感動する脳
感動する脳
posted with amazlet on 07.05.21
茂木 健一郎
PHP研究所 (2007/03/17)
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ニュートンもダーウィンもアインシュタインだって感動した

ニュートンはペストが流行したときにロンドンの郊外でりんごが木から落ちるのを見た。ダーウィンは大学卒業後仕事がなくたまたま知り合いのつてで船に乗りフリーターとして世界を5年間旅しガラパゴス諸島で不思議な動物を見た。アインシュタインも大学卒業後研究者として大学で働くことができず、仕方なく特許局で働いている間に思索に励んだ…。

彼らに共通している点は?そう、スケジュールの空白期間で突拍子もないものに遭遇し、感動したということ。イギリスにはギャップ・イヤーというものがあり、高校卒業後や大学卒業後にどこにも所属せず、見聞を広める期間を持つことが社会的に認められている。これも創造性を刺激し感動を促進することに役に立っているだろう。

感動をするためにはそれを受け入れる容量を確保していることが必要だ。

セレンピディティという言葉があるらしい。これは日本語に訳すと「思わぬ幸運に偶然出会う能力」となる。問題解決の方法は案外自分以外のところにあったりする。外から勝手にやってくる。だから、うまくいかないときには考え込まず新しいものに触れると解決したりする。

その他、エッセイなので感動とそれに関連する創造性についてさまざまな視点から語られている。その中で僕が一番関心を持って共感したのは、脳が感動するためにはそのために容量を確保しておくことが必要だということだ。これは本文には書いていず僕の解釈なのだが、毎日決まったスケジュールをこなしているだけでは感動は得がたい。やはり、何もしない一日だとか趣味に没頭する一日だとか、冒険だとか、創造性を働かせ脳を自由に開放したところに感動があるという気がする。

僕は有名なマニラ湾の夕日に感動したことがある。「有名だし感動するだろうな」という姑息な予感を持ち夕暮れを待った。そのとき、僕が何をしたかというと実際には何もしなかった。ただ単に待ち続けていた。しかし、そのときに脳は自由に活発に活動していたんだと思う。普段空をぼーっと見続けることなんてなかったから。

じーっと空を見ていると、その色の豊富さに僕は心底圧倒させられた。そのときに思ったのは工業的に作られた色の何億倍の容量を自然は持っているんだろう!ということだった。毎秒毎秒空の色が変わっていく。そのあふれんばかりの豊穣に僕は打ちのめされたのだった。

 

感動は人間が獲得してきた複雑な脳の機能の複合的な働きだ。より学習し何かに対し意欲を持つことにより感動の機会も増え、それがさらなる感動を呼ぶ。脳の成長には寿命を向かえ死ぬこと以外に限界はない。常に脳を自由に働かせる機会を確保し、感動していきたいと思った。