2010年10月

引っ張り防止トレーニング(動画)

今日は吠え吠え・噛み付き・引っ張りミニシュナくんのトレーニング風景をどうぞ。

生後6ヶ月で保護団体からもらわれてきたミニシュナくん。

団体の一時預かり中にトリミングサロンで脚を骨折して、治療中という状態でやってきた。

来た当時は脚の治療中ということもあっておとなしかったそうだが、脚が治ってお散歩を始めると引っ張りが出て、通りかかるヒトや犬に吠えるようになり、やがて訪問者や道で会ったヒトに噛み付くようになったという。

吠える子だと聞いていたので、いきなり家に入らずに、外で会って一緒にお散歩をすることにした。

私を見つけると、そ~っとジーンズの匂いをかいだ後(いろんな犬猫のにおいがしているだろう)、すこししてからワンワンワンワンと吠えた。

その後ジャンプして飛びつき、袖を噛んで気を引こうとしたりしていたが、無視していたらあきらめた。

普段どおりの散歩をしてもらって観察していると、グイグイ引っ張ってゼーゼー言いながら歩いている(動画)。

途中で何度か、体をブルブルッと振るわせるストレスシグナルを出していた。

首に相当負担がかかっており、それが興奮と攻撃性の原因になっている。

ビデオを撮りつつ離れて歩いていたら、突然駆け寄ってきて私の太ももに噛み付いた。

といっても、アザになるほどではなかったが、つねられた程度には痛い。
*と思ったら、直径5センチぐらいのアザになっていた。

ミニシュナくん、よく他人にこういうことをするそうである。

引っ張り散歩は早々に切り上げて、近所の囲われた草地に行き、ハーネス・3Mリードをつけて呼戻し練習をする(動画)。

犬が飼い主に飛びついたとき、背中を向けて「やめて」のカーミングシグナルで対処しているところが映っている。

舌打ちと口笛合図への反応がよくなったので歩いてみると、興奮度はまだ高いものの、3メートルの範囲で引っ張らずに歩いている(動画)。

首への負担がなくなり自由の範囲が広がった分、落ち着きが出てきている。

すれ違うヒトや犬に吠えて突進するので、早めに舌打ちで呼戻して回避し、地面におやつをばら撒いて食べさせていると、吠えずに待っていられる。

このように、吠えないでいるという経験を積み重ねていくと、犬やヒトにも吠えないという習慣が定着していく。

最初だけおやつを使うが、そのうちにだんだん必要なくなってくる。

実際、1時程度の散歩トレーニングの帰り道では、全くおやつを使わずに呼戻しができるようになっていた。

今後は、苦手なすれ違いのときに使う程度でいい。

囲われた草地で、ちょっと一緒に走ったり遊んだりすると、いきなり生き生きした顔になったので、飼い主さんもとても喜んでいた。

この一連の流れを動画に編集したので、ミニシュナ君の変化を見ていただきたい。



散歩が終わってから、一緒にご自宅にうかがった。

室内に入っても、ミニシュナ君ほとんど吠えずに、じっとおとなしく寝そべっていた。

普段は来客に吠え続け、噛み付き、客が動くたびに興奮していたそうである。

興奮しない、吠えない状態が続いて落ち着いてくると、良い循環が生じて、ますます吠えない、噛まないようになってくる。

飼い主は、なるべく成功体験を積み重ねられるように取り計らい、犬に自身をつけてあげよう。


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噛み付きケーススタディ~ポメ・パピ

今日はヒトへの噛み付きのケーススタディをしよう。

一口にヒトへの噛み付きと言っても、それが起こる状況や、その強さ、興奮の度合い、習慣性など、様々である。

登場するわんこは、先住ポメ♂3~4歳と、一時預かりパピヨン♂1~2歳。

どちらも保護団体からきているため、詳しい生育歴は不明である。

噛みつきが激しいのはパピで、お母さんの手は腫れあがり、生々しい傷が無数にあって正視に耐えないほどだ。

この子は体を触ろうとすると、出血するほど激しく、それも何度も噛み付くので、ほとんど触れない。

先住ポメのほうは里子にした当時はグルーミング時などによく噛み付いていたが、今は怪我するほどには噛まなくなったそうだ。

ふたりとも来客も苦手であることが予想されたので、いきなり室内に入るのではなく、大雨の中少し一緒に外を歩いてみた。

ともに散歩はとても上手で、特に問題はない。

その後一緒に室内に入ってみると、全く吠えなかった。

普通に訪問してきたお客さんには、滞在中ずっと吠えているそうである。

これは興奮しやすいことを示している。

ふたりに挨拶しておやつをあげてみると、ご機嫌で手から食べてくれる。

だが、すぐにガウガウの喧嘩をしてしまい、そうなるとお互いに吠えが止まらなくなる。

するとどんどん興奮が高まり、そばにいるヒトを噛んでしまうこともあるという。

そんなときには、引き離して別の部屋でクールダウンしたいが、家の構造上少し難しいものがある。

ここは、垂直方向に長い3階建てで、各階ワンフロアーになっているので、別の部屋に移すには、急な階段を抱っこして上り下りしなければならない。

噛まなくはなったものの触られるのが苦手なポメと、触ろうとすると激しく噛み付くパピでは、抱っこも一苦労である。

中学生と高校生のお兄ちゃんたちが非常に協力的で、噛まれて怪我しながらも、愛情を持って接しているのが涙ぐましい。

お兄ちゃんたちに手伝ってもらってふたりを分けると、興奮がおさまってきた。

そこで別々にかんたんなゲームをやってもらう。

「おいで」を教えて、3人で交互に呼んで、犬が来たらご褒美をあげる。

少しずつ「おいで」の意味をわかってきたようで、楽しそうにやっていた。

こういうゲームをすることにより、飼い主との友好的な関係を築いていくとともに、頭を使って気分転換を図ることができるので、毎日7~8回ずつでいいので続けてほしい。

パピは体を触りさえしなければ大丈夫なのだが、飼い主が首輪やハーネス(触れないのでつけっぱない)に触れたとたんに、たとえ飛び切りおいしいおやつを食べていても、ものすごい勢いで飛び掛って手を噛む。

警告のシグナルとしての唸りなどは一切なしだ。

*こう聞くと、レージシンドローム(激怒症候群)を疑う人もいるが、この子達の場合は因果関係がはっきりしているのでその可能性は薄い。

触ることを受け入れてくれる部位はないのか聞いてみたが、ヒトから触られるとどこでもダメなのだそうだ。

だが、自分が甘えたいときには擦り寄ってくるので、そういうときには触っても噛まない。

こういうケースでは、ヒト側からの働きかけは難しいので、パピが寄ってきたときに、リラックスした状況で、少しずつ触る範囲を拡大していき、最終的には首輪を触れるところに持っていくというのがいいだろう(系統的脱感作)。

強制訓練系トレーナーのなかには、保護活動に携わっているのに、「噛み犬にはその主張を通さない強い態度で臨むべきだ」などというヒトがいる。

だが、これはとんでもないことである。

そんなやり方で噛みがひどくなった犬はいくらでもいる。

理論的に言っても、系統的脱感作とともに、噛まずに穏やかに自分の主張ができるように、好ましい行動を強化するというのが王道である。

そのための環境作りとして、同居犬との対立を避けるとともに、吠えるような状況を作らない、長引かせないことで、ストレスレベルを下げていくことが必要である。

先住ポメのほうは噛み付きがなおっているというので、私がおやつをあげながら、少しだけ手をポメの体に近づけた。

すると、すかさず警告なしで歯を当ててきたが、怪我もしなければ跡も残らなかったところを見ると、唸るレベルの警告を、口でやってしまっているのだろう。

そこで、お兄ちゃんに体を撫でてもらっているところを観察しいていると、わき腹や胸などの犬が好むような場所を触っても、舌をペロッとしたり横を向いたりしてカーミングシグナルを出している。

ヒトに触られるのが嫌いなのである。

こうした過剰反応も修正していく必要があるだろう。

後でうかがうと、パピが来てから吠えが悪化し、噛み付きが少し復活したそうなので、ポメのストレスマネジメントも必要である。

ふたりとも、噛み付き体験をこれ以上重ねないように、自分から寄ってきたとき以外には体に触らないということを徹底し、散歩に行くときに階段を下りるために抱き上げるときには、マズルガードを使うといい。

バスケットタイプだと、隙間からおやつを中に入れることができる。

ヒトから近づいて抱き上げるのではなく、「おいで」と呼んで犬がやってきたら、おやつをあげてマズルガードをつけ、興奮していない状態のときに抱き上げて、またおやつを投入する。

散歩のときははずしてあげる。

しばらくこのようにやって経過を観察することにした。

体に触られるのが嫌いなこと以外は、とても賢くていいわんこたちなのである。

飼い主さんの愛情に包まれて、過去のトラウマ体験を克服して、ハッピーわんこになってほしいものだ。


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うちのワン、落ち着きがない

「うちのワンはどうも落ち着きがない」、「いつもそわそわしている」。

こういう話をよく聞く。

小型犬は特にその傾向があり、大型犬は比較的落ち着いた犬が多い。

だが、小型犬でも落ち着いた子はいるし、大型犬でも落ち着かない犬はいる。

何が原因なのだろう?

もちろんケースバイケースであって、ひとことで特定することはできない。

だが、非常によく見られる原因がいくつかある。

一番多いのが、散歩と運動不足によるストレスだ。

日本で飼われている犬の非常に大きな部分がこの問題を抱えていると思う。

日常的に悪いストレスが蓄積してくると、ささいな刺激に過剰反応して動き回ったり、ひいては吠えたり噛んだりするようになる。

その場合の対策はシンプルだ。

質の高い散歩と自由運動を提供してあげればいい。

そのためには、犬のために一定の時間を割く必要がある。

次に多いのは退屈だろう。

頭を使う遊びが不足しているために、退屈してイライラしているというケースだ。

この場合、室内ゲームで遊んであげるのもいいが、そういう小技よりもアウトドアで頭と体を使った遊びをする事の方を好む犬もいるので、犬の好みに合わせてあげたい。

インドア派のルルは、室内で食べ物探しゲームやクリッカーゲームなどが好きだ。

それから、以外に見落としがちなのは、飼い主自身や家族のメンバーが落ち着きがないというケースである。

室内をバタバタと歩いたり、大声でしゃべったり、いつも立ったり座ったり。

電話が鳴ったりドアチャイムが鳴ったりしたら、大慌てで飛んでいく。

飼い主自身の性格もあるだろうし、幼い子どもがいたらどうしても騒がしくなってしまうだろう。

そういう場合の対策は、犬がひとり静かにくつろげる場所を用意してあげることである。

犬自身に好きな場所を選んでもらって、そこにクッションを敷いて、簡単な目隠しなどをして、快適な状態にする。

うちにも何箇所か、犬猫共有のプライベートスペースを作っている。

こっそり交代で誰かが入っているが、私もほとんど覗いたりしないでそっとしておいてあげる。

また、ヒトの性格を変えることは難しいが、自分自身で落ち着きのなさを自覚したら、特定の「行動」に限って、ピンポイントで修正することは可能である。

私自身、多動傾向があるので。動物と暮らし始めてからはとても気をつけている。

室内を移動するときはゆっくりゆっくりが基本だ。

漠然と思っていても行動は変わらないので、たとえば電話が鳴ったりドアチャイムが鳴ったら、「ゆっくりゆっくり」とつぶやきながら移動する

子どもにも、動物のそばではバタバタしない、遊ぶときは別の部屋で遊ぶなどを教えることはできる。

根気が必要だが、親が繰り返し正の強化で教えれば、そう難しいことではない。

また、自分自身忙しい生活でイライラしている場合には、毎日決まった時間に10分間だけ、リラックスタイムを作ってみよう。

瞑想とまでいかなくても、何もしないで心を鎮めてじっと座っていてもいい。

外を眺めながらお茶を飲むのでもいい。

毎日必ずリラックスタイムを取るというのがポイントである。

自分のリラックスタイムと共に、犬のリラックスタイムとして、マッサージをしてあげると効果的である。

私はスウェーデンマッサージとTタッチ、プレイズタッチを習ったが、要は何でもいいのである。

深く呼吸しながら、自分の心を落ち着けて、非常にゆっくりしたリズムで軽くマッサージする。

犬はとろんとした目をしてくつろぎ始めるが、自分自身も気持ちがよくなってくるので一石二鳥だ。

マッサージはぜひとも日常生活に取り入れてほしいルーティンのひとつである。

とかく忙しい現代人は、意識してのんびりすることが必要である。

現代犬も同じかもしれない。


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アウトドアで頭を使う遊び

今日は一気に冬のような寒さになってしまったが、天気が良ければ散歩が気持ちいい季節である。

犬と暮らす楽しみの筆頭は、やはり一緒に散歩や運動をすることだろう。

そうでない人は猫やハムスターを飼うべきである。

超小型犬でも、広々とした草原や木々の香りがする森、険しくない山などに行くと、急に目がキラキラと輝きだす。

イギリスに住むミニシュナのまっちゃんは、自然なのかでとても素敵なお散歩を楽しんでいる。

こんなコメントをいただいたので紹介しよう。

「リードなしでもこちらの顔や体の向き、時にはこっちだよー、という声かけでまっちゃんとお散歩します。毎日とても楽しいです。今日はうれしいことがあって、きつねの落とし物にローリングするのが大好きなまっちゃんですが、人間としてはちょっと困る(笑)ので様々な対策を練ってきました。遠くから呼んでも、そのときは戻ってこないので、最近はそっと近づき、目が合っておすわりしてくれたら、おやつをあげて、レッツゴーと誘導して、一緒にその場を離れていました。でも今日はついに、遠くから目が合ったのです。その上、ローリングを中断してこちらに駆けてきました!快挙です。あきらめないでよかったと思います。犬に脅威を与えずに、一緒に楽しく暮らす、一例になればと思って、コメントさせていただきました。」

犬という生き物はアウトドア派である。

いろいろと障害があるルル(ヨーキー♀5歳)はインドア派だが、それでも自転車の前のかごに乗るのは大好きだし、高尾山ではケーブルから頂上まで元気よく歩いた。

ましてや元気いっぱいの若い犬で、ラブやフラットなどのレトリーバー系や、ボーダーなどの牧羊犬などの作業犬は、十分に外で運動させることが必要である。

と言っても、ボールやディスクを投げては取って来させるといった単調な運動や、自転車で引き綱をつけて走る(道路交通法違反なので禁止)、引き綱をつけてのジョギングなどは、犬にとっては単調すぎる。

すぐに飽きてしまう犬が多いが、中には付き合いがいい犬もいるので、そうすると飼い主は犬も楽しんでいるのだと誤解してしまう。

ディスクやボールを繰り返し投げるような遊びは、興奮を呼び起こし、体内ではアドレナリンの放出を伴ったストレス応答が起こっている。

短時間で終わればすぐに元通りになるが、その状態が長時間続くとディストレス(悪いストレス)になってしまう。

すると、攻撃性が高まったり、落ち着きがなくなったり、イライラしたりなどのストレス行動が出てくる。

アジリティやディスクの大会の様子を動画でみていると、そわそわ落ち着きがなかったり、ずっと吠えっぱなしだったりする犬がよく写っている。

うれしい興奮もストレスになる」を忘れないようにしよう。

また、ディスクの空中キャッチやスラロームなどは、足腰に大きな負担をかけるということも知っておきたい。

最近、屋外で体と頭の運動をするためのトレーニングスクールができてきた。

ダミーの獲物を回収させるガンドッグトレーニングや、羊を追うシープドッグトレーニング、匂いを追跡するトラッキングなどを、広いトレーニングフィールドで行うというものである。

都会で窮屈な暮らしを強いている犬たちに、のびのびと運動させたいという飼い主にとっては、非常に魅力的だ。

こうしたトレーニング自体はとても有意義なものだと思う。

だが、スクールを利用するに当たっては、気をつけたいことがある。

まず、犬にやさしいトレーニングかどうかをよく見極めることである。

こうしたトレーニングは、犬のQOLを高める「遊び」であって、実際に生計の手伝いをさせるために鳥を取ったり羊を追ったりさせるわけではない。

楽しくできればいいのである。

にもかかわらず、「厳しい訓練に耐えなければいけない」などというトレーナーがいたりする。

あくまでもルールにのっとった「遊び」なのだから、「自発的に」するように楽しく教えなければ意味がない。

私は時々ボニちゃんと、ガンドッグのレトリーブトライアルもどきをして遊ぶが、これは投げたり隠したりしたダミー回収させるゲームである。

ライちゃん里親募集中

←せっかく持ってきたのに、途中でライちゃんに横取りされているところ。

ボニちゃんはこれが大好きなのだが、少し前にこのブログで紹介した黒ラブちゃんは、無理やりなやり方で教えられたために、スタートポジションにつかせると、どんよりと暗い顔になって動かなくなるそうだ。

ゲームのルールは、厳しい方法を使ったり「リーダーシップ」を発揮したりなどしなくても教えられるので、犬のためにと思って始めたことで犬を苦しめないようにしたい。

シープドッグトレーニングに興味があるという方の話を聞いた。

そこで動画を検索したら、リードを踏んで犬をコントロールしている風景が映っていて驚いた。

だが、本場ドイツでのトレーニングはこんな様子である。



犬にも羊にも余計な負担をかけていない。

犬が落ち着いて動いていることがわかるだろう。

こんなトレーニングだったらいいだろう。

こういうアウトドアの遊びは、言葉やホイッスル、ハンドシグナルなどの合図で犬に指示ができることが前提である。

言い換えれば、オフリードで犬に確実に自分の意向を伝えられてはじめてできるのである。

それもできないうちにスクールに行っても、お金と時間の無駄だろう。

というのは、そのレベルに行くまでには、それなりに時間がかかるからである。

まずは自分で、リードに頼らない呼び戻しを教えるところからはじめよう。

その際に、言葉、ハンドシグナル、ホイッスルの3種類で教えておくと便利だ。

日ごろのストレスレベルが高くてガウガウしたりリードを引っ張ったりしている状態ではトレーニングはできないので、ストレスマネジメントが前提である。

そして、自由運動をしっかりした後で、オフリードまたは長いリードでトレーニングをはじめる。

いずれにしても、囲いのある安全な場所で、他の人がいない静かな広い場所を選ぼう。

ホイッスルをつかった「おいで」では、自分で呼び戻しの合図の吹き方を決める。

私は「ピッピッ」を使っている。

最初は犬のすぐそばに立って「ピッピッ」→おやつを繰り返し、だんだんと動いていく。

犬は飼い主について歩くようになるので、そしたらが、来たらご褒美(褒めまたはおやつ)。

ひとつのやり方ができるようになったら、指示と行動との間に新しい合図をはさむ。

「ピッピッ」→「おいで」→ご褒美のように、また、「ピッピッ」→手を上に上げる→ご褒美のようにである。

つぎに「止まれ」を教える。

並んで歩いているときに、「ピーーッ」などと吹いて自分が立ち止まり、犬も止まったらご褒美。

少し一緒に走って、立ち止まるときに「ピーーッ」と吹いて、犬も止まったら「いい子」。

同じ事を、ハンドシグナルや言葉でも教える。

手のひらを犬の前に出すのが「止まれ」あるいは「待って」の合図だ。

シープドッグは、とにかく「止まれ」ができないと話にならないので、それを強化する。

止まれができたら、追いかけや突進などの行動にも対処しやすくなるのでとても便利だ。

このように、3種類の方法で合図を教える。

1セッションは5〜6回くらいにして、時間を置きながら行う。

つまり、1回やって3〜4分ほどしばらく自由に地面の匂いをかいだり歩いたりして、また1回という風に、のんびりやる。

何度も何度も繰り返すと、犬は嫌になり、覚えも悪くなるので気をつけよう。

これ自体がアウトドアでの頭を使った遊びなので、犬もヒトも楽しみながら行う。

できなくたって食いぶちに困るわけではないのだから。

この基本ができるようになったら、右へまわれとか左へまわれなど、シープドッグの動画にあるようなことを教えてステップアップしてもいい。

このように、自分で犬に教えるという作業をとおして、よりいっそう犬との絆が深まって、意思疎通がうまく行くようになる。

犬も頭と体を使うので、とてもいいストレス解消になる。

スクールに行くのもいいが、まずはアウトドアで犬と楽しく遊びながら、基本的な動作を教えてみよう。

ひとりでは不安なので、最初だけは少し教えてほしいという方は、PONOPONOへお申し込みください。

ヒトのいない川原で一緒に楽しく練習しましょう。


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今日のチビ猫たち(里親募集中)。

P1070801

ずっとミアちゃんと一緒に寝てもらって、グルーミングもしてもらって落ち着いていた。

ミアちゃんにはすでに里親さんが決まったのだが、もう少しお世話係として手伝ってもらおう。

ボーダーの自転車突進対策(動画)

動くものを追いかけて困る犬の筆頭といえば、猟犬よりも飼育数が断然多いボーダーコリーだろう。

もともと羊の群れの周辺をまわりこんで、羊飼いの方へ誘導する犬である。

吠えたり噛んだりしないで、にらみつけて制止して誘導する犬だったのだが、日本では吠えたりやたらハイテンションだったりするボーダーばかりが目に付く。

気質を無視した乱繁殖もあるだろうが、たっぷりした運動と作業が必要な犬種だけに、都会での閉じ込め飼いでオーバーストレス状態になっているせいもあるだろう。

大自然の中で駆け回ったり、小動物を追いかけたり、飼い主と一緒に作業したりするのが大好きな犬である。

そういう欲求を満足させるのは、都会暮らしの忙しい現代人には難しいだろう。

こんなわんこにおすすめの遊びはまた後日紹介することにして、今日は自転車に突進してしまうボーダーのトレーニングを紹介しよう。

この子は、遠くから自転車が近づいてくると、スピードにもよるが、50mを切ったくらいでフセの姿勢をとる。

そうなると、もう飼い主の声は耳に入らない。

スフィンクスのように固まってしまうので、誘導することもできない。

飼い主が早く自転車を発見するしかないのだが、まだ自転車がかなり遠くにいても石像になるので、いつも回避に成功するとは限らない。

そして自転車がそばを通りかかると、体当たりをかますのである。

もちろん飼い主はリードをしっかり持っているので自転車に当たりはしないのだが、驚いた人が転ばないとも限らない。

こういう場合、「待って」などの言葉の合図への反応を良くするというのが一般的な解決法である。

この子はこれまでにいろんなトレーニングを受けているが、自転車という刺激の前には撃沈してしまう。

ではどうするか。

PONOPONOではまず、日常生活でのストレスレベルを下げるところからはじめる。

質の高い散歩と自由運動、頭を使う遊び、規則正しい生活、適正な食餌、室内環境の整備、犬と飼い主とのコミュニケーション方法の改善などを実行していただく。

その上でトレーニングに入るのだが、最初に十分に散歩して、興奮を鎮めてからおこなう。

この子の場合は川原を1時間散歩してから練習に入った。

すでに刺激が少ない状態での呼び戻しはできているので、それを強化していく。

散歩しながら時々思いついたように呼んでみる。

今回はホイッスル(犬笛)を使ってみると、さすがにとても反応が良かった。

呼び戻しは、立て続けに10回も20回もやらないところがポイントで、そんなことをすると犬はうんざりして、トレーニング嫌いになってしまう。

散歩の途中で自然に呼び、犬が来たら「いい子」などの褒め言葉でマークする。

呼び戻しが不十分な犬の場合は、犬のすぐそばに立ち、呼びの合図→おやつからはじめて、少しずつ距離を広げていく。

上手になってきたので、今度は自転車への関連付けを変えるために、自転車で近づいてみた。

この子は、「自転車→突進」という関連づけをしてしまっているので、「自転車→突進」でない経験を積み重ねる必要がある。

私が遠くから自転車に乗ってゆっくり近づくと、まずオスワリした。

そこで自転車を降りてゆっくり近づこうとすると、フセの姿勢でポイントしようとした。

すかさずハンドルを切って横にそれると、オスワリに戻る。

これを繰り返してジグザグに近づいてみると、ボーダーちゃんのほうからも普通にゆっくり私のところに寄ってくることができた。

人が押している自転車は大丈夫だということをわかってもらったところで、今度は乗ってゆっくりこいでみる。

最初は近くをチョロチョロしていたが、そのうちあまり気にしなくなってきた。

そこで飼い主さんに呼び戻してもらうと、ちゃんと戻っていく。

残念ながらこのシーンは撮れなかったが、飼い主さんが自転車に乗って、ボーダーちゃんがそばを走ったり、オシッコしたりなどしているところを撮影した。

これだけ見ても何のことだかわからないが、自転車とみれば突進する犬としたら、これでも十分大きな進歩である。



この後もう少しスピードを上げて私が走ってみたが、呼び戻しもできてなかなか良い調子だ。

今日はこれで終わりにしたが、自宅でご家族の方と次のようにステップアップしていってもらう。

人のいない安全な場所で、ゆっくりゆっくり自転車をこいでもらって、ホイッスルや「おいで」で呼び戻す。

これを1セッション5〜6回やる。

できるようになったら、自転車のスピードを少しずつ上げていく。

つぎに、ヒトの来ない見通しのいい広い道で、家の人にゆっくり自転車をこいでもらって呼び戻し、できるようになったらスピードアップ。

つぎに、ヒトの来ない細めの道で、ゆっくり自転車をこいでもらって呼び戻し、できるようになったらスピードアップ。

これは追いかけ行動の修正の一例に過ぎないので、自分で工夫して挑戦してみてほしい。


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小型人気犬の落とし穴

ペット保険のアニコムの人気犬種ランキングによると、今年度の1位はトイプーで、2位は僅差でチワワ、3位はミニチュアダックスだそうだ。

この御三家はすでに定着した感がある。

パーセンテージを見ると、1位から3位だけで、ほぼ50パーセントに達しているのに驚く。

もっとも、「どうぶつ健保」に加入した0歳の犬を対象した調査なので、実際に飼われている犬の割合ではないのだが、それにしてもチワワ、トイプー、ダックス人気はすごいものがある。

アニコムはこう解説する。

「『トイ・プードル』は、2002〜03年頃からテディベアカットが流行し、ぬいぐるみのようなかわいい容姿から注目を集める犬種となりました。『毛が抜けにくい』『無駄吠えが少ない』ことなどからも飼いやすいと次第に人気が高まり、今回初の1位獲得となりました」。

これを読むと、「ぬいぐるみのようなかわいい容姿」という「見た目」で犬を選ぶ日本人の姿が浮かび上がってくる。

ヒトも見た目じゃないが、犬も見た目じゃない。

それぞれの犬種特性というものがある。

トイプードルは学習能力が高く活発なので、しっかり関われば楽しい犬ではあるが、退屈な環境では問題行動が出やすい。

最近ではよく吠えるトイプーが多い。

チワワは小さいので飼いやすいと誤解されているようだが、活発で気性が激しく、吠えや噛みつきなどが出ることも多い。

ミニチュアダックスは、猟犬だけに独立心が強く、運動量も見た目からは想像できないほど多いので、それが満たされないと吠え吠えになる。

小さくて見た目がかわいければいいと思って犬を選ぶなど、とんでもないことだ。

結果、飼いきれなくなって保健所をにぎわすことになるのである。

動物愛護センターのHPを見ると、こうした人気犬種が毎日のように掲載されている。

迷子の犬もいるだろうが、明らかに捨てられたと思しき犬も多い。

ペットショップで陳列されているのを見て、「目が合った」などの理由により、衝動的に買ってしまうと、「やっぱり飼えない」ということになりやすい。

ヨーロッパのように、犬猫の展示販売を禁止する法律ができない限り、殺処分数の減少には限度があるのだ。

一刻も早く、こうした法律ができてほしいと思う。

これら人気犬種は小さいので、散歩に行かなくてもいいと思っているヒト、またそのように説明するショップがあったりするから驚きだ。

犬を全く散歩に連れて行かずに、ケージに閉じ込めっぱなしという話が時々耳に入ってくる。

これではストレス行動が出ない方がおかしい。

また、飼い主と一緒にカフェやショッピングモールなどには行っても、他の犬ともヒトともかかわらない生活では、ヒトや犬に慣れることができない。

結果、怖がってガウガウになる。

そういう犬が増えているね〜と、動物病院のスタッフとよく話している。

診察台でギャンギャンさわいで目薬すら点せなかったり、入院室でノンストップで吠え続けたり。

ヒトと生活していく上での刺激に慣らし、犬らしい行動をさせてあげるという犬育ての基本が、すっかり忘れ去られているように思う。

また、人気犬種は乱繁殖により先天性疾患を持っている犬が多く、うっかり闘病生活にでもなると大変な苦労を背負い込むことになる。

なので、見た目「かわいい」犬がほしければ、ふわふわのロボット犬にしよう。

生きているのがよければ、室内飼育できる猫にしよう。

散歩に行く暇がないほど忙しいヒトには、猫の方がずっと飼いやすいし、感情が細やかでヒトの気持ちをよく理解してくれる。

猫はあちこちでたくさん生まれているし、運がいい子は個人や団体に保護されて、新しい家族にもらわれるのを待っている。

わが団体にも子猫が4匹いる。

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淘汰圧のなかを生き抜いてきた野良猫たちは、丈夫で病気知らずの子が多い。

うちのキキ(サビ猫♀)も15歳で元気いっぱいだ。

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ストレス解消は万能薬

先日ブログで取り上げたフラットと黒ラブちゃん、はじめてのレッスンから2週間で、はっきりとストレスマネジメントの効果が出てきた。

最初はふたりともとてもハイテンションで、私が訪問すると玄関先で飛びつく飛びつく。

後ろを向いて壁に貼りついても、なかなか飛びつきを止めてくれなかった。

だが、今日は飛びつきをやめるまでの時間が3分の2くらいにまでに減っていた。

お母さんが帰宅したときにはもう飛びつかないそうである。

飛びつきを止めさせるための「コマンド」を使うのではなくて、後ろを向くという犬のカーミングシグナルを使うだけだ。

これは「もうたくさん、落ち着いて」という合図である。

すぐに止めてくれる犬が多いが、興奮しすぎているとそれもなかなか通じない。

だが、オーバーストレス状態が改善してくると、何かが起こったときの興奮しやすさがおさまってくるので、落ち着きを取り戻しやすくなる。

そうすると、カーミングシグナルも通じやすくなるのである。

そのあと広い川原に散歩に行ったが、散歩のときの興奮もずっと少なくなっていた。

少しだけ走ったら、あとはのんびり地面の匂いをかいだり、草をかじったり、ゆったりと歩きながら少し冒険をしたり。

非常にテンションが高かったフラットちゃんも落ち着いて歩くようになってきた。

いかにも不安でいっぱいという感じがなくなってきたように見えたが、飼い主さんいわく、室内にいるときに行くところ行くところついて回ることがなくなったという。

これは大きな変化である。

不安な犬は、常に飼い主の後をストーカーのようについてまわる。

「こういう行動はやめさせるべきでしょうか」という質問をよく受けるが、その行動自体を止めさせてもあまり意味はない。

原因となっている不安を取り除かないことには、また別の問題行動が発現するだけである。

質の高い散歩によってストレスレベルが下がり、自発的な行動によって自信がついてくれば、不安は少しずつおさまっていく。

そうすると、そのほかの問題行動もなおっていくのだ。

このわんこ達は吠えやリードの引っ張りはないのだが、そういうのもなおってくる。

黒ラブちゃんは、水嫌いを克服して水溜りの上を大はしゃぎで跳ね回り、フラットちゃんは草むらを探検する。

飼い主から離れ過ぎることもなく、呼べばニコニコ笑顔ですぐに飛んできて、ヒトも犬もリラックスして散歩を楽しめる。

その姿を見ながら飼い主さんがぼそっとつぶやいた。

「いままでの訓練は何だったのだろう」と。

亡くなった先住犬を13年間強制訓練でしつけてきたのだが、常に犬を監視して命令を出しているわりに引っ張りが直らず、散歩が大変だそうだ。

そのほかにも、吠えや噛みつきなどで悩んでいる方はたくさんいるだろう。

どうしても、その行動をなおそうとして、「ダメ」とか「NO」などと禁止したり、あれこれ命令したくなってしまうのだが、その発想を根本的に変えてみよう。

問題行動をせざるを得ないような環境をなくし、リラックスできる楽しい生活にしてあげるのである。

ヒトも長期休暇をとって海辺でのんびりしているときには、眉間によっていたしわも消え、穏やかな「いいひと」になっているのではないだろうか。

わんこにもそうしてあげよう。

どんな犬も、多かれ少なかれ扱いやすく、穏やかになるだろう。

こうやって環境全般を改善して、ストレスレベルを下げてから個別的な行動修正をはじめるのがわたしのやり方である。

興奮度が下がれば、コミュニケーションも取りやすくなり、修正すべき行動も少なくなるのでとても楽だ。

まずは犬も飼い主も、散歩のときにリゾート気分にひたるところからはじめてみよう。


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里親募集中のキジ白子猫のレナちゃん♀とフィルくん♂。

里子に行くことが決まったミアちゃん♀に舐めてもらっている。

子猫にはこういう接触がないと、心身ともに健全に育たないので、ミア姉さんに強力をお願いしている。

元気いっぱいな子猫に、ミアちゃんはちょっとタジタジだ。

良い行動にマークをつけよう

今日は横浜で本業のヨーロッパ思想史の学会があった。

わたしは朝イチで報告することになっていたので、それが終わったあと、共同研究者たちと横浜駅に出て、ベイクォーターというショッピングモールそばを通りかかった。

すると、キャンキャン甲高い犬の鳴き声が、あちこちから聞こえてくるのである。

ここはペットと一緒にショッピングができることが売りのモールだそうだ。

見ると、流行の犬服でおしゃれしたトイプーやチワワなどの小型犬がいたるところにいて、しかもよく吠えているのである。

日曜日の昼間なので、かなりの大混雑である。

そんな人ごみに連れてこられたストレス犬たちは、吠えて当たり前なのだ。

ぬいぐるみのようにおとなしいルル(ヨーキー♀5歳)だって、こういう場所にはつれて来たくない。

犬目線から見ると、たくさんのヒトが行き交う場所では、いろんなものが自分の方にまっすぐに接近してくる。

それらに対して絶えずカーミングシグナルを出すことになるので、疲れきってしまうのだ。

トゥリッドルーガスのDVDにも、そういうシーンが収録されていた。

飼い主たちはそんなことにはお構いなく、キャンキャン吠える犬を尻目に、おしゃべりに夢中になっている。

着飾った小型犬たちは、動くアクセサリーに見えて仕方がなかった。

日本ではペットが入れない場所が非常に多いが、逆にペット可の場所は無礼講がまかり通り、吠えたり走り回ったりウンチオシッコしても全然気にしないという両極端である。

いつもマナーよくしている落ち着いた犬たちが、飼い主と共にいろんな場所に行けるというような状況は、なかなか実現しそうもない。

なお、日曜日に犬を連れてどこかに行くなら、ショッピングモールではなく野山にしてあげよう。

その帰りの電車でのこと。

ふたりの幼い子どもを連れた母親が乗り込んできた。

「もう〜、さっさとしなさい」などと定番のせりふを言っている。

娘の方が車内でお菓子の入った袋を出して食べようとしていた。

すると、

「何でいま出すのっ!やめなさいっ」と叱った。

娘は「ちょっと食べようと思ったのに」などといいながら、すぐにお菓子をしまった。

母親は無言。

このやり取りを見ていて、犬しつけシーンでの問題と全く同じだと思った。

母親は、娘がお菓子を出すのを見て、その理由も聞かずに頭ごなしに叱っている。

だが、娘には娘の事情がある。

それを母親は全く考慮しようとしない。

子どもの場合だったら、「いまお菓子が食べたいの?」と聞くのが先である。

犬だったらその行動の理由、意図、目的などを考えてみよう。

その行動が不適切だった場合、「いまは電車の中だからダメだけど(例)、後で食べようね」などと穏やかに説得すればいい。

そして娘がそのアドバイスに従ったとき、母親は何も言わない。

これが大きなミスである。

よくできたときは「そう、えらいね」などと褒めてあげると、よい行いが増えてくる。

犬の場合は、「そう」などの言葉で、好ましい行動をマークする

クリッカートレーニングをやったことがある方はご存知だろうが、正しい行動に常に直ちにご褒美が出せるわけではないので、それが正しいということをマークする言葉を使うのである。

そうすると犬は、この言葉が出たら正解だと理解する。

逆にそれがないと、よかったのか悪かったのかがわからない。

ヒトの子どもの場合は、母親が何も言わないのは間違ってないからだなどと理解するだろうが、それでも「そう、えらいね」という褒め言葉があると、その行動はよりいっそうパワフルに強化される。

親子ともども気分もいいだろう。

ところが、そういう習慣は日本にはほとんどないので、「いい子」を出さない飼い主が大部分である。

なので、飼い主は常に意識しておく必要がある。

「ダメ」を言わない代わりに、「いい子」や「えらいね」などでマークをつけよう。

犬を呼んでそばに来たら「いい子」、テーブルにかけていた前足を下ろしたら「いい子」、飛びつきをやめたら「いい子」、吠え止んだら「いい子」などである。

これは猫にも同様に使えるので、やてみてほしい。

うちでは犬も猫も同じようにしつけており、室内でのことは犬猫ともに同じようにできる。

好ましくない行動には「やめてね」を教えているが、猫たちはピタッとやめてくれる。

行動直後のマークを意識して、犬に接してみていただきたい。


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犬を保護する前に

しばらく前から、犬の保護活動をしている方からのご相談が寄せられるようになってきた。

それだけ、捨てられたり迷子になったり飼育放棄されたりしたりした犬のレスキューにかかわる方が多くなってきた証拠であり、とても心強く思っている。

個人や団体でおこなうレスキュー活動は、とても大変である。

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近所の野良が生んだ子猫のフィルくん右とエレナちゃん左(2ヶ月)。
熊本市動物愛護センターから来た、目が見えない小麦ちゃん(♂8歳)に舐めてもらっている。
里親募集中です。

私は保健所・動物愛護センターで殺処分を待っている犬猫を引き出し、リハビリして里親探しをし、譲渡するという活動をおこなってきたのだが、心にも体にも財布にもヘビーだ。

犬猫が収容されている保健所やセンターは、多くの場合、決して環境がいいとはいえない。

施設内でウィルス感染症が蔓延することもあるし、冬は寒さで命を落とす動物もいる。

そんな中からつらい「命の選別」をして、殺処分施設を後にしても、すでにひどい病に侵されていて助からなかった犬猫もいる。

高齢だったり扱いが難しかったりして、新しい飼い主さんを探すには適していない子もいる。

こうして「うちの子」が増えていくのだ。

いま自分が助けなかったら、確実に死ぬだろう犬猫を目の当たりにすると、なかなか素通りはできないものである。

「今日は手ぶらで帰ろう」と固い決意でセンターに行って、本当に手ぶらで帰ってきたことは、結局一度もないという始末である。

そんな自分が言うのもおこがましいのだが、あえて言いたいことがある。

「かわいそうだから」、「見捨てておけなかったから」保護してしまう気持ちは痛いほどよくわかるが、実際に行動に移す前に、ちょっと立ち止まって自問してみてほしい。

・自分には、どんな病気を持っているかもわからない犬を病院に連れて行ったり、散歩をさせたり、心のケアをしたり、しつけをしたりする時間的ゆとりと、心の余裕、それに金銭的ゆとりがあるだろうか?

・そういう犬のケアについて学ぶ意欲と時間はあるだろうか?

・運動量が多いかもしれない、ひどい問題行動をもっているかもしれないその犬が、自分の手に負えるだろうか?

・先住犬猫や小さい子どもがいるところに連れてきて、家庭内に不和が起こることがないだろうか?

こうしたことをよく考えてみて、自分には無理そうだと思ったら、他の人や団体に応援を頼もう。

自分が見つけたのだから、自分が何とかしなければという責任感が、不適正な環境に犬を置くことによって、逆に犬を苦しめるというようなことがままある。

非常に忙しくてほとんど留守にしている人が保護すると、犬は不安を抱えたままで一人ぼっちで留守番することになり、分離不安症を発症しやすくなる。

非常に運動量の多い猟犬や牧羊犬タイプの犬を、都会に暮らすインドア派の人が保護すると、十分なあ運動をさせてあげられずに、犬がフラストレーションをためることになる。

噛みつきなどの問題行動を抱えた犬を、罰を使ったトレーニングしか知らない人が保護すると、犬の心を壊してしまう。

これらどのような場合でも、傷ついた心にさらに塩をすりこむようなことになるので、問題行動が悪化し、尻尾を追いかけたり、自分の脚を舐めたりなどの常同行動が見られるようになったりする。

しかし、こうした行動が強いストレスにさらされたときに出る常同行動であるということを知らない人もいるので、その場合には何の対処もされずに事態が悪化することになるのである。

私の出張レッスンにおいて、こういうケースにずいぶん遭遇した。

だが、何と言っても一番多いのは、その犬を扱えない人が世話をするという類である。

以前に埼玉の動物指導センターで、引き出したばかりのハイパーアクティブなラブラドールにブルンブルン振り回されている初老の女性を見たが、こういうケースが多いのだ。

ストレスレベルを下げて、引っ張らないように練習をしてくれればいいのだが、たいていは簡単にチョークチェーンをつけて、それでも手に負えなかったら強制訓練に出す。

攻撃行動や吠えなども同様である。

以前に、保護団体から犬を引き取ったときに、ハーフチョークをつけるようにといわれたので使っていたが、引張りが直らないだけでなくひどい吠えがあるということで見に行ったお宅があった。

ハーフチョークをやめて、ハーネスと3Mリードに替えだけで引っ張りが直った。

犬は楽しそうにのんびりと歩くようになったのである。

そうやって落ち着いてくると、吠えもおさまっていった。

保護活動領域では、トラウマ体験とストレスという観点からのアプローチが弱いので、強制的な方法がいまだに残っているのではないかと思う。

そうしたことも含めて、レスキューにかかわる前によく考え、しっかり知識を身につけてから行動するといいと思うのである。

このたび、動物保護団体でレスキューをやっている人、保護犬の一時預かりをやろうと思っている人、里親になろうとしている人、すでになった人を対象に、保護犬のための出張講座をはじめたのでよろしかったらどうぞ。

ステップ1 全3回(実技1回)、1回1時間半 3回通しで15000円
内容:保護犬を迎える環境、犬具、食餌、同居動物との会わせ方、しつけの仕方、カーミングシグナル、ハンドリング練習

ステップ2 全3回(実技1回)、1回1時間半 3回通しで15000円
カーミングシグナル、問題行動のなおし方(吠え、リードの引き、飛びつきなど)、ハンドリング練習

団体からの依頼も歓迎します。
その場合は団体料金が適用されます。
交通費は実費をいただきます。

お申し込みは、こちらへどうぞ。


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*うちで保護して里子に行ったライちゃんの里親さんが、38頭の多頭飼育崩壊レスキューにかかわっています。
物資も人でも大変不足しておりますので、ご協力お願いします。
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引っ張りがなおって1週間…あの犬は今

いつものように、ボニちゃんと川原で楽しく散歩していた。

お互いに無言で、自分の世界を楽しみつつも、相手のことを気にしつつ。

私はなんの準備もしていないあさっての本業の学会報告のことを考えながら歩いていたら、突然足元の地面がなくなった。

気づいたときには、川のすぐそばの土手の石ころ斜面に転がっていた。

バタッという音に、びっくりして飛んできたボニちゃん。

私が体勢を立て直して、「だいじょうぶだよ〜」というと、体をスリスリしてなぐさめてくれた。

もしそのまま倒れていたら、ボニちゃんの病院まで助けを呼びに走っていってくれそうな雰囲気だった。

そんな妄想をしていたら、また転んでしまった…。

どんだけ転ぶんだか。

さて、以前に「犬にやさしく引っ張り改善」で紹介したはるちゃん。

飼い主さんとの5〜10分程度のセッションを3回やったら、重い荷物を引く牽引作業犬状態での散歩から下の動画のようになった。



あれから1週間、すっかり元に戻ってしまっていないか心配していたら、飼い主さんからこんなメールが届いた。

「あのはるが、あっと言う間にリードを引かなくなって、川上さんは魔法の粉でもかけたの?と思うくらいでした。
散歩をお手伝いしていただいていたSさんには、早速ブログを見ていただけた様で、動画を見てその変貌ぶりにかなり驚かれたようです。
<中略>
お散歩の引っ張りも、アップされてる動画の1回目と2回目の間くらいに戻ってしまっていましたが、さっき連れ出したところ、また少し3回目に近いくらいまでできる様になっていました。
今までの散歩では臭いは殆どかがず、どこぞのアスリート並にひたすらリードを引いていたせいか、今は臭いを嗅ぐ事が楽しい様に思えます」。

飼い主さんもがんばっておられるようで安心した。

トレーナーがいる間はよくできるが、いなくなったらできなくなったという話をよく聞く。

とくに、罰を使った厳しい強制訓練では起こりがちである。

飼い主は、トレーナーのように思い切りよく、またタイミングよく罰を与えられないし、力で押さえつけようにも経験が不足しているからである。

だが、褒め(正の強化)を使ったトレーニングでは、褒めのタイミングが多少悪くても、犬との関係を損なうことはないし、大雑把にでも好ましい行動を強化することはできる。

なので、多少後退はしても、3メートルリードの基本的な使い方にそっていれば、最初の牽引作業犬状態にまでは戻らない。

リードが張ったら止まる→舌打ち→戻ってきたら進むを繰り返していると、リードがゆるんだら進めることを理解してくるので、うっかり突進しても、すぐに戻ってくるようになる。

そこまでできるようになったら、リードが張り切ってしまう前に舌打ち合図を出し、張らない状態で歩くことを強化する。

犬が並んで歩いているときに、「いいこ〜」などの褒め言葉をかけて、勇気付けてあげるといい。

ここで絶えず犬に話しかけていると、BGMになってしまって、言葉の意味がわからなくなるので、よくできているときだけにする。

なお、ひどい引っ張りがない犬の場合は、最初からリードが張る前に舌打ちでいい。

問題行動を修正するためのトレーニングと語学の学習は、毎日短時間ずつ続けることが一番の近道である。

月並みな表現だが、「継続は力なり」だ。

また、勢い込んで長々と練習しても、犬も自分の疲れる割に思ったほど効果は上がらない。

気長にスモールステップで進んでいこう!


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