Namuraya Thinking Space

― 日々、考え続ける。 ―

自宅ではテレビ番組の録画にハードディスクドライブを使用している。2テラ・バイトのものを2台使用しているが、DVDなどのようにディスクの入れ替えも不要であり非常に便利。「連ドラ予約」という設定にしておくと、毎週のテレビ番組を自動的に録画してくれる。そんな物臭な私にはぴったりの機能なのだが、しばらく連ドラ予約設定のまま放置しておいたところ、カンブリア宮殿と未来世紀ジパングが1年分近く溜まってしまった。

放っておいても溜まっていく一方なので、そろそろ見ないとなと思い、古いものから見ていくことに。CMを飛ばして2倍速で見ると30分程度で視聴することができる。全ての感想を書いているとキリがなくなるので、本当に印象的だったもののみに絞って感想を書くことにする。

さて、久しぶりの情報番組。いざ視始めると面白いので、ついつい見入ってしまう。再トライの1日目は3本視聴。その中で印象に残ったのが、八木澤商店という岩手県の醤油屋の話である。震災復興に燃える若い経営者・河野さん。最初は生意気だったそうだが、震災の被害を直接受け、その生意気さが実行力に変わっていく。

とにかく見ていて気持ちがよかったのが、実行、実行に尽きること。自分が責任者だから動きやすいということはあるだろうが、それにしても彼の行動力には頭が下がる思い。机上の空論を言うのはたやすいし、計画だけを立てるのがうまい人はいくらでもいるが、やはり経営は実行力である。

一番感動して、思わず泣きそうになってしまったのは、河野さん本人の言葉ではなく、お世話になった先輩からかけられた言葉。「強い者が生き残る社会よりも、みんなが安心して暮らせる社会をつくる方が難しい。それを一緒につくろう」と声をかけられて、気持ちが燃え上がったという。

日本の会社員というのは、どうも組織に目が行きがちな気がする。組織のため組織のため、それが翻っては自分のため、になっていないだろうか。英国のエリートなどは、ノブレス・オブリージュの精神で、組織のためかつ皆のため(国民のため・社員のため)という犠牲的精神を持っている。日本はエリート教育が遅れているというが、こういった組織最優先でもなく、自分さえよければという精神でもなく、皆が幸せになる社会・会社をつくるというのは、確かに難しいが、やりがいのある仕事だと思うのであった。



【番組ホームページより】

東日本大震災から4年が経つ。災害の記憶が薄らいでいく一方、被災各地では、急激な人口減少、若い労働力の不足、仮設住宅での高齢者の孤独死などが相次いでいる。そんな逆風が吹き荒れる被災地で、驚くべき挑戦に出たしょうゆ店があった。江戸時代から続く老舗、岩手県陸前高田の「八木澤商店」だ。9代目の河野は、被災直後から「社員を解雇せず営業再開を目指す」と宣言、若い発想と行動力を武器に会社の再建に奔走している。そんな河野が目指した復興の形は「地元中小企業のチカラの集結」だという。被災地が抱える問題は、今後の日本が直面する問題点を先取りしているとも言われている。河野はそんな被災地の課題をどう解決しようとしているのか?地方再生のヒントにも成り得る、陸前高田で始まった感動の再生戦略。その全貌を徹底取材した!

◇1501 『ほんとうの心の力』 >中村天風/PHP

PHPの黒い表紙の文庫本シリーズが気に入っている。松下幸之助翁の名著『道をひらく』をはじめとして、座右に置いておきたいものが多く出版されている。ビニール製ではあるが、黒地に金色の文字も重厚さを感じさせるし、なによりもシンプルな作りが、何度も読み返すのに適している。また、多くの本が、2ページに1テーマを記載しており、どこからでも読み始めることができる。(だから、ついついトイレに置いてしまうのだが。。。)

今日はそんなPHPシリーズから、中村天風先生の著書を。内容的には他の著書や講演からの抜粋からだからであろう、どこかで聞いたことのあるものばかりだったが、このようにコンパクトにまとめてもらうと、よい復習になる。ただし、残念ながら本書だけを読んでいては、天風先生の本当の教えは理解できないのではなかろうか。やはり『成功の実現』ほか、大著を読んだうえで、味わいたい本である。

まずは、天風先生の教えの中でも一番好きな「絶対的な積極」について。短いので、全文を引用。

そもそも多くの人は、積極という言葉の意味を、消極にそうたいしたものと考えています。英語で言うと、ポジティブとネガティブ、プラスとマイナスというふうに、消極に対しての積極というふうに思っている。

だから、時によると、積極精神というのは、何か強気な気持ちでという意味にとられて、がむしゃらに強がったり、強情はって頑張るということがそうだと思ってる人が多くないですか? こういうのも、もちろん積極精神の一部だと言えないこともないけれど、これはあくまでも消極に相対しているものです。だから、「相対的な積極」なんであります。

私が教える積極精神というのは、消極というものに相対した積極でなくして、「絶対的な積極」のことなんです。こころがその対象なり相手というものに、けっしてとらわれていない状態、これが絶対的な気持ちというんです。何ものにもとらわれていない、心に雑念とか妄念とか、あるいは感情的ないろいろな恐れとか、打ち負かそうとか、負けまいといったような、そういう気持ちでない、もう一段高いところにある気持ち、境地、これが絶対的な積極なんですぜ。


これ以外にも、独特の教えの数々。過去に引用したものと重複するかもしれないが、よい考え方というものは、何度も味わってこそ身につくもの。私なりに咀嚼して、引用しておきたい。

・「悩み」は消極的感情情念から生まれるものであり、値打ちのない心理現象。明るく朗らかな人生を生きるには、悩みという心理現象を心に持たせないようにすることが肝要。

・体は右を向けと思えば右を向くのに、なぜ心は腹を立てるなと思っても腹が立つのか。なぜ「心」を自由にできないのか。

・毎晩寝る前に「今日一日、怒らず、恐れず、悲しまず、を実行したかどうか」「正直、親切、愉快、に人生の責務を果たしたかどうか」を自問自答し、一日に感謝してから床に入る。

・外界の印象に対する取捨分別を厳格にする。つまり、消極的な事柄は心に取り込まない。(人から傷付けられるようなことを言われても、腐った食べ物を吐き出すように、 それを自分の中に取り込まず、避けて通るようにする)

・物事は「理解」するのではなく「自覚」する。論理思索で理解するのではなく、自然とハハーンそうかと心が頷くのが自覚。(理解ではなく、自覚することで、さまざまな事象への判断が早くなる)

・怒りはすぐに消す。人間だから怒ることもあるが、怒ってもその怒りをすぐにパパッと消してしまう。怒りの感情を長引かせることを執念といい、これは避けるべき。

・真に沈着な心こそが、明澄なる意識を生み出し、明澄なる意識こそがその行動を截然として遅速緩急まことによくこれを統制するものである。簡単に言うと、慌てなければ錯誤や過失は起こりにくくなる、ということ。

・無礙自在とは、常日頃、気を散らさずに澄み切った心で物事に取り組んでいると、どんな複雑なことに出会っても、片端から片づけていくことができるようになること。澄み切った心で対応すると、余裕が生まれ、どんな場合でも慌てることがなくなってくる。

・「実行」ということがおろそかにされてはいけない。青年時代に描いていた将来像を本当に現実化している人というのは極めてすくない。だから「実行にうつせ」という言葉の中には、深長な意味が豊富に含まれていることに気づかなければいけない。

・どんな興味の無いものに対しても、必ず意識を明瞭にして応接する習慣をつけるようにする。これを「有意注意力」という。これが習慣化されていくと、自然と注意が注がれる範囲が拡大されていって、一度に多数または多方面に自分の注意を困難なく振り向けられるようになってくる。




【目次】

運命をひらくために
困難に出会ったときに
強い心をもつために
健康に生きるために
日々愉快に生きるために
ともに成長するために
幸福な人生をおくるために
よりよい仕事をするために
真実を見極めるために

4569654436

ようやく1500冊を突破。1500冊というのは一つの区切りであり、もっと大きな達成感が得られるかと思ったが、意外にもちょっとした疲労感を感じている。あえて自分の身の丈よりも少し上のレベルの本を手元に置くようにしているから余計に感じるのかもしれないが、読書が趣味ではなく「訓練」になりつつあるのを感じる。

また、特にビジネス書に関しては、もちろん最新の会計の動向、技術動向、国際情勢などを学び続ける必要はあるものの、新刊のベストセラーになるようなビジネス書では、それほど大きな気づきを得られなくなってしまった。世界がひっくり返るような理論が、そう頻繁に起こることなどあり得なく、日々出版されるビジネス書はだんだん「どこかで聞いた話」になってしまうのはやむを得ないことであろう。

私は、自分の発想を根本から変えるような新しいアイデアを求めて読書を続けていると言っても過言ではない。へぇこういう考え方があったのかとか、こういう概念があったんだ、という気付きを求めて。

しかしながら、残念なことだが、そういった刺激を得ることが少なくなってしまっている。ある記事で読んだのだが、ビジネス書というのは、だいたい1000冊読むと費用逓減の状態に陥ってしまうという。つまり、どこかで読んだ内容が増えてしまい、新しい知識を得る機会が少なくなっていくということ。

そう考えると、そろそろ読書スタイル、いや生活のスタイルを変える時期なのかもしれない。もちろん、まだまだ知らないことは多いので、読書は続けていくつもりだが、これまでの「量」に頼った多読から、「質」を高める精読へ変えていきたいと思う。

また、読書そのものに対して割く時間を、健康・語学・思索などの時間に配分し直すことも必要であろう。特に、今までの読書を活かして、もっと深く物事を考えることが肝要だと考える。大量にインプットしてきたものをキチンと咀嚼して、アウトプットを増やすこと。これが当面の課題であろうか。

一方で、今まで学んできた知識の棚卸も必要であろう。会計関係を中心に、一度学んだものの、さび付いてしまっている知識も多く、記憶し直す必要がある知識がたくさんある。また、自分の持っている知識が古くなってしまっており、アップデートが必要なものもあるだろう。こういった知識の棚卸をきちんと為しておくべきである。

長年、ブログを書いてきて、ミステリー、歴史小説、ノウハウ本、ビジネス書、歴史・国際情勢、と興味やテーマは自分の年齢に合わせるかのように移り変わってきた。今ではよく覚えてすらいないが、何となく、転換点といおうか、節目のようなものは、その時その時で感じてきたように思う。まさに今この時も、自分の中での「転換点」だと感じている。

考え方を変える、スタイルを変えるというのは、とても勇気のいることだが、定期的にかつ意図的に自分を作り変えていかないと、時代についていけなくなってしまう。1500冊という節目を迎えて、そんなことを考えてみた。

◎1500 『京セラフィロソフィ』 >稲盛和夫/サンマーク出版

記念すべき1500冊目。まだ書評を書けていない本が他にもあるので、どれを1500冊の区切りにしようかと迷ったのだけれども、今の私の考え方に大きな影響を与えてくれた本書を選ぶことにした。

実家が滋賀県ということもあり、京セラとは縁が深い。母親が京セラの工場でパート勤務していたこともあり、京セラフィロソフィを見せてもらったこともある。(本当は門外不出だったのであろうが、本書の出版もされたことだし時効ということで。。。) また、稲盛さんの著書は他にも多数読んできており、その経営精神には、繰り返し触れてきた。

一番印象的なのは、やはり「人生・仕事の結果=考え方x熱意x能力」という方程式だろうか。なるほどと、腹落ちのする納得感を得たのを覚えている。また、「大胆さと繊細さをあわせもつ」というのも、私が好きな考え方である。

読みやすさで言えば、稲盛哲学が凝縮されている『成功への情熱』というPHPの文庫サイズの本もお薦めだが、フィロソフィ精神の考え方や背景までもがきちんと記載されている本書の方が優っているだろう。稲盛哲学に関して言えば、本書と、会計に関する考えを開陳した『実学』、それから仕事というよりも人生そのものをとらえた『生き方』の3冊を読めば十分なのではなかろうか。

いつものように、繰り返し読むべき本については、引用は行わない。最近、大掃除を初めて断捨離を試みているが、蔵書についても、さらなる整理が必要だと思っている。最終的には本棚2つにまで絞り込みたいと思っているのだが、そうなっても本棚に残り続けるであろう1冊。是非、一人でも多くの方に読んでもらいたい現代の古典ともいうべき名著である。



【目次】

第1章 すばらしい人生をおくるために
第2章 経営のこころ
第3章 京セラでは一人一人が経営者
第4章 日々の仕事を進めるにあたって

4763133713

蔵書の断捨離を進めているのだが、やはり本には思い入れが深くて、なかなか整理が進まない。これでも段ボール箱2箱分を処分したのだが。。。

ちなみに家には写真の本棚が2つある。下の方は整理ができていないので映していないが、横4列x縦6段というつくり。1マスに10冊以上入るから、本棚2つで480冊。実際には文庫本や新書などもあるので、最大600冊くらいは収納できそうである。

今まであまり意識していなかったが、この本棚に収まるような整理の仕方を心掛けるのがよいのであろう。本棚がいっぱいになったら、整理を実施する。その時々によって、興味の対象や感動した内容などが移り変わっていくので、定期的にかつ意図的に本を入れ替えていく。

本棚の整理そのものが、知的作業につながるようにも感じる。気分転換したいときなど、本棚の本を入れ替えている自分は、読書オタクなのだろうか。。。

image

〇1499 『人生の教養が身につく名言集』 >出口治明/三笠書房

本書は名言集というよりも、名言を端緒として出口さんの哲学といおうか、考え方を述べていくという構成。出口さん曰く、「名言とは、言ってみれば、教養を一言にシンボライズしたもの」とのこと。名言とは、歴史の風雪に耐えて、今の時代まで生き抜いてきた言葉であり、名言を通じて、過去から語り継がれてきたさまざまな人類の「知恵」を学ぶことができる。

読んでいて感じたのは、出口さんが気に入っている名言をピックアップして、それに解説を加えていくというよりも、出口さんの頭の中にある「考え方」に合う名言を選択して添えている、というもの。通常の名言集であれば、名言が主体で、それを補足するために説明があるものだが、本書ではむしろ名言の方が、副菜のように感じてしまう。

肝心の出口さんの考え方については、過去の本を再読した際に、まとめておいたので、重複しているものが多い。しかしながら、私にとっては出口さんの考え方に再度触れるよいきっかけとなり、復習となった。もちろん、今回新たに触れるような考え方もたくさんあったのだが、本書が今のところ、出口哲学の集大成だと思うので、引用はやめて、ときどき読み返すことにしたい。



【目次】

1章 人生について考えが深まる名言集
2章 人間関係の心得を教えてくれる名言集
3章 読むだけで「考える力」がつく名言集
4章 より賢く生きるための名言集
5章 「仕事の極意」を教えてくれる名言集
6章 「生きる知恵」を教えてくれる名言集

4837926428

ネットで英語学習の記事を見ていると、単語増強のアプリの宣伝がよく目につく。おそらく「エビングハウスの忘却曲線」を活用して、一定期間経過した後に、同じ単語を表示するような仕組みではなかろうか。仕組みとしては単純だが、アプリとしては優れものなのであろう、結構な値段である。

原理だけを考えるのであれば、わざわざ高いお金を払って、アプリを購入する必要はない。そう思って、エクセルで作成してみたのが次の表。

A列に日付、B列に通し番号を入力していく。エクセルの繰り返し機能を使えば簡単に下方向へ伸ばすことができる。(例えば日付のセルを選択し、セルの右下にマウスのポインターを持ってくると、マウスポインターが十字に変わる。その状態で、下方向へドラッグする)

次に、CからI列に計算式を入力する。この画像は構造が分かりやすいように、行が20行目から始まっているが、1行目がタイトル、2行目から計算式を入力するので、下記の表記は2行目への入力方法である。

C列は「=B2-0」、D列には「=B2-1」と計算式を入力する。以下同様に、E列「=B2-2」、F列「=B2-4」、G列「=B2-8」、H列「=B2-16」、I列「=B2-32」。この後、C〜I列を下方向にコピーすれば、完成である。

memorize
さて、出来た表をどう活用していくか? 例えば2017/01/05の行を見ると、順に、36、35、34、32、28、20、4、という数字が並んでいる。先ほどの計算式の通り、36から0、1、2、4、8、16、32を引いた数値である。

これは36ページ、35ページ、34ページ、32ページ、、、と順番に7つのページを学習しなさい、という意味。つまり、この表に書かれたページを学習することで、自動的に1、2、4、8、16、32日前の復習を実行することができるのである。(もちろんページ番号でなくとも、自分なりに最適な学習範囲に番号を振っていけばよい)

「エビングハウスの忘却曲線」の原理は、完全に忘れる前に復習せよ、というもの。あまり頻繁に復習していると時間が足りないし、忘れてしまってからだとゼロから記憶することになってしまい効率が悪い。上記のように、1、2、4、8、16、32日後に復習することで、忘れる前に復習ができ、短期記憶が長期記憶に置き換わっていくそうである。

こんなテクニックを高校生の頃に知っていたら、もっとよい大学に行けたかもしれない、などと考えても詮無い話なので、まぁ前向きに。英語学習、資格学習などにも応用できそうである。

◇1498 『13歳の進路』 >村上龍/幻冬舎

なかなか就職がままならず、悩んでいた弟に渡そうと思いつつ、渡しそびれてしまった本。実は、これより先に出ていた『13歳のハローワーク』の方を買おうと思っていたのだが、こちらの方が新しかったため、間違えて買ってしまったのだ。しかしながら、ハローワーク以前に、何を学ぶのかという根本的な問題に触れられており、これはこれで有用。怪我の功名となった。

大学を卒業して、大企業に就職する、というのが安定的なゴールであった時代はとっくに終わっている。これから先、1つの企業で働き続けることはレアケースになるであろう。自分が転職しなくとも、会社が買われたり分割されたりすることが日常茶飯事となるからだ。だからこそ、自分が何をやりたいか、そのために何を学ぶべきかを、若いころからしっかりと見据えて、その興味に直結するものを学んでいくべき。何故ならば「好きこそものの上手なれ」だからだ。

大学だけでなく、高等専門学校、職業能力開発校、通信教育などさまざまな教育手段が紹介されている。自衛隊までもが取り上げられているところが、村上龍さんらしいとこと。私自身にとっては、今更ながらの本ではあるが、読んでいてふと目に留まったページがあった。転校ならぬ転勤の多いビジネスパーソンにも当てはまることだと思ったので、ちょっと長くなるが引用しておきたい。

今から述べることは、大学の選び方ではない。また大学に限ったことではなく、高校や専門学校、それに会社への就職にも言えることだ。学校や会社に入ったあと、「これこそが自分にぴったりの学校・会社だ」と思える人は幸福だが、そういう人は少ない。ほとんどだれもが、「ここは自分には向かないのではないか」「自分は選び方を間違えたのではないか」「もっと他に自分に向いた学校や会社があるのではないか」というように、悩むものだ。

そのときに、試してもらいたいことがある。その学校・会社の「いいところを探す」のだ。昔、中学校のころ、父親の仕事の関係で転校を繰り返す子と友だちになった。転校はものすごいストレスだ。誰も友だちがいないところで、よそ者として、一から人間関係を築いていかなければならない。いじめられたり、無視されたりすることも多い。その子は、何度もイヤな思いをしてやっと転校のコツをつかんだと言った。それは、新しく転校した学校やクラスメート、街などの「いいところを探す」ことだった。

探せば、どんな学校にも街にも、必ずいいところがある、と彼は言った。「悪いところが一つもないという、完璧な学校や街なんかないのと同じように、いいところが一つもない学校や街もない。大事なのは、「探す」ことだと、あるとき気づいた。悪いところは、たとえばいじめっ子とか、探さなくても向こうからやって来る。でも、いいところは、探さないと見つからないことが多い。どこかいいところはないか探してみようという気持ちを持つだけで、今日はあの子に話しかけてみようとか、今日はちょっとだけ遠くまで歩いてみようとか、積極的になれる」

わたしたちは、新しい環境に入っていくとき、多大なストレスを感じるから、つい自分にはそぐわないところばかり見てしまう。イヤなものや、嫌いなもの、それに足りないものばかりが目について、それがさらにストレスになる。いいところを探すのは簡単ではない。面倒くさいし、失敗することもある。だが、友だちの転校生が言う通り、いいところは「探さないと」見えてこないことが多いのだ。誤解のないようにしてほしいが、いいところを探すというのは、我慢するのとは違う。耐えるわけではない。学校や会社を無理に好きになることでもない。だいいち、人間は何かをむりやり好きになることなどできない。

あれもこれも、あいつもこいつもまったく気に入らないが、ひょっとしたら他に何かいいところがあるかもしれない、とポジティブに考えて、周囲を探すのだ。そして、徹底的に探してみて本当に何もなかったら辞めてしまえばいいや、というような明るい気持ちで、新しい環境を見直すことを勧めたい。探せば必ず何か見つかるとは限らない。だが、探さないと、絶対に何も見つかりはしないのだ。




【目次】

進路図
高校(普通・農・水産・商・工・家庭・福祉・情報・総合・看護)
高等専門学校
フリースクール
高等学校卒業認定試験
大学(短大・大学・大学院)
専門学校
職業能力開発校(公的職業訓練施設)
通信教育
資格予備校
奨学金
自衛隊

4344018036

家の前のごみ置き場で羽を休めていた一羽の鳩。何だか可愛らしくて和むなぁと思ってみたら、なんと小さな袋に入ったごみだった。偶然の芸術作品。

image

◎1497 『ザ・会社改造−340人からグローバル1万人企業へ』 >三枝匡/日本経済新聞出版社

名著『校回復の経営』の著者であり、元辣腕経営コンサルタント、現企業経営者である三枝さんの最新作。書店に並んだ瞬間に購入し、すぐに読み始めた。今回は、不振企業の立て直しではなく、並以上に経営はできているものの、歯車が狂いつつあり、おかしくなりはじめている企業を成長軌道に乗せるという、今までとは異なるアプローチを描いた力作。今まではコンサルの立場だったので企業名も匿名であったが、今回は自らが経営者ということで、ミスミの実名を掲げての大胆な構成。

私の勤務先もそれなりの規模の会社なのだが、会社規模が一定以上になると、どうしても大企業病というのは生まれてくるものであろう。人間の体が年を取ると老化に逆らえないのと同じく、企業の老化は避けては通れないのだと思う。後は、自分の健康状態を認識し、老化防止策をとるかとらないか。若いからと油断して不摂生を続けていると思わぬ大病を招いてしまうように、企業もきちんと自己管理していく必要がある。

本書を読んでいると、そんなことを感じざるを得ない。あぁこのシーンはどこかで見たことがある聞いたことがあるという既視感に包まれながらの不思議な読書であった。

さて、本書を読んで一番印象に残り、かつ実践しなければと思ったのが「ハンズオンの実践」である。ハンズオンとは、自らが現場に出向き、陣頭指揮を執ること、とでも言えばよかろうか。本書で三枝さんは社長という立場。普通であれば、自ら赤ペンをとりパワーポイントを直したりはしない。しかしながら、未成熟な部下を見て、ある一線までは自分たちで考えさせ、ある一線からは自らが現場に乗り込むということを、絶妙の距離感で実践している。

私自身、今現在は課長という立場なのだが、部下たちが自主自立で進めているところへ、わざわざ口を出す必要はなく、かといった放任ではよくないと認識している。この、現場との距離感、自分が乗り込むタイミングは、本当にケース・バイ・ケースであり難しいのだが、いざという時は自らが前に出るという意識だけは、常に持ち続けたい。そんなことを思わせてくれる書籍であった。

これ以外に関心したのは、徹底した普遍化を目指しているところ。後世に長く読み継がれることを意識しているのかどうかは分からないが、ミスミという会社名は出してはいるものの、具体的な年号などが一切出てこない。時間の経過はすべて社長就任後〇年、という表記で語られている。もちろん三枝さんの社長就任時期はネットで調べればすぐにわかるし、業績低迷のタイミングがリーマンショックと重なるなど、簡単に推測はできるのだが、こういった書き方をしていれば、10年たっても陳腐化しないであろう。鮮度が求められるビジネス書業界にあって、本書の作り方は根本から違うと感じた。

一つだけ難点を言えば、三枝さんが自信満々で上から目線すぎるところであろうか。確かに彼のキャリアからすれば、ミスミの社員たちは未熟に思えたのかもしれないが、ところどころに現れる自慢話的表現が鼻についてしまった。まぁここまでの実力と実績があれば、口を挟むところではないのかもしれないが。

たくさんのページに折り目をつけたが、あえて引用はしないでおこう。もう一度、いや二度三度と読み返すために。



【目次】

プロローグ 「会社改造」の勝負に挑む
第1章 会社改造1―「謎解き」で会社の強み・弱みを見抜く
第2章 会社改造2―事業部組織に「戦略志向」を吹き込む
第3章 会社改造3―戦略の誤判断を生む「原価システム」を正す
第4章 会社改造4―成長を求めて「国際戦略」の勝負に出る
第5章 会社改造5―「買収」を仕掛けて「業態革新」を図る
第6章 会社改造6―「生産改革」でブレークスルーを起こす
第7章 会社改造7―時間と戦う「オペレーション改革」に挑む
第8章 会社改造8―「元気な組織」をどう設計するか
エピローグ 「戦略」と「熱き心」の経営

4532320976

友人の結婚式に参加した際、式場までの途中でパチリ。茨城で勤務していると、こんな人混みも非日常だと感じてしまう。よくよく考えると「東京」という街は、日本の中でも異色の存在。十数年間暮らしてきたから、何となく普通に感じてきたことも、少し離れてみると変わった景色として見えてくる。不思議なものだ。(それにしても外国人が多いこと。数年前と比べると見違えるようだ)

image

◇1496 『会計参謀−会計を戦略に活用する』 >谷口学/中央経済社

雑誌で紹介されていたのを見てAmazonで購入。中身を見ずに買ったので当たり外れがあるかなと、ドキドキしていたのだが、結果としてはまずますの本であった。構成は目次の通りだが、前半部分は一般的な内容。ROE、ROA、EVAなどの指標や、M&Aの際の企業価値算出方法など、ある程度会計をかじった人であれば、すでに知っているような内容であろう。

個人的には後半の方が興味深く感じた。第4章では予算管理について触れている。予算というのは、管理会計の集大成とも言えるものであり、会社によって千差万別である。その会社が何を重要視ししているかによって予算項目は異なってくるし、会社の歴史や文化によって、編成の手法も違ってくる。代表的な例で言うと、トップダウン型かボトムアップ型かということになるが、そう単純にステレオタイプに割り切れるものではない。

千差万別であるが故に普遍化・抽象化するのは難しく、書籍のテーマとして取り上げるのは非常に難しいのだが、そこに敢えて挑んでいるところには敬意を表したい。

さらに第5章では意思決定について述べられている。会計の仕事をしていると、経営者の意思決定のための根拠を求められることが多い。投資判断する際に、なぜGoなのかなぜStopなのか? 従来の日本的経営の良くないところは、この手の判断をアナログで合議制で行ってきたころではなかろうか。本来であればデジタルなデータ(ファクト)と理屈(ロジック)で意思決定すべきところを、発案者の熱意(もちろんこれも大事だが)や、誰が言ったか誰の部下かなどといった人的関係で決めてしまったり、彼がいったから私もOKと、判断を他人に委ねてしまったり。結局大人数で決定するものだから、誰の判断かよくわからなくなり、責任の所在もあいまいになってしまう。

本書では、意思決定について「代替案の正確な比較を経て、将来の不確実性に備えた判断である」と言い切っている。ここでいう「代替案の正確な比較」というのが、ファクトとロジックを駆使してなされるべき項目であろう。また、意思決定のレベルを判断する基準として、「議論の深度:これはどの程度、さまざまな情報を多角的に収集し、多くの仮説や可能性を検討した上で、最終的な結果に至っているか」についても触れており、これも同じくファクトとロジックによる議論がなされているかということと同義である。

最終章では資金調達について述べられており、全体としては非常に広範囲の内容を扱っている。結果として、1つ1つの章立ての中身は薄くなってしまっているのは否めないであろう。会計や財務の世界がどのようなものかを概観したい人にはちょうどよい入門書であろうか。そう考えると、『会計参謀』というタイトルは、少々仰々しい感じもしないでもない。実際には「会計参謀入門」とでも言うべき内容である。



【目次】

第1章 会計的思考とは何か
・企業の実態に迫る
・会計的思考とは何か
・経営戦略を会計に換算する
・会計リテラシーの乏しい会社とは?
・管理会計と財務会計の間
・会計参謀(CFO)の役割

第2章 事業ポートフォリオ戦略と事業評価指標
・悲運の尼崎工場
・全社戦略と事業戦略
・「中期経営計画」の内容とは?
・事業ポートフォリオの必要性
・事業ポートフォリオ管理とPPM
・製品ライフサイクルと会計的思考
・事業評価指標の変遷(売上高からROEまで)
・FCFへの回帰
・EVAの登場

第3章 M&A戦略と企業価値評価
・会計的思考とM&A
・M&A戦略の使い方
・M&Aの目的を明確にする
・M&Aプロセス
・デューデリジェンスとは
・M&Aを推進する関係者たち
・企業の「価値」と「価格」
・企業価値評価のアプローチ
・評価実務でよく用いられる手法
・EBITDA倍率法
・のれんの会計処理

第4章 予算管理とCVP分析、そしてバランススコアーカード
・予算と中期経営計画
・予算の功罪
・予算の体系図と策定方法
・予算管理プロセスと差異分析
・予算で成果を上げるために
・CVP分析と変動費・固定費
・損益分岐図表と限界利益
・費用構造の最適化
・CVP分析のケーススタディ
・CVPの限界
・バランススコアーカードとは何か?
・戦略マップ
・バランススコアカードの特徴

第5章 意思決定会計と不確実性
・組織の意思決定
・優れた判断とは?
・意思決定会計
・ケーススタディ~自製か外注かの意思決定~
・ボトルネックを知る
・戦略的意思決定
・ケーススタディ~設備投資の経済性計算~
・不確実性への取り組み
・日本企業の意思決定
・おそるべき減損会計

第6章 資金調達と説明責任
・会社と資金調達
・株式会社と説明責任(Accountability)
・米国流ファイナンス理論の無力さ
・創業後(零細企業・中小企業)の資金調達
・資金調達に向けた提供資料
・株式公開を視野に入れた資金調達
・株式公開後の資金調達
・経営危機とデットファインナンス
・アセットファイナンス

4502192112

11月23日の勤労感謝の日は、久しぶりにのんびりと過ごせた日だった。公私とも、ちょっとストレスを感じることがあったので、気分転換に愛犬と近所を散歩。知らないうちに木々たちがすっかりと色づいている。俯いて歩いていると目線が下を向いてしまい、こんな自然の変化にも気づかない。

個人的には2つ目の写真がお気に入り。ススキが群生しており、自然のたくましさを感じた。気候的には秋を感じる暇もなく、冬が到来したかのよう。最近、春や秋といった、過ごしやすい季節がどんどん短くなってきているように感じる。これは私の感受性が鈍ったからではなく、地球環境全体がよくない方向に変化しているのであろう。

最後の写真はご愛敬、スタミナ冷しの落書き。スタミナラーメンというのは、茨城のご当地ラーメンで、ピリ辛甘口のあんかけのラーメン。レバーやカボチャが入っており、なかなかの美味。スタミナ冷しは、冷しラーメンにあんかけをかけたもので、これも夏場に食べるとおいしい。しかしながら、なぜガードレールに??? ちなみに、周りにはラーメン屋など一軒もないのだが。。。

image
image
image
image

◇1495 『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか−スピードは最強の武器である』 >中島聡/文響社

茨城に引っ越してから本屋へ行く回数は激減してしまったのだが、それでもやはり本好きの性(さが)、書店を見かけるとついつい立ち寄ってしまう。たまに行く本屋で、いつも平積みになっており気になっていた本書。他の書店でも目立つところに置かれていたので、ついに買ってしまった。最近は働き方改革として、残業縮減が世の中のトレンドになっているが、その潮流にうまく乗ったテーマである。

マイクロソフトでウインドウズ95を開発したプログラマーだから実績は十分。そんな筆者が語る時間管理術とはどのようなものかと期待しながら読み始めたのだが。。。結果は、納得のいくものではあったものの、まぁこんなもんか、という感じ。そうやすやすと素晴らしいノウハウは手に入らないと、改めて感じさせられた。やはり安易なノウハウ本からは卒業しなければ。

さて、本書のキモは「ロケットスタート」である。要約すると次のようになる。

与えられた最初の2割の時間で、仕事の8割を完成させる。その間は、メールや電話には反応しない。食事にも時間をかけない。とにかく集中して(筆者は20倍界王拳と呼んでいる状態)で頑張る。8割完成したら、残りの2割を8割の時間で仕上げる。ここで締め切りの前倒しはしない。仕事を早く終わらせると次の仕事が来てしまう。目的は仕事を早く終わらせることではなく、安定的に終わらせること。最初の2割で集中して疲弊した状態を回復すべく、残りの8割は流して仕事をする。ただし、流しで仕事をするときも2:8の割合は意識し続け、午前中で仕事を終えて午後からは本当に流しの仕事を行う。また、最初の2割の時間で8割の完成にまで持っていけないのは、プロジェクトが難しいとき。この時点で期間延長か、リソースの追加を申し入れること。

この他にも、役立つノウハウがいくつか見つかったので、要約して引用しておきたい。

・いつも締め切りに遅れる人の特徴:(1)安請け合いしてしまう。(2)ギリギリまでやらない。(3)計画の見積もりをしない。

・ビル・ゲイツは期限に遅れた人が言い訳をするのを病的なまでに嫌っていた。特に論理的に言い訳をする人を嫌っていた。手段はどうであれ実行せよ、というのが彼が求めていたこと。

・哲学者・デカルトの言葉。「困難は分割せよ」

・ビル・ゲイツがよく口にしていた言葉。「その問題とこの問題は独立している」

・ビル・ゲイツとのプレゼンでは、発表は求められない。事前に資料を送付しておき、当日は質疑応答のみ。究極の効率化である。

・集中力が途切れている3時間と、集中している1時間は、等価値。

・他人の仕事は遅れるもの、という認識で仕事を進めること。


最後に、時間管理とは関係ないが、筆者が日本人であることが役立ったかもしれないという、面白い記述があったので、引用しておこう。

何らかの対象(オブジェクト)を先に選択した上で動作を指定することをオブジェクト指向という。音楽ファイルなら、それをダブルクリックしただけで、再生されること。ダブルクリックによるファイル起動は、日本人が、言葉を最後まで言わない(例えばエレベーターで「12階を」といえば、12階のボタンを教えてください、と言わなくても通じるように)ことから、生まれたのではないか。



【目次】

1 なぜ、あなたの仕事は終わらないのか
2 時間を制する者は、世界を制す
3 「ロケットスタート時間術」はこうして生み出された
4 今すぐ実践 ロケットスタート時間術
5 ロケットスタート時間術を自分のものにする
6 時間を制する者は、人生を制す

4905073413

WOWWOWのドラマ『株価暴落』を見た。振り返ってみると、最近ドラマをたくさん見ている。書評がかけていない本がまだ20冊近く残っていることから、新しい本に手を出す気になれないのも一因。仕事が忙しかったりもしたのだが、その割にはドラマに時間を割いている。ドラマや映画というのは、受け身で楽しむことができるので、楽といえば楽。安易な方向に走っているのだろうか。録画したまま放置している番組が多いのが気になってもいたのだが、読書とドラマなら読書を優先すべきだろう。

さて、前置きが長くなってしまったが、本作品は池井戸潤さんの原作で、織田裕二が主演。これは面白くないはずがない、と意気込んで見始めたのだが。。。まぁ悪くはない話なのだが、早い段階から結末が予測出来てしまった。結局、家の掃除をしながらの、ながら見にしてしまった。海外の映画だと、字幕を見なければならないので、きちんと視聴するのだが、日本のドラマは耳で聞いていれば内容が理解できるので、ついついながら見になってしまう。

あらすじは次の通り。老舗スーパーマーケットが、オーナー会長の老害で改革が進まず、潰さないためにも銀行は貸付を行わざるを得ない状況。一方、裏では政治資金の流れもあり、事態は複雑化していく。また、スーパーの一店舗で爆発騒ぎがあり、上場しているスーパーの株価は暴落していく。。。

ネタバレになるのでラストには触れないが、ビジネスパーソンであれば、株価暴落というタイトルから容易に想像できてしまう結末。制作者の皆さんに失礼なのは承知しているが、むしろ、ながら見を許さないくらい、のめり込むような作品を手掛けてほしいものである。

◇1494 『世界史としての日本史』 >半藤一利・出口治明/小学館新書

昭和史の大家・半藤さんと、歴史オタクの出口さんのお二人の夢の対談。書店で見た瞬間に購入。これは読まねば。期待通り大変面白く、示唆に富む内容であった。個人的に面白いと感じたのがお二人の準備のしかた。半藤さんが対談に細かなメモを持ち込んで話したのに対し、出口さんは手ブラ。これをお互いが素晴らしいと褒めあっているのが、なんとも微笑ましかった。尊敬しあえる中にだけ生まれる瞬間のように感じた。

それでは気になった箇所を要約して引用。

・自分たちが自信を持っていた分野で負けた人が取る態度は2つある。1つは「酸っぱいブドウ」症候群。イソップ童話に出てくる話で、キツネがジャンプしても取れないブドウがあり、あれは酸っぱいブドウだから取っても仕方がないと言い訳する。手が届かなくなったら、あんなものに意味はないんだと自分で自分を納得させる。もう1つの態度は外に攻撃対象を見つけること。愛国心が劣等感と結びつき、攻撃的・排他主義的なナショナリズムに変貌する。

・第二次世界大戦を理解するうえで一番大事な人間は、ヒトラーとスターリン。この2人を理解しないと、第二次大戦は見えてこない。

・満州国はそれまで行ったこともない場所に、いきなり国をつくってしまったという稀有な例。(他にはドイツ騎士団のプロイセンくらい) 最初は植民地にしようとしていたのだが、国政情勢がそれを許さず、人工国家として設立した。そう考えると、リットン調査団は非常に融和的であった。国家として認め、それに対する日本の権益もある程度は認めるという内容だったから。ただし、日本軍は一旦撤退し、国際連盟が管理するということになった。権益は認められたのだから、名を捨て実を取れば、よかったのだ。にもかかわらず、松岡洋右という無能な外交官が、間違った判断をし、国際連盟を脱退してしまった。これは松岡自身が悪いだけでなく、彼をサポートする部下も悪かった。ダメな上司は、部下が正しい方向へ誘導しなければならない。

・日露戦争開戦にあたって、伊藤博文は初めからアメリカの仲介で戦争を終わらせることを考えて開戦に踏み切っている。(太平洋戦争とはそこが全然違う。昭和の政治家も軍人も戦争の終わらせ方を考えもせずに開戦に強引に踏み込んでいる) そうしてルーズヴェルトを仲介して、小村寿太郎が頑張って戦争を終わらせた。当時の日本の国力を考えると、百二十点くらいの外交政策を勝ち取っている。ところが、国民が戦争意欲を失うのを恐れて、戦況が極めて深刻であることを伝えないまま進めてきたので、いざ講話をまとめてみたら世論が激昂した。そして、日比谷焼き討ち事件の後、その恨みがアメリカに向いてしまう。

・プロイセンの軍事学者、カール・フォン・クラウセヴィッツの言葉。「血を流す外交が戦争であり、血を流さない戦争が政治であり、外交である」 本来、政治・外交でと戦争は不可分なものなのに、日本は政治と軍事を分けてしまった。二・二六事件で内閣が倒れ、後を継いだ広田弘毅内閣は、悪名高い軍部大臣現役武官制を復活させてしまった。これにより「軍としてはこの内閣に協力できない。従って大臣を出さない」と突っ張ると、内閣は崩壊せざるを得なくなってしまった。

・第一次世界大戦は、軍隊の力ではなく、国の産業力、総合力で勝負が決まる総力戦になったという点で、世界史的に大きな転換点であった。第一次大戦に日本は深く関与しておらず、国政情勢を勉強もしていなかったため、この「総力戦」の意味を理解できていなかった。

・総力戦では政治と軍事、さらに経済がリンクしないと戦えないが、日本ではそれらが分断されて、本来必要なはずの連携が取れていなかった。またロジスティックス(兵站)も日本は弱かった。

・戦争と外交、戦争と平和というものを対立物としてとらえるのではなく、同じ地平にあると考えるべき。政治と軍事を、外交と戦争とというのは、真ん中で完全に線引きされた別々のものではなく、一体であるというのが世界共通の認識。対立物のように見えるが、政治の延長に戦争があるだけで、戦争も政治、政治がしっかりしていなければ、平和は保てない。戦争は、天から降ってくるものでも何でもなく、外交的段階、政治的段階を踏んでやってくる。しかし、日本人は戦後ずっとこれらを別物として考えてきた。これはアメリカの軍事力に守られてきたせいだと言えるかもしれない。

・冷戦は実は日本にとって幸運の代名詞だった。なぜかというと、アメリカがソ連、中国と対峙しようと思えば、地理的に日本列島はまさに不沈空母になるため、アメリカが無条件で日本を守ってくれたから。しかし、冷戦が終わってしまい、アメリカ・中国・ロシア・日本の関係は、普通の国家間の政治・経済問題に変わってしまった。冷戦中は日本はアメリカに多少のわがままが言えたが、現在は、国益で判断する。

・現在、日本がアメリカに対して支払っている思いやり予算などは1兆8千億円。これが 在日米軍基地やアメリカの核の傘で守られている対価と考えてよい。一方、日米同盟をやめて仮想敵の中国に対抗できるだけの兵力を自前で持とうとすると、およそ22兆円から24兆円かかると試算されている。

・チャーチルは冷徹なリアリストで、アメリカを戦争に引き込まない限り、スターリンとヒトラーには対抗できないということを明確に意識していて、全能力をかたむけてルーズヴェルトに早く参戦してもらおうとしていた。一方、ルーズヴェルトは戦後秩序を構築するために知恵を絞り、大西洋憲章でまずアドバルーンを掲げ、国際連合や、IMF、世界銀行など、戦争が終結する前から戦後世界の見取り図を描いていた。

・第二次世界大戦とは何だったかをトータルで理解するには、アントニー・ビーヴァーの『第二次世界大戦 1939〜45』(全3巻 白水社)がよい。

・戦勝国のアメリカは日本を恐れて、日本を頭の悪い国家にしたいと考えたのではないだろうか。占領政策では、日本を無教養の国にすべく、六三三制で教養が身につくような勉強をさせないようにしたのではないか。2年経って3年目には受験勉強で、腰を据えてしっかりとした教養を身につける勉強ができない。旧制中学は5年制で、ゆったりとしていた。その上に旧制の高等学校の3年間があり、ものすごく勉強する機会があった。

・戦後はアメリカに追いつけ追い越せというキャッチアップモデルだった。アメリカの真似をして吉田茂が敷いたレールに沿ってがむしゃらに働くだけなら、勉強をしてよけいなことを考えるのはむしろ邪魔になる。

・近代、現代の日本史の流れを的確に見ようと思ったら、明治、大正、昭和という元号で分けるより、フランス風に明治維新以降を第一立憲制の時代、戦後に新憲法ができてからを第二立憲制の時代と分けて考えた方がよいと思っている。第一立憲制の見取り図を描いたのが大久保利通で、それは「尊皇」を上に載せた開国・富国強兵路線だった。しかし、国際連盟を脱退した時点で世界の孤児になって開国が行き詰まり、第二次世界大戦の敗戦によって富国強兵も行き詰まった。ここで第一立憲制が終わった。次に第二立憲制の見取り図を描いたのが吉田茂で、開国は当然としても、 二兎は負えないということで、 今度は強兵を捨てて富国だけに絞り込んだ。

・ノモンハン事件から学べることは5つある。「当時の陸軍エリートたちが根拠なき自己過信をもっていた」「傲慢なる無知であった」「エリート意識と出世欲が横溢していた」「偏差値優等生の困った小さな集団が天下を取っていた」「底知れず無責任であった」

・アメリカは日本に来て、開国を迫ったが、アメリカがあのまま日本にちょっかいを出し続けていたら、明治維新はあれほどうまく実現しなかったかもしれない。日本にとって幸運だったのは、アメリカでは南北戦争が起こっていたのだ。フランスとイギリスもボーア戦争などが起きて、艦隊をアフリカに送らなければならなかった。当時、列強はアジアを留守にせざるをえず、こういった幸運を抜きにして明治維新を語ることはできないし、世界史的観点で見なければならないのではないか。日英同盟も、日本が日清日露戦争で勝ったからではなく、ボーア戦争で大量の兵士を南アフリカに送り、一方でロシアとのグレートゲームを行わなければならない時代には、番犬として有用だと思ったから同盟を結んだだけなのだ。




【目次】

第1章 日本は特別な国という思い込みを捨てろ
第2章 なぜ戦争の歴史から目を背けるのか
第3章 日本が負けた真の理由
第4章 アメリカを通してしか世界を見ない危険性
第5章 世界のなかの日本を知るためのブックガイド
第6章 日本人はいつから教養を失ったのか

4098252805

『マークスの山』に続いて、WOWWOWドラマの感想。部屋の掃除をしながらの、ながら見。制作に携わった方々には申し訳ないが、じっくりと見るほどの作品ではなかった。とあるメガバンクが、財閥系の本来の名前に戻りたいがゆえに国債を大量に購入し、その国債が暴落するという幕開け。これに対して、椎名桔平演じる為替のプロの専務が、その裏に隠された暗部に立ち向かうというヒーローストーリー。

WOWWOWのドラマは、5回という制限からか、『マークスの山』に代表されるミステリーものか、今回のようなビジネス小説を題材にしたものが多いように感じる。原作の方はそれなりに面白いのかもしれないが、途中の展開が荒唐無稽であり、リアルさを感じられなかったため、個人的には低評価となってしまった。

そんな中でも、いいなと思ったのは椎名桔平のリーダーシップ。いかなるときも動じない胆力は見習うべき。また、桐谷健太が演ずる総務部部長代理もなかなかいいキャラクター。現場目線で物事を考え、それを臆さずに上に伝える。こういった人が何人いるかで、その組織の強さが変わってくるように思う。中間管理職が上と下に挟まれるのは、構造的な宿命である。それをサンドイッチになって大変だと感じるか、自分が上と下の懸け橋になろうと意識を高く持つかで、仕事の結果は変わってくるのではなかろうか。自分としては後者であり続けたいものだ。

◇1493 『バニシングポイント』 >佐藤正午/集英社文庫

背表紙あらすじ:今年40歳になるタクシーの運転手・武上英夫には「秘密」が三つあった。彼の妻にも、その友人にも、また同じように―。普通の人々の、ありふれた日常、小さな事情と秘密。それが、ささいな出来事をきっかけに噴き出したとき、思いもかけぬドラマを生み出す。絡み合い、すれ違いながら連鎖していく人の繋がりの中で、男と女、それぞれが直面する人生の限界点を、鮮やかに切り取った連作小説。

佐藤正午さんの小説は割合に好きだし、この手の、日常から少しだけはみ出すような話も嫌いではないし、さらには連作小説は好みのはずなのだが、なぜかなかなか読み進めることができなかった作品。1作目の「運転手」という章を読んで、そのままになったことが2回。なぜか次の章を読み進めることができなかったのだ。

連絡短編集であり、それぞれが緩やかに連携しつつも、一つひとつが独立した物語になっているので、眠れない夜などに読むには最適。今回は1カ月ほど時間をかけて、少しずつ読み進めてみた。読み終わった今も、なんとなくぼんやりとした印象。そんな不思議な小説だった。

あえて物語をひとくくりにして言うならば、「誰もが持っているちょっとした秘密」がテーマであろうか。妻に内緒でためたへそくり、夫に知られてはいけない過去の恋人、などなど、ありえそう、と思わせるところが佐藤さんのうまいところであろう。

しかしながら、一気に読み進めることができなかったということは、それなりの作品なのかもしれない。個人的には、今ひとつというのが正直な感想。まぁ面白い作品にばかり出会うということはありえないので、あきらめずまた新たな読書に励めばよいのであろう。

4087471616

最近、「PDCAを廻すこと」に凝っていて、経理という仕事で、どうやればうまくPDCAが廻るか、いや、その前に、そもそも経理部におけるPDCAって何なのだ、ということをよく考えている。先日、とある研修に参加して、講師の方が「大きなPDCA」という表現を使っていたので、具体的な方法を聞いてみた。

正直、私が期待していた答えではなかったのだが、今までの私の頭にはなかった新しい概念を得ることができたので、備忘のために記録しておきたい。

要するに、大きなPDCAとは、個別の事業やプロジェクトにおけるPDCAではなく、会社経営を行っていく上での、大きな経営のPDCAという意味だそうだ。会社におけるPDCAと聞いて頭に浮かぶのが予算制度。予算を策定し(P)、それを実行していく(D)、その上で中間地点の達成度などを検証し(C)、未達成であればアクションプランを練り直す(A)というのが一般的。

ところが今回教えていただいたPDCAの概念からすると、上述のサイクルはPDCAではなく、PとDの繰り返しだというのだ。つまり、本当のCは数値のチェックだけに終わらず、自社のポジショニングやSWOT分析など、定性的なチェックを行うべきであり、本当のAは、数値目標達成だけのアクションではなく、経営理念や組織ビジョンを作り込んでいくことだ、とのこと。

つまり、CとAは定量化、デジタル化できる数値目標に関連するものではなく、定性的でアナログなものである、という理論。マッキンゼーの7Sのなかのソフトの4Sを改善していくイメージに近しいであろうか。これを、経理の仕事のみに置き換えるのは難しいが、会社経営という立場で見据えると、それなりに理に適ったものであると感じた次第。

言うは易し行うは難しで、アナログな部分を変えていくのが、大変なのだが。。。(個人的には昨日読了した、『鬼速PDCA』の方が、自分の感覚に近くて、非常に腹落ちする内容だった)

◎1492 『鬼速PDCA』 >冨田和成/クロスメディア・パブリッシング

これは凄い本にであってしまった。(正直、ベタなタイトルだったので、買おうか買うまいか悩んだのだが、長年の勘でこれは「買い」と判断。大当たりだった) 今年読んだ中では一番感銘を受けたといってよいであろう。感銘を受けたというよりも、私自身が頭の中にもやもやと描いていたことを、見事に文書化してくれていた本、といった方がよいかもしれない。

PDCAという言葉はよく聞くのだが、特に管理部門の仕事をしていると、具体的にどうやって廻すのかがよく分からないというのが正直なところ。以前、「経理部におけるPDCA」という記事を書いて、自分なりの考え方を整理し、実行してみたのだが、部下の反応は今ひとつ。どうしたらよいかと悩んでいた時に出会ったのが本書である。

タスクを因数分解する(私自身の言葉に直すと「細分化する」)だとか、優先順位をつける、出来なかった要因を突き詰める、などなど、私自身が考えていたことと、非常に近しい概念。考えてはいたけど、文書化できていなかったことが、体系立てて整理されている。本当に頭の中の霧が晴れていく思いを味わいながら、興奮して読み進めた。

筆者は自らをPDCAマニアというほどの人物。私であれば、自分がこういったPDCAを廻すのが好き、などとは恥ずかしくてなかなか言えないのだが、自ら言い切ってしまう潔さがカッコイイ。考えていることは近しいが、筆者と私の最大の違いは「徹底してやるかどうか」であろう。私の方は恥情けないことに、何となく遠慮して、PDCAを廻すという概念を、チームに導入することができていないのが現状。どうすれば、チームに導入できるかというPDCAをさっそく廻してみたいものである。

本書で唯一残念だったのは、私が抱えている悩みのように、チームとしてどうやってPDCAを廻すかの記述が少なかった点であろうか。8章で「チームで実践する鬼速PDCA」という説明があるが、全体のボリュームからすると非常に少ない。また、想像するに、筆者はベンチャー企業の社長であり(HPを確認すると73名の会社)、全員でのPDCAミーティングが可能な規模であろう。

もう少し規模が大きな企業の中の、管理部門・事務部門として、どのようにPDCAを廻しているのかの具体例があれば、知りたかった。また、経理部として複数のプロジェクトを抱えている時、プロジェクトごとにPDCAミーティングを実施すべきか、複数のプロジェクト・チーム合同での、PDCAに特化したミーティングを実施すべきかについても、知りたいと思った。

最後に、繰り返しになるが、本書を通して「徹底して実践すること」の大切さを改めて学んだ気がする。筆者の徹底ぶり、PDCAに対するこだわりぶりが、随所に滲み出ている名著。最近、ノウハウ本からは卒業しようと思っていたが、これだけ実践的なノウハウ本であれば、一読の価値あり。是非とも多くの人に読んでもらいたいものである。



【目次】

はじめに

1章 前進するフレームワークとしてのPDCA
 PDCAこそ最強のビジネススキルである
 企業・リーダーの価値もPDCA力で決まる
 世間が抱くPDCAの6つの誤解
    1 簡単だと思っている
    2 管理職向けのフレームワークだと思っている
    3 失敗するのは検証(C)が甘いからだと思っている
    4 課題解決のためのフレームワークだと思っている
    5 改善さえすれば終わっていいと思っている
    6 大きな課題のときだけ回せばいいと思っている
 PDCAのスケール感を意識せよ
 証券マン時代に実践した鬼速PDCA
 前に進むのがどんどん楽しくなる
 鶏と卵の関係にあるPDCAと自信
 鬼速PDCAとは何か

2章 計画初級編:ギャップから導き出される「計画」
 慎重さと大胆さのバランスが肝になる計画
 ステップ ゴールを定量化する(KGIの設定)
    1 期日を決める
    2 定量化する
    3 ゴールを適度に具体的なものにする
 ステップ 現状とのギャップを洗い出す
 ステップ ギャップを埋める課題を考える
 ステップ 課題を優先度づけして3つに絞る
    1 インパクト(効果)
    2 時間
    3 気軽さ
    優先度づけのヒント
 ステップ 各課題をKPI化する
 ステップ KPIを達成する解決案を考える
 ステップ 解決案を優先度づけする
 ステップ 計画を見える化する
 上位PDCAを再確認する
 ときに思考のリミッターを外す
  鬼速クエスチョン計画編

3章 計画応用編:仮説の精度を上げる「因数分解」
 PDCAの速さと深さは因数分解で決まる
 因数分解のメリット
    1 課題の見落としを防ぐ
    2 ボトルネックの発見がしやすい
    3 KPI化しやすい
    4 どんなゴールでも実現可能に思えてくる
    5 PDCAが速く深く回る
 ポイント 抽象度を上げてから分解する
 ポイント 5段目まで深掘りする
 ポイント 1段目だけはMECEを徹底する
 ポイント 切り方に悩んだら「プロセス」で切る
 ポイント 簡単な課題は「質 × 量」で切る
 ポイント とにかく文字化する
 ポイント マインドマップで鍛える
   活用のヒント1 紙よりもパソコン
   活用のヒント2 PDCAのフレームは忘れる
   活用のヒント3 時間がないなら時間を決めて行う
   活用のヒント4 気になったら分解してみる
   活用のヒント5 ワクワクしながらやる

4章 実行初級編:確実にやり遂げる「行動力」
 解決案とDOとTODOの違い
  実行できないケース1  計画自体が失敗している
  実行できないケース2  タスクレベルまで落とし込まれていない
  実行できないケース3  失敗することが恐い
 ステップ 解決案を「DO」に変換する
解決案が具体的か抽象的か
完結型のDOと継続型のDO
 ステップ DOに優先順位をつけ、やることを絞る
 ステップ DOを定量化する(「KDI」を設定する)
    1 完結型のDOのKDI化
    2 継続型のDOのKDI化
 ステップ DOを「TODO」に落とし込む
 ステップ TODOの進捗確認をしながら実行に移す
 TODOを管理するコツ
おすすめのTODO管理アプリ
TODOの共有
定番のポストイットも活用
 「人」に潜むリスクに気を配る
 セルフトークでPDCAを促進
 「終わらなくてもいい」という割り切りも重要
  鬼速クエスチョン実行編

5章 実行応用編:鬼速で動くための「タイムマネジメント」
 なぜ、いつのまにか忙殺されるのか?
 タイムマネジメントの3大原則
 「捨てる」ために既存のDOの棚卸しをする
 「入れかえ」のために重要・緊急マトリクスを使う
 「時間圧縮」のためにルーチンを見直す
 「重要・非緊急」領域を実行する方法
    1 仕組み化し、日常生活に組み込む
    2 強制的に「緊急領域」に移動する

6章 検証:正しい計画と実行の上に成り立つ「振り返り」
 検証に失敗する2大パターン
    1 検証をしない「やりっぱなし派」
    2 検証しかしない「形から入る派」
 ステップ KGIの達成率を確認する
 ステップ KPIの達成率を確認する
 ステップ KDIの達成率を確認する
 ステップ できなかった要因を突き止める
   KDIが計画通り推移していないとき
   KPIが計画通り推移していないとき
   KGIが計画通り推移していないとき
 ステップ できた要因を突き止める
 検証精度とスピードの関係
 「気づき」があったらそれはC
 考え抜いた結果のミスはOK
  鬼速クエスチョン検証編

7章 調整:検証結果を踏まえた「改善」と「伸長」
 ADJUSTの体系的理解が難しいわけ
 ステップ 検証結果を踏まえた調整案を考える
   ケース1 ゴールレベルの調整が必要そうなもの
   ケース2 計画の大幅な見直しが迫られるもの
   ケース3 解決案・DO・TODOレベルの調整が必要そうなもの
   ケース4 調整不要
 ステップ 調整案に優先順位をつけ、やることを絞る
 ステップ 次のサイクルにつなげる
 検証と調整フェーズでよく起こる間違い
    1 新しいものに目移りしやすい(個人)
    2 間違ったものばかりに目が行く(個人・組織)
    3 意見の統一がはかれない(組織)
    4 課題のたらい回し(組織)
    5 プロセスの可視化が不十分(組織)
  鬼速クエスチョン調整編

8章 チームで実践する鬼速PDCA
 PDCAを鬼速で回す必要条件
 鬼速で課題解決するための「半週ミーティング」
 3日ごとの前進度合いを可視化する「鬼速進捗管理シート」
 知見を集積するための「なるほどシート」
 非緊急領域を定着化させる「ルーチンチェックシート」
 有志によるPDCAワークショップ
 鬼速PDCAコーチング
  鬼速クエスチョンコーチング編

おわりに
付録 鬼速PDCAツール
10分間PDCA記入例

4844377493

横山秀夫氏の名著『64(ロクヨン)』の映画化。原作が素晴らしかっただけに、どのような作品になっているのだろうかと、ドキドキしながらの視聴。原作がよいものというのは、ドラマや映画化されて、がっかりすることが多いので、あまり見ないようにしているのだが、米国行きの飛行機の中で他に魅力的な映画がなかったこともあり視てみることに。

キャストについては、公式HPから引用しよう。

かつては刑事部の刑事、現在は警務部の広報官として、昭和64年に発生した未解決の少女誘拐殺人事件、通称「ロクヨン」に挑む主人公・三上義信に、日本映画界が誇る名優・佐藤浩市。三上の部下として奔走する広報室係長・諏訪に綾野剛。諏訪と共に三上を支える広報室婦警・美雲に榮倉奈々。広報室と対立する県警記者クラブを取りまとめる東洋新聞キャップ・秋川に瑛太。「ロクヨン」事件被害者の父・雨宮芳男を永瀬正敏。三上の刑事時代の上司で、かつて「ロクヨン」追尾班長も務めた捜査一課長・松岡勝俊に三浦友和。そのほか、夏川結衣、緒形直人、窪田正孝、坂口健太郎、椎名桔平、滝藤賢一、奥田瑛二、仲村トオル、吉岡秀隆、などベテランから若手まで主演級の俳優陣が、いずれも物語の重要な役柄として出演。さらに、エンディングで流れる主題歌「風は止んだ」を担当したのは小田和正。そして、『ヘヴンズ ストーリー』(2010年)で「第61回ベルリン国際映画祭」国際批評家連盟賞を受賞するなど世界的にもその実力が評価されている鬼才・瀬々敬久が監督を務めた。

飛行機の中は、もっぱら読書に充てるのが常なのだが、今回は揺れがひどくて読書がままならず。やむを得ず視始めた作品だったのだが、思わず引き込まれてしまった。しかしながら視始めたタイミングが悪く、往路で前編、復路で後編を視聴した。

前編がなかなかの迫力だったので、後編も楽しみにしていたのだが、結果から言うとラストシーンが今ひとつ。敢えて原作とは異なるラストを持ってきたのであろうが、原作の余韻を持たせた終わり方の方がよかったように感じる。恐らく、原作通りでは「分かりにくい」という感想を抱く人が多いから、このような結末にしたのではなかろうか。私のような本読みからしてみると、何となく馬鹿にされたようにも感じてしまい、とても残念だった。

分かりやすい作品が名作とは限らない。さほど難解な作品でもないのに、なぜあのラスト?と感じてしまうのは私だけであろうか?

◇1491 『ビジネススキル大全−2時間で学ぶ「成果を生み出す」全技術』 >藤井孝一/ダイヤモンド社

この手のノウハウ本からは卒業、と思いつつ、面白そうな本があるとついつい手に取ってしまう。まぁ半分趣味ですな。一応今回は、会社で勉強会を始めたので、そのネタにもなるかなと思って購入したもの。筆者の藤井さんについては、以前からビジネス書書評の第一人者としてお名前は知っていたが、本を出すとは素晴らしい。私も長年ブログを書き続けているが、いずれは本など出せるだろうか?

『ビジネススキル大全』と、なかなか派手で購買意欲をそそるタイトルだが、中身はいたってベーシックなもの。私もたくさんのビジネス書やノウハウ本を読んできたので、どこかで聞いたことのあるものが大半であったが、このように体系化するというのは、なかなか難しいもの。目次を眺めているだけでも参考になる。

取り立てて引用するところは多くはないが、気になったキーフレーズと、読んでみたいと思った参考図書を列挙しておきたい。

・ビジネスパーソンにとって読書は素振り。

・プレゼンはストーリーで語る。

・脳が冴える基礎的な習慣。(1)生活のリズムをつくる。朝の散歩など。(2)試験を受けている状態を保つ。時間の制約を設けて作業に取り組む。(3)睡眠中の整理力を利用する。夜に勉強して、しっかり眠る。


■推薦図書

・『本を読む本』 >M・J・アドラー/講談社

・『アイデアのちから』 >チップ・ハース/日経BP社

・『コーチングのすべて』 >ジョセフ・オコナー/英治出版

・『NLPのすすめ』 >ジョセフ・オコナー/チーム医療
 (※NLP=Neuro, Linguistic, Programming。神経言語プログラミング。感情、思考、行動をコントロールすること)

・『アドラー心理学入門』 >岸見一郎/ベストセラーズ

・『自分の小さな「箱」から脱出する方法』 >アービンジャー・インスティチュート/大和書房

・『さあ、才能に目覚めよう』 >マーカス・バッキンガム/日本経済新聞出版社

・『仕事は楽しいかね?』 >デイル・ドーテン/きこ書房

・『「原因」と「結果」の法則』 >ジェームス・アレン/サンマーク社



【目次】

第1章 問題を素早く解決するための「思考法」
第2章 学びを稼ぎにつなげる「発想法&読書術」
第3章 スキルを使いこなすための「ビジネス基礎力」
第4章 重要なことに集中する「自己管理法」
第5章 ヒットを作り出す「コンセプト設計/戦略」
第6章 人間関係を円滑にする「コミュニケーション術」
第7章 人を動かしチームで成果をあげる「マネジメント法」
第8章 成功と幸福を導く「人生設計術」
第9章 秘めた思いを形にする「自己実現法」
第10章 潜在意識を変えて富を手にする「成功哲学」

4478065780

今回は、できるだけ日常の風景もカメラに収めようと、いろいろなところで写真を撮ってきた。訪問したのは10月末で、大統領選挙の直前。ハリウッドではトランプ支持者の運動も繰り広げられており、アメリカを感じた。しかしながら、現地に住んでいる普通の米国人に聞くと、どちらも今ひとつだが消去法でヒラリー、という人が大半だった。トランプ勝利に一番驚いているのは、普通の人々ではなかろうか。

銃がスーパーマーケットで売られているのにもびっくり。カラフルなおもちゃのような銃だが、きちんと殺傷能力があるという。399.99ドルというと、4万円程度。米国の一部の人にとって、銃は自由や独立の象徴とのことだが、こうやって目の当たりにすると、怖いと思ってしまう。

もう1つ印象的だったのは、UBERが想像以上に浸透していること。その存在は知っていたが、実際にスマホの画面を見せてもらったり、UBER車に乗ったのは初めて。便利だし安価だし安全だし、と三拍子揃っているとのこと。下の4つ目の写真のように、空港にはライド・シェア専用の乗り場も用意されている。

空港からホテルなど、合計10回程度は利用しただろうか。運転手と雑談をすると、まだUBERのドライバーを初めて2週間という人もいた。スマホアプリがカーナビを兼ねているから、本当の素人でも大丈夫なようだ。ドライバーを専門にしている人もいれば、昼間は別の仕事をもっていて夜だけ運転手という人もいる。人種もさまざまで、女性のドライバーも多い。

日本は規制が厳しくてUBERが浸透していないというと、信じられないというような反応。こうやって、ITの世界でもガラパゴス化していくのだろうか。ひょんなところで、日本の先行きに不安を感じてしまった。

【ハリウッドで見かけたトランプ支持の看板】
image

【なぜか打ち捨てられていたポケモンの着ぐるみ】
image

【こんな看板もアメリカっぽい】
image

【Ride Sharingの看板・UBERのPickupポイントだ】
image

【ハロウィーン間近の地元スーパー】
image

【昆布茶?】
image

【スーパーで売られているカラフルな銃】
image

【何だか分からないがI NEED YOU】
image

2014年8月から約2年ぶりにアメリカを再訪。今回は西海岸中心。初日は日曜日の移動だったのだが、時差の関係で現地についても日曜の午後。現地の方のはからいでハリウッドを訪問。

木曜日の朝は早起きして、フィッシャーマンズワーフへと足を伸ばした。時差ぼけと風邪気味でしんどかったけど、現地の方とも旧交を温めることができて、充実した旅程であった。

【LAの街並み】
image

【有名なHOLLYWOODの丘】
image

【米国で住みたい街NO1のポートランド】
image

【サンフランシスコの街並み】
image

【フィッシャーマンズワーフからみたアルカトラズ島】
image

【坂道を行く路面電車】
image

最近、WOWWOWのドラマをよく視る。少し前まで、ワンクールに一つ程度、お気に入りのドラマを探して、毎週楽しみにして見ていたのだが、だんだん年を取ると気が短くなるのか、ドラマなども一気に視たくなってしまう。また、ワンクールの10〜12話を続けてみるのが、少々長く感じてしまう。

そんな中、WOWWOWのドラマは、大半が一挙に放送してくれるし、回数も5回のものが多く、手ごろなのだ。しかも、最近のWOWWOWドラマはクオリティも高くて、俳優も有名どころがたくさん登場する。

今回視たのは高村薫原作の『マークスの山』 原作がかなり面白いので、そのストーリーに沿ってきちんと描かれており、それなりに楽しめたのだが、残念ながら原作の持つ圧倒的な迫力・圧力を感じることはできなかった。クライマックスでは感情移入して涙するかと思いきや、最近緩くなった涙腺は反応しなかった。

原作が素晴らしすぎると、このようなことがたまに起こってしまう。そういえば原作はこのブログを書き始めた記念すべき第一作目。ということはもう10年以上も前になるのだ。『マークスの山』は単行本と文庫本とで、改稿がなされており、微妙な描写が異なっている。いまだに手元に置いてあるのだが、そのうち再読してみたいものである。

トランプ氏の大統領選勝利をきっかけに、どうしてこんなことになっているのかを、考えてみた。私なりの結論は、グローバル化が伸長したことにより、自国民の権益が侵されるのではないかという危機感が高まり、結果として自分のことしか考えられないような政治家や国民が増えたのではないか、というもの。

よく、ヒト・モノ・カネ・情報を4つの資源というが、グローバル化の伸長でこれらのすべてが国境を越えて行き来するようになってきている。

まずヒトだが、LCCのような格安航空の発展で、安価に移動ができるようになった。また、ビザ申請の相互緩和や、ヨーロッパのシェンゲン協定協定のようなパスポートフリーの制度が浸透し、国境という壁が低くなったことも一因であろう。さらにはインターネットの発達により、インプット作業やコールセンターのように移動を伴わなくてもすむような仕事は、安価な労働力を活用できる国に流れていくようになった。

モノに関しては、コンテナ船の大型化と港湾の機械化によって、大量の貨物が安価に行き来するようになった。また、これもインターネットの発展により、海外の品物を個人が簡単に注文できるようになった。さらには、音楽や映画など、従来はCDやDVDといった媒体を必要としたコンテンツが、デジタル化され、オンデマンド配信されるようになった。

カネに関しては、ビットコインのような電子マネーが普及し、海外送金を安価な手数料で実行できるようになった。また、ネットバンキングやネット証券が一般化し、金融取引に関しては、実質的に店舗が不要になった。つまり、他国の銀行や証券会社であろうと、海外からでも簡単に利用できるようになったのである。

情報に関しては言わずもがな。インターネットの普及により情報は他の資源に先駆けてグローバル化したが、スマートフォンがこれに拍車をかけている。つまり、従来は中間層以上しか持つことのできなかったパソコンやインターネット環境が、スマホの普及により、低所得層であってもWEB空間とつながることができるようになったのだ。

よくよく考えてみると、これらの変化はこの10〜20年程度で起こったものが大半である。これほどの大きな波が、一気にやってきてしまうと、それに適応できない人が出てくるのは当然のこと。今回の米国大統領選は、グローバル化に対してなんとなくアレルギー反応を持っている人たちの、本音が垣間見えたものではなかろうか。

果たして今後、世界はクローズドの方向へ反転するのか、はたまたグローバル化の波は止めることができないのか。個人的には、しばらくは玉虫色の状態が続くのではないかと感じているが、自分の身を守るためには、グローバル化の波に備えておいた方がよいように考えている。この波に取り残されるということは、今の生活基盤が大きく揺らいでしまうことを意味するかもしれないから。

アメリカの大統領選の結果には驚いた。まさかトランプ氏が当選するとは。英国のブレグジットも意外だったが、それ以上の驚き。勝利宣言の演説は比較的まともだったので、大統領就任後には、きちんとした政治をしてもらいたいものである。

もし選挙戦での発言通りの政策を実行したならば、それこそ第三次世界大戦を招きかねないと危機感を抱いてしまう。まさかとは思うが、最悪のシナリオはこんな感じ。

まず、米軍が沖縄から撤退する。米国は世界の警察の座から降りて、自国の防衛は自国で行うべきだと主張しているからだ。これによって、アジア地域における米軍のプレゼンスがなくなり、中国が今以上に台頭してくる。南シナ海の人工島を拡大するとともに、フィリピンとは相互不可侵の関係を築く。そうしておいて、まずは香港を完全に中国化し、一国二制度を廃止。次に台湾へ侵攻。台湾を併合した後は、観光資源を求めて沖縄へ侵攻してくる。日本はきれいごとを言っている場合ではなくなり、やむを得ず憲法第9条を修正。自衛隊が日本国軍となり、核武装へ向かう。

また、韓国も米軍の後ろ盾を失い、北朝鮮がさらなる挑発を行う。威嚇射撃であったはずのミサイルが、性能不足によりソウルの市街に落ちてしまう。韓国と北朝鮮が一触即発に。韓国のTHAADに反対していた中国も、北朝鮮に加勢する。日本と韓国は、同じ敵である中国・北朝鮮連合を前にするも、歴史的わだかまりから手を握ることができない。

一方、すでにシェール革命によって石油の確保が重要課題ではなくなり、徐々に距離を置きつつあった米国は、中東との関係がさらに疎遠になる。米国の後ろ盾を失ったイスラエルがさらなる軍備強化に走る。加えて、米国の顔色を窺う必要がなくなったロシアのプーチンと、トルコのエルドアンとが、自国の軍備を強化するとともに、支配国を増やそうと、局地的な侵攻を始める。

ロシアとトルコは中国を味方につけようと、画策しながら、三つ巴の状態に陥っていく。かくして、ロシアVSトルコと、中国・北朝鮮VS日本・韓国という局地戦が同時に勃発。北方領土問題が解決して距離が縮まった日露が手を結び、日本・韓国・ロシアVS中国・トルコ・北朝鮮、という新たな世界大戦がはじまる。。。その間隙を縫ってイスラエルが中東の覇権を握ろうとして、戦線はさらに拡大していく。。。

もう一つ、過去の大戦と異なるのが少数民族の動き。大国が、大国間の戦争に気を取られている隙を見て、少数民族がゲリラ戦を始める。トルコに対するクルド人、中国に対するチベット、イスラエルに対するパレスチナなど。かくして、大戦とゲリラ戦やテロが混在する、血みどろの戦いが繰り広げられる。

兵器の進歩も気になるところ。初期の段階では、さすがに各国とも核兵器の使用には躊躇するが、ドローンによる攻撃、生物化学兵器による攻撃などを繰り広げる。また、大規模核兵器は使用されないまでも、局所的な核は使用されるかもしれない。。。

まぁこんなシナリオはあり得ないのであろうが、中国、ロシア、トルコといった大国が、かつての帝国主義のような政策を打ち出していることを考えると、本当に怖くなってしまう。70年前と同じ過ちを犯してもらいたくはないものである。

◇1490 『蒼き狼』 >井上靖/新潮文庫

背表紙あらすじ:遊牧民の一部族の首長の子として生れた鉄木真(テムジン)=成吉思汗(チンギスカン)は、他民族と激しい闘争をくり返しながら、やがて全蒙古を統一し、ヨーロッパにまで及ぶ遠征を企てる。六十五歳で没するまで、ひたすら敵を求め、侵略と掠奪を続けた彼のあくなき征服欲はどこから来るのか?―アジアの生んだ一代の英雄が史上空前の大帝国を築き上げるまでの波瀾に満ちた生涯を描く雄編。

中国出張時の飛行機の中で読み進めたもの。やはり中国出張には中国の物語が似合うかなと思い、蔵書よりピックアップ。今読まなければと思っている積読本は、大半が単行本で重くかさばるので、時間が出来たら読もうと思っていた文庫本から選択した。

蒙古の歴史というのは、意外と記録が残っておらず、資料収集に苦労したとのこと。その苦労の甲斐あってか、非常に緻密かつ壮大な物語に仕上がっている。さすが井上靖さんの作品、読み応えたっぷりであった。

中国の歴史については、それなりに学習したつもりであったが、何となく蒙古というと異民族という感が強く、あまり興味を持っていなかった。今回改めて蒙古の歴史に触れ、広くヨーロッパにまで触手を伸ばしたその勢いには感嘆せざるを得なかった。本書では主人公・成吉思汗(=鉄木真)の出生の秘密をサブ・テーマにして物語が展開していくが、歴史の綾と主人公の心情の変化とが、うまく重なり合って、物語に重厚さを加えている。

難点は人物の名前が覚えにくいことであろうか。カタカナ表記であり、似たような名前がたくさん出てくるため、正直、混乱しながら読み進めた。途中から、初めて出てくる人物のページには折り目をつけて読み進めたのだが、冒頭に人物一覧が付されていると分かりやすかったであろう。そのぐらい自分で作れよと言われそうな贅沢な要求であるが。

上海からの復路は深夜便だったので、飛行機の中で爆睡。結果として帰りの飛行機では読書ができず、出張だけでは読み切れなかった。帰国後、残りの100ページほどを一気に読了。歴史の本を読むときには、いつも感じるのだが、一人の人物が一生を終えるさまというのは、たとえそれがハッピーエンドであっても物悲しいもの。本書など、成吉思汗の息子たちが彼の後を継いで、一大帝国を形成していくのだから幸せな終わり方なのであろうが、何となく虚しさを感じてしまうのはなぜであろうか。

たとえ壮大な国の建国者となっても、死んでしまえば一人の人間。そういうことなのであろう。

4101063133

仕事が忙しかったり、風邪をひいてしまってパソコンに向かう気力がなかったりして、またもや更新が滞ってしまった。まぁ無理せず続けることが大切。という訳で、書きやすい話題から適宜エントリーしていきたい。まずは9月末に訪れた中国出張時の備忘録を。

今回訪れたのは蘇州。上海経由で高速鉄道に乗って。帰任してからは一度も訪れたことがなく、なんと4年ぶりの中国。上海の街並みはさほど大きな変化を感じなかったが、蘇州は様変わりしておりびっくり。新しく建てられた建物も多く、清潔感溢れる街並みだった。

極々短い滞在だったので、じっくりと街を見て回ることはできなかったが、久しぶりに中国の風に触れて懐かしさも一入。帰りの飛行機に乗る前に、以前勤務していた上海の事務所にも立ち寄ることができ、懐かしい顔ぶれに挨拶することができた。

実際に暮らしているとあまり意識しなかった、何気ない風景が、出張などで訪れるととても大切に思えるもの。写真は、当地で生活していると見過ごしてしまいそうな街の一角。

【上海駅・ここから高速鉄道に乗り込む】
image

【上海駅の待合室・春節にはこの大きなスペースがいっぱいになるのだ】
image

【ホテルから見た蘇州の風景・今も建設工事が進んでいる】
image

【帰りのタクシーからの上海の夜の街・相変わらずの不夜城ぶり】
image

すっかり忘れていた写真のアップ。こちらは9月の3連休でとんぼ返りで帰省したときのもの。久しぶりに会う父親は随分と老け込んでいて、ちょっと心配。その反面、父の束縛から解放されたからか、母親はやたらと元気だった。

その母と訪れた近江八幡の新名所。「たねや」という今や全国展開して有名になった和菓子屋さんが、ビオトープ的な販売店をオープンしたもの。「ラコリーナ」とはイタリア語で「丘」という意味だそうだ。ジブリの映画に出てきそうな、のんびりした風景と建物。思わず、まっくろくろすけを探してしまいそう。

カステラを焼く調理場と、それを食べることができる喫茶店、その他たねや製品の売店などが入っている棟と、事務所棟とが併設されている。自然を感じられる素晴らしい建築物なのだが、職業柄、いくらかかったのかが気になってしまう。投資金額は?回収計画は? これでは楽しめないなぁ。

【販売店と喫茶店】
image

【こちらが事務所棟】
image

このページのトップヘ