2010年02月18日
香港・華南における与信リスク管理
香港日本人商工会議所主催のセミナーに出席。講師は伊藤忠商事の審査部門でその道30年の、富本武治氏。セミナーのタイトルが「香港・華南における」となっていたので、特徴的な話、具体的な話が聞けるかと思ったが、メインは財務分析であった。これはこれで、非常に有益だったが、ある程度知っている内容も多く、もう一歩突っ込んだセミナーだと面白かったであろう。
■香港および華南における与信リスク管理
・香港のペーパーカンパニーや、中国企業の一部については、決算内容が不明であったり、信憑性が少ない。
(対策)
− 与信上限額を200K〜300KUSD程度に絞る。(金額は企業によって異なる。該当部門の年間利益の1/3〜1/4程度が妥当な金額)
− Overdue管理を徹底し、入金遅れを徹底フォローする。
− 営業担当者の現場情報を日頃から入手するよう心掛ける。
・台湾系企業はケイマンなど第三国経由で出資しており、親子関係が分かりにくい。いざというとき撤退するリスクがあるが、どう対応しているか。
(対策)
− 連結ベースで財務諸表を検証し、親会社与信で見る。(本社の審査部などに相談すると親会社保証を入手だとか、三社契約を結べなどという意見が出てくるが、非現実的。例えばFoxconnなどは子会社は全て優良会社と見なして対応している)
■Overdue管理について
香港や中国では財務諸表が入手できないことが多い。(香港はペーパーカンパニーが多く、資本金数万円といった会社が数多くある。中国は当局に対して財務諸表の提出が義務付けられているが、粉飾されていることがおおく、当てにならない)よって、Overdue管理による、与信管理が非常に重要となる。
・Overdueが発生(=入金が遅れた)際には、次の4点を検討すること。
1.既存債権の早期回収方法
2.既契約商品の出荷の可否
3.与信限度額の削減の必要性
4.与信取引継続の可否
同時にoverdue管理の限界も知らなければならない。overdueからは企業の支払振りは分かるが、資金繰りを直接見ているわけではない。得意先が稼いだ現預金を他社の支払に充てたり、別の目的で使用していることも大いにありうる。(中国では成金社長がベンツを買い、その為仕入先への支払が滞るということも頻繁に起こっている、とのこと)
■財務分析について
・B/SとP/Lの両方を見る。B/Sは財政状況、つまり現在の支払余力を見る。P/Lは収益力をあらわす経営成績、つまり支払い能力を増やしているかどうかを見る。
・流動比率は重要だが、不良性の売掛金や在庫が混在している可能性がある。保守的にみるならば、20〜30%程度は差し引いてみるべき。よって、流動比率は130%以上が望ましい。
・流動資産のなかに不良性のものが混じっているかどうかは、売掛金と在庫の回転数から推測する。回転数が悪化している場合は、回収できていない売掛金や、販売できなくなった在庫が資産に混ざっている可能性が高い。
・自己資本比率は、裏返してみると、どれだけのカネを返さないといけないかという見方になる。つまり自己資本比率が10%の会社は、90%のカネを返さないといけないということ。これは大変な比率である。
・総資産回転率も重要な視点。総資産をつかってどれだけの売上を上げているか、つまりは、どれだけキャッシュを稼いでいるか。メーカーは1.0以上、商社は1.5〜2以上が正常値。
・適正な与信限度額、というのはなかなか導き出しづらいが、経験則から顧客の「実質自己資本の1/3〜1/2程度」が妥当と考える。
・自己資本比率が5%以下の会社とは取引中止または100%保全を考える。
→財務分析により最初はマクロ的な分析を行なう。その後、気になる部分(指標が大幅に悪化している部分など)について、突っ込んで検証していくそうである。今まであまり意識していなかったのが「総資産回転率」 総資産を使用してどれだけ売り上げをあげているかを見る指標なのだが、確かに言われて見れば非常に重要な指標である。これからもう少し注意して見るようにしたい。
指標の説明以外に、セミナーではJALとANAの財務分析を通して、具体的な危ない会社の見分け方を学習した。改めて財務分析を行なうと、JALの経営破綻は一目瞭然である。この5年程度で赤字が2400億円。2度の増資を行なっているが、結局借入金返済に充ててしまっており、前向きな投資が出来ていない。現預金などを差し引いたNetの借入金はずっと7000億円程度で推移しており、銀行団の設定している与信枠がこのレベルなのだろうという推測が成り立つ。
これに対してANAは順調に利益を計上しており、一見問題のなさそうな財務諸表。経営努力の成果であろう。しかしながら、借入金依存度が50%近くあり、一度経営が傾くと一気にJALと同じ道をたどりかねない。将来的に営業キャッシュフローをいかに最大化し、そこからどれだけ借入金を返済していくかが命題となろう。
なお、富本氏は『与信管理の実際』という本を書かれている。私も早速取り寄せてみることに。また、セミナーで紹介頂いた財務分析表は、下記のサイトから入手が可能である。会計の考え方から来るキャッシュフローとは若干概念が異なるが、審査のプロが考案したキャッシュフロー分析表は秀逸である。
http://www.shojihomu.co.jp/newbooks/1555.html
■香港および華南における与信リスク管理
・香港のペーパーカンパニーや、中国企業の一部については、決算内容が不明であったり、信憑性が少ない。
(対策)
− 与信上限額を200K〜300KUSD程度に絞る。(金額は企業によって異なる。該当部門の年間利益の1/3〜1/4程度が妥当な金額)
− Overdue管理を徹底し、入金遅れを徹底フォローする。
− 営業担当者の現場情報を日頃から入手するよう心掛ける。
・台湾系企業はケイマンなど第三国経由で出資しており、親子関係が分かりにくい。いざというとき撤退するリスクがあるが、どう対応しているか。
(対策)
− 連結ベースで財務諸表を検証し、親会社与信で見る。(本社の審査部などに相談すると親会社保証を入手だとか、三社契約を結べなどという意見が出てくるが、非現実的。例えばFoxconnなどは子会社は全て優良会社と見なして対応している)
■Overdue管理について
香港や中国では財務諸表が入手できないことが多い。(香港はペーパーカンパニーが多く、資本金数万円といった会社が数多くある。中国は当局に対して財務諸表の提出が義務付けられているが、粉飾されていることがおおく、当てにならない)よって、Overdue管理による、与信管理が非常に重要となる。
・Overdueが発生(=入金が遅れた)際には、次の4点を検討すること。
1.既存債権の早期回収方法
2.既契約商品の出荷の可否
3.与信限度額の削減の必要性
4.与信取引継続の可否
同時にoverdue管理の限界も知らなければならない。overdueからは企業の支払振りは分かるが、資金繰りを直接見ているわけではない。得意先が稼いだ現預金を他社の支払に充てたり、別の目的で使用していることも大いにありうる。(中国では成金社長がベンツを買い、その為仕入先への支払が滞るということも頻繁に起こっている、とのこと)
■財務分析について
・B/SとP/Lの両方を見る。B/Sは財政状況、つまり現在の支払余力を見る。P/Lは収益力をあらわす経営成績、つまり支払い能力を増やしているかどうかを見る。
・流動比率は重要だが、不良性の売掛金や在庫が混在している可能性がある。保守的にみるならば、20〜30%程度は差し引いてみるべき。よって、流動比率は130%以上が望ましい。
・流動資産のなかに不良性のものが混じっているかどうかは、売掛金と在庫の回転数から推測する。回転数が悪化している場合は、回収できていない売掛金や、販売できなくなった在庫が資産に混ざっている可能性が高い。
・自己資本比率は、裏返してみると、どれだけのカネを返さないといけないかという見方になる。つまり自己資本比率が10%の会社は、90%のカネを返さないといけないということ。これは大変な比率である。
・総資産回転率も重要な視点。総資産をつかってどれだけの売上を上げているか、つまりは、どれだけキャッシュを稼いでいるか。メーカーは1.0以上、商社は1.5〜2以上が正常値。
・適正な与信限度額、というのはなかなか導き出しづらいが、経験則から顧客の「実質自己資本の1/3〜1/2程度」が妥当と考える。
・自己資本比率が5%以下の会社とは取引中止または100%保全を考える。
→財務分析により最初はマクロ的な分析を行なう。その後、気になる部分(指標が大幅に悪化している部分など)について、突っ込んで検証していくそうである。今まであまり意識していなかったのが「総資産回転率」 総資産を使用してどれだけ売り上げをあげているかを見る指標なのだが、確かに言われて見れば非常に重要な指標である。これからもう少し注意して見るようにしたい。
指標の説明以外に、セミナーではJALとANAの財務分析を通して、具体的な危ない会社の見分け方を学習した。改めて財務分析を行なうと、JALの経営破綻は一目瞭然である。この5年程度で赤字が2400億円。2度の増資を行なっているが、結局借入金返済に充ててしまっており、前向きな投資が出来ていない。現預金などを差し引いたNetの借入金はずっと7000億円程度で推移しており、銀行団の設定している与信枠がこのレベルなのだろうという推測が成り立つ。
これに対してANAは順調に利益を計上しており、一見問題のなさそうな財務諸表。経営努力の成果であろう。しかしながら、借入金依存度が50%近くあり、一度経営が傾くと一気にJALと同じ道をたどりかねない。将来的に営業キャッシュフローをいかに最大化し、そこからどれだけ借入金を返済していくかが命題となろう。
なお、富本氏は『与信管理の実際』という本を書かれている。私も早速取り寄せてみることに。また、セミナーで紹介頂いた財務分析表は、下記のサイトから入手が可能である。会計の考え方から来るキャッシュフローとは若干概念が異なるが、審査のプロが考案したキャッシュフロー分析表は秀逸である。
http://www.shojihomu.co.jp/newbooks/1555.html



























































