△0994 『僕は君たちに武器を配りたい』 >瀧本哲史/講談社

 日経ビジネスの書評で紹介されており、タイトルに惹かれて購入。正直、あまりよく考えずに直感で購入してしまったのだが、手にとってみて若者向けの著書であることを知った。表紙に書かれているのが「本書は、これから社会に旅立つ、あるいは旅立ったばかりの若者が、非常で残酷な日本社会を生き抜くための「ゲリラ戦」のすすめである」という言葉。自分は著者のターゲットとはかなり異なる。

 この手の本はこの手の本で、自分の後輩と接する際に使用すればよい。そう思って読み始めた。評価は△だが、10年前に読んでいれば、まちがいなく○を付けたであろう。日本社会を生き抜くために重要なエッセンスが凝縮されている。しかしながら、今の自分の年齢になって、本書の評価に○を付けていては筆者に失礼であろう。

 本書は装丁も面白い。「本書で手に入れる武器」と題して、本文中のまとめの文書を全て表紙に書き出しているのである。また、ページを開いてみると、文字がぎっしり詰まっており、空白が少ない。空白のやたら多い本に辟易していた身としては、なかなか好感の持てるレイアウトである。

 せっかくなので、本書の表紙にならって、武器を列挙してみよう。

・勉強ブームの影には「不安解消マーケティング」がある。安易に勉強すれば大丈夫と思うな! ・インターネットによって、知的獲得コスト、教育コストが激減し、世界的な競争にさらられるなど、急激な社会変化に注視せよ! ・全産業で「コモディティ化」が進んでいる。賃金を下げないためにはコモディティになるな! ・生き残るためには「スペシャリティ」な人間になること。「唯一の人」になれ! ・日本にやってきている「本物の資本主義」の姿を見極めよ。 ・一部の「頭のいい人」でなく「より安く、よりいい商品」を作る人間が、社会を進歩させるシステムが資本主義。 ・資本主義には3つのモデルチェンジ、「略奪」「交換」「生産性革命」があった。 ・日本を支えてきた「摺り合わせ産業」はもはや通用しない。 ・「ものづくり」にはこだわるな! 国に頼るな! ・現役学生が起業するのは「高学歴ワーキングプア」への道。コモディティ企業を作るな! ・専業主婦はハイリスク。「婚活」ブームに踊らされずに、女性もキャリアを目指せ。 ・金融業界など高給で知られる会社ほど、変化が激しく短命な商品の寿命がそのままビジネスの寿命になる。 ・現在人気の企業でも40年後は消滅している可能性が大。就職ランキングに騙されるな! ・日本の国内市場は先細り間違いなし。海外で働くことも考えよ! ・大量のコマーシャルを打っている会社、「今流行っている」商品・サービスを売る会社には気をつけよ! ・生産性の低い40代、50代社員が幸せそうにしている会社には入るな! ・企業を見極めるポイントは「お客様を大切にしているか」。顧客を大事にする会社は従業員も大切にする。 ・資本主義の世界で、稼ぐことが出来るのは6タイプ。(1.トレーダー、2.エキルパート、3.マーケター、4.イノベーター、5.リーダー、6.インベスター) ・しかし、そのうちの「トレーダー」と「エキスパート」は価値を失いつつある。 ・マーケターとは新しくない要素の組合せで「差異」を作り出せる人のこと。これからのビジネスは「差異」が左右する。 ・企業が商品で差をつけることは難しい。差をつけるには、ターゲットとなった顧客が共感できるストーリーを作ること。 ・自分自身も「商品」。売る「場所」を変えることで全く結果が違ってくる。 ・「自分の頭で物事を考えない人」は、DQNビジネスのカモにされる。 ・自分の働く業界について、ヒト、モノ、カネの流れを徹底的に研究しろ! ・イノベーションのチャンスは「今しょぼい業界」にある。 ・「TTP」と「逆の発想」がイノベーションを生む。 ・「駄馬」を使いこなすのが本当のマネジメント。 ・クレイジーな人はコンプレックスを原動力とせよ! ・クレイジーでない人はリーダーのサポート役になれ! ・ローリスクより、リスクがとれる範囲のハイリスク・ハイリターンの選択肢をたくさん選べ。 ・サラリーマンとは知らないうちにリスクを他人に丸投げするハイリスクな生き方。リスクは自分自身でコントロールせよ! ・投資は、長期的な視点で冨を生み出し続けるか、人が信頼できるのか、の2点で判断する。 ・日経新聞を読んでもけっして鵜呑みにするな。 ・機関投資家は、個人投資家をカモにしている。株式投資は「損して学ぶ」つもりで挑め。 ・トレンドとサイクルを見極めることができればリターンが得られる。 ・人を今の評価で判断しない! ・投資家とし働くことで、世の中の見方が一変する。 ・公開されている情報からでも、普通の人がやらない「一手間」をかけることで、大きな果実を手に入れられる。 ・大学では「奴隷の勉強」に時間をかけず、自由人になるための「リベラル・アーツ(教養)」を学べ。 ・本当の資本主義の時代に、「ほんとうに人間らしい関係」を探っていこう。



【目次】

はじめに
第1章 勉強できてもコモディティ
第2章 「本物の資本主義」が日本にやってきた
第3章 学校では教えてくれない資本主義の現在
第4章 日本人で生き残る4つのタイプと、生き残れない2つのタイプ
第5章 企業の浮沈のカギを握る「マーケター」という働き方
第6章 イノベーター=起業家を目指せ
第7章 本当はクレイジーなリーダーたち
第8章 投資家として生きる本当の意味
第9章 ゲリラ戦のはじまり
本書で手に入れた武器

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