読書

2016年09月07日

少なくとも4つ。恐怖の5つ目。

 前の記事でほのめかしたように、「階級社会・日本」というのがここしばらくのあたしの脳内ブームです。
貧困問題ともつながってくるしね。

 それで、こんな本を図書館から借りてきて読んだわけなんですけど。
少し古い本だけど今の格差問題・貧困問題をカバー出来るような論じ方がされてるし(まあ、当時に起こっていた問題に改善の兆しが未だ見えない、という話でもある)、個人的には「階級構造内部」の説明が面白かったというか腑に落ちた。

 「階級構造内部は複雑」ってのはマルクス存命時から言われてたらしいんだけど、「中間階級は新・旧の2種類ある」ってのが、凄く腑に落ちて。
「旧中間階級」は「自分で生産手段を持つけど労働もする人」なので、自営業者とか第一次産業従事者のこと(自営業者と中小企業経営者は「従業員規模5人以上」を境目にして分けると違いが綺麗に出るらしい)で、「新中間階級」は「生産手段の運用や一般労働者の管理・監督をすることで高い賃金を受け取ることの出来る被雇用者」のことなんだって。
で、これに古典的な「資本家階級」「労働者階級」を加えて4分類かな。
「非正規労働者・無業者層」を「アンダークラス」として別にすると5分類だけど、この「アンダークラス」は家族をあんまり作らないし、子供も作らないから連続性が低くて、さっき取り上げた本の分析ではまとまって取り上げられてる章以外ではそこまでがっちりやってない…と思う。
労働者階級とか女性の分析だけでも結構ショッキングだったから、あたしが読めてないだけかもしれないけど。

 で、何でこれがあたしの中で面白かったかというと、成人式の時のトラウマとか、
「同じ農家でも大きいとこと小さいとこで思考様式が大分違うな…?」
とか、
「ぶっちゃけ日本って江戸時代の身分制度を「家柄」としてそのまま引きずってるようなところないか?」
とか、大学生になって以降身の回りで起こってきた人のアレコレに対して抱いていた疑問に対してストーンと答えが出たような気分になったから。
(ちなみに、江戸時代の身分制度を引きずるような形で今の「東京」の都市空間が作られたみたいな話もこの本に出てきます)
同じ「中間階級」でも、「田舎の名士」と「都会のエリート」の思考様式、生活様式が同じなわけはないし。政治的スタンスは真逆に決まってるし。
でも、田舎出身の「新中間階級」所属者は、よっぽどのことがない限り「田舎の名士」か、それに準ずる家の出に決まってるし。

 …ただ、今一番やばいのは「アンダークラス」だよね。この本の中には
「人は生活に余裕がなくなればなくなるほど協力行動がとれなくなる」
みたいな話もあったり、終章には
「格差拡大が社会全体に悪影響を及ぼす(この記事なんかでも触れられてるね)」
という話なんかも、主にアメリカのだけど細かい数字と一緒に出てきてるし。

 …と、実はこの記事は前段。後で他の本の記述をちょっとだけ混ぜつつ女性のこと、そして「女性は美貌を磨くべきか、それとも勉強すべきか」の話をしたいと思います。

nanae_ll at 16:01|PermalinkComments(0)TrackBack(1)

2013年02月22日

ガラパゴス?単なる陸の孤島?

 …「音楽?」タグの「?」は、一応今回はなくても良いんだけど。

 日本のポップミュージック業界はどうにもジリ貧らしく、業界の人が度々意見を発信している。
最近だと、m-floのメンバーの人のインタビューが話題になったかな。
前編はこちら、後半はこっち
賛同する人も結構いるんだけど、中には「日本の悪口ばかり言いやがって」みたいな反応がちらほらあった。

 じゃあ、日本のポップミュージックの良さって何だろう?
その一つに、「多様性」を挙げた人がいる。パソコンでラジオを聞けるようにする「radiko」というサービスの発起人にして元電通マン、三浦文夫氏だ。現在は大学教授としてメディアに関する講義をやっているらしい。

…で、そのことについて詳しく書かれた本がこちら
少女時代がタイトルに入ってるけど、全体で見ると海外進出をしていたり、あるいは進出しても成功出来そうだったりする日本のアーティストに割いている分量の方が多いと思う。例えば安室奈美恵とか、日本人アーティストで初めてマディソンスクエアガーデンで単独公演をしたL'Arc〜en〜Cielとか、ヴィジュアル系の皆さん(海外的にはヴィジュアル系って「日本独特の音楽文化」らしいよ)とか、今後の注目株としてPerfumeとかきゃりーぱみゅぱみゅとか(この新書は2012年10月発売です)。
特にL'Arc〜en〜Cielは、ほとんど1章使って「どう世界に波及していったか」が論じられていて、その中で日本人アーティストで初めてマディソンスクエアガーデンのステージに乗ったラウドネスと、その前身レイジーにも触れられてたりする。まあ、わざわざここに来る人に嫌韓の人がいるとも思わないけど(笑)
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nanae_ll at 02:59|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2010年05月20日

『女は排除され、男は責任を負わされている』

 市民図書館から、これを借りて読んでいました。
キャリア官僚の男性が、一年間の育児休暇を取ったときの記録…というかエッセイ?です。
(著者さん、これで有名になったのもあってか、今は横浜の副市長さんらしい)
 「育児中の親」と「男性」と「キャリア官僚」の、それぞれの視点があたしの好きな感じのバランスで混じって、そこにユーモアも感じさせたりして面白かったんだけど、人によっては「官僚くささが鼻につく」とか、逆に「もっとキャリア官僚的な視点を持ち込んで欲しかった」とか思うみたい。
その辺の加減は、まあ触れてみて…かな。

続きは格納。
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nanae_ll at 08:39|PermalinkComments(8)TrackBack(2)

2009年10月06日

『自由』の土台にあるもの

 9月中に、記事をもう一本上げたかったなぁ…間に合わなかったけど。
図書館の貸し出し延長が1回しか出来ないので、やっつけでもレポートを上げておく。
読んだのはこの本
あたしは「知識は力だ」と常々思っていて、特にその辺を強く意識するのが性教育絡み。この本の著者の河野美代子氏は、性教育方面で活躍しておられる医師で、この本は高校生と高校教師対象の雑誌に載せた文章をまとめたものです。
基本的には、読者からの質問と、それに答えるQ&Aをトピックごとにまとめて、それぞれのトピックの後ろに短いエッセイをつけている感じ。続きを読む

nanae_ll at 15:30|PermalinkComments(4)TrackBack(0)

2009年09月24日

「自由」って、既得権益のことらしいから

 …過去のあたしの暴れっぷり的にあちこちにケンカが売れそうなエントリータイトルだけど、でも、その位根深い問題を取り上げた、濃厚なルポでした。
グレッグ・クライツァー著・竹迫仁子訳の、「デブの帝国―いかにしてアメリカは肥満大国となったのか」です。
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nanae_ll at 00:30|PermalinkComments(1)TrackBack(0)

2009年05月30日

「『古典』を読む」ということ。

 この記事で取り上げてみた陵辱系18禁ゲームにまつわる騒動、政治家の発言もあいまってまだずるずると続いていて、しかも妙な揉め具合になっているみたい。
気になることが誰にも触れられなかったらまた何か書くと思うけど、今は様子見。

 今期とっている講義の1つで「自由提出・出せば加点」の読書レポートがあるもので、参考図書の中から適当に借りてきた。
これなんだけど。
大学生活のモラトリアム、専門系の本を読んで自分の肥料にして何ぼ、という意見には大いに頷くところだしね。
で、借りてきたはいいものの…本文の前に、付録を読んで違和感を覚える。
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nanae_ll at 03:43|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2009年03月02日

あたし達の愛を、あたし達の手に。

 …本のレビューを出来るだけ体系立ててやろうと思ったんだけど、どうにも難産なので諦める。(ぁ)
というわけで、本の中身は触り程度に、そこから考えたことを中心に書き散らしてみます。リハビリリハビリ。
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nanae_ll at 02:32|PermalinkComments(12)TrackBack(1)

2008年11月20日

もっと目を開け。足を動かせ。

 少しお金があると思って、文庫本一冊。(苦笑)
「守り人」シリーズ、第四作目。主人公が違うので「守り人」じゃなくて「旅人」だけどね。
いつもの主役は名前だけで、今回の主役は第一作で精霊の卵を宿していた皇子様。
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nanae_ll at 22:52|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2008年11月14日

自由への道標って?

 …図書館から借りて、読んではいたのだけど…ぎりぎりまで読書メモを上げないとは何事か、自分orz

もしかしたら、「人はなぜエセ科学に騙されるのか」のタイトルの方が最近はメジャーかもしれない。
あたしが図書館から借りてきたのは「科学と悪霊を語る」…ハードカバーの方。
科学の方法論もだけど、あたしは、科学と自由の関係についてを重く読んだ。
以下収納。続きを読む

nanae_ll at 01:33|PermalinkComments(2)TrackBack(3)

2008年04月10日

命の天秤。

 「ザ・フェミニズム」の対談で

「アメリカでの「男女平等」は一定以上の階級で、国内外の弱者から収奪してなりたつもの。私はアメリカを先進国と呼ばない」

…という趣旨の発言を上野千鶴子さんはしている。

 あたし自身、東京都知事の発言を引いて

「経済大国と先進国は違う」

とこのブログに書いた。

 最近日本では極右政治家(…でいいのかな)が目立つ発言を繰り返し、それに同調する言説が飛び、「人権三流国 日本」のイメージを海外に流出させていたりして。

 …まあそんな感じで、社会格差とは別の方向で

「アメリカって先進国じゃないんじゃない?」

っていう与太を、今日買ってきた新書のレビューと絡めてやってみます。

以下は隠し。
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nanae_ll at 23:26|PermalinkComments(0)TrackBack(1)