ただのサラリーマンの雑記

日々の生活の中から、思うことをただ思うままに語るブログ。読書や社会情勢など一般的な内容から、地球惑星科学や天文学のやや専門的な話までを語ります。

トランプとそれを取り巻く報道と断絶

Twitterを見ているとトランプの特定国籍の入国拒否や気候変動関係者に対する事実上の検閲措置など、悪い意味での話題には事欠かないのだが、声をあげるか否かは別にして、非難しているその人達が属するクラスタというか、人付き合いというか、情報付き合いというか、そういうのはコアなトランプ支持層と重なっているのだろうか、ヒラリー支持層と被ってやしないだろうか、という点がちょっと気になっている。

もうちょっと言うのであれば、トランプの想定される支持層のペルソナが日常触れる情報源の中で、今回の件にどれだけ触れているのか、あるいはそれを問題と思っているのかというのが見えてこない点に非常に空恐ろしいものを感じた。つまり自分の情報源もまた「こちら側」にしかなくて、一般的なニュースを見ているだけでは「あちら側」の考えや関心はさっぱりわからない程度には断絶が進んでしまっているのかもしれない、という恐ろしさ。加えて言うのであれば、トランプ支持層がポリコレを気にして発言を公にしないのは十分考えられる話であって、その意味で民意を通常のニュースで伺い知ることはほとんどできなくなっているのかもしれない。

現時点で上がっている問題点は今の所行政上の話に尽きるので、話の筋としては「こちら側」の人達が法の趣旨と精神に則って適切に対処してくれることを文字通り願うしかない。が、怖いなと思っているのは現状の大統領令の出し方とその後の混乱をどの程度綿密に練った上でやっているのか、という点。権限を持つものから計画的に混乱を起こした場合には、比較的押さえるポイントは見えやすくなり、かつシナリオの見通しも対処する側と比較すれば遥かに描きやすいだろう。
であるとすると、最初の大統領令が出たその時から戦いの幕は上がっていると見た方が良いのかもしれない。


昨年の夏にセントルイスを訪れた際に見た中心部の寂れよう、空港で見たVote Trumpと書かれたチョコレートから感じたこのモヤモヤが、杞憂に終われば良いのだけど。

日本の地方にも通じるものがあるし、世界中のどこにでもある話なのだと思うのだが、テーマ的には情報化と人口の密集が行き着いた先がこの情報差なのかもしれない。

ビジネス上の創造性と小説

新規ビジネスを考えていく上で、特に全く新しいサービスを考えようとした場合には演繹的に導くのは多分無理で、仮定に仮定を重ねた、不連続な・非線形的なモデルからロジックを立てて構築する必要があるもんだな、と感じている。

当然色々な事例が援用できないかと、様々なビジネス構造や事例を見聞きしたりするのだけれども、全く違う世界を垣間見るという意味ではSF小説や、現実と全く違う世界観を表現している小説を読むのは、自分の中で世界観/未来観を構築していく上でとても良い刺激になっているなぁと思う。
SFであれば幼年期の終わりやハイペリオン、1984、通常の小説であれば村上春樹の長編(特に1Q84、ダンスダンスダンス、ねじまき鳥のクロニクルなど)は独特な世界観を持っていて、どういう頭をしているとこう言う作品が作れるのだろうか、と不思議に思う。

こういった自分の中で世界観を構築する能力はなかなか身につけられないのだが、きっかけとなる技術やサービスがあった時にどうなるのかを想像し、発展させる、その能力が一番発揮できるのは小説家/漫画家なのかなぁという想像がある。世界観を構築するという意味では絵画やインスタレーションを始めとした芸術家も同様だと思うが、こちらはちょっと現実世界からは遠いような気もする。

私企業が社会学者や経済学者を採用して世の中の動きを研究するように、様々な企業がデータサイエンティストと称した人を大量に雇用してデータマイニングをさせているように、新しい事業に対してビジネスプランナーのごとく、小説家のような芸術家を雇用し、未来を想像させる、そういう職もアリじゃないか、と思うのだが、それは少し妄想が進み過ぎているのだろうか。
ある仮定を発展させた未来のイメージをある種のプロにいくつも出してもらった上で、その未来の妥当性・将来性を図り、それを一つの青写真として実際にプロジェクトを遂行できたら、それはきっと楽しいだろうなぁ。

そういう可能性のある未来で、自分は生きたい。

公共の利益と私企業の利益

ビジネス系の本かな、と思って買ったらいわゆる環境ビジネス啓発本だったThe Big Pivotを枕に。

内容的には国連の組織であるUNDPが積極的に進めているSDGs(Sustainable Development Goals)の理念に非常に沿った内容で、地球環境を守ることを考えつつ、ビジネスを遂行しよう、それでも利益は出るよ、という類の話を延々としているような本だった。
あとがきにもあるが、学術的な本ではないし、各事例を深く掘り下げているわけでもないので、好きな人にはいいかもしれないが、個人的には人を動かすための動機付けやロジックがもう一つではないか、という印象を受けた。


それはそれとして。
公共の利益と私企業の利益、何をどこまで優先すべきか、という点は時代とともに移り変わっているため、この種の日本でいうCSR的な話がビジネス上の優先順位として上位に上がってくる可能性は十分にあることは念頭に置いた方が良いだろうな、というのは「食品偽装の歴史」などを読んでいて感じたこととも重なる。
ざっと要約すると食品偽装の歴史には以下のようなことが書かれていた。
産業革命期のロンドンでは見た目が綺麗になる「致死性の毒物」が添加された食品が堂々と販売されており、それを食べた子供を含む多数の死者が出て訴訟にもなった。しかし裁判所の判決は「(市場の)自由に反するため、制限は行わない」という結果が出るほどであったという。もちろん時間と共に安全性その他もろもろの規制により、今ではそんなことは全くないのだが、ほんの200年ほど前はそういう状況だったという。

同様の話は労働法周りでも色々あるだろう。最低賃金や36協定、昨今の過労の問題から発展している世間の風向きも同じ系統の話と言っていいだろう。

そういうことを考えると、CSR的な対策のビジネス上の優先順位が社会の風潮により変わってくる可能性は相応にあろうとは思う。ただ本書にも書かれていたことだが、気候変動クラスになってきた場合には、被害が出るまでのタイムラグに加え、被害者と加害者の地理的関係もまちまちであるために、コンセンサスを得ることの困難さは色々とあるだろうなぁという印象を受ける。結果として本書でもあるような、エネルギーや投入資源の節約という意味でのコストカットや結果的にLCA(Life Cycle Assessment)的には全く意味のないような「エコ商品」であっても販売上のマーケティングに派手に利用するという解が現状での解になっているんだろう。そもそも地球環境という括りであれば途上国でのDDT利用を始め、優先順位のつけ方によっては全く結論が変わってくるのだから、そこのポリシーもしっかりと持って、というとなかなか大変でもある。


個人的には技術の未来には楽観的で、環境問題関係については向こう80年くらいを乗り切れれば逃げ切れるのでは、という印象を持っている(世界的に人口が減り続けるため)。ただCO2に関しては向こう80年の間にいわゆる氷が消滅するS字カーブのPoint of no returnを超えずに留まれるか、と言われると達成できるの?という思いは抱かざるをえない。

ここでの大きな変化は一つのビジネスチャンスである、と言われると素直にそうだね!と返したくもなるが、基本的に全体のパイが縮小する方向の変化(土地、水資源、将来的には人口も)でのビジネスチャンスということを思うと、素直に期待できないところがあるのはなんだか悲しいものがある。


1人1人のわずかな努力という類の話は大嫌いなのだが、技術革新で解決することを勝手に期待するのも無責任である。そういう中では多少なりとも自分が関わっているビジネスの中で、その解決の糸口を探していく、そういう発想の方が自分としては肌があっているかな。

2016年に読んだ本、2017年に積み残した本

2016年に読んだ(読み終わった)本をまとめてみると以下のような感じだった。
1. アラビアの夜の種族(古川日出男)
2. イノベーションのジレンマ(クレイトン・クリステンセン)
3. 鋼鉄都市(アイザック・アシモフ)
4. キャズム2(ジェフリー・ムーア)
5. 家畜人ヤプー(沼正三)
6. 春の雪(三島由紀夫)
7. 月は無慈悲な夜の女王(ロバート・A・ハインライン)
8. 細雪(谷崎潤一郎)
9. ガダラの豚(中島らも)
10. イスラーム国(アブドルバーリ・アトワーン)
11. 激安食品の落とし穴(山本謙治)
12. 1973年のピンボール(村上春樹)
13. スプートニクの恋人(村上春樹)
14. 貧困の終焉(ジェフリー・サックス)
15. イーロン・マスク未来を創る男(アシュリー・バンス)
16. コーランには本当は何が書かれていたか(カーラ・パワー)
17. 中国グローバル化の深層(デイビッド・シャンボー)
18. コーラン(井筒俊彦訳)
19. 食糧と人類(ルース・ドフリース)
20. ビジネス・フォー・パンク(ジェームズ・ワット)
21. 住友銀行秘史(國重惇史)
22. メタモルフォシス(羽田圭介)
23. なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか(若宮健)
24. 人工知能のための哲学塾(三宅陽一郎)
25. 卍(谷崎潤一郎)
26. 第四間氷期(安部公房)
27. 怪人二十面相(江戸川乱歩)
28. 夢の浮橋(谷崎潤一郎)
29. 江戸川乱歩名作選(江戸川乱歩)
30. The Big Pivot(アンドリュー・S・ウィンストン)
31. タイタンの妖女(カート・ヴォネガットJr.)
32. ハイペリオン(ダン・シモンズ)
33. 華氏 451度(レイ・ブラッドベリ)
34. 堕落論(坂口安吾)
35. ハイペリオンの没落(ダン・シモンズ)
36. エンディミオン(ダン・シモンズ)
37. エンディミオンの覚醒(ダン・シモンズ)

37作49冊だった。50冊じゃなかった・・
2017年に入って「最後の秘境東京藝大(二宮敦人)」を読了。これで50冊。
この中でエンタメとして面白かったのはハイペリオン(シリーズ)、アラビアの夜の種族、第四間氷期あたり。知的好奇心的な意味では「宇宙開発と国際政治」や「沖縄返還と日米安保体制」ほど知的好奇心をそそられる本は正直なかったが、あえて言えば食糧と人類、中国グローバル化の深層、コーランには本当は何が書かれていたか?、あたり。イスラーム国も凄みはあるのだが・・いかんせん背景が複雑である。逆になんだかなぁと思ったのは21, 23、ちょっと違った意味で3, 11, 20, 30、趣味に合わなかったのは22。もうちょっと打率を上げたい。


ちなみに積ん読なのは
・ブロックチェーンの衝撃
・仏教通史
・江戸川乱歩傑作選
・われはロボット
・難民問題
・アマゾンと物流大戦争
・限界費用ゼロ社会
・会計の歴史探訪
(延々と積ん読にいる「戦略の本質」「孫氏とクラウゼヴィッツ」「なめらかな社会とその敵」「China's Space Stragegy」も加えておこうか・・)

宗教系では仏教系の本はいくつか読みたいと思っていると同時に、ユダヤ人の歴史の2周目や新約聖書系の本にもう一度手を出そうかというところ。ベンチャー・新事業系の本はまあ面白そうなものがあったら。谷崎も癇癪老人日記あたりを読んだら、解釈本と並行して谷崎源氏に手を出そうかどうしようか(訳書としては与謝野源氏を、意訳では田辺聖子訳は読んだのだが)。坂口安吾の堕落論は図書館で借りて読んだが、買ってもいいな、と思うと共に、白痴以外の著作にも興味が出てきた。
三島由紀夫の豊饒の海シリーズは残り3作も一応読んでおきたいが・・テイストが好みではないんだよなぁ。ヤプーも途中で終わっているので続きを読んでおきたいところ。SFは大方読みたいものは読んだ印象。クラークを何作かとハインラインの夏への扉あたりを読めばいいかな。

いわゆるビジネス書は相変わらず読む気はないが、もうちょっと歴史に触れられる良い本があれば読みたいな。昨年のサントリー学芸賞は今ひとつ手が伸びなかったが。

今年もなんとか読む時間を作り、知らない世界に多々触れられることを願って。

当事者の一次資料と研究者の調査

こんなの書いて良いのか、と話題になって勢いで買ってしまって、読んでしまった本。
住友銀行秘史
國重 惇史
講談社
2016-10-06



イトマン事件はほとんど知らなかったし、別に興味があったわけでもないのだが・・読んでしまった。
アマゾンのレビューにもあるが、本書の構成はかなり酷いものがある。メモを時系列に並べ、時折著者の回想が少し混じるというものだが、その回想が非常に主観的であり、ヒロイズムに酔っている感覚を覚えるのが大層気持ちが悪かった(著者はもう70歳になる)。
全てがわかるというものでもなく、当事者の1次資料という域は出ないものの、その分臨場感はあるのかな、という印象を受ける。
今で言えばコンプライアンスのコの字もないし、著者は一体何仕事をしていたのかとさえ聞きたくなってしまうのは時代の変遷なんだろうな。


書き方としてこれと非常に対照的だと思ったのが日米安保と沖縄返還で、あれは膨大な開示資料と関係者へのヒアリングを通じて、関係ややりとりを解きほぐし、それを丁寧にまとめたものと比べると、ただの一次資料のメモを出しっ放しというのは随分な違いだが、それぞれを読み比べられるということ自体、一読者としてはあまり経験しないことなので、その点では良いのかな、という気がした。

本書の内容に戻ると、著者はメモを通じて当時全ての事態を理解していたのは自分だけであるように書かれているが、本書を通して読んだ後でもこの著者が全てを把握していたとはとても思えず、また著者が意図的に残していない事項(本書でいうY氏ー山下彰則氏)も多々あろうと思うと、あまりこの本を信用していいもんなんだろうか、という気分にもなる。
書かれている内容がどうか、というよりもややこしい事態に直面し、状況を整理していると、自分の全能感というか「全てを判っている」感を持ってしまうのは理解はできるものの、外から見るとこういう風に見えるのね、とわかったのは良かったような、痛々しいような・・。

インサイダーも何もあったものではないが、メディアの使い方という点ではなるほど、こう使うのか、という感じもあり、その辺は参考にすることがないことを願いたいが、なるほどねぇ、という感じ。

昔話の一環、という以上のものはなかったような印象だった。
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結構適当な訪問者数。より正確を記するなら多分あと+2000ぐらい。