2012年07月08日

ブラック企業・AKB48

 …我ながら酷いタイトルだけど、はてな界隈あたりだとこう感じる人は多いみたいだしいいでしょう(ぁ)

 今から1ヶ月半から二週間前くらいかな、「日本のアイドルの子どもっぽさがきつい」みたいな話がはてなハイクの一部であった。
http://h.hatena.ne.jp/keyword/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%AB%E3%81%8C%E8%8B%A6%E6%89%8B%E3%81%AA%E3%82%8F%E3%81%91
知名度もあるとはいえ「子どもっぽさ」という観点で見たときに一番歪なのがAKB48なので、まあ槍玉に挙がること挙がること。まああたしも挙げるんだけど。

 あたしは基本的にアイドル歌謡そのものがあんまり好きじゃない人で、日本でしっかり聞いてたのは小学生の時のSPEEDくらい、あとアメリカの方になるけど、Destiny's Child(日本での略称「デスチャ」)に中高生の頃はまってた。
………でも、どっちも表現のスタイルが「アイドル…?」っていうか、日本の伝統的な女性アイドルの文脈にはいないと思うのね。(デスチャに至っては、あたしがはまり始めたあたりからビヨンセが作詞作曲に関与している)

 はてなの方でAKB48は実際のところ「成長してはいけないパフォーマー」ではないかという問題提起をしていた方がいらして、深く深く頷いていたのだけれど…何というか、彼女達の労働環境(もうこう言っちゃう)それ自体が、「パフォーマーとして」という点から見ても成長をさせないような代物であるなぁ、とも強く思ったのだ。


 いやね、彼女達の本拠地たるAKB48劇場のスケジュールがね、凄いんだ。これは6月分のスケジュールだけど、5月分のスケジュールに至っては休館日がなかったっていうね。
全員が全員毎日出ずっぱりなわけないにしても、この劇場のスケジュールにはテレビとかへの露出も多いメンバーも組み込まれている。そもそも劇場でパフォーマンスするにはレッスンをするだろうし、CDのレコーディングなんかもある。そして、CDとかが出れば握手会もあるわけだ。

 「成長過程を見せていくパフォーマー」と表現するところの「成長」っていうのは、多分彼女達の現在のポテンシャルの中でAKBとしての演目を上手くやれるようになること、なんだと思う。
そこに彼女達のポテンシャルそのものを高める意味での「成長」は入ってないっていうか…いや、このスケジュールの中で、彼女達がポテンシャルそのものを高めるようなレッスンを受けて身にするのは、相当きつくない?
(劇場にまだ出ない研究生はこの限りでもないのだろうか。流石にそこまでは知らない)

 今はまだいいかもしれない。「AKB48(及びその系列グループ)という団体」は、素人っぽさが売りなわけだから。
(アマチュア音楽やりとしては、「いや、素人でももっとまともに歌える子山ほどいるだろ」と思わんではないけれども)
でも…彼女達一人一人が巣立ち、個々人の名前で生きていこうとする時、そこには何が残るんだろうか、って、心配になるんだよね。彼女達の人生は、その後も続くから。
(本当に、ボイストレーニングだけはきちんと受けさせてあげて欲しい。歌に限らず、演技でも活きてくるはずだから)

 そう考えた時、あたしの脳内では彼女達とこちらのエントリの中の「半年で店長になった人たち」が重なる。
「恋愛禁止まで誓わせておいて、彼女達を使い捨てるのか」という気分に、どうしてもなってしまうのね。
(なお、「彼女達がそれでいいと思っているなら良いじゃないか」という意見もあるかもしれませんが、ブラック社会的発想過ぎるので却下(ぁー))

 なお、彼女達の表現というか歌に関しても物申したい部分がないではないのだけれど、どこまできちんと言語化出来るか分からないので、個人的な宿題にしておこうかと思います。

メモ。
・基本的に問題は歌詞(パフォーマンスレベル、あるいはパフォーマンスの個性次第で見れる感じ)
・キーワードは「自我の有無」「『思考停止』っぽさ」「『セクシーさを売り物にすること』と、『性の商品化』の違い」「『すぐ寝る女』と『誰とでも寝る女』の違い」

nanae_ll at 00:16│Comments(5)TrackBack(1) ジェンダー? | 社会

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1. 「売る」って何だ  [ 七重のまったり日記 ]   2012年08月22日 05:10
 AKB48の労働面で思うことに手をつけたきり、ジェンダー面が難産のまま今に至っています。 …だって、論点多過ぎるんだもの(ぁー) 間に引っ越しも挟んじゃったし。 とりあえず ...

この記事へのコメント

1. Posted by 七重   2012年07月08日 00:55
コメントの方にて、ちょっとした追記。
SPEEDにおいても、仁絵が結構ダンスの振り付けに関わっていたらしく、解散前のラストシングルは彼女が振りつけたとのこと。
2. Posted by たんぽぽ   2012年07月10日 22:15
AKB48は、いろいろと批判を聞くけれど、
「ブラック企業」とおっしゃるかたもいるのね。
わたしは、AKB48はあまり知らないんだけど、
またまた印象が悪くなりそうです。

ところで、SPEEDはアイドルだったのね。
わたしは、アイドルと意識して観てはいなかったですよ。
1990年代後半の女性ボーカル全盛の時代ですね。
3. Posted by 七重   2012年07月12日 14:22
「ブラック企業的」と感じる人ははてな界隈だと結構多いですね。
むちゃくちゃ頑張る姿それ自体を「商品」にしちゃうところとか、「恋愛禁止」っていう理不尽なルールとか、成果主義が金銭目安且つ露骨で、補償がない(今回あたしが問題にした話は、この「補償がない」の部分と通じますね)ところとか。
テレビを見る家族がいたりすると興味ない情報が入ってきますけど(AKB48劇場もそれで知りました)、日本のブラック社会成分をぎゅっと濃縮したような存在だと思うんで、わざわざ見なくても良いと思います。
パフォーマンスのレベルも高いわけじゃないですし。

>SPEED

Wikipediaだと「ボーカルダンスグループ」となってますね。あたしも、「アイドル」よりはこっちの方がしっくりきます。
「可愛い」よりは「かっこいい」を意識するような衣装やPVの作りだったりとか、男性の欲望より(若い)女性の欲望が前面に出る感じとかがあんまり「アイドル」っぽくなかったと思います。
(まあ、プロデュースしてたのは男性だったわけですが)

…それで、AKB批判をするついでにSPEEDのことを調べて、2008年から本格再結成したことを知ったんですよ。
(それぞれのソロと並行ではあるのですが)
レーベルや所属事務所の公式アカウントがニコニコ動画やYoutubeにもあるんでちょこちょこと漁ってみたんですが、大人になってそれぞれの個性が際立った上に当時の路線をさらに洗練させていて、まさに「成長」という感じで素晴らしかったです。
彼女達との「再会」が出来た点だけは、AKB48に感謝してもいいかもしれません(笑)
4. Posted by たんぽぽ   2012年07月13日 06:56
>AKB48

「恋愛禁止」は、わたしも聞いたことがありますね。
そんなことをして、どういうつもりなのかと、
わたしも理不尽に思ったけれど。

「わざわざ見なくても良い」なら、わたしは遠慮するかな。
最初にAKB48を知ったときも、モーニング娘。なんかの
焼き直しみたいで、「いまさら」という感はあったのだよね。


>SPEED

そうそう、衣装はむしろボーイッシュでしたよね。

最近再結成したのは、わたしも聞いていました。
レベルがさらに上がったんだ。
これは聞いてみてよさそうですね。
(YouTubeを探せば出て来るかな?)
5. Posted by 七重   2012年07月14日 18:10
>AKB48

「恋愛禁止」は、「女性タレントの恋愛スキャンダルのリスクが基本的に高い」という日本社会の特性に先手を打ったという面が強いんじゃないかと思います。
(AKB48の戦略として「処女性」的なものが大事だというのもあるでしょうが)

…あたしもモーニング娘。はそんなに好きじゃなかった上にデビュー〜黄金期くらいしか知らないんですが、あっちはまだ個人識別が楽だったし、芸能へのプロ根性はあったと思うんですよ。
AKBの方は…何というか、「プロ根性」の使い道が、どこかおかしいような気に、なります。ジェンダー的側面から更に斬り込みたくはあるのですが。

>SPEED

ボーイッシュなのもありますが、オトコ受け志向よりオンナ受け志向っぽかったと思うんです。今も割とそんな感じですし。
(それゆえに、今の時代だとあんまり大受けしなさそうだなぁ…という気はしたり)

解散前と比べて、ダンスの動きがキレを増したように思います。外見もそれぞれの個性が際立つように垢抜けましたし。
歌声は随分変わりましたが、あたしは「大人になった」と肯定的に受け止めています。歌唱力も安定感を増しましたし。
(Youtubeのエイベックス公式アカウントの動画から、再結成後のPVもそこそこ見れます)

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