Namuraya Thinking Space

― 日々、考え続ける ― シンプルで、しなやかに ― 

時間というのは面白い。

一番の特徴は、誰にも平等に与えられているという点であろう。現実社会では、お金持ちの方が時間を買うことができるのかもしれないが(例えば家事代行を頼むなど)、それでも24時間をどう使うかは、個々人の自由に委ねられているように思う。

そんな中、時間を武器にするには3つの側面があるように思う。

1つ目は速度(スピード)である。つまり、いかに時間をかけずに物事をこなしていくかということ。ベンチャー企業が大企業に打ち勝ったり、若者がベテランに勝負を挑む時、スピードは大きな武器になるであろう。

2つ目は密度。これは創業当初の日本電産が実践していたことだが、大手企業が1日8時間しか働かないところ、彼らは16時間働き、成果を上げていった。結果として開発スピードが上がるのだが、単純なスピードではなく、時間の使い方を密にするという意味で、「密度」と名付けてみた。

3つ目は蓄積、言い換えるなら「濃度」といってもよかろうか。私が書き連ねてきた読書やブログが好例。時間の蓄積は、新たな参入者には絶対に真似のできない優位性を持つ。時間を遡ることはできないからだ。日本には100年企業、200年企業が多いというが、これからの日本の勝ち筋は、時間の濃度にあるのかもしれない。

ゴルフをちゃんとやろうと、駅前レッスンに通ってやり直している。道具も大事だと思い、アメリカで買った一番安いガーミンの腕時計を、最新のものに買い替えた。アメリカで買ったものでもそれなりに使えるのだが、英語版だし、電池の持ちも悪くなってきたので。

S70という、購入当時、一番よいものを選んだのだが、ゴルフだけでなく、万歩計の機能や睡眠測定、呼吸数、ストレス度、血中酸素などもモニタリングできる。

これは面白いなと思い、試しに腕時計をつけて寝てみた。どうやって測定しているのか不思議なのだが、深い睡眠、浅い睡眠、レム睡眠、覚醒、という4つのカテゴリーでグラフ化してくれる。

数ヶ月継続してみたのだが、私の睡眠時間は平均すると6時間。本当は7時間寝たいところだが、目が覚めてしまうのだ。その6時間のうち、深い睡眠やレム睡眠があわせて1時間程度確保できている翌朝は、比較的寝覚めがよい。一方で、浅い睡眠ばかりだと疲れが残ってしまう。

寝る前にお酒を飲んでしまうと良くないのかと思ったのだが、意外にお酒を飲んだ後の方が深い睡眠が取れたりするので、なかなか難しい。それでも、自分の睡眠の質を知ることができるのは大きな前進。健康維持だけでなく、仕事においても判断力を維持するために、十分で質の高い睡眠を取りたいものである。

このところ、睡眠の質がよくない。少し前までは、そのような状態が続くと、週末に寝溜めをして(本当はよくないのだが)、少しは体力が回復したように感じていたのだが、最近は週末も長時間寝られなくなった。まぁ相応に歳をとったということであろう。

そんな中、マッサージに行って血行がよくなり、疲れをより一層認識したせいか、久しぶりに10時間近く眠ることができた。やはり長時間眠ると夢を見る。

今回は、中国でタバコを吸っていたところ、警察に捕まってしまったという話。そもそもタバコは吸わないのだが。。。

警官に引き立てられ、留置所に入れられ、数日のうちに簡易裁判が終わり、刑務所に収監されてしまった。しかも、罪状は死刑だという。

それまでは、まぁ路上でタバコを吸った程度なので、数日勾留され、すぐに出てこられるだろうと高を括っていたのだが、えっ死刑?

驚いて、減刑を求める。こんなことで死んでしまうのかと、じわじわと恐怖が這い上がってくる。刑務所内の、ありとあらゆるとことに懇願するが、三日後に死刑が執行されるとのこと。

ここで目が覚めた。久しぶりに夢でよかったと胸を撫で下ろしたのだった。

「余計なことをするな」とか、「あえて余計なことをやれ」とか、ケースによって本質が異なるのはよくあること。

ふと考えたのだが、人生のステージによって、余計なことをやる方が良い場合と、やらない方がよい場合があるような気がする。

まず若い頃は、積極的に余計なことをやるべきである。余計なことをやると、失敗もするだろうし、回り道もするだろう。しかしながら、それらが人生の糧になる。

一方で、会社でのポジションが上がってくると、余計なことはしない方がよいケースが増えてくるかもしれない。上司が余計なことをやると、部下を巻き込んでしまうからだ。

ちなみに、ここで言う「余計なこと」とは、本来やらなくてもよいこと。ポジションによって見える景色は異なるので、部下にとっての余計なことであっても、上司にとっては必要なことかもしれない。そういった必要なことは、部下から「あの上司、また余計なことを、、、」陰口を叩かれても断行すべきである。

AIの学習用であろうか、アクセス数が一気に増加したのは以前エントリーした通り。

ところが、最近はアクセス数が激減しており、毎日数十件になってしまった。これはAIが私のブログからの学習を完了したということを意味しているのであろうか。

もともと個人的な備忘録のためのブログ、個人の外部記憶装置としてのブログなので、アクセス数はどうでもよい。個人的なデータベースがAIを経由してであろうと、何らかの形で世の中の役に立つのであれば嬉しい限りである。

現時点で私のブログの投稿数は5600件。この知の蓄積はなかなかのものだと思う。一方で、うまく使いこなせていないのも事実。最近のパワフルなAIを使えば、単純な検索ではなく、ブログに書き連ねてきたことから新たな示唆がもらえそう。いろんな場面で活用していきたい。

◇2694 『論点で学ぶIFRS会計基準』 >山田辰己/新世社

こちらも辞書。

会計基準を学ぶのも今更感があるのだが、私が主に学習したのはUSCPAを取得する際であり、US GAAPがメイン。当然ながら会計に関与してきた身として、IFRSの主な論点は理解しているつもりだが、本書のように体系的に勉強してこなかった。どこかでちゃんと学び直さないとと思いつつ、時間が過ぎてしまったというのが正直なところ。

本書もAIに指摘され、今更読む必要なしと切り捨てられてしまった一冊。せっかく手元にあるので、パラパラと眺めてみた。

本書に記載されている実務で使いそうな論点は、収益認識、棚卸資産、固定資産、リース、引当金、従業員給付、法人所得税、金融商品、外貨換算といった項目。私は営業事務に携わっていたことがあり、その際に収益認識や、為替リスクの関係から外貨換算については、かなり深く学んだ。また工場で経理を担当していた際には、当然ながら原価計算、棚卸資産、固定資産、リース会計に携わってきた。

このように考えると、知識の欠損部分は従業員給付や金融商品くらいであり、じゃあ勤務先がストックオプションだのデリバティブをやっているかというと、まったく関与がないのであり、それならば学ぶ必要もないだろう。

というように、実務に根ざして考えていくと、一度はきちんと勉強した内容のものばかり。あえていうならば、冒頭に記載されている概念フレームワークの部分を完全に理解しているとはいえないのだが、実務でどこまで必要か、という話である。

ざっと斜め読みしただけだが、本書も丁寧に説明されている良書のように見える。机に忍ばせておき、辞書代わりに使っていこう。



【目次】

序章 IFRS会計基準とは
  0.1 IFRS会計基準の開発及び各国におけるIFRS会計基準の使用
  0.2 IFRS会計基準の体系及び特徴

第1編 IFRS会計基準における財務諸表 総括

第1章 概念フレームワーク(前編)
  1.1 概念フレームワークの役割と構成
  1.2 一般目的財務報告の目的(概念フレームワーク第1章)
  1.3 有用な財務情報の質的特性(概念フレームワーク第2章)
  1.4 財務諸表及び報告企業(概念フレームワーク第3章)
  1.5 財務諸表の構成要素(概念フレームワーク第4章)

第2章 概念フレームワーク(後編)と公正価値測定
  2.1 認識及び認識の中止(概念フレームワーク第5章)
  2.2 測定(概念フレームワーク第6章)
  2.3 表示及び開示(概念フレームワーク第7章)
  2.4 資本及び資本維持の概念(概念フレームワーク第8章)
  2.5 公正価値測定(IFRS13)

第3章 IFRS会計基準における財務諸表の全体像
  3.1 IFRS会計基準における財務諸表
  3.2 日本基準との考え方の違いの有無
  3.3 財務諸表をめぐる論点

A Further Step Forward その1 IFRS会計基準の「初度適用」

第2編 営業活動全般に関する会計

第4章 収益認識
  4.1 IFRS会計基準における収益認識
  4.2 日本基準との考え方の違いの有無
  4.3 収益認識をめぐる論点

第5章 棚卸資産と生物資産
  5.1 IFRS会計基準における棚卸資産の会計
  5.2 IFRS会計基準における生物資産の会計
  5.3 棚卸資産,生物資産の会計をめぐる論点

第6章 固定資産
  6.1 IFRS会計基準における固定資産の会計
  6.2 固定資産会計のポイント
  6.3 日本基準との考え方の違いの有無
  6.4 固定資産会計をめぐる論点

第7章 リース
  7.1 IFRS会計基準におけるリース会計
  7.2 日本基準との考え方の違いの有無
  7.3 リース会計をめぐる論点

第8章 負債の会計〜引当金・偶発負債
  8.1 引当金及び偶発負債の会計
  8.2 日本基準との考え方の違いの有無
  8.3 引当金をめぐる論点

第9章 従業員給付と株式に基づく報酬
  9.1 IFRS会計基準における従業員給付の会計
  9.2 IFRS会計基準における株式に基づく報酬取引の会計
  9.3 日本基準との考え方の違いの有無
  9.4 従業員給付・株式に基づく報酬の会計をめぐる論点

第10章 法人所得税
  10.1 IFRS会計基準における法人所得税の会計
  10.2 日本基準との考え方の違いの有無
  10.3 法人所得税の会計をめぐる論点

第3編 金融商品と外貨換算に関する会計

第11章 金融商品
  11.1 IFRS会計基準における金融商品会計
  11.2 日本基準との考え方の違いの有無
  11.3 金融商品会計をめぐる論点

第12章 外貨換算とヘッジ会計
  12.1 IFRS会計基準における外貨換算の会計
  12.2 IFRS会計基準におけるヘッジ会計
  12.3 ヘッジ会計をめぐる論点

A Further Step Forward その2 超インフレ会計

第4編 他の企業への投資に関する会計

第13章 他の企業への投資と連結財務諸表
  13.1 IFRS会計基準における他の企業への投資の会計
  13.2 他の企業への関与及び関連当事者に関する開示
  13.3 日本基準との考え方の違いの有無
  13.4 連結財務諸表をめぐる論点

第14章 企業結合
  14.1 IFRS会計基準における企業結合の会計
  14.2 日本基準との考え方の違いの有無
  14.3 企業結合会計をめぐる論点

索引

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◇2693 『企業買収の実務プロセス(第3版)』 >木俣貴光/中央経済社

こちらも辞書代わりの一冊。

パラパラと眺めただけなので、あくまでも視覚的な印象でしかないのだが、個人的には先日紹介した『M&A実務のすべて』の方が読みやすそうだと感じている。

一方で本書は非常に実務的であり、特に会計や税務など私が関与する財務関係のポーションが充実していると感じた。

また、私が苦手とする「買収スキームの類型」が図でわかりやすく示されており、この部分だけでも熟読しておこうかと考えている。

今回、再読候補も含めて蔵書を見直したのだが、その中でM&Aに関する小説の再読候補が『企業買収』というタイトル。なんと、この著者が本書の筆者でもある木俣氏だったのだ。なんとも不思議な縁(まぁM&Aのプロが実務書も小説も書いているというだけなのだが)を感じた次第。

という訳で、『企業買収』の方を再読してみようと思っている。



【目次】

M&Aの進め方
第1部 プレM&Aフェーズ(M&A戦略の立案;ターゲット企業の選定と評価)
第2部 実行フェーズ
 フィナンシャル・アドバイザー(FA)の選定
 ターゲット企業へのアプローチと初期分析
 企業価値算定
 買収スキームの検討
 交渉
 基本合意
 デューデリジェンス(DD)
 最終契約
 クロージング
第3部 ポストM&Aフェーズ(統合準備;経営統合)
おわりに M&Aに失敗しないために

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◇2692 『M&A実務のすべて(改訂5版)』 >北地達明/日本実業出版社

辞書として使うべき本。

AIに言われて、というのは少し癪には触るのだが、積読本の整理を行なった。自分の今の役割を鑑みて、読むべき書籍を選別。速読して、何がどこに書いてあるかを把握し、必要に応じて辞書代わりに使えばよいと割り切ったのが本書である。

M&Aについては「通し」で経験したことがないため、コンプレックスのようになっており、知識を求めてしまうのであろう。しかしながら、主にアメリカ駐在中に、ある会社のDDをやったり、別の会社のPMIに携わったりと、それなりの経験は積んでいる。

今回、改めてページをパラパラと眺めていったところ、どこかで一度は見聞きしたものばかり。まったく初めて聞く単語は「ガン・ジャンピング」くらいであった。

一番苦手意識をもっているのが、ストラクチャーの部分。会社分割、吸収合併、事業譲渡といったスキームや、株式交換、現物配当などといった対価の支払スキームが、体系的に頭に入っていないのだ。しかしながら、現実的にストラクチャーを組む場合には、アドバイザーなどが当該案件に適したスキームを複数案提示してくれ、しっかりとプロコンもつけてくれるだろうから、今更全てを理解する必要はないだろうな、と割り切ることができた。

という訳で、本書は目次も索引も充実しており、辞書として使うには使い勝手が良さそうである。会社の机に忍ばせておこう。



【目次】

第1章 M&Aの場面
第2章 M&Aのプロセス
第3章 ストラクチャー
第4章 バリュエーション
第5章 デューディリジェンス
第6章 ポスト・マージャー・マネジメント
第7章 M&Aに関する法務
第8章 M&Aに関する税務
第9章 M&Aに関する会計
第10章 M&Aガバナンス

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◇2691 『ブレイクダウン』 >砂川文次/講談社

和製版『ジョン・ウィック』。

北海道の枝室(根室をモデルにした架空の地)を舞台に、二人の男が巨悪に立ち向かうというストーリー。一方はベトナム戦争を経験した猛者であり、汚職にまみれた北海道警の警官たちを次々に殺していく。果たして日本でこんなことが起こりうるのかと、リアリティのない描写に疑問を持ちつつも、圧倒的な戦闘シーンに聞き入ってしまった。

ネタバレではあるが北海道の最東端という土地柄もあり、ロシア国境付近での密漁や、麻薬犯罪は、想定できた結末。まぁやる方も、やられる方も、双方やりすぎ感満載ではあるのだが。



あらすじ:舞台は2001年、日本最東端の小さな港町・枝室。想像を絶する巨大な陰謀と最悪な戦争が待っていた―。兄を亡くした陸上自衛官の市瀬の官舎に、異相の大男・佐川が訪ねてくる。「あんたの兄弟は事故死じゃない。殺しだ」。不可解な死の謎を追う二人に次々と危険が迫り来る。元自衛官の芥川賞作家が放つ、エンタメ超大作!

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◇2690 『ファンクション7』 >相場英雄/実業之日本社文庫

さすが相場さんと言いたいところだけど、2年間も保つ電池というのはちょっと。。。

まず最初に、本書が発行されたのが2007年であることを記載しておこう。2007年の発行ということは、物語が描かれたのは2005年から06年くらい。当時はスマートフォンが出始めたばかりのころであり、携帯電話の通信方式にもさまざまな種類があったのだ。

本書は、韓国財閥と北朝鮮という政治的な側面と、韓国の大手企業(おそらく三星電子を意識して描かれている)が開発する新型携帯電話がメイントピック。北朝鮮から脱北し、一台で大手企業を気付き上げた人物と、生き別れになった妹。それ以外にも、さまざまな人物が登場する。

最後は財閥が開発した新型携帯電話が北朝鮮に救援物資として配給され、そこから革命が勃発していく。

ちょっと御都合主義的かなと思うシーンがいくつかあったのだが、当時の国際情勢や技術動向を捉えて、うまく小説に仕立て上げていると言えようか。今となってはドイツが東西に分かれていたというのは信じ難いが、韓国と北朝鮮もベルリンの壁の崩壊のような事態が、私が生きている間に起こるのであろうか。。。

印象的だったセリフを引用。

「お前さんのその不器用なところがいいんだ。変に根回しをする人間が総裁なんかやると、利害がこんがらがるからな」

狡猾な戦略ほど、些細なほころびから崩れ去る。不器用なままでよかった。


 ▼

少し前に、たまたま何かの記事を読み、北朝鮮のスマホ事情を調べてみた。本書とは関係ないが、せっかく調べた内容なので引用しておこう。

北朝鮮というと、一般市民はスマートフォンとは無縁の生活を送っているように思える。しかし実態はかなり異なる。北朝鮮でもスマートフォンは普及し、日常生活のさまざまな場面で使われている。ただし、我々が使うスマホとは決定的な違いがある。それは「外の世界につながらない」という点である。

北朝鮮の一般市民は、原則として世界のインターネットに自由にアクセスできない。その代わり、国内だけで完結するネットワークを利用する。スマホではニュースや電子書籍を読んだり、ゲームや動画を楽しんだりできるほか、モバイルバンキングや電子決済なども利用できる。タクシーの利用や商品の購入といった生活サービスもデジタル化されている。女性向けには化粧や美容に関するコンテンツ、生理周期を管理する機能なども存在する。つまり、端末だけを見れば、現代のスマートフォンと意外なほど似ているのである。

興味深いのは、北朝鮮政府がスマホを単純に禁止するのではなく、積極的に普及させながら管理している点である。便利なデジタル生活を提供する一方、利用できる情報の範囲を厳しく制限する。海外のウェブサイトやSNSを自由に見ることはできず、政府が認めていないコンテンツやアプリを利用することも難しい。

さらに端末そのものにも監視・統制の仕組みが組み込まれている。利用中の画面を自動的に記録する機能などが確認されており、利用者がどのような情報を見ていたのかを後から確認できる仕組みになっているとされる。外国から持ち込まれた動画や文書など、政府が認めていない情報の拡散を防ぐことが大きな目的である。

ここに北朝鮮のデジタル化の特徴がある。通常、スマートフォンやインターネットの普及は、個人が自由に情報へアクセスできるようになることを意味する。しかし北朝鮮では逆に、デジタル技術の発展が国家による情報管理を高度化する手段にもなっている。

「便利になること」と「自由になること」は必ずしも同じではない。北朝鮮のスマートフォンは、デジタル技術が生活を豊かにする道具であると同時に、人々をより精密に管理する道具にもなり得ることを示す、非常に興味深い事例なのである。



あらすじ:韓国に亡命し巨大企業を興したイ・スーフン。生き別れた妹との約束を守るため、北朝鮮の解放を画策する。一方、北朝鮮は最高司令官の理想を果たすため、日本の大学へテロリストを送り込み、無差別テロを断行。大田原教授は事件に巻き込まれる。北朝鮮、韓国、日本を舞台に、人々の生きざまが錯綜する社会派サスペンス。慟哭のラスト!!

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○2689 『しっぽのカルテ』 >村山由佳/集英社

久しぶりに泣いてしまった。

舞台は動物病院。前職で心に傷を負ってしまった女性が主人公。少人数の職場ながら、互いを気遣う働きやすい環境で、少しずつ自分を取り戻していく主人公。そんなところに現れた、捨て猫を拾ってきた職人の男性。

猫、犬、鳥、といろんな動物が駆け込んでくる動物病院。獣医師はちょっと変わり者だけど、一本芯が通っている好人物。個性的でいて、ちょっと優しい登場人物たちが織りなす人間ドラマが面白い。

個人的には第2話で号泣してしまった。下半身が損傷し動けなくなってしまった愛犬に安楽死を決意する飼い主。そこに至る葛藤はいかほどであったであろうか。自分の腕の中で逝ってしまった愛犬たちを思い出してしまった。

もっと書きたい感想があるはずなんだけど、今日はこのくらいで。



あらすじ:生きとし生ける、すべての命へ。愛しさあふれる感涙の動物病院ストーリー!信州の美しい木立のなかに佇む「エルザ動物クリニック」。凄腕だけれどポンコツな院長と働き者のスタッフが集うこの病院では、動物も人も、ゆっくり息を吹き返す。瀕死の野良の子猫を見捨てられなかった建築職人の青年―「天国の名前」。老犬の介護に悩む、自身も重い病を抱えた女性―「それは奇跡でなく」。夫から妻へのDVを“証言”するインコ―「幸せの青い鳥」ほか全五話。

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【再読】 『生き方』 >稲盛和夫/サンマーク出版

Audibleにアップされていたので再読。振り返ると、初読は2014.08.26のこと。改めて経営哲学のような本を読むとハッとさせられることが多い。2014年といえば中国から帰任したばかりで課長としてバリバリやっていた頃。思えば随分と歳をとってしまったものだが、立場が変わったからこそ心に響くものもある。

「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」は今でも記憶に刷り込まれている。特に考え方にはプラスマイナスがある点が、非常によく考えられている。これ以外にも「利他の心」「誰にも負けない努力」など、稲盛節満載である。

実は松下幸之助さんの『道をひらく』などもAudibleで聞いてみようと思ったのだが、なぜかうまく耳に残らなかった。ひとつひとつのエピソードが短すぎて、しっかりと耳に残らない感じがするのだ。こちらは本で再読した方がよさそう。稲盛さんの本書はエピソードも多く、耳に残りやすい。他にもラインナップがあるので、まとめて聞き直してみよう。

http://blog.livedoor.jp/namuraya/archives/52022348.html

◇2688 『狭小邸宅』 >新庄耕/集英社文庫

前から気になっていたタイトル。

というのも、私が住んでいるのがまさに「狭小住宅」だから。狭い家をテーマにした推理小説かな、などとタイトルだけで内容を測りかね、Audibleにラインアップされていたのを機に手にしてみた。

読み始めて分かったのだが、なんと不動産業界の営業をテーマにしたお仕事小説だった(あらすじを読めば一目瞭然だったのだが)。

学歴は必要なく、粘りと根性とメンタルの強さがあれば勝ち残っていける世界。そんな中、大学卒という肩書きを持つ主人公は、むしろ疎まれてしまい、結果が出せず異動の辞令まで出されてしまう。

そんな中で出会った上司は、大手商社からの転職者。プロパーが多い中、異例の出世を遂げている上司になぜか目をかけられ、営業のイロハを叩き込まれていく。そうすると成果も出始め、仕事に面白みを感じるようになるのだが。

仕事にのめり込んでいく一方で、私生活はすべて犠牲になっていく。付き合っていた彼女とも別れてしまい仕事しかない人生。

挫折した主人公が、成長していく物語かと思いきや、最後はなんとも後味が悪い作品だった。自分自身が、これほどまでに過酷な世界ではないにせよ、仕事に忙殺されており、主人公と似たような境遇に陥っている可能性あり。見たくないものを見せつけられてしまったことからくる不快感なのかもしれない。

追伸)ブログに本の表紙の画像をアップしようとしていて気づいたこと。1つめはタイトルを間違っていた。『狭小住宅』としていたが正確には『狭小邸宅』だった。修正済み。失礼しました。もう1点は、筆者について。作品初読の作家だと思っていたのだが、なんと『地面師たち』の筆者だった。



あらすじ:学歴も経験も関係ない。すべての評価はどれだけ家を売ったかだけ。大学を卒業して松尾が入社したのは不動産会社。そこは、きついノルマとプレッシャー、過酷な歩合給、挨拶がわりの暴力が日常の世界だった…。物件案内のアポも取れず、当然家なんかちっとも売れない。ついに上司に「辞めてしまえ」と通告される。松尾の葛藤する姿が共感を呼んだ話題の青春小説。第36回すばる文学賞受賞作。

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◇2687 『雨色の仔羊』 >麻見和史/講談社文庫

警視庁殺人分析班シリーズ。今回は比較的普通のストーリー。

本書では猟奇殺人的な犯人の動機やトリックを探るパターンが多かったのだが、今回は普通の推理小説だった。ちょっと凝りすぎかなと食傷気味だったので、私個人にとってはバランスのとれた作品だと感じた。

被害者であり目撃者でもある無口な少年。その少年に真摯に向き合う如月。やがて少年は如月だけに心を開いていくのだが。。。不可思議な少年の行動には理由があり、それが伏線ともなってラストに収斂していく。それなりに面白くはあったが、うーん、評価は難しい。

備忘のためのネタバレメモ。少年の父親は犯人ではなく、公安の協力者であった。内定していることが相手方に組織にバレて拘束されてしまう。少年には被害が及ばないよう、警察を信じてはいけないと口止めをする。組織というのはテロを画策する過激派だったのだが、すでに人数も減ってしまい、組織の存続をかけてテロを起こそうとしていたのだった。

シリーズものとして、毎回登場人物が同じだという安心感がある。キャラクターたちの成長が見られるのではないかとついつい手に取ってしまうのだ。シリーズはまだまだ続くようなので、空き時間に楽しんでいこう。

(読書もAudible中心で、感想を書く時間がなかなか取れなかった。しばらくはちょっと簡素な感想になるかもしれないが、私のとってブログのエントリーの濃淡や長短が生活のバロメーターなのでよしとしておきたい)



あらすじ:交番近くに置かれた不審なタオルには、血染めの文字が。ほどなく民家から血みどろの遺体が見つかり、タオルの血が絶命した男のものと判明。タオルを運んだ人物と疑われたのは、まだ九歳の子供だった。捜査を進める塔子らに謎の影が忍び寄る時、事件は急展開を見せるが。ドラマ化された人気警察シリーズの快作!

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日経新聞[2026.07.01〜07.31]私の履歴書:初代国家安全保障局長・谷内正太郎

日本の外交に関する示唆に富む内容。一部を引用しておきたい。

■外交・安全保障政策は本来、継続性と一貫性を持つべきだ。しかし、総理がくるくる代わると、その維持が難しくなる。斬新な政策も打ち出しにくい。相手国も、日本との中長期の外交関係の取り組みを控えようとする。

私は外交・安保を進めるうえで政策課題の優先課題を明確にする必要があると思っていた。そこで安倍内閣がなすべき課題を大目標、中目標、小目標に整理した考え方を示した。

安倍総理の本来の政治目標は憲法改正だが、保守の純化路線を突き進むと達成できない。柔軟性が必要であり、「ウイングを左に広げることを心がけてください」と話した。

安倍政権時代は、連立を組んでいた公明党にとりわけ気を使っていた。安保政策では公明党がOKと言えば、国会も通るという状況だった。安倍総理が前面に出る機会は少なかったが、菅義偉官房長官がパイプ役となり非常に努力された。

もう一つの大目標は、双務的で対等な日米安保体制の構築だ。日米同盟は決定的に重要だが、日米安保条約は日米双方が違った意味で片務的、不平等と考える側面がある。これも憲法改正が必要になる。それらをすぐにやろうとしても無理なので、大目標として目指すことにした。

安倍総理には第1次政権でやり残したことがあった。集団的自衛権を行使できるようにすることだ。最優先課題として、07年の辞任直前まで憲法解釈を変更するための努力を続けた。第2次政権では比較的実現しやすい中目標に据えた。
環太平洋経済連携協定(TPP)や、海洋国家のネットワークを構築し日本外交を多角化するのも中目標だ。のちの「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」につながる考えの基調となった。

小目標では、靖国神社参拝や慰安婦問題、尖閣諸島の実効支配の強化、普天間基地問題、北朝鮮の核・ミサイル問題、拉致問題、北方領土問題の解決をめざす。いずれも領土主権などにかかわる重要なテーマだが難題である。国家戦略全体からは小目標として位置付け、目に見える成果を一つ一つあげる必要がある。

当時、中国、ロシア、韓国、北朝鮮との関係悪化が著しく、近隣諸国との関係改善が急務だとの考えも伝えた。

■10年に日中の国内総生産(GDP)が逆転してから、中国政府の日本に対する態度は明らかに上から目線になっていた。

中国の伝統的な国際秩序観では、政治・文明の中心に中国がある。周辺の国々は冊封体制のもとで中国と上下の関係に立ち、朝貢貿易を通じて外交関係を維持する。この世界観や中華思想は現在の中国にも受け継がれており、米国の覇権的地位を脅かすようになるにつれて、より鮮明になった印象がある。

安倍総理が第2次政権を発足させた時、日中関係は首脳会談もできないほど悪化していた。13年12月に靖国神社を参拝し、状況は更に深刻になった。それでも総理は、台頭する中国と健全な隣国関係を取り戻すことが戦略外交の大きな課題と考えていた。

韓国とも同様である。14年1月に国家安全保障局長に就いた私は、重要な仕事の一つとして中韓両国との関係打開に取り組むことになった。

14年11月に北京で開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、首脳同士では約2年半ぶりとなる安倍総理と習近平国家主席の会談を実現すべく動いた。

私は北京で楊潔篪(ようけつち)国務委員と協議した。「首脳会談をぜひやって日中間の緊張をほぐすプロセスを進めなければならない」と伝えた。協議の翌日、日中はいわゆる4項目合意を公表した。戦略的互恵関係を引き続き発展させていくと再確認したもので、尖閣諸島など東シナ海情勢については「異なる見解」があるとの認識を示した。

これは「建設的曖昧性」を示したものと評価されている。この合意づくりには、当時の秋葉剛男国際法局長が大きな役割を果たした。

11月10日に日中首脳会談が実現した。その後も年2回ほどの頻度で首脳会談が開催された。20年春には習主席の来日を想定するまで関係は改善したものの、新型コロナウイルスの流行で実現できず、残念だった。

楊国務委員とは、19年9月に私が国家安全保障局長を辞任するまで年1、2回のペースで「ハイレベル政治対話」を日中交互に開催した。厳しいやり取りをしながらも、関係をさらに良くするために何ができるかを冷静かつ真剣に議論できた。日本側への接遇も大変丁重だった。

現在の日中関係は緊張をはらんでいる。だが中国側も現状に満足しているわけでは決してない。双方が歩み寄るべきタイミングは必ず来ると思う。そのチャンスをしっかりと捉えて、焦らず、騒がず、未来志向で対処することが肝要である。

■「歴史は繰り返さず、ただ韻を踏む」という名言がある。

今日の国際社会は、19世紀後半の帝国主義時代と「韻」を踏んでいるのかもしれない。その時代には欧米列強が植民地や勢力圏の拡大のため「仁義なき戦い」を世界各地で繰り広げた。むき出しの力による争いは、サラエボでの銃声をきっかけに誰も望まなかった第1次世界大戦へとつながった。人類が経験したことのない大惨害をもたらした。

このような韻を踏むことがあってはならない。では、これからの国際社会はどのような方向に進んでいくのか。

第一は、弱肉強食が横行する無政府状態(アナーキー)。「無極時代」とか「Gゼロ」と言われる世界は、これのマイルドな表現である。中央政府を持たない国際社会はアナーキーになる危険性を常にはらんでいる。しかし、人類はその中で消耗していくほど愚かではないと信じる。

第二は、中国が中心的位置を占める冊封体制的な国際秩序だ。今世紀半ばまでにそうなるかもしれない。しかし、中国以外の国々がそのような秩序を甘受するだろうか。

第三に、米中露による新三国志的な勢力均衡だ。新ヤルタ体制とも言われる。トランプ大統領の「G2」や習近平主席の「新型大国関係」も同じ流れの考え方である。3大国の指導者の個性には、自国中心、力の信奉、独裁的ないし権威主義的という共通点がある。3者間または3国間で力のバランスが保たれる可能性はありそうだ。しかし、国際社会の中でも求心力をもった体制になり得るか、なるとしてもいつまで続くのか。

第四に、新「自由で開かれた国際秩序」だ。トランプ大統領のアメリカが後景に退いていくことを想定しつつ、旧西側諸国やインド、グローバルサウスの有志国は、価値観を共有し、国際法やルールを守るという基本精神のもとで団結、連携を深める。

外交・安全保障はもちろん、経済安全保障、人工知能(AI)・サイバー、宇宙に至るまで広範な協力・協調を推進する。大変難しい共同作業の過程で形成される新しい国際秩序が、ベターなものと言えるのではないか。アメリカにも招待席は常に用意しておくべきだが、日本のリーダーシップへの期待は極めて大きい。

いずれにしても、日本は国際社会の中で受動的な「客体」ではなく能動的な「主体」として生きていかなければならない。それは「主要な国家」(メジャー・パワー)の一つとして、自らの価値観や座標軸をしっかり持って生き抜いていくことを意味する。国民にはその覚悟が必要だ。

その覚悟を裏付ける総合的な国力を倦(う)まず撓(たゆ)まず強化していかなければならない。歴史の鎖につながるバトンがこのような考え方とともに次世代に力強く引き継がれていくことを願っている。

神社ばかり巡っているな。。。4日目の最終日は台風一過で天気は快晴。10時前にチェックアウトを済ませて、出羽三山神社へ。五重塔が有名らしい。早く行かないと駐車場が混むとのことだったのだが、間一髪で間に合い、すぐに車を停めることができた。少し遅れていたら大渋滞であった。

出羽三山神社には2446段の階段があるそうなのだが、これを登ったら今日中に東京には帰れなくなるなと断念。麓から五重塔を見に行き、その後車で山頂を目指すことにした。

約1000年も前に建立されたという五重塔は圧巻。色が塗っていないため、自然の木の色がそのままの姿で残っている。五重塔に行き着くまでには小さな社がいくつもあり、見どころ満載。それにしてもよくもこんな森の中にこれほど立派な建物を建てたものである。先人の知恵に畏敬の念を覚えた。

五重塔を見たのちは早々に元来た道を引き返して、車で山頂に向かう。こちらはタイミングが出遅れたせいで、駐車するまでに30分ほど待つことになってしまった。車を降りて少し歩くと、大きく開かれた地に荘厳な社が聳え立つ。これまた壮観な神社であった。犬連れOKなのも嬉しく、我々以外にも数頭のワンちゃんが楽しそうに歩いているのが目に入ってきた。

次に目指すのは湯殿山神社。こちらは15:50までしか中に入れないとのことで少し急ぎ足で。駐車場からは徒歩でも行けるのだが、そうすると下山に間に合わなくなるためシャトルバスに乗るようにと指示を受ける。少し待ってバスに乗り込み、いざ山頂へ。こちらは撮影が全面的に禁止であった。

そもそも山形県は山岳信仰が根強く残っている土地柄のようだ。山全体が神様であり、皆さんが大事にしていらっしゃるのが伝わってくる。湯殿山の山頂は、その名の通り温泉が沸いており、足湯も楽しめる。お湯が流れる坂道を歩くため、靴と靴下を脱ぎ、裸足で祈祷場へと向かう。辿り着いた先はぬるっとした茶色い岩山にお湯が降り注いでいる姿。宮崎駿さんのアニメにでも出てきそうな非日常の世界。

岩山の裏手の道から神々の山に向かってお祈り。ざわざわと風が通り過ぎていき、清々しい気分に。私はさほど信心深い方ではないのだが、神社を巡っていると何かがあるような気がしてくるから不思議である。

正門が閉まってしまうからと係の方に急かされて、帰路に着く。昼過ぎには出発しようと思っていたのだが、時刻は17時過ぎ。休みなしで走っても東京まで5時間かかる距離である。途中の寒河江で高速を降り、夕食を取って(美味しい鮨屋を見つけることができた)、ガソリンを補給して、ひた走る。

不思議なことに眠くならず、約4時間、トイレ休憩をとっただけで走り切ったのだが、流石に最後の1時間で疲労困憊感が襲ってきてダウン。高速道路のパーキングに車を停めて、仮眠を取る。寝すぎると本格的に眠くなってしまうだろうと15分だけ眠ったのだが、随分と深く眠ったのであろう、おかげで頭がすっきりした。

そこからも安全運転でなんとか自宅にたどり着いた。家ではビールを一杯と、買ってきた赤ワインをいただいて就寝。久しぶりの疲労感だが、リフレッシュできて心地良くもあった。

【出羽三山神社】
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【湯殿山神社】 大半が撮影禁止区域だった
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地蔵の湯には連泊するので、3日目の朝はゆっくりと。関東地方には台風が近づいており、その影響か、山形県も雨。といっても普通の雨で、暴風雨などでは無い。旅行にきて、うまく台風を避けることができた。少し小雨になった11時ごろに宿を出て、今回の旅の一番の目的である鳥海山大物忌神社を目指す。

日本に帰ってきてから神社を巡ることが多く、御朱印もいただくようになった。たまたま見つけた神社巡りのアプリをいじっていたところ、一宮という区分があることを知る。全国に108箇所の神社があるそうだ。たまたまこれまでに訪れた神社のいくつかが一宮だったこともあり、108箇所制覇を狙ってみたいなという気持ちに。とはいえスタンプラリーのような気持ちで臨むのは不謹慎なので、しっかりと願いを込めながら巡りたいと思う。

鳥海山大物忌神社は山形県で唯一の一宮神社。宿から小一時間の距離で、山形県の最北端にある。一宮というからには大きな神社かと思いきや、とてもこじんまりした神社であった。参拝客は私の他にもう1名だけ。個人的には参拝客で溢れかえっている観光地のような神社よりも、この手の静かな佇まいの神社の方が好みである。

本殿にお参りして帰ろうかなとおもったところ、裏手に小道があるのを見つけた。そこを行くと階段がある。何だか隠された場所を発見して得をしたような気分になってしまった。裏手の方もとても荘厳な雰囲気。心が洗われる。ちなみに鳥海山大物忌神社には(1)山頂本社、(2)吹浦口之宮、(3)蕨岡口之宮、という3つの神社から成っている。最初に訪れたのが吹浦口之宮だったのだが、常時空いている社務所があるのはここだけとのこと。他の2社の御朱印も書き置きをいただいた。

その後、蕨岡口之宮へ向かったのだが、こちらは参拝客が私だけという貸切状態の贅沢なものだった。以前、雄山神社の若宮を参拝した時と同じような荘厳な空気を感じて、身が引き締まる思いであった。これほどの神社が、民家の中にポツンと取り残されたように佇んでいるのは勿体無いような気がしてしまった。

社殿から少し離れたところに山椒の木が茂っており、深呼吸をすると山椒の良い香りが鼻腔をくすぐる。この香りは一生忘れないのではなかろうか。

ここにも裏手に続く階段があり、かなり急勾配で少し躊躇したのだが、せっかくだからと登ってみることにした。結局、上方にあったのは前本殿跡とのことで、石碑が立っているだけであった。途中の山道は薄暗く、ところどころに食べ散らかした栗が落ちており、熊でも出たら怖いなと早々に引き上げることにした。

宿に戻る途中、少し遠回りをして、庄内藩校であった致道館と致道博物館へ行ってきた。博物館には、どこかから移設されたのであろうか、江戸時代や明治時代の建物が所狭しと並んでいた。西郷隆盛の南洲翁遺訓は、西郷自身が著したものではなく、旧庄内藩の旧藩士たちが、西郷の死後にその遺徳を後世に伝えるべく編纂・刊行したというのは知らなかった。新たな学び。

【鳥海山大物忌神社・吹浦口之宮】
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【鳥海山大物忌神社・蕨岡口之宮】
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【致道館】
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【致道博物館】
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【ドライブ途中でみかけた風景】
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シルバーウィークは山形県を旅してきた。私の記憶が間違っていなければ、これまでに行ったことのない未到の地である。もしかしたら経由すらしたことがないかもしれない。なぜ山形を選んだかというと、これまで行ったことがないという点に加えて、3泊4日であれば車でなんとか行ける距離では無いかと考えたから。まずは犬が泊まれる宿を確保して、あとは行き当たりばったりのフリープラン。ドライブ旅行ならではである。

前日まで仕事が忙しかったので、初日は朝から旅の準備をする羽目に。もともとは朝の9時くらいに出発したかったのだが、結局家を出たのは11時。初日は移動がメインなのでまぁ良いのだが、途中で休憩を挟みながらゆっくり走っていたら、宿にたどり着いたのは夕食が出る18時ギリギリになってしまった。

初日に宿泊したのは赤湯温泉というところ。由緒ある古い旅館なのだがリニューアルしてとても清潔で気持ちの良い旅館。温泉のお湯も源泉掛け流しで素晴らしかった。歩いて行けるところにワイナリーが二つもあり酸化防止剤無添加のワインなども購入。山形県産の葡萄を使った美味しいワインだった。

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2日目は10時にチェックアウトして、宿からほど近い熊野大社にお参り。台風が近づいているせいで今にも雨が降りそうな曇り空だったが、なんとか霧雨程度ですんでくれた。モダンな茶店があり、そこから花の鉢植えが敷き詰められた階段を登っていく。荘厳さとモダンさを併せ持つ、不思議な雰囲気の神社だった。

本殿の裏手の木彫りに兎が3羽いるそうで、これを見つけられたら幸せになると噂になっている。1羽は見つけられたが他はどうやら兎そのものではなく、兎に見えるとのことで、見つけられなかったのは残念。ちなみに、山形県はワンちゃんに優しく、多くの神社が犬連れOKのようだ。愛犬家には嬉しい限り。

その後、少し南下して米沢市へ。ここでは上杉謙信ゆかりの上杉神社を訪問。謙信公も祀られていたのだが、実際には養子の上杉景勝が初代米沢藩主であり、関ヶ原の戦いの後に転封されたものである。また明君で名高い上杉鷹山は第9代藩主。「成せば成る」が著名であり、私にも童門冬二さんの小説を読んだ記憶がある。

その後、ゆっくりと北上して地蔵の湯という宿に辿り着く。こちらのお湯もとろみがあって最高。残念ながら犬連れOKの部屋にはトイレがないのが玉に瑕であった。

【赤湯温泉の町並み】
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【山形ワインのワイナリー】
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【熊野大社】
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【上杉神社】
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日経新聞[2026.08.13]「脳疲労」を疑うべきサインとは

最近、ゴルフ用に買ったガーミンの腕時計を着けて寝るようにしている。睡眠の質を測ってくれる機能が搭載されているのだ。今まで何となく朝起きた時の調子が悪いと思っていたのだが、データを見れば一目瞭然。睡眠に関する詳細は別の記事にしてみよう。興味ある分野だったので目に留まったもの。

しっかり睡眠をとっても疲労感が抜けない、集中力が低下してネガティブになりがちといった不調の背景には、「脳疲労」が隠れていることが多い。脳疲労とは、ストレスや生活習慣の乱れなどによって脳に慢性的な炎症が生じ、本来の機能を発揮できなくなった状態を指す。医学的な診断名ではないが、単なる怠慢や老化ではなく、脳の生物学的な機能不全として引き起こされるものである。

この脳疲労のメカニズムにおいて極めて重要な役割を担うのが、脳細胞の半分を占める「グリア細胞」の一種である「アストロサイト」である。アストロサイトは血管から栄養を取り込んでニューロンへエネルギーを供給する一方、老廃物の回収や脳内環境の正常化といったメンテナンスを行っている。しかし、過度な負荷やストレスがかかるとこのメンテナンス機能が低下し、脳内に老廃物が滞留して炎症を引き起こすことにつながる。

脳は体重のわずか2%の重量でありながら基礎代謝の約20%を消費する極めてエネルギー集約的な臓器である。そのため、人間は経験則に基づく「推論(ヒューリスティック)」を用いて省エネ設計を実現しているが、疲労がたまると思考をショートカットし過ぎて認知バイアスに陥りやすくなる。さらに、歯周病や内臓脂肪といった身体の慢性的な炎症も、体内の炎症物質を増やして脳の炎症を悪化させる大きな要因となる。

こうした脳疲労や神経炎症を予防・回復させるためには、適切な休息や生活習慣の見直し、身体の炎症管理が不可欠である。近年の脳科学研究では、アストロサイトなどの活性化グリア細胞をターゲットとした治療法や創薬の開発が進められており、脳の本来の働きを取り戻すための新たなアプローチとして大きな注目を集めている。

日経新聞[2026.08.30]米の現代自EV工場で見たロボ1400体:対ヒト比率は2:1、平均の3倍超

米ジョージア州にある現代自動車のEV工場では、約1400体のロボットが稼働し、人間とロボットの比率は米自動車業界平均の「7対1」を大きく上回る「2対1」に達している。従来のベルトコンベヤーを排して自動搬送ロボットが部品を運び、傘下のボストン・ダイナミクス製四足歩行ロボットが点検作業を担うなど、人間ではなくロボットの稼動を起点とした次世代の生産レイアウトを構築している。

現代自は溶接や塗装にとどまらず、従来は自動制御が困難とされた組み立て工程の約半数の自動化を目指している。その主軸となるのが2028年までの導入を計画するヒト型ロボット「アトラス」だ。エヌビディアやグーグルとも提携を結び、自動車製造業から「フィジカルAI企業」への転換を掲げ、AIによる品質改善提案や工場管理に精通した高度人材の育成を地元大学と連携して進めている。

背景には高騰する労務費の削減要求がある。米国の自動車工場における加工・組み立ての労務費は中国の2倍に達し、労働集約型産業でのロボット導入は生産性向上に直結する。調査会社の推計によれば、2027年には世界で導入されるヒト型ロボットの2割以上を自動車産業が占める見込みだ。

一方で、急速な自動化に対する雇用不安から労働組合が反発し、韓国国内でストライキが発生するなど労使間の課題も浮上している。また、テスラのイーロン・マスクCEOが指摘するように、指示だけで自律作業をこなすヒト型ロボットの量産と実装には技術的な壁も多い。現場ではロボットを人の補佐ツールと位置づけつつ、人と機械の新たな役割分担の模索が続いている。

日経新聞[2026.09.10]中国・感知紀元、ロボット用「電子スキン」量産へ 圧力や滑りを検知

ロボット向け触覚技術を手がける中国のスタートアップ「感知紀元(SensEra)」は、エンジェルラウンドで1000万元(約2億4000万円)規模の資金調達を実施した。調達資金を試験生産ラインの建設や開発、人材採用に充て、多様な触覚情報を検知する「電子スキン」の量産を目指す。2025年末に設立された同社は、マルチモーダル電子スキンと触覚センサー、AIを統合したシステムの構築を進めている。

身体性を持つAI(エンボディードAI)の実用化において、現実世界の環境や物体を正しく認識する技術の重要性が増している。しかし視覚認識と比べて触覚認識は途上段階にあり、従来の方式では取得できるデータが圧力などに限定され、脆い物の把持や滑り検知を伴う微細な作業への対応、応答遅延などが大きな課題となっていた。

同社が開発した電子スキンは、生体模倣材料を活用して圧力、滑り、温度、質感、変形を同時に検知可能である。400%を超える伸縮率と高耐久性を備え、ロボットの指や曲面にも容易に装着できる。さらに導電性インクなどの異種材料を単一基板に集積する独自構造により干渉を抑え、ミリ秒単位での情報伝達を実現した。併せて開発した転移学習活用のAIアルゴリズムにより、未知の物体であっても硬さや質感を瞬時に推定できる。

すでに大手ヒト型ロボット企業と戦略提携を結んだほか、新エネルギー車や介護分野からも引き合いがあり、実証実験を開始している。同社は自動運転と同様に、高性能センサーの普及とデータ蓄積を通じて汎用基盤モデルを構築し、ロボット触覚分野のインフラ企業としての地位確立を狙う。

日経新聞[2026.08.03]「潜水スーツ」着用させたゴキブリ、水中で3時間活動

興味深い記事。将来的にバイオと機械は融合していくのだと感じる。例えば半導体の微細化には限界が来つつあるが、DNAを模した半導体的機能を持つものができるのではないか、など。視点は全く異なるが、自然界のものを人間が活用しようという面白い試み。面白いと手放しで喜んでよいのか、人間が悪魔の手を持ち始めたという警鐘でもあるのかもしれない。

シンガポールの南洋理工大学などの研究グループは、生きた昆虫の行動を制御する「サイボーグ昆虫」の技術を活用し、水中や低酸素環境でも活動可能にする「潜水スーツ」を開発した。実験では、マダガスカルオオゴキブリにスーツを着用させ、最大3時間の水中活動を確認している。

開発された潜水スーツは約6グラムの着脱式で、体の後部を覆う防水シェルと小型タンク、胸部の呼吸口へ酸素を送り込む4本のシリコンチューブで構成される。タンク内の二酸化マンガンを含んだ多孔質材に過酸化水素水を加えて酸素を発生させ、発生する熱は昆虫の活動に影響しないよう抑えられている。呼吸口との接続部には3Dプリンター製のパーツを用い、昆虫用の人工呼吸器として機能させている。

さらに、無線通信回路や信号発生回路、バッテリーを備えた陸上用の1グラム程度のバックパックを併用することで、触角や尾角への電気刺激による前進や左右旋回などの遠隔操作を水中でも実現した。二酸化炭素が充満する区間と水中が入り交じる狭小なトンネル内でも、十分な移動性能が発揮されることが確かめられている。

サイボーグ昆虫は、昆虫本来の筋肉や神経系を移動に利用するため、小型ロボットに比べて消費電力が少なく低コストで開発できる利点がある。すでに2025年3月のミャンマー地震の現地捜索で陸上型が初活用されていたが、水たまりや浸水空間が多い災害現場のニーズに対応するため水陸両用化が模索されてきた。

今後はカメラや無線通信回路などを一体化した改良型スーツの開発が進められ、2〜3年での実用化が視野に入れられている。100体程度を野放しにして自由探索させつつ必要なエリアでは電気信号で制御する運用が想定されており、水中のインフラ点検や災害時の人命救助などへの活用が期待されている。


日経新聞[2026.09.03]昆虫×機械、融合で災害の「救助隊」に

昆虫の優れた感覚や環境適応能力を災害救助に生かす研究が進んでおり、大阪大学はゴキブリの体内情報をAIで読み取って危険を察知する技術を開発した。電極やセンサーを装着した「サイボーグ昆虫」は、人間やロボットが入り込めない崩壊した建物や地下空間などの現場で新たな救助隊として期待されている。

従来のサイボーグとは異なり、大阪大学の研究チームは心拍や神経信号、体の動きなどの体内情報をAIが解析し、昆虫の反応から周囲の環境を93%の精度で識別するシステムを開発した。紫外線や化学物質、高温などの危険な状況を察知して回避する操作が可能となる。

さらに、水たまりや浸水空間での活動に向けた研究も進む。早稲田大学などとの共同研究では、気門から直接酸素を供給する約6グラムの潜水スーツが開発され、マダガスカルオオゴキブリが最大3時間の水中活動を行えることが実証された。酸素の薄い環境や有毒環境での投入を想定した水陸両用の実用化が進められている。

昆虫の知覚を活用する動きはサイボーグだけに留まらない。信州大学では、メスのフェロモンを高感度で検出する蛾の触角をドローンに搭載する研究が進められている。寒天ゲルで保護することでセンサーの寿命を大幅に延ばし、今後は人間の匂いに反応する蚊の触角を用いた応用など、次世代の災害対応技術として実用化への期待が高まっている。

日経新聞[2026.08.20]mRNAがんワクチン、治療の新たな選択肢にも

記事だけ読むと何が画期的なのかがよく理解できなかったのだが、石原純さんの解説を読んでなるほどと納得。石原さんの説明は以下の通りである。

1)今まではがんに対するワクチンができるとはサイエンスフィクションの世界でした。モデルナが2020年にmRNAワクチンで新型コロナの予防で革命を起こしたように、今回も革命的なガンの治療法になり得ます。

2)イギリス政府など各国政府が、医療費の削減を目指しています。手術後の患者検体の遺伝子を読み込み、各人に合ったネオアンチジェンmRNAワクチンで再発を防ぐというシンプルなメソッドは再発予防だけでなく、医療費の削減に繋がり得ます。

3)mRNAワクチンは、従来のワクチンと比べて高齢者にもよく効くので、がん患者の適用が広そうです。

米モデルナと米メルクは、メッセンジャーRNA(mRNA)技術を活用した「がんワクチン」について、皮膚がんの一種である悪性黒色腫(メラノーマ)を対象とした第3相臨床試験で有効性を確認したと発表した。メルクのがん免疫薬「キイトルーダ」とmRNAワクチンを併用投与したところ、単独投与と比較してがんが再発せずに生存する期間が延長した。患者自身の免疫力を高める新たな治療の選択肢として、がん治療の転換点となることが期待されている。

本ワクチンは、患者のがん細胞における特有の遺伝子変異によって生じる特殊なたんぱく質「ネオアンチゲン(新生抗原)」を特定し、それを生み出すmRNAを個別に投与して免疫反応を活性化させる仕組みである。専門家からは、手術後の再発を抑える効果が示された点は大きいと評価される一方、大きな病変そのものを治療できるかは今後の検証が必要であるとの指摘もある。

モデルナは新型コロナワクチンの需要一巡に伴い業績が低迷し、2025年12月期に大幅な最終赤字を計上した経緯がある。そのため、肺がんや腎臓がんなどへの製品拡充を通じて次なる成長の柱に据える狙いだ。また、個別化されたmRNAワクチンは高齢者にも効果を発揮しやすく、再発予防による将来的な医療費削減につながる点でも各方面から注目されている。

日本国内でもがんワクチン開発の動きは活発化している。NEC子会社のNECバイオが細菌やウイルスを用いた手法で乳がんなどの治験を進めるほか、明治ホールディングス傘下のMeiji Seikaファルマが受託製造企業と連携してmRNAワクチンの開発を進めている。過去には国内製薬企業がペプチド型ワクチンの治験を断念した歴史もあるが、mRNAなどの新技術により実用化に向けた期待が再び高まっている。

日経新聞[2026.08.19]「静かな退職」どう防ぐか、心理的背景を見極め対応を

今回から、早速先日エントリーしたプロンプトを活用している。これまで要約に費やしていた時間がほぼゼロになり劇的な生産性の向上を図ることができた。一方で、これまでやってきた要約は無駄ではなかったとも思っている。例えば仕事の会議で、ダラダラと続く議論の中、ポイントはこうですよね、と要約して解を出す。こういったスキルは、長年書籍や新聞記事を要約してきたからこそなせる技ではないかと思っている。自分ができないことをAIにやらせるのではなく、自分がマスターできたことをAIにやらせる。部下に仕事を任せるのと同じ要領なのかもしれない。

さて、要約だけで終わっては勿体無い。ここにエントリーするのは、数ある記事の中でも特に気になったもの。「静かな退職」というのを初めて聞いた時には、退職届をメールなどで一方的に送りつけ、何も言わずに職場を去る人のことだと思っていた。実際に使われているのは「会社には出社していながらも、最低限の仕事しかこなさず、あたかも退職しているかのように振る舞う行為」のこと。

会社としては給料を支払続けているわけだから由々しき問題と言えるかもしれない。しかしながら、静かな退職を続けている当人も、やりたくてやっている訳ではない、ということがこの記事からは読み取れる。ただし、日本人の働き方も随分と変わってきたので、仕事は最低限でOK、プライベートの方を充実させたいという人もいるだろう。要は、当人がどのようなスタイルを望んでいるかをしっかりと汲み取り、適切・公正な処遇を考えていくしかないということであろう。

最小限の仕事しかこなさず、仕事への意欲や主体性が低下する「静かな退職」は、定時退社そのものが問題ではなく、仕事との心理的距離が広がる現象である。その背景には単一の原因ではなく、燃え尽き、学習性無力状態、退屈という複数の異なる心理的過程が存在する。

第一の経路は「燃え尽き」である。過大な仕事量や長時間労働によって心身のエネルギーが枯渇し、高い責任感や熱意を持っていても疲弊して最低限の仕事だけにしたいという心理的撤退が生じる。これは頑張り過ぎた結果の自己防衛反応といえる。

第二の経路は「学習性無力状態」である。努力しても正当に評価されず報われない状況が長く続くと、何をしても無駄であると学習してしまい、自発的な提案や成果を目指すことを自らやめてしまう無気力状態に陥る。

第三の経路は仕事への「退屈」である。刺激や挑戦がなく意味や成長を感じられない状態が続くと、注意が逸れて離職意図や心身の不調につながる。これらはすべて仕事への心理的関わりを減らす適応の結果である。

企業がこれに対処するためには一律の施策を講じるのではなく背景にある心理過程を見極める必要がある。燃え尽き型には業務量の軽減や休息を、無力状態型には頑張ったら報われる仕組みや迅速な承認を、退屈型には納得感や適切な役割の提供が求められる。

人的資本経営の課題は人材への投資額を増やすことだけではない。従業員が自律性、有能感、関係性という基本的心理欲求を満たし、主体的に能力を発揮できる職場環境を整えることにある。

情報収集の手法をAIに壁打ち相談していたところ、これ以上書籍を読み込む必要がないと言われてしまったことは先日書いた通り。正直、自分がこれまで蓄積してきたことを全否定されて気分になり、ショックだった。

しなしながらAIの返答をよく読むと、「これまで十分に読書をしてきており、積があるがゆえに、これ以上基礎の土台を組み上げる必要はなく、むしろ新たな情報を吸収する方がよい」というアドバイスであった。

AIには積読リストもアップロードしてみたのだが、確かにM&Aに関する本など、どこに何が書いてあるかを把握しておき、辞書的に使えば良いような本も含まれている。精読するならば30代の頃に済ませておくべき内容であり、今更読んでも仕方がないという結論。

という経緯で、日本に帰ってからついつい買ってしまった紙の本100冊を仕分けしていった。まずは仕事に直結するものと、教養や趣味・娯楽系に分類。そのうち、仕事に直結しており優先的に精読すべきものは15冊に絞り込むことができた。このところAudibleでしか本が読めてなかったので、この15冊は今年中に読み切れるように頑張ろう。

仕事系のうち、速読すればよさそうなものが25冊。教養として空き時間に優先的に読みたいものが15冊。残りの45冊が小説である。

教養系にはちょっと背伸びをして美術や宗教の本も含まれているのだが、AIには老後にとっておけと言われてしまった(笑)。これには反論して、趣味の読書は続けたいと宣言。せっかく苦労して生み出した時間を、またすべて仕事に投じてしまうのは愚の骨頂。本末転倒である。

先日のエントリーで記載した情報収集について、もう少し具体的に書いておきたい。

まず新聞記事について。私は日本経済新聞をスマホのアプリで読んでいる。カテゴリーやキーワードなどで自分が知りたい内容が登録できる「Myニュース」という機能を活用し、必要な記事を読んでいく。朝の通勤電車で、選択された記事のタイトルだけを眺めていき、興味のあるものを保存。1日の細切れ時間で保存した記事を斜め読み、というスタイルだった。

しかしながら、誰もが想像できる通り、保存される記事の方が、読みこなす記事よりも多く、未読の記事がどんどん溜まっていくという無限地獄に陥っていた。しかも、新聞記事はトレンドを知るためのものであり、読み込んではいけないと自覚もしていたので、結局読まない記事がどんどん貯まるという悪循環。

これを少しでも緩和しようと、AIに頼ることにした。次のようなプロンプトを作成して、記事を800文字程度に要約してもらうことにしたのだ。私の読むスピードだと、800文字は1分で読める。保存した記事のうち、最初の数行だけ読めばよいものはすぐに保存を解除、きちんと読む必要があると判断したものだけを、このプロンプトを使って要約してもらうのだ。分量としては1日に2〜3個の記事がプロンプト対象。

そのうち、さらに10〜20個のうち1個くらいが、記録に値するもの。こちらは、AI要約したものを少し加工してブログにエントリーしていたのだが、この「少し加工して」も意外と手間だったので、ついでにプロンプト化してみた。結果は良好で、プロンプトで得た結果をコピペするだけ。これまで新聞記事も30分程度かけて要約していたのが嘘のような効率化。ただし、記憶への定着度は薄いので、必要に応じて検索して読み返す必要は出てくるだろう。

以下、今回作成したプロンプトを紹介しておきたい。

■新聞記事要約のプロンプト

以下の新聞記事を、背景や論理展開が損なわれないよう【800〜1000文字程度】で要約してください。 # 条件 ・重要な事実、背景、課題、今後の展望を網羅すること ・単なる箇条書きではなく、文脈が自然につながる文章形式にすること ・文字数は800〜1000文字程度 # 記事 (ここに本文を貼り付け)

■ブログ貼り付け用のプロンプト

以下の新聞記事を、背景や論理展開が損なわれないよう【800〜1000文字程度】で要約してください。
# 要件
1. 構成・内容
* 重要な事実、背景、課題、今後の展望を網羅すること。
* 単なる箇条書きではなく、文脈が自然につながる文章形式にすること。
* 文体は「だ・である調」とし、丁寧語は不要。段落間は1行空けること。
* 引用元を表す表記(URLや参照記号など)や、AIによる前置き・解説などの余計なテキストは一切含めないこと。
2. HTMLタグ指定
* 冒頭に日付とタイトルを配置し、<b> タグで太字にする(例:<b>日経新聞[yyyy.mm.dd]タイトル)。
* 要約本文全体を <FONT COLOR="#CC0000"> と </FONT> で囲み、赤文字にする。
3. 出力形式
* ブログのHTMLエディタにそのまま貼り付けられるよう、全体をコードブロック(バッククォート3つ ```)で囲んで出力すること。
# 記事 (ここに本文を貼り付け)

このところブログの更新が途絶えていた。私は時間に余裕のある時に、何本かエントリーを書き溜めておき予約投稿をしているので、前回の記事は8月末までだが、実質的には8月の中旬から筆が止まったままであった。

仕事で複数のプロジェクトに参画し、平日は打ち合わせばかり。会食もほぼ毎日入っており、家に帰ると21〜22時。お酒が入っていると帰宅後に仕事をする気にもなれず、結局、急ぎではないメールや資料を週末にまとめて読み込んでいる。日本に帰ってからずっと忙しく、週末のどちらかは資料を読む日というのが続いていたのだが、最近は1日では終わらず、ひどい時は土日の両方が潰れてしまっていた。

さすがにこれはおかしいと、平日を含めて仕事のやり方を見直すべく一念発起。以下は、AIとの壁打ちも踏まえた、私なりの生産性向上施策である。

ちなみに、今回AIの壁打ちを使ってみて一番効果があったと思えるのが、2)のメール処理と、6)の情報収集について。メールはコミュニケーションツールであり、その結果の保管場所だと考えていたのだが、「作業場」だと割り切るというアイデアは新鮮だった(そして的を射ている)。情報収集に関しては、これ以上書籍を読まなくていい(網羅的に本を読み漁らなくていい)と言ってもらえたのが新鮮だった。本を読む時間が取れないことがストレスだったのだが、基礎の土台はできているので、新聞や雑誌などで最新情報をアップデートしていけばよいとのこと。まぁ趣味としての読書は続けたいのだが。

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1)ログを取る
ログとは記録のことだが「判断と学びの部品庫」と定義している。(1)何を決めたか、なぜ決めたか、(2)何が誤算だったか、次にどうするか、(3)経営原則:今回得た普遍的な学び、を蓄積していく。事実や会議内容は対象外で、必要であればAIで検索する。説明・整理をせず、完成形を目指さない。つまりはログ作成に必要以上に時間をかけないということ。また送信メールに自分の考えや判断を書いていることが多いので、AIに発信メールから重要なポイントを抜粋してもらい、コピー&ペーストしている。本当は、毎朝5行ずつでも書く習慣が身につくとよいのだが、現状は週末にまとめて記載。まだ書き込み過ぎているところがあるので、もっと削ぎ落としてもよいだろう。

2)メールは作業場と割り切る
最近はメールの検索機能がAIによって従来以上に強力になったので、フォルダ分けの作業が不要になっている。これまでの習慣で結構細かくフォルダ分けをしていたのだが、次の6つに整理した。(1)受信ボックス:未処理のメールやタスク。(2)Taskフォルダ:すぐには終わらない自分でやるべきタスク。(3)Follow-up:他部門や部下にお願いしたタスクでフォローすべきもの。(4)Pending:当面アクションは不要だが忘れてはいけないアイテム。(5)Read-Next:週末などにまとめて読むべき急ぎではない資料。メールマガジンもここ。(6)Storage:これら以外の処理済みアイテムはすべてここ。これまではStorageアイテムを細かくフォルダ分けしてしまっていたのだが、それをやめる。またScheduleというフォルダに未確定の予定に関するメールを入れていたのだが、それらはメールではなく、スケジューラーで管理することにした。会議資料も、スケジューラーに貼り付けておくことでどこにいったか探す必要がなくなる。

3)ファイルはフォルダで整理する
メールの整理をやめた分、ファイルを構造化して整理するようにした。メールで送付されてくる資料には、作成途上のものも多いため、フォルダには基本的に完成版のみを保管していく。仕事に関することなので詳細を書くのは控えるが、(0)仕掛中:作業中のファイル、(1)重要資料:常時参照する資料、(2)業績管理、(3)役員会資料、(4)ガバナンス、(5)自部門運営、(6)他部門関連、(7)プロジェクト、(8)参照資料、という区分。何度か試行錯誤して、今の形に落ち着いている。会議資料などはダウンロードフォルダに一時保管されることが多く、以前はダウンロードフォルダが溢れかえっていた。今は読了後に既定フォルダに保管(移動)しており、ダウンロードフォルダにあるものが未読だと一目瞭然である。

4)会議はバリューの出せるものだけに出席する
最近は会議の内容を録画してくれていることが多く、またトランスクリプトをAIが加工して簡単な議事録も作成してくれるようになった。自分が発言する機会のない会議には極力出席しないようにして、後から録画を倍速で聴くか、議事録を読んで完了とする。会議が多くて困っているという話を、会社の同期にしたところ、出席したら結論を出す、宿題を出す、質問をする、アドバイス・コメントをするなど、何らかのバリューを出さないと時間の無駄になるとアドバイスしてくれた。その通りだと思い実践している。

5)資料はAIに読ませる
私の勤務先では、極秘の資料以外はAIに読ませてOKとなっている。最近は、資料のページ数がどんどん増えており、よほど重要なものではない限り、AIで要約してもらうように運用を変更した。エージェントを作成し、資料をアップロードして実行するだけで、以下の内容をサマリーしてくれるようになった。(1)議題と結論:エグゼクティブサマリー、(2)意思決定の根拠:数字・定量的インパクト、(3)想定されるリスクと対策、(4)マイルストーンや実行スケジュール、(5)想定される論点や私への示唆。これまで週末の大半は資料の読み込みに忙殺されていたので、一番生産性が上がったポイントである。

6)情報収集を限定する
会社で得る情報については、上述の通り整理できたので、残るは個人としての情報収集。ソースとして、新聞・雑誌・ネット記事・書籍・メルマガなどが挙げられる。AIとの壁打ちでもらったアドバイスが的を射ていた。つまり、(1)新聞は世の中のトレンドを見極めるためにタイトルを眺めるだけ、必要に応じて気になった記事だけを読み込む。(2)書籍については、これまでの蓄積があるので、本当に重要だと思うものを精読する。そうでないものは速読して、後から参照すればよい。(3)今の自分にいちばん価値があるのは雑誌またはネット記事。勧められたのはHBR、McKinseyのAI記事、CFO記事、これらを週末に1本ずつ、合計3本読めばよい(いや、読むべき)とのことだった。

という訳で、久しぶりに時間が取れた週末にこのようなことを考えてみた次第。情報収集については、もう少し深掘りしたいので、別エントリーを追加したい。

○2686 『ブティック』 >池井戸潤/ダイヤモンド社

久しぶりに一気読み(聴き)した小説。

池井戸さんが新作を出したのは知っていたが、タイトルの『ブティック』というのを見て、服飾関係のブティックのことだと勘違いしており、今の私には少し縁遠いかなと手を伸ばしかねていた作品。たまたま夏休みに帰省した先で、幼馴染が読み始めて面白いと言っており、Audibleのラインナップから聴いてみたところ、ブティックというのは小規模なM&Aを手がける事務所のこと。想像とはまったく違うストーリーで、一気に引き込まれてしまった。

主人公は銀行員。大手銀行に入行するも、上司の仕事に対するスタンスと自分の考えが合わず、銀行をやめてしまう。そこからの転職先がM&Aブティックだったのだ。小さいながらも、数々のM&Aに関与し、経験値を上げていく主人公。もっと色濃い成長譚かと期待したのだが、すでにある程度のスキルを持っているという設定であり、主人公の泥臭い苦労の描写が少なかったのが少し残念だった。

個人的に一番好きだったのはキッチンカーを売り込む話。金額的にも儲からない案件であり、普通であれば断るようなオファーであったが、世の中の役に立つためという大義のもと、このオファーを受ける。しかしながら、規模が小さすぎて話がなかなかまとまらない。「規模は関係ない、規模で相手を決めるようなことがあってはならない」という社長の言葉が身に沁みた。

最後の逆転劇は、池井戸さんならではの展開。しかしながら、半沢直樹シリーズのときのような単純な勧善懲悪型でないところが、現実味があって面白かった。

久しぶりに満足した読書だった。Audbleで聴き始めたのだが、続きが気になって、部屋の椅子に座って聴き入ってしまった。私の場合、Audibleは何かをしながら聴くことが多い。ながら聴きができるのが大きなメリットなのだが、聴くことに集中し、それ以外には何もしないというのは私にとってはレアケース。就寝前にタイマーをかけて、Audibleを聴きながら寝るというパターンはあったが、椅子に座ってじっくりと聴いたのは初めてではなかろうか。それほどまでに面白い内容だった。



あらすじ:「君、銀行辞めて、どうするの?」 入行3年目、エリート街道を歩んでいた雨宮秋都は、ある案件をきっかけに、理不尽な戦力外通告を受けてしまう。 退職を決意した秋都が見つけた、新たな希望とはーー?

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日経新聞[2026.07.26]地熱発電アップデート、開発進む次世代型

日本は世界有数の地熱資源量を誇るが、近年の地熱発電は苦境にある。設備の老朽化や、既存開発地における地下資源の減少・枯渇により、発電量はピーク時から2割も減少した。従来型の地熱発電はマグマで加熱された地下水や水蒸気に依存する手法であり、多額の掘削費用がかかるうえ、資源が枯渇するリスクも伴う。この状況を打破すべく、今「次世代型地熱発電」への転換が急務となっている。

国もこの動きを後押ししており、経済産業省は2026年度から30年度にかけて、次世代型の開発や試験掘削費用を支援する方針を打ち出した。

注目されるのは、高温の岩盤に配管を設置して水を循環させて熱を集める「クローズドループ」、地下で人工的につくった亀裂に水を注入して高い地熱を得る「地熱増産システム(EGS)」、従来型より深い地下にあるより高温な熱源を利用する「超臨界地熱」という3つの方式だ。

これらは従来の自然由来の水蒸気に頼らないため、資源の枯渇リスクが少なく、温泉資源への影響を抑えつつ長期間の安定した発電が期待できる。

特にクローズドループ方式においては、企業による技術開発が急速に進んでいる。東洋エンジニアリングは、既存の発電所の掘削穴を再利用可能な「同軸二重管方式」に取り組み、掘削コストの低減を図る。また、中部電力が出資するカナダのエバー・テクノロジーズは、世界で初めてマルチラテラル方式の実用化に成功した。さらに国内新興企業のジオドリームスは、特殊なドリル技術で掘削費用を大幅に抑える技術を開発中であり、各社が技術競争を加速させている。

日本が抱える世界第3位という膨大な地熱資源をいかに経済的に取り出すか。次世代型地熱発電の普及は、日本のエネルギー自給率向上に向けた大きな鍵となる。実証実験を通じて蓄積されるノウハウやコスト低減の取り組みが、地熱大国・日本の再起を導く原動力となることが期待されている。

◇2685 『5』 >佐藤正午/角川文庫

SF要素の入った恋愛小説。佐藤正午さんの真骨頂。

何とも人間関係が複雑な物語。物語の導入はとある夫婦が海外旅行に行き、旅行先で夫と見知らぬ女性(あとで判明するが石橋という名前の女性だ)が停電したエレベーターの中で手と手を合わせ、そこから不思議な関係が始まっていく、というものだが、ここに登場する人たちは主人公ではない。

主人公は第2章から登場する津田伸一という小説家。女性との刹那的な関係を持ちながら小説を書いている。過去に2回、舌禍事件を起こして干されかけたところを大御所に救われて、何とか生き残っているという状況。

と、あらすじを書き掛けたものの、とても書き切れるものではない。とにかく石橋と手と手を合わせると、石橋が持つ特殊な記憶能力が1ヶ月の効力を持って手を合わせた人に乗り移るのだ。そんな荒唐無稽な物語を最後まで読ませてしまう佐藤さんの筆力はさすが。

それにしても津田伸一の笑えないジョークが混じった受け答えの独特さには驚嘆させられる。これほどまでに皮肉な日本語を操る人物にはなかなかお目にかかれないであろう。実際にこんな人がいたら腹が立って仕方がないのだろうけど。

物語のクライマックスは「まだ会ったことのない人のことを憶えているようなんだ」という津田のセリフに収斂される。記憶が二つに割れたり、重なり合ったり、はたまた未来の記憶までが見えてしまうという縦横無尽の物語。

読了後、果たして自分は何の物語を読んでいたのだろうかと、記憶の迷子になりそうになった。

追記)感想を書きながら検索をしていて気づいたのだが、主人公の津田伸一は『鳩の撃退法』にも登場していた人物のようだ。うーん、ますます複雑な心境である。

Kindle Unlimitedで読了。気になったところをメモしておきたい。

・必ず消えるもののことを虹と呼び人の記憶と呼ぶ。

・ポイントは一般にいう記憶力にではなく、人の感情、心、心の動きの再現力にある。

・必ず冷めるもののことをスープと呼び愛と呼ぶ。

・愛の記憶と、愛は別のものだ。

・「たとえば人と人との縁の話だ。本人たちが望む望まないにかかわらず、偶然の出会いが起きる。人と人とが出会わなければ何事も始まらないから偶然出会ってしまい、かかわりを持ち、最終的には不幸にしろ幸福にしろ何らかの結末に落ち着く。そういう物語を小説に書いたとする、というかすでにたくさん書かれている」 「ご都合主義」 「予定調和とかいう言葉も一時期流行ったな。使わなきゃ損だ、みたいにみんな使った。自分の本が売れない作家が特に好んで使った。まあいい。その話もいい。とにかく僕がそういう物語を書けばご都合主義で片づけられるだろう。でも夏目漱石ならどうだ?」(中略)「人と人とが出会う運命のことをどう書くと思う、一行で」(中略)「運命は丸い池を作る」




あらすじ:「憶えてるよ」僕は正気を取り戻した。「スープも人の感情もいずれ冷めてしまうという一行だね」「本気で書いたんでしょう?」「本気だよ」「必ず冷めるもののことをスープと呼び愛と呼ぶ」「真理だ」「その真理がくつがえるんです」。洗練された筆致と息をつかせぬリーダビリティで綴られる、交錯した人間模様。愛の真理と幻想を描いた、大傑作長編。

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◇2684 『月がきれいな夜に、誰かに思い出してほしかった』 >川代紗生/サンマーク出版

ラストシーンに感動しながらも、少し違和感の残る作品だった。

電車の中吊り広告で見かけたような気がして、Audibleのラインナップから聴いてみたもの。舞台はとある小さなカフェ。雨宿りというそのカフェはマスターの離婚して離れてしまった娘がいつでも戻ってこられるようにという思いをこめて名前がつけられたもの。

主人公はそこで働くキッチン担当の女性・桃子。30歳を越え、父親からは早く結婚しろとプレッシャーを受ける日々。父親に認められたい、足りている人になりたいと、婚活アプリで知り合った男性と結婚寸前までいくのだが、婚約直前で破局。

勤務先のカフェでは「元カレ埋葬委員会」なるものが毎週金曜日に開催されており、失恋した女子の話を聞いて、思い出のレシピを桃子が再現する。それを食べて元彼のことを忘れよう(埋葬しよう)という企画。取り上げたレシピは場合によってはカフェのランチメニューにもなったりする。

自分自身の恋の埋葬を皮切りに、さまざまな埋葬を行なっていく桃子たち。この辺りは毎回ゲストが異なる設定の連続ドラマにハマりそうな構成。ラスト近くでは埋葬委員のカフェのメンバーの恋話まで埋葬してしまう。

キーワードは「法律」だろうか。巷の法律ではなく、父親だったり世間体だったり、自分が知らず知らずのうちに縛られてしまっている足枷のこと。各人が各人なりの法律(足枷)を背負っており、内心を吐露することで、その束縛から少しずつ解放されていく。

コンセプトは面白く、ラストもそれなりに感動的だったのだが、なぜか違和感が残ってしまった。その正体は何かと考えていたのだが、桃子があまりにも正直すぎる点だと思い当たった。とにかく、自分の内面の裏の裏まで曝け出してしまう桃子。しかしながら、私としては現実世界ではそこまで内心をオープンにすることはないだろうと、どこか冷めた目で見てしまうのだ。

内面を深く鋭く描いていると言えなくもないのだが、ストレートに表現するのではなく、この気持ちを匂わせるような描写ができていれば素晴らしい作品になっていたのではなかろうか。まぁこの辺りは好みの問題なのだが。。。



あらすじ:いつも、二番目。私を一番に思ってくれる人は、誰もいない。それでも私は−−ひとりぼっちじゃ、なかった。恋人に「プロポーズするなら元カノがいい」と告げられ、婚約寸前でフラれた桃子。田舎の父からも、「天国の母さんに、桃子が幸せになった姿を見せてやりたい」と言われてしまう。「私には、愛し愛されるパートナーができない。他の人はじょうずに進める人生ゲームのマスが、自分には進めない。私は、なにかが足りてない人間なんじゃないか−−」桃子が働いているのは、三軒茶屋の小さな喫茶店、「雨宿り」。ここでは、毎週金曜夜十時、“元カレごはん埋葬委員会”が開かれる。失恋相手との思い出のごはんが作れなくなった人たちが、その恋を「埋葬」するために集まる場所だ。モラハラを受けているのに、相手に好かれるように振る舞ってしまうかれん、推しが結婚してつらくても平気なふりをする美穂、二股をされても「彼以上に成長させてくれる人に会える気がしない」と悩む夏希、「初デートで牡蠣を食べようと誘われたら、脈なしってことですよね?」と思い出を語る黒田……相談者たちの失恋の話を聞き、思い出の料理をつくって共に食べるうち、桃子は気づいていく。誰かに選ばれないからといって、足りていない人間なわけではない、と。元カレごはん埋葬委員会。迷った心が帰る場所は、ここにある。“ままならない気持ち”の名手、川代紗生の新作・書き下ろしが登場!共感とおいしさのつまった、なんども読みたくなる1冊です。

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◇2683 『リバー』 >奥田英朗/集英社文庫

奥田さんのミステリーは、いつもラストが遣る瀬無い。

タイトルの『リバー』は、川辺、河川敷を意味している。河川敷に放置された全裸の女性の遺体。10年前に2体、そして現在、同じ手口の殺人が再発する。

捜査線上に浮かび上がった容疑者は3人。警察はそれぞれを行確(行動確認)対象として、見張るのだが。怪しいと思われる被疑者は一人に絞り込まれていくのだが、ラストは意外な結末。

まず、最初に怪しいとされた覚醒剤中毒の池田。10年前にも最有力の容疑者だったが証拠不十分で不起訴になっている。次に引きこもりの青年・健太郎。事件と同時刻に現場付近での走行が認められている。そして期間工のトラック運転手・刈谷。普段は温厚ながらもサイコパス的な側面を持ち後半は最有力の容疑者になる。

3人ともそれぞれのドラマを持っており、詳細に描かれていくが故に小説は長い物語になっている。途中、若干冗長だと感じたが、ラストに向けてのカタルシスのためには、これらの詳細な描写も必要だったのであろう。

以下、備忘のためのネタバレ。私自身、刈谷が十中八九犯人だと思っていたのだが、なんと1人目の殺害のみ池田だったのだ。2人目からは刈谷が池田を模倣して殺人を犯していく。動機の遠因は母親。売春などを繰り返す堕落した母を憎み、援助交際などを気軽に行なっている若い女性を殺害していく。容疑者から外れた健太郎は、過去に刈谷の犯行を目撃しており、協力者になっていたという結末。

犯人を辿っていく過程も綿密に描かれており、一級の警察小説に仕上がっている。長い物語ながらも、最後まで飽きることなく読ませる筆力はさすがであった。それにしてもラストが遣る瀬無い。



あらすじ:【上巻】群馬県桐生市と栃木県足利市を流れる渡良瀬川の河川敷で相次いで女性の死体が発見された。十年前の未解決連続殺人事件と酷似した手口に、街は騒然となる。かつての容疑者。その取り調べを担当した元刑事。娘を殺され、執念深く犯人捜しを続ける父親。若手新聞記者。犯罪心理学者。新たな容疑者たち。事件を取り巻く人々の思惑が交錯するなか、十年分の苦悩と悔恨は真実を暴き出せるのか―。

【下巻】渡良瀬川の河川敷で相次いで発生した死体遺棄事件。十年前の未解決事件の悔恨を繰り返すまいと群馬・栃木両県警は必死の捜査を続け、三人の容疑者のうち一人について事件との関連が強く疑われる事実が判明する。しかし、ほか二人の容疑者の周辺にも怪しい動きが…。容疑者の恋人、独自に動く元刑事、被害者遺族―人々の想いの果てに見える真実とは。人間の業を描く圧巻の長編犯罪小説。

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◇2682 『さよならジャバウォック』 >伊坂幸太郎/双葉社

伊坂さんらしいSFミステリー。

ジャバウォックというのはある種の寄生虫のような存在。人間の脳内に寄生し、その人を凶暴にしてしまう。取り憑いた人が死ぬと、一番近くにいる動物に移り棲む。ジャバウォックを追い出すにはある特殊な音楽が必要で。。。

こんな奇想天外な話なのだが、すっと読ませてしまうところが伊坂さんのうまいところであろう。主人公の一人である量子(りょうこ)がずっと感じている違和感。それを混乱と説明されるのだが、納得がいかない。

ジャバウォックに乗っ取られた人は歳をとるのがゆっくりになる、乗っ取られている間の記憶は消えてしまう。そんな症状も実は伏線だった。。。

冷静に考えると思い当たる節はたくさんあるのだが、そこが伊坂さんのうまいところ。ある種の叙述ミステリーともいえようか。数年経ってブログの感想を読み返した際に、結末が思い出せないことがおおいので、あえてネタバレの結末を書いておく。夫を殺してしまった量子にジャバウォックが移り棲んでおり、その間20年もが経過していたのだ。しかも途中で行動をともにするようになった破魔矢は、なんと自分の息子だった。

なるほどそうきたかと、ニヤリとさせられるトリック。普通に面白かった。



あらすじ:結婚直後の妊娠と夫の転勤。その頃から夫は別人のように冷たくなった。彼からの暴言にも耐え、息子を育ててきたが、ついに暴力をふるわれた。そして今、自宅マンションの浴室で夫が倒れている。夫は死んだ、死んでいる。私が殺したのだ。もうそろそろ息子の翔が幼稚園から帰ってくるというのに…。途方に暮れていたところ、2週間前に近所でばったり会った大学時代のサークルの後輩・桂凍朗(こごろう)が訪ねてきた。「量子さん、問題が起きていますよね? 中に入れてください」と。

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◇2681 『パーフェクトな意思決定−「決める瞬間」の思考法』 >安藤広大/ダイヤモンド社

今回もAI要約したのだが、過去の記録が残っているので、次のようなレスポンスが返ってきた。

シリーズにおける位置づけ
『リーダーの仮面』:組織を動かす「スタンス・ルール」
『数値化の鬼』:成果を出すための「数字・行動管理」
『とにかく仕組み化』:属人性をなくすための「業務の構造化」
『パーフェクトな意思決定』:迷いを断ち切り、物事を進めるための「決断の技術」

安藤氏本人が識学について語っている動画があったので、こちらも参考まで。



1)意思決定とは「捨てること(トレードオフ)」である
すべての欲張った選択や「あれもこれも」を両立させようとすることは意思決定ではない。何かを選ぶためには、明確に「何を捨てるか」を決めることが絶対条件であると説く。

2)感情や「直感」を排除し、ルールとデータで決める
個人の好き嫌い、恐怖心、過去のこだわりといった感情や、根拠のない「直感」に頼った決断はブレが生じる。前作までの「数値化」や「仕組み(基準)」をそのまま意思決定の土台に使う。

3)スピードを最優先する(完璧な決断より、早い決断)
ビジネスにおいて、時間をかけて「100点満点の答え」を探すよりも、現時点で「80点の答え」を出して実行し、違えばすぐに軌道修正する方が圧倒的に価値が高い。「迷っている時間=コスト」と捉える。

4)リスクをあらかじめ計算し、最悪の事態を想定する
「うまくいかなかったらどうしよう」と不安がるのではなく、「最悪のケースでどこまで損失が出るか」をあらかじめ数値化・限定しておく。リスクの総量がわかっていれば、恐怖心が消えてスムーズに決断できる。

5)決めたことに対して「言い訳」をしない(結果責任)
一度意思決定を下した後は、たとえ結果がどうであれ、その決断を下したリーダーや本人がすべての責任を引き受ける。他人のせいにせず、決めた後の「リカバリーの仕組み」に注力する。




【目次】

序章 なぜ、「決めること」は恐いのか?―「賛否両論」というマインドセット
第1章 「正しい意思決定」という勘違い―華麗なる「修正」
第2章 「よく考える」の正体―問題の「解像度」
第3章 自分が決めない「聖域」―情報の「ノイズ」
第4章 「勇気」としか言いようのないもの―「不確実性」再び
終章 「決めない者」の末路

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滋賀には実家の他にも親戚があり、そちらへ訪問する際に立ち寄ったのが佐久奈度神社である。

瀬織津姫が由来の神社とのことで、水の神様が祀られている。瀬田川のすぐ近くにあり、神社から眺める川面が素晴らしく、心まで洗われるかのようであった。

こぢんまりとした神社であったが、たくさんのお供物があり、地元に人々に愛されているのだなと感じることができた。

帰り道は渋滞を避けるために、湖北をぐるっと迂回。途中、期せずして最近有名になったマキノ町のメタセコイヤ並木を通ることができた。旧友との夕食の約束があり、下車してゆっくりと観光することができなかったのが残念。写真は車窓からの一枚。

【佐久奈度神社】
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【マキノ町のメタセコイヤ並木】
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最近は温泉&神社巡りに凝っており、旅先で神社にお参りするのが楽しみの一つになっている。参拝に時間のかかる大きな神社もあれば、こぢんまりとした神社もあり、趣はさまざま。それぞれに良さがあり、参拝の後は清々しい気持ちになる。

今回訪問したのは地元の多賀大社。小学生の頃、親戚の叔父に連れられて行ったきりであり、まったく記憶に残っていない。実家から高速を使えば30分ほど。母親も連れて親孝行も兼ねての参拝。

猛暑のせいだろうか、参拝客は多くなく、ゆっくりとお参りすることができた。暑かったのでかき氷をいただき、名物の糸切り餅をお土産に購入して帰路についた。

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夏休みの前半は実家に帰省。アメリカで長距離ドライブに慣れてからは自動車で帰省することが多くなった。犬もいて荷物が多いし、実家では車が必要なので電車で帰ってもレンタカーを借りることになる。途中で旅行を兼ねて一泊すれば、4時間ほどの運転で済むので、こちらの方が合理的かなと考えている。運転が辛くなったら新幹線に戻るかもしれないが。

今年は岐阜にて一泊。初日の体力のあるうちにできるだけ遠くまで運転した方がよいと思い、約4時間のドライブ。少し早めに家を出たせいか、さほどの渋滞にも巻き込まれず、まずまず順調な滑り出し。

休みに入るまでは仕事がとても忙しく、少々疲れていたので、初日は宿までのドライブのみ。少し観光をとも思ったが、あいにくの雨でもあり、体を休めることを優先した。

宿は大きな昔ながらの旅館だが、部屋を犬用に改装してくれている。外観は古いが内装はリフォームされていて綺麗だった。ジャングル風呂と名付けられた温泉が面白く、どうやら温泉に植樹をしたのではなく、もともと植物園だったところに温泉が出たようだ。少し温めの私にはちょうどよい温度のお湯でゆったりできた。ぬるぬるするお湯の感覚も肌に心地よい。

夜の食事もそれなりに美味しかった。面白かったのは、料理の中盤でデザートが出てきたこと。先にデザートができてしまったと係の人がおっしゃり、その後で蕎麦が出てきたのでこれで終わりかとおもっていたところ、さらにメインらしき魚の焼き物と煮物が登場。すでに白御飯を存分にいただいた後だったので、ちょっとペースが狂ってしまった。まぁこれもご愛嬌。

翌日は朝から一風呂浴びて、朝食をいただき、チェックアウト。昨日の雨が嘘のような晴天。恵那の町をみてみようと、恵那峡、大井ダム、岩村城下町へと足を伸ばした。

恵那峡では野生のニホンカモシカに遭遇。大井ダムは日本最古の発電用ダムだそうだ。ダムの上を向こう岸まで歩くことができて壮観だった。

岩村では、ドラマ『VIVANT』の撮影が行われたとのことで、観光客で賑わっていた。ただし、ドラマの撮影現場はごくごく一角のみのようであり、ドラマ効果がなくても、十分に訪問する価値のある風情ある街並みであった。

17時頃に観光を切り上げて滋賀の実家へ2時間ほどの運転。

【恵那峡】
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【大井ダム】
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【岩村城下町】
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◇2680 『とにかく仕組み化−人の上に立ち続けるための思考法』 >安藤広大/ダイヤモンド社

1)人に頼るな、仕組みに頼れ
「優秀な社員が辞めたら仕事が回らなくなる」「やる気がある人だけが頑張る」という組織は脆弱であると断言する。属人性を排除し、誰がやっても同じように業務が回る「仕組み(構造)」を構築することがリーダーの最大の責務。

2)「言語化」と「型化」の徹底
業務手順や判断基準が属人化している最大の原因は「言語化されていないこと」にある。暗黙知になっているノウハウをすべて言葉にし、誰もが迷わず動ける「型(マニュアル・フロー)」に落とし込む必要がある。

3)モチベーションに依存しない
「やる気を出させる」「モチベーションを高める」といったマネジメントは不確実で続かない。モチベーションが高くなくても、仕組みの中に身を置けば勝手に成果が出る状態を作るのが正しい仕組み化。

4)例外を作らず、徹底的にシンプルにする
ルールを作っても「今回は特別に…」と例外を認めると、一気に仕組みが崩壊する。誰にでも理解できるレベルまで業務をシンプルにし、例外が発生しない運用を徹底する。

5)リーダーの仕事は「仕組みを回す・改善する」こと
リーダーが現場のトラブルシューティングやプレーヤーとしての穴埋めに奔走しているうちは、仕組みが機能していない証拠。リーダーは「仕組み自体をアップデートし続けること」に集中すべきであると説く。




【目次】

第1章 正しく線を引く―「責任と権限」
第2章 本当の意味での怖い人―「危機感」
第3章 負けを認められること―「比較と平等」
第4章 神の見えざる手―「企業理念」
第5章 より大きなことを成す―「進行感」
終章 「仕組み化」のない別世界

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ログラスというITコンサル系のベンチャー企業が主催するセミナーに出席してきた。楠木建さんが登壇されるとのことで、ちょっとミーハーな気分もあったのだが、他のメンバーも豪華で驚いた。伊藤レポートの伊藤邦雄氏、経営戦略の琴坂将広氏、ファイナンスの保田隆明氏・FP&A第一人者の石橋善一郎氏・PIVOTの野嶋紗己子氏など。これだけの人たちを一堂に集められるというのはたいしたものである。

机のない席に座って、しかも少し薄暗い中で手書きでノートを取ったため、ところどころ読み取れないのだが、当時の状況を思い出しながら大事なところをメモしておきたい。

<オープニング> 布川友也氏・福山太郎氏
・AIエージェントによる圧倒的効率化と「暗黙知の解消」
・最先端のスタートアップでは人件費からAIトークンへとコスト構造が変化しており、少人数で数十億規模の運営が可能になっている。
・AIをフル活用するためには、リスクを取ってデータを開放すること、そしてAIが稼働しやすいように「ベテランの業務の言語化(暗黙知の排除)」と社内ルールの明確化を急ぐ必要がある。

<日本企業の強みとは?> ハロルド・ジョージ・メイ氏・琴坂将広氏
・「歴史と誇り」の土台を活かした、硬直化からの脱却とトップライン拡大
・世界に誇る長寿企業という強みを起点に「コト消費」へシフトし、グローバルへ踏み出すべきである。
・改革には、多すぎる組織レイヤー(階層)の削減、失敗を許容し新しい挑戦を評価する人事制度、そして自部門ではなく「全社視点で語れる人材」の抜擢とトップの決断力が不可欠である。

<FP&Aは日本に根付くのか?> 伊藤邦雄氏・石橋善一郎氏・野嶋紗己子氏
・財務と戦略の分断解消、および「管理会計主体」へのシフト
・従来のコスト削減(社内からの利益)ではなく、トップラインを伸ばすために財務と経営戦略を連動させる「FP&A」のチーム機能が事業部側に必要。
・AIの発展によりデータ処理が自動化するからこそ、同じデータからどう判断を下すかという「意味論(人間の解釈)」や多角的な掛け算スキルを持つ人材の価値が高まる。

<アシックス社の経営改革> 廣田康人氏・保田隆明氏
・ブランド価値の維持(安売りしない仕組み)と、資本コストを意識した経営
・最も難易度の高いトップアスリート市場(頂上)を掴むことで安心・安全のブランドを確立し、カテゴリー制による収支責任の明確化や直売化で粗利を確保する。
・「株主資本コスト」を引いた利益の一部を従業員に還元する仕組みを構築することで、経営者は資本コスト低減を、従業員は利益拡大を意識する「ベクトルの連動」を実現した。

<理論x味の素の実践> 水谷英一氏・楠木建氏・斉藤智明氏
・AI時代における「経営の意思(ロジック)」と「センス」のインフレ
・生成AIは将来的にインターネット同様の「日常のインフラ」となり、人間の記憶力や処理速度を凌駕する。
・だからこそ、正解のあるデータ処理はAIに任せ、正解のない「良いものと良いものの比較」から決断する経営の意思(ロジック)が重要になる。今後は「スキルのデフレ」と「センスのインフレ」が起こる。

◇2679 『数値化の鬼−「仕事ができる人」に共通する、たった1つの思考法』 >安藤広大/ダイヤモンド社

安藤氏の著書第二弾。何事も数値化しようという話。一番印象的だったのは「変数」を見極めて集中するというくだり。これはその通りだなと感心。以前から仕事をするメル上ではインパクトが大きいところに力点を置いて動くことを意識していたが、その考え方が見事に言語化されたように感じた。以下AI要約。

1)すべてを「数字」で捉える(感覚の排除)
「頑張っている」「一生懸命やっている」といった主観的・感覚的な評価や自己満足を完全に否定する。行動も結果もすべて数値化し、現在地とギャップを客観的に把握することが成長の絶対条件。

2)「行動量」の数値化から始める
最初から結果(売上など)を出すのは難しいので、まずは「架電数」「訪問数」「提案数」といったプロセス(行動量)を徹底的に数値化する。結果を変えるためには、まず自分がコントロールできる行動の量を増やすしかない。

3)「変数」を見極めて集中する
成果を出すために「どこをイジれば数値が大きく変わるのか」という変数(レバー)を見つけ出すことが重要。影響度の低い部分に時間をかけず、最も効率よく成果に直結するポイントにリソースを集中させる。

4)「できない理由」ではなく「どうすればできるか」の数式を立てる
「なぜできないのか」と精神論や言い訳を考えるのではなく、「目標達成に必要な数式(例:単価×回数=目標)」に自分の現状をあてはめ、どの数字が足りていないのかを冷静に逆算する。

5 感情を排した「淡々とした自己管理」
数値を直視することは時に自分の現実(できない自分)を見せつけられるためメンタルに負荷がかかる。しかし、そこに一喜一憂したり感情を動かしたりせず、「ただ数字を直視して淡々と改善を続ける」という冷徹なプロの姿勢が求められる。




【目次】

はじめに―いったん数字で考える思考法
序章 「数値化の鬼」とは何か
第1章 数を打つところから始まる―「行動量」の話
第2章 あなたの動きを止めるもの―「確率」の話
第3章 やるべきこと、やらなくてもいいこと―「変数」の話
第4章 過去の成功を捨て続ける―「真の変数」の話
第5章 遠くの自分から逆算する―「長い期間」の話
終章 数値化の限界

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コーチ・エィの記事より。視座を上げろとよく言われるのだが、具体的にどうやって上げたらよいものかと悩んでいる。自分の頭の中で、より大きな絵を描いてみたり、ワン・レイヤー上の目線で見てみたりと試行錯誤しているのだが、一朝一夕に身につくものではない。そんな中、この記事を読んで膝を打った。自分自身が崩壊するような価値変化を経験し、そこから覚悟を持って這い上がる。そんな過程が私には合いそうだなと思い読み進めた。AIによる要約を記載しておく。

キャリアの転機において、コーチングでよく掲げられる目標が「視座を上げる」ことである。視座の向上とは、単に上の立ち位置から物事を見るだけでなく、視野の広がりや多様な視点を取り入れ、物事を三次元的な立体として捉えられるようになる変化を指す。

視座が高まると、発言の質が大きく変化する。たとえば会社のビジョンを問われた際、当初は自社中心の視点で語られがちだが、視座が上がると「会社が社会に提供できる価値」へとシフトする。具体的には、意識の変化として以下のような特徴が現れる。

・俯瞰して全体最適で判断する
・一つの事象を何層にもわたって深く解釈する
・長期的に及ぼす影響も考慮して決断するようになる
・多くのステークホルダー(従業員・顧客・株主・パートナー・社会など)を考慮にいれて、複数の観点から問題に取り組む

こうした変化は、言葉だけで「上がった風」に演じることも可能だが、本物との違いは、自身の前提や思い込みを認識し、そこに本気で「挑戦」しているかどうかに表れる。

その変容の根幹にあるのが「ブレークダウン(崩壊)」という体験である。これは、これまで信じてきたルールや自分像が通用しなくなる瞬間だ。失敗や厳しいフィードバック、あるいはコーチからの「本当にそうなのですか」という問いによって突然訪れる。このとき、人は立ち止まり自らを問い直す“間”を手にする。居心地の悪さや痛みを伴うが、自らの思い込みに向き合い続けることが変容への入口となる。

視座は緩やかに変化するものではない。激しいブレークダウンによって既存の土台が崩れ、再構築されるたびに、高さも広さも一気に拡張される。思考の枠が壊れるからこそ、人は柔軟性と強さを手に入れる。崩れた瞬間から本当の成長は始まり、その痛みを超えた先には、今までとはまったく違う景色が広がっている。

◇2678 『リーダーの仮面−「いちプレーヤー」から「マネジャー」に頭を切り替える思考法』 >安藤広大/ダイヤモンド社

書店に平積みになっているのを何度も目にして気になっていた書籍。数回立ち読みしてパラパラと眺めてみたのだが、いわゆるノウハウ本かなと思い、買うのを躊躇っていた。今回Audibleにアップされていたので、最高倍速の3.5倍で聞いてみた。所要時間1時間。

リーダーとは仮面をかぶって役割を演じるものであり、そのためにはメンバーとの適切な距離感が必要だという主要。なるほど、確かにその通りなのだが、もう少しウェットでもよいのかなと思った。というのも、以前コーチの方に、ポジションが上がれば当然ながら依怙贔屓はよろしくないので、飲みに行くメンバーもよく考えた方がよいですよね、と聞いたところ、あなたは派閥を作るタイプの人間ではないので、自分流でこれまでどおり、カジュアルに飲み会など開いたらいいんじゃないのとアドバイスをいただいたのだ。

筆者が提唱されている「識学」という考え方は徹底する必要があるのかもしれないが、私としては自分に合うところを良いこと取りすればよいのかなと考えた。属人性を排して仕組みで組織を動かすべき、というのはその通りだし、チームが仲良しクラブになってはいけないというのもその通り。あまり難しく考えず、常識で経営すればよいのかな。人間関係に縛られて常識で経営できない会社が増えているのも実態であろうから。

以下はAI要約。

1)「個人の性格」ではなく「組織の役割(仮面)」に徹する
リーダーが好かれたり嫌われたりすることを気にする「素の自分」で接するのではなく、「リーダーという仮面」をかぶるべきであると主張する。組織の成果を最大化するために、感情をコントロールし、プロとして冷徹に機能に徹することが求められる。

2)属人性を排し、「仕組み」で組織を動かす
「優秀な個人の頑張り」や「阿吽の呼吸」といった属人的な要素に頼るマネジメントは限界がある。誰がやっても同じ結果を出せるように、言語化されたルールやプロセスを組織全体に浸透させることがリーダーの最大の仕事である。

3)メンバーとの「適切な距離感」を保つ
飲みニケーションや過度なプライベートの共有などによってメンバーと「仲良しこよし」になることは、かえって正しい評価や厳正な指導の妨げになる。お互いに心理的安全性を保ちつつも、ビジネス上の規律ある距離感を維持する。

4)「プレイングマネージャー」からの脱却
いつまでも「いちプレーヤー」の感覚を引きずったまま個人の実績を追うのではなく、マネジメント(組織を動かすこと)に完全に軸足を移す。プレー時間を減らし、管理・仕組み作りに集中する構造へシフトする。

5)5つの基本原則(位置・利益・結果・プロセス・移動)
リーダーが組織を機能させるための具体的な軸として、以下の5つのポイントを掲げる。
・位置(ポジション):組織の構造や立場を正しく理解し、基準を合わせる。
・利益(メリット):組織全体にとっての利益(大義)を優先する。
・結果(ゴール):プロセスも大事だが、最終的に「結果」が出たかどうかを厳格に評価する。
・プロセス(経過):結果を出すための行動プロセスを可視化・管理する。
・移動(変化):現状維持を嫌い、常に前進・変化し続ける。




【目次】

はじめに なぜ、「リーダーの言動」が大事なのか?
序章 リーダーの仮面をかぶるための準備―「鎖覚」の話
第1章 安心して信号を渡らせよ―「ルール」の思考法
第2章 部下とは迷わず距離をとれ―「位置」の思考法
第3章 大きなマンモスを狩りに行かせる―「利益」の思考法
第4章 褒められて伸びるタイプを生み出すな―「結果」の思考法
第5章 先頭の鳥が群れを引っ張っていく―「成長」の思考法
終章 リーダーの素顔

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半導体には興味を抱いており、本も何冊か読み込んでいる。この記事を読んで技術的には素晴らしいと思ったのだが、メモリの積層(3D)化と何が違うのか技術音痴の私には理解できなかった。ロジック系で縦実装というのが、技術的には難しいのだろうな。MITのメルマガをヒントに、AIで要約。

半導体の歴史が今、大きな転換点を迎えている。これまでコンピューターの性能向上を支えてきた「ムーアの法則(半導体の集積密度が約2年で2倍になるという経験則)」は、物理的な限界に直面していた。従来の「平面での微細化」は、サイズが数十ナノメートルにまで縮小したことで、電子が障壁をすり抜ける量子トンネル効果などの問題を引き起こし、限界を迎えていた。

この「物理の壁」を打ち破るべく、IBMが2026年6月に発表した革新的な新技術が「ナノスタック」だ。これは平面の限界を「上方向への積層」で解決する、都市の高層化のようなアプローチである。爪ほどの面積に約1000億個ものトランジスターを集積し、従来の最先端技術の2倍の密度を達成した。

この高密度化を支える核が、「CFET(相補型電界効果トランジスタ)」と呼ばれる垂直2層積層アーキテクチャーだ。別々に作ったチップを貼り合わせる従来の3D技術とは異なり、1枚のウェハー上に第1層を形成し、その上に直接第2層を構築する。さらにIBMは、第2層を「互い違い」に配置することで、極微細な世界での複雑な配線を大幅に簡素化した。これにより、従来の最先端チップと比べて処理性能は最大50%向上し、エネルギー効率は最大70%も改善するという劇的な進化を遂げた。なお、「0.7ナノメートル世代」という名称は業界の慣習によるマーケティング上の呼称であり、実際の物理寸法ではない。

この革新的な技術だが、商業的な量産化には2つの大きな障壁がある。1つは「歩留まり(良品率)の低下」だ。上下どちらかの層に欠陥があるだけでチップ全体が不良品になるため、コスト高騰のリスクがある。もう1つは「サーマルバジェット(熱予算)の管理」だ。下層の配線を熱で損傷させないよう、第2層の形成を400℃以下に抑える必要がある。

量産化や大手半導体メーカーとの連携など課題はあるものの、10年以内にこの積層チップがデータセンターへ普及すれば、爆発的に増加するAI時代の電力消費を抑える強力な切り札になるだろう。

最近は短時間の睡眠が多く、あまり夢を見なかったのだけど、週末に久しぶりにゆっくりと寝たら、変な夢を見てしまった。

飛行機の機内にいるシーンから夢は始まる。海外出張の帰りだろうか。無事日本に辿り着き、乗客がみんな飛行機から出ていくのだが、私だけ少しお待ちくださいと席に座ったまま待たされる。

その後、パイロットが出てきて、今回はVIPとして直接ご自宅までお送りします、と住所を聞かれる。自宅の住所を告げると、それではこちらにお越しくださいと、副操縦士の席に座らされる。機長が飛行機を操縦士、街中を飛んでいく。途中でビルにぶつかりそうになったり、電線にひっかかりそうになるのだが、間一髪でかわしていく。

ヒヤヒヤしながら早く自宅に着かないかなと考えていると、後ろからハイジャックが現れる。パイロットと私の2人しかいないのに、飛行機を乗っ取って意味があるのか、と思いながらも、銃を突きつけられているので逆らえない。

ハイジャックの男は、何やら興奮した面持ちで私を怒鳴りつけてくるのだが、何を言っているのかは分からない。知らない国の言葉だ。

理解していない私を見て、さらにイライラを募らせるハイジャック。銃口を眉間に突きつけられる。

パン!

と、ここで目が覚めたのだが、本当に死んだかと思った。殺される夢というのは初めて。とても怖かったし、夢でよかったと、ほっと一息。

クーリエ・ジャポンは時々面白い記事を掲載してくれる。過去には定期購読していたのだが、今はメールマガジンを受け取っているのみ。面白いと思った記事は、AIで関連記事を検索して要約してもらっている。ここに書かれている通り、情報が溢れてくると、流れてくる情報を受け流すだけの受け身の姿勢から、情報を峻別して、必要なものはむしろさらに深掘りすべく自分で情報を取りに行くような行為が必要なのだろう。

以下、AI要約。

AIという高性能な車が普及した現代において、私たちは「自分の足で走る」という不格好だが本質的な営みを忘れてはならない。米誌『アトランティック』のコラムニスト、デイヴィッド・ブルックスが指摘する「知性が豊富にあるとき、意志には価値がある」という言葉は、これからのAI格差の本質を鮮やかに突いている。

多くの人々は、AIの導入によってホワイトカラーの業務が効率化され、労働から解放されると期待した。しかし現実は真逆である。あるデジタル活動の調査によれば、AI導入後にメールや業務管理の強度は増し、邪魔されずに集中できる時間は減少したという。手軽にタスクをこなせるようになった結果、かえって個人が抱える仕事量がインフレを起こし、脳は過酷なマルチタスクで疲弊している。この認知資源の枯渇こそが、人間の「思考の放棄」と「受動的なAI依存」という悪循環を生み出す引き金となっているのだ。

この過酷な時代において、生き残る人間と淘汰される人間の分水嶺となるのは、従来の地頭の良さ(IQ)ではない。複雑な問題を深く考え抜くことを好む内発的動機、すなわち「認知欲求」のレベルである。

認知欲求が低い人は、単に考える労力を減らすためにAIを利用する。短期的には生産性が向上したように見えるが、長期的には自ら問いを立て、検証する能力が退化し、人間としての内面が「空洞化」していく。一方で、認知欲求が高い人は、AIを安易な身代わりとは見なさない。彼らはAIを「思考の壁打ち相手」として能動的に活用し、自らの限界を拡張するための道具として格闘する。

つまり、これからの時代に人間を差別化するのは「どれだけ頭が良いか」ではなく、「どれだけ精神的な努力を継続できるか」という意志の力なのだ。誰もが「そこそこの正解」を瞬時に手に入れられる世界だからこそ、効率性の誘惑に抗い、泥臭く自らの頭で考え続ける「精神のマラソン」ができる人だけが、真のオリジナリティと高次元の解に到達できる。

AIという乗り物に身を委ねて思考を止めるか、それとも己の精神を鍛え上げるためにツールを使い倒すか。この「思考への意欲」の差が、これからのビジネスパーソンの決定的な格差となって現れるだろう。安易な答えに飛びつかず、日々考え続けるという基礎訓練を怠らないこと。それこそが、AI時代における最も確実な生存戦略である。

仕事が忙しい。

日中はほとんどフルで打ち合わせが入っており、時々早めに終了する打ち合わせの合間を見て、メールを処理。急ぎのメールや、自分が判断しないと業務が止まってしまうものを優先的に返信していく。急ぎではないメール、特にページ数が多い添付ファイルがあるメールについては「後から読むフォルダ」に入れておき、週末にまとめ読み。

夜はほとんど残業せずに会食。お酒が入ると帰宅後に仕事をする気にもなれず、そのまま就寝。幸い、最近は二次会に行くことはごく稀であり、22時前後には帰宅できるので、なんとか6時間程度の睡眠は確保できている。

とまぁ、アメリカから帰任後はこんな毎日を過ごしている。

こんな毎日を過ごしていると、自分の記憶に自信が持てなくなってくる。そうでなくとも、歳をとって記憶力が減退しているので、これはまずいなぁと思っていた。そこで生成AIと壁打ちをして、仕事の「ログ」を作ってみることにした。

ログとは、簡単に言うと「記録簿」のようなもので、その日1日に起こったことを箇条書きのメモにしていく行為だ。私は紙のノート派で、基本的に会議などのメモは紙とペンで記録している。ただし、ノートに書くのはあくまでも念の為であって、あまり見返すことはない。会議の席上で出た宿題事項などは、ノートではなくメモに書き出して忘れないようにしている。

この紙情報、つまりは非常に検索しにくい情報をデジタル化しようというのがログ化の試み。最近はメモを全てパソコンで取る人も多く、会議にはノートや手帳は持ち込まず、ひたすらタイピングしている。私も何度か試してみたのだが、どうも私には合っておらず断念した。

結果として、金曜日の夜や週末に、紙のノートを見返して、重要事項のみを抜書きしている状態。これまで読書日記をつけてきたおかげで、要約力やタイピングのスピードは向上しており、この行為は頭の整理にもなってなかなか有用。

しかしながら、毎週末に1週間分のログを作成するのは、それなりに時間を食う作業であり、なんとか効率化できないかと思案している。現時点で有効だと思っているのは生成AIの活用。会社で導入しているCopilotに、x月x日のスケジュールを確認し、関連するメールや、ビデオ会議のスクリプトを確認して会議内容を箇条書きにしてほしいとお願いすると、それなりのメモを作成してくれる。

AIのメモだけでは今ひとつなので、これを頼りにノートも見ながら重要部分を記録している。重要部分というのは、(1)決定事項、(2)決定した根拠・理由、(3)疑問点、(4)懸念点、(5)記録しておくべき数値情報、などである。特に重要なのは(2)であり、なぜ自分が(あるいは上司が)その判断をしたのか、理由を記録し、蓄積することで、判断根拠の普遍化を狙っている。

ゴールデンウィークに4月分から遡って記録し始めたのだが、なかなか運用が定着しない。常に1週間ほど遅れながら、なんとかこなしている状態。

生成AIと壁打ちをしながら、ログ作成上のポイントもまとめてある。曰く、完璧主義に陥らない、迷ったら1行だけでも記録する、読み返さない、何かあったら検索する、ログは記憶するものではなく活用するもの、といった感じだ。

これだけ生成AIが発展してくると、このような行為は不要であり、必要に応じて過去のメールやスクリプトを検索すればよいのかもしれない。しかしながら、週末に紙のノートを見ながら、会議で議論したことを反芻し、あの時ああ言えばよかったなどと内省する時間は意外に貴重。

こういったものは継続と蓄積が大事なので、なんとか歯を食いしばって1年間は続けてみたいと思う。

◇2677 『一次元の挿し木』 >松下龍之介/宝島社文庫

SFミステリー?

友人から勧められた小説であり、ずっと気になっていた作品。たまたま通勤電車の広告でテレビドラマ化されることを知り、Audibleのラインナップを検索してみるとヒットしたので、聴いてみた。

古い人骨のDNA鑑定を行うシーンが出てくるので、科学ミステリーかと思っていたのだが、どちらかというとSFミステリー。少々ネタバレになってしまうのだが、クローン人間の話であり、しかもその事実がかなり後半になるまで明かされず、まぁだからこそのミステリーなのだが、個人的にはこの結末はちょっとずるいなと感じてしまった。

まぁこういった感覚には個人差があるので、本書のような作品を面白いと思う方はたくさんいるのであろう。200年前の人骨と、自分の妹のDNAが一致した事実にも、辻褄の合う根拠が提示されている。

と、少し低めの評価のような感想を書いてしまったが、実際には先が気になって一気に読了。そういった意味ではそれなりに面白い作品だったのだろう。結末は、まぁギリギリ、ハッピーエンドと言えようか。



あらすじ:ヒマラヤ山中で発掘された二百年前の人骨。大学院で遺伝人類学を学ぶ悠がDNA鑑定にかけると、四年前に失踪した妹のものと一致した。不可解な鑑定結果を担当教授の石見崎に相談しようとした矢先、石見崎は何者かに殺害された。古人骨を発掘した調査員も襲われ、研究室から古人骨も盗まれた。悠は妹の生死と、古人骨のDNAの真相を突き止めるべく動き出すが、予想もつかない大きな企みに巻き込まれていく―。

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パタプラという英語教材を再開したことを少し前のブログに書いた通り。予定の半分ほどを終えたので、経過状況を記録しておきたい。

まず、朝の通勤時、駅まで歩く時には必ず1レッスンを行うことが習慣化できた。家を出た直後の玄関で、イヤホンを耳につけてパタプラアプリを開き、今日のレッスンの再生を始めて歩き出す、というルーティンが確立されてきた。週末は無理をせず、徒歩で出かけるときだけレッスンを実施。帰宅の際はお酒を飲んでいることが多いので、基本的にはレッスンしないのだが、会食がなかった日や酔いが浅い日には追加で1レッスンを行ったり。そうすると、週末にできなかった分をカバーして、ほぼ予定通りの進捗になっている。

英語力そのものは、これ以上はレベルアップしないだろうなと諦めている。発音は純ジャパ的だし、難しい英単語は使えないし、イディオムも苦手だし、時々文法も間違うし、と欠点だらけではあるが、自分が言いたいことを自分なりの言い回しで相手に伝えることはできるし、相手の話を聞きながら次に発言する内容を考え、それを口に出せるようになっている。今の私に必要なのは、現在の英語力をキープすることであり、アップさせることではない。

そのように割り切ってしまうと、今のパタプラのやり方は私にとっては理に適っている。エビングバームの忘却曲線を活用してスピーキングを一種の運動トレーニングと同じような位置付けで口に馴染ませていくというのが、本来のパタプラの仕組みなのだが、時間のない私にとってはスピーキングを維持する、つまり口が動く状態をキープするためのもの、と目的が変わってしまっている。よって、毎日少しでもネイティブの英語を聞き、それをまねて発話するというのは、とってもよいトレーニングになっているのだ。結果として、週1回程度の英語での会議でも、言いたいことが言える状態をキープできている。

これから英語を話せるようになりたい人は、是非パタプラ本来のプログラムに沿って学習を進めていただきたい。しかしながら、英語を維持したいと考えている人であれば、私の手法でも悪くはないと思う。

日本に帰国してからNISAを始めたのだが、オルカンに関しては大正解で、結構な評価益が出ている状態。ただし、オルカンのみというのも心配なので、懇意にしているフィナンシャルプランナーの推薦を受けて、インド株のインデックスファンドにも投資をしてみている。今のところほとんど利益は出ておらず、ホルムズ海峡閉鎖後はむしろ評価損が出ている状態なのだが、まぁ長期目線で考えればよいのでしばらくはそのままにしておくつもり。

一方で、企業年金のDCの方は、アメリカのイランへの攻撃直後に、日本株のインデックスファンドから金(ゴールド)へ資産を逃避。「有事の金」だと思ったのだが、これが大失敗。私の予想に反して日本株は絶好調、一方の金は暴落とまではいかないものの、かなり下がってしまった。自身が投資には向いていないことを改めて思い知った次第であるが、評価損の金額が大きくなりすぎて損切りもできない状態に。こちらも長期目線でしばらく塩漬けである。

更には、キオクシアをはじめとする日本株の勢いに押されて、宇宙、量子コンピュータ、バイオ、核融合発電、といったテーマの株式を少しずつ購入。こちらも購入直後に値下がりしてしまったのだが、成長期待株なのでしばらくは我慢。

結局オルカンのおかげで、合計では評価益が出ているものの、余計なことをせず全額オルカンにしておけば、もっと好調だったであろう。今更、時は戻せないので、しばらくは様子見。あまり気にしても仕方がないので、月に1度くらい資産状況をチェックすればよいだろう。年間2%、できれば3%の利益が出れば上々だと考えよう。欲張らず、コツコツと長期投資、というセオリーが重要なのだと再認識。

技術雑誌のMITをサブスク契約していたのだが、私には内容が高度なのと、なかなか読みこなす時間が取れないことから、半年程度で解約してしまった。それでも、メルマガは届くので、世界の技術潮流について、概要だけはキャッチすることができる。これは思わぬ副産物。

今回はタイトルに記載の通り「太陽地球工学」という分野の記事。記事の全文は読めないので、AIに手伝ってもらって、他のWEB記事などから概要をまとめてみた。

地球温暖化対策の切り札として近年注目を集めているのが「太陽地球工学(Solar Geoengineering)」である。中でも最も研究が進んでいるのが、火山の大規模噴火を人工的に再現する「成層圏エアロゾル注入(SAI)」である。これは高度約20kmの成層圏に微粒子を散布し、太陽光の一部を宇宙へ反射させることで地球全体を冷却しようとする技術である。1991年のピナトゥボ山噴火では、大量の硫酸エアロゾルが成層圏へ放出され、地球の平均気温が約0.4〜0.5℃低下したことが知られており、この現象が技術の着想となっている。

従来は気候モデルによるシミュレーションが研究の中心であったが、現在は実際に実施するための工学的課題へ研究の重心が移りつつある。最大の課題は、高度20km以上まで大量の粒子を安定して運搬できる航空機である。通常の旅客機では到達できないため、巨大な翼を持つ専用の高高度航空機や無人機の設計が検討されている。また、散布する物質についても、従来の硫酸塩だけでなく、オゾン層への影響を抑える可能性がある炭酸カルシウムやシリカなど複数の候補が研究されている。近年は粒子の化学反応や成層圏での挙動を詳細に評価する研究も活発化している。

一方で、実用化への道のりは容易ではない。米国の政府機関や研究機関の試算では、初期の運用体制を整えるだけでも数百億ドル規模の投資と10年以上の準備期間が必要とされる。さらに、一度開始すると数十年から数世紀にわたり継続しなければならない可能性がある。もし途中で散布を中止すると、温室効果ガスは依然として大気中に残っているため、短期間で急激な気温上昇が起きる「ターミネーション・ショック」と呼ばれる現象が懸念されている。

また、副作用への不安も根強い。地球全体の平均気温は下げられても、地域ごとの降水量やモンスーン、台風の発生、農業生産、生態系などに予期せぬ影響を与える可能性が指摘されている。オゾン層への影響も完全には解明されておらず、「気温を下げる」ことと「気候を元に戻す」ことは同義ではないとの見方が強い。さらに、どの国が実施を決定し、誰が責任を負うのかという国際的なガバナンスも整備されていない。

このため、研究者の間でも意見は大きく分かれる。推進派は、温暖化が深刻化する中で「将来必要になる可能性に備え、安全性を科学的に理解しておくべきだ」と主張する。一方、慎重派は、研究が進むこと自体が実施への既成事実を生み、温室効果ガス削減の努力を弱める「モラルハザード」を招くと警告している。米国の全米科学・工学・医学アカデミーも、研究は必要としながらも、あくまで排出削減や適応策を最優先とし、太陽地球工学は代替策ではなく、判断材料を得るための研究として位置付けるべきだと提言している。


このような地球規模の気候変動に対する取り組みは、各国が足並みをそろえて合意をした上で行うべきであるが、最近の世界情勢を見ていると不安である。アメリカは気候変動に興味がなく、中国が独断でこの手の手法を断行する可能性もある。私が駐在中のことなのでもう20年近く昔の話だが、当時は北京五輪など重要な催し物の前には、数日前から「雨降らし爆弾」と呼ばれる化学物質を空中に散布し、先に空気中の水分を雨にして降らしてしまい、重要な日を晴れさせるようにコントロールしていた。どこまで効果があったのかは不明だが、こういったことを断行する国があるということも念頭に入れておかなければいけないであろう。

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