夢を叶えて成長する！ : 2017年04月

このブログは、ほとんどがインプットの記録と自分の考えのメモで、ときどき少し頑張ったアウトプットが記録されています。毎週金曜日に定期更新される予定。

2017年04月

2017年04月28日00:30

カテゴリ: ●お勧め本（OTR向け）

【本】理学療法リスク管理マニュアル

この本は、2011年出版でもう５年以上経っているのですが
改訂されたら買うだろうなって思う。
生活期リハ・訪問リハで役立つ
フィジカルアセスメントリスク管理ハンドブックも
読んだけれど、どちらかを買うなら僕はこちらを買うことをお勧めします。
病院ＰＴ向けの内容とは言え
疾患分類ごとに丁寧に文献レビューをもとに説明しており
読むのが大変だけれど、大変勉強になった本。

今日は一章だけ読み終わろう～という感じで読んだのだけれど
「加齢と転倒」だけ少し違った印象だった。
地域高齢者の●●％が転倒しているんだよ～とクライアントに具体的に説明できるのはよい！
こういう視点で、作業療法の知見を蓄積してもいいのかなと思う。
例えば（これもtwitterで呟いたと思うのだけれど）
・ＳＴＥＦの点数から、●●点以上の人のうち△△％の人ははさみ操作が日常レベルで使っているよ
・縦手すり、壁支持のそれぞれで●●％の免荷ができるから、ＴＨＡ側の下肢に△△％の荷重が少なくともできれば、浴槽またぎに耐えられると目安を伝えられる
そういうことができたら、作業療法士がもうちょっとデータに基づいてできるんじゃないかなって思う。

こういうアイディアを少しずつ蓄積しようっと。

OT臨床ハンドブック―ポケット版も出してるのか。
ちょっと、ここが出しているならば、一応チェックしてみたい。

タグ：: #リスク管理; #リスク

2017年04月21日00:30

カテゴリ: ●研究に役立つ本

【本】なぜあなたは論文が書けないのか?

このブログの定期更新は予約投稿なのですが、
「なぜあなたの研究は進まないのか?」がtwitterのタイムラインに流れてきたので
のっかって、こっちの本を紹介してみます。

えーっと。
できる研究者の論文生産術どうすれば「たくさん」書けるのかの方が
論文を書くことを習慣化に落とし込めようとする面白い本なのに対して
こちらはもう少し、具体的な話をしています。
医療系、基礎医学系の方向け。
こちらは、論文を一気に書き上げようとしていないかとか、データが不十分だと思っていないかとか
英文を書くことに苦手意識がないかなどなど書かれています。
特に、英文は具体的なアドバイスがかかれていて、この部分は過去形で～など丁寧に説明されています。

役立った部分
Ｑ31　なぜ論文にDiscussionが必要かを理解しているか？（Ｐ114）
この本によると、結果と結論の橋渡しをすることがディスカッションの目的だそうです。
そうか！
私は結果を読めば、だいたい結論は導き出せるでしょう～と思っていたけれど
そうでもなかったらしい。

花粉症で待合室で待っている間に、だいたい読み終わりました。

2017年5月12日追記
以下の本も読みましたので、重複読み注意のため記録。

Ｐ048　便利なTransitional signals　が便利そう。

2017年04月17日22:45

カテゴリ: 作業療法に関する自分の考えメモ

[メモ]作業遂行練習の帰結に関するメモ

ご家族に、作業遂行練習の帰結の見通しを提示するために作ったメモ。

作業遂行練習は、
①なるべく安全な枠組みで本人が練習できる機会を作ること
②段階的に課題難易度の調整をして、活動の習得を目指すこと
③生活の中でどのような形態（やり方、頻度、誰とやるかなど）で
活動を行うか本人や家族と模索すること
の三点を考えながら僕は支援していきます。

実際に練習していく結果、以下のような帰結が考えられます。
①生活場面で自立して行う場合
②「リハビリテーション場面“だけ”でやれれば良い」と本人が考え、
機会の確保のため継続支援になる場合
③ヘルパーさんやご家族と、ときどきやる習慣がつく場合
④「どのような“やり方”ならば“できる” かわかればよい」と考え、
日常場面でもリハビリテーション場面でもやらなくなる場合
⑤「どのような“やり方”ならば“できる”かがわかった」から、やりたくなった時に“いつか”やる場合
⑥自分の思い描くようには“できない”と“あきらめる“場合
⑦自分のやりたいやり方で、できるようになるまで練習を続けたいと希望する場合
⑧「家族が許容できるリスク・やり方」と「本人ができるやり方」の差を埋めるために練習を続ける場合

また、実際に遂行練習をしていくなかで、ご家族も「どこまでリスクを許容できるか」
「家族自身の生活との兼ね合いで、どのようなやり方ならば許容できるか」検討する機会になります。

（※家族・本人には、あまり急いで考えなくてよいですし、途中で考えが変わってもよいと伝える。）

タグ：: #作業遂行練習; #帰結

2017年04月15日00:30

カテゴリ: ●お勧め本（ビジネス関係）

【本】デザイン入門教室 [特別講義] 確かな力を身に付けられる

しばらくデザイン関係の本は読まなくていいかなと思うぐらい
入門書にしては、おなかいっぱいだった（笑）
基本的に学会ポスターや学会ＰＷＰのデザインを考えるために
この本を買っているのだけれど
どストライクには全く役に立たない（苦笑）。
でもデザインがどのように考えて作られているかがわかって楽しい。
「あーだから、
ＰＷＰのデザイン本ではこういうことを言っているのか」、
とわかることもある。
デザインにもルールがあることがわかるのが楽しいです。

でも基本はそろえる、そろえる、そろえる」「ですね。
均等ぞろえをもう少し使いこなしたいなー。

で。
僕は思います。
最近ＰＷＰの本がいっぱい出ています。楽しい。
だけど、「僕の仕事は格好いいＰＷＰをデザインすることなのか？
違いますよね。「
目的×伝わりやすさ×「かける時間コストを考え
どのぐらい画面を作り込むか考える。

某英語圏の教授のＰＷＰはとてもシンプルです。
その教え子である、僕の師匠のＰＷＰはシンプルですが
少し女性らしさがあります。
あまり作り込んでいないのに、必要な情報に絞られているのでわかりやすい。

僕も学内での研究成果の進捗状況のＰＷＰは
なるべくシンプルに作っています。
純粋に内容で勝負したいし。

学会での事例発表では、箔をつけるために少しだけ手間をかけて
あと視覚的な伝わり感を考えて作ります。
だからちょっと加工写真多めかな。

アニメーションは基本的に使わない派です。
手間に対して伝わる具合が少ないから。
そういうところも含めてイメージ戦略をする必要があるなら別ですが。
僕はそんなに格好いいアニメーションを操る人になりたいわけじゃない。
それならプログラムの勉強とかほかのことやりたいし。

故に、このブログも基本的に文字ばかりです。
（自分のために書いていることの方がほとんどだしね）

最後に。
伝えることに手間を惜しまないほうがいいと思う。
だけど、伝えるというのはデザインだけなのだろうか？
デザインに過度に頼りすぎず、伝えるための他の努力も必要と思う。

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参考になりそうなサイトを調べたのでメモメモ

ビジネスマン必見！キレイな提案書を作るためのデザインの基礎知識 http://www.slideshare.net/sogitani_baigie/ss-13129487

少ない手間と知識でそれなりに見せる、ズルいデザインテクニック https://speakerdeck.com/ken_c_lo/zurui-design
※どっちかというとＷＥＢ系な気がする。

ノンデザイナーのための配色理論 http://www.slideshare.net/saucerjp/ss-14902681

タグ：: #デザイン

2017年04月14日06:39

カテゴリ: ●研究に役立つ本

【本】いざ,倫理審査委員会へ (臨床家のための臨床研究デザイン塾テキスト)

福原先生の本のシリーズ。
相変わらず、薄くて読みやすい文体で、入門書としてはぴったり。
研究倫理についてはe-learningで学んだけれど
倫理審査についてはきちんと勉強したことがないので読んでみた。
研究方法については学んでも研究倫理についての勉強が
おろそかな臨床家はきっと多いよね……。
介入研究やる人は絶対読もう。

メモ
■丸山案の８項目　文章同意の免除　Ｐ67

■連結可能匿名化
→なんか用語が変更されるみたいですね

■みなし同意　Ｐ133
「このアンケートにご記入いただいたことで～」

■過去のデータを利用する場合→情報の公開
院内の掲示板などに張り紙を

■インフォｰムド・コンセント簡略化の条件

【参考リンク】
福岡臨床研究倫理審査委員会ネットワーク
臨床研究デザイン塾

2017年7月23日追記
医学・生命科学の研究倫理ハンドブックを読んでみた。
こちらは、研究倫理の歴史中心で、試料などもコメディカルの研究よりではない本。
ただＭＲＩ使う研究で、偶発的に病気を見つけてしまう場合の対応などは
コメディカルの研究にも役立つかもしれないと思った。

2017年8月13日追記
「人文・社会科学のための研究倫理ガイドブック」

p17～論理テスト が行動規範の参考になる。
「専門職テスト」「普遍化可能性テスト」「危害防止テスト」「公開可能テスト」

あとＰ８４の「表１　好ましくない研究活動の告白率と正当性評価の平均値」が
まとまっていてよい。
元論文の再構成らしいけれど。
「表２　擬陽性問題に対する簡便な解決案」も参照。

そして今まで読んだ研究倫理の本のなかで断トツにジェンダー論が熱い本だった。

2018/8/31追記　下記をメモしておきます。
「疫学研究に関する倫理指針」についての　Ｑ＆Ａhttps://www.mhlw.go.jp/general/seido/kousei/i-kenkyu/ekigaku/0503qa.html
>委員会の最小構成は医学・医療専門家、人文・社会科学有識者、一般の立場の代表者の３名であると考えます。

タグ：: #研究倫理; #介入研究; #倫理審査

2017年04月14日00:04

カテゴリ: 作業療法に関する自分の考えメモ

作業療法のリスク管理にはどんな内容が必要だろうか（長文）

作業療法士協会が発行している作業療法マニュアルには
「ＯＴが知っておきたいリスク管理（２冊組）」がある。
しかしこれが、２０００年発刊……改訂が必要な状態。
ＯＴが知っておきたいと言うのならば、
新しく作業療法士になった会員に配布したらいいのになぁと思いつつ
そのマニュアルを読んでみたのだけれど
あまり作業療法士特有のリスク管理マニュアルの本にはなっていないので
自分だったら、どんなリスク管理の知識が作業療法に必要だと思うか考えてみることにした。

※僕は身障、老年期のＯＴＲなので、発達や精神、行政などなどで働く人からすると
ここがほしいという意見は、きっとあると思うけれど、そう思うのならばどこかでそれを発信してね。

※文献レビューはせずに勢いで書いている

■疾患特有の知識とリスク管理
まず当然思いつくのが疾患特有の知識。
病気や障がいがあるクライアントを担当する場合は
疾患についての知識が必須である。
ほとんどの作業には運動が伴うので、理学療法リスク管理マニュアルが
かなり文献レビューもしっかりしていて参考になると思う。
この本に書いていない疾患としては、「てんかん」が大事だと思う。
標準的神経治療：高齢発症てんかんhttps://www.jsnt.gr.jp/guideline/img/ktenkan.pdfや
非痙攣性てんかん重積の病態と治療
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcns/25/3/25_229/_pdf
もう少しやさしいところでは、てんかん情報センターが
疾患全体の知識を手に入れるのによいと思う。
発作誘発因子と、どのような症状が出るのかを頭に入れておきたい。
あと「がん」についての知識もほしい。

作業療法マニュアルシリーズには
「がん」「呼吸器疾患」「大腿骨敬頚部/転子部骨折」「心大血管疾患」などがあるので、
そこで、各疾患特有の生活指導上のリスク管理も学習できると思う。
（僕は呼吸器疾患の作業療法マニュアルにとてもお世話になった）
作業遂行ができるかどうか、だけではなく
なるべく安全に長く続けられるかという視点が作業療法士には必要である。
そのために、二次障害の発生には特に注意が必要である。
どのような兆候が出てきたら、専門職に再度相談したほうがいいなどと
長期的な見通しをクライアントに伝える必要があるかもしれない。
（ちなみに、人は多少健康を害しても、「やりたい作業はやりたい」ことも指摘しておく）

そして、疾患ではないけれど
医療者が知っておきたい自殺のリスクマネジメント
を一読しておくことを提案したい。

■作業固有のリスク
これもまず思い浮かぶことだと思う。
例えば、刃物を使う作業は刃物による殺傷に注意が必要である。
火や高温になる道具を使う場合は、やけどに注意が必要である。
針、刃物は精神科に限らず、身障老年期でも紛失がないよう確認が必要だと思う。
疾患とかけあわせたリスクとしては、
ペースメーカーを利用している人にＩＨコンロを使用してもいいのかや
傷が治りにくい状況にある人に刃物を扱う作業をしてもらっても大丈夫かや
呼吸器疾患のある人に、木屑を吸い込む危険性のある作業をしてもらっていいのかなども
考える必要がある。
もちろん、疾患特有のリスクがあるからこそ
その作業をどうすればなるべく安全にできるかを考えるのも
作業療法士の腕の見せ所である。

■人と作業のリスク
病気や障がいを負ってから初めて行う作業の時、たいていはうまくいかないものである。
作業の魅力の低下や、作業有能性が低下するかもしれない。
クライアントの能力や作業の特性に応じて
課題難易度の調整を行うことが必要かもしれない。
また、「病気になって初めて行うから、うまくいかない可能性がある」と事前に伝えておくことや
実際に作業遂行を行った後のフォローも大切である。
クライアントにとってちょうどよい課題難易度とリスク範囲を提供できるかが
作業療法士としての腕の見せ所の一つだと思う。

作業遂行練習を行うことで、クライアントと作業の結びつきが強くなることがある。
自立して行うのがまだ難しいかもしれない作業を扱う場合は
クライアントが１人で遂行しない約束をできるかという信頼関係の評価も必要である。
もしクライアントが１人で遂行しそうで、かつリスクが高い場合は
リスクの説明と、リスクを軽減できる作業形態への一時的な変更の提案が必要かもしれない。

■作業遂行する環境のリスク
作業療法では、作業をしながら人や物が入り乱れることがあるので
理学療法よりも環境面のリスク管理が難しいと思う。
屋内での作業遂行練習では
配線等の転倒リスクになるものはないかといった物理的環境の確認も必要だし
集団で作業を行う場合は互いに転倒リスクを高めることなく
十分に人と人がすれ違うことが可能かといった確認も必要である。
これらは遂行途中に常に変化するので注意が必要である。
たとえば、掃除機がけの練習をしていた時に、
クライアントが別のコンセントにコードをさしたために転倒リスクが高まるかもしれないし
植木に水をやる練習中に動線をクライアントが水浸しにしてしまうかもしれない。
（水浸しになった動線を転倒せずに歩けるクライアントならばいいのだが……）

屋外で行う作業では、天候、気温の評価が必要である。
暑すぎる、寒すぎることへの対処はもちろん
急な天候の変化が起こるかもしれない。
事前に天気予報で確認しつつ、当日の状況を参考に無理はしない。
また、天候が崩れた場合の応急対処法をおおまかに自分の中で考えておくとよい。
屋外での移動を伴う作業では、道の状態に合わせたリスク管理が必要である。
車椅子ユーザーのクライアントとの外出では、後方転倒のリスクがある。
一般的に道路は、排水の関係で道の端に向かって傾斜がついている。
真っすぐ進むつもりがバランスを崩してしまう可能性や、
坂道で後方へ倒れる危険性が考えられる。
もちろん、クライアントの道路への飛び出しや、車両の接触への注意も必要である。

しかし、クライアントの状態に合わせて、
クライアント自身がちょうどよいリスクにどのように対応できるかの評価も
作業療法には必要である。
作業療法プログラムの枠組みとして
許容できるリスクはどこまでか考えながら、プログラムを組み立てる必要がある。

■時間の視点でのリスク管理
訪問作業療法では、次の利用者宅の時間が明確に決まっている。
在宅では、作業遂行練習が終わらない場合
クライアントが最後まで一人でやってみようと試みる危険性がある。
作業には、作業を続けたくなる魅力がある。
クライアントが今日の遂行練習はここまでと思える状況で
プログラムが終わるように注意が必要である。
事前に課題量の調整をしておくことや（なるべく少ない課題量から始める）
進行状況に応じて、
作業療法士が協業的に振る舞うことで時間調整する必要があるかもしれない。

公共交通機関の練習の際には、
自宅や病院まで戻ってこられるルートを考えなければならない。
終了予定時間までに適切に終了できるかどうかは、クライアントの疲労にも影響する。
駅まではバスの利用、帰りはタクシーの利用など無理のない計画が必要かもしれない。

■面接のリスク管理
作業療法士は面接を多用する職業である。
クライアントのサービス不信を招かないかという心配もあるが
面接評価・介入を通した「現状への直面化リスク」がある。
（※筆者は、現状直面下を介入で実施し苦い経験をし
　その失敗経験を県学会で発表してあるので参考にしてほしい）
たとえば、現在自身がしている作業を見直すことで、
何もしていないという現状に気づき、精神的に不安定になるかもしれない。
クライアントが自分で感じている作業有能感が
面接評価により著しく低くなるかもしれない。
特に、クライアントの一部には、人前では気丈にふるまい
病棟にもどった後に激しく落ち込む方もいるので
もし面接実施後にクライアントの様子に心配な点があったら、
すぐに関係支援職にフォローを頼んだほうがよい。

■作業と作業の関係でのリスク管理（作業バランスなど）
作業は、一つの作業で完結するものばかりでなく、他の作業と関連がある。
作業療法士の支援により、ある作業が可能化にいたったものの
その作業を行うのがものすごく大変なために
他の作業遂行ができなくなる可能性もある。
一つの作業が始まることにより別の作業も開始する必要がでてきて
結果的に疲労が蓄積し転倒してしまうかもしれない。
予測は難しいが、作業と作業の繋がりに配慮し
いきなり関連する作業もすべて再開しないよう確認しておくことや
頻度の相談をクライアントしておくとよいかもしれない。
また、ある作業が定着し、作業をしすぎてしまうために
他者に期待されている別の作業が疎かになり
対人関係が悪化する可能性もある。
クライアントの一日を構成する作業全体の評価し
作業療法士の関わりがどのように影響するか検討する必要がある。

■クライアントと家族の関係へのリスク管理
特に自宅で家族と同居するクライアントでは
クライアントが作業を開始することで、家族全体の作業が変化する可能性がある。
クライアントと役割が競合することもあれば
介助や、環境を整える準備のために
あらたに家族がしなければならない作業が増えるかもしれない。
クライアントと家族の関係が悪化することにより
継続した支援が行えなくなったり、
家族の支援が得られなくなるかもしれない。
クライアントの作業の可能化の支援上、家族関係の悪化を防ぐことは重要である。

特に訪問では、作業が定着する時期ばかりではなく
作業遂行練習を開始する時期でも問題が起きがちである。
自宅で作業遂行練習する場合
場所や道具の手配に、家族の協力が必要なことがある。
なるべく家族の負担の少ない状況から練習できるような工夫が必要かもしれない。
たとえば調理練習では、毎回家族に必要な材料を用意してもらうのが難しい場合は
自宅の冷蔵庫にあるもので調理課題を組み立てたり
必要に応じて材料の手配は作業療法士が行い、あとで清算するかたちもとれる。
当然だが、遂行練習後、家族が気持ちよく道具や部屋を使えるよう
遂行練習を行うとともに片付けを完璧に行う配慮も必要である。

【おわりに】
作業療法のリスク管理は、身体機能面だけにとどまらない。
作業療法士は、どのようなリスク管理が必要か、
多くの作業療法士が考え発信し、作業療法のリスク管理技術を発展していってくれることを願う。

2018年4月27日追記
2017年に作業療法士協会に、
作業療法独自のリスク管理マニュアルを作ってほしいと
意見を出したところ、ヒアリングをしたいという連絡があり
電話対応と、この記事の内容をほぼコピペして送信しました。

また、ＪＡＯＴには
作業療法事故実態調査－事故防止マニュアル第 2 版－
というものがございます。

タグ：: #リスク管理

2017年04月07日16:36

カテゴリ: ●お勧め本（OTR向け）

【本】障害受容からの自由―あなたのあるがままに

田島先生（地域作業療法開発学領域）から献本いただいているので
ブログに書いておくかどうかは少し迷いましたが
基本、思ってないことは書かない方針で記録しておきます。

田島先生の「障害受容再考―「障害受容」から「障害との自由」へ」を
先に読むことをお勧めします。
なんでそういうかというと、
今から紹介する「障害受容からの自由」は好き嫌いがあるだろうなぁと思うからです。
実際、知り合いが先にこちらを読んで、田島先生アレルギーになっちゃって
絶対、「障害受容再考」を読んだ方がよいって言ってもなかなか受け入れてもらえなくなったから。

この本は、いろいろな方の著者が原稿を寄せたものを
田島先生が編者としてまとめた本です。
今回の田島先生の目的は、いろいろな方の原稿を集めて一冊にまとめるということなんでしょうけど
一冊の本の中に、若干のまとまりが書けています。
そこは「インタビューを終えて--まとめにかえて」で
フォローをしているつもりなんでしょうけど。

うーん。
自分としては、一冊まるまる
田島先生と各著者の対談を中心にまとめてもよかったんじゃないかと思います。
合間にコラムや箸休めのように、他の著者の方の原稿をはさむ。

一冊まとめて編集するだけでも、原稿の遅れもあって
すごく大変だったんでしょうけれど……。
それにしても、ぶつっぶつっと各原稿で切れている感じが半端ない。
原稿と原稿の間に、田島先生のコメントを挟む等でもいいかもしれませんね。

編集とは、誰に原稿をどんなテーマで書いてもらうか
それをどう構成する作業なのか～なんだろうなーと思いました。

内容について。
いくつかもう一回読み直したい原稿はありましたが、
やはり、渡邊先生の原稿と、田島先生と渡邊先生の対談は外せないかなと思います。
特に小児領域の方によい感じ。
渡邊先生は心理学者でかつ、障害受容を迫られる親の立場を体験されています。
選択できるサービスの多様性、発達障害へのバリアフリー化、障害受容は行為の問題。
このあたりのキーワードが私は楽しかった。
障害受容は心の問題じゃなくて行為の問題だという指摘については
行為になる前に、心が動くかどうかがあるのかなとは思いました。
「系統的周辺的参加」でそこは促されるのでしょうか。

まとめ部分に田島先生が
この本から得た障害受容の四つの提言を出しています。
これを読んで新規性が高いと思うかどうかは人それぞれ。

僕はなんんだか、シンポジウムを聞いた後の気分を感じます。
でも本来シンポジウムって、まとまりがよいように終わらせるものではないのですよ。