2008年09月

ウィーンの動物病院

ウィーン滞在も残りわずかとなり、残念ながら、帰国準備をはじめなければいけなくなった。

すっかり忘れ去っていた、自分の研究関連での博物館見学なども急いで済ませなければいけない。

今日は午後遅い時間から、日本の輸入検疫用の書類にサインしてもらうために、獣医師のところを訪問する予定だったので、そのまえに病院の近所にあるフロイト博物館に行った。

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夕方5時前にもかかわらず、意外にも訪問者が多くて驚いた。

晩年のフロイト一家のビデオを見ることができて、それが非常に興味深かった

もちろんルルも一緒に見学

それから、Eggiさんの友人の獣医さんSilviaのところにサインをもらいに行った。

獣医さん2

マイクロチップを読み取って、健康チェックをして終了

前に一度Eggiさんに連れてきてもらっていたのだが、そのときには、病気の愛猫を安楽死してもらった飼い主さんと入れ違いになった

こちらでは、痛みが出る前に獣医師がきちんと安楽死をすすめてくれるということで、とてもいいシステムだと思う

日本でも、回復の見込みがない場合の安楽死をすすめている病院もあるが、「痛みが出る前に」というところが若干遅れがちのような気がする

私はイヌネコあわせて3匹と暮らしているが、飼い主の責任として、痛みが出る前の安楽死を選択する。

回復の見込みがなく、痛みに苦しむだけの動物を、少しでも長くそばに置いておきたいというのは、きわめて人間本位の勝手な考え方であり、もはや虐待だと思う

信頼できる獣医師に診断してもらい、念のためセカンド、サードオピニオンをきいて、早めに決断したいと考えている。

もちろん少しでも長く一緒にいたいが、苦しみを与えてはいけない。

うちではネコのキキが明日で13歳になるし、ルルはもうすぐ4歳だが病気持ちなので、気をつけなければいけない。

自分のうちの子でも、保護した子でも、まずはきちんと健康診断して病気がないかどうか把握し、病気の場合はどのような治療法があるか自分で調べ、獣医師とよく相談して治療法を責任持って選択し、痛みが出る前の安楽死を選択するという意思表示をしておきたい

私自身、これはヨーロッパと日本の文化、死生観の違いというよりも、動物福祉にたいする理解の程度の違いのように思えてならない。








またしても受難・・・

昼過ぎから少し日が出てきて、ほんの少し暖かくなってきたので、ルルを連れてプラーターにお散歩へ

このところ天気が悪くて歩けなかったのでひさしぶりだ

やっぱり、天気が良くて暖かければちゃんと歩くので、歩きたがらない時は痛みのせいだろう。

散歩ルル2

並木大通りをどんどん歩く

土曜日の昼下がり、少し日差しもあったので、たくさんのワンコと会った。

オフリードでお散歩中の小型〜中型犬とはちゃんとご挨拶できた。

毎度のことながらカメラが間に合わず、肉眼で観察していると、ちゃんと相手も舌ペロペロしながら顔を背けつつ近づいてきて、ルルも目をパチパチして匂いをかいでいた。

ワンコあいさつ、かなり上達したと思う。

しばらくしてオンリードのパグのパピーくんに会った。

そっと挨拶していたので、カメラを出していたら挨拶終了、パグ君だけ撮っていたら、おばさんがいきなりリードをはずしだした

プラーターのパグ

この直後、ノーといったが間に合わず、元気いっぱいお子様パグくん、しつこくルルに飛び掛り、ルルは倒れてキャンッと悲鳴を上げて逃げ回る

ルルは脚が悪いので早く走れないし、元気なパピーの攻撃にはとてもかなわない

チョロチョロとすばしこく走り回るパグくん、ようやく捕まえてもらったが、いかにもおとなしそうなルルのまえで、勝手にリードをはずさないでほしかった・・

気を取り直して歩いていると、ゴールデンがベンチでおばさんからりんごをもらって食べていた

りんごゴールデン散歩中モザイク

写真を撮らせてもらったら、ルルとのツーショットを撮ってくれたが、ゴールデンはこちらには無関心でおとなしくしていた

人間と一緒に食べ物をシェアしてもおねだりしない、これがなかなか難しい

ルルはシェアすると、もっとくれ〜と飛びついてしまう

ルルが疲れたようなので、フンデルトヴァッサーハウスを見てから電車に乗って帰路に着いた。

フンデルトヴァッサーハウス

ところが、前に座った酒臭いおじさん、わざわざ後ろを向いてずっとルルをかまい、「やめてくれ」と言ってるのに、むりに抱っこしようとする。

ルルも嫌がっているのにしつこいので、電車を降りた

再乗車してしばらくすると、今度は混雑した車内に、選挙の風船を持った子供たちが乗り込んできた。

すぐに降りようとしていたら、早くも大きな音をたてて風船が割れた

風船被害2回目である

ルルは震え出すし、また電車を降りて乗り換え。

人出が多いときはなにかとアクシデントがあるので、遠出はやめたほうがよさそうだ。

動物愛護週間?

昨日、今日の2日間、ウィーン市では市庁舎前広場で、動物愛護週間のイベントが開催された。

愛護週間・市庁舎

昨日、Eggiさんに案内してもらい、ルルも連れて行ってみて本当に驚いた

会場にはたくさんの人が来ていたが、その人たちがイヌを連れて来ているので、イヌの数も多かった。

そのイヌたちが、狭い会場の騒がしい人ごみで会うのだからストレスいっぱい

愛護週間・パピヨン

←セラピードッグのパピヨンちゃん、体を硬直させて小刻みに震わせ、舌をペロペロしていた。

落ち着きなく尻尾をブルンブルン振ったり、そわそわと匂い嗅ぎしたり、目をパチパチ、舌ペロペロ、体ブルブルなど、ストレスサインのオンパレードだった

フライボールというドッグスポーツのデモを見たが、これに出場しているイヌたちがまた、とんでもなくストレスフルで、リードに噛み付いて引っ張るのをやめられないワンコが他のワンコにむかって吠え付いたりして、とても見ていられない。

動物愛護・吠えイヌ
←ひときわ目立っていたのが黒いワンコで、ガウガウ言っているところ。

観客は喜んで歓声をあげたりしているが、何が楽しいのかまるで理解できず

そもそもイヌに、人間が考えたわけのわからない「ドッグスポーツ」なるものをさせ、また見て楽しむという発想が間違っている。

人間の娯楽に動物を巻き込んではいけない

人間は楽しいかもしれないが(私は楽しくない)、イヌは決して楽しくないのである。

人々の歓声を聞いていて、剣闘士奴隷と大型獣を闘わせて楽しんでいたローマ時代のコロッセオにいる気分になった。

ローマに3年間留学していたので、コロッセオは何度も訪れたが、当時の観客はこんな感じだったのだろうとようやくわかった気がした

舞台にいるものの苦しみがわからなければ、たんなる娯楽として楽しめるのである。

ルルもイヌのイライラした鳴き声やシグナルを見たうえ、多くのヒトにさわられて、疲れたようだ。

愛護週間モザイク
←この人はまだマシで、ルルの顔を真正面から覗き込み、もっとワシワシする人もいた。

そんな人にさわられたときは、体を硬くしている。

マシでこの顔、明らかに迷惑そうだ

昨日はストレスワンコを見すぎて、Eggiさんもそうとうお疲れのようだったが、私もヘトヘト、ルルも神経が高ぶっていた。

昨日、イベント会場にいたワンコが地下鉄に乗り込んできたが、降りるときにさんざん吠えていたのも、興奮したせいだろう

もうたくさんだと思ったが、実は今日またこの会場に行ってきた。

ルルはこんな恐ろしいところには何度も連れて行きたくないのでお留守番(当然!)

一人で美術館などに行った後、警察犬のデモだけさっと見てきたのだ

はじめに、一般のワンコで「イヌにやさしい」クリッカートレーニングのデモをやっていたが、餌をにぎった手を鼻先にもっていき、それについて動いたらクリックして拍手をもらっていた

う〜ん、これならうちのネコだってするのだが・・

警察犬1

しかもこのワンコ、登場してからずっとずっとペロペロ、地面をクンクンしていた。

クリッカーを使った強制トレーニングの好例だ

このあと、「本当の警察犬の登場です」の紹介とともに、いかにも訓練されたイヌたちが、服従訓練、匂いの追跡、犯人への攻撃のデモを披露。

警察犬2

うまく写真が撮れなかったが、このワンコはデモのあと、こうやってずっと飛びついていた。

攻撃するところでも、観客はまた歓声をあげたり笑ったりしていたが、これはもっと理解できない。

人を攻撃するように訓練するというのは、ヒトに対して友好的であるように選択され、育てられてきたイヌの人格を破壊する

ヒトの場合、前線に人殺しにいく兵士にたいしておこなう教育が人格を破壊するのと同じだ(なお、私は軍隊の存在に反対の立場をとる)。

攻撃しているイヌの興奮は相当なもので、それは呼吸の速さからもうかがわれた。

テストステロンの増加とアドレナリンの大放出で、ストレス度はMAXだ。

ピストル(空砲)が発射されたときには、他のワンコたちがいっせいに吠え、後で見たらブルブル震えている小型犬もいた

そもそもイヌを警察犬として使うことに反対なのだが、それにしても、どこが動物愛護週間なのだかまったくわからないこのイベント、日本はやらないだけマシかもしれない。

痛いときのシグナル

午前中はまた雨

午後、少し日が差してきて、ルルも陽だまりで日光浴していたので、これはチャンスと思い、プラーター公園に行ってみることにした。

広いので少し散歩して、ワンコ観察もできる

早く着くよう地下鉄を使って行ったが、地上におりてみると雲行きがあやしくなってきていた

ルルはまずまずの歩きモードだったので、並木道を少し散歩。

プラーターで走る
←ワンコもあまりいなかったので、オフリードで。

このあと、昨日習った呼び戻しの練習を何回かやってみた。

名前を呼んで、ルルの足取りをイメージしながら後ろに下がってみると、ちゃんとついてきてくれる

ちょっと歩いて練習というのを2〜3回繰り返したところで、ルルが突然「キャン」といった。

早歩きの姿がちょっとぎこちなくて、手術した左脚が突っ張ってる感じに見えていたのだが、どうも痛くなったようだ

そのあとは歩きたがらなくなり、呼び戻しどころではなくなったので、ここで終了。

路面電車に乗って帰る途中、抱っこして左脚をマッサージしていたら、あくびして私の肩あたりをペロペロとなめる。

手を止めるとやめる。

またさわるとペロペロ。

あくびもなめるのも強いシグナルなので(ルルはめったにしない)、かなり痛みがあったのだろう。

脚はいつもにまして硬直して、防寒用パンツから出ている部分が冷たくなっていた。

ちょうど雨がぱらぱらと降り出したので、雨の前で痛みが出ていたのだ。

人間でも筋肉や関節を傷めたり、大きな外科手術をした人は、雨や寒さで痛むことがあるが、それと同じようなものだ。

ルルはさらに神経症状もでるので、けっこうつらい日々をすごしているのかもしれない

やっぱり寒い日の散歩嫌いと痛みは、かなり大きく関係しているようだ。

アパートそばで路面電車から降りて、トイレをすませようと思って地面に下ろしたが、その場で座り込んでしまった。

こうなるともう外にはいたくないということなので、さっさと家に帰る。

室内に入ったらちゃんと歩き出すのだが、神経がとても苛立っている。

食事がおわって、私がPCに向かっていると、軽くうなって愚図る。

こういう日の特徴なので、いっしょにベッドに入って、胸の上に抱いて脚をゆっくりマッサージしてあげると、だんだん落ち着いてきて寝始めた

雨が実際に降り始めてしまえばわりと平気なのだが、雨の前に外にいたというのは良くなかった

いつものことなので慣れているが、病気のワンコは不自由なので、人間がブリーディングの際に、十分に気をつけてあげなければいけない

*今日のシグナル*
痛み:あくび、私の肩をなめる

補足

ルルは後頭骨および頚椎形成不全という先天性疾患をもっている。
この病気は、人間が無理やり小型犬を作り出す過程で生じたものだ。
チワワ、ヨーキー、マルチーズ、ポメラニアン、豆芝などに非常に多い
チワワで「ペコあり」などと言って売られているのはこの病気で、絶対に繁殖に使ってはいけない。
成長の過程で後頭骨が十分に形成されないために、脳圧が変化して、痛み、けいれん、てんかん発作(重篤な場合)などを起こす。
飼い主は気づかないことが多く、そのままに一生を終えるイヌも多い。
確定診断はエックス線でできる。
水頭症を併発している場合が多いが、水頭症の確定診断にはMRIが必要。
飼い主がわかる症状としては、時々舌の先をだしている、食べムラがある、トイレが近くて我慢できない(泌尿器系疾患の場合もあるので注意)、雨や雷を怖がるなどだ。
飼い主が気づかなくてもイヌは苦しんでいることもあるので、小型犬の飼い主は怪しいと思ったら診断してもらおう。
ただし、獣医師によっては診断できない場合もあり(先住犬ぺぺは生前は発見できなかった)、また先天性奇形のため治療法がないので、診断しようとしない獣医師もいる。
だが、てんかん発作を起こしたら確実に脳細胞は死ぬし、小型犬の場合は発作を繰り返すことにより体力を消耗して死に至るので、発作を起こさないようにコントロールすることが大切。
ルルは脳圧降下剤を飲んでいる。
ストレス、過度の興奮、雷、台風、ヒート、出産などが発作の引き金になる。
この病気自体が原因ですぐに死ぬことはないが、水頭症が進行して、てんかん発作を繰り返すようになり、だんだん衰弱して死に至るということはある。
水頭症の進行に気をつけておく必要がある。

*この病気が発覚したら、不幸なワンコを再生産しないためにも、すぐに不妊・去勢手術を受けさせよう!!

呼び戻しレッスン part2

午後から晴れて少し暖かい中、Eggiさんのレッスンに出かけた。

といってもルルはブルブル震えている。

肉球Sバーンネコ電車

←動物愛護週間なので、肉球電車やネコ電車が走っている



Eggiさんと会うやいなや大喜びで、突然元気いっぱいになったルル

レッスン前に、ちょっと地面をクンクンする時間をもらったが、きょとんとして顔をながめている

そこでEggiさんが、地面すれすれに手をひろげ、水平方向に何度か行ったりきたりさせると、「あれ、何だろう?」という感じでにおってみていた

このやり方は、以前のEggiさんのブログで読んだのだが、いつどういうときに、どうやって使うのかがよくわからなかった。

外に連れ出して固まっているときや、レッスン前や休憩中、ちょっとびっくりするようなことがあった後なんかに使うとよさそうだ

ヒトでいうと落ち着くための深呼吸という感じだろうか?

ルル散歩レッスン

「大好きなEggiさんとだったら、いくらでも歩きますから♪」

家の周辺では歩かなかったのに、大喜びで歩き出す

ルルは草地を好まないのだが、Eggiさんが柔らかい芝生のあるところに連れて行くと、気に入って歩いていた

やはり魔法使いか・・・

単におやつをたくさんくれるから好きというのではなくて、なにか動物を惹きつけるものが出ている感じだ。

Eggiさんが呼ばなくても、ずっとそばにまとわりつきながら歩いている。

まず、Eggiさんがルルのリードを持って立ち、わたしが近くからルルを呼びながら後ろ向きに数歩下がり、ルルが来たらごほうび。

この方法はトゥーリッド・ルーガス"My dog Pulls"に写真つきで出ていたので、日本で試したのだが、どうもうまくいかなかった。

Eggiさんとやって最初何度か失敗したら、その原因は私の大きすぎる歩幅にあると指摘された。

よびもどし1よびもどし2
←小さな歩幅で下がってオヤツ

*画像提供Eggiさん

Eggiさんはおそらく、自分でやるときには自動的に歩幅を調整しているのだろうと思う。

意識して歩幅を小さくして後ろに下がったら、ちゃんと付いてきたのでごほうび

まったく目からウロコである。

ポイントは、体をイヌのほうに向けて、誘うような感じでちょこちょこと(小型犬の場合)楽しそうに後退するということだ。

私のような不器用な人は、イヌなしで練習しておくといいかもしれない

イヌに背中を見せて立ち去って、ちらちら振り返りながら呼ぶというのは悪い例で、私はこれまでよくやっていた

つっ立ったまま呼ぶのも、お見合いになってダメ

しつけ教室で習ったときは、室内なのですぐに飛んでくるし、GCTテスト対策のために、まっすぐ向いて立ったまま、シグナルは出さず、声符だけでくるような練習をした。

しかし、現実に呼び戻しを使うのは屋外だし、からだを動かさないで呼ぶなんてことはまずないし、あえてそうする意味もない。

草深い山奥でルルを使って狩などする訳ではないのだ(真っ先にルルが狩られるだろう)

今度は、少しはなれたところから呼んで、こちらに向かってきたら少し下がってごほうび。

私の歩幅が良ければやってくる。

何度か休憩を挟みつつ、下がる歩数を少しずつ増やし、スタート地点を離していって、できるようになったらつぎに、呼んで後ろ向きに数歩下がって、そばに来たらごほうびをあげて、こんどは前向きに歩き出したところを付いてこさせる。

まずまずできるようになって、そこで終了

終わるタイミングが、ちょうど疲れる前で、これも絶妙なのだ

終わったところでEggiさんにお手本を見せてもらったが、まず、足の運びがチョコチョコと楽しげでテンポが良く、イヌでなくてもついていきたくなるような感じだ

私のようにおっかなびっくりな、糞を踏まないように歩いているかのような、ビミョ〜な足取りとは違う。

ビデオ撮影したらよくわかりそうだが、見なくてもぶざまなことはわかっている

Eggiさんは、体の動きもなにか軽やかで楽しげだ

GCTテストではモモをたたくのはいけないので、なんとなく封印してきたが、Eggiさんは時々モモをたたきながら、低い姿勢で楽しそうに誘導していく。

ハーメルンの笛吹き男のように、ルルだけでなくほかの動物たちもぞろぞろと後に従えながら、そのまま連れ去ってしまいそうな勢いだ

この前も書いたが、間近で見るすばらしいハンドリングにやっぱり感動

凡人には練習あるのみなので、カーミングシグナル同様、地道に努力します レッスンどうもありがとうございました

今日出していたシグナル
あくび:電車で大きな金属音がしたとき・・かなりびっくりしてしばらく震えていた。
前足あげ:レッスン中おやつをもらうとき(室内トレーニング時のおやつではしない)
震え:バイクが大きな音で通ったとき(バイク音は嫌い)

正しいドッグトレーニングの見きわめ方

ここ最近日本では、いわゆるペットブームにともなって、イヌのしつけ教室や出張式ドッグトレーニングを行う会社や個人が激増している。

ネットで検索すると膨大な数がヒットする。

また、ネット上でのしつけのなやみ相談なども人気だ。

ペット本もたくさんでていて、さまざまなトレーニング方法があるので、飼い主は何が正しいのかわからない、どの方法がうちの子にあっているのかわからない、と悩んでしまう

わたしもこうした悩みを相談されることがあるので、「正しいトレーニング」について考えてみようと思う

そもそも、たんなるトレーナーの考え方の違いにとどまらずに、正しいトレーニング、間違ったトレーニングというのはあるのだろうか?

私はあると言いたい

ドッグトレーニングの対象は、他ならぬイヌであるので、そのイヌに対する理解が間違っていれば、論理的必然的に間違ったトレーニングになる。

イエイヌについての理解は、近年、動物行動学の研究成果により急速に発展している。

膨大な論文が日々発表されており、ネット環境にあれば容易に検索して世界の論文を読むことができる。

私の専門領域である哲学・思想系と違って、自然科学系ではこれはあたりまえだ。

少し前の理論はすぐ古くなるので、遅れないように情報をアップデートすることが欠かせない。

イエイヌについていえば、以前はオオカミの行動から直接的にその説明が引き出されることが多かったが、現在はイエイヌ自体の研究が進み、古いイエイヌ観が修正されている。

その代表的なものは、群れのリーダー理論(パックリーダー論)だ。

これについては何度も書いてきたので、過去のブログを参照してほしい。

パックリーダー論とは、イヌは群れをつくりその群れにはかならずリーダーがいるというものだ。

このイヌ観に基づいたトレーニングでは、人間は常にイヌのリーダーにならなければならない、毅然とした態度を示し、いつも先に食事をし、ドアは先に通り、ソファーには座らせず、一緒に寝るなとなる

オオカミは血縁関係に基づいた群れ(パック)を作って生活しているが、イエイヌもそんな群れを作るかどうかは定かではなく、しかもそこに順位があるかどうかとなるとさらにわかっていない。

そのうえ、種が異なるヒトと群れを作るかどうか、さらにはヒトをリーダーとみなすかどうかとなると、こうした考えは現在では否定されている。

家庭で飼われているイヌは、家族のメンバーと1対1の関係を形成するというのが最近の知見であり(行動学系の本にはちゃんとそう書いてある)、ヒトとイヌの関係は親子関係に近いといわれている(西暦2000年前後を境にこのような見解が受容されるようになってきた)。

そこで、「群れのリーダー」などと言っているトレーニングは、そのイヌ観からして時代遅れであり、間違っているのである。

毅然とした態度を示せ、いつも先に食事しろ、一緒に寝るな、目線より高いところに上げるな、体の上に乗せるななどは、すべてリーダー論に由来する迷信である。

*補足*
この「リーダー論」と服従訓練(オビディエンス・トレーニング)は一体である。
服従訓練とは、「スワレ」「マテ」「コイ」「ツケ」など、ヒトが発した命令にたいする服従(obedience)を得るためのトレーニングのことである。
このトレーニングが確立された背景には、ヒトとイヌはひとつの群れの中でヒエラルキー(階層的秩序すなわち上下関係、政治学的に言えば支配−従属関係)を形成するという考え方があった。
ヒトとイヌが支配−従属関係を作らないのであれば、なぜイヌをヒトに服従させる訓練が必要なのだろうか?
最初からヒトに服従しないと考えられていたネコにオビディエンストレーニングがおこなわれないのはそのせいである。
リーダー論不在の服従訓練というのは、論理的にありえない。
ここにリーダー論がなくならない必然性があるのである。




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「わたしはソファーで寝るのが好きです 自分で上り下りできるようにおかあさんがクッションで階段をつくってくれてます」

ただし、ドアはヒトが先に通れというのは、道路に面したドアの場合、危険防止という点からは悪くないし、ソファーに勝手に上らせるなというのは、脚腰への影響を考えれば必要な措置ではありうる。

最近、露骨にリーダー論を振りかざすヒトは減ってきたように思うが、こうした迷信はまだまだ健在だ。

飼い主は、その主張の根拠を問う、その根拠の科学的裏づけを問うという姿勢を忘れないようにしよう

以上は間違ったトレーニングだが、では正しいトレーニングとはなんだろうか。

現在までの研究で確かめられているイヌ観に基づいていることは最低限必要である。

それから、近年の動物福祉にかんするグローバルスタンダートに合致していることも必要だ

体罰や苦痛を与えるようなトレーニングは、いくら個別トレーナーがその有効性を主張しようとも、国際的には認められなくなっている。

そういうと、「日本は日本のやり方で」などと言う人もでてくるが、このグローバル化の時代に、あれほど変わりにくかった家畜福祉領域でさえグローバルスタンダードに沿った方向に向かわざるを得なくなっているのに、トレーニング業界だけ独自路線を歩み続けるとは考えにくい。

そもそもイエイヌをトレーニングしようなどという発想は、日本の歴史上、近年になるまで存在しなかった。

発想も方法もすべて輸入ものである。

動物福祉も輸入なので、後追いになるのはしかたがない。

ちなみに、従来一般的だったイヌを屋外につないで飼う飼いかたは、欧米の愛護団体・個人からの批判にたいし、「これが日本の飼いかただ」などと正当化されたりしていたが、ここ5〜6年であっさり後退し、統計上は室内飼育比率が7割にまで上昇している。

「日本のやりかた」などはあっさり捨て去るのが「日本のやり方」であることは、律令制国家建設以来の、いやひょっとしてもっと前からの歴史的事実である。

正しいトレーニングにもどろう。

ここから先は、何をトレーニングの目的とするかによって変わってくる。

言い換えれば、イヌとどう関わりたいか、ということである。

イヌにヒトの言うことを聞かせる(あるいは伝える、理解させる)ことを目的にするなら、それを効果的に実現するのが正しいトレーニングということになる。

行動分析学にもとづいたクリッカートレーニングは、簡単な行動形成という観点からすれば非常に効率がいいし、イヌだけでなくほかの哺乳類、鳥類などから魚類まで有効だ。

ヒトがイヌに望む単純な行動をその場でさせるという点で、これほど簡単にしかもイヌに苦痛を与えずにできる方法は他にないだろう。

これはゲームとして面白く、イヌや他の動物にとっても脳トレあるいはエンリッチメントになるので、うちのイヌネコと楽しんでいる。

しかし、イヌとの愛情にみちた関係を構築する、イヌの気持ちを理解する、信頼関係を築くなどとなってくると、そう簡単に答えは出ない。



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←トレーナーさん宅でお食事をよばれ中、私のヒザの上で寝るルル。外出先ではひざの上が一番安心で落ち着くようだ。私が仕事中でPCに向かっている間は、ひざの上にいたり自分のベッドで寝たり。研究会のときにひざ上でいびきをかいて寝るのはやめてほしい

ただ、一方的に強制したり、叱ったり、罰を与えたりするトレーニングでは達成不可能であるとはいえるだろう。

カーミングシグナルからイヌの気持ちを理解し、それを使ってイヌと双方向的にコミュニケートするPDTE式のトレーニングは、関係構築という点で画期的なやり方だと私は思っている。

もちろん、これらトレーニングは絶対的なものではなく、現時点で私が知る限り効果的ということで、クリッカーよりもっと効果的な方法が将来見つかるかもしれないし、もっと有効にイヌとコミュニケートする方法が発見されるかもしれない。

ただし、イヌをオスワリさせるために、首にチョークチェーンやピンチカラーをつけて、下に向かって力任せに引っ張るというのは、いくら即座に行動形成できてもダメである

それは、21世紀の動物福祉基準に合致しないからである。

以上のようなことを、正しいトレーニング方法を見極める際に参考にしてほしいと思う。

「しつけ」の目的

昨日はEggiさん宅におじゃまし、おいしいランチをごちそうになりつつ、PDTE(Pet Dog Trainers in Europe)の理念とトレーニング方法について講義をしていただいた

よく理解できなかった点についてしっかり説明していただいたので、よりいっそう理解が深まった

まず外でDixieちゃんとご挨拶。

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1、おやつをもらって、わ〜い、Eggiさんこんにちは!

2、Dixieちゃんは目が見えないので、Eggiさんにやさしく声で誘導されながら、ルルのそばへ。「クンクン、あなたがルルちゃん?」ルル、左前足あげて顔をそむけてシグナル「そっそうです、よろしく、悪い子じゃありませんから・・」

3、「おかあさん、ちゃんとご挨拶できました」ワンコたちはもちろん吠えていないどちらもリードをたるませているところに注目ここでリードを引っ張るとガウガウになる。

ルルはクンクンされているあいだは固まってシグナルを出していた。

Dixieちゃんは、ちゃんとEggiさんの指示通り動いて、「ゆっくりゆっくり」といわれてそのとおりそっとクンクン。

動物病院で目が悪くなってしまった老犬を見たことがあるが、とても神経質になっていて、誰かがそばを通るたびに吠えていて、非常にかわいそうだった。

目が見えなくなるのは人間でも大変なショックで、そのストレスは計り知れないことを考えれば、Dixieちゃんの落ち着きようは奇跡的だ

そしてもちろん、Dixieちゃんを驚かせないように、ちゃんとEggiさんが状況をコントロールしている。

なお、この写真に写っている門は、1938年11月9日のナチスによるユダヤ人住宅、シナゴーグ焼き討ち、クリスタルナハトのときに破壊されたシナゴーグ跡のところにある門で、警官によって警備されていた。

それから日本で言う4階にあたるお宅まで階段をあがって行った。

Dixieちゃんは慣れたもので、とことこ快調に上っていく。

そしてお部屋でまたご挨拶。

ルルはワンコのいるお宅訪問は、よく考えてみたら2回目だったが、大好きなEggiさんとおやつを見てさらに興奮、ちょこちょこ走り回って冷や汗が・・

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*写真提供はEggiさん夫。どうもありがとうございました。

1、まず落ち着いて、ひざの上でご挨拶。とても友好的で落ち着いている。

2、ルルが興奮してあっちこっち走り回っているところを、なんとかスプリッティング。自分ちの子だったので、一応少しは余裕あり。これはちゃんと通じている。

3、Eggiさんから交代におやつをもらって終了。ルルは飼い主に似て食いしん坊なので、おやつを見ると大喜びでフライング気味 でも、ルルの無礼講にも動じなかったDixieちゃんは、とってもおりこうワンコさん

お互いに敵意がないことがわかっていたことが基礎にあって、状況をしっかりコントロールしていたことが対面を成功に導いたと思う。

もちろんヒト側もゆったり落ちついて見守っていた。

ご挨拶がすんで、人間たちが食事をしている間は、Dixieちゃんはテーブルのそばの自分のベッドでお休み、ルルは私のひざの上でお休み

そのあとEggiさんに講義してもらっている間、ルルはそのままお休み、Dixieちゃんはお父さんのところに行っていた。

こういうワンコマナーを身につけてもらうのが「しつけ」の目的である

このふたりのワンコはともに心に傷を負った元「問題犬」だったが、毎日血のにじむような厳しい訓練を受けてようやくこんなふうになったのかというと、実はそうではない。

Dixieちゃんはちゃんとひととおりの訓練を受けて、優秀な成績を修めているが、うちのルルができるのはオスワリくらいしかできない

フセなんぞは、使う機会がないために、すっかり忘れている・・(笑)

Eggiさんも私も、犬たちを落ち着かせるように「オスワリ」の命令を出しているわけではなく、ただイヌのシグナルを観察していて、緊張が高まる前にスプリッティングしているだけだし、食事のときにフセのコマンドを出したり、「静かにっ」とか「ステイ」なども一度も言っていない。

言っていたら、リラックスしてはいられないだろう。

ここで重要なのは、ふたりのワンコはともにストレスレベルが非常に低いということだ。

Dixieちゃんは13歳と高齢で、盲目、しかも糖尿病で、最近あんまり調子がよくないそうだ。

一方のルルは、この日雨だったので、頚椎形成不全という先天性疾患からくる神経症状で、体が痛かったり頭が重かったりしているし、寒いので手術した脚も痛いだろう。

体調がよくないイヌは、ほうっておけば攻撃的になりやすいが、このふたりがとても落ち着いていられるのは、叱ったり怒ったり無理なことをさせたりして、ストレスを増やしたりしないように注意しているからだ

もちろん生活環境もとても大切だ。

Dixieちゃんは広いおうちの、とてもすてきなお部屋のそれぞれに、快適なマイベッドを持っている

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ふたりともサークルは使っていない、というかヨーロッパではワンコをサークルに入れて飼ったりしない(サークルにいれたがるのは日本だけ)

なお、日本ではその重要性が必ず強調されるいわゆるクレートトレーニングもこちらでは行われていない

自動車での移動時に使うキャリーボックスに慣らすということはもちろんトレーニングメニューとしてあるが、それを室内に常設しておいて、ことあるごとにハウスのコマンドでそこに行くようにするというトレーニングはしないそうだ

ルルも習うだけは習って、そのためにバカでかいバリケンネルを買ったので、しょうがないからベッドのひとつとして使っているが、それ以外には使い道がない

日本ではなぜか、「ワンコを室内で自由にするとワガママになる」といわれているが、Dixieちゃんもルルもワガママどころか、とてもマナーのいいワンコだ

サークルやクレートがなくても、またそこに入っているように指示しなくても、イヌたちはちゃんと食事中じっとしているし、お客さんの邪魔をしないでおとなしくしていられるのである

こうしていろいろ考えてみると、ヒトがイヌと生活するうえで大切なのは、ルールを一方的に押しつけたり、イヌを命令によって自由に操ることではなくて、イヌの気持ちを理解して、イヌを独立した生命存在として尊重し、たっぷり愛情を注ぐことだと思う

カーミングシグナルと呼び戻しレッスン

昨日に引き続き、プラーターでのレッスンについて

まず、ヒトがイヌに対して出すカーミングシグナルのやり方を勉強。

向こうの方から元気いっぱいで興味津々なワンコが登場したときの対処法

シグナル1シグナル2シグナル3シグナル4シグナル5

1、近づいてきてこっちに興味がありそうだけど、あまり近くに寄ってほしくないので、イヌにむかって(目をみつめないように)まばたき、舌ペロッ、それでも近づいてきたら顔を下に向け、まだダメなら横に向け、それでも通じなかったらこの写真のように体を横に向ける。わたしは前半部分はできなかったので、こうすればよかったという反省

2、ちらっとワンコの様子を確認。シグナルが通じておとなしくしている。

3、ところがそこに飼い主さん登場

4、せっかくおとなしくしていたのに飛びつかれここで右手をワンコの前にそっと出してスプリッテッィングする(しかし余裕がなくてできなかった)。おばさんがナイン!と怒鳴るが、ワンコは無視。私が背中を向けてシグナルを出し続けると、それに反応してやっと降りる。

5、おばさんが怒りながらワンコのほうに向かって足を踏み出しているので、ワンコは顔を背けてカーミングシグナル。

このように、怒っても怒鳴っても、イヌには効果なし

イヌにとってわかりやすいシグナルを出すと、私のような初心者でもちゃんと通じるのだ

実際やっているときは、イヌの対応がよく見えないので、通じているのかどうかよくわからなかったが、こうしてEggiさんが写真に撮っていてくれたので、様子がよくわかる。

日本では、オフリードのワンコに遭遇することはあまりないが、もし遭遇したらこうやって自分のワンコを守ろう

間違っても手やかばんを振り回してはいけない

また、リードをつけていても、連れ違うときに吠えられそうな感じのワンコがいたら、早めにこのようにしてシグナルを出せば回避できるので、けっこう使えると思う。

自分の家のワンコを相手にシグナルの練習しておくといい(けっこうおもしろくてハマる)

ルルのようにパピー期の社会化を経験しなかったイヌにも、ちゃんと通じているので、自分のテクニックを磨いておこう。

ちょっと寒かったが日差しがあったこの日、呼び戻しのトレーニングもやってもらった。

ルルはまずまずの歩きモードだった。

ルルの問題は、ふと止まって動かなくなったり、ベンチを見つけたらすぐにそっちに歩いていって座ろうとしたりして、そういうときに呼んでも私のほうには来ないということだ

散歩で一番重要なのは呼び戻しだと、何度も書いたり人に説明したりしているのに、そしてドッグウォーカーのときもまず呼び戻しトレーニングをしてから散歩に入るのに、自分のうちのワンコが実はこれが大の苦手

3Mリードを持ってルルから離れ、楽しそうな声で名前を呼んで、寄ってきたら数歩さがって、トレーナーさんが持ったおやつを私が受け取ってルルに食べさせる。

はじめのうちはちょっと来たりしていたが、すぐに来なくなった。

ところがまたベテラントレーナーの魔法で、トレーナーさんが呼ぶとちゃんとやってくる

私の呼び方はうまくはなけど、決して怖い声で呼んでいるわけではないし、寄ってきたときに叱ったことは一度もないのにそれでも無視される。

トレーナーさんが呼ぶとすぐに反応してうれしそうに寄っていくのだ

なぜ

ともあれ、よく言われているように、トレーナーさんが「リーダーとして毅然とした態度を示したことにより、イヌが尊敬して従った」などというものでは決してない

なんかいいことがありそうで楽しそうだから行ってみたのだ

ストレスサインが出る前に終了し、あとは宿題ということになった。

ルル

「お母さんのところには戻りませんから

そして今日、まずは室内で練習しようとしたら、いままでしつけ教室で脚側歩行の練習をやってきたので、常にぴたっとついて歩くため練習にならず。

外に行ってやったが、呼んでも根が生えたように動かず、おやつをあげても無視

どうも、お外が苦手だったことと結びついた根深い問題のようなので、克服には時間がかかるのではないかと思う。






プラーターでイヌの勉強

ようやく晴れたので、雨天延期になっていたトレーナーさんとのレッスンができることになった

プラーターという広大な公園で、イヌたちの会話のしかた=カーミングシグナルの読み方を勉強し、ルルのお散歩トレーニングを教えていただくというものだ。

朝はけっこう寒かったので、ルルが歩かないのではないかと心配したが、日差しがあったので、幸いにも今日は歩きモードになっていた

久しぶりの日差しだったので、お散歩をしているイヌもたくさんいて、今日まで延期したかいがあった

日本ではほとんどお目にかかれない超大型犬のオンパレードで、うれしくて大興奮だった

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←飼い主は時間的に中高年女性が多かったが、大型犬にも引きずられなそうな方ばかりだった


喜んでばかりもいられないので、彼女の解説つきでよくシグナルを観察したが、本で読んだ(トゥーリッド・ルーガス『カーミングシグナル』)だけではいまひとつピンとこなかった部分が、多少わかったと思う。

ただ、シグナルは一瞬にして出されたのち、すぐに変化していくので、かなり注意深く観察しないといけないということは、非常によく理解できた。

まだ私の場合は、明らかに「いかにも」というはっきりしたもの以外はとらえられない。

トレーナーさんも長らくトゥーリッドさんのところで学んで身につけたのだから、数日で簡単にわかるようにはならないだろう。

シグナルを読むだけでなく、自分でシグナルを出すことも非常に大事なのだが、これがなかなか難しい。

日本では、シグナルを使って試してみましょうと書いてある本はあっても、それをトレーニングに直接応用していくやり方は知られていない。

この点がトゥーリッドさん直伝のトレーニング方法の独自なところで、それをぜひとも学びたいと思ってきたのだ。

日本でも、自分なりにシグナルを試してみたが、どうもイヌに伝わらないしうまくいかない。

タイミングやひとつの動作の速度や長さなども、文字情報だけではどうもよくわからなかった。

ここで実演してもらって、自分のやりかたの間違いとどうすべきかがわかり、非常に勉強になった。

といってもこれも練習あるのみで、うまくできないからとりあえずルルと練習している。

四つんばいになってイヌになりきり、口と前足だけを使って遊ぶというのをよくするのだが、そのときに、ルルが遊び攻撃をしかける直前にシグナルを出すのだ。

まばたき、舌をペロリ、下を向く、顔を背ける、背を向ける、これらを相手の様子を横目で確認しながらだしていく。

わたしはそれぞれのがゆっくりすぎたところに問題があった。

外で遭遇した緊張度の高いイヌから立ち去るときのスピードは、逆に速すぎることが指摘された・・・う〜む自分ではまったく気づかなかった。

ビデオがあったらわかりやすいだろうと思うので、できないかなぁ・・・。

ルルはちゃんとシグナルに反応して、攻撃をやめるのだ。

これは、遊んでいるうちに甘噛みがエスカレートする子犬なんかに使えそうだ。

そうしたら、子犬に大声で「ダメっダメッ
なんて言わなくてもすむ。

「痛い〜」というのも悪くないのだが(ルルはそうやって甘噛みをなおした)、何度も大げさに痛がらないとなかなか理解してくれなかった。

ところがシグナルだと、さすがに犬語なだけに、ちょっとヘタクソでもすぐに理解してくれた。

他のイヌたちでもせっせと練習しよう。

トレーナーさんをよく見ていると(よく見ないとわからない)、すばやくシグナルをだしていて、それがちゃんとイヌに伝わって、飛びつくのをやめたり、落ち着いて去っていったりしている。

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←魔法の一幕。トレーナーさんのそばに寄って落ち着いた犬。ハンドシグナルを撮ったが、顔、体の向きなども関係している。行動学者パトリシア・マッコーネルが著書で書いているのだが、イヌは人間のボディランゲージを細部にわたって読み取るという。なので、手の動きだけ真似しようとしても、なかなか伝わらない。

よく見ないと、一瞬のことで何をやったかわからないので、「何であのイヌは急におとなしくなったの」という感じなのだ。

「人間はイヌのリーダーにならなければいけない」などという時代遅れのパックリーダー論にもとづいたトレーニングをやっている人は、威嚇したり力を見せつけたり、もしくはその変形で、力があることを示してあきらめさせたりして、言うことを聞かせようとするが、そうしなくてもイヌにわかるシグナルを使うことで、ちゃんとコミュニケートできるのだ。

それから、ルルにおやつをみせたときの飛びつきのなおしかたもレッスンしてもらった。

飛びつきは、従来の訓練だったらリードをぐいと引く、いけないと怒鳴るなどで、イヌにやさしいトレーニングでは、飛びつく前にオスワリのキューを出し(両立しない行動による消去)、座ったらごほうびというものがある。

私もそうしていたが、私がおやつを持っているのを発見したときのルルは、まず飛びついてからキューを聞いてすわっていた。

テキストどおり、座っているときにおやつをあげるのだが、落ち着いていないのでそのタイミングが狂い、立ち上がっているときにあげてしまうことがあったのがわたしの敗因だったということも、今回のレッスンでよくわかった。

トレーナーさんは、ルルが興奮して飛び跳ねているあいだは無言でじっとしていて、おとなしくなったらおやつを食べさせるというのを何度も実演してくれた。

基本的なテクニックだが、こうして上手なハンドリングを間近で観察するというのは、非常によい勉強になる。

日本のしつけ教室では、もちろんすべてではないが、インストラクターは飼い主にハンドリングをさせて、お手本を示してくれないので、この点は改善の余地ありだと思う。

両立しない行動をさせるというやり方では、イヌに多少ともストレスがかかるが、このようにどう行動したらご褒美が出てくるかを考えさせて自発的によい行動をとるように選択させれば、なんのストレスもかからない。

こうしてすばらしいハンドリングにより、はっきりとどうしたらいいかわかったルルは、家で何度かやってみると、飛びつこうとしても自分でやめるようになった。

強制訓練でなくても、いやむしろないからこそ、イヌもヒトも簡単に快適に、いわゆる困った行動をなくすことができるのである

ルルのお散歩トレーニングについてはまた次回に。

しつけ教室以来の考えるトレーニングで、頭から湯気がでていたルルだが、トレーニングがおわってもそれほど疲れていなかったので、というかそのようにEggiさんがよく配慮してくださったので(これもトゥーリッド式)、少し散歩したりお店に入ったりして気分転換した。

東欧系の物乞いのお母さんに連れられた女の子(言葉を聞いていたらだいぶ理解できたのでルーマニア系だろう)が、ルルを気に入ってなでてくれたり、ウォークマンから思いっきり音漏れさせたロック好きの60代らしき女性から豪快ワシワシされたりしながら帰ってきた。

脳が活性化したついでに、ペットショップで買ったばかりのねずみおもちゃで、クリッカーを使った持って来い遊びをしたら、いままでできなかったのに、1セッションで近くまで持って来ることができた。

脳細胞がふえたのか・・・

オーバーヒートしないように1回でやめると、遊び足りなそうにしていたが、すぐに爆睡モードに。

よくがんばったルルだった

帰りだけ散歩

昨日より少し気温が高くなって楽だったが、それでも最高気温12度だった。

午前中、散歩に行くというので連れ出したが、私はロンTにシャツで寒くないのに、ルルは自分の毛皮+つなぎでもまだ寒い。

昨日ほど震えていないので散歩を始めたが、ぜんぜん歩かず

抱っこしてシェーンブルン宮殿そばの公園まで歩き、下におろしてみたがやっぱり歩かず

せっかく来たので、オフリードで散歩する元気なワンコの写真を撮った

ゴールデンドーベルマン

←ゴールデンくんは、飼い主さんからかなり離れながら自由に歩いていたが、帰りに公園から道路に出たところで一緒になったので見ていると、信号のところで飼い主さんが小さな声でマテと言ったのを聞いてから歩き出していた。他のヒトにもイヌにも無関心で、しつけバッチリワンコだった。
ドーベルマンくんは飼い主さんとボールを持って来い遊び

さて写真も撮ったし帰ろうとすると、それがわかったのかいそいそと歩き始めた

寒い

帰り道しか歩かないって決めてますからっ

かなりたっぷり歩いて帰ったので、十分散歩できただろう

雨で歩けなかったりすると、夜中に目を覚ましたりする。

よく歩くようになったので、手術した脚にたっぷり筋肉が付いて血行もよくなり、寒くても冷え切ってしまうことがなくなった

午後からは、ここだけは絶対見ておきたい、ウィーン美術史美術館に行くつもりだった。

ぜひともひとりでゆっくり見たいと思っていたが、ルルはもう出かけないでお留守番するというので、行ってくることができた

ウィーン美術史美術館は、ハプスブルク家によって収集された膨大なコレクションを収蔵する世界有数の美術館で、すばらしい作品を数多く所蔵している
17223028美術史美術館

←ヨーロッパ思想史の教材として使う美術作品のDVDに、ここの美術館も収録されていたため、実はよく見ていたのだった。

でも実際に見ると(ずっと前に見ているのだがすでに記憶にない)、やっぱりすばらしい

古代エジプト・オリエントコレクションから始まるのだが、ミイラやそれを収めた棺がたくさんあり、そのなかにクロコダイル、ヘビ、マントヒヒ、ネコのミイラなんかがあって非常に珍しかった

絵画コレクションでは、ルネサンス期イタリア絵画がかなり充実していて印象深く、チェーザレ・ダ・セストの「洗礼者ヨハネの首を持つサロメ」がここにあったことを発見したり、ペルジーノの「キリストの洗礼」が予想外に小さくて驚いたりした。

同じ16世紀後半でも、初期ネーデルランド絵画とイタリアのマニエリスムではまるで違うので、対比させると教材として使えそうだなどと考えたり。

反宗教改革の後ろ盾、スペイン王家に雇われたルーベンスの作品「イグナツィオ・ロヨラの奇跡」と「フランシスコ・ザビエルの奇跡」には笑ってしまった。

宗教改革という悪魔をイエズス会が打ちのめすのだというあからさまな意匠、芸術と政治は実はこのように結びついているのである。

美術史美術館・天蓋

建物自体非常に豪華ですばらしく、オーストリアが世界に誇る遺産のひとつだ

それだけに警備も厳しく、何も入ってないリュックを背負っていたら、腕に抱えるように日本語のできる職員さんに注意された。

ここにはワンコは連れて入れないだろう。

日本では作品をガラスケースの奥に陳列しそうだがここではむき出し、上野の国立近代美術館では、ガムをかんでいて注意されたことがあったが、ここではそれはOKだ。

国によって微妙にルールが違うのがおもしろい・・。
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