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殺処分を減らすためのガイダンス

2014年09月10日
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ケイ酸塩結石というめずらしい結石になって、手術したはっちゃん(秋田MIXオス2歳)。


手術は6月29日にしたので、2ヶ月以上が経過した。


この間ずっとたんぱく質とミネラルを大幅に制限した療法食を食べていたのだが、少しずつ太ってきた。


たんぱく質は20パーセント程度は必要なのだが、療法食では8パーセントにまで下げている。


たんぱく質が少なくて、しかもカロリーが高いので、手作り食を加えて量を減らしていても太ってしまうのだろう。


もともとマルちゃん(ドゴMIX♂6歳)ほど筋肉質ではなかったのだが、さらにポテポテ感が増している。


今のところ経過はいいので、もう少したんぱく質を増やしてカロリーを抑えてみよう。


ところで、調べ物をしていたら、狂犬病臨床研究会のHPで、「人道的な犬の個体数管理に関するガイダンスの日本語版」を見つけた。


このガイダンスは、2007年11月に、International Companion Animal Management Coalition(国際コンパニオン・アニマル管理連合)が作成したものだ。


この団体は、ヒューメイン・ソサイエティ・インタナショナルや英国動物虐待防止協会国際部門などの愛護団体や、動物福祉大学連盟や、世界小動物獣医師会などから構成されている。


内容は、狂犬病流行地において、犬の福祉を損なうことなく、人道的かつ合理的に狂犬病をコントロールするにはどうしたらいいかというものである。


日本には何十年も狂犬病の発生がないから関係ないと思われるかもしれないが、今回のデング熱騒動のように、予防措置を講じていないと、ひとたびウイルスが入り込んだらあっという間に広まる。


それだけでなく、犬はみんな殺してしまえというような過剰反応が生じかねない。


そうならないように、犬の個体数管理に関わっている行政機関や、NGOに利用してもらおうとして作られたガイダンスなのである。


先進国、発展途上国問わず、犬の個体数をどう人道的に管理するか、という内容になっている点が非常に有益であり、各国の状況に応じて具体化する際の、まさにガイドラインたりうるものだと思う。


その意味で、日本も大いに関係するのである。


とくに、どうしたら犬の「殺処分」を減らせるかということに興味がある人には、ぜひとも読んでいただきたい。


付録も入れると22ページにも及ぶため、興味深い指摘のみを部分的に紹介したい。


このガイダンスはまず、犬の個体数管理は、動物保護団体などが行うのではなく、行政が行うべきであるということの確認から出発する(03ページ)。


その上で、個体数管理を行うに当たり、以下のような問題が生じるとする。


・「非人道的な殺処分方法」。
・「残虐な捕獲方法」。
・「不十分な設備及び管理の保管施設」(04ページ)。


まさに日本で現在問題になっていることだ。


多くの発展途上国で問題になっている放浪犬はほとんどいないが、遺棄された犬は直ちに行政によって捕獲されて、上記のような「重大な福祉の問題」が生じているのである。


同ガイダンスは、動物福祉の向上と、遺棄される動物を減らすためには、責任ある態度を奨励することが重要であるという。


そのためには、繁殖制限手術を奨励するとともに、犬を尊重した配慮ある扱いによって、地域の人々にも犬を尊重しようというメッセージを発することも重要だという。


全くその通りだと思う。


行政が犬に対して非人道的扱いをするということは、市民に対して犬を非人道的に扱ってもいいというメッセージを送ることになる。


そこで悪循環から抜け出せなくなっているところがあると思う。


「たかが犬ごとき」という発想を変えていくことが大切だと改めて思う。


さらに同ガイダンスは、遺棄される「余剰」な犬を減らすには、生まれてくる犬の数と種類が、求められる犬の数と種類と合致するように、需要と供給のバランスをとることが必要だと指摘する。


そのためには、不妊・去勢手術によって、繁殖自体を減らすこととともに、「商業的な供給を減らす」ことが重要だという。


わたしがみなさんに紹介したかったのは、次の箇所である。


以下に引用しておこう。


「商業用の繁殖施設は、ペットに適さない、社会化されていなく不健康な子犬を生産する。ペットショップやマーケットなどの直販店も、動物を劣悪な状態で飼養し、世話や責任に関する適切な指導なしに動物を売ってしまう場合がある」。(09ページ)。


まさに、日本の「余剰」犬の問題がここに指摘されているのである。


社会化されておらず、不健康な犬は、商業繁殖によってもたらされるのである。


なお、日本の場合、犬の繁殖は「訓練」と同様、簡単な届出だけで行なうことができ、専門的な知識は要件ではない。


それから、犬を販売するショップには、「適切な指導」を行うことが義務付けられてはいるが、適切な指導を行わなかったという程度では、業務停止命令には至らない。


「このような犬の『質の低さ』と犬の飼育に対する理解や現実的な期待の欠如のため、これらの犬が遺棄されるリスクは高い」(09ページ)。


これはまさに、わたしが日々痛感していることである。


「なんで買ってしまったのか」と言いたくなることがあまりにも多いからだ。


社会化されていない状態で犬を迎えたら大変である。


生後6週齢で保護したはっちゃんの育犬記「ちびわん育て」には、その苦労が綴ってあるが、すでに大きく育っているのにペットショップのケージに閉じ込められて社会化するチャンスがなかったルルのような犬は、もはや一般家庭で育てることはあまりにも難しい。


性格上の問題を持っている犬もまた問題行動が出やすく、非常に育てにくい。


飼い主の生活環境や年齢などとマッチしていない犬を買ってきてしまうというケースもあまりにも多い。


そうした犬は、遺棄されるか、でなかったら低いQOLのもと、飼い殺しにされるかである。


こうした状況を変えるには、以下のことが必要だとガイダンスは指摘する。


「これらの商業施設の状態、したがってこのような施設に関与している動物の福祉は、法令と、訓練を受けた法の執行機関による法の執行の組み合わせにより改善することができる」。


商業繁殖、販売を規制できるような法律を作って、しっかり執行することが重要だということである。


繁殖にしても販売にしても、こと細かに厳しく規定し、強制力を持って執行されなければ意味がない。


そしてガイダンスはこう結んでいる。


「飼い主になる可能性のある人々の、動物を譲渡している施設を含め、新しいペットを獲得する際の選択肢に関する知識の獲得を保障するために、教育を活用することができる。飼い主となる可能性のある人々は、社会化されていて健康な子犬が来ることが当たり前と思うように教育されるべきである」(09ページ)。


動物を「買う」のではなく、「譲渡」してもらうという選択肢は、少しずつ認知されつつあるとはいえ、まだまだ不十分である。


もっと知られるべきだろう。


そして「社会化されていて健康な子犬が来ることが当たり前と思うように教育されるべき」という指摘、これこそが非常に重要だとわたしは考えている。


先天性疾患をたくさん抱えて、気難しく、社会化していない犬というのが、当たり前になっている。


そうではなくて、社会化されていて健康な子犬が当たり前と考える人が増えなければ、ペットショップやブリーダーから安易に買う人は減らない。


また、保護団体や個人の保護犬にしても、社会化されていない子犬や成犬を譲渡し続けていたら、遺棄される犬を減らすことはできないのである。


明日は安楽死についてのガイダンスの見解を紹介したい。


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コメント
投稿者:ジンジャー(2014年09月11日 00:14)  5
こんにちは。動物保護は民間の力だけでは限界があるでしょうし、行政を動かすだけの、例えばヨーロッパにあるような慈善団体への関心も日本ではあまり高いとは思えないのが海外に住んでいる私の印象です。印鑑に用いるための象牙、三味線に使う猫の皮など伝統的産業さえ動かすためには、法律を作るしかないのですが、そうなると動物を愛する議員を当選させることが必要。ちょっとハードル高いですけどそういう方面からのアプローチ、グラさんならできそうだなと思いますが…いかがでしょう。日本は法治国家で民主主義をとっているのだから国民投票で問う方法もありますよね。
保護して3日で殺処分する日本はやはり常軌を逸しています。昔は撲殺だったそうです。
ペットショップも外国には存在せず、ペットフードやオモチャを売るペットのスーパーがあるぐらいです。残念ながら鳥は売られていますが。
ところで私が週3日菜食できるのは、滋養のある旬の野菜しか食べないという環境に住んでいるからだと思います。味の濃い野菜スープにブイヨン必要ないですしね。旬でない野菜を使うとベーコンを少し入れて味付けたり、という動物性を足す羽目になるのですよ。その地域の畑でできたものを買うというところから始めました。豆類も良く使いますよ。
投稿者:グラ(2014年09月11日 07:14) 
>ジンジャーさん

三味線ですが、猫の皮と思われていますが、実際には中国産の犬皮がよく使われています。
象牙の使用も多いですね。
国政選挙の時には、わたしも自然・環境問題への関心の高い議員の情報を提供しています。
単なる犬好き、猫好きレベルでは、国政選挙では有効な勢力にはなりませんからね。
ペットショップの規制など利権が絡むと、とたんに口をつぐむなどということもありますし。

殺処分までの保管日数は、自治体によって違います。
たとえば東京都は7日間で、ボランティア数も多く、子犬はほとんど収容されていませんが、地方都市では収容日数が短く、ボランティアは少なく、子犬がわんさかいるという傾向があります。
動物の扱いは、地域格差が非常に大きいですね。

味が薄いときには、タマネギをいためたものや、トマトピューレを加えるといいですが、化学調味料不使用の野菜ブイヨンも時には便利です。
ちなみにわたしは、イタリアのalce neroのbrodo vegetale con sette verdureを使ってます。
投稿者:まゆ(2014年09月11日 08:49) 
グラさんおはようございます。
私も今まさに遺棄された猫たちに右往左往しているわけで。
昨日、2匹目を保護しに行ったのですが、キャリーバッグを開けたら、自分から入って来たんですよ!!
びっくりでした。
しかも、他の子も入りたそうにしてたので、さらに驚きました。
獣医さんにレボリューションをしてもらいに行ったのですが、診察台で寝始めた猫ちゃん、「非常によく社会化された猫ちゃんで、短い社会化期にいろんな経験をしてきたんでしょう。顔つきが堂々としていて、物怖じせずストレス耐性があり、稀に見る飼いやすい子だと思いますよ」と言われました。
そんな子達が捨てられて野良だなんて。
今、我が家の2階で兄弟猫と遊んでいます。
あと数日で譲渡しますが、犬達は1階なので接することもなく、ご飯の奪い合いやケガの心配もなく過ごせています。
下痢してるので寝室がくっさ〜いのですが、夫婦で猫ちゃんとそのくっさ〜い部屋で寝ています(笑)
投稿者:グラ(2014年09月11日 08:57) 
>まゆさん

2匹目、無事に保護できたんですね!
よかったです。
他の子も大丈夫そうだったら、ぜひお願いします。
子猫のころに人間と接する機会があれば、野良の子でも人慣れしますからね。
お疲れ様です。
投稿者:じゅん(2014年09月11日 10:40)  5
博士こんにちは。
ガイダンス、まだ一度だけざっと読んだだけですが、こんな素晴らしいものがあったのかと驚きました。日本語版は去年の12月に刊行されているんですね。行政機関のどれほどの人が目を通してくれているかは疑問ですが、今後このガイダンスが広まり、日本も少しずつ変わって行ってほしいです。
飼い主になる可能性のある人の知識の教育というところは、胸が苦しくなりました。私もまさになんの知識もないまま安易に犬を買うという選択をした愚か者です。飼い主になる可能性のある人がきちんとした知識を身につけることが本当に大切だと思いました。そのために毎日重要な情報を提供してくださる博士のブログは有難い限りです。犬を飼う前に読んでくれる人が増えてほしいです。
投稿者:グラ(2014年09月11日 11:55) 
>じゅんさん

これはよくできていますよね。
動物福祉という観点が貫かれているところが、非常に好感が持てます。
日本にはないタイプのガイダンスですね。
せっかくなので、多くの方に読んでいただきたいと思います。
放浪犬が多くて予算が少ない国のことを想像しながら読むのもまたおもしろいです。
投稿者:ジンジャー(2014年09月15日 15:45) 
三味線の皮、中国産の犬の皮ですか…。いずれにせよ残酷な話ですね。殺傷分までの日数は各地方で違うのですね。知りませんでした。私の故郷京都は犬の保護後3日で殺処分していました。
野良猫や犬がいなくなり、皆が家族同様幸せな一生を送れることが願いです。
そして人間が野生を含む動物達とより良く共存して行くための社会づくりシステムづくりが一日も早く実現するように、国民一人一人のアニマルライツへの意識、関心が高く持てるよう、正しい情報をマスコミにも提供していけたらいいですね。
投稿者:グラ(2014年09月15日 17:28) 
>ジンジャーさん

今読んでいる『ジェーン・グドールの健やかな食卓』という本が、非常に興味深かったです。
もし手に入るようなら、読んでみてください。
原書はJane Goodall "Harvest for Hope" です。
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