◇1439 『稲盛和夫のガキの自叙伝』 >稲盛和夫/日経ビジネス人文庫

京セラ・稲盛さんの私の履歴書である。以前から気になっていて、文庫版を買っていたのだが、ずっと積読になっていたもの。勤務地が茨城県になったが、家族はもう少し後から引っ越してくるので、週末は東京へ。その往復の電車で読了したもの。今更ながらだが、電車の中というのは読書がはかどる。

稲盛さんの本は何冊も読んでいるので、知っている内容が多かったのは想定内。意外に知らなかったのは創業当初の話。私の出身地である滋賀県の工場の話などが出てきて、興味深く読み進めることができた。蒲生、八日市、近江八幡など、身近な地名が出てくるたびに、自分の身の回りでこんなことが起きていたのだと感慨にふけってしまった。

稲盛さんの生き方にも通じるものだが、本書でも一貫して書かれているのが、前向きに生きることと、ひたむきに努力することの大切さ。そんな本書の集大成ともいえる言葉が、一番最後に掲げられている。

波乱万丈の人生、どんな苦難や逆境に遭遇しようと、恨まず、嘆かず、腐らず、明るくポジティブに人生を受け止め、素直に努力をすればよい。どんな運命に対しても、感謝の念を持ち、前向きに生きていくなら、道は必ず開けていくものだ。



【目次】

まえがき
挫折越え夢追う

I   3時間泣き
  ガキ大将の目覚め
  弱気の虫が不運呼ぶ
  焼け跡行商
  罪滅ぼしの友情

II おんぼろ会社
  転職かなわず
  対立、決断
  血判の誓い
  若手の反乱
  闘争心、涙
  全員が経営者
  能力は無限
  人間流の経営
  経営はマラソン
  オイルショック直撃
  多角化は茨の道
  神が与えた試練
  地球にやさしく
  ソ連へ
  助けたい一心で
  人類の未来を願って
  逆境に武者震い
  悔しさをバネに
  利他の心で

III フィロソフィを活かす
  真の京都人に
  国を越えて
  盛和塾
  KDDI誕生
  家族に支えられ

年譜
解説 堺屋太一

4532192498