2010年02月

牧羊犬仕様の散歩と運動

保護犬ライちゃん(8ヶ月♂)の里親募集をはじめて3ヶ月がたとうとしている。

時々里親希望さんが現れるのだが、お散歩の量と質の確保がネックになって、なかなか決まらない。

ライちゃんは牧羊犬系のミックスで、日に日に走り方や動きが牧羊犬らしくなっていっている。

走るスピードがどんどん速くなってきて、ジグザグ走行や突然の方向転換はお手の物、大きく回り込んだり、瞬時に伏せたり、かかとを噛んだりにらみつけたり。

こういう牧羊犬タイプの犬は、一日羊を追って走り回るためにブリーディングされているので、かなりタフである。

一日中室内でまったり過ごすのが好きな人には全く向かない。

私は市民ランナーなので、毎朝10キロ走ってからライちゃんとボニちゃん(ラブミックス♀7歳)の散歩に行って、2時間ほど歩いたり走ったり、夕方は夕方でまた30分から1時間走ったり歩いたりの散歩をする。

それ以外にルル(ヨーキー♀5歳)の散歩を1時間しているので、ほとんど散歩で1日が終わりそうな勢いだ。

午前中の散歩では、ライちゃんは川っぷちや川を渡るらないと行けない中洲など、人の来ないところで、思いっきり走りまわったり、ボニちゃんと追いかけっこしたりする。

わたしもそれに付き合って走っている。

ライちゃん里親募集中ライちゃん里親募集中

←(写真提供はカメラマンのIさん)

ライちゃんはすごいスピードでかなりの距離を走りまわるので、呼び戻しの練習は欠かせない。

呼び戻しにはホイッスルを使っているが、反応は非常によくて、ちゃんと戻ってきてくれる。

朝の散歩は、1時間半歩いて30分走り回るというバランスだと思う。

これを毎朝やっているのだが、たまに時間が足りなくて1時間半くらいになってしまうと、とたんに家で暴れたり物を破壊したりしてしまう。

今日は雨が降っており、昼前に上がるという予報だったので、それを待ってから散歩に行って、午後からボランティアのイベントがあるので1時間半くらいで切り上げた。

ライちゃんをおいて外出して帰宅してみたら、スリッパが片方破壊され、研究関係の文庫本が1冊、表紙がバラバラに食いちぎられていた。

すぐにまた散歩に行ったが、運動不足だとこういうことになってしまう。

きちんと運動できれば、留守番中に物を壊すことはなく、静かに寝ている。

運動とともに、毎日少しずつ頭を使うトレーニング(かんたんなトリックなど)もやっている。

そんなこともあって、里親募集要項には、トイレ散歩も入れてトータルで3時間程度は外に連れ出して欲しいと記載しているのである。

牧羊犬系の犬と暮らしている人のブログには、たいてい上に述べたようなことが書いてある。

しかも賢いので、いいこともすぐに覚える代わりに、悪いこともすぐに覚えるから、きちんとした接し方を身につけていないと問題行動犬にしてしまう。

うちの近所にボーダーコリーを飼っている60代とおぼしき女性がいるが、この方は毎日私とライちゃん以上に散歩をしていて感心してしまう。

ライちゃんより一回り大き目のこのボーダーくん、子犬のころはよく吠えており、犬慣れもしていなかったが、毎日欠かさず長い散歩をしているうちに、吠えなくなって社交性も身についてきた。

逆に、家のすぐ近辺しか散歩させてもらっていないボーダーちゃんも知っているが、この子は同居している動物を追い回して、常にガルガル言っている。

牧羊犬系の犬は、犬暮らし初心者や、運動好きでない人には全く向かないのである。

都会の住宅密集地でも飼えない。

そういう人が飼ってしまうと、持て余してしまうことは目に見えている。

なのでライちゃんは、牧羊犬の特性をよく理解している方と暮らしてほしいと思っている。

どうぞよろしくお願いします。

ミアちゃんトレーニングを始める

肝炎と診断された保護猫ミアちゃん(5ヶ月♀)が、元気になって室内を歩き回るようになってきたので、トレーニングを開始することにした。

ミアちゃんの場合、抱っこされる時に「イヤァ〜」と鳴くので、抱っこに慣らすトレーニングから。

クリッカーの原理を使うが、手がふさがるようなことをする時には、クリッカーを持っているともたつくので、口クリックを使う。

舌でコンと音を出すのである。

舌打ち合図でもいのだが、これはすでにうちの犬猫の呼び戻し合図になっているので、別の音のほうがいい。

最初にチャージングと言って、口クリック音とおやつを関連付ける。

おやつを手に握りこんでおいて、口クリックしてすぐにおやつを出す。

これをやって、音とおやつの関係がわかってきたようなら、次の段階に進む。

ミアちゃんを手で触って口クリック→おやつのカリカリ。

何度か繰り返したら、抱っこの時のように触って、口クリック→カリカリ。

今日はここまでにして、呼び戻しの練習に移る。

ミアちゃん里親募集中ミアちゃん里親募集中



←出窓とテーブルを行ったり来たり。



「ミアちゃん」と呼んで、人差し指で来て欲しい場所にさわり、そこに来たら口クリック→おやつ。

最初は数十センチ程度の移動からはじめ、だんだん距離を伸ばしていく。

この指の指示というのが意外と便利で、犬の場合は散歩中に車やヒトをよけるときによく使う。

微妙な移動のときに、行くべき場所を厳密に指示できるからである。

このゲームは非常に簡単なので、犬でも猫でもすぐに覚えてくれる。

その次に、普通の呼び戻しに行くこともできるし、指先タッチにしてもいい。

ミアちゃんもとても上手にできたが、まだ肝臓の具合もわからないので、ほんの少しでやめておく。

特に犬の場合に気をつけたいのは、「呼んだら絶対、すぐに来い」、でなければバカ犬だと言わんばかりに、意気込んでしまうことである。

最初からいつでもすぐに来るようにはならないので、実践で使うことは考えずに、まずはゲームとして一緒に遊んであげるつもりでやってみよう。

おそらく犬たちは、「おいで」という言葉を無視することに慣れてしまっているので、「おいで」は使わない。

上のようなやり方もいいし、舌打ち合図してほんのちょっと動いたらおやつというのでもいい。

私は犬の場合は後者をよく使う。

いきなり難しいことをやって、できなくて落ち込むよりも、簡単なことからはじめて、成功体験を積み重ねていくのが、動物にとっても人間にとっても楽しくて効率的である。

うまくいかないと悩んでいる人は、難易度を下げてみよう。

利己心と攻撃性のコントロール

昨日ルルと一緒に、私の師匠の月例研究会に行った。

この研究会では、ヨーロッパの思想家たちが考え続けてきた、人間と人間が構成する社会についての体系的な思想について取り上げながら、「文明のあり方」という壮大なテーマについて考えるのである。

そこでこんなことが話題になった。

ギリシャ時代より、ともすれば己の利益の追求に走る人間の利己心をどのようにコントロールしていくか、そして自分の利益を守るために人間が持っている攻撃性をどのように制御するかということが人々に、そして社会に課せられた課題だった。

利己心をコントロールするものとして、近代以前の社会では宗教が大きな役割を果たし、それが道徳の基礎を形成してきた。

行動規範の形成、すなわち文化の問題である。

自分の利益ばかりを追求して他者をかえりみないのはよくない、平和的に共存する道を模索すべきであるという行動規範を、いかに形成し定着させていくかということである。

他方では、人が自己の利益を守るために受け継いだ攻撃性を、適度に発散していくことも必要である。

その役割を担うのがスポーツである。

オリンピックはギリシャで生まれたのだ。

これは人間の社会についての話だが、動物と暮らしていく際にも同じことが言えると思う。

同居している動物に、ヒトやその他の動物と平和共存していくための行動様式を、いかにして身につけてもらうかが重要なのだ。

自分の利益ばかりに走るのではなくて、お互いの利益を尊重しながら、いかに仲良く共同生活をしていくか、これがしつけの重要な意味である。

攻撃性がむき出しにならないように、遊びや運動などで適度に発散させながら、平和的な行動を強化していくのである。

だが、動物にばかりそれを押し付けるのではなく、ヒトも利己心をコントロールして、動物たちの利益を尊重しなければいけない。

うちは保護犬猫を入れて、計5匹とヒト1人で暮らしている。

すでに人口過剰なので、利己心のぶつかり合いをコントロールせずしては平和に暮らせない。

動物たち同士でもちゃんとルールができてくるのだが、それをヒトがサポートしてあげる。

小競り合いが起こったときにはすぐに「あっ」と声をかけ、ハッとして静止したときにすかさず褒めて、ケンカしていない状態を強化する。

そうすると、ケンカしないでいることがいいということを、自分で学ぶことができるので、だんだん自発的に仲良くしていられるようになる。

これを例えばケンカのたびに罰を加えるとしたら、動物たちは飼い主のいないところで弱いものいじめをするようになる。

罰は常に加えられなければ効果がないため抑止力にならず、そのうえ暴力は連鎖して弱いものに向かうからである。

こうして同居動物を噛み殺してしまった犬を何頭も知っている。

他方、よくしつけの本では、「両立しない行動」によって、好ましくない行動を制止するという方法が載っており、それを使うトレーナーも多い。

例えばケンカになったときに、「フセ」とか「ハウス」などの「コマンド」をかけるのである。

だがこの方法は、コマンド=命令されてそれに従うことが強化されるだけで、ケンカになりそうなときに自分でそれを避けるという行動は強化されない。

自分で考えて好ましい行動を選択するようにはならないのである。

私は動物たちが自分で平和共存を選択し、いちいちヒトが指図しなくても秩序を保っていられるようにすることを目指すのである。

ミアちゃん

たまたま今日、外出から帰ってきたら、小麦ちゃんがミアちゃんをせっせと舐めてあげていた。

力が入りすぎてミアちゃんはこの後クッションから転落していた

わたしはリーダーなど必要としない、思いやりと愛情あふれる関係を築いていきたいと思うのである。

わたしが好きなイギリスのドッグトレーナー、Sheila Harper のブログに、アルベール・カミュの言葉が紹介されていた。

私の前を歩かないで下さい。後について行かないかもしれません。
私の後ろを歩かないで下さい。先に立って導かないかもしれません。
私と並んで歩いて下さい。そして私の友でいて下さい。

リードしたりされたりするのではなく並んで歩く、そんなふうに暮らしていきたい。

いいとこ取りは危険

最近のペットブームを背景にして、多くのドッグトレーナーが出てきた。

その方法はさまざまだが、多くの飼い主さんから見れば、どれも同じようなものだろう。

たしかに共通する部分も多い。

だが実際にはさまざまな方法がある。

それはたんにハウツーとしての方法がいろいろあるというだけでなく、方法論(メソッド)、すなわちハウツーを束ねている考え方もいろいろなのである。

私は研究者の習性で、さまざまな方法論を批判しているが、それも多くの読者から見れば一緒に見えてしまうのである。

だから、いろんなハウツーのなかで有効と思われるものを、その時々に応じて使えばいいと考えてしまうのは無理もないことである。

ところが、実はこれが危険なのだ。

例をあげよう。

強制的な服従訓練を行っているトレーナーがいいたとしよう。

そこでのオスワリ、フセ、マテなどは、飼い主の優位性を確立するために欠かせない命令であり、絶対それに服従しなければならないものである。

散歩は常に飼い主主導で「リーダーウォーク」を行い、リードを短く持って、常にいちいち命令する。

好ましくない行動は目を見てしっかりと叱り、あおむけにひっくり返したり、マズルをつかんだりする。

こうしたハウツーの数々によって目指すものは、命令に従う犬の育成、犬との主従関係の形成である。

逆に言えば、主従関係の形成のために、これらのハウツーを必要としているのである。

それに対し、「褒めてしつける」という比較的新しいやり方を主張しつつ、リーダー論を受容しているトレーナーの場合、古い要素と新しい要素が混在することになる。

このタイプのトレーナーは、動物たちと友好的な関係を築きたいという意識を持ちつつも、リーダー論という垂直的上下関係を許容するために、動物の気持ちを軽視した接し方をしてしまうことがある。

たとえば、カーミングシグナルという動物の気持ちを理解するカギを持ちながらも、嫌だという意思表示に応えてあげないなどである。

ハウツーとしては、従来の強制訓練の中でも使われていた要素を無批判的に継承している場合もある。

それに対し、私がめざすのは、動物と人との対等・平等な、水平的関係であり、お互いに相手の気持ちを理解し、尊重しあう関係の構築である。

自分の頭で考えて、自由でかつヒトにとっても好ましい選択を行う犬の育成を目標とする。

ストレスマネジメントは、それを可能にする条件づくりなのである。

私は命令に服従させないし、リーダーシップも発揮しない、カーミングシグナルに現れた気持ちを尊重して、嫌がることはいっさいやらない。

自由を束縛するクレートトレーニングもしないし、室内トイレも強要しない。

散歩はゆるいリードで好きなように歩いてもらい、時々相談して行き先を決める。

このように、めざすところとハウツーは対応しているので、強制訓練系のトレーニングをしている犬に、いきなり命令をやめてみても、ただ混乱するだけである。

リーダーシップの確立をめざしてトレーニングをしていながら、いつも犬の気持ちを尊重するという私のやり方を接木しても、なにも実りはないのである。

なので、犬の接し方やトレーニングを学ぼうとする場合、自分が何をめざしているのかをよく理解し、それに合ったトレーナーに学ぶことが重要である。

たくさんのトレーナーに相談したり、さまざまな本の一部を抜き出してきて、いいとこ取りをしようとするヒトもいるが、それでは犬が混乱するだけである。

しつけや問題行動に困ったら、自分と犬がどんな関係を築きたいかという、もっとも根本的な問題に立ちかえって考えてみよう。

なお、命令しない、号令をかけない、派手なデモンストレーションもない、ゆるゆるな私のやり方で、ひどい問題行動がなおって、いつもニコニコになった犬たちがたくさんいることも、一応宣伝しておこう。

ストレスが減れば入院も平気

今日はとても暖かくて、日中など暑いくらいだった。

ライちゃんは、お腹まで水に浸かりながら、川の中を歩きまわっていた。

ライちゃん里親募集中

最近呼び戻しが強化されてきて、誘惑が多くて難しい状況でも、成功する割合が高くなってきた。

好ましくない行動をしたときには、「やめてね」というとすぐにやめてくれる。

言葉をよく覚えてくれるので非常に楽だ。

賢いライちゃんに早くお家が見つかりますように。

そのライちゃんのお友達で、元吠え犬のドリーちゃん(ダックス♀4歳)が、不妊手術でボニちゃんの病院に入院していた。

散歩の時に会って、手術後にまたライちゃんと様子を見に行った。

ドリーちゃん、何度かこのブログでも紹介したが、はじめて会ったときは、吠えが止まらずにずっと吠え続け、しかも攻撃までしかけてきていた。

その様子はこちら

それがストレスマネジメントで大幅に改善され、犬と見れば吠えていたのが、ライちゃんとも追いかけっこして遊べるまでになったのである。

一緒に遊ぶまではできないと思っていたのだが、これはうれしい驚きだった。

以前は、病院に預けられた時に激しく吠え続けて、入院はほとんど無理ではないかという状態だった。

今回久しぶりに病院に滞在するので、不安だったり、また吠えたりするかもしれないと思い、様子を見に行ったのである。

入院室でひとり不安そうな様子でしっぽを巻き込んでいたが、まったく吠える事はなく、ライちゃんと私を見て近寄ってきて挨拶していた。

私が入院室を出ようとした時に少しだけアウアウ言っていたが、以前のような力いっぱいな吠えではなく、すぐに鳴きやんだのである。

手術後も機嫌よく出てきたので、たっぷり撫でてあげた。

なお、ドリーちゃんはクレートトレーニングはしていない。

何度も書いているように、ストレスいっぱいの状態が改善されて、落ち着いた犬になれば、こういう不安な状況でもパニックになったりせずに、おとなしく状況を受け入れることができるのである。

大好きなおばあちゃんと別れて、入院室でひとり過ごさなければならなくても、ちゃんとおとなしくしていられるのである。

持っていったおやつはまだ食べてくれなかったものの、トイレはできていたので、ひどく緊張しているというほどではない。

病院でこれだけおとなしくできれば、ストレスマネジメント成功といえる。

以前のドリーちゃんのことが思い出せないほど変わってくれたので、ほんにんもきっと喜んでいると思う。

多頭飼育のリスク

昨日の記事で、川崎市宮前区の多頭飼育崩壊現場からのSOSを紹介した。

行き場がなくなった猫を次々と引き取ったところ、不妊去勢手術代が払えずにどんどん増えて、ついに37匹にまでなってしまったという。

「猫たちは両目がなかったり、涙目鼻水、癲癇の猫も何匹もいて生き絶え絶えの状態の子猫たち」もいるそうだ。

ここまでいかなくても、このままだと死んでしまう、行き場がなくてかわいそうだからと保護しているうちに、気がついたら10匹にもなってしまったというケースは、保護活動家にもよく見られる。

だが、ちょっと待ってほしい。

たしかに手を差し伸べなければ死んでしまう、なんとかしてあげたいという気持ちはよくわかる。

だが、それほど広くない家で、快適に暮らせる動物たちの数は限られているということも考えてみよう。

あるお宅では、猫7匹に、やんちゃ盛りでストレスたっぷりな子犬とともに暮らしていた。

犬は常同行動がみられるほどにストレスをため、猫たちはみな口内炎がなおらないなどの免疫系等の疾患に苦しめられており、尿マーキングする子もいた。

だが飼い主は、かわいそうだからとさらに他の動物を保護しようとしているのである。

猫の尿マーキング(トイレ以外の場所での不適切な排泄)は、去勢済みで泌尿器系の疾患がない場合には、ストレスが原因である。

とくに多頭飼育の猫に多くみられる問題行動である。

犬猫一緒に生活している場合は、犬が猫を追いかけて、それがストレスになることもある。

犬猫一緒に暮らす場合には、猫にちょっかいをださないように、しっかりとトレーニングする必要があるのだが、この点を意識しない飼い主が非常に多いと思う。

わたしも含め、保護活動をしていると、犬も猫もたくさん抱えてしまうことがある。

うちも狭い借家にひとり暮らしで、猫3匹、犬2匹の世話をしているので、すでに許容範囲を超えている。

しかも2匹が子獣で、非常に手がかかる…。

レスキューした犬猫は、肉体的にも精神的にも問題を抱えていることがあるので、余計に手をかけなければいけないが、保護活動家はたいていたくさんの動物をかかえて、そこまで手が回らない。

残念ながら、犬の散歩すら行けない状況で保護している人もいるのである。

特に犬は、問題行動をもった子がいる家で預かりをやってしまうと、その子も同じ問題行動をするようになってしまう。

たとえば多頭飼育で、ひどく吠える犬を飼っていたとすると、そこで預かった犬もやたら吠えるようになり、それがストレスの元になって、さらに次に来た犬も同じように吠えるようになり…と連鎖して行くのである。

逆に新しく来た犬が吠え犬で、先住犬も吠えるようになってしまったということもある。

だから、多頭飼育するときは、こういうリスクがあることをよく考えたうえで決断してほしい。

言い換えれば、いま飼っている犬の問題行動を治すことができないひとは、多頭飼育するべきではないのである。

保護活動や一時預かりも同じだ。

問題行動をなおせないどころか、ひどくしてから他人に譲渡するというのは、後に捨てられる犬を作り出すことに貢献しかねない。

設備の整ったシェルターがない状況ではそれもいたしかたないのかもしれないが、「動物の福祉」について、もう少し配慮したいものである。

命を救うことがまず第一に必要なのは十分わかるが、それをクリアしたら、動物たちのQOL(生活の質)を確保してあげたい。

ただ生きているだけというのでは不十分で、習性に適った生活を保障してあげることが必要なのである。

家畜化されてしまった犬猫は、自分の運命を自分で選択できず、飼い主も選べないのだから。

食べ物を守る

皆様にご心配いただいている保護猫ミアちゃん(5ヶ月♀)、昨日病院から帰ってから突然元気になり、ネズミのおもちゃで遊んだり、室内を動き回ったりしている。

ちょうど回復するところだったのかもしれない。

おっとりしていて性格抜群なところは変わらず、今日もお薬入りごはんを食べた後に、隣で欲しそうに見ていた小麦ちゃんを舐めてあげていた。

なんて愛らしいのだろう!

最近ミアちゃんの話が続いたので、久しぶりに保護犬ライちゃん(♂7ヶ月)のことを書こう。

ライちゃん、まだまだ里親募集中です。

走る姿がいかにも牧羊犬らしくなって、呼び戻しも上手になったライちゃん。

今日も動物病院犬ボニちゃん(ラブMIX♀7歳)と一緒に河原に行ったら、大きな黒ラブの女の子が来ていた。

ボニちゃんは犬と見れば突進する癖に、挨拶してしまったらさっさと立ち去ろうとする。

だがライちゃんは遊びたい盛りだ。

ひたすらプレイバウしながらそばを飛び回り、遊びに誘っている。

黒ラブのももちゃん、ちょっと困惑しながらも、「しょうがないなぁ」という顔で、ライちゃんの追いかけっこに付き合ってくれた。

みんなで川に入って遊んだのち、ももちゃん、ボールをくわえてきて遊びに誘う。

自分の得意分野で遊びたかったのだろう、投げたボールを素早く取るのがとても上手だった。

だがももちゃん、ひとのボールでも、自分のボールでも、取られそうになるとガウガウ威嚇がすごい。

それにたいし、ボニちゃんもライちゃんも、ボールやおもちゃなどは、取られるに任せている。

ライちゃんが守ろうとするのは食べ物、それもアキレスや豚耳などの齧るおやつだけだ。

食べ物を守ろうとするのは、犬の、というよりも動物の習性である。

守らなければ自分が飢えてしまうのだ。

だが、食べ物をめぐって死ぬほどのケンカをすることは、まずないというのも事実である。

犬は自分が何かを食べている時、他の犬が近づいてきたら威嚇する。

他の犬が自分の食べ物を取ろうとしたら、ガウガウいって防衛する。

ひとりっ子で育った犬や猫は、食べ物にそんなに執着しないが、多頭飼育ではうっかりしているとおいしいものを他の子に食べられてしまうため、この防衛行動が強化されてしまう。

うちでも、長老猫のキキひとりしかいなかったときは、むら食いと好き嫌いに悩まされ続け、スプーンでごはんを食べさせていたが、いまでは素早く何でも食べるようになった。

それどころか、目が見えない小麦ちゃんのお皿をスーっと手で引き寄せて、こっそり食べてしまうのである。

猫たち2匹の中に後から入ってきたルルは、最初から負けじとばかりにがっついて食べるし、ひとのものまでも奪おうとする。

ライちゃんもそんな中に来たので、食べ物への執着が強くなってしまった。

だが、ライちゃんもルルも、ヒト(私)が食べ物を取ろうとしても怒ることはないし、それは必要なしつけである。

ライちゃんとルルも、最初はよく取り合いになってガルガル言っていたが、だんだん相手のものは取ってはいけないというルールがわかってきたらしい。

1本のでかい骨ガムをふたりで交互に食べるのだが、相手が口から放したすきに、自分の巣に引いて行ってそこで食べるのである。

ルルは小さくて歯も悪いくせに、大きな骨ガムをしっかり守っている。

最近は、相手が食べている時、不用意に近づくことがなくなってきた。

だが、先日超大型犬のエルダちゃんが遊びに来た時、ライちゃん、しきりにエルダちゃんに威嚇していた。

仲良しなのだが、エルダちゃんがおやつを入れているオーブンに近づくたびに、ガルガル怒るのである。

最初はミアちゃんを守っているのかと思ったが、実はミアちゃんのそばにしまってあるおやつを守っていたのだった。

自分のテリトリーであって、しかもエルダちゃんは大きいのでおやつの場所に届きそうだったので、防衛行動に火がついたのだ。

この場合、私がおやつのしまい場所の前に立って、ガードしてあげれば安心しただろう。

エルダちゃんは、なぜガウられてるのかわからなくて、当惑していたに違いない。

これは犬同士のルールになるので、ヒトが教えてあげるというよりは、よく社会化された犬たちとの付き合いの中で、自分で学んでいくべきマナーである。

ルルとライちゃんも、自分たちで学習しつつあるので、私は衝突が起こらないように交通整理をする。

他の犬との付き合いの中で学ぶことが多いと、最近よく感じる。

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猫の輪さんよりSOS。

川崎市宮前区で、多頭飼育崩壊があったそうだ。

犬猫救済の輪さんが37匹の猫のレスキューに取り組んでおり、多くの方々のご協力、ご支援を必要としている。

詳しくはこちら

病気による場合もある

昨日、今日と、地域猫活動で猫の捕獲作業を行っていた。

活動が終わって家に帰ってみると、保護猫ミアちゃん(♀5ヶ月)が、うちの長老キキ(サビ猫♀14歳)にぴったり寄り添っていた。

キキは他の猫が好きでなかったところを、私がやっている保護活動に付き合わされて保護猫との同居を余儀なくされ、その中で少しずつ慣れていった。

目が見えない小麦ちゃん(茶トラ♂7歳)を保護した時は、障害があることがわかったせいか、比較的スムーズに受け入れてくれた。

今回のミアちゃんの受け入れっぷりが、どうもその時に近い気がするのである。

ミアちゃん、2日ほど前から目やにを出していて、ちょっと体力が低下しているようだった。

それに、いくらおとなしい子でも、14歳のキキと同じように寝ているというのはちょっとおかしい。

保護猫で警戒心が強い子は、最初の1週間くらいはじっとしていることはあるが、子猫でしかも先住犬猫に慣れているのに動かないのは変である。

これは肝臓が悪かったりして体がだるいのかもしれないと思い、不妊手術の抜糸のときに血液検査をしてもらうことにした。

すると案の定、肝臓が悪かったのである。

白血球の数値が非常に高かったので炎症が疑われ、GPTとALPも高かったので、肝炎ではないかという診断だった。

おそらく一時的なもので、治るだろうという予測のもと、投薬して経過をみることになった。

エイズ・白血病の確定検査もしてもらったが、これはマイナスだった。

がんばれミアちゃん!

このように、行動の異常の原因が、身体的な異常(病気)に起因する場合もある。

うちのルル(ヨーキー♀5歳)は、活動性が低く、天気が悪い時にはもっと動かなくなり、トイレの我慢ができなくなる。

これは後頭骨・頚椎形成不全(水頭症気味であること)が原因だった。

いつまでたってもトイレを覚えない、しつけが悪い、などということではなくて、病気による神経症状なのである。

行動の異常、問題行動と思われるものが、すべてしつけのせいというわけではないことに注意が必要である。

どこか体が痛かったり、調子が悪かったりしているのかもしれない。

まずは獣医師のもとで身体的疾患がないかどうかをチェックして、異常がないことを確認しておきたい。

初めが肝心

保護猫ミアちゃん(5ヶ月♀)があまりにも動かないので、はやく散歩に連れて行けるようにとハーネスを着けてみた。

特に痛がる様子もなく、何事もなかったかのようにしている。

フシギな猫さんだ。

ミアちゃん里親募集中ミアちゃん里親募集中ミアちゃん里親募集中

ヒモで遊んでいたかと思ったら、クッションからずり落ちて寝ている。

ミアちゃんは、これからもいろんなことに初挑戦していくのだが、その最初の一歩が肝心である。

はじめて体験したときの印象が悪いと、ずっとそれが嫌いになってしまう恐れがあるからだ。

私たち人間も、初めに食べたものがまずいと、のちのちまでずっとそれが嫌いになったりする。

逆に最初の印象がいいと、好きになったりするのである。

そういえば思い出したが、私は3〜4歳の頃に猫を触ろうとして引っかかれたことがあって、8〜9歳のころまで猫があまり好きではなかったような記憶がある。

その後すぐに猫も好きになったのだが、犬は最初がらずっと好きだった。

このように、初めのときの印象が後々まで尾を引くので、はじめて何かを体験させる時は、悪い印象を持たないように、十分に気をつける必要がある。

出張しつけレッスンに行くと、ハーネスを着けるのを嫌がる犬が非常に多いことに気づく。

これはおそらく、焦ってはやく着けようとして押さえつけたりすることと関係があるだろう。

歯磨きや爪切りなんかも同じである。

ヒトも含めて動物は、自分よりも大きな個体にがっちりと押さえつけられると、非常に大きな恐怖を感じる。

歯磨きや爪切りなどのときに、つい動かないようにと抱え込んで押さえつけてないだろうか?

それから動物病院などでも、初めて行ったときに、注射のためにいきなり押さえられたりしたら、すぐにそれで嫌いになってしまう。

保護犬ライちゃんは、毎日ボニちゃんを迎えに病院に行っているが、たまに注射するときもある。

診察台に乗せたら、すぐにおやつをあげておき、まったく押さえることなく素早く院長が注射してしまうので、最近は診察台に乗りたがるようになった。

おいしいものがもらえるところだと思っているらしい。

嫌なことが起こらなければ、あるいはそれを上回るいいことが起これば、大嫌いになったりはしない。

なので、はじめて何かを体験させる時は、悪い印象を与えないように、おいしいおやつを用意しておくと安全である。

ミアちゃんは歯磨きやキャリーバッグでの移動の練習をしなければならないが、これもおいしく経験してもらおう。

毎日がレッスン

早くもうちの猫たちと一緒に窓辺でくつろぐようになったミアちゃん。

ミアちゃん里親募集中

だが、ほとんど歩き回ったりせずに、ほとんどの時間を寝て過ごしている。

安全な環境に来てホッとしているだけならいいが。

昨日も寝るときにさらってベッドに連れて行ってみた。

すると、今度は朝までずっとふとんの中で寝ていた。

私のベッドはいったい定員何匹なんだろう。

3匹+1人でいっぱいだと思っていたが、いまや5匹+1人である。

さて、わたしは出張で犬猫のしつけレッスンをしている。

日を決めて、犬猫と暮らしている方のお宅に伺って、しつけのしかたや接し方をお教えしているのである。

毎回課題を出すので、それを次回までにやっていただくことになっている。

みなさんきちんとやってくださるが、動物のしつけや接し方は、ある決まった日、たとえばレッスンの日にだけやるものではない。

言ってみれば、毎日がレッスンなのだ。

私が習ったところでも、このことが強調されていた。

動物たちは、飼い主の日々の接し方からいろんなことを学び、困った行動を身につけたり、好ましい行動を学んだりしているのである。

だから、常に気をつけていなければならない。

たとえば、飼い主の足を引っかく→飼い主が注目すると、動物は飼い主の注目を得るために足を引っかくようになる。

食事時にテーブルの周りを飛び回る→飼い主が食べ物をくれると、動物は食事時に必ずテーブルの周りを飛び回るようになる。

こういう困った行動を動物が取ったときには、自分がその行動を強化していないかどうか、反省してみよう。

食べ物をあげることだけでなく、なでる、声をかける、見るなどの行為も、動物にとってはご褒美になってしまうので要注意だ。

外を通る人にワンワンと吠える→「静かにッ、○○ちゃん!」

これもご褒美である。

犬を見て、さらに声かけまでしているからである。

そうすると、ますます吠えるようになってしまう。

好ましくない行動は無視する。

これがけっこう難しいのだが、動物から顔を背けてじっとしているといい。

気をひこうとして回り込んできたり、しつこく鳴いたり引っかいたりしてきたら、壁に顔を向けてぴったりと貼り付く。

好ましくない行動を強化しないようにするとともに、とるべき行動を教えていくことが必要だ。

自分の行動が、好ましくない行動を強化していないか、チェックしてみよう。
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