2010年02月25日
日経ビジネス[2010.02.08]クラウドの主導権を奪え
元NEC社長で、現在情報処理推進機構(IPA)理事長の西垣浩司氏のコメント。クラウドコンピューティングについても記事である。西垣氏曰く、クラウド分野で日本は出遅れているが、政府系や銀行系など高いセキュリティを必要とする分野であれば、まだまだ巻き返しが可能。銀行など大手企業のクラウド化には20年かかるであろう、とのこと。
この意見に対して、果たして本当にそんなにかかるのかなぁ、というのが私の素朴な疑問。守る側からしてみると、こういった技術の乗り換えは長いほうがよい。よってついつい保守的な目で見がちである。最近の時流を見ると、保守的な予測から約半分の年月で、技術的なパラダイムシフトが起こっているように感じる。よって、政府や銀行のシステムがクラウド化されるのは、あと10年程度ではないかと思っておきたい。
もしかしたら、日本の政府や銀行だけが、20年かけてクラウド化を進めていく中、アメリカやヨーロッパなどの政府や大手企業がこぞってクラウド化を進め、日本だけが取り残されてしまう、という構造もありうるかもしれないが。こういった分野でもガラパゴス化してしまうと、日本はますます弱体化していくであろう。
西垣氏も指摘していることだが、「日本語」というものがある種の参入障壁になっているのは事実であろう。昔は「島国」という地理的特性が日本を守ってくれたが、今は「日本語」という「ソフト」が日本を守っているのである。しかし、勘違いしてはいけない。これは「日本というせまい市場で、日本語という複雑なソフトが必要な面倒くさいマーケットは放っておこう」と世界から無視されるリスクを孕んでいるのである。日本の政府や銀行を相手にせまいパイを奪い合っている場合ではないのである。
さて、西垣氏の意見に全面的に反対しているわけではないので、もっともだと思う部分についても触れておこう。まず日本企業にきちんとしたCIOを置くべきだという意見。今更のような気もするが、実態としてITと経営の両者を学んだCIOというのは少ないであろうから、戦略的なITのロードマップを描ける人材というのは不可欠になってこよう。
もう一つ、日本は組み込みソフトウェアで優位性を発揮すべきという点にも賛成。先日エントリーしたロボットのアプリケーションなどにも通じる部分だが、こういったきめこまかなアプリケーションの開発は日本人の特異とするところ。ソフトそのものの開発で出遅れそうであれば、日本人が仕様を設計し、インドにプログラム開発を委託する、という手もあるだろう。
またアプリケーションにつきものなのが「バグ」であるが、このバグを限りなくゼロにしようという動きがあるらしい。アプリケーション版のシックス・シグマのようなものであろうか。こういった地道なバグ取りなども、本来であれば日本のお家芸であるように感じる。得意分野に特化する「選択と集中」は、どんな分野にでも必要である。
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上述のようなことを考えていたら、日経ビジネス[2010.02.15]でも「クラウド大旋風」という特集記事が掲載されていた。この記事を読んで感じたのは、クラウドについては、1.データ保管を外部へ委託、2.アプリケーションについても外部の既製品を活用、という2つに分けて考える必要があるのではないか、というもの。当然両者は切っても切れない関係だが、混同してはいけないように感じる。
また、クラウドの利点としてコスト削減を挙げている。データ保管に関しては、サーバの仮想化による低コスト化(仮想化とは1台のサーバーを複数あるかのように見せる技術。利用効率が大幅に向上する)、アプリケーションに関しては、既に出来あがったアプリケーションを活用するが故の開発期間の短縮と、課金制でアプリケーションを利用することによるIT費用の変動費化(従来自前でソフトを開発していた際は、償却費が固定費化していた)である。
IT費用の変動費化という視点は非常に面白いと感じた。最近の企業は、固定費削減の最初の手段として人員削減に走っているように感じる。企業が倒れてしまっては元も子もないので、人員削減に頭から反対するわけではないが、それでもやはり社員の削減は「最後の手段」であるべきではなかろうか。ITの分野で固定費が削減できるのであれば、こういったところから手をつけていくべきであろう。
本書ではないが、クラウドについての別の切り口が紹介されていたので記録しておきたい。(確かNewsweekの記事だったと思う) サーバの維持費について触れたが、具体的には土地の賃借料+電気代が費用としてかかってくるであろう。日本の高い土地や、電気代(日本は9〜10円/kw、米オレゴン州は約3円/kw)が競争力を低下させているのは間違いのないところ。しかしコストだけでは図れないものもある。安全性、セキュリティである。米国ではFBIがデータの調査権を持つとのことで、政府が保有する個人情報を海外へ委託するというのには躊躇するところかもしれない。しかしながら、IT先進国はアメリカだけではないので、セキュリティがしっかりしている国への転換などは進むかもしれない。
▼
いくつかの雑誌の記事を拾い読みしたわけだが、一貫して感じるのがIT分野が大きくクラウドへシフトしているという潮流。この動きはセキュリティなどをさほど意識しなくてすむ個人の方が早い。現に私もメールはGmailを利用しているし、様々なデータはブログという形でLivedoorに保存している。写真や個人のデータをサーバ上に保管している人も多いだろう。
個人とは逆に、日本の大手企業の対応が後手後手に回っている感は否めない。日本でのサーバ維持費用は高いのであれば、セキュリティの高い国で運営すればよい。富士通以外、サーバの海外での整備はさほど進んでいないとのこと。個人情報保護法などもうるさく、セキュリティという面は大変重要なのだが、「だからできません」と言い訳ばかりしていては遅れるばかり。どうやればできるかを考えないとならないのは、どの分野でも同じである。
この意見に対して、果たして本当にそんなにかかるのかなぁ、というのが私の素朴な疑問。守る側からしてみると、こういった技術の乗り換えは長いほうがよい。よってついつい保守的な目で見がちである。最近の時流を見ると、保守的な予測から約半分の年月で、技術的なパラダイムシフトが起こっているように感じる。よって、政府や銀行のシステムがクラウド化されるのは、あと10年程度ではないかと思っておきたい。
もしかしたら、日本の政府や銀行だけが、20年かけてクラウド化を進めていく中、アメリカやヨーロッパなどの政府や大手企業がこぞってクラウド化を進め、日本だけが取り残されてしまう、という構造もありうるかもしれないが。こういった分野でもガラパゴス化してしまうと、日本はますます弱体化していくであろう。
西垣氏も指摘していることだが、「日本語」というものがある種の参入障壁になっているのは事実であろう。昔は「島国」という地理的特性が日本を守ってくれたが、今は「日本語」という「ソフト」が日本を守っているのである。しかし、勘違いしてはいけない。これは「日本というせまい市場で、日本語という複雑なソフトが必要な面倒くさいマーケットは放っておこう」と世界から無視されるリスクを孕んでいるのである。日本の政府や銀行を相手にせまいパイを奪い合っている場合ではないのである。
さて、西垣氏の意見に全面的に反対しているわけではないので、もっともだと思う部分についても触れておこう。まず日本企業にきちんとしたCIOを置くべきだという意見。今更のような気もするが、実態としてITと経営の両者を学んだCIOというのは少ないであろうから、戦略的なITのロードマップを描ける人材というのは不可欠になってこよう。
もう一つ、日本は組み込みソフトウェアで優位性を発揮すべきという点にも賛成。先日エントリーしたロボットのアプリケーションなどにも通じる部分だが、こういったきめこまかなアプリケーションの開発は日本人の特異とするところ。ソフトそのものの開発で出遅れそうであれば、日本人が仕様を設計し、インドにプログラム開発を委託する、という手もあるだろう。
またアプリケーションにつきものなのが「バグ」であるが、このバグを限りなくゼロにしようという動きがあるらしい。アプリケーション版のシックス・シグマのようなものであろうか。こういった地道なバグ取りなども、本来であれば日本のお家芸であるように感じる。得意分野に特化する「選択と集中」は、どんな分野にでも必要である。
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上述のようなことを考えていたら、日経ビジネス[2010.02.15]でも「クラウド大旋風」という特集記事が掲載されていた。この記事を読んで感じたのは、クラウドについては、1.データ保管を外部へ委託、2.アプリケーションについても外部の既製品を活用、という2つに分けて考える必要があるのではないか、というもの。当然両者は切っても切れない関係だが、混同してはいけないように感じる。
また、クラウドの利点としてコスト削減を挙げている。データ保管に関しては、サーバの仮想化による低コスト化(仮想化とは1台のサーバーを複数あるかのように見せる技術。利用効率が大幅に向上する)、アプリケーションに関しては、既に出来あがったアプリケーションを活用するが故の開発期間の短縮と、課金制でアプリケーションを利用することによるIT費用の変動費化(従来自前でソフトを開発していた際は、償却費が固定費化していた)である。
IT費用の変動費化という視点は非常に面白いと感じた。最近の企業は、固定費削減の最初の手段として人員削減に走っているように感じる。企業が倒れてしまっては元も子もないので、人員削減に頭から反対するわけではないが、それでもやはり社員の削減は「最後の手段」であるべきではなかろうか。ITの分野で固定費が削減できるのであれば、こういったところから手をつけていくべきであろう。
本書ではないが、クラウドについての別の切り口が紹介されていたので記録しておきたい。(確かNewsweekの記事だったと思う) サーバの維持費について触れたが、具体的には土地の賃借料+電気代が費用としてかかってくるであろう。日本の高い土地や、電気代(日本は9〜10円/kw、米オレゴン州は約3円/kw)が競争力を低下させているのは間違いのないところ。しかしコストだけでは図れないものもある。安全性、セキュリティである。米国ではFBIがデータの調査権を持つとのことで、政府が保有する個人情報を海外へ委託するというのには躊躇するところかもしれない。しかしながら、IT先進国はアメリカだけではないので、セキュリティがしっかりしている国への転換などは進むかもしれない。
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いくつかの雑誌の記事を拾い読みしたわけだが、一貫して感じるのがIT分野が大きくクラウドへシフトしているという潮流。この動きはセキュリティなどをさほど意識しなくてすむ個人の方が早い。現に私もメールはGmailを利用しているし、様々なデータはブログという形でLivedoorに保存している。写真や個人のデータをサーバ上に保管している人も多いだろう。
個人とは逆に、日本の大手企業の対応が後手後手に回っている感は否めない。日本でのサーバ維持費用は高いのであれば、セキュリティの高い国で運営すればよい。富士通以外、サーバの海外での整備はさほど進んでいないとのこと。個人情報保護法などもうるさく、セキュリティという面は大変重要なのだが、「だからできません」と言い訳ばかりしていては遅れるばかり。どうやればできるかを考えないとならないのは、どの分野でも同じである。



























































