石川県、奈良県、和歌山県がある。
■ 地名 英語名に place names, habitation names がある。日本全体での推定の比率は約85%。E.C.Smith によるアメリカにおける上位7,000姓の分類では43.13%。『群馬・埼玉両県の苗字悉皆調査 中利根川流域文化・生活圏基礎調査』では、地名が起源の姓の割合として『日本霊異記』では73.3%、『新撰姓氏録』では69%、『吾妻鏡』では84.8%、『寛永諸家系図伝』、『寛政重修諸家譜』ほかで83.0%としている。日本で地名起源が多い地域は、青森県東部、岩手県北部、鹿児島県、沖縄県がある。大半が地名起源なので分類の記述は省略する。
■ 通字 「つうじ・とおりじ」。個人名に代々使用する文字。
■ 通名 在日外国人が使用する通称での姓名。姓の部分に関して記述する。
■ 通用 前後関係が不明で共に用いる場合での語。
■ 伝承 伝承は場所によって異なる場合がある。口碑のみでなく文書としてある場合もあり、取捨選択の基準としては、伝承地と伝承の示す年代の具体性がある。
■ 同音異字 音は同じでも字が異なるもの。語源では漢字ではなく音を重視する。
■ 同字異音
■ ナゴ 「ミョウシ」ともいい中世からの名田経営者の隷従百姓の呼称。地名用語としての解釈としては「小平地」、「砂地」、「波の静かな入り海」がある。
■ 奈良時代 710年から794年。
■ 南北朝時代 1336年から1392年。
■ ニタ 「低湿地」を意味する語。
■ 発祥 姓と同じか一部を含む地名から起こったものに関して使用する。
■ ハバ 東日本で「ガケ」を意味する地名用語。
■ 藩 江戸時代に大名の支配した領域。
■ 平安時代 794年から1185年。
■ ベップ 漢字表記に「別府」。荘園で税を別の扱いにしたことを意味する語。
■ 付近 地名の範囲が限定できない場合に使用する。
■ フケ 漢字表記に「福家」など。「低湿地」。
■ 史 「ふひと」。姓(カバネ)。
■ ホラ 漢字表記に「洞」。姓氏、地名ともに岐阜県に多い。
■ 本貫
■ 本拠 集住地域。稀姓、僅姓の場合は電話帳での登録が5件以上同地名にある場合を基準とする。
■ 本姓 「現在の姓を称する前の姓」という意味で使用する。
■ 真人 八色の姓での第一位の姓(カバネ)。
■ 御厨 神社に供える供物を調達する土地。
■ 造 「みやつこ」。姓(カバネ)。
■ 武蔵七党 「むさししちとう」。武蔵国付近を平安時代以降に拠点とした武士団。
■ ムタ 漢字表記に牟田。「湿地」を意味する。
■ ムラ 漢字表記に村、邑、邨。
■ 連 姓(カバネ)。八色の姓では第七位。 
■ ムレ 漢字表記に牟礼。ムラの類語。
■ ムロ 漢字表記に室、牟婁。ムラの類語。
■ 室町時代 1336年から1573年。
■ 明治新姓 一度称して断絶した後に新たに称したものも含む。既存の姓があっても明治に新たに創姓した場合はある。おおよその推定では日本の姓を十万とした場合で江戸時代からあったものが三万、明治新姓が七万。人口での比率では江戸時代からあったものが九で明治新姓が一と推定。
■ モロ 漢字表記に諸、茂呂、毛呂。ムラの類語。
■ 屋敷 ①事物。建造物の家から。②創賜。鹿児島藩での門割制度で門より小規模なものの呼称。規模が大きくなると門となる場合もあった。
■ ヤチ 日本・アイヌ共通語で「湿地」を意味する。ヤツもあり。推定の古音はヤト。
■ 琉球王国時代 1429年から1879年。
■ 琉球形 異形の中での沖縄県における語形。