Namuraya Thinking Space

― 日々、考え続ける。 ―

和食を世界の文化遺産へと働きかけた張本人。文化遺産に登録されてめでたしめでたしではなく、文化遺産に登録されるということは絶滅危惧種だという危機感を持ってほしいとのこと。和食に対する深い思い入れとともに、合理的な考え方も非常に先進的で参考になった。気になった点を記録しておきたい。

・若い人には不合理な精神論を押し付けるのではなく、合理的に丁寧に教える。その方が人が育つ。修業がつらくてモンモンとしている状態をやめさせたい。

・機械でできるものは機械にやらせればよい。修業と称して、若者に2時間かけてゴマをすり潰す作業をさせたりしてきたが、今ならフードプロセッサーで数分でできてしまう。

・イチジクを加熱することで八丁味噌と同じ味を作り出した。科学的な成分を知っているからこそ、たどり着くことができた味。これから和食を世界に広げようとすると、味噌がない醤油がないといった素材のない場所でも代替品を探して展開していかなければならない。

・料理とは「理を料りさだめる」と書く。相手がどうすればおいしいと感じてくれるか、喜んでくれるかを考え抜かなければならない。

・実績と才能があれば威張る必要がなくなる。自信がない人が威張っている。


たまたまこの後に連続して見た、無添加パンを広めている、おかやま工房社長の河上祐隆さんは、素人でも簡単においしいパンが作れる手法を広めている。また、最近見た、東京すしアカデミーも同じ発想から来ている。(村上龍さんがこの手の話が好きなのだろうか?)従来、盗んで覚えよ、とされてきた料理や調理の世界に合理性を導入して、自分で得た知識を広めようという動きは、私の専門である経理の仕事にも通じると感じている。




【番組ホームページより】

京都の老舗料亭「菊乃井」。料亭といえば一般的に縁遠いイメージのある世界だが、三代目主人である村田吉弘は「料亭の基本は飯屋。普通の人が普通に働いて、人生の節目の日に少しだけ贅沢な気分を味わえる。それが菊乃井」と言う。そんな村田はこれまで、料亭としての伝統を守りつつも、従来の常識を変え続けてきた。それは料理の手法から人材育成に至るまで多岐に渡る。料亭という世界の中で異彩を放つ菊乃井、その全貌に迫った。

◇1524 『貝と羊の中国人』 >加藤徹/新潮新書

『鷲の人、龍の人、桜の人』と一緒に購入したもの。この手の本は、関連の深いものを一気に読むと、比較ができて面白い。本書も中国人の考え方について述べたものである。2006年に出されたものであり、駐在前に読んでおくべきだったと、少し反省。

さて、本書で一番言いたいのはずばりタイトルに表れている通り、中国には「貝」つまりお金に関する考え方と、「羊」つまり理想を追求する考え方とがあるという点。本書でも、貝の文化と羊の文化とが比較されているので、引用してみたい。

・貝の文化
 殷人的・農耕民族的
 本拠地は東方・東南の地
 多神教的
 有形の物財を重んじる
 老荘的=道教的
 財・費・貢・貨・貪・販・貴・貸・貰・貯・貿・資
 ホンネ

・羊の文化
 周人的・遊牧民族的
 本拠地は西方・西北の内陸部
 一神教的
 無形の「主義」を重んじる
 孔孟的=儒教的
 義・美・善・祥・養・儀・犠・議・羨
 タテマエ


ホンネとタテマエを使い分けるというのは、反日運動にも表れているという。政府の愛国教育は「羊」で、日本との経済関係は維持したいというのは「貝」の部分だとか。

この他にも、歴史や地政学的な見地からもいろいろと分析しており興味深い。10年前の本だが、中国人の本質がすぐに変わるわけでもなく、今読んでも参考になることが多いであろう。中国へ駐在する方や中国人とビジネスをされる方は一読されてもよいのではなかろうか。

最後に、「人口増減と王朝の寿命」という興味深い分析があったので、引用しておきたい。

「建国期」ある王朝が建国すると、「小さな政府」のもと、民を休ませる政策をとる。平和が続き、人口増加率はプラスに転じる。経済政策では農業が重視され、商工業の過熱は抑制される。文化では、質実剛健の気風がたっとばれる。

「最盛期」人口が増え、税収も増える。政府は、官僚や軍隊の数を増やし、「大きな政府」になる。農地の開墾も進められるが、人口の増加には追いつかない。経済は商業が発達する。文化は、雄大なものがたっとばれる。

「中期」人口が増えすぎ、農民は困窮する。先覚者は破局の到来を警告し、政府もあれこれ改革案を打ち出すが、どれも成功しない。経済は停滞する。商人は寡占化をもくろみ、官僚は腐敗する。文化では、社会不安を直視する作品が増える。

「晩期」破局の予感のもと、あやしげな宗教や迷信がはびこり、農民反乱が頻発する。農業も商業も行きづまり、文化は頽廃と爛熟の美を追求するようになる。文明の衰退に乗じて周辺民族も侵攻を開始する。王朝は滅亡する。

「調整期」群雄割拠の戦乱のなか、飢饉や疫病のせいで乳幼児死亡率が高まり、平均寿命も低下し、人口が激減する。最後に勝ち残った英雄が、天下を再統一し、新王朝を建てる。こうしてサイクルの最初にもどる。




【目次】

第1章 貝の文化 羊の文化
第2章 流浪のノウハウ
第3章 中国人の頭の中
第4章 人口から見た中国史
第5章 ヒーローと社会階級
第6章 地政学から見た中国
第7章 黄帝と神武天皇
終章 中国社会の多面性

4106101696

最近、面白い夢を見ても忘れてしまうことが多いので、枕元にメモを置いておき、内容を書き留めることにしてみた。ふと夜中に目が覚めて面白い夢をみたと思っても、なかなかメモに書き留めるのは難しく、そのまま寝てしまうことも多いのだが。

今回はたまたま目が覚めた時にトイレに行ったので、その勢いでメモを記入。朝目覚めてみると、枕元に次のようなメモが。

「古い機械、減価償却、安く買う」
「アイスクリームへのオマージュ」

メモを読み返しただけでは、何のことやら分からない。必死に思い出してみると、アイスクリーム工場に見学に行き、そこで全自動のアイスクリーム製造機を見てびっくり。これが欲しくなってしまい、古い機会なのだから減価償却も終わっているだろう、安く譲ってもらえませんか、と工場長らしき人と交渉したのを思い出した。夢で減価償却のことを考えるなんて、工場での仕事が板についてきたということだろうか?

しかしながら、なぜ「オマージュ」なのか。これはいまだに謎である。

◇1523 『「昭和」を振り回した6人の男たち』 >半藤一利/小学館文庫

本書は1995年に戦後50年特別講座として開催されたものを編集したものだそうだ。歴史に明るい6名の方が、昭和史に足跡を残した6名を選出して、物語っている。編集責任者である半藤さんがおっしゃっていることだが、話す内容は各人各様であり、それぞれ意見が食い違うところもあるとのこと。そんな意見の食い違いも、矛盾しているではないかと目くじらを立てるのではなく、こういう見方もあるのだと、多面的な意見に触れる機会だと思い楽しんで読み進めた。

取り上げられている6名は下記の目次の通り。なかなか個性的な選択であるが、どちらかというと悪役的に思われている人物が多いであろうか。昭和史に関しては、何冊かの本を読んできたので、ようやく頭に入ってきた気がする。細かな箇所で未知の情報は多いものの、大筋は理解しており、すらすらと読み進めることができた。(最近、世界史の本などを読むのが苦痛に感じることがあるが、やはり知っている内容を読むのと、未知の内容を読むのとでは、これほどまでに読書のスピードや理解度が異なるものかと改めて思い知った)

「意見の食い違い」の最たるものは、昭和天皇に戦争責任があったか否か、であろう。あったという人もいれば、なかったという人もいる。個人的に一番妥当かなと思った意見は、戦争責任はあったが、非常に限定的であった、というもの。また、あのタイミングで戦争を終結させたのは聖断があったからこそであり、その点もきちんと考慮に入れるべきであろう。

よく理解できなかったのは吉田茂。筆者の夏堀氏は「最強にして最悪」と述べており、少し偏った見方をされているようにも感じてしまった。良し悪いしはあるにせよ、戦後日本の経済成長のシナリオを描いたのは吉田茂であり、そのストーリーにのって行動経済成長を体現することができたといえよう。よくよく考えてみれば、狭い国土で資源もない人口わずか1億人程度の国が、よくもまぁGDPで世界2位の大国になれたものである。歴史に名を残すような人には、それぞれ功罪があると思うが、功の部分と罪の部分とを、冷静に比較してみる必要があるだろう。そういった意味で、吉田茂については、もう少しきちんとした書籍を読んでみたいと思った。



【目次】

序章 日本人を振り回した六人―歴史が転回するとき(半藤一利)
第1章 満蒙に理想は実現せず―世界最終戦論と石原莞爾(利根川裕)
第2章 “綱渡り外交”が遺したもの―三国同盟と松岡洋右(土門周平)
第3章 戻せなかった歴史の歯車―太平洋開戦と東条英機(桧山良昭)
第4章 「米内を斬れ」に込められた思い―戦争終結と阿南惟幾(半藤一利)
第5章 「日本人はまだ十二歳の段階である」―東京裁判とマッカーサー(保阪正康)
第6章 戦後最強にして最悪の総理大臣―戦後日本と吉田茂(夏堀正元)

4094057617

10月くらいから急に忙しくなって、しばらく見るのを中断していた『真田丸』。それまでは、毎週末を楽しみにしていたのだが。そうそう、ちょうど草刈正雄さん演じる真田昌幸が晩年を迎えるあたりから見なくなってしまったのだ。

最終回が終わってから1カ月。10月から3カ月分が溜まっていたので、正月休みなども利用しながらようやく見終えた。主役は堺雅人さんだが、前半はほとんど草刈さんが主役のような存在感。また、中盤では小日向文世さんの秀吉や、内野聖陽さん演じる家康が目立っており、堺さんも頑張ってはいたものの、今回はちょっと気の毒な配役だったかもしれない。

さて、ラストのクライマックス近くを変なタイミングで見たからであろうか。今ひとつ、盛り上がりに欠けるように感じてしまった。三谷さんの好みなのであろうか、合戦の戦闘シーンが少なく、城の中での談義・評議が多い。これはこれで面白いのだが、やはり迫力ある合戦のシーンも楽しみにしていたので残念。しかも、予算の都合であろうか、合戦をテレビゲーム「信長の野望」風のCGで説明して終わりというパターンが多く、ちょっと拍子抜け。

全編を通して、歴史上明確に記録が残されていないシーンでは、三谷さんの筆が進んで、非常に面白いフィクションも入り込んでおり、喜劇としては十分に楽しめた。さすがだなぁと思う場面展開やセリフもたくさんあった。しかしながら、大河ドラマとしては、申し訳ないが前作の『新選組!』の方がカタルシスがあったと思う。

号泣とまではいかなくとも、どこかでジーンとくるシーンがないかなと思っていたが、そういった場面もなく。淡々と終わってしまった。1年間というと非常に長い時間。せっかく一緒に時を過ごしてきたのに残念であった。。。

◇1522 『鷲の人、龍の人、桜の人−米中日のビジネス行動原理』 >キャメル・ヤマモト/集英社新書

中国駐在時に雑誌で見かけて、いつか読んでみたいと思っていたのだが、機会を逸していた。この度、古本屋で見かけたので遅ればせながら購入。簡単に読める内容でもあり、1時間ほどで一気に読了。

筆者はアメリカと中国に実際に住んだ経験があり、その地での友人も多い。そんな筆者自身の経験や友人を通じての観察をまとめたもの。ステレオタイプに決めつけてはいけないと、前提条件を提示しつつも、国籍の違う人たちの行動原理、つまり行動の背景にある考え方や文化を学ぶことは大切だと説いている。

そんな筆者がステレオタイプになることを恐れず、あえて類型化している結論は次の通り。

■アメリカ人
・基準を作る人、作った基準は馬鹿正直に守ろうとする。
・お金観:リッチという図式
・キャリア観:アップ・オア・アウト
・組織的仕事観:「分ける」→役割分担を明確にする

■中国人
・仲間=圏子(チュエンツ)が大事、国や組織をあてにせずリスク分散を意識
・お金観:「学歴圏金」=学習・キャリア(経歴)・圏子に投資する
・キャリア観:リスク分散=副業や転職によって1社に依存するリスクを避ける
・組織的仕事観:「はしょる」→老板が絶対的存在、役割を分けるが老板の裁量でうまく捌く
 
■日本人
・場を大事にする。自分を抑えて集団の理論を優先させる。他人に迷惑をかけることを嫌う。
・お金観:「結果金」=お金は目指すものではなく努力や成功の結果ついてくるもの
・キャリア観:職人染色=ある一つの会社で、その会社の色に染められていく
・組織的仕事観:「合わせる」→すり合わせの文化、役割分担が明確でなくとも阿吽の呼吸で対応

■その他
・アメリカ人は事例を分解する(演繹的・抽象的)。中国人は事例からしか考えない(帰納的・具体的)。
・中国人は、1人は龍だが、10人集まると蛇になる。日本人は、1人では蛇だが、10人集まれば龍になる。


改めてアメリカや中国の同僚とのやり取りを振り返ってみると、なるほどと腑に落ちる点もいくつか。もちろん、それぞれ各人の個性もあるので、ステレオタイプに当てはめてはいけないのだが、こういった背景を知っておくのと知らないのとでは雲泥の差が出てくるもの。接する国の歴史や文化を知ることの大切さを再認識した。



【目次】

序章 アメリカ人と中国人と日本人の行動文法
第1章 お金とのつきあい方に表れる三つの国の国民性
第2章 キャリア観に表れる違い
第3章 組織に表れる違い
第4章 日本企業・人としてどうするか?

4087203816

日経新聞[2016.09.01〜09.30]私の履歴書・安部修仁

吉野家の社長・安部修仁氏の履歴書である。当時、アルバイトから社長になったと話題になったが、若いころはロック・ミュージシャンを目指すなど、普通のサラリーマンとは一線を画したユニークな経歴。そんな経歴と相まって、吉野家という企業自体も更生法を適用したり、BSEで食材の調達が困難になったりと波乱万丈。こういった経験をすると、多少のことでは動じなくなるだろうなと思いながら、疑似体験するつもりで読み進めた。

筆者自身も語っていることだが、創業者で「親父(おやじ)」と呼ぶ松田瑞穂氏の言葉が印象的だった。経営の神髄を端的に表しているので、一部を紹介させていただこう。

「一つのことに一番になれ、一つのことを極めろ」

「しかるべきことを、しかるべき人に、しかるべき場所で、しかるべき時に話すこと。報告をし、判断を仰ぐ相手は常に直属上司一人。でないと組織は混乱する」

「褒めるときは大勢の前で、叱るときはその人だけに」

「55歳からが勝負だぞ。そのために20代、30代、40代なりの生き方がある。社会人として影響が小さいうちに多くの挑戦と失敗を重ね、能力と信頼を蓄積し55歳から花を咲かせればいい」

「あった方が良い程度のものならない方が良い。変えることを考える前に、何を変えてはいけないかを考えろ」

◇1521 『新・リーダー論−大格差時代のインテリジェンス』 >池上彰・佐藤優/文春新書

『新・戦争論』の書評を12月に書いたばかりなので、自分の中では頻度高く出版するものだと思ってしまったが、発行日を見ると、2年の間隔が空いている。本書は比較的新しい書籍なので、『新・戦争論』の方の読むタイミングを逸していたということであろう。相変わらず、鋭い切り口での対談だが、語られているテーマに関しては、私自身も気にしているものが大半であり、ウォッチすべき事象の「取りこぼし」というのは随分と少なくなってきた。

『新・戦争論』の書評にも書いたことだが、個別の事象をスクラップのように抜き書きするのはやめて、本書で得た知識を脳のバケツに放り込んでおくことにしたい。とはいうものの、気になった点が数か所あったので、そこだけ要約して記録しておきたい。

・トランプが大統領になったら逆説的に戦争は遠のくであろう。オバマはインテリだからむやみに戦争をしないであろうと、みんなが勝手なことをやってきた。しかしながら、トランプは何をするか分からないという怖さが抑止力になる。さらには「金持ち喧嘩せず」という理論もある。富を蓄積したものたちは、失うものが多く、戦争のリスクを望まない。(佐藤氏の見立て)

・皮肉なことに「平和」と結びつくのは、「平等」ではなく、「格差」。そして「平等」に結びつくのは「戦争」なのだ。戦争が起これば、金持ちの子供も庶民の子供も平等に戦争にいかざるを得ない。また、戦費を調達するために、累進課税性を取らざるを得ない。それが嫌なら格差を受け入れろという、皮肉なジレンマ。

・オバマの広島演説には様々なレトリックが隠されている。「空から爆弾が降ってきた」とせず「死が降ってきた」と表現することで、「誰が落としたんだ」という問い返しを封じ込めている。「広島と長崎は、同義的な目覚めの始まりとして記憶されるだろう」とネガティブな要素をポジティブに転換している。第二次世界大戦で6000万人が死んだと述べているが、ここでユダヤ人の被害に触れないとアメリカのユダヤ人やイスラエルが怒る。しかし、ユダヤ人という固有名詞を出すと「ほかにも犠牲になった民族がある」と批判されるので、さりげなく「ガス室に」という言葉を入れている。また「シリア内戦」を直接批判せず、「樽爆弾」という言葉を使って、シリア内戦の関係者にメッセージを伝えている。全体として主語がない文章で、謝罪というよりは、何か悲劇があったという言い方。しかし、これが原爆慰霊碑の「安らかに眠って下さい 過ちは繰り返しませぬから」という言葉と見事に呼応している。「謝罪を求めず、とにかく広島に来てください」という被爆者の思いと、これらの言葉が響きあっているように感じた。(池上氏)

・日本は原子力発電所を持つことで、核兵器を作る「能力」はあるが、「意志」はないことを、対外的に暗に示している。こういった背景があるから、原発全廃にはならないだろう。一方で、本気で核兵器を持つ、となると日本はウランを輸入できなくなるだろう。そうすると、原発に使うウランさえ輸入できなくなる。また、核武装しても、国土が狭いため隠し持つことができない。このような背景を考えると、日本の核武装は物理的に不可能である。


タイトルにリーダー論と銘打っているにもかかわらず、大半が国際情勢を語る内容であった。リーダーに関しては、本書の冒頭と最終章で少し触れられている程度。要するに、グローバル化が進み、社会が複雑化したため、求められるリーダー像も難しくなってきているという結論であろうか。

また、リーダーは個人としての能力を磨くことも大切だが、人間が「群れをつくる動物」であり「独りでは生きていけない存在である」ことを、再認識し、「組織」を意識したエリート教育が必要だと結ばれている。



【目次】

1 リーダー不在の時代―新自由主義とポピュリズム
2 独裁者たちのリーダー論―プーチン・エルドアン・金正恩
3 トランプを生み出したもの―米国大統領選1
4 エリートVS大衆―米国大統領選2
5 世界最古の民主主義国のポピュリズム―英国EU離脱
6 国家VS資本―パナマ文書と世界の富裕層
7 格差解消の経済学―消費増税と教育の無償化
8 核をめぐるリーダーの言葉と決断―核拡散の恐怖
9 リーダーはいかに育つか?

4166610961

日経新聞[2016.07.01〜07.31]私の履歴書・タニン・チャラワノン

日経新聞をスマホで読むようになってから、私の履歴書は保存しておいて後でまとめ読みをするようになってしまった。今回も昨年の7月のものを今頃読んでいるようなありさま。

さて、筆者のタニン・チャラワノンのことも、CP(チャロン・ポカパン)のことも、日本ではあまり知られていないのではなかろうか。最近、伊藤忠と大型提携をしたので、それで名前を知った人も多いかもしれない。私は、たまたま『島耕作のアジア立志伝』という番組でタニン氏のことは知っていたが、ここまで大きく歴史ある企業だとは知らなかった。

一番驚いたのは中国への進出の度合い。私が勤務していたことのあるシンセンにおける、外資企業第1号だとのこと。改革開放は経済特区から始まったといっても過言ではないが、その走りとして真っ先に手を挙げたのがタニン氏だったのだ。また、中国駐在の後半は上海の浦東で勤務していたが、すぐ近くにある正大広場が、CPグループの手掛けたショッピングモールだとは知らなかった。(CPグループは中国では「正大集団」と名乗っている) 大した話ではないが、少しでも自分にゆかりがあると急に親しみを覚えるものである。

タニン氏は中国生まれの華僑。華僑であるから中国でも成功できたと言えるかもしれないが、その発展の裏には「信頼」がある。当時漁村だったシンセンに進出したのはトウ小平を信頼したからだし、造船所しかなかった浦東への進出も朱鎔基を信頼したからだったとのこと。ちなみに、伊藤忠との提携も岡藤社長との信頼関係から始まったとのことである。

タニン氏の経営者としての力量が分かるような象徴的なエピソードを引用しておきたい。

・資本と経営の分離が必要。家族経営で株主に経営の手伝いをさせてはいけない。

・ニワトリに関して、飼料工場、ヒナを孵化させる施設、養鶏場、解体、加工工場を1か所に集積させる「究極の垂直統合」を実施。タイ国内だけですべてのプロセスを自前で手掛ける一貫体制を築き上げた。

・民間の経済活動を認めない文革時代の政策はやればやるだけ貧しくなった。物事は極端なところまでいけば必ず終わると父は考えていた。私も父とまったく同じ考えだった。

・文革の後の荒れ果てた広州を見たとき、通常であれば企業は進出をためらうであろうが、逆に「これはチャンスだ」と思った。米国や日本のように経済が発展した国に入り込む余地はないが、この時点には何もなく、自分たちで開発ができると考えた。

・タイ電話公社の独占状態を崩すべく、通信業界に参入。90年代のバンコクの固定電話の普及に貢献した。(NTTの独占を崩すべくKDDIとして参入した稲盛さんを思い出した)

・1997年のアジア通貨危機の際には、CPグループを守るために、スーパーマーケットのロータスなどグループ企業の株式売却を即決。これにより、農業・食品、通信、小売りの中核3事業に経営資源を集中させた。

・グローバル企業になればなるほど意識しているのが、「国を利し、民を利し、企業を利す」という社是。企業利益を第一に考えれば、国や人々の利益をないがしろにしかねない。誰からも支持を得られず事業は育たない。

・北京郊外では、ほとんど自動で稼働する鶏卵生産工場を設立。あたりの農村の住民には働き手ではなく、株主になってもらった。農村の所得向上に貢献できるとともに、将来の人手不足にも対応できる。

◇1520 『7つの習慣』 >スティーブン・R・コヴィー/キング・ベアー出版

自己啓発本の中でも名著中の名著とも言われる本書。雑誌などで7つの習慣の項目などは目にしたことはあったものの、原書については、ずっと読んだことがなく、そのうち読まなければと考えていた。随分前の本にも関わらず、古本屋では半額程度で販売されている。これだけ年数が経てば100円均一のコーナーに並んでもおかしくなさそうだが、いまだに根強い需要があるということだろう。

私も定価2000円のところを1000円で購入。買ったはよいものの、何となく読む気にならず、ずっと積読本になっていた。雑誌などの特集で、ことあるごとに目にする内容であり、読んだ気になっていたせいかもしれない。この度、蔵書の整理をしていて、さすがにそろそろ目を通さないと、と思いページをめくり始めた次第。

最初に書いておくが、結論として本書は通読しなかった。通読どころか、目次を眺め、本文をぺらぺらとめくっただけ。速読でもない。そんな私に書評を書く資格はないのだが、おそらく今後も読むことはないと思うので、本書を手放す前に備忘として記録しておきたい。

なぜ、読まなかったか。7つの習慣のうち、6つについては、すでにある程度意識しているから。意識しているだけで「出来ている」とまではおこがましくて言えないが、筆者の言わんとしていることは、何となく伝わってくる。できていない1つは「相乗効果を発揮する」という項目。この項については、今ひとつどういったことかイメージがわかなかったので、目を通してみたが、読んでもよく分からなかった、というのが正直なところ。

海外の自己啓発本によくあるのだが、延々と事例が続くパターン。本書もそのような感じがする。ずっと例示をしていき、結論・エッセンスは1〜2ページに集約されていることが多いのだ。であれば、雑誌などに記載されていた内容を理解していれば十分ということになるのかもしれない。

なんだか、こんな風に書いていくと、本書を批判しているようだが、そうではなく、今の自分には必要ないと感じたまで。今までさんざん自己啓発本に踊らされてきたわけだが(自戒と自虐を込めて)、元はと言えば、本書がそれら数々の自己啓発本のハシリといってもよい。私は、かなりの遠回りをして、ようやく原典にたどり着いたということであろうか。。。

20年前に本書を読んでいれば、多くの自己啓発本に手を出さなくても済んだかもしれないし、やはり数をこなさないと分からなかったかもしれない。歴史にifはないと言うが、人生にもifはないのだ、などとどうでもよいことを考えてしまった。



【目次】

第1部 パラダイムと原則
 インサイド・アウト(内から外へ)
 人生の扉を開く「7つの習慣」

第2部 私的成功
 第1の習慣 主体性を発揮する
 第2の習慣 目的を持って始める
 第3の習慣 重要事項を優先する

第3部 公的成功
 第4の習慣 Win‐Winを考える
 第5の習慣 理解してから理解される
 第6の習慣 相乗効果を発揮する

第4部 再新再生
 第7の習慣 刃を研ぐ

4863940610

茨城地区では有名なコーヒー店。おいしいコーヒーで、非常に満足のいく味。先日、東京に出張したときに、品川駅にも出店しているのを見て驚いた。また、サザ名義でのチェーン店ではなくても、豆はサザのものを使用しているという喫茶店も結構あるようだ。

気になる名前の由来だが、茶道の「且座」から来ているとのこと。茨城県内で配布されているフリーペーパーに掲載されていた記事を見て知ったのだが、その理念にも大いに共感を受けた。スターバックスも嫌いではないが、茨城にいる間は、できるだけサザ・コーヒーを楽しみたいなと思った次第。

ホームページを見てみると、名前の由来が詳しく書かれていたので、引用させていただく。

サザの名前の由来は、且座喫茶 まさに座って楽しくコーヒーのみませんか?表千家では「さざ」、裏千家では「しゃざ」と発音する。

・且座式:茶道七儀式の1つ、主人と助手が3人の客をもてなすというもので儀式。主人が濃茶を、助手が薄茶をたて、 客は掛軸をかけながら、香をたき、花を生け、みんなで茶を楽しむ儀式。

・且座喫茶:中国(唐末〜宋初)期に臨済(りんざい)という禅僧が書いた七言絶句の中に『且座喫茶』という下りがあり、(まさに、座って茶を楽しまんとす) 座ってお楽しく茶でも飲みませんか? という意味があり、サザコーヒーでは、まさに座って楽しくコーヒーのみませんか?となります。

・我々のこだわりは「座」すわりながら楽しめる「場」ば、楽しんで頂いている存在に喜びを感じます。

難点はコーヒー豆が高いことだろうか。読書を除くと、唯一の趣味とも言っていいコーヒーなので、少しくらいの出費は投資と考えようか。。。

【本店は緑溢れる庭が素敵】
image

【駅前店の看板】
image

◇1519 『住友銀行秘史』 >國重惇史/講談社

何ともまぁどろどろとした本が出たものである。ベストセラーになっていると聞いて読んでみたのだが、あまりの内容に絶句。この手の話は、高杉良の企業小説に出てきそうだが、事実は小説より奇なり。いや、高杉良の取材がすごかったということであろうか。

今の常識に照らしてみるととんでもない話だが、時代は90年代のバブル全盛期。株主総会は総会屋が仕切って当たり前であり、現在ほどコンプライアンスがうるさくなかった時代である。政治家や裏社会との癒着も、公にならなければと看過されていた頃のこと。

そんな時代背景を差っ引いても、ひどい話である。最初は興味深く読み進めたのだが、中盤あたりから人間の悪い部分、弱い部分ばかりが目について、読むのが嫌になってしまった。何とか最後まで読了したものの、筆者と同じように寂寥感といおうか、何ともやりきれない気分になってしまった。

本書を通じて感じたのは、「出世を意識しすぎると足元が見えなくなる」ということ。今の世の中、当時ほど出世争いが厳しいとは思えないが、それでも会社勤めの身であれば、少しは考えるであろう。しなしながら、何事も限度が必要であり、ほどほどにしておかなければならないということであろうか。

また、老害についても考えさせられた。「権力は腐敗する。絶対権力は絶対に腐敗する」という言葉を聞いたことがあるが、まさにその通りの事象が起こっていたと言えよう。役員や幹部の任期というのは、それなりにきちんと意味のあるものだということ。これは、国の権力者とて同じであり、日本や中国で任期延長の話が聞こえてくるのは、少し不安になってしまう。

それにしてもこれだけの内容をすべて実名で書くとは豪胆である。本書で明かしているが筆者は、イトマン事件当時に内部告発文書を大蔵省へ送付していた張本人だとのこと。すでに筆者本人が70歳となり、鬼籍に入っている方も多いため、ここに事実を明らかにしたとのこと。四半世紀を経て、闇が明るみに出てきたのだ。

銀行を守りたい一心で動いていた、というが、これほどドロドロした舞台にいる筆者自身、まったく私心がなかったのであろうか。さすがに金銭欲はなかったと思うが、自分がこの事件に落とし前を付けることによって、再生後の銀行で出世の階段を一歩昇る。そんな気持ちはなかったのであろうか。

筆者は、本を出す意図はなかったにせよ、事実を克明に記録してきた。私もメモはよく取る方だが、事実の記録ということの大切さを思い知った気がする。

最後に、印象的だった一文のみ引用して筆を置きたい。

「もし」という仮定は不毛だが、今でも考えることがある。

あのとき、住友銀行がイトマンの会社更生法を申し立てていたとしたら。その後の日本の金融史は大きく変わり、改革が早まって、「失われた10年」もなかったのではなかろうかと。

日本の悪しき護送船団方式、メーンバンク方式というものが崩れたのではないだろうか。あそこが貸しているから、じゃあ右へ倣えでうちも貸す、いざとなったら大蔵省が面倒を見てくれる。そんな何の規律も緊張感もないやり方が一気に崩れたのではなかったか。




【目次】

・問題のスタート
・なすすべもなく
・行内の暗闘
・共犯あるいは運命共同体
・焦燥
・攻勢
・惨憺
・兆し
・9合目
・停滞
・磯田退任
・追及か救済か
・苛立ち
・Zデー
・解任!
・虚脱
・幕切れ

4062201305

高校生って、いったい何年前のことだろうか。四半世紀近くも昔のことだ。そんな私のようなオヤジに果たして本作が理解できているのかどうかはよくわからないが、現代の高校生を瑞々しく描いた作品だということは伝わってきた。

桐島という、文武両道(こんな表現もオヤジ臭いか)の男子生徒が、急に部活をやめるという噂が広がる。それに動揺するクラスメイトやバレー部の同僚たち。映画では、同じ時間を別の視点から繰り返して流すことによって、クライマックスに向けての臨場感をあおっている。

一番印象的だったのは、桐島のサブとして頑張っているバレー部の風助と、その心情に理解を示すバドミントン部の実果。特に実果を演ずる清水くるみさんという女優の演技が素晴らしく、バドミントン部のエースだった姉を亡くしたトラウマを抱えつつ、頑張っても頑張っても追いつけない背中を追い続ける風助に対する共感が、その表情から伝わってきた。

主人公らしき桐島が登場しないのも面白い。クラスメートの話に出てくるだけで、結局一度も画面に姿を現さなかった。一度、誰かが学校の屋上から飛び降りるシーンがあり、あれが桐島かとドキッとしたが、結局誰も飛び降りておらず、意味不明ながらも象徴的なシーンであった。

原作の方も話題になったそうだが、残念ながら未読。原作者の朝井リョウは、『何者』で直木賞を受賞している作家。書店でよく見かける名前だが、全く読んだことが無い。流行作家にはそれなりの理由があると思うので、たまには青春小説にも手を伸ばしてみるべきなのかもしれない。堅い本一辺倒では養えない何かがある。

◇1518 『世界史の大転換−常識が通じない時代の読み方』 >佐藤優・宮家邦彦/PHP新書

佐藤さんの著書は、冊数が多すぎてすべてを読破するのは無理だと諦めている。(池上彰さんの著書も同じ状態) さらに佐藤さんの思考は、すごいと思う一方で、時々極論に走りどこか危うさを感じてしまうため、あまりのめり込み過ぎてはいけないな、とも感じている。何が悪いという訳ではないのだが、何となくそんな匂いを感じてしまうのだ。そんなこんなで、最近は佐藤さんお一人の著書よりも、比較的客観性が保たれると思われる本書のような対談集を好んで読むようになった。

今回の対談相手は宮家邦彦氏。宮家さんのことは、中国にいたときにたまたま知り合いになった外務省の方が、すごい人だと言っているのを聞いて名前を記憶していたが、きちんと文書を読むのは初めて。奥付の略歴を見ると、他にも著書を出されているようなので、一度手に取ってみたいと思った。

印象的だったのは「はじめに」の宮家さんの言葉。「彼と定期的に会うようになって気づいたことがある。われわれ二人の知的関心対象が重なる一方で、お互いの得意分野があまり重複していないらしいということだ。私の専門は中東と日米安保、中国のことも少しはわかる。一方、彼の得意手は欧州・ロシアと歴史、哲学、思想史・・・。要するに、残りすべてだ」

最後の一言に、宮家さんの謙虚さと佐藤さんへの敬意がにじみ出ていて、非常に好印象を持った。冒頭からこのような形で読者をひきつけるというのは、すごいことだ。

さて、本書の詳細をいちいち引用することは避けたい。前にも書いたが、この手の本の断片的な知識を抜き書きしていっても、あまり意味がないと考えるようになったから。引用する時間があるなら、もう一度斜め読みでよいから再読し、雑多な知識を脳みそに放り込んでおいて、熟成するのを待つ方がよいであろう。

と書きつつ、次の3点だけは自分が全く知らない知識または認識を誤っていた知識なので、自戒を込めて記録しておきたい。

・歴史的に中東と同じ問題を抱えているのが中央アジア。ロシア、中国、イランの大国に囲まれた中央アジア諸国は、東南アジアから西アフリカに続く「スンニ派イスラム・ベルト」にすっぽりとはいっており、国民の大多数がイスラム教スンニ派である。

今後、ISによるテロ行為が一段落すれば、中央アジア出身のIS戦闘員が中央アジアに戻り、新たなジハードを拡散する可能性がある。その場合の活動拠点は「フェルガナ盆地」である。フェルガナ盆地はウズベキスタンとキルギス、タジキスタンの国境線がジグソーパズルのように複雑に入り組み、周囲を天山山脈の高い山々が取り囲み、しかもキルギスとタジキスタンは国家破綻状態にあってフェルガナ盆地を実効支配できておらず、テロリストにとっては格好の潜伏地帯となっている。

・アメリカ外交においてシェール革命の影響は限定的。もともとアメリカは輸送コストの安い南米などの原油に大きく依存しており、中東の石油への依存率は2割程度であった。また、エネルギーは原油以外で代替可能だが、兵器燃料として石油に代わるものはなく、アメリカが中東から一定量の原油輸入を継続しているのは、戦略物資である自国の原油を温存する狙いがある。

アメリカの中東における最大の懸念は、中東が特定の反西側覇権国に支配されること。アメリカがいまなお中東地域に高い関心をもち、深く関与している理由は、同地域の不安定化が、欧州、アジアの同盟国とイスラエルに及ぼす悪影響を懸念するから。さらに、原油以外にも、パレスチナ、テロ、核兵器の拡散など問題が山積しているから。

・中国共産党は革命後に簡体字を採用した。なぜ画数が少ない簡体字にしたのか。表向きは識字率を上げるためだが、その本質は国民からそれ以前の知識を遠ざけるためだった。簡体字教育が普及すると、それ以前に使われていた繁体字が読めなくなり、共産党支配以降に認められた言説だけが流通するようになる。歴史を断絶させるための情報統制をおこなったのだ。(敗戦後の日本でも、当用漢字の導入、新漢字・新かなづかいの制定、という同様の事象が起きている)


さらにもう1点、書きながら思い出したのが、中国が南シナ海に軍事施設をつくる理由。何となくは理解していたつもりだったが、結局は「緩衝地帯」が必要ということであろう。

・中国は地政学的な位置づけとして、北方、西方、南方に国境を持つが、北方のロシア、西方のチベットやウイグル、南方のインドやベトナムという陸上環境は安定している。一方、中国で最も脆弱なのは天津から香港までの太平洋側であり、ここに中国の富であるヒト、カネ、技術、資源、エネルギーが集中している。よって、海からの脅威が中国にとっては最も恐れることなのである。中国の生命線は海であり、シーレーンなのだ。



【目次】

第1章 ポスト冷戦の終わり、甦るナショナリズム
第2章 ISを排除しても中東情勢は安定しない
第3章 中央アジアは「第四次グレートゲーム」の主戦場
第4章 「国境のない欧州」という理想はテロで崩れるか
第5章 トランプ現象に襲われたアメリカの光と闇
第6章 中国こそが「戦後レジームへの挑戦者」だ
終章 「ダークサイド」に墜ちるなかれ、日本

4569830714

同僚と海外出張に出かけた帰路での出来事。私は何の問題もないのだが、同行した同僚のパスポートが使えない。日本での入国審査なので通常であればスムースに進むはずなのだが、入国管理官がどうしても入れてくれない。別室に入って事情をよく聞いてみると、現地での出国の記録がないとのこと。

それならば出国記録をたどればよいのだが、管理官は動いてくれない。ここで足止めを食っても仕方がないので、出国の履歴を作るため一旦マカオへ飛ぶことにした。しかしながら、同僚のパスポートでは航空券すら買えないため、私が同僚のパスポートを持って、マカオへ行くことに。

マカオで交渉して、何とか同僚の出国記録のスタンプを押してもらったのだが、私が日本で一度入国してしまっており、今度は日本出国の記録がないと足止めを食うハメに。訳の分からない堂々巡り。同僚に電話をかけてみるが、パスポートを持っていない同僚も身動きが取れるわけもなく。。。

途方に暮れていたら目が覚めた。

◇1517 『世界史の10人』 >出口治明/文藝春秋

出口さんの歴史本、となれば買わずにいられない。ほとんど中身も見ずに購入してしまった。タイトルからして、世界史史上で活躍した著名人が列挙されていると想像していたのだが、さすがは出口さん、よい意味で期待を裏切られた。恥ずかしながら、今回取り上げられている中で、きちんとその実績を認識できた人物は2人のみ。あとは、名前は知っているが何をした人かを知らなかったり、中にはバイバルス、アリエノールのように名前すら知らない人物もいた。

私の世界史の知識はまだまだ初心者レベルであり、本書を読みこなせたとはとても言えない。それぞれの人物が活躍した時代の背景についても、大まかには触れられているが、その時代が大きな歴史のどこに位置するかを捉えなければ、本当に理解したとはいえないであろう。そういった意味で、まだまだ勉強が足りないし、もっと歴史を勉強してから本書を再読すれば、違った光景が見えてくるに違いない。

と言いつつも、例えばエカチェリーナ二世の章では、ロシアの歴史概観が説明されていたりして、勉強になった。また、先日読了した『蒼き狼』に登場するジョチが築いたジョチ・ウルスなども登場し、歴史のつながりをほんの少しだけ感じることができた。本書では、主に人物に焦点を当てて歴史を描いているが、人物史だけでなく、世界史の概観や、国ごとの歴史など、さまざまな要素を点でまなんでいけば、いつかはそれが線となり、面となるのであろう。まだまだ小さな点が点在しているに過ぎないが、私の場合はまずは中国史という一度学習した線を軸に裾野を広げていくのがよいのであろう。

「はじめに」で述べられている「民主主義と官僚制の組み合わせが、現時点ではシステムとして一番マシ」だとか、「あとがき」で述べられている世界史を学ぶ意義についての意見などは、非常に出口さんらしいなぁと感じた。多くの本を読み、たくさんの知識を持っているからこそ断言できること、というのはあるように思う。私自身も、いざというときの判断・決断に迷いが生じないよう、歴史やその他のさまざまな常識を学び続けていきたい。



【目次】

第1部 世界史のカギはユーラシア大草原にあり
 バイバルス―奴隷からスルタンに上りつめた革命児
 クビライ―五代目はグローバルなビジネスパーソン
 バーブル―新天地インドを目指したベンチャー精神

第2部 東も西も「五胡十六国」
 武則天―「正史」では隠された女帝たちの実力
 王安石―生まれるのが早すぎた改革の天才

第3部 「ゲルマン民族」はいなかった?
 アリエノール―「ヨーロッパの祖母」が聴いた子守唄
 フェデリーコ二世―ローマ教皇を無視した近代人

第4部 ヨーロッパはいつ誕生したのか
 エリザベス一世―「優柔不断」こそ女王の武器
 エカチェリーナ二世―ロシア最強の女帝がみせた胆力
 ナポレオン三世―甥っ子は伯父さんを超えられたのか?

4163903526

寿司業界のコンサルタントとして、1年間に500〜1000件の寿司屋を渡り歩いた努力の人。その中で見えてきたのが、回転寿司業界が活発になると、その一方で老舗の寿司屋がどんどん廃業になっていくという現実。後継者不足が最大の原因だ。一人前になるまでに時間がかかり、盗んで覚えろという徒弟制度が現代の若者には合わず、辞めていく人も多いという。

そんな現実を目の当たりにして、何とかしなければと立ち上がったのが福江氏。「見て盗む」から、「分かりやすく教える」へと、180度の転換を行った。最初は2〜3名の生徒しかいなかったそうだが、今や卒業生は3000人を超えるという。寿司への愛情が生んだ実績といえよう。

共感を抱いたのは、分かりにくい「体で覚えろ」という世界を、「分かりやすく言語化して教える」というスタイルに変更した点。私自身、会社の若手にいろいろなことを教えたい、先輩に教わったことを伝承したいと思っているのだが、実務+アルファの部分は、口伝のようになっており、なかなか言語化が難しい。せめて少しでも、と思い、何とか仕事の基本動作らしきものを、A4・二枚程度にまとめて、若手に配布している。私のやり方が100%正しいわけではないので、そのレジュメをきっかけにして、仕事の進め方を自分なりに考えてほしいという思いを込めて。

さて、3000名もの卒業生が働く場所はあるのかと心配していたところ、なんと海外にも寿司職人を大勢送り出しているとのこと。なるほど、納得である。確かに、「寿司」というのは、日本の代表的かつ素晴らしい食文化であり、それを海外に広めるというのは、文化の伝承にもなるであろう。海外での活躍を見据えて、学校では英会話やワインの学習もできるとのこと。さらには海外で活躍する卒業生から寄せられる生の声も貴重な情報になっているそうだ。

たまたま正月休みに見た「世界の秘境で大発見!日本食堂20」に、ザンビアで寿司屋を経営する女性が登場していた。卒業生の女性一人がザンビアにいると言っていたので、Webで検索してみると横手舞さんのインタビュー記事を発見。福江さんの本気度がやる気のある人々を呼び寄せ、生徒たちにも熱い思いがリンクしていると、感動してしまった。

何だか、非常にワクワクする取り組み。やはり行動する人は強いなぁと改めて感じた。



【番組ホームページより】

和食の象徴"すし"。しかし今は回転ずしが主流で、昔ながらのすし職人は減る一方だ。しかも"飯炊き3年、握り8年"といわれる厳しい修行の世界は現代に合わず、後継者不足から店をたたむすし屋も少なくない。そんな中、すし職人を次々と輩出している異色の学校がある。「東京すしアカデミー」だ。"見て盗む"世界だったものを、講師が手取り足取り教えるスタイルを導入。素人でも最短2ヵ月ですしを握れるように仕立てあげるという。2002年の開校以来、これまで3000人の職人を送り出した。この学校を設立したのが福江誠代表(47歳)。経営コンサルタントから寿司業界に転身したこれまた異色の人物だ。しきたりと伝統の世界を外部からの視線で改革した福江はこう語る。「日本にいると分からないが、すしのビジネスチャンスは今も海外で拡大しつづけている。すしを産業として輸出するのが私の使命」。"すし"だけでなく"SUSHI"へ・・・。業界の革命児が推し進める"SUSHI産業"海外戦略の全貌に迫る。

◇1516 『やり抜く力−人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』 >アンジェラ・ダックワース/ダイヤモンド社

ベストセラーになっているとのことで、ついつい手を出してしまったが。。。まぁ言っていることは悪くはないし、その通りなのだが、当たり前過ぎて何を今更という感じ。タイトルにすべてが集約されており、結局、コツコツと努力を続けて「やり抜く」ことができた人が成功するという理論。

「努力」という言葉は好きであり、今までに読んだ本などから、努力に関する至言もいくつか記録してある。例えば下記のようなもの。

・圧倒的・継続的な努力を。
・一瞬の努力は、真の努力ではない。
・努力するのはよいことではない。プロとして当たり前のことである。
・努力したからといって成功するとは限らないが、成功した人は必ず努力している。


本書で出会ったのは、次の言葉。努力は二重に影響するという理論だ。才能を努力で磨くことによってスキルを身につけることができ、そのスキルを努力で継続することにより達成につながる、という式。

・才能×努力=スキル ・ スキル×努力=達成

その他にも気になった箇所がいくつかあったので、引用しておきたい。

・ウォーレン・バフェットの言葉:優先順位を決めるための3段階方式
(1)仕事の目標を25個、紙に書き出す。
(2)自分にとってなにが重要かをよく考え、もっとも重要な5つの目標にマルをつける(5個を超えてはならない)。
(3)マルをつけなかった20個の目標を目に焼きつける。そしてそれらの目標には、今後は絶対に関わらないようにする。なぜなら、気が散るからだ。よけいなことに時間とエネルギーを取られてしまい、もっとも重要な目標に集中できなくなってしまう。

・「やり抜く力」を強くする4ステップ:興味・練習・目的・希望

・エキスパートはこの「3つの流れ」で練習する
(1)ある一点に的を絞って、ストレッチ目標を設定する。
(2)しっかりと集中して、努力を惜しまずに、ストレッチ目標の達成を目指す。
(3)改善すべき点がわかったあとは、うまくできるまで何度でも繰り返し練習する。

・『天才たちの日課−クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々』 メイソン・カリー著

・脳は筋肉のように鍛えられる:成長思考→楽観的に考える→逆境でも粘り強くがんばれる

・「やり抜く力」が強いということは、一歩ずつでも前に進むこと。興味のある重要な目標に、粘り強く取り組むこと。厳しい練習を毎日、何年間も続けること。七回転んだら八回起き上がること。




【目次】

[PART1]「やり抜く力(グリット)」とは何か? なぜそれが重要なのか?

第1章:「やり抜く力」の秘密
 なぜ、彼らはそこまでがんばれるのか?
第2章:「才能」では成功できない
 「成功する者」と「失敗する者」を分けるもの
第3章:努力と才能の「達成の方程式」
 一流の人がしている当たり前のこと
第4章:あなたには「やり抜く力」がどれだけあるか?
 「情熱」と「粘り強さ」がわかるテスト
第5章:「やり抜く力」は伸ばせる
 自分をつくる「遺伝子と経験のミックス」

[PART2]「やり抜く力」を内側から伸ばす

第6章:「興味」を結びつける
 情熱を抱き、没頭する技術
第7章:成功する「練習」の法則
 やってもムダな方法、やっただけ成果の出る方法
第8章:「目的」を見出す
 鉄人は必ず「他者」を目的にする
第9章:この「希望」が背中を押す
 「もう一度立ち上がれる」考え方をつくる

[PART3]「やり抜く力」を外側から伸ばす

第10章:「やり抜く力」を伸ばす効果的な方法
 科学では「賢明な子育て」の答えは出ている
第11章:「課外活動」を絶対にすべし
 「1年以上継続」と「進歩経験」の衝撃的な効果
第12章:まわりに「やり抜く力」を伸ばしてもらう
 人が大きく変わる「もっとも確実な条件」
第13章:最後に
 人生のマラソンで真に成功する

4478064806

久しぶりに連ドラを見た。彼女いない歴35年のIT企業勤務の男性と、心理学専攻の大学院まで出たのに就職できない女性とのラブコメディ。主演の一人である星野源さんのことは、このドラマを見るまであまり知らなかったのだが、非常によい味を出している。10月くらいから忙しくて見られなくなってしまっている大河ドラマの『真田丸』にも出演中とのこと。こちらもそのうち見なければ。

さて、本作品は社会派恋愛ドラマとのこと。確かに二人のなかなか発展しない恋愛関係にうずうずしながら楽しむのもよいが、視点を変えてみると、現代社会のひずみがスパイスのように隠されている。以前、北野一さんが「日本の社会問題のカタログのような小説」だと紹介していた『ふがいない僕は空を見た』ほどではないが、私が気づいた点を列挙してみよう。

・高学歴なのに就職できない
・専業主婦という地位が低く見られている
・女性が社会で活躍しようとすると結婚を犠牲にしなければならない
・結婚願望の少ない男性
・LGBT

このドラマは『逃げ恥』と呼ばれて、一部のコアなファンから絶大な支持を得ていたそうだが、こういった日本が抱える課題をさらりと描いており、意外と奥深いと思わせるところも人気の秘密なのではなかろうか。最近、こらえ性がなくなってきて、一気に見ることができるWOWWOWのドラマばかりを見ていたが、久しぶりに良質の作品に出会うことができた。

◇1515 『指導者の条件』 >松下幸之助/PHP

私が好きな黒表紙のPHP文庫。見開き2ページずつに至言が掲載されており、トイレでゆっくりと楽しんだ。本書も2カ月くらいをかけて読了。松下幸之助といえば、自分の考えを様々な著書や講演記録として残しているが、本書はそんな中でも少し毛色が変わっているもの。幸之助翁が歴史上の人物から学んだことを記載しているのだ。なるほど、名経営者というのはこういうところに気づきを得ていたのか、と新鮮な気持ちで読み進めることができた。

本書に関しては、目次を見れば一目瞭然であり、その一行一行に指導者の条件といおうか、「心得」が凝縮されているように感じる。目次に関しては下記を参照いただくとして、その中でも記憶に残った数章を引用しておきたい。

・寛厳自在:指導者には適度の厳しさと優しさが必要である
・自主性を引き出す:指導者は部下の自主性を引き出し生かすことが大切である
・私心を捨てる:指導者は私の心を去ってものを考えることが大事である
・衆知を集める:指導者は常に人の意見に耳を傾けなくてはならない
・小事を大切に:指導者は小事をおろそかにしてはならない
・辛抱する:指導者はじっと時を待つ忍耐心を持たなくてはならない
・誠実である:指導者は常に誠心誠意ということを心がけなくてはならない
・世間に従う:指導者は”世間は正しい”という考えに立たなくてはならない
・大事と小事:指導者は基本を押さえ、あとは自由に任せるようにしたい
・人を見て法を説く:指導者は同じ事でも相手により説き方を変えることが大事である
・日に新た:指導者は常に日に新たな思いを持たねばならない
・理外の理:指導者は普通の理を超えたより高い理を知らなくてはならない




【目次】

あるがままに認める:指導者は人、物すべてをあるがままに認めなくてはならない
言うべきを言う:指導者は言うべきことを言う厳しさを持たなくてはならない
怒りを持つ:指導者は指導者としての公の怒りを持たなくてはならない
一視同仁:指導者は敵をも愛する豊かな心を持ちたい
命をかける:指導者には命をかけて事に当たるほどの心境が必要である
祈る思い:指導者には何ものかに祈るというほどの真剣な思いが必要である
訴える:指導者は常に自分の考えを訴えなければならない
落ち着き:指導者は危機にあっても冷静でなければならない
覚悟を決める:指導者は大事に至れば、度胸を据えてそれに当たることである
価値判断:指導者は人、物すべての価値を正しく知らねばならない
過当競争を排す:指導者は自他相愛、共存共栄の精神を持たなくてはならない
寛厳自在:指導者には適度の厳しさと優しさが必要である
諫言を聞く:指導者は良いことよりも悪いことを喜んで聞くようにしたい
感謝する:指導者は何事に対しても深い感謝報恩の念を持たねばならない
カンを養う:指導者は真実を直観的に見抜くカンを養わなくてはならない
気迫を持つ:指導者には断固事をやり抜く気迫が大切である
厳しさ:指導者は公の立場に立って厳しい要求を持たねばならない
決意を強める:指導者は一度決心してもそれを自らたえず強めなくてはならない
権威の活用:指導者は時に何かの権威を活用することも大事である
原因は自分に:指導者は失敗の原因はすべて我にありと考えるべきである
謙虚である:指導者は地位が高くなればなるほど謙虚でありたい
権限の委譲:指導者は各人の力の範囲で仕事を考えるべきである
見識:指導者は是は是とし非を非とする見識を持たねばならない
公平である:指導者はあらゆる面で私心無く公平を期さなくてはならない
公明正大:指導者は自ら省みてやましいところなきを期さなくてはならない
志を持つ:指導者は常に理想を描き大きな志を持たなくてはならない
心を遊ばせない:指導者は体は遊んでいても心は働かせていることが大事である
怖さを知る:指導者は世間の怖さを知り身を正していかなければならない
最後まで諦めない:指導者は最後の最後まで志を失ってはならない
自主性を引き出す:指導者は部下の自主性を引き出し生かすことが大切である
私心を捨てる:指導者は私の心を去ってものを考えることが大事である
指導理念:指導者には一つの指導理念がなくてはならない
自分を知る:指導者は自分の力、自分の集団の実力を正しく把握しなくてはならない
使命感を持つ:指導者の力強さは使命感を持つところから生まれる
自問自答:指導者はたえず自問自答していくことが大切である
衆知を集める:指導者は常に人の意見に耳を傾けなくてはならない
出処進退:指導者は常に出処進退を誤らないことが大切である
小事を大切に:指導者は小事をおろそかにしてはならない
仁慈の心:指導者には人を慈しみ人々の幸せを願う心が必要である
信賞必罰:指導者は私情を棄て、適切な賞罰を行わねばならない
人事を尽くす:指導者は、失敗は本来許されないという厳しい考えを持ちたい
辛抱する:指導者はじっと時を待つ忍耐心を持たなくてはならない
信用を培う:指導者は常に身を正し信用を高めなくてはならない
信頼する:指導者は人を信頼し思い切って使うことが大事である
好きになる:指導者はその仕事が好きでなくては務まらない
すべてを生かす:指導者はどんな人にも使い道があることを知らねばならない
誠実である:指導者は常に誠心誠意ということを心がけなくてはならない
責任感を持つ:指導者には一身を捨て他を生かす心意気が欲しい
世間に従う:指導者は”世間は正しい”という考えに立たなくてはならない
説得力:指導者は正しい主張でもその訴え方に工夫する事が大事である
世論を超える:指導者は時に多数の意見を超える知恵を生み出さねばならない
先見性:指導者は常に将来を予見して手を打たねばならない
先憂後楽:指導者は常に人に先んじて発想しなくてはならない
即決する:指導者は即断即行を心がけなくてはならない
率先垂範:指導者は身をもって範を示す気概を持たなくてはならない
大義名分:指導者はまず大義名分を明らかにしなくてはならない
大事と小事:指導者は基本を押さえ、あとは自由に任せるようにしたい
大将は内にいる:指導者は自分はできるだけ中央にいて部下を使うことが大切である
大将は大将:指導者は指導者としての主座を保っていなくてはならない
大所高所に立つ:指導者には大局に立ち小異を捨て大同につく心構えが大切である
正しい信念:指導者は何が正しいかを考えつつ信念を養い高めなくてはならない
ダム経営:指導者はあらゆる面にダム経営を心がけることが大切である
調和共栄:指導者は人間みな兄弟の思いを持たなくてはならない
使われる:指導者は一面部下に使われるという心持ちを持たねばならない
適材適所:指導者はそれぞれの人の持ち味を知って用いることが大切である
敵に学ぶ:指導者は自分の競争相手にも学ぶ心構えが大切である
天下の物:指導者は物事を公の立場で考えなくてはならない
天地自然の理:指導者は天地自然の理を知り、これに従うことが大切である
天命を知る:指導者は自分の力を超えた運命というものも考えてみたい
徳性を養う:指導者に徳があってこそ、はじめてもろもろの力が生きてくる
独立心:指導者は自他共の独立心の涵養を心がけねばならない
とらわれない:指導者は何か一つの物事にとらわれてはならない
努力する:指導者は徹底した努力こそ成功の要諦であることを知らねばならない
長い目で見る:指導者は目先の利害にとらわれず長期的にものを考えることが大事である
成すべきを成す:指導者はどんな事態にあっても成すべきを成さねばならない
人間観を持つ:指導者は人間について正しい認識を持たねばならない
人情の機微を知る:指導者は人情の機微に即して事を行わなくてはならない
熱意を持つ:指導者は熱意においては最高のものを持たねばならない
ひきつける:指導者は何かしら人をひきつける魅力を持つことが望ましい
人の組み合わせ:指導者は適切な組み合わせにより人を生かすことが大事である
人を鍛える:指導者は厳しく人を鍛えることによって人を育てなくてはならない
人を育てる:指導者は真の人間教育を目指さなくてはならない
人を使う:指導者は自分より優れた才能の人を使うことが大事である
人を見て法を説く:指導者は同じ事でも相手により説き方を変えることが大事である
人を求める:指導者は人を得るためにはまず強く人を求めることである
日に新た:指導者は常に日に新たな思いを持たねばならない
広い視野:指導者は視野を広く持つように心がけなくてはならない
不可能はない:指導者は天地自然の理にかなった事は全て可能だと考えたい
方針を示す:指導者は何が正しいかを考えつつ進むべき方針を示さなくてはならない
包容力を持つ:指導者は自分に敵対する者をも清濁合わせ飲む大きな度量を持ちたい
褒める:指導者は褒めるべき時に褒めることを惜しんではならない
任せる:指導者は自分の力より人の力を使うことが大切である
見方を変える:指導者は自由自在な発想の転換を心がけなくてはならない
自ら励ます:指導者は日々自分を励まし勇気を奮い起こすことが大切である
無手勝流:指導者は戦わずして勝つことを目指さなくてはならない
命令する:指導者は命令が相手に遂行されるよう十分配慮しなくてはならない
目標を与える:指導者は次々に適切な目標を与えなくてはならない
持ち味を生かす:指導者は自分の持ち味によって事を成さなくては失敗する
勇気を持つ:指導者に必要なのは匹夫の勇でなく正義に立った大勇である
乱を忘れず:指導者は”治にいて乱を忘れず”の心構えが大切である
理外の理:指導者は普通の理を超えたより高い理を知らなくてはならない
再び謙虚と感謝:指導者はその団体で一番謙虚で感謝を知る人でなくてはならない

4569647227

明けましておめでとうございます。

新年にあたり、今年も目標を立ててみた。なかなか達成できたいないのだが、何も目標を持たずにだらだらと1年を過ごすよりはずっと効果的だと思っているので、懲りずに今年も掲げてみたい。

1.シンプルでしなやかな生活を送る

これはしばらく継続するテーマ。いろんな角度から考察できるテーマなので、今年はあえて具体的なことは書かないようにしたい。断捨離は進めたいと思っている。

また、目標の構成は昨年とほぼ変わらないが、1つ目が精神、2つ目は身体、3つ目は頭脳に関する項目。それぞれをバランスよく鍛えたいものである。

2.健康に気を遣う

昨年は3項目だったのだが、今年は2項目に格上げ。振り返りでも書いたが、風邪を長引かせてしまったことが一因。きちんと健康を維持しないと、仕事でも正しい判断ができないし、学習する気力を起こらないから。

やるべきことは昨年と同じ。ただし、昨年は優先順位が示す通り、勉強に時間を割いて、余裕があればスクワットを実行という順序だったので、結局、なかなか継続して実行できなかった。今年は、学習よりも優先順位を上げて、まずは5分でもいいから、何らかの運動をしてから机に向かうことを習慣づけたい。

・ウォーキング
・体幹トレーニング
・スクワット
・腹筋
・腕立て伏せ

3.学習を継続する

・実務に必要な会計・国際税務・原価計算(管理会計)・ファイナンスの復習
・英語は語彙、文法、リスニング、スピーキングをバランスよく。中国語は1つの教材のみ継続
・教養を深めるための歴史・宗教・経営哲学の勉強

昨年は、教養→語学→実務、の順だったが、今年は順番を入れ替えたい。自分で想定していた以上に実務が難しく、もっと深く入り込んで理解する必要があると感じたから。また、海外の方と接する機会が結構あるので、語学学習はきっちり続けたい。課題は英語である。TOEIC800点レベルに満足せず、きちんと意思疎通が図れるよう、鍛えなおしたい。歴史や哲学は継続してゆっくりと取り組む。特に哲学に関しては、古典哲学は諦めて日本の思想家の本を読んだり、経営哲学的なものを読んでいきたい。

もう1つ、学習という範疇に入るのがこのブログ。もちろん継続はしていくが、読書のペースはあえて月10冊→月5冊程度に落としたいと考えている。昨年、読破数が1500冊を超えたこともあり、少し臨界点を感じている。それよりもむしろ、自分が考えたことを発信する場に切り替えていきたい。今のところ、やりたいなと思っているのは、次の3点。

(1)今まで読んできた本などから、好きな言葉を抜き出して、それに対する考え方を記載していく。(2)仕事に対する考え方、仕事の基本動作など、仕事を通じて考えたことを文書化していく。(3)目まぐるしく変わる世界情勢について、国別または事案別に、歴史的背景や今後の展望、それに対する自分の考えをまとめておきたい。

毎年、やればできそうな目標を掲げるのだが、なかなか満足した結果が得られない。意志が弱いのかと思っていたが、どうも方法論の問題のような気もする。継続できる方法、習慣にしてしまえる方法も模索していきたい。

それでは本年もよろしくお願い申し上げます。

あっという間の1年。今年は、4月に工場勤務となったこともあり、さらに時間が過ぎ行く感覚が増したように感じる。大晦日恒例の、昨年掲げた目標の振り返りを行ってみたい。

1.シンプルでしなやかな生活を送る

これはまぁ達成できたのではないかと思う。具体的に数値化できるものでもなく、日々の生活でできた、できなかったと、〇×をつけてきた訳でもないが、振り返ってみて恥ずかしいと思う行為は少なかったように感じる。また、引っ越しを機に、断捨離を実行したつもりだが、まだ徹底できていない。もう少し、モノへの執着を減らしたいところ。

2.学習を継続する
・教養を深めるための歴史・宗教・哲学の勉強
・英語・中国語の継続的学習(コツコツと)
・実務に必要な会計・国際税務・原価計算(管理会計)・ファイナンスの復習

歴史や国際情勢の本はかなり読み込むことができたので、達成と考えたい。特に、世界史については高校の参考書なども通読できた。語学については、今ひとつ。年末近くになってようやく新生活や新しい仕事のリズムが掴めてきて、時間が割けるようになったが、特に4月から10月くらいまでは、ほとんど語学学習から遠ざかっていたといってよい状態だった。実務知識については、継続中だが、肝心の原価計算の学習がうまく進んでいない。教科書で勉強する知識と、実際に工場で使用している実務とが、まだうまくつながっておらず、しかも知識が断片的。一般論と実務論の融合と、知識の体系化を進めなければならない。

3.健康に気を遣う
・スクワット
・腹筋
・腕立て伏せ
・体幹トレーニング
・ウォーキング(または踏み台昇降)

こちらも断続的でしか実行できず、未達成であろう。唯一の進歩は、徒歩または自転車で通勤していることであろうか。東京にいたころに比べると、歩く量は増えている。また、体重もピークから比べると8キロくらい減の状態をキープできているので、悪くはない状態。しかしながら、10月ごろに風邪をひき、1カ月近く治らなかったこともあり、体力・免疫力の低下を感じる。年齢とともに、きちんとボディケアをしていかなければならない。睡眠も大切だと再認識。

◇1514 『草原の記』 >司馬遼太郎/新潮文庫

背表紙あらすじ:史上空前の大帝国をつくりだしたモンゴル人は、いまも高燥な大草原に変わらぬ営みを続けている。少年の日、蒙古への不思議な情熱にとらわれた著者が、遥かな星霜を経て出会った一人のモンゴル女性。激動の20世紀の火焔を浴び、ロシア・満洲・中国と国籍を変えることを余儀なくされ、いま凜々しくモンゴルの草原に立つその女性をとおし、遊牧の民の歴史を語り尽くす、感動の叙事詩。

中国でお世話になった大先輩が引退される際にいただいた本。何年か前にいただいたのだが、何となく手に取ることができず、ずっと積読本のままだった。200ページ程度の本なので私の読書スピードなら2時間もあれば読了できてしまう。にもかかわらず、読み始めることができなかったのは、自分にはまだ読む資格がないと思っていたからであろうか。

本書を読む前に、たまたま井上靖の『蒼き狼』を読了。モンゴルについて、多少の知識を得たので、これなら読んでもよいかもしれないと、読み始めた。同じ本をいただいた他の同僚は「あまり面白くない」だとか「なぜこの本を選んだのだろう」という感想を抱いていたので、心配だったが、読み始めると止めることができず、一気に読了。

私はたまたま中国に駐在していて、中国の各地を旅行したが、残念ながらモンゴルには行けなかった。日本にいると水平線を見ることは簡単だが、地平線を見る機会はさほどない。中国では砂漠の向こうに広がる地平線を見る機会は得たが、草原の向こうに広がる地平線を見ることはできなかった。本書を読みながら、そんなまだ見ぬ広大な草原に思いをはせた。

前半ではモンゴルの歴史が語られている。『蒼き狼』で得た知識を総動員しながら、読み進めていく。歴史を好きなくせに、一方で苦手意識も持っており、なかなか頭の中で『蒼き狼』の時代と本書とがつながらない。そんなもどかしい思いをしている内に、話は「ツェベクマさん」という一人の女性に移っていく。

彼女はモンゴルで司馬さんのガイドを務めた方なのだが、日本語やロシア語に堪能。なぜ話せるかという背景、つまり彼女の半世紀が少しずつつまびらかにされていく。中国の文化大革命の余波を受けるなど、数奇な運命。最後に、生き別れになっていた夫と再会するシーンでは、思わず落涙してしまった。

途中のエピソードで、馬が「帰ってくる話」というのがある。ベトナム戦争の頃に輸出された馬が、戦争を終えて帰ってきたというのだ。司馬さんの描写を紐解こう。「ハノイを去って、ソンコイ川沿いの道を北へめざし、瑶族居住の山中に入ってゆく。やがて中国国境を越え、はるかに崑崙大山塊にまでつながる山地のふもとを駆けて雲南省昆明に入るのである。そのあたりまでは想像できた。しかしそのあと、馬が世界地図をもっているわけでもなく、途中、人に道をききながらゆけるわけでもないのに、どうして故郷に帰りつけたのだろう」

馬には帰巣本能はないらしく、果たしてどうやって帰り着いたのかは謎のまま。馬たちが、ベトナムから中国大陸を縦断してモンゴルに帰り着くシーンを、何だか映画のワンシーンでも見るかのように思い浮かべ、中国の雲南省で経験した乗馬のシーンを思い出しながら、目を閉じて想像をたくましくした。そんな馬の帰巣というエピソードが伏線となって、ツェベクマさんの夫が帰ってくるという話に帰結するのだ。

もう1点、本書を読んでいて共感した箇所がある。モンゴル民族が「奇跡的なほどに欲望すくなく生きて」きたという点。最近、富に物欲が少なく、ミニマルな生活にあこがれている自分。周囲に牧草が少なくなれば、さっとゲルを移動してしまう身軽さ。物が多い時代だからこそ、物がないことの大切さ、スペース・空間の大切さを思い知った気分。

果たして、大先輩がどんな思いで本書を贈ってくださったのか、真意は分からない。そんなものは、自分で考えればよいのであって、尋ねてみる気にもならない。本書を読み終えて感じるのは、日本という狭い世界にとどまっておらず、はるかヨーロッパまで遠征したモンゴル人のような自由闊達な気持ちを以って世界を股にかけて生きろ、というメッセージだと認識した。そしてもう一つ、歴史を学びなさい。

最後に印象的な冒頭の文章を引用。

「空想につきあっていただきたい。モンゴル高原が天に近いということについてである。」

4101152373

文房具が好きなので、ワクワクしながら視聴した。こういう会社で開発をやっていたら、毎日仕事が楽しくて仕方なかったであろうか。それとも、やはり仕事にしてしまうと、開発のプレッシャーで大変だっただろうか。

番組で紹介されていた「キングジムの掟」というのが面白かった。(カンブリア宮殿はノートを手元に置きながら、気になったところを殴り書きしてメモを取りながら視ているのだが、手書きのメモは「掟」が「控」になっていた。。。)

キングジムの掟
・1割の心に刺さればいい(10人の取締役のうち、1人でも賛成すれば商品化が可決される)
・市場調査はしない
・「居心地のいい」ニッチを狙う(市場規模は数十億円。50億以上になると大手が参入して利益率が下がる)
・ダメ出しされても自分を信じる

キングジムの発想術
・極端に絞り込め!
・組み合わせろ!
(開発は、枯れた技術を組み合わせたり、そぎ落としたりするところから生まれることが多い)


社長が「失敗することに慣れている」と言い放っているのは、社員にとっては心強いことであろう。前向きな失敗を歓迎するような方針を掲げている企業は多いが、本当に失敗すると、それなりの賞罰があるのが通常だろう。しかしながら、キングジムでは、本当におとがめなしで、開発者の皆さんがプレッシャーを感じながらも、伸び伸びと仕事をしている様子が見て取れた。これこそが、キングジムの強みなのであろう。



【番組ホームページより】

ユニークなデジタル機器やアイデア文房具を次々と発売しているメーカーがある。創業88年の「キングジム(事務の王様の意味)」だ。ラベルライター「テプラ」のほか、メールもネットもできないデジタルメモ「ポメラ」や手書きのメモ帳をデジタルデータにできる「ショットノート」まで...ニッチ層の心を掴むヒット商品を生み出してきた。市場調査は一切せず「1割の人が買いたいもの」を狙って開発する異色の企業文化に迫る!

◇1513 『プロフェッショナル・リーダーシップ−結果を出す意志とスキル』 >藤井孝一/ダイヤモンド社

本書の書評を以って、8月来、書評を書いていない本はなくなったことになる。何とか年内に終わらせることができたが、途中で、中途半端な引用をしたり、簡単な感想で終わらせたりと、どうしても手抜きが多くなってしまったのは否めない。しかしながら、私は普段は大雑把なのに妙なところで完璧主義なところがあり、読んだ本に関してはすべて書評に書いておきたいと思ってしまっている。つまらない本だった場合は、書評を書かないという選択肢もあるのだが、これだけは譲れないこだわりなのだ。

さて、本書は大前研一氏のBBT大学の講義をまとめたもの。筆者がキャメル山本氏であることもあり、手にしてみた。最近、リーダーシップとは何ぞや、ということをよく自問自答するので、その答えを求める意味もあっての読書。

前半はリーダーシップ概論、中盤は国ごとのリーダーシップとして、インド人、中国人、シンガポール人、インドネシア人のリーダーシップの特徴を述べている。最後の後半部分はリーダーシップを目指すためになすべきもの、という構成。前半と後半部分はよくある話だが、中盤の国ごとに異なるリーダーシップという章が面白かった。私自身、中国で勤務した経験があるので、そうそうと頷きながら読み進めた。

今回は、引用ではなく、自分なりに理解したことを咀嚼しながらのまとめとしたい。

・リーダーシップは上意下達型から、双方向型へとシフトしてきている。また、これらの両方に強いハイブリッド型も存在する。

・リーダーシップサイクル:リーダー自らが行動規範を示しながら(率先垂範)、メンターとなって悩める若手を1対1で指導する。実務上の指導ではなく、ときどき食事をしながら悩みを聞き、自分の体験を共有する。その中で会社が謳っている価値観や行動規範がいかに役立ったかを、自らの体験談として伝える。このように、リーダーが次のリーダーを育てるサイクルが、リーダー排出企業にはできている。

・リーダーシップとは「人を動機づけることを通じて結果を出すこと」である。(Leadership is to get things done through motivating people.)

・リーダーシップも時代に応じて変化してきている。従来よりも、異文化への理解力、他人への共感力、道への好奇心、傾聴力といったものが、重要になりつつある。

・アジア圏、中東、アフリカなど、欧米とは異なる文化圏では、控えめな主張、穏やかでものごとをグレーのままうまく処理することが得意な日本的リーダーシップは、高く評価されている。

・優れたリーダーに共通する6つの特徴:(1)ビジョン、(2)情熱、(3)オープンマインド、(4)動機づける力、(5)コミュニケーション力、(6)結果を出す力。

・コンフォート・ゾーンと、デンジャラス・ゾーンの間に位置する、ストレッチ・ゾーンに飛び込む。

・答えのない時代には、多様な人の意見のぶつかり合いの中から進むべき道が出てくることも考えられる。他の人が自分の経験値に反することを言ったときに、オープンマインドがないと議論が進まない。無意識のうちにディフェンシブにならないよう、気を付けなければならない。

・傾聴:相手の話に関心を持ち、しっかり聴いているよという信号をボディランゲージやあいづちではっきり伝えること。ときどき話を要約して「こういうことでしょうか?」と確認したり、理解を深めるための質問をすること。質問する際には、反論したり、攻撃したりするのは避けること。

・グローバルにおけるリーダーシップ、3つの視点:(1)「世界」におけるリーダー開発についての問題意識と課題。(2)「時代」の変化、特に「答えのない時代」の中でリーダーは何を求められるか。(3)新しい「世代」、特に「ミレニアル世代」と呼ばれる、これからの世界を担う中核的な世代のリーダーに関する価値観や考え方は何か。

・インド人リーダーの特徴:(1)インドは、国内が貧しく、非効率な官僚制、古臭いインフラ、未整備の教育・医療・社会的諸サービスなど、ビジネスにとって障害となる要素をたくさん抱えている。このため、インド人リーダーは、社会的使命感に裏打ちされた変革力を身につける。(2)アゲインストの環境でビジネスを展開するための、オプション・プランや代替案を複数準備する。(3)即興的なイノベーション力により、柔軟に考え柔軟に行動する。(4)長期的な戦略構築力が高い。(5)自分の部下から次のリーダーを手塩にかけて育てる家父長的文化を残している。(5)課題は、自己主張が強く、論争好きで、アグレッシブで、自分だけでしゃべりまくる点。

・中国人リーダーの特徴:(1)現代的経営と儒教思想、共産主義イデオロギーの3要素が混合している。欧米流の現代的経営の影響を受けながらも、儒教思想や共産主義の要素を加味して、中国流に解釈・応用している。(2)改革開放からの30年間、ずっと成長の時代だったことから、成長志向が強い。(3)近年出てきた傾向として、徳治的なリーダーシップが挙げられる。リーダーの徳が高いと、従業員は自然に彼に従うと考える。(4)政府の影響が依然として強い。

・シンガポール人リーダーの特徴:(1)東西の架け橋となる能力を有する。欧米型の自ら指示を出して引っ張るタイプと、関係性を重視して人の話をよく聞いてフィードバックを頻繁に求めるスタイルの、両者を使うことができる。これはシンガポールが英国の植民地であったため、英語が普及していたのとアングロサクソン流の洗礼を受けていたこと、また経済成長モデルが開放型経済であり、欧米の手法を手本にしている部分が多いことが要因。一方で、アジア的な特徴も持っており、中華系・マレー系などが混在する多民族国家であることを誇りにしている。こういう環境下であるため、異文化に対する意識が高い。(2)高い実務的なマネジメント力を持つ。プロセスに習熟し、構造化が得意。一方で、流れのはやい市場が持つあいまいで不確実な状況に対応する力は今ひとつ。(3)高い職業倫理を持つこと。法治国家であり、腐敗に対して一切許容しないことが効いている。

・インドネシア人のリーダーシップ:(1)インドネシアの文化は基本的に家父長的。権威を伴うガイダンスを与えること、同時にそのガイダンスは、フォロワーに対する高い関心に基づいていることが必要。これはフォロワー一人ひとりに対してリーダーがパーソナルなケアを示すこと、失敗など無条件の受容を示すことを含む。また、パワーは静かにコントロールされ、平和的に礼儀正しく行使されることが期待される。(2)NRIMAつまり「現在の状況を受け入れること」を意味する言葉が表す。変動の激しい不確実な世界にあって、リーダーが思い通りにいかないことも受け入れることで、過度に落胆したり否定的になることを防止する意味を持つ。(3)文化的な多様性を尊重し、その中で統一感を指向する。(4)課題はパフォーマンス・マネジメント。特に強力な労働組合といかに折り合いをつけていくか。(5)何千もの島と多民族からなる環境の中で生まれたインドネシア国内での多様性活用力を、これから、アジアの中での多様性、世界の中での多様性を活用するところまで引き上げられるか、も課題。

・アジアでのリーダー開発の5ポイント:(1)長期のキャリアゴールを定めること。(2)キャリアの早い段階で海外での経験を積むこと。(3)キャリア開始の時点で、リスクをとって、さまざまな役割を自分で経験しながら探索すること。(4)自分の周りに、多様で結束力の高いプロフェッショナル人材を配すこと。(5)謙虚になって、自分の足りないところについてオープンに話、他の人々からの信頼を得ること。

・情報民主化が引き起こすリーダーシップの変化:(1)リーダーシップ機能の分散化。情報民主化後の緩やかな階層組織では、現場や末端の社員も含めて、社内の広範囲の人材が頭脳活動に加わる。これを分散型リーダーシップとも呼び、自律的専門能力を持った「個人=ミニ・リーダー」がネットワークを組んで発揮するリーダーシップを指す。(2)誰がリーダーになるかの要件が変化する。従来は、ランク、肩書、ポジションがリーダーを決める要素であったが、今はそのテーマや案件について最もふさわしい人がリーダーになる。結果として、全員が自分の得意分野を中心にリーダーシップを発揮することが期待される。(3)結果に焦点を当てるようになる。デジタル化や情報民主化のおかげで、幹部たちが結果についての情報を従来より格段に早く正確に把握できるようになった。これにより打ち手をどんどん変えていったり、実験したりという素早い動きが可能になっている。状況に応じて、従来は機能していたプロセスが動かなくなることもあるため、常に結果に目を光らせることが求められるようになっている。

・学習能力を持った人工知能=コグニティブ・テクノロジー

・ミレニアル世代の4つの特徴:(1)本物の価値を志向する。(2)自律と成長を重視する。(3)フラットな信頼関係を大切にする。(4)企業・ビジネスを諸価値実現の手段として重視する。

・プロフェッショナル・リーダーは自分が知らない分野であっても、重要なテーマについてはとことん質問する。しかしながら、組織のサイロ化が進んだ日本では、他部門への質問は「門外漢が口を出すな」と、阻まれる傾向がある。

・リーダーとして認められる3つのポイント:(1)突破口となる専門知識(Expertise)、(2)賢く自己主張するアサーション(Assertion)、(3)生産的な話し合いを促すファシリテーション(Facilitation)

・アサーションは、自分が考えていることを攻撃的にならず、もちろん非主張的に陥らずに表現し、それに対する相手の反応を素直に受け入れ、対応できる能力。アサーティブであるためには、論理的であることがもちろん必要だが、非言語的な要素も重要であり、相手の気持ちやコンテクストを踏まえた理解力や判断力、そして表現力が求められる。

・コンフリクトへの5つの対応パターン:


 他人の話を聞く→
↓自己主張
弱い強い
強い競争的(Competing)協調的(Collaborating)
弱い回避的(Avoiding)受容的(Accommodating)

この中心部に、「妥協的(Compromising)」が来る。最終的に目指すのはウィン・ウィンの関係が導き出せる「協調的」な解だが、相手の出方によって、最初の態度と最終的な態度を変えるという戦略もあり得る。

・ファシリテーションでは「グランドルール」を作ることが大切。「ここは無礼講です。何を話してもらっても咎められません」と。さらに効果的なのは「できないと言わない」というルール設定。後ろ向き、現状維持になりがちな参加者を前に向かせることができる。

・問題を解決する際、必要なステップを飛ばして一足飛びに解決に向かうと失敗することがある。その際には、「観察」→「記録」→「分析」→「思考」→「アイデア」というステップを順に踏んでいくこと。

・「厳しい実践の場に身を置く。その中で自らのリーダーシップの持論を実践し深める。しかし、ときに壁にぶち当たることがある。リーダーとして堂々巡りを繰り返し、壁を越えられない。そんなときはやみくもに実践を繰り返すのではなく、深く内省することが重要だ。壁にぶつかって内省し、一皮むける瞬間がリーダーとして成長するときであり、その繰り返しがリーダーシップを鍛える」 神戸大学・金井壽宏教授の言葉

・「GEで成功したければ、バイ・カルチャーになることだ。君は日本人だ。きっと日本のカルチャーに誇りを持っていることと思う。それを捨てる必要はない。それに加えて、もう1つ、GEのカルチャーを身につけることだ」 GE副会長・パオロ・フレスコから筆者への言葉。

・リフレーミング=制約条件を取り払って、視点を切り替えること。

・アジェンダ・セッティング=誰も気づかない重要な問題を定義することでリーダーシップを発揮すること。解決することに意識が向かいすぎると、問題提起そのものの重要性を忘れてしまうことがある。

・対立構造から離れて全体を包含する視点を意識する:(1)トータルに問題をとらえて納得感のあるアジェンダ・セッティングを意識する。(2)「ひょっとして、本質は別のところにあるのではないか?」と常に問い直す。(3)視点を変えることで新しいアジェンダが見えた事例から、視点の変え方を学ぶ。




【目次】

第1章 リーダーとは何者なのか?―「答えのない時代」のリーダーシップとは
第2章 プロフェッショナル・リーダーが必要となる背景―世界と時代と世代
第3章 同調社会という日本企業固有の落とし穴―プロフェッショナル・リーダーへの気づき
第4章 プロフェッショナル・リーダーを目指す君がすべきこと

4492522182

アパレル業界出身の社長。目がいいのに、眼鏡屋の社長。そんな風変わりな社長が率いているのが、JINSブランドで有名になったジェイアイエヌである。

アパレルの時の経験を活かして、商社を中抜きしてフレームとレンズを工場に直接発注し、レンズは各店舗で加工。これにより、即日渡しが可能になった。ここだけ見ると、よくある話である。

ユニークだと感じたのは2つ。1つ目は田中社長がジェイアイエヌを創業しようとしてきっかけ。韓国にアパレルの視察旅行に行った際に、眼鏡を3000円15分で販売しますという看板を見かけたのだ。同行者が試しにと、作ってみたところ、粗悪品ではない。なぜ日本では3万円の眼鏡を1週間もかかって買わなければならないのか。ここまでならば、誰しもが考えることかもしれないが、これを徹底的に研究し、ビジネスを立ち上げてしまった行動力が素晴らしい。「一歩を踏み出さずして成功なし」とはまさにその通り。

もう1つは、社長自身が目がいいため、眼鏡に視力矯正以外の視点を持ち込んでいること。花粉カット、ドライアイ防止、ブルーライトカットなどの機能性眼鏡は異業種の発想から生まれている。新しい発想の眼鏡は、異業種出身者たちからなるプロジェクトで進められている。従来の常識にとらわれない自由な発想の重要性を再認識した。

そんなJINS眼鏡は海外でも受け入れられつつあるという。そういえば、先日、サンフランシスコを訪問した際、JINS眼鏡が出店しているのを見かけた。ユニクロのすぐ近くだったと記憶している。ユニクロの海外展開は知っていたので意外には感じなかったが、へぇJINSまで進出しているんだと、記憶の片隅に残っていた。アメリカの眼鏡人口は2億人だとのこと。JINSは、まだまだ成長しそうである。



【番組ホームページより】

これまで縮小の一途だったメガネ市場がここ数年、徐々にではあるが復活してきている。その原動力がリーズナブルでファッショナブルなメガネの登場だ。メガネは「視力補正」のためにイヤイヤかけるものではなく、おしゃれなアイテムとしても復権していて、もはや1人が数本持つ時代に。そんな中、販売本数日本一を誇るブランドが全国に281店舗を展開する「JINS」。店内に並ぶ1200種類のメガネは、5000円から、高いものでも1万円程と格安。生産から販売までを一貫して行うSPA(製造小売)方式を業界でいち早く根付かせた"メガネ界のユニクロ"だ。さらに、最近では、花粉症対策やパソコンの光から目を守るメガネなど、メガネをかけない人にも役立つ「機能性アイウエア」という新市場を創出して大ヒットを飛ばした。そのメガネ界に変革をもたらした仕掛人が、「ジェイアイエヌ」社長の田中仁だ。革命児のメガネに映る、次なる狙いとは・・・。

◇1512 『新・戦争論−僕らのインテリジェンスの磨き方』 >池上彰・佐藤優/文春新書

池上彰と佐藤優が対談方式で世界情勢を語る本。この分野の第一人者である2人の対談なので非常に興味深く読み進めた。いろいろな本を共著としているように思っていたのだが、過去に読んだものでは『希望の資本論』のみ。ちょっと意外な気がした。

読了したのは7月なのだが、書評を書かないまま放置してしまっていた。内容が濃い本や、引用したい箇所が多い本は、どうしても書評を書くのが遅くなってしまう。本書に関しては、内容も濃くて引用箇所も多いので、ついつい後回しにしてしまったのだ。年内には書き終えて新たな年を迎えたいと思い、何とか筆を取り始めた次第。

タイトルも『新・戦争論』と刺激的。内容も、そこまで言ってしまって大丈夫か、というところまで、踏み込んだものになっている。最近は、私自身、新聞の国際欄などは注意して読むようにしているので、ある程度の情報は持っているつもりであったが、やはりプロの2人にかかると、あぁこういう読み方があるのか、と感心させられる。

そんな本書を通して一番怖いと再認識したのは、第一次世界大戦がほんの小さなきっかけで起こってしまったという点。トランプ氏が米国大統領に就任した際に、第三次世界大戦が起こってもおかしくない、という感想を抱いたのは、この事実が頭のどこかにひっかかっていたからであろう。アメリカが世界の警察をやめた途端に、中国、ロシア、トルコ、サウジアラビア、イラン、シリア、北朝鮮、イスラム国、などなど、多くの国が自己主張を始めそうである。

歴史を知ること、特に歴史の暗部にきちんと目を向けることが、戦争という人類が陥りがちな大きな過ちを回避する有効な手段である。これは、一国の長や一部の政治家だけが知っていればよいものではない。一日本人として、一地球人として、日本がそして世界が歩んできた道、歩むべき道を、きちんと知らなければならない。

それでは、気になった箇所を要約して引用。

・集団的自衛権の内実は、個別的自衛権と集団的自衛権の重複する領域の事象で、従来の政府見解を一歩も踏み越えていない。公明党が実をとった形。日本流の集団的自衛権は尖閣諸島や中国との関係で大変な事態になったら助けてください、だけど中東に自衛隊は行きません、という都合のよいもの。これでは、日米同盟を毀損するのではと、外務省は心配しているほど。

・欧米が感染症問題に本腰を入れて取り組まないのは、新興国の人口爆発が怖いから。結局、経済力を持たない国家はなめられる。

・中国は漢民族の人口は多いが、その住んでいるところには天然資源がない。天然資源は人口の少ない少数民族が住んでいるところにあるが、労働力が少ない。だからこそ、中国の今後の安定と発展のカギは民族政策にある。毛沢東でさえ、民族問題に関してはバランスの良い見方をしていた。

・今の中国で起きているのは、産業化と近代化。しかし近代化は、ネーション・ステート(国民国家)なしに可能なのかどうか。中国の場合、漢民族ではなく、「中華民族」という新たな民族意識を形成し、国民国家をつくることが近代化に不可欠なのか。それともネーション・ステート形成を経ずに、今の共産党政府に従ったままで近代化は可能なのか。中国は、プレモダンの国が近代的な民族形成を迂回してポストモダンにたどり着けるのかという巨大な実験をやっているようなもの。

・世俗国家の中でも、今後、宗教という変数がウエイトを占めてくる。また、「宗教」が「国教」化していくと、その「国教」は「宗教」というより「習慣」のような存在になっていく。さらにもう少し突き放して言えば、今の世界の普遍的な宗教は「拝金教」である。原価22円の1万円札の価値を信じるのは、そこに貨幣の本質としての宗教的効果があるから。ビットコインという新興宗教が出てきているが、これを従来の拝金教国家がつぶしにかかっている。

・「イスラム国」が特異なのは、シリアやイラクといった国家を支配することを目標としていない点。彼らの目的を考えるうえで、参考になるのがロシア革命。マルクス主義では「本来、国家は死滅すべきものだ」ということになっているのに、ロシア革命において、なぜソビエト国家ができたのか。レーニンはこれは国家ではなく「半国家」であると言った。国家は階級抑圧の道具だから本来、悪である。ソビエトも最終的には全世界に革命を起こして国家を廃棄する。けれども今は帝国主義国家に囲まれている。囲まれているかぎりにおいては、それに対抗するための「半国家」が必要だと。その国家の目的は世界のプロレタリア革命だったのだが、これを「世界イスラム革命」に置き換えると、彼らの目的が理解できる。

・イスラエルの元官房長の知人が言っていた言葉。国際情勢の変化を見るときは金持ちの動きを見る。最近になって格差が広がってきたというが、そうではない。昔から人口の5%の人間に富は偏在していた。冷戦下においては、共産主義に対抗するため、その5%の人間が国家による富の再分配に賛成していたが、冷戦後は、もはやそういうことに関心を持たなくなった。しかし、大富豪は自分たちの儲けの半分を吐き出さないとつぶされることを経験則で分かっている。そこで自分たちでつくった慈善基金で富の再分配をしている。大金持ちたちがダイレクトに社会に富を再分配するパイプを作ってしまったのだ。そこに政府は介入できておらず、結果として、世界の富は国家を迂回して動くようになった。

・今後のヨーロッパで危険なのはベルギー。南北の対立が激化していて、北部のフランドル地方に独立の動きがある。もしそうなれば、NATOの中心で、かつEUの首都のような国が壊れることになるため、非常にシンボリックな意味を持ってくる。ちなみに、EUの本部がなぜベルギーのブリュッセルに置かれたかというと、それは「ベルギー語」がないから。フラマン語(オランダ語の一種)とフランス語とドイツ語が公用語となって、一つの国を形成している。一つの国でいくつも言葉がある点が、EUの首都としてふさわしいとされたもの。


話し言葉で書かれている対談なので、引用ではなく要約の方が適している。 ページを折った箇所をすべて引用していると大変なので、パラパラと最初からページを繰りながら、ここだけは、という箇所に絞り込んで記録しよう、と思ったのだが、途中で手が止まってしまった。

経営や会計に関する学習は、蓄積が重要であり、こういった引用や要約といった記録行為も大切だと思うが、本書で出てくるような情報は鮮度が大切。一方で、上述のように、情報の「断片」をバラバラと記録していっても、なかなか記憶に定着しないし、頭の中でつながっていかない。要約してパソコンに打ち込んでいく作業時間も、馬鹿にならないので、効果がない要約はやめてもよいかもしれない。

という訳で、今回は前半部分のみの要約とした。池上さんや佐藤さんの国際情勢に関する書籍はたくさん出ているが、起こっている事象ごと、例えばウクライナ問題などのように、テーマごとに情報を蓄積していった方がよいように感じてきた。本書のようなシリーズは新書版が多いので、気になったところにガンガン線を引いて、必要に応じて参照にする方が、効果的であろう。書評としては寂しくなるが、データの羅列よりも、そこから得られた洞察を記録していく方が有用。そういった意味で本書は、繰り返しになるが、「戦争は些細なことで起こる」という警鐘だと受け止めた。



【目次】

序章 日本は世界とズレている
第1章 地球は危険に満ちている
第2章 まず民族と宗教を勉強しよう
第3章 歴史で読み解く欧州の闇
第4章 「イスラム国」で中東大混乱
第5章 日本人が気づかない朝鮮問題
第6章 中国から尖閣を守る方法
第7章 弱いオバマと分裂するアメリカ
第8章 池上・佐藤流情報術5カ条
終章 なぜ戦争論が必要か

4166610007

大前研一の著書に、理髪業界の非効率性が書かれていたと記憶している。髪を切るのが目的にもかかわらず、髭を剃ったり、マッサージをしたりと、余計な時間とコストをかけていると指摘していた。その理髪業界にあって、「余計なもの」を究極的にそぎ落としたのが、QBハウスである。

今でこそ、1000円カットというのは、町中の至る所で見かけるが、当時は画期的だったであろう。何しろ、洗髪という、理容店では当たり前の行為までそぎ落としてしまったのだから。髭剃りやマッサージは無くても大丈夫だと思えるが、洗髪をやめて掃除機で直接切った髪の毛を吸引するというのは、常識破りな発想である。

しかしながら、今回登場した北野社長は、このビジネスモデルの考案者ではない。銀行から転職し、創業社長から経営を引き継いだ人物。一番面白いなと思ったのは、「不景気でも髪は伸びる」という発言。確かに、人口減少という先行きの暗さはあるものの、誰しも1〜2カ月に一度は必ず髪を切るであろう。無くても困らないものではなく、無いと困るものを商品にしている業界は強いなと、改めて感じた。

さて、そんなQBハウス(社名はギュービーネット)の北野改革を列挙してみよう。

・当時、出店ラッシュで、従業員が疲弊していた。そこで北野は出店を取りやめ、従業員目線での改革を実施した。

・カット作業を効率化するため、髪の毛を吸引する掃除機を、ワンタッチで床の清掃にも使えるように改良した。

・カット時間を短縮するための、独自のカット技術を開発し、それを新人などに教育している。

・新人は半年間、有給で実習を受けることができる。その後は、店舗で経験を積むことができる。通常の理髪店や美容室であれば、2〜3年ほど修行に時間がかかる。すぐにでも実践に出たいという若者が集まっている。

・カットにかかる時間などをこまかくデータ取りしている。そのデータを、データサイエンティストが分析し、現場の改善に役立てている。


番組を見ていて感じたのが、従業員に対する深い愛情と、究極的な合理主義の二面性。従業員に効率よく働いてもらうことが従業員のためになる、という信念を持っているからこそ、究極的な合理化が進むのであろうか。

今回初めて知ったのだが、理容師と美容師とは職種が異なり、同じ店舗では働けないとのこと。そうすると、理容師の父親の店を、美容師の娘が引き継げないといった矛盾も出ているそうだ。こんな無意味な法律は一刻も早く撤廃すべきであろう。合理主義の北野社長は、そんなところにもメスを入れていくのではなかろうか。



【番組ホームページより】

「髪を切るだけ、シャンプーなし」で「10分1000円」。19年前、この斬新なシステムをひっさげて登場し、いまや年間1700万人が利用するQBハウス。創業以来、18年連続で成長を続ける国内トップのカット専門店だ。なぜ10分で髪が切れるのか?なぜ、1000円で儲かるのか?そこには、絶え間なく変わりつづけてきた独自の進化があった!世界で585店舗を展開する巨大チェーンの知られざる時短ビジネスの全貌を徹底取材!

◇1511 『組織サバイバルの教科書・韓非子』 >守屋淳/日本経済新聞出版社

『韓非子』については、出口治明さんも薦めていたのでいつか読んでみたいとは思っていたのだが、なかなか古典というのはハードルが高くて手を出せない。そんな折、中国古典を分かりやすく解説してくれる守屋さんが、本書を出版していたので、思わず手に取ってしまった。

守屋さんの本は分かりやすいのだが、古典というのは分かりやすければよいというものでもない。このあたりの匙加減は非常に難しいのだが、本書に限って言えば、分かりやすく書こうとしすぎて、内容が薄っぺらになってしまっているのでは、というのが正直な感想。少し前に読了した本だが、付箋を付けた箇所をパラパラと読み返しても、あまり記憶が甦ってこない。

『韓非子』というと、人間の嫌なところ、弱いところに目を向けた、東洋の『君主論』のような印象を持っていた。権力闘争や派閥争いのための必読書、というイメージもあったのだが、本書では少し違う切り口で『韓非子』を解説している。筆者の言葉を借りるなら、「ムラ社会のような組織を、成果を出せる目的を持った引き締まった組織に変える」というもの。強敵が外部に多数ひしめくような過酷な状況でもサバイバルできる筋肉質な組織を作るための書物、と位置付けている。

私自身、人に対しては誠意をもって接したいと思っているし、権謀術数の世界は苦手だし好きではない。しかしながら、相手の手の内を知っておかないと、正しく自分や部下を守ることができないかもしれない。本書は、そんな防衛策を学ぶために、また、筆者が書いているように成果を出せる強い組織をつくるために、読もうと思った次第である。

また、気を付けなければならないと再認識したのが、私に対しては気を使って話しかけてくる部下や後輩が、その部下や後輩に対してどのように接しているかを知るべきだということ。自分にとって良い部下であっても、上司にだけ良い顔をしている場合もある。自分が一番下の立場であったときには気づかなかったが、この手の上だけに良い顔をする部下には注意をしないと、ついつい良い奴だと勘違いしてしまう。

それでは、気になった箇所を引用しておきたい。

・人は置かれた状況によって、良くも悪くもなる。

・人は利益や権勢のためなら、情を捨てる可能性がある。

・相手のためにやってるんだ、という気持ちが差し挟まれると、人は相手を責めたり、うらんだりしたくなる。自分のためにやっているんだ、と思えばうまくいく。

・みせしめに殺すなら、なるべく位の高い者がよい。また、賞を与えるなら、なるべく位の低い者がよい。

・聖人が政治の手段として使うものが3つある。1つは恩賞、2つ目は厳罰、3つ目は名誉だ。恩賞というものは民を引きつけるための手段。厳罰とは命令を貫徹するための手段。名誉は上と下の価値観をそろえるものだ。この3つでなければ、他の手段があったとしても、差し迫ったものではない。

・名君は、二本の操縦桿によって臣下を統制する。二本の操縦桿とは「刑」と「徳」のことだ。では、「刑」と「徳」とは何か。殺戮を刑といい、賞を徳という。

・部下の悪事を防ごうとするならば、トップは部下に対して「刑」と「名」、すなわち申告と実績の一致を求めなければならない。まず部下がこれだけのことをしますと申告する。そこでトップは、その申告にもとづいて仕事を与え、その仕事にふさわしい実績を求める。実績が仕事にふさわしく、それが申告と一致すれば、賞を与える。逆に、実績が仕事にふさわしくなく、申告と一致しなければ、罰を加える。これだけはやりますと申告しながら、それだけの実績を上げなかった者は、罰する。実績が小さいからではない。申告と一致しないから罰するのだ。これだけしかやれませんと申告しておきながら、それ以上の実績をあげた者も罰する。なぜか。むろん、実績の大きいことを喜ばないわけではない。だがそれよりも、申告と実績の不一致によるマイナスの方が、はるかに大きいからだ。

・君主が実行の難しい規則を作り、それに触れた者を罪に落とせば、怨みを買うハメになる。

・人がハカリやマスに文句をつけないのは、清廉潔白で利益に距離を置いているからではない。ハカリは人のために重さを調整できないし、マスは人のために量を増減できないからだ。いくらお願いしても無理なのだ。賢い君主の治める国では、官吏は法を曲げないし、私益を求めようともしない。賄賂も横行しないのは、国内の統治がハカリやマスのようだからだ。

・腹黒い臣下は、君主の心に取り入って、寵愛を勝ち取ろうとする。だから君主が気に入っている者であれば褒め称え、君主が気に入らない者であればののしるのである。

・賞罰は、国を治めるための便利な道具だ。この道具を君主が持っていれば家臣を従わせることができる。逆に家臣の方が握ってしまうと、君主が従わされるハメになる。そこで家臣は、君主が賞を与える際、間に入って「本当はもっと少なかったが俺が増やしてやった」と恩を売ろうとする。逆に罰を与えるときも、「本当はもっと軽かったが、俺が重くした」と威厳を取り繕う。

・君主が好悪を見せないようにすれば、家臣は素を見せるようになる。君主が賢さや知恵を見せなければ、家臣たちは自分らしさを出すようになる。

・上に立つ人間は、鍵を閉めた室内からこっそり庭をのぞくように、部下を観察する。そうすれば、細かい振る舞いまですべて見てとれ、情報が手元に集まってくる。

・相手の地位にこだわって、さまざまな情報を突き合せず、寵臣一人だけを情報源としている。このような君主はわが身を滅ぼす。

・心が空っぽで先入観がないから、相手の実情も正確にわかり、静かに待ち構えているから、相手の動きも正確にわかる。

・トップには7つの「術」が必要だ。(1)部下の言い分をお互いに照合して事実を確かめること。(2)法を犯した者は必ず罰して威信を確立すること。(3)功績を立てた者には必ず賞を与えて、やる気を起こさせること。(4)部下の言葉に注意し、発言に責任を持たせること。(5)わざと疑わしい命令を出し、思いもよらぬことをたずねてみること。(6)知っているのに知らないふりをしてたずねてみること。(7)白を黒と言い、ないことをあったことにして相手を試してみること。

・政治をきわめた者は、制度に頼って人には頼らない。

・トップが警戒すべき6つの「微」がある。(1)権限を部下に貸し与えること。(2)部下が外部の力を借りること。(3)部下が似たことで騙そうとすること。(4)部下が利害の対立につけ込むこと。(5)内部に勢力争いが起こること。(6)敵の謀略や干渉に乗せられること。


こうして引用してみると、悪いことばかりではない。なるほどな、と思う点もあるし、理解はできるけど自分はやりたくないなと思うものもある。しかしながら、驚くべきは中国の春秋戦国時代、つまり紀元前というはるか昔に、このように洞察に富んだ書物が書かれていたという事実。もっと言うならば、人間の権勢欲というものは、2000年来(いや、もっと長期に渡って)何も変わっていないということである。

冒頭の繰り返しになるが、こういった自分にとっては一見ネガティブと感じられる知識であっても、まずは取り込んでみることも重要であろう。こういった知識・ノウハウを「使う使わない」は自分の意志だが、「知っている知らない」は怠惰でしかない。



【目次】

第1章 人は成長できるし、堕落もする―「徳治」の光と影
第2章 『韓非子』は性悪説ではなかった?
第3章 筋肉質の組織を作るための「法」
第4章 二千年以上も歴史に先んじた「法」のノウハウ
第5章 「権力」は虎の爪
第6章 暗闇のなかに隠れて家臣を操る「術」
第7章 改革者はいつの時代も割に合わない
第8章 人を信じても信じなくても行きづまる組織のまわし方
第9章 使える権力の身につけ方

4532169976

目指すは「食中酒」 食事中に気軽に飲めるお酒だとのこと。そのため、個性をできるだけ抑えて、どんな食事にでも合う、つまりはいつでも楽しめるようなお酒を目指しているとのこと。

日本酒ブームが起こったときに、そんな八海山が手に入りにくくなり、値段が高騰したことがあるという。それを見た南雲さんが、「食中酒を目指しているのに、普段飲んでいるお客様に八海山が届かないのは、相当にまずい」と大量生産を決意。しかしながら、酒を醸造する過程を研究し、機械でやるべきところと、人手をかけて行うべきところを、きちんと切り分けたうえでの機械化を実施した。これによって、価格の安定化に成功したとのこと。

これは製造業で言えばコア技術に関する部分は自社で生産し、比較的簡易な部分は外注に出すようなやり方にもにている。管理部門も同じで、意思決定に関するような重要な仕事は自社に残し、定型業務はアウトソーシングしていく。八海醸造のすごいところは、発酵工程という一番手間のかかるところを、あえて人力で実施している点。ここを機械化しては味が落ちるということなのであろうが、なかなか徹底できないものだ。

本来であれば自社で行うべきものを、外に出してしまっている例が散見される。自社の強みは何か、差別化できる部分は何かを真剣に考えていない証左であろう。

ちなみに、個性を抑えるというのは、すっきりした飲み口を重視して、コメを極限まで削る獺祭とはずいぶん異なるコンセプト。獺祭は、機械化しているにもかかわらず、生産が追い付かずに値段が高騰してしまっている。何となく、経営に対する考え方の根本的な違いを感じた。個人的には南雲さんのコンセプトの方が好きである。

もう1つ、感動したのは「売れない酒」を造っているという点。これは、年1回、日本酒醸造の技術を廃れさせないため、あえて昔ながらの手間のかかる手作業で、極少量の極上の酒をつくるのだそうだ。これもモノづくりのコア技術とは何か、そのコア技術を磨き続けるために何が必要かと、教えられる貴重な教訓だと感じた。



【番組ホームページより】

新潟県南魚沼市。八海山の麓につくられた、魚沼の四季と食文化を楽しめる、魚沼の里。そば、うどん、スイーツ…1日散策するだけでも楽しい場所として、知られざる人気スポットとなっている。運営するのは、かつての地酒ブームで大人気となった日本酒「八海山」を造る八海醸造。実は八海醸造、いま様々な新規事業に打って出ている。首都圏のスーパーなどで年間200万本を売る大ヒットとなっているのは「麹だけでつくったあまさけ」。さらに、米や麹、発酵食品を取り揃えた直営店舗「千年こうじや」も出店攻勢をかける。八海醸造3代目の南雲は、日本酒が低迷する中、「八海山」の酒造りの中で培かった技術を生かし、新たな商品展開で生き残ってきたのだ。さらに、お酒自体をもっと飲んでもらうための取り組みも…食事と一緒に酒を味わうセミナーを定期的に開催。どんな食事にも合う味に設計された「八海山」の魅力を伝えようとしている。 南雲は考える、日常の食事で日本酒を楽しんでもらうことが、日本酒復活の鍵だと。

このページのトップヘ